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和田 裕貴; 柴本 泰照; 日引 俊*
International Journal of Heat and Mass Transfer, 239, p.126598_1 - 126598_18, 2025/04
被引用回数:1 パーセンタイル:30.78(Thermodynamics)This study reviewed the saturated boiling heat transfer research in downward flows. A database of downward flow heat transfer experiments was created using experimental studies. Saturated boiling heat transfer correlations in internal flows were collected, and no downward flow-specific heat transfer correlations were identified. The applicability of heat transfer correlations to downward flow heat transfer experiments was evaluated, and no correlation could predict the heat transfer coefficients accurately for all experimental databases. However, correlations that could predict heat transfer coefficients reasonably well were determined for each channel size. Cooper's correlation [Int. Chem. Eng. Symp. Ser. 86 (1984) 785-792] had a mean absolute percentage error (MAPE) of 11.7% for mini-channels and Kim and Mudawar's correlation [Int. J. Heat Mass Transf. 64 (2013) 1239-1256] had an MAPE of 66.5% for macro-channels. Furthermore, because the advection direction between the liquid-phase and the generated bubbles differed depending on the liquid-phase velocity in downward flows, we evaluated the prediction performance of the heat transfer coefficient for the liquid-phase velocity. For some experimental data, the prediction performance of the existing correlation for downward flow heat transfer worsened as the advection velocity of the bubbles decreased. This result is one of the issues to be addressed in the future development of heat transfer correlations.
Brear, D. J.*; 近藤 悟; 曽我部 丞司; 飛田 吉春*; 神山 健司
JAEA-Research 2024-009, 134 Pages, 2024/10
SIMMER-III/SIMMER-IVは液体金属高速炉の炉心崩壊事故(CDA)の解析に使用する計算コードである。CDAの事象進展は炉心物質間の熱伝達係数(HTC)により大きく影響される。溶融・固化、蒸発・凝縮といった質量移行現象も熱伝達により支配される。複雑な多相・多成分系においては、一つの流体成分と他の流体又は構造材表面との間での多数の異なるHTCを計算する必要がある。また、多相流の流動様式や構造材の配位に従って異なる伝熱モードを考慮する必要もある。結果として、各計算セルごとに数十のHTCが計算される。本報告書には、SIMMER-III/SIMMER-IVのHTCモデルの役割、選定したHTC相関式とその技術的背景、流動様式の取扱いとHTCの内挿方法、検証及び妥当性確認の成果概要を記載する。
吉田 一雄; 桧山 美奈*; 玉置 等史
JAEA-Research 2024-007, 24 Pages, 2024/08
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(Ru)の揮発性の化学種(RuO)が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。RuO
の発生現象には、廃液の溶媒である硝酸の放射線分解で発生する亜硝酸が沸騰段階でのRuO
の発生を抑制することが実験的に示されている。この現象を解析的に取り扱うには、廃液の当該事故時の硝酸及び亜硝酸を含めた窒素化合物の化学変化の解析が必要となる。廃液貯槽沸騰模擬コード:SHAWEDでは、硝酸-水-FP硝酸塩系での気液平衡の仮定に基づき廃液の温度上昇、硝酸及び水の蒸発量、気泡破裂に伴う飛沫生成量を計算する。現状の解析では、廃液中の亜硝酸濃度等の変化を模擬できない。より現象に即した模擬を可能にするため当該事故時の施設内の化学的な挙動を解析するSCHERNをSHAWEDと結合させ、放射線分解による亜硝酸の生成も考慮した廃液貯槽内の熱流動挙動解析及び化学挙動解析を同時に可能とするよう改良した。本報では、両計算コードを結合した計算の流れ、両者間でのデータの授受を概説し模擬結果の一例を示す。
渡邉 友章; 山根 祐一
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(7), p.958 - 966, 2024/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)核分裂性溶液の沸騰を伴う臨界事故では、沸騰中に比較的高い核分裂出力が継続するため、放出される総核分裂エネルギーが高くなる傾向がある。このような場合において総核分裂エネルギーを推定するためには、沸騰中の核分裂出力変化を正確に模擬することが必要不可欠と考えられる。沸騰時の核分裂出力は、核分裂性物質の濃度や溶液の蒸発に伴う体積によって変化する。本研究では、長時間の沸騰における核分裂生成物濃度と体積の変化が総核分裂エネルギー推定に与える影響を調査した。改良準定常法に核分裂性溶液の蒸発を計算するモデルを導入し、沸騰中の出力変化を模擬した。3つのCRAC実験と1959年のIdaho Chemical Processing Plant(ICPP)臨界事故を解析した。その結果、沸騰時の濃度と体積変化を考慮して得られたエネルギー計算値は、エネルギー測定値をよく再現した。
小野 綾子; 坂下 弘人*; 山下 晋; 鈴木 貴行*; 吉田 啓之
Mechanical Engineering Journal (Internet), 11(4), p.24-00188_1 - 24-00188_12, 2024/07
原子力機構では、VOF法に基づく詳細二相流解析手法による炉内二相流評価手法の開発を行っており、燃料集合体を対象とした大規模二相流解析に適合する簡易沸騰モデルを開発着手した。簡易沸騰モデルでは、気泡の径や離脱までの時間を知るために、シミュレーションのグリッドサイズ以下となる気泡成長および運動の方程式を解く。一方で、JUPITERは、マイクロメートルオーダー以上の気泡挙動を計算する。本研究では、垂直面での強制対流沸騰が開発した簡易沸騰モデルを用いて解析される。実験データとの比較により、蒸気泡通過時間の流速依存性や熱流束依存性について実験データの傾向をよく説明できる結果となった。
Zablackaite, G.; 塩津 弘之; 城戸 健太朗; 杉山 智之
Nuclear Engineering and Technology, 56(2), p.536 - 545, 2024/02
被引用回数:1 パーセンタイル:62.55(Nuclear Science & Technology)Radioactive iodine is a representative fission product to be quantified for the safety assessment of nuclear facilities. In integral severe accident analysis codes, the iodine behavior is usually described by a multi-physical model of iodine chemistry in aqueous phase under radiation field and mass transfer through gas-liquid interface. The focus of studies on iodine source term evaluations using the combination approach is usually put on the chemical aspect, but each contribution to the iodine amount released to the environment has not been decomposed so far. In this study, we attempted the decomposition by revising the two-film theory of molecular-iodine mass transfer. The model involves an effective overall mass transfer coefficient to consider the iodine chemistry. The decomposition was performed by regarding the coefficient as a product of two functions of pH and the overall mass transfer coefficient for molecular iodine. The procedure was applied to the EPICUR experiment and suppression chamber in BWR.
吉田 一雄; 玉置 等史; 桧山 美奈*
JAEA-Research 2023-001, 26 Pages, 2023/05
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(Ru)の揮発性の化学種が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。再処理施設のリスク評価の精度向上に資するため、計算プログラムを用いて当該事故時でのソースタームを解析的に評価する手法の整備を進めている。提案する解析手法では、まず廃液貯槽の沸騰をSHAWEDで模擬する。模擬結果の蒸気発生量等を境界条件としてMELCORにより施設内の蒸気等の流れに沿って各区画内の熱流動状態を模擬する。さらに各区画内の熱流動状態を境界条件としてSCHERNを用いてRuを含む硝酸、NO等の化学挙動を模擬し、施設外への放射性物質の移行量(ソースターム)を求める。本報では、仮想の実規模施設での当該事故を想定して、これら3つの計算プログラム間でのデータの授受を含めて解析事例を示す。
吉田 一雄; 玉置 等史; 桧山 美奈*
JAEA-Research 2022-011, 37 Pages, 2022/12
再処理施設の過酷事故の一つとして高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故が想定される。再処理廃液の沸騰段階での放射性物質の気相部への移行のメカニズムは、沸騰によって生成される飛沫のうち比較的小さい粒径の液滴のエアロゾル化と、揮発性化学種の温度上昇に伴う気化である。気相に移行した放射性物質は、沸騰により発生する硝酸-水混合蒸気や硝酸塩の熱分解による脱硝反応で生じるNOなどとともに貯槽から流出し、施設内を移行し一部は施設外に放出されると想定される。当該事故で生じるこれらの諸事象は、すべて貯槽内の廃液の沸騰を起源とするため、それによって生じるリスクを精度良く評価するには、汎用性のある計算プログラムを用いた貯槽内の熱水力的及び化学的挙動の定量的な模擬が不可欠である。これを目的として再処理廃液の沸騰を模擬する計算プログラム: SHAWED (
imulation of
igh-level radio
ctive
aste
vaporation and
ryness)を開発した。本報では、当該事故のリスク評価に資するために、模擬対象とする事象の特徴をもとに沸騰及びそれに伴う諸事象の模擬に必要な主要な解析モデルを説明するとともに、具体的な模擬事例を示す。
小野 綾子; 坂下 弘人*; 山下 晋; 鈴木 貴行*; 吉田 啓之
Proceedings of 12th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS12) (Internet), 7 Pages, 2022/10
本研究では、新しい機構論に基づいた限界熱流束予測手法を提案する。適切な安全評価を行うため、また、設計コストを削減するために、メカニズムに基づくCHFの予測方法の確立が、長い間望まれてきた。核沸騰の高熱流束域からCHFまでの加熱面付近の気液挙動に関するいくつかの実験結果から、われわれは、加圧水型軽水炉でのCHFを予測するにはマクロ液膜ドライアウトモデルが適用できると考えている。マクロ液膜ドライアウトモデルを用いてCHFを予測するには、燃料表面のマクロ液膜の厚さとその上面を覆う蒸気泡の通過期間を予測することが必要となる。本研究では、著者らが提案したマクロ液膜の厚さの予測手法と蒸気泡の通過期間の予測手法を組み合わせることで、強制対流沸騰におけるCHFを評価する。評価した結果と強制対流沸騰におけるCHFの実験データを比較することで、その妥当性を検証する。
山口 晃範*; 横塚 宗之*; 古田 昌代*; 久保田 和雄*; 藤根 幸雄*; 森 憲治*; 吉田 尚生; 天野 祐希; 阿部 仁
日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 21(4), p.173 - 182, 2022/09
確率論的リスク評価(PRA)から得られるリスク情報は、原子力施設におけるシビアアクシデント対策の有効性を評価するために有用である。再処理施設に対するPRA手法は原子力発電所のそれと比べて未成熟と考えられ、本手法を成熟させるためには事故シナリオの不確実性を低減することが重要となる。本論文では、再処理施設におけるシビアアクシデントである高レベル廃液の沸騰による蒸発乾固への事象進展と、それに伴う放射性物質の移動挙動に関する文献調査の結果をまとめた。Ruの重要な特徴の一つは、事象進展の過程で揮発性化合物を形成することであり、本稿ではその移動挙動を温度に基づいて4段階に分類した。高温まで至った乾固物からはRuは放出されない一方、Csのような他の揮発性元素が放出される可能性がある。実験データは未だに不十分な状態であり、放射性物質の移行挙動の温度依存性を明らかにすることが求められる。
小野 綾子; 山下 晋; 坂下 弘人*; 鈴木 貴行*; 吉田 啓之
Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal-Hydraulics, Operation and Safety (NUTHOS-13) (Internet), 12 Pages, 2022/09
原子力機構ではVOF法に基づいた詳細熱流動解析手法を開発している。詳細解析において壁面からの沸騰を再現するには、ミクロスケールの気液挙動を考慮するがあり、膨大計算コストを必要とする。そこで、本研究では、計算コストを削減した簡易的な沸騰モデルを開発し、開発したモデルを用いてJUPITERで沸騰の再現解析を行い、実験から取得した気液挙動のデータと比較した結果を示す。
小野 綾子; 山下 晋; 坂下 弘人*; 鈴木 貴行*; 吉田 啓之
第26回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集(インターネット), 4 Pages, 2022/07
原子力機構では、原子炉心部の二相流挙動に対して界面追跡法に基づく機構論的熱流動解析手法であるJUPITERやTPFITを適用する試みを行っている。より詳細な炉内熱流動を把握する計算手法を得ることで、安全評価の適正化や新型燃料の最適設計に資するため、開発が望まれている。しかしながら、界面追跡を用いた解析手法において、伝熱面から沸騰させるためには極めて微小な解析格子を設定する必要があり、原子炉燃料集合体などの大規模な計算体系への適用は不可能であることが大きな課題であった。そこで本研究では、大規模計算体系に対して計算コストを削減した、新しい簡易的な沸騰モデルを開発して、強制流動沸騰について熱流束および流速を変えた再現解析を実施した結果について報告する。
久保 光太郎; Jang, S.*; 高田 孝*; 山口 彰*
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(3), p.357 - 367, 2022/03
被引用回数:7 パーセンタイル:63.20(Nuclear Science & Technology)熱水力シミュレーションと確率論的サンプリング手法を組み合わせることにより偶然的不確実さと認識論的不確実さを取扱い可能な動的確率論的リスク評価(PRA)手法は、従来のPRAと比較してより現実的かつ詳細な評価を可能とする。しかしながら、これらの向上と引き換えに膨大な計算コストが発生する。これに対する一つの解決方法は、適切なサンプリング手法を選択することである。本論文では、我々はモンテカルロ,ラテン超方格,格子点及び準モンテカルロサンプリング手法を沸騰水型原子炉の全交流電源喪失シーケンスの動的PRAに適用した。その結果、準モンテカルロ法が仮定したシナリオにおいて最も効率的に不確実さを取扱えることが示された。
吉田 一雄; 玉置 等史; 桧山 美奈*
JAEA-Research 2021-013, 20 Pages, 2022/01
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(Ru)の揮発性の化学種が放出される。そのための事故対処策の一つとして貯槽から発生する混合蒸気を積極的に凝縮する凝縮器の設置案が示されている。この事故対策では、硝酸蒸気の拡散防止、Ruの除去率の向上などが期待できる。本報では、実規模の仮想的な再処理施設を対象に凝縮器を設けて施設内での蒸気及びRuの移行挙動の模擬を試行した。模擬解析では、MELCORを用いて施設内の熱流動解析を行い、得られた熱流動状態を境界条件として硝酸、窒素酸化物等の化学挙動を解析するSCHERNコードを用いてRuの定量的な移行挙動を模擬した。解析から、凝縮器による蒸気拡散防止及びRuの除去効率の向上効果を定量的に分析するとともに、凝縮器の解析モデル上の課題を明らかにすることができた。
吉田 尚生; 大野 卓也; 吉田 涼一朗; 天野 祐希; 阿部 仁
JAEA-Research 2021-011, 12 Pages, 2022/01
再処理施設における高レベル濃縮廃液の蒸発乾固事故について、ルテニウム(Ru)の挙動が着目されている。Ruは四酸化ルテニウム(RuO)のような揮発性の化学種を形成し、硝酸、水または窒素酸化物を含む共存ガスと共に施設外へ放出される可能性があるためである。本研究では、蒸発乾固事故に対する安全性評価に資することを目的として、事故時の蒸気凝縮を模擬した、水溶液に対する気体状RuO
の液相への移行挙動を実験的に測定した。その結果、RuO
のガス吸収は液相中の亜硝酸(HNO
)濃度の増加により促進されたことから、化学吸収を伴う物質移動であることが示唆された。HNO
を用いない対照実験では、温度が低いほど液相中のRu吸収率は大であったのに対し、HNO
を用いた実験では、温度が高いほどRu吸収率が高かった。これは化学吸収に関与する化学反応が高温で活性化されたためであると考察される。
大川 富雄*; 森 昌司*; Liu, W.*; 小瀬 裕男*; 吉田 啓之; 小野 綾子
日本原子力学会誌ATOMO, 63(12), p.820 - 824, 2021/12
原子炉設計における効率的な燃料設計および最適な安全評価のために、機構論に基づいた限界熱流束評価技術が望まれている。この長年の技術課題は、近年の詳細解析技術及び計測技術の体系的統合を段階的に進めることで、打開できる可能性がある。このため本研究専門委員会では、将来的な限界熱流束評価技術の構築に向けて、過去の膨大な研究を精査することで必要な知見を整理する。これらの議論を通して、原子炉における機構論的限界熱流束評価技術に必要な研究課題を提示する。Part2では、これまでの限界熱流束機構に関する基礎研究や限界熱流束の予測手法確立に必須な数値解析手法の発展にふれ、課題提起を行う。
吉田 一雄; 玉置 等史; 桧山 美奈*
JAEA-Research 2021-005, 25 Pages, 2021/08
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(Ru)の揮発性の化学種が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。課題解決に向け当該施設での蒸気凝縮を伴う環境でのRuの移行挙動に係る小規模実験のデータ分析の結果から気液界面でのRuの物質移行係数の相関式を導出した。この相関式を用いて実規模の仮想的な再処理施設を対象に施設内でのRuの移行挙動の模擬を試行した。解析では、窒素酸化物の化学挙動を解析するSCHERNコードにこの相関式を組み込み、施設内の熱流動解析で得られた条件を境界条件としてRuの定量的な移行挙動を模擬し、その有効性を確認した。
吉田 一雄; 玉置 等史; 桧山 美奈*
JAEA-Data/Code 2021-008, 35 Pages, 2021/08
再処理施設で想定される重大事故の一つに高レベル廃液貯槽の蒸発乾固事故がある。高レベル廃液には、再処理の過程で取り除かれた核分裂生成物の硝酸塩が含まれ、それらの崩壊熱で発熱するため常時冷却する必要がある。このため全電源の喪失などにより冷却機能が全喪失した状態が継続した場合、廃液が沸騰しいずれ乾固する。この間、ルテニウムの揮発性化学種が硝酸-水混合蒸気とともに気相へ移行し、施設外へ放出される可能性がある。乾固時には、廃液に含まれる硝酸塩の熱分解による脱硝反応が進行しNOガスが発生する。NO
はルテニウムの施設内での移行挙動に影響することが実験的に確認されており、硝酸及び水が共存する環境では気液各相で複雑に化学変化することが知られている。そこで建屋区画内での熱流動条件を境界条件としてRuを含む各化学種の濃度変化を解析する計算プログラム: SCHERNの開発を進めている。本報は、SCHERN-V2として新たに整備した解析モデルを含め、当該プログラムが解析対象とする事故の概要、解析モデル、連立微分方程式、使い方等を説明する解説書である。
齋藤 慎平*; De Rosis, A.*; Fei, L.*; Luo, K. H.*; 海老原 健一; 金子 暁子*; 阿部 豊*
Physics of Fluids, 33(2), p.023307_1 - 023307_21, 2021/02
被引用回数:46 パーセンタイル:98.03(Mechanics)流れ場で沸騰が発生する現象は強制対流沸騰として知られている。今回、飽和条件の流れ場中の円柱上での沸騰システムを数値的に調査した。複雑な気液相変化現象に対処するために、擬ポテンシャル格子ボルツマン法(LBM)に基づく数値スキームを開発した。高いレイノルズ数の数値安定性を高めるため、衝突項を中心モーメント(CM)の空間で解いた。CMベースのLBMに適した力場スキームを採用することで簡潔でありながら堅牢なアルゴリズムとなっている。さらに、熱力学的一貫性を確保するために必要な追加項をCMの枠組みにおいて導出した。現在のスキームの有効性は、核形成,成長、および30-30000の間で変化するレイノルズ数の蒸気泡の離脱を含む一連の沸騰プロセスに対してテストされた。開発したCMベースのLBMは、初期気相などの人工的な入力なしに、核沸騰,遷移沸騰、および膜沸騰の沸騰様式を再現できる。結果からプール沸騰ではなく強制対流システムでも抜山曲線として知られる典型的な沸騰曲線が現れることが分かった。また、今回のシミュレーションは膜沸騰領域でも断続的な直接固液接触の実験的観察を支持することが分かった。
小野 綾子; 坂下 弘人*; 吉田 啓之
Heat Transfer Engineering, 42(21), p.1775 - 1788, 2021/00
被引用回数:4 パーセンタイル:23.11(Thermodynamics)本論文では、飽和およびサブクールプール沸騰において、マクロ液膜蒸発モデルに基づいた限界熱流束予測のための、マクロ液膜形成モデルを提案する。モデルは、これまでの実験結果に基づいて構築された。モデルでは、発泡点はポアソン分布に基づき分布するとしている。提案したモデルとマクロ液膜蒸発モデルを組み合わせることで、サブクール度40Kまでのプール沸騰における限界熱流束を予測することができた。また、モデルのコンセプトは、詳細二相流解析コード「TPFIT」を用いて検証された。