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野崎 幹人*; 寺島 大貴*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; 志村 考功*; 渡部 平司*
Japanese Journal of Applied Physics, 59(SM), p.SMMA07_1 - SMMA07_7, 2020/07
被引用回数:2 パーセンタイル:11.82(Physics, Applied)AlGaN/GaN高移動度トランジスタ(HEMT)はヘテロ界面に誘起される高濃度・高移動度な2次元電子ガス(2DEG)により高周波・高出力動作を実現できるが、トランジスタのノーマリーオフ化のためにはゲート下のAlGaN層を薄層化したリセス構造の形成等が必要となる。AlGaN層は誘導結合プラズマを用いた反応性イオンエッチング(ICP-RIE)により比較的容易に薄層化できるが、エッチング時の損傷による特性劣化が懸念される。本研究ではICP-RIE後のAlGaN層に対し放射光光電子分光分析やホール効果測定を行い、AlGaN/GaN構造に対する極低バイアス電力のICP-RIEが加工表面の変質や2DEG特性劣化などの加工損傷を大幅に低減できることを示した。またRIE加工面上でのMOS構造形成では、プロセス中に表面変質層が酸化されるため、界面特性が2DEG特性ほど強くバイアス電力に影響されないことがわかった。
Laube, M.*; Pensl, G.*; Lee, K. K.; 大島 武
Materials Science Forum, 457-460, p.1381 - 1384, 2004/10
六方晶炭化ケイ素(6H-SiC)上に作製した金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のチャンネル内の電気特性とゲート酸化膜作製方法の関係をHall測定により調べた。その結果、水蒸気酸化により作製したMOSFETに比べ、乾燥酸素及び酸化後アルゴン中アニール処理したMOSFETの方がトランジスタ特性から見積もったキャリア移動度が高いにもかかわらず、Hall測定より見積もったキャリアの移動度は両者ともに60cm/Vsと同程度であることが明らかとなった。さらに、しきい値電圧の温度依存性から界面準位の発生量を見積もったところ、水蒸気酸化したMOSFETの方が2倍多く発生していることが見いだされた。このことより、チャンネルに流れるキャリアの真の移動度は酸化膜作製方法によらず同じであるが、界面準位の発生によりキャリアがトラップされるためにトランジスタ特性により求めたキャリア移動度が小さく見積もられることが明らかとなった。
大島 武; 伊藤 久義
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.191 - 194, 2004/10
炭化ケイ素(SiC)半導体を用いたpチャンネル金属-酸化膜-絶縁体電界効果トランジスタ(MOSFET)を高線量まで計測可能な線量計へ応用するために、線照射による電気特性の変化を調べた。pチャンネルMOSFETはn型六方晶(6H)SiCエピタキシャル基板上にフォトリソ技術を用いて作製した。ソース及びドレイン領域は800
Cでのアルミイオン注入及び1800
C,10分間の熱処理により形成した。ゲート酸化膜は1100
Cでの水素燃焼酸化により作製した。
線照射は0.1MR/hで、室温,印加電圧無し状態で行った。電流-電圧測定を行った結果、しきい値電圧は
線照射により単調に負電圧側にシフトすることが明らかとなった。さらに、subthreshold領域のドレイン電流-ゲート電圧特性を解析することで
線照射により発生した酸化膜中固定電荷及び界面準位を見積もったところ、固定電荷と界面準位は照射量とともに増加すること、及び固定電荷は1
10
/cm
、界面準位は8
10
/cm
で飽和傾向を示すことを見いだした。また、チャンネル移動度は、
線照射量の増加とともに減少する結果が得られた。これは、界面準位の発生によりチャンネルに流れるキャリアが散乱されることに起因すると考えられる。
大島 武; Lee, K. K.; 石田 夕起*; 児島 一聡*; 田中 保宣*; 高橋 徹夫*; 吉川 正人; 奥村 元*; 荒井 和雄*; 神谷 富裕
Materials Science Forum, 457-460(Part2), p.1405 - 1408, 2004/06
(001)立方晶炭化ケイ素(3C-SiC)ホモエピタキシャル膜上に作製した金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の電気特性とチャンネル方向([-110]方向に垂直,水平)の関係を調べた。その結果、両方のMOSFETともにしきい値電圧は-0.5V、チャンネル移動度は215から230cm/Vsと同様であることが見いだされた。このチャンネル移動度の値はこれまでに六方晶SiCでは達成されていない優れた値である。サブシュレショールド領域でのドレイン電流の値を調べたところ、[-110]に垂直のMOSFETは10
Aオーダーであるのに対し、[-110]に平行なMOSFETは10
Aオーダーと二桁も高いことが明らかとなった。これは、3C-SiC基板を[-110]方向にアンジュレーションをつけたSi基板にエピタキシャル成長するが、成長後にもその際の欠陥が残留し、伝導に影響するため[-110]に沿うように電流が流れる場合はリークが大きくなるためと考えられる。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍*; 神谷 富裕
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 219-220, p.1015 - 1021, 2004/06
被引用回数:7 パーセンタイル:45.03(Instruments & Instrumentation)高エネルギーイオンは半導体素子中でエネルギーを失い、高密度の電子-正孔対を生成する。生成された電荷は、半導体素子中の電界によって電極に収集され外部回路へ電流信号として取り出される。電荷が高密度に生成されるとそれ自身によって空間の電位勾配が減じ、電荷の移動度が小さくなることを予測した。このことを確認するために、本研究では、Si pinフォトダイオードに、酸素及び炭素の2種類のイオンを照射し、生成される電子-正孔密度が異なる場合の、空間電荷効果及び移動度の違いを議論する。われわれはこの過程のモデル化を試み、この実験結果と3次元シュミレータ(TCAD)による計算とを比較したので報告する。
Lee, H.-S.*; 岡田 浩*; 若原 昭浩*; 吉田 明*; 大島 武; 伊藤 久義; 川北 史朗*; 今泉 充*; 松田 純夫*
Physica Status Solidi (A), 199(3), p.471 - 474, 2003/10
被引用回数:3 パーセンタイル:21.29(Materials Science, Multidisciplinary)薄膜宇宙用太陽電池への応用が期待されているCuInSe半導体(CIS)の放射線照射効果を明らかにするために、0.38MeV, 1MeV, 3MeV陽子線照射によるキャリア濃度及び移動度の変化を調べた。用いた試料はガリウム砒素基板上にスパッタ法で作製したn型単結晶薄膜であり、未照射でのキャリア濃度は2
10
から6
10
/cm
、移動度は105から135cm
/Vsである。陽子線照射は室温にて1
10
/cm
まで行った。キャリア濃度と照射量の関係を解析することでキャリア減少率を求めたところ、3MeV陽子線照射では300cm
で0.38Mev陽子線照射では1800cm
と見積もられ、高エネルギー陽子線照射ほどキャリア減少率が低いことがわかった。この結果は、低エネルギー陽子線ほど表面付近での欠陥生成量が多く、今回のCIS薄膜試料に大きな損傷を与えるためと解釈できる。また、Hall移動度と照射量の関係を調べたところ、照射量の増加とともに移動度は減少し、1
10
/cm
照射では、初期値の1/3以下まで低下することが明らかになった。
大島 武; Lee, K. K.; 石田 夕起*; 児島 一聡*; 田中 保宣*; 高橋 徹夫*; 吉川 正人; 奥村 元*; 荒井 和雄*; 神谷 富裕
Japanese Journal of Applied Physics, Part 2, 42(6B), p.L625 - L627, 2003/06
被引用回数:39 パーセンタイル:77.34(Physics, Applied)炭化ケイ素(SiC)半導体は、大電力・高周波素子への応用が期待されているが、結晶成長や素子作製技術が確立しておらず、実用化への課題となっている。特に、金属-酸化膜-半導体(MOS)電界効果トランジスタ(FET)のチャンネル移動度の向上は実用化に不可欠となっている。これまで、結晶作製技術の問題より六方晶SiCが主な研究対象であったが、近年、立方晶SiC(3C-SiC)の厚膜化が可能となり、その厚膜を基板とすることでホモエピタキシャル成長を行うことが可能となった。本研究では、化学気相法により1650Cでホモエピタキシャル成長させた立方晶SiC上にMOSFETを作製した。MOSFETのソース,ドレイン領域は800
Cでのイオン注入及び1650
Cで3分間のAr熱処理することで作製し、ゲート酸化膜は1100
Cでの水素燃焼酸化により形成した。電気特性よりチャンネル移動度を見積もったところ260 cm
/Vsという非常に優れた値が得られた。また、酸化膜耐電圧を計測したところ絶縁破壊開始電界が8.5MV/cmというほぼ理想値を得た。
Lee, K. K.; 大島 武; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 389-393, p.1097 - 1100, 2002/05
ゲート酸化膜を水素燃焼酸化で作製したnチャンネル及びpチャンネルエンハンスメント型6H-SiC 金属-酸化膜-半導体 電界効果トランジスタ(MOSFET)特性の線照射による変化を調べた。
線照射は室温にて8.8kGy(SiO
)/hで行った。ドレイン電流(I
)-ドレイン電圧(V
)特性の直線領域よりチャンネル移動度を、ドレイン電流(I
)-ゲート電圧(V
)特性よりしきい値電圧を求めた。チャンネル移動度は、nチャンネルMOSFETでは1MGy(SiO
)照射後も未照射と同等の値が得られ優れた耐放射線性が確認された。pチャンネルでは40kGy程度の照射によりチャンネル移動度が一時増加し、その後減少するという振る舞いを示した。これは、照射により発生した界面準位の電荷が未照射時に存在する界面準位の電荷を見かけ上補償したためと考えられる。しきい値電圧に関しては、nチャンネルでは照射による変動が0.5V程度と安定した値であったが、pチャンネルでは照射量の増加とともに負電圧方向へシフトし、1MGy照射により5V以上の変化を示した。
大島 武; Lee, K. K.; 大井 暁彦; 吉川 正人; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 389-393, p.1093 - 1096, 2002/05
ゲート酸化膜を水素処理(700)または水蒸気処理(800
)することで初期特性を向上させた六方晶炭化ケイ素(6H-SiC)金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)に
線を照射を行い、電気特性(しきい値電圧(V
),チャンネル移動度(
))の変化を調べた。
線照射は線量率8.8kGy(SiO
)/h,室温,印加電圧無しの条件で行った。水素処理MOSFETでは、未照射で0.9VであったV
が530kGy照射後には3.1Vまで増加した。また、
は60kGy照射により減少し始めた。一方、水蒸気処理MOSFETでは、未照射で2.7VであったV
は530kGy照射後も3.3Vであり、変化量は0.6V程度と小さかった。
に関しては、180kGyの照射により減少し始め、水素処理MOSFETに比べ優れた耐放射線性を有することが見出された。さらに、subthreshold特性の照射による変化から界面準位・固定電荷の発生を調べたところ、水素処理MOSFETの特性劣化は界面準位の増加に伴い
が減少することで解釈できるが、水蒸気処理MOSFETでは多量の界面準位が発生する照射量においても
の減少が見られなかった。これより水蒸気処理MOSFETの酸化膜及び界面は水素処理MOSFETと異なることが示唆される。
大井 暁彦; 大島 武; 吉川 正人; Lee, K. K.; 岩見 基弘*; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 389-393, p.831 - 834, 2002/05
Al注入(110
/cm
,室温)した六方晶炭化ケイ素(6H-SiC)へ熱処理(Ar中、温度:1550から1750
C、時間: 3から30分間)を行い、表面状態と注入層の電気特性を調べた。原子間力顕微鏡(AFM)により表面観察を行った結果、熱処理により直線的な溝や溝に沿ったスパイク状の突起が形成されることがわかった。また、溝は高温・長時間熱処理ほど深くなることが明らかになった。面方位を考慮して解析を行った結果、溝の片面は(0001)面であると決定できた。一方、電気特性に関しては、高温・長時間熱処理ほど正孔濃度は増加するが、移動度は1750
Cで3分間程度の熱処理で飽和傾向を示し、それ以上の長時間熱処理条件では変化は見られなかった。この結果は、注入Al原子の電気的活性化には高温・長時間熱処理が有効であるが、結晶性の回復には高温・短時間熱処理で十分であることを示している。結晶性の低下や表面荒れがデバイス特性に悪影響を与えることを考えると、Al注入層の熱処理条件としては1750
C,3分間が適切であると判断できる。
大島 武; 伊藤 久義; 吉川 正人
Journal of Applied Physics, 90(6), p.3038 - 3041, 2001/09
被引用回数:43 パーセンタイル:81.52(Physics, Applied)ゲート酸化膜を700で水素処理して電気特性を向上させたエンハンスメント型nチャンネル6H-SiC MOSFETへ
線照射を行い、界面準位の発生量とチャンネル移動度の関係を調べた。その結果、
線照射量の増加とともに界面準位発生量が増加するが、発生量はシリコン(Si)MOSFETに比べ100分の1程度であった。チャンネル移動度は30kGy照射までほとんど変化せず、その後減少して、500kGy照射後には初期値(52cm2/Vs)の50%となった。Siでは10kGy照射でチャンネル移動度が初期値の50%となることから、チャンネル移動度の変化からもSiC MOSFETの優れた耐放射線性が確認された。また、SiCとSiのいずれのMOSFETでも界面準位発生量の増加とともにチャンネル移動度が減少する傾向が得られた。これは、SiC MOSFETにおいてもSiと同様にMOS界面で発生する欠陥によりキャリアが散乱されチャンネル移動度が低下することを示唆している。
大島 武; 吉川 正人; 伊藤 久義; 児島 一聡; 岡田 漱平; 梨山 勇
Materials Science Forum, 338-342, p.1299 - 1302, 2000/00
6H-SiC半導体を用いた金属-酸化膜-半導体(MOS)トランジスタでは、チャンネル移動度の向上が実用化への課題となっている。そこでゲート酸化膜作製後に水蒸気中で酸化膜を熱処理することで、チャンネル移動度へ与える効果を調べた。その結果、800C~850
Cでの水蒸気中熱処理により、チャンネル移動度が45cm
/V・Sに上昇することが明らかになった(処理なしの場合35~40cm
/V・S)。
大島 武; 森田 洋右; 梨山 勇; 川崎 治*; 久松 正*; 松田 純夫*; 中尾 哲也*; 若生 義人*
JAERI-Conf 97-003, p.256 - 260, 1997/03
宇宙用シリコン太陽電池の高フルエンス領域での特異な劣化現象の起源を明らかにするために、太陽電池の照射劣化のシミュレーションを行った。本研究では従来の理論では考慮していなかった、キャリア濃度減少に関する効果、発生キャリアの照射欠陥等による移動度の低下を考慮することで、実験結果のシミュレーションに成功した。本研究によって高フルエンス領域での照射劣化の理論についても明らかになり、今後の太陽電池寿命予測への大きな知見を得たといえる。
東 邦夫*
PNC TJ1604 93-001, 102 Pages, 1993/03
人工バリアの中で埋め戻し材は、母岩とオーバーパックという、それぞれ硬いもの同士のあいだのクッションの役割をするもので、それにはベントナイトが考えられている。ベントナイトとは、主成分がモンモリロナイトといわれる層状結晶の粘土鉱物の粘土であり、低透水性、高イオン交換能力、高膨潤性、可塑性といった特徴を持っている。これらの性質により、上記の役割に加えて、廃棄物への地下水の浸透を制限し、また、放射性核種が漏れでた場合でも、それを吸着しその移行速度を遅くする等の重要な役割をする。そこで、多くの研究者によってベントナイトへの分配係数やベントナイト中での核種の拡散係数などが測定されてきた。本研究室においても、高畠によりトレーサーにトリチウム水 THOを用いた、圧密ベントナイト中の水の拡散係数の測定実験がなされた[3]。Cs+やSr2+等の陽イオンの拡散係数もトリチウム水の場合と同じ方法で他の研究者によって測定されている[4,5,6]。しかし、陽イオンの場合ベントナイトの特性からいって非常に長時間の拡散時間が必要なので、高畠が3Hで得たようなきれいなプロファイルはあまり得られていない。そこで、本研究では電気伝導度法を用いて、ベントナイト中での陽イオンの拡散係数の測定を行った。電気伝導度法は試料の電気伝導度とネルンストーアインシュタインの式から拡散係数を求める方法である。この方法は試料の電気的性質を調べるため、的確な実験方法と解析方法を用いれば、比較的容易に拡散係数を測定することができる。しかし、トレーサーを用いた実験と異なり、多くの異なるイオンが存在している場合、注目核種による影響を正確に評価することが非常に困難であるという欠点がある。本研究室で行った実験においてもそのことが報告されている[7]。ベントナイトは層間に交換性陽イオンとして、多くのNa+やCa2+などのイオンを持っているため、この方法をこのまま適用することは困難である。そこで、本研究ではベントナイト中の層間イオンを注目核種に置換したものをまず作成して、それを用いて電気伝導度法で拡散係数を測定した。また、ベントナイト中の層間イオンが変化することによる特性変化を、X線回析法を用いて、層間距離を測定することにより考察した。
伊藤 久義; 吉川 正人; 梨山 勇*; 三沢 俊司*; 奥村 元*; 吉田 貞史*
Amorphous and Crystalline Silicon Carbide III and Other Group IV-IV Materials, p.143 - 148, 1992/00
化学気相成長(Chemical Vapor Deposition; CVD)法によりSi上にエピタキシャル成長させて作製した立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)に対する1MeV電子線照射効果を、ファン・デア・ポー(van der pauw)法を用いたキャリア濃度、移動度測定により調べた。この結果、3C-SiCの室温におけるキャリア濃度n、移動度は、照射量1
10
e/cm
から3
10
e/cm
の範囲で照射量
増加と共に減少することが解った。これより、キャリア濃度及び移動度に対する損傷係数として各々-
n/
=3.8
10
cm
、
/
=3.2
10
Vsなる値が得られた。これらの値はSiに対する損傷係数と比較し小さいことから、3C-SiCはSiと比べ高い耐放射線性を有することが示唆された。
伊藤 久義; 吉川 正人; 森田 洋右; 梨山 勇*; 三沢 俊司*; 吉田 貞史*
EIM-89-129, p.1 - 10, 1989/12
化学気相生長法で作製した3C-SiCのキャリア濃度及び移動度に対する1MeV電子線照射効果を調べた。この結果、キャリア濃度及び移動度は照射により減少し、各々に対する損傷係数(照射による劣化係数)として3.810
cm
、3.2
10
Vsなる値が得られた。これらの値とSiに対する損傷係数の比較から、3C-SiCはSiより高い耐放射線性を有することが示唆された。また、照射効果に関連して、照射により誘起される欠陥の挙動を電子スピン共鳴(ESR)法を用いて調べた。この結果、照射3C-SiCにおいて等間隔に分離した等方的な5本線とその両側に存在する1対の5本線から構成されるESRスペクトル(g値=2.0029)を見出した。このスペクトルは1個の電子スピンと
C核スピン及び
Si核スピンとの超微細相互作用で説明される。これより、このスペクトル起因欠陥の構造として、Si原子位置における点欠陥が考えられる。
荒井 康夫; 大道 敏彦; 福島 奨; 半田 宗男
Journal of Nuclear Materials, 150, p.233 - 237, 1987/00
被引用回数:6 パーセンタイル:55.61(Materials Science, Multidisciplinary)化学量論組成に近いウラニア、ガドリニア固溶体(U,Gd)Oの電気伝導度を室温から約1,000Kまで測定した。機械混合法により調製した試料はGdO
を最大14mol%含み、O/(U+Gd)比は、ほぼ2,000に等しかった。電気伝導度の測定は直流四端子法を用いてアルゴンガス気流中で行った。ウラニアにガドリニアを添加することによりP型の電気伝導が促進されることがわかった。固溶体の電気伝導機構は、U
とU
の間で局在している正孔のホッピングに基づくものと解釈できた。さらに得られた実験結果は、断熱状態下でのスモールポーラロン理論に基づく記述とよく合致した。