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有吉 玄; 大林 寛生; 斎藤 滋; 佐々 敏信
Proceedings of 19th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-19) (Internet), 10 Pages, 2022/03
液体重金属を核破砕ターゲットおよび冷却材として利用する核変換施設の建設には、液体重金属の流動特性を事前に明らかにしておくことが重要となる。鉛ビスマス共晶合金(LBE)は、加速器駆動システムや高速炉等の革新的原子力システムにおける核破砕ターゲットや冷却材の候補材料とされており、J-PARCではLBEを利用した核破砕ターゲットシステムの構築に向けた技術開発を推進している。通常、LBEの流動特性は汎用数値流体力学(CFD)コードを用いて予測・把握されるが、このようにCFDコードが多用される一つの要因は、高温液体重金属流れに対する計測手法の確立が不十分なことである。そこで原子力機構では、小型電磁石を使用した局所流速計を開発した。開発した流速計は480CのLBEへ適用され、誘導起電力と流速の良好な相関が得られることが実証された。
久米 悦雄; 北村 竜明*; 高瀬 和之; 小瀬 裕男*
可視化情報学会誌, 25(Suppl.2), p.369 - 370, 2005/10
革新的水冷却炉の燃料集合体では、燃料棒まわりを流れる冷却材の領域が半径方向及び流れ方向に一定間隔を保つように複数のスペーサが設置されている。従来の研究から、スペーサ等の障害物の後流には乱れが発生することがわかっている。また、気液二相液膜流では、気相と液相の相対速度に依存して気液界面に発生するせん断力によって液膜中に大きな乱れが形成され、その結果、界面形状が不安定になることが理論的,実験的に明らかになっている。このような突起による乱れと界面不安定現象を原子炉熱設計に反映するためには、加熱液膜流挙動を正確に把握する必要がある。そこで、本研究では、革新的水冷却炉で想定されるスペーサ付き狭隘流路を簡略モデル化した体系で3次元解析を行い、加熱面上に形成される流体温度や流速などの予測結果から、加熱液膜流に及ぼす突起の効果や界面せん断力の影響を定量的に明らかにした。
小瀬 裕男*; 高瀬 和之; 吉田 啓之; 叶野 琢磨; 秋本 肇
第18回数値流体力学シンポジウム講演要旨集(CD-ROM), 6 Pages, 2004/12
原子炉における冷却材の複雑な伝熱現象や相変化を含む混相流挙動に関する物理的メカニズムの詳細を数値的に解明し、また、原子炉燃料集合体をフルサイズで模擬した体系下で熱流動挙動の詳細を計算機上に再現することを目的として、地球シミュレータ等を利用した大規模シミュレーション技術の開発を行っている。本報は、技術開発の一環として行った将来型水冷却炉内二相流挙動の3次元予測結果について述べる。本提案の解析手法によって、狭隘流路を有する将来型水冷却炉の燃料集合体内の3次元水-蒸気分布の詳細を数値予測できる見通しを得た。また、気液界面の二相流構造,気泡の合体・分裂メカニズムに関して有益な知見を得た。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*
Proceedings of 1st International Forum on Heat Transfer (IFHT 2004), p.207 - 208, 2004/11
1mm程度の燃料棒間ギャップを有するスペーサ付き狭隘流路の使用が稠密燃料集合体で計画されている。このスペーサ付き狭隘流路を流れる水-蒸気二相流の熱流動特性に関して、現在、実験的及び数値解析的研究が進められている。本研究では、狭隘流路に設置されたスペーサ等の物体が液膜流挙動に及ぼす基礎的な影響を大規模二相流シミュレーションによって明らかにした。解析体系は3次元矩形流路とスペーサを簡略模擬した障害物から成る。解析では、流路入口に液膜厚さと水流速及び蒸気流速を与え、時間方向に進展する液膜流の挙動を計算した。使用した入力値は革新的水冷却炉の炉心条件を模擬した。解析の結果、水と蒸気の流速条件並びに加熱壁条件によっては、障害物後端から発生するはく離線に沿ってウエークが形成され、ここでは強い乱れによって液膜が排除されて、ほぼ蒸気で満たされることがわかった。また、障害物の配置や形状による液膜流への影響を定量的に明らかにできた。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*
第23回日本シミュレーション学会大会発表論文集, p.121 - 124, 2004/06
革新的水冷却炉の稠密燃料集合体内二相流挙動を大規模計算によって予測する研究を行っている。今回の解析では、燃料集合体入口の流速,ボイド率等を種々に変えて行い、複数燃料棒まわりの液膜流挙動に関して、次のような定量評価が得られた。燃料棒の外周は薄厚の液膜で覆われ、その外側を蒸気が流れる。燃料棒間隔が狭い場所では、隣り合う燃料棒が液膜によって接続される架橋現象が見られる。また、蒸気は燃料棒三角ピッチ配列の中心部をストリーク状に鉛直方向に流れる。この領域は狭隘部に比べて摩擦抵抗が低いため、蒸気は流れ易いからである。さらに、一連の解析結果は、実験結果の傾向とよく一致することがわかった。
小瀬 裕男*; 高瀬 和之; 吉田 啓之; 叶野 琢磨; 呉田 昌俊; 秋本 肇
第41回日本伝熱シンポジウム講演論文集, 2 Pages, 2004/05
原研が開発を進めている低減速軽水炉を対象として、稠密燃料集合体内の二相流挙動を直接解析によって予測する研究を、地球シミュレータによる大規模シミュレーションによって行っている。本研究では、熱の影響がない非加熱等温流条件に対して、低減速軽水炉の炉心条件をもとに燃料集合体入口の流速やボイド率を変えて一連の解析を実施し、次の傾向の予測に成功した。(1)燃料棒表面が薄厚の液膜で覆われる,(2)燃料棒間隔が狭い領域で液膜の架橋現象が起こる,(3)蒸気は燃料棒間隔が広い三角ピッチ中心部をストリーク状に流れる。
竹永 秀信; 大山 直幸; 藤田 隆明; 山田 弘司*; 西村 清彦*; 田中 謙治*; 坂本 隆一*
Annual Report of National Institute for Fusion Science; April 2003 - March 2004, P. 12, 2003/10
JT-60UとLHDにおいて、高密度領域での閉じ込め劣化及び粒子輸送について比較した。高密度領域での閉じ込め劣化に関しては、回転変換から求められる等価的なヘリカル系でのグリーンワルド密度とISS95スケーリングからの改善度との関係を磁気軸3.6mのLHDプラズマにおいて調べた。LHDでは最外殻磁気面近傍で回転変換が急激に増加するため、LHDでの密度限界スケーリング近傍のデータでもグリーンワルド密度比(f)は0.6程度にとどまっている。閉じ込め改善度は、f0.1ではfが大きくなるにつれて低下する傾向にある。JT-60UのELMy Hモードプラズマでは、f0.3-0.4でLモードからの閉じ込め改善度の低下が同様に観測される。粒子輸送に関しては、磁気軸3.9mのLHDプラズマにNBとEC加熱を行った場合とJT-60UプラズマにEC加熱のみを行った場合の比較を行った。LHDではホローな密度分布が観測されており、外向きの対流速度があるものと思われる。ガスパフモジュレーション実験から粒子輸送係数の導出を試みたが、変調成分の振幅と位相の両方の分布を満足する拡散係数と対流速度は得られなかった。一方、JT-60Uではピークした密度分布が観測されており、中心部に粒子源がないために内向き対流速度が存在していると考えられる。
竹永 秀信; 東島 智; 大山 直幸; Bruskin, L. G.; 小出 芳彦; 井手 俊介; 白井 浩; 坂本 宜照; 鈴木 隆博; Hill, K. W.*; et al.
Nuclear Fusion, 43(10), p.1235 - 1245, 2003/10
被引用回数:71 パーセンタイル:88.53(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uの負磁気シア及び高モードプラズマにおける内部輸送障壁(ITB)での粒子と熱輸送の関係について系統的に調べた。ヘリウムと炭素はITB内側で蓄積しないが、重不純物のアルゴンはITB内側で蓄積することを明らかにした。ヘリウムの拡散係数とイオンの熱拡散係数は、高モードプラズマでは、新古典値より5-10倍程度大きく、異常輸送が支配的である。負磁気シアプラズマでは、ヘリウムの拡散係数はイオンの熱拡散係数とともに、異常拡散が支配的な領域から新古典値程度まで減少する。炭素及びアルゴンの密度分布は、イオンの熱拡散係数が新古典値程度まで減少していても、新古典理論から計算される分布より平坦であり、炭素,アルゴンの拡散係数は新古典値より大きい。高モードプラズマに電子サイクロトロン加熱(ECH)を適用した場合に、密度と中心部の軟X線強度が顕著に減少し、アルゴンが中心領域から吐き出されることを見いだした。このとき、密度のITBはほぼ無くなっており、それにより新古典理論で予測される密度勾配によるアルゴンの内向き速度が減少する。負磁気シアプラズマでは、ECHによる明確な密度及び軟X線強度の減少は観測されなかった。このことは、不純物の蓄積を抑えるためには、密度勾配の制御が重要であることを示している。
竹永 秀信
プラズマ・核融合学会誌, 79(8), p.790 - 804, 2003/08
トロイダルプラズマにおける粒子輸送解析手法についてまとめたものである。粒子束を拡散項と対流項の和で表す粒子輸送モデルを導入し、それらの特性を表す粒子拡散係数と対流速度を評価するために必要な実験手法及び解析手法について説明した。まず最初に、プラズマ内の粒子バランスについて述べ、粒子輸送モデルを説明した。さらに、そのモデルを用いて、簡単な場合の密度分布について考察し、粒子拡散係数と対流速度及び粒子源分布によりプラズマ密度分布が決定されていることを示した。次に、粒子輸送解析に必要な粒子源の評価について、水素原子密度測定法とプラズマ中の水素原子・分子挙動をモデル化したモンテカルロ法によるシミュレーションを組み合わせた解析手法を説明した。これらをもとに、粒子拡散係数と対流速度の導出方法について、解析例を示しながら密度勾配と粒子束の関係を用いた手法,電子密度分布の時間発展計算による手法、及び定常解と摂動法を組み合わせた手法を説明した。また、不純物輸送に関しても、不純物ガスパフ変調法と不純物密度分布の時間発展計算による手法について説明した。
黒田 寛*; 礒田 豊*; 大西 光代*; 岩橋 雅行*; 佐藤 千鶴*; 中山 智治*; 伊藤 集通; 伊勢田 賢一*; 西澤 慶介*; 島 茂樹*; et al.
海の研究, 12(2), p.195 - 214, 2003/03
青森-室蘭間を運航する定期旅客船に搭載されたADCPによる2000年4月2001年4月までの流速データを用いて、日高湾西部陸棚上における数十日周期の流速変動を調べた。主要10分潮の潮流成分をADCPデータからさし引いた後、不等間隔のデータに2種類のスペクトル解析法を適用した結果、西部陸棚上において10,25,60日の3周期帯の流速変動が卓越していると判断された。不等間隔データに適用可能な新しいバンドパス法(HAB法)を提案し、それぞれの周期変動の水平・鉛直流速構造を抽出した。日高湾西部陸棚上におけるADCP観測点間で、3周期帯の流速変動は水平的にほぼ同位相であった。鉛直的にも10, 25日周期変動の位相差はほとんどみられなかったが、60日周期変動は数日の顕著な位相差がみられた。この位相は、下層流が上層流よりも常に先行している。流れと風とのクロススペクトル解析を行った結果、10日周期帯の流速変動のみが風との高い相関を示し、北西風が北西流よりも約1.5日先行していた。これは、大島・三宅(1990)によるモデルからの見積もりとよく一致している。また、10日周期帯の流速変動は秋~冬季にかけて卓越していたことから、この周期帯の変動が北西の季節風によって引き起こされていると推測される。
槇 彰; 佐本 寛孝; 田口 克也; 佐藤 武彦; 清水 亮; 庄司 賢二; 中山 治郎
JNC TN8410 2001-012, 185 Pages, 2001/04
本資料は、平成13年3月14日に日本原燃(株)六ヶ所事務所にて開催した「第三回東海再処理施設技術報告会」の予稿集、OHP、アンケート結果を報告会資料としてまとめたものである。東海再処理施設技術報告会は、これまでに2回開催されており、第一回は「東海再処理施設の現状、今後の計画」について、第二回は「東海再処理施設の安全性確認作業」について、東海再処理施設においてこれまでに得られた技術・知見等を紹介してきた。今回第三回は、「東海再処理施設の腐食・ISIに関する実績と今後の計画」について東海再処理施設においてこれまでに得られた技術・知見等の報告を行ったものである。
中山 王克; 林田 均
JNC TN9400 2000-087, 74 Pages, 2000/07
液体金属ナトリウムの熱流動現象を定量的に把握するため、液体金属ナトリウム中の流速分布を超音波により計測する技術の開発を進めている。これまで、ナトリウム中試験を行って、その適用性を票Kするとともに課題を整理した。これを受けて、センサ特性や計測アルゴリズムの最適化を図ることを目的とした水中及びナトリウム中試験を計画しており、これらの試験に供試する高温用超音波トランスデューサを試作した。本報告は、試作した高温用超音波トランスデューサの単体特性の計測結果をまとめたものであり、試験により得られた主な知見は以下の通りである。(1)散乱超音波による流速分布計測手法において特性支配因子となる音圧分布特性を把握した。また、超音波トランスデューサによって生成される液中の音圧分布の予測式や近距離音場限界距離を計測データから導出した。(2)超音波トランスデューサの周波数帯域が、散乱波の周波数シフト計測を行うのに十分であることを確認した。また、距離方向計測範囲や散乱波の周波数シフト計測を行うのに必要な送受信回路の距離方向信号増幅仕様を導入した。(3)散乱波の周波数シフト計測システムの計測システムの計測精度評価を行う上で必要な超音波トランスデューサ単体に起因する空間分解能を推定した。
木村 暢之; 田中 正暁; 林田 均; 小林 順; 上出 英樹; アキラ トーマス トクヒロ; 菱田 公一
JNC TN9400 2000-057, 60 Pages, 2000/05
高速炉の実用化を目指した研究において、著しい進歩を遂げた数値解析手法を用いた熱流動現象の解明や設計が可能となってきている。熱流動に関する実験研究ではモックアップ試験装置による実証試験から要素を取り出した小規模試験による現象解明、解析手法の検証に重点が移りつつある。このような要求を満たす上で、実験データの質の向上が不可欠である。とくに流速場の測定においては速度の空間分布が時間経過とともに変化する過程を明らかにすることにより、これまで得られなかった情報を抽出し、現象の解明や解析手法の検証に大きく貢献できると考えられる。本報告では、流速の瞬時の空間分布が得られる手法として超音波を用いた流速分布測定法(UDV)と粒子画像流速測定法(PIV)の2つを取り上げた。これらを水流動試験に適用し、計測手法としての適用性を評価した。UDVでは配管体系、平板状噴流体系、さらに高速炉の熱流動現象の要素を取り出した燃料集合体間の隙間流れ(炉心槽内の流れ)に関する水試験に適用した。既存のレーザー流速計やPIVとの比較を行った結果、妥当な測定結果を与えることを確認するとともに、その課題をナトリウム体系への適用を含めて明らかにした。PIVでは炉心槽内の流れに適用し、その課題を明らかにした。炉心槽のような複雑形状流路へ適用する上では、トレーサー粒子以外の画像ノイズを除去する手法を開発することで測定精度の向上を図ることができた。
木村 暢之; アキラ トーマス トクヒロ; 上出 英樹
JNC TN9400 2000-027, 181 Pages, 2000/02
高温と低温の流体の混合により発生する温度変動が、構造材に高サイクル熱疲労をもたらす現象(サーマルストライピング現象)を定量化することは重要な課題である。本研究では、流体内の混合特性を明らかにする観点で、複数噴流の混合の過程を定量化することを目的とし、水を作動流体として低温噴流の両側に高温噴流を平行スリットから吐出させた3本鉛直噴流体系を用いた実験を実施した。実験パラメータは噴流吐出速度とし、噴流の混合過程を超音波流速計と移動式熱電対により計測した。三噴流の吐出速度差がないときは、噴流に周期的な振動が発生し、噴流の振動により混合が促進される。振動周期は噴流吐出速度に基づくStrouhal数で整理できることがわかった。一方、噴流吐出速度差があるときは、噴流に振動は生ぜず、噴流混合は、噴流吐出速度差がないときに比べ、緩やかに行われている。また、位相平均を用いることにより、温度変動を周期成分とランダム成分に分解することができた。それによると、噴流吐出速度が大きくなるにつれて、噴流が激しく混合する領域では、温度変動の周期成分の割合が大きくなり、ランダム成分の割合が低下することが明らかになった。
Yang Zumao*; 村松 壽晴
JNC TN9400 2000-009, 81 Pages, 2000/02
原子炉構造物に熱疲労を与える温度成層化現象およびサーマルストライピング現象について、その熱流動上の特徴を把握することは、原子炉設計の観点から重要である。本研究では、核燃料サイクル開発機構で開発された多次元熱流動解析コードAQUAを用い、水,ナトリウム,鉛および炭酸ガスを冷却材として用いた場合の熱流動上の特徴を数値解析により抽出する。温度成層化現象については、リチャードソン数Riをパラメータとして合計8ケースを解析し、以下の結果を得た。(1)流体物性および計算初期条件は、同現象を支配する浮力、熱拡散などの効果に大きな影響を与える。(2)炭酸ガスを用いた場合の熱流動上の特徴は、この他の流体を用いた場合のそれらと大きな違いを示し、特に温度成層界面近傍における運動量および熱量の交換特性に関する差異が顕著である。サーマルストライピング現象については、同現象を特徴づける熱流動上の特徴の内、温度ゆらぎ振幅の空間分布特性についての評価を行い、以下の結果を得た。(1)高乱流条件である今回のサーマルストライピング解析結果は、前記の温度成層化現象で抽出された特徴と比較して、違いが認められた。(2)今後の温度ゆらぎ周波数の検討では、炭酸ガスを冷却材に用いた場合に低流速領域での特徴把握に、その他の冷却材を用いた場合に剪断流領域での特徴把握に注意を払う必要がある。
村松 壽晴
JNC TN9400 2000-008, 323 Pages, 2000/02
高速炉の炉心出口近傍では、炉心構成要素毎の熱流力特性(集合体発熱量、集合体流量)の違いから、炉心燃料集合体間あるいは炉心燃料集合体-制御棒集合体間などで冷却材に温度差が生じ、それらが混合する過程で不規則な温度ゆらぎ挙動が発生する。この温度ゆらぎを伴った冷却材が炉心上部機構各部(整流筒、制御棒上部案内管、炉心出口温度計装ウェルなど)の表面近傍を通過すると、冷却材中の不規則な温度ゆらぎが構造材中に伝播し、その材料は高サイクル熱疲労を受ける(サーマルストライピング)。特に、冷却材として液体金属ナトリウムを使用する高速炉では、大きな熱伝導率を持つナトリウムの性質から、この熱疲労に対する配慮が必要となる。本研究では、上流側に90エルボを持つ主配管と枝管から構成される配管合流部でのサーマルストライピング現象について、直接シミュレーションコードDINUS-3による解析的検討を行った。本研究で着目したパラメータは、当該合流部における(a)口径比、(b)流速比、(c)主配管エルボ-枝管間相対角度および(d)レイノルズ数であり、これらパラメータが配管合流部下流領域での乱流2次モーメントの空間分布特性に与える影響を評価した。得られた結果は、次の通りである。(1)流速比()を1.0に固定した条件においては、口径比()が小さいほど乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布範囲は広がる。(2)口径比()を1.0に固定し、流速比()を主配管内流速の増減により模擬した条件においては、流速比が大きいほど乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布範囲は広がる。一方、流速比を枝管内流速の増減により模擬した条件(口径比を3.0に固定)においては、流速比が小さほど乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布範囲は広がる。(3)主配管角()を変化した場合、乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布は大きく変化しない。しかしながら、それらピーク値は、主配管角が180である場合が最も大きくなる。(4)レイノルズ数(Re)が大きいほど、乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布範囲は広がる。
池田 孝夫*; 吉田 英爾*
JNC TJ7400 2000-006, 159 Pages, 2000/02
地層科学研究においては、ボーリングをはじめとする多種多様のデータに基づき地質構造を解析・モデル化し、その結果を3次元的に可視化するとともに、これらの情報に基づき透水係水場を推定して地下水流動解析を行うことが重要である。そこで、これらの評価・検討を支援するシステムとして、各種地質データの解析を支援するLand Mark、地質構造モデルの構築を支援するEarth Vision、透水係水場を推定し地下水流動解析を行うFrac-Affinityから構成される「地質環境データ解析・可視化システム」を平成9年度に開発している。しかし、上記ソフトウエアのうち地下水流動解析を行うFrac-Affinityは、解析対象が飽和解析に限定されていたことから、超深地層研究所の建設に対応してコードを飽和・不飽和解析に拡張することが必要となっていた。そこで本業務では、昨年度の検討を通じてコード拡張の理論的可能性が明らかにされたのを受け、ソルバー等の改良によりFrac-Affinityを飽和不飽和解析に拡張するとともに、超深地層研究所に関連する地下水流動解析の中で実施時期の観点から最も優先順位が高いと考えられる、立坑掘削の影響評価解析に必要なコードの改良を行った。主なコードの改良点は次の通りである。・コードの飽和不飽和解析への拡張・ソルバーの改良による解析可能最大接点数の向上・入出力インターフェースの改良、具体的には主として以下の事項 飽和不飽和解析に対応した入力項目の追加 差分メッシュ(Frac-Affinityネットワーク)や流速ベクトルの可視化 エラー情報の充実・飽和不飽和解析に対応した境界条件(自由浸出、涵養)の追加・立坑掘削を模擬するための内部境界の形状や境界条件の経時変化を取り扱う機能の追加・差分メッシュ(Frac-Affinityネットワーク)構築方法の改良と、部分的に差分メッシュの密度を調整する機能の追加 これに加えて、飽和・不飽和地下水流動解析に対して拡張したFrac-Affinityにより、立坑掘削の影響解析を含む一連の試解析の実施し、Frac-Affinityの飽和・不飽和解析、特に立坑掘削の影響の評価に対する基本的な適用性を確認した。また、「地質環境データ解析・可視化システム」では、Land Mark、Earth VisionならびにFrac-Affnityの有機的な
三宅 康洋*; 中根 茂*; 西村 元彦; 木村 暢之
JNC TN9400 2000-016, 40 Pages, 1999/12
従来、多次元熱流動解析コードを用いた解析結果の可視化については2次元のプロットを各断面毎に日本語ラインプリンタ(NLP)へ出力することで対応していた。しかし、現象を把握するためには非常に多くのプロットを出力する必要があることから、時間と手間がかかり、解析結果を即座に確認することができなかった。また、出力結果は白黒描画であることから、視覚的に現象を把握するのが困難であった。そこで、熱流動現象の可視化ツールとして学術界および工業界で信頼性の高いMicroAVS(参考文献)およびFieldView(参考文献)を導入し、短時間で、かつ効率的に説得力のある解析結果の表示を得ることを目的として、多次元熱流動解析コードから可視化ツールへの物理データの引き渡しを行うポスト処理システムを構築した。その結果、これまで紙面上でしか確認できなかった解析モデル構造および解析結果をパソコン画面上で容易かつ迅速に確認できるようになった。さらに、カラー表示・印刷が可能となり、報告書等に掲載するプロットに品質の高い説得力のある表示(画像)を扱うことができるようになった。また、過渡熱流動現象解析に対して、可視化ツールのアニメーション機能を用いて現象の時間推移を動画で確認できるようになり、過渡現象を視覚的にとらえることが可能となった。
竹永 秀信; 永島 圭介; 逆井 章; 朝倉 伸幸; 清水 勝宏; 久保 博孝; 東島 智; 及川 聡洋; 白井 浩; 藤田 隆明; et al.
Nuclear Fusion, 39(11Y), p.1917 - 1928, 1999/11
被引用回数:22 パーセンタイル:57.65(Physics, Fluids & Plasmas)核融合炉においては出力制御のために十分な密度制御性を確保することが必要であり、そのためには粒子閉じ込め特性の把握が不可欠である。本論文ではNBIにより中心供給した粒子の閉じ込め時間と、リサイクリング及びガスパフにより周辺供給した粒子の閉じ込め時間を個別に取り扱う新しい手法を用いてELMyHモードプラズマにおけるセパラトリックス内のイオン総数に関するスケーリング則を導出した。また、スケーリング則と実験値の比較から負磁気シアプラズマでの粒子閉じ込め改善を定量的に評価した。さらに、粒子拡散係数と対流速度をヘリウムガスの変調入射実験で評価した。その結果、内部輸送障壁において、粒子拡散係数がその内側、外側領域に比べて1/5~1/6に減少していることを明らかにした。
アキラ トーマス トクヒロ; 木村 暢之; 宮越 博幸
JNC TN9400 2000-014, 86 Pages, 1999/06
高速炉のサーマルストライピング現象について熱流動に関する実験シリーズが水流動試験装置を用いて行われた。ここで言うサーマルストライピング現象とは、炉心出口部において、制御棒チャンネルや集合体から流出する温度・速度の異なる噴流が十分に混合せずに炉心上部構造材に衝突することにより構造材に熱疲労を与える現象である。本試験体系は、鉛直噴流を平行に3本配置しており、中心噴流が低温、左右の噴流が高温である。噴流は、矩形ノズルから試験容器中に準2次元形状で吐出している。試験パラメータは、噴流の平均吐出流速(U)と中心噴流と周辺噴流の吐出温度差(T=T-T)である。流速測定はレーザードップラー流速計(LDV)と超音波流速計(UDV)を用いて行った。本試験は、中心噴流を吐出させた単一噴流条件と3本の矩形噴流を吐出させた三噴流条件で行った。第1報は主にUDV計測結果、第2報は主に温度計測結果をまとめ、これらの結果を踏まえ、本報においてフェーズ1試験のまとめを行った。単一噴流条件における流速測定結果は、噴流出口領域から下流において、LDVとUDVとも既知の試験結果と良い一致を示した。三噴流試験条件において、3つの噴流の吐出速度が等速の場合、噴流が左右に振動することにより対流混合が行われていることが明らかとなった。また、速度変動は、流れに垂直方向において、左右の噴流と中心噴流の間の領域で大きくなっていることがわかった。UDVによる速度変動および温度変動から得られた噴流振動の卓越周波数は、噴流が主に混合する領域(混合領域)でf = 2.25Hz、噴流の混合がほぼ終了した領域では f = 0.7Hzであった。左右の噴流吐出速度が中心噴流吐出速度より大きい場合、混合領域が下流側にシフトし、混合領域の流れ方向長さが短くなっていることがわかった。