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上田 祐生; Micheau, C.; 元川 竜平
ファインケミカル, 54(5), p.53 - 60, 2025/05
持続可能な社会を実現するためには金属資源のリサイクルが重要である。高濃度の金属イオンを取り扱う抽出操作では、プロセスの安全な運転を阻害する油相の相分離(第三相の生成)が長年の課題であった。本稿では、フルオラス化合物の強力な疎水性を利用した、第三相を生成させない新たな抽出系開発におけるこれまでの成果をまとめた。
江森 達也; 北辻 章浩; 伴 康俊
JAEA-Technology 2024-025, 20 Pages, 2025/03
太陽光発電が期待できない木星以遠の深宇宙探査機用の電源として主にPu-238の崩壊熱を利用した放射性同位体熱電気転換器(RTG: Radioisotope Thermoelectric Generator)が使用されている。しかし、日本国内ではPu-238を生産するための設備が無い上、宇宙利用を目的とした核燃料物質の使用は法規制上の観点から困難である。そこでPu-238の代替として適当な半減期を持つAm-241(半減期: 432年)に注目し、研究目的で貯蔵されている高経年Pu試料中からのAm-241の分離及び精製法について検討を行い、分離回収試験を実施した。分離の方法については固液分離のみと液液分離と固液分離を組み合わせた2パターンの検討を行い、試験を実施した。液液分離と固液分離を組み合わせた場合では、固液分離のみと比べてカラムの本数を1/5以下に抑えられ、試験に要した時間も半分以下に短縮できた。また、得られた試験結果を用いて計6回のPuとAmの分離試験を実施し、約0.43gのAmをシュウ酸塩として分離回収した。
鈴木 英哉*; 伴 康俊
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(2), p.157 - 166, 2025/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)Nitrilotriacetamide (NTA amide) has been developed as an extractant for the mutual separation of minor actinides (MA; Am and Cm) and rare earth elements (RE) by solvent extraction. NTA amide is a tertiary amine in which the three carboxyl groups of nitrilotriacetic acid are amidated. NTA amides have six hydrophobic long-chain alkyl groups on the side chains, they have enhanced solubility in organic solvents, thereby allowing for the use of nonpolar diluents, such as n-dodecane. This study examined the extraction behavior of MA and REs using four NTA amides with six side chains comprising n-octyl groups, 2-ethylhexyl groups, and a mixture of these groups. The results showed that the linear type hexaoctyl NTA amide (HONTA) had the highest extraction ability for MA. Furthermore, the extraction behavior of MA and REs was different under low and high nitrate conditions, and that of scandium (Sc) was found to be considerably different depending on the side chains.
伊藤 健吾*; 高橋 真*; 加藤 千図*; 福谷 哲*; 松村 達郎; 藤井 俊行*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 334, p.2467 - 2475, 2025/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Analytical)本研究では、スズ、特に高レベル廃液に含まれるSn-126について、6種類の抽出剤による硝酸溶液からの溶媒抽出挙動について評価した。試験を行った抽出剤のうちHAAは高い効率を示したが、現状では工業的な応用に十分なデータは得られていない。塩酸を硝酸に加えた軽では、TBPとTEDTAにおいて、スズの分配比が1以上となった。しかしながら、工業的な応用に向けた実用的な課題と言う観点では、特に0.0008Mと言った低いスズ濃度におけるHAAによる抽出は、スズの回収についてより効果的である可能性がある。
宮崎 康典; 佐野 雄一; 石神 龍哉*
EPJ Web of Conferences, 317, p.01006_1 - 01006_7, 2025/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Inorganic & Nuclear)TEHDGA吸着材にガンマ線及びHeイオンビーム(例えば
Amからのアルファ線を模擬したもの)を照射し、水素ガス発生量、浸漬3M硝酸
溶液中の有機物の溶出量、熱特性及び分解生成物の化学種を評価した。これらを組み合わせて、1kGy/hの線量率のラフィネートからMAを分離回収プロセスの運転安全性を評価した。
佐々木 祐二; 金子 政志; 伴 康俊; 鈴木 達也*
Solvent Extraction Research and Development, Japan, 32(1), p.21 - 29, 2025/00
カルボン酸、アミド酸、アミド化合物による希土類元素、Amへの錯形成能力の比較を行った。用いた化合物は、ジグリコールアミド、エチレンジアミン、ジエチレントリアミドの骨格を持つ化合物とその他2種のアミド化合物である。次のような結果が得られた、pH1.2以下でアミド酸素ドナーはカルボン酸の酸素ドナーより反応性が高いこと、中重希土類元素は軽希土類元素より高く反応すること、3級アミン窒素原子はプロトネーションを起こし、得られる分配比はpH依存があることなどを明らかにした。
伊藤 健吾*; 守田 美咲*; 荒木 優太*; 加藤 千図*; 福谷 哲*; 松村 達郎; 藤井 俊行*
Solvent Extraction Research and Development, Japan, 32(1), p.53 - 62, 2025/00
高レベル廃液中のロジウム(Rh)とパラジウム(Pd)は主要な核分裂生成物である。本研究では、これらの白金族元素(PGEs)の新規な抽出剤HONTA及びADAAMによる溶媒抽出挙動を理解することを目的とした。これらの抽出剤はPdに親和性を示し、その分配係数は1を有意に超えPd分離に対する有効性を示している。これに対して、Rhの分配係数は、一貫して10を下回っており、硝酸からの抽出効率が低いことを示している。しかし、硝酸カルシウム水和物を用いた塩析効果により、HONTAによるRhの分配係数約570を達成した。HONTAによる白金族元素の逆抽出の困難さを克服するため、HEDTA及びチオ尿素を用いた実験を行った。高濃度硝酸(
2M)におけるHEDTAによる逆抽出では約90%のPdが抽出されていたが、硝酸系におけるチオ尿素による逆抽出では、抽出されていたRhは約40%であり塩酸系では最大62.7%であった。
松宮 正彦*; 徳満 駿*; 三島 卓己*; 佐々木 祐二
ECS Advances (Internet), 3(4), p.043001_1 - 043001_8, 2024/12
白金族元素のひとつであるRhの分離と精製は、従来法では塩酸による溶解と沈殿生成を繰り返す必要があり、より効率的な精製法の確立が求められている。そこで、NTAアミドを用いた溶媒抽出法と電析を組み合わせた精製法について研究した。その結果、NTAアミドによる有機溶媒へのRhの抽出はイオン対抽出機構によるものであり、抽出されたR(III)は電極上での3電子還元によりRh金属として析出することを明らかにした。また、連続的な溶媒抽出と直接電析により、Rhを回収できることを確認した。
上田 祐生; Micheau, C.; 阿久津 和宏*; 徳永 紘平; 山田 雅子*; 山田 悟史*; Bourgeois, D.*; 元川 竜平
Langmuir, 40(46), p.24257 - 24271, 2024/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)本研究では、パーフルオロヘキサン中のフルオラスリン酸エステル(TFP)からなるフルオラス抽出系において、n-ヘキサン中の有機リン酸エステル(THP)からなる類似の有機抽出系と比較して、より高い金属イオン抽出性能に寄与する主要因を分子レベルで理解するために、硝酸溶液からのZr(IV)イオンの抽出の巨視的挙動を微視的構造情報と相関させた。拡張X線吸収微細構造、中性子反射率測定、中性子小角散乱により、それぞれZr(IV)イオン周辺の局所配位構造、界面における抽出剤分子の蓄積、バルク抽出相における抽出剤分子の構造が明らかになった。その結果、いずれの抽出系においても、界面には抽出剤分子はあまり蓄積しなかった。フルオラス抽出系では、硝酸との接触により凝集体が形成され、Zr(IV)抽出後も残存した。一方、有機抽出系では、二量体のみが形成された。Zr(IV)イオン周辺の局所的な配位構造とバルク抽出相における抽出剤分子の構造の違いが、フルオラス抽出系における高いZr(IV)抽出性能に寄与していると推測している。特に、フルオラス相中のZr(IV)濃度が増加しても凝集体の大きさはほとんど変化せず、これはフルオラス抽出系で相分離が起こらないことと密接に関係していると考えられる。
箕輪 一希*; 渡部 創; 中瀬 正彦*; 高畠 容子; 宮崎 康典; 伴 康俊; 松浦 治明*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 556, p.165496_1 - 165496_6, 2024/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Instruments & Instrumentation)X線吸収端構造(XANES)分析とカラム試験により希土類のアルキルジアミドアミン(ADAAM)含浸吸着材への選択性を考察した。さらに高レベル放射性廃液に含まれるマイナーアクチノイド(MA)の模擬物質として希土類を実験に利用する蓋然性の高さを、ADAAMの窒素原子と希土類イオンの相互作用により証明した。LaとCeはADAAM中のアミンの窒素原子と相互に作用することを証明し、N-K端におけるXANESスペクトルにて検討に供した希土類においてピークシフトが観察されたことから、ソフトな相互作用が希土類の選択性に関与することを明らかにした。また、ADAAM含浸吸着材において希土類の選択性に関する要因はMAのそれと同じであることから、希土類がMAの模擬物質として適していることを示した。
Pratama, C.*; 藤田 善貴; Saptiama, I.*; Marlina, M.*; Triyatna, F.*; Ilhami, A.*; Maria, C. P.*; 土谷 邦彦; Teguh, A.*; Prasetyo, I.*
Journal of Physics; Conference Series, 2828, p.012025_1 - 012025_12, 2024/10
核医学検査薬として用いられるテクネチウム-99m(Tc)は、モリブデン-99(
Mo)の娘核種として生成される。本研究では
Mo/
Tc製造プロセスの分配係数(Kd)を決定し、
Tc抽出プロセスにおいて溶媒として用いるメチルエチルケトン(MEK)の抽出効率を評価することを目的とする。日本原子力研究開発機構(JAEA)と共同で実施した、
Tcの代替としてレニウム(Re)を使用した予備試験では、
Tc抽出プロセスでの最適条件を明らかにした。このデータに基づき、インドネシア国立研究イノベーション庁(BRIN)において
Mo/
Tcを用いたホット試験を実施した結果、MEKによる
Tc抽出率は100%を超え、
Tc溶出工程では97.81%の回収率を達成した。さらに、ホットセルでのシミュレーションと設備の改善を実施したが、
Tc抽出回収率は44.86%、
Tc溶出回収率は90.62%であった。この計算の結果、分配係数(Kd-
Tc)は0.45だった。また、得られた
Tc溶液の放射性核種と放射化学純度はそれぞれ99.90%及び99.80%と優れていた。これらの結果は、日本及びインドネシアの
Mo/
Tcの輸入依存を低減し、
Tcの国産化に貢献する。
伊藤 健吾*; 川上 貴大*; 加藤 千図*; 福谷 哲*; 松村 達郎; 藤井 俊行*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 333(10), p.5183 - 5189, 2024/10
被引用回数:1 パーセンタイル:57.00(Chemistry, Analytical)高レベル廃液からのウラン、プルトニウム、マイナーアクチノイド及び希土類元素の分離プロセスで使用される複数の抽出剤を用いて、硝酸溶液からのSe(VI)の溶媒抽出挙動を調べた。すべての抽出剤が分配比1であったことから、プロセス中においてSeは残留水溶液中に残存することが明らかとなった。一方、希硝酸(
2M HNO
)、有機相としてオクタノール、濃硝酸(8M HNO
)中において、抽出剤o-フェニレンジアミンではSeの分配比は1以上であった。濃硝酸(8M HNO
)で逆抽出したところ、Seの新しい単一分離プロセスと回収の可能性が示唆された。
伴 康俊; 鈴木 英哉*; 宝徳 忍; 津幡 靖宏
Proceedings of International Conference on Nuclear Fuel Cycle (GLOBAL2024) (Internet), 4 Pages, 2024/10
ミキサセトラを用いて、高レベル廃液からマイナーアクチノイド(MA;アメリシウム及びキュリウム)を回収するための連続向流抽出試験を行った。ヘキサオクチルニトリロトリアセトアミド(HONTA)を抽出剤に用いることで、MAフラクション中に0.17gのMAを回収した。
佐々木 祐二; 金子 政志; 松宮 正彦*
Chemistry Letters, 53(9), p.upae164_1 - upae164_4, 2024/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)これまで、カチオン性の抽出剤を使って、TcOなどのアニオン種となる金属イオンを対象にイオン対抽出による分離法を開発してきた。イオン対抽出法は超アクチノイド元素やNb, Taといった有用金属の抽出も期待できる。最近塩酸溶液中で塩化物が配位してアニオン種となる白金族元素にも応用可能であることを見出したため、この方法をさらに発展させて、硫酸やフッ化水素酸中でアニオン種として存在するZr, Hf, Nb, Taの抽出を検討した。その結果、本法によるこれら金属イオンの抽出は可能であることを明らかにし、分配比の抽出剤濃度や振とう時間依存性などの基礎情報を取得した。
大沢 直樹*; Kim, S.-Y.*; 久保田 真彦*; Wu, H.*; 渡部 創; 伊藤 辰也; 永石 隆二
Nuclear Engineering and Technology, 56(3), p.812 - 818, 2024/03
被引用回数:2 パーセンタイル:57.00(Nuclear Science & Technology)An impregnated silica-based adsorbent was prepared by combining HONTA extractant, Crea extractant, and macroporous silica polymer composite particles (SiO-P). The performance of platinum-group metals adsorption and separation on prepared (HONTA + Crea)/SiO
-P adsorbent was assessed by batch-adsorption and chromatographic separation studies. (HONTA + Crea)/SiO
-P adsorbent showed high adsorption performance of Pd(II) owing to an affinity between Pd(II) and Crea extractant based on the Hard and Soft Acids and Bases theory. The chromatographic experiment showed that Pd(II) was recovered entirely from the feed solution using 0.2 M thiourea in 0.1 M HNO
. Possibility of recovery of Zr(IV), Mo(VI), and Re(VII) was also observed using the (HONTA + Crea)/SiO
-P adsorbent.
伴 康俊; 鈴木 英哉*; 宝徳 忍; 津幡 靖宏
Solvent Extraction Research and Development, Japan, 31(1), p.1 - 11, 2024/00
ホットセル内のミキサセトラ抽出器を用いた-ヘキサオクチルニトリロトリアセトアミド(HONTA)によるマイナーアクチノイド(MA; Am及びCm)分離の実証試験を実施した。フィード液としてMA及び希土類(RE; Y, La, Nd及びEu)を含有した高レベル廃液を用いた。ノルマルドデカンで0.05mol/dm
に希釈したHONTAを有機相として供給し、一部の有機相は再生せずに再利用した。HONTAはMAを効果的に抽出する一方、REはあまり抽出しなかった。Y, La, Nd及びEuのREフラクションへの移行率はそれぞれ
99.9%、99.2%、61.8%及び81.4%となった。MAフラクションへのAm及びCmの移行率はそれぞれ86.8%及び74.7%であり、累積40時間の試験によって有意量(0.12g)のMAを同フラクションに回収した。
中川 太一; 鈴木 怜花*; 松枝 誠; 寺島 元基; Hinze, W. L.*; 高貝 慶隆*
Solvent Extraction Research and Development, Japan, 31(2), p.49 - 56, 2024/00
The zwitterionic surfactant 3-(nonyldimethylammonio)-propyl sulfate (C-APSO
) exhibits unique reversible temperature-dependent phase separation properties, which can be used for the extraction of water-miscible negatively charged gold nanoparticles (AuNPs) without any aggregation at high concentrations using only temperature change. This study investigated the extraction behaviors and properties of AuNPs transferred from the water phase to a small volume of the surfactant-rich phase. The AuNPs retained both their original shapes and sizes after temperature-dependent phase separation step. In addition, the concentration of AuNPs was enriched by a factor of 150 in the surfactant-rich phase without any changes in the sizes and shapes of AuNPs.
鈴木 英哉*; 伴 康俊
Analytical Sciences, 39(8), p.1341 - 1348, 2023/08
被引用回数:4 パーセンタイル:49.52(Chemistry, Analytical)原子力機構では再処理で発生した高レベル廃液中のマイナーアクチノイド(MA)を抽出分離する新しい技術として、SELECTプロセスを提案している。SELECTプロセスにおけるMA分離は、MA及び希土類(RE)の一括回収、MAとREの分離及びAmとCmの分離ステップから構成されておいり、各ステップにおいて3種類の実用的な抽出剤が用いられている。このステップ構成は水相の硝酸濃度調整を容易にしているが、CmとNdの分離係数が小さく、多くの分離段数が必要となる。そこで、本研究ではADAAM(EH)とHONTAの混合溶媒を適用したAmのみの分離を検討した。同混合溶媒は、高硝酸濃度においてAm及び軽ランタノイド(La, Ce, Pr及びNd)を抽出し、Cm, Y及び中重ランタノイドは水相に残存した。その後、低硝酸濃度条件で軽ランタノイドは同混合溶媒から逆抽出される。さらに、Amは0.2又は5mol/Lの硝酸濃度条件で逆抽出される。この混合溶媒を使用した方法では、分離係数の小さいCmとNdとの分離を回避することができ、さらにAmは1回の抽出操作及び2回の逆抽出操作でCm及びREから分離可能であり、SELECTプロセスの分離段数の削減が見込まれる。
Ngo, M. C.*; 藤田 善貴; 鈴木 達也*; Do, T. M. D.*; 関 美沙紀; 中山 忠親*; 新原 晧一*; 末松 久幸*
Inorganic Chemistry, 62(32), p.13140 - 13147, 2023/08
被引用回数:5 パーセンタイル:54.36(Chemistry, Inorganic & Nuclear)テクネチウム-99m(Tc)は放射性医薬品として最も用いられるラジオアイソトープである。
Tcは
Moの娘核種であり、
Mo/
Tcの生成には核分裂(n, f)法と中性子捕獲(n,
)法が存在する。この内、(n, f)法は世界の生産量の約90%で使用されているが、高濃縮ウランの使用、高放射性廃棄物の発生、核不拡散の観点からも問題となっている。そこで、(n,
)法は、(n, f)法の代替法として開発が進められている。本研究では、熱蒸着法で作製した
-MoO
ウィスカーと
-MoO
粒子を中性子照射して
Mo/
Tcを生成し、水に分散させることで
Mo/
Tcを抽出した。その結果、
-MoO
と比較して、
-MoO
ウィスカーでは高い
Mo抽出率が得られた。また、水に溶解した
Mo濃度を比較した結果、サンプルから
Moが水に移動するホットアトム効果を
-MoO
ウィスカーではより顕著に示した。本研究は、中性子捕捉法の照射ターゲットとして
-MoO
の使用を初めて実証したものであり、
-MoO
は、中性子捕捉によって
Mo/
Tcを生成し、水による放射性同位体抽出するための有望な照射ターゲットになると期待される。
藤田 善貴; Hu, X.*; 武内 伴照; 武田 遼真; 藤原 靖幸*; 吉永 尚生*; 堀 順一*; 鈴木 達也*; 末松 久幸*; 井手 広史
KURNS Progress Report 2022, P. 110, 2023/07
ウランを使用しないテクネチウム-99m(Tc)の国産化を目的に、(n,
)法によるモリブデン-99(
Mo)製造に関する研究を行っている。この方法で生成される
Mo比放射能は低いことから
Moの娘核種である
Tcを濃縮するため、メチルエチルケトン(MEK)を用いた溶媒抽出法によって
Tcを抽出し、アルミナカラムによって
Tcを濃縮する技術に着目した。還元された
TcはMEKに抽出されないとの報告があることから、本試験では、モリブデン酸ナトリウム水溶液への水素バブリングによる
Tc還元を試み、
Tc収率への影響を調査した。その結果、論文で報告されたMEKへの
Tc抽出に対する影響は確認されず、酸性カラムへの
Tc吸着を阻害する可能性が示された。また、
Tcの化学形を把握するための基礎的データとして、回収した
Tc溶液のラマン分光分析を実施した結果、1050cm
あたりにシャープな弱いピークが確認された。今後、Tcの還元を確認するため、Tcの化学形の違いによるラマンピークの違いなどを調査していく。