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Shi, W.*; 町田 昌彦; 岡本 孝司*; Luo, X.*; Feng, W.*; Liu, X.*
Reliability Engineering & System Safety, 272, Part1, p.112538_1 - 112538_18, 2026/08
深刻な原子力事故時における緊急対応の信頼性は、放射性線源分布をリアルタイムで確実に監視できるかどうかに大きく依存する。しかし、この安全機能は、監視の死角を生じさせる物理的制約や動的な放出を追跡するには静的手法が不十分であるという問題によって大きく制約されている。本研究では、線源推定の信頼性およびロバスト性を向上させるため、時間正則化を導入したLASSO回帰に基づく動的再構成フレームワークを提案する。具体的には、スライディングウィンドウ型の時間ペナルティ機構を導入し、時間ステップ間の線源変化に対して
ノルム制約を課すことで、物理的連続性を確保する。また、放射線遮蔽や時間的に変動する強度によるバイアスを補正するため、寄与行列および測定ベクトルを正規化した。検証には、内部遮蔽を有する二室モデルを用い、PHITS(モンテカルロシミュレーション)を用いて実施した結果、遠隔測定データから動的線源を高精度に再構成できることが示された。時間正則化は、空間エイリアシングを抑制し、状況認識能力を向上させる。スライディングウィンドウ幅
(正則化なし)の場合、ホットスポット位置は大きく変動し、平均絶対誤差の変動量は約
であった。一方、
では空間的一貫性が改善され、誤差変動量は
程度まで低減した。比較解析の結果、精度と計算コストのバランスの観点から
が最適であることが示された。本研究は、困難な条件下においても線源位置および強度を高精度で追跡可能とする、動的ハザード評価のためのより信頼性の高い手法を提示するものである。提案手法は、原子力施設における緊急時管理のレジリエンスと安全性を向上させる意思決定支援ツールとしての活用が期待される。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京科学大学*
JAEA-Review 2026-007, 65 Pages, 2026/06
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和元年度から英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、さまざまな分野の知見や経験を従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究および人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和6年度に採択された研究課題のうち、「高線量かつ不可視環境下での炉内可視化を可能とするレーザ偏向検出型超音波広帯域3Dイメージングシステムの開発」の令和6年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、デブリ切り出し作業の安全性を最大限保証するため、作業中におけるダストおよび濁水環境下での炉内構造物/燃料デブリ形状および飛散物の可視化を数メートルオーダーの距離で可能とし、ロボットや作業アームへの搭載を鑑みて、小型かつ可搬性に優れた超音波装置を用いたレーザ偏向検出型超音波広帯域3Dイメージングシステムの開発を目的としている。令和6年度は、超音波イメージングシステムのイメージング性能評価および高度化/高速化検討、数値シミュレーション、システム試作と実スケール検証、耐放射線性検証、超音波サブミリ測距システムの構築、LIBSへの超音波サブミリ測距システムの適用、計測システムのバッテリ駆動遠隔化などを行い、本報告書に取りまとめた。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2026-001, 140 Pages, 2026/06
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和元年度から英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、さまざまな分野の知見や経験を従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和6年度に採択された研究課題のうち、「燃料デブリ取り出しに向けた遠隔ロボット-計測技術の統合のための研究教育人材育成」の令和6年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、1Fにおける燃料デブリ取り出しに関して、性状把握・キャラクタリゼーションを遠隔で実現するためのロボット技術やセンサ及び放射線計測技術の開発、そして、それらの技術をシステムとして統合できる人材の育成を目指す。また、関連する研究実績や講義等のリソースを再整理することでSEEM学の構築を目指すとともに、実際の教育現場へ展開する。令和6年度の実績としては、過酷環境での放射線計測・センサ技術において、高い放射線耐性が見込める中性子検出器の最適化や放射線の入射イベントを適切に生成できるシミュレータの構築、3次元体積モデル生成のためのローバーの設計・開発を行った。また、取り出し工法に調和した遠隔ロボット技術では、遠隔操作支援のためのシミュレーション及び実機環境の構築と放射線分布推定を実現するためのセンサ構成の検討を行うとともに、運搬機能を備えたモジュール分割型軌道構造体として吊下式多腕型軌道構造体の提案、デブリサンプリングのための軽量化アームの検討、多視点遠隔操縦システム及び軌道計画器に入力するインタフェースを検討した。計測-遠隔ロボット統合技術と実証では、実スケール環境構造モデリングのための画像処理手法の開発や画像データ伝送法の検討、統合DXプラットフォームの開発、センサ・ロボットのモジュール化の基礎検討を行った。そして、廃炉工程を俯瞰した性状把握、キャラクタリゼーションでは、燃料デブリ分布推定に向けた剛体・弾性体解析手法の開発に着手するとともに、気中工法における性状把握・廃棄物管理方針を検討し、ジオポリマーの充填材として適用性を検討した。また、SEEM学の構築では、未知の課題の抽出並びに課題解決方法や高等専門学校におけるSEEM学教育を検討した。
佐久間 一幸; 吉村 和也
Journal of Environmental Radioactivity, 297, p.108055_1 - 108055_4, 2026/06
トリチウム(
H)は、福島第一原子力発電所(FDNPP)から放出されるALPS処理水中に残留する主要な放射性核種であり、その環境への潜在的な影響は大きな注目を集めている。陸域への影響を評価するため、福島県内の太田川上流域において、降水、地下水、河川水中の
H濃度をモニタリングした。2023年8月の海洋放出開始前後に、月次で試料を採取した。時系列比較の結果、放出開始後、いずれの環境水においても
H濃度の顕著な上昇は認められなかった。非パラメトリック統計解析により、地下水および河川水において有意な差がないことが確認された。観測された変動は、日本の降水における自然のバックグラウンドレベルおよび既知の季節的パターンと一致していた。これらの結果は、ALPS処理水の放出が、調査地域の陸域水に対して検出可能な影響を与えていないことを示している。
宮崎 加奈子*; 笛田 和希*; 門脇 正尚; 寺田 宏明; 香西 直文; 岩田 孟; 堀江 憲路*; 竹原 真美*; 山崎 信哉*; Grambow, B.*; et al.
Journal of Hazardous Materials, 511, p.142180_1 - 142180_17, 2026/06
被引用回数:0Radioactive cesium-rich microparticles (CsMPs) released from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FDNPP) in 2011 pose a persistent environmental concern, yet their initial atmospheric dispersion has remained poorly constrained. To elucidate their release dynamics, we quantified CsMPs in 100 surface soil samples collected across Fukushima Prefecture in July 2011. CsMP abundance and radioactive fraction (RF) ranged from 0 to 52,300 particles kg
; (dry weight) and 0-61.85% of deposited
Cs, respectively. Integrating these results with WSPEEDI atmospheric simulations reveals a major formation event of CsMPs around 03:00 JST on 15th March 2011. The plume emitted at this time was heavily enriched in CsMPs, whereas plumes released after 00:00 JST on 16th March 2011 contained no detectable CsMPs, indicating that particle formation had ceased by then. The widespread distribution of CsMPs across Fukushima Prefecture is therefore attributed primarily to this single plume on 15th March 2011. Directional differences in CsMP abundance reflect temporal variations in CsMP density within the plume, with maximum estimated concentrations of 2,070 particles m
; toward the southwest and 4,700 particles m
; toward the northwest. Additionally, elevated CsMP densities coupled with relatively low RF in the northwest suggest supplementary deposition of water-soluble cesium between 17:00 and 23:00 JST on 15 March. These findings constrain the timing and mechanisms of CsMP formation and dispersion, providing essential insights for environmental reconstruction and future radiological risk assessment.
中島 邦久; 井元 純平*; 西岡 俊一郎*; 逢坂 正彦; 三輪 周平
Journal of Nuclear Science and Technology, 63(6), p.727 - 736, 2026/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)ステンレス鋼に化学吸着されたセシウム(Cs)の長期的な溶解挙動を調べるため、303Kでの水浸出試験を実施した。その結果、Csは1200時間経過後も水に溶解し続け、Csはリング状粒子としてケイ素と共存していることがわかった。このことから、既存のシビアアクシデント解析コードに組み込まれているCsの化学吸着モデルで定義されている水不溶性Csでさえ、リング状のCsケイ酸塩粒子から長期間にわたってCsが水に溶出することが明らかとなった。さらに、これらの水浸出挙動については、Noyes-Whitneyの式でうまく記述できたことから化学吸着モデルにおける水不溶性Csの水溶解モデルの開発につながる可能性を示唆した。これらの知見から、福島第一原子力発電所の原子炉圧力容器内で化学吸着したCsについては、長期的な再分布が起こる可能性があることを意味しており、水相を介したCsの再分布を予測するための水溶解モデルが必要になることが分かった。
Gubarevich, A.*; 久保 遼太郎*; 有阪 真; 大杉 武史; 吉田 克己*; 竹下 健二*
Journal of Nuclear Science and Technology, 63(6), p.667 - 676, 2026/06
被引用回数:1 パーセンタイル:54.69(Nuclear Science & Technology)多核種除去設備(ALPS)で発生する炭酸塩スラリー廃棄物を固定化・固化するため、これらの廃棄物をリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウム相に変換する化学変換プロセスと続いてそれらを緻密化する新しい低温焼結プレス(CSP)技術の導入について検討した。炭酸カルシウム-マグネシウムスラリーの模擬物をリン酸処理してリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムを合成し、CSPを用いて300-500
Cで焼結した。カルシウムとマグネシウムの比率、ストロンチウムの取り込み、および塩化ナトリウムの添加が相組成およびCSPの緻密化に及ぼす影響を調査した。バルクサンプルを作製し、X線回折、走査型電子顕微鏡、エネルギー分散型X線分光法、およびアルキメデス法を用いて特性評価を行った。これらの結果から、(1)化学変換プロセスによってウィットロカイトとニューベライトが形成され、カルシウムとマグネシウムの比率によってこれらの相の相対的な割合が決定されること、(2)ストロンチウムはウィットロカイトの結晶構造に効果的に組み込まれ、ニューベライトは脱水促進プロセスによって緻密化を促進すること、(3)塩化ナトリウムは化学変換に影響を与えず、最終的な固体生成物には含まれないことがわかった。これらの結果は、炭酸カルシウム-マグネシウムスラリーをウィットロカイト系リン酸塩セラミックスに直接変換し、その後CSPを行うことで安定した固化が可能になることを示しており、この方法がALPS炭酸塩スラリー廃棄物の管理に有望であることを示している。
高橋 弘毅*; 加藤 徹*; 山下 圏*; 土井 章男*; 今渕 貴志
Artificial Life and Robotics, 31(2), p.598 - 610, 2026/05
To create accurate 3D models from video footage, it is essential to use high-quality videos without floating objects that could interfere with the process. In this study, we applied the Segment Anything Model (SAM) and Generative Image Inpainting to enhance the quality of video frames by detecting and removing floating objects on a frame-by-frame basis. The results demonstrated the effectiveness of this approach in detecting and eliminating such objects, contributing to the improvement of video quality.
伊藤 倫太郎
エネルギーレビュー, 46(6), p.9 - 12, 2026/05
廃炉創造ロボコンは、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉作業の将来を担う人材の育成および廃炉技術への興味喚起のために、全国の高等専門学校の学生を対象として実施しているロボット競技会である。本稿では、廃炉創造ロボコンにおける10年間の軌跡を紹介する。
佐藤 雄飛*; 谷 享*; 池之上 翼; 川村 英之; 大森 裕子*
Environmental Science and Pollution Research, 33(13), p.5818 - 5826, 2026/04
東京電力ホールディングスは、2023年8月から、福島第一原子力発電所(FDNPS)から多核種除去設備(ALPS)を用いて放射性物質が効果的に除去された処理水の海洋放出を開始した。ALPS処理水に含まれる放射能のほぼ全てを占めるトリチウムの環境動態は、科学的にも社会的にも極めて重要な懸念事項である。福島近海で採取された水産物の安全を確保し、根拠のない風評被害を防止するため、ALPS処理水の放出条件下における海洋生物へのトリチウムの蓄積可能性について検討した。まず、海洋放出が海水中のトリチウムのレベルに及ぼす影響について議論するために、福島近海におけるALPS処理水由来のトリチウムの海水中の分布に関する実測結果と数値モデルによる推定結果から得られた知見をまとめた。その結果、影響は極めて限定的であり、福島第一原子力発電所から200km以内の海域を除き、自然レベルと区別がつかない程度であることが示唆された。次に、これまでの実験および数値解析による研究から得られた知見を用いて、植物プランクトン、海藻、魚類などの海洋生物への有機結合型トリチウム(OBT)の蓄積可能性について評価した。その結果、これら生物におけるOBT蓄積量は、FAO/WHOが定める食物連鎖ガイドライン値と比較してはるかに小さいことが明らかとなった。最後に、福島沖で水揚げされる水産物の摂取に伴う内部被ばくリスクについて検討し、特に食物連鎖ガイドライン値と比較して極めて低いレベルであることを定量的に説明した。ただし、ALPS処理水の海洋放出に関しては、継続的な環境モニタリングが不可欠であると考える。
佐藤 優樹; 角藤 壮*; 田中 孝幸*; 嶋野 寛之*
European Physical Journal; Special Topics, 235(4), p.949 - 958, 2026/04
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Physics, Multidisciplinary)In decommissioning the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station, understanding the distribution of radioactive substances is crucial to developing detailed decontamination plans and minimizing worker exposure. In this study, an autonomous mobile radiation source detection system based on a mecanum wheel robot equipped with a Compton camera was constructed. The Compton camera visualizes the radiation source, and software embedded in the robot system reads the results to recognize the radiation source and move the robot toward it. If the robot's depth camera detects an obstacle while moving, it changes direction, visualizes the radiation source again using the Compton camera, and repeats moving the robot toward the radiation source. Furthermore, two demonstration tests were conducted in the laboratory using a
Cs radiation source to confirm that the robot can reach it where there are obstacles or a narrow region. We have also summarized issues that must be identified to apply this system to actual decommissioning sites.
Batsaikhan, M.; 大場 弘則*; 狩野 貴宏; 赤岡 克昭; 若井田 育夫*; 岩田 圭弘; 坂本 寛*
Journal of Analytical Atomic Spectrometry, 41(4), p.1324 - 1335, 2026/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Analytical)This study presents the development and application of a fiber optic laser-induced breakdown spectroscopy system designed for remote, in situ analysis of nuclear fuel debris at Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (FDNPS). The system was deployed for the first time in a hot cell under high radiation to analyse an actual Boiling Water Reactors spent fuel sample as an exemplar of FDNPS fuel debris. The system successfully identified the main fuel components along with several long lived fission products and related markers such as Sr, Cs, Mo, Ba, and Rb. The emission intensity of the Ba, Rb, and Cs near the periphery region was slightly higher than at the center of the fuel. This indicates a higher concentration of these elements in that area.
and A
value ratios for off-site transportation of small-amount of fuel debris retrieved from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station坂本 雅洋; 奥村 啓介; 神野 郁夫; 松村 太伊知; Riyana, E. S.; 寺島 顕一; 金子 純一*; 溝上 暢人*; 溝上 伸也*
Radioisotopes, 75(S-01), p.S-001_1 - S-001_5, 2026/04
In the Unit 2 of TEPCO's Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (1F), trial retrievals of fuel debris with small-amount is underway. The retrieved fuel debris will be transported out of 1F site to Institutes in Ibaraki prefecture for analysis. The analyzed results will be utilized as feedback for the improvement of the processes (retrieval, transportation and storage) in the fuel debris management, and also for the development of technologies necessary in the future. The weight of fuel debris in the first trial retrieval was about 0.7 g. After several retrieval trials planned, the scale of retrieval will be expanded step by step in the future. In the retrieval, a rational transportation container should be considered beforehand, following the laws and regulations associated with the off-site transportation. The transportation container should be chosen based on radioactivity limit A
or A
value ratios: hazardous dose exposure will be prevented in case of container failure with the A
value (considering the external exposure) and the A
value (considering both the external and internal exposures). We estimated the radioactivity of the retrieved fuel debris using the results of the detailed nuclide inventory calculation. With a numerical analysis of the A
and A
value ratios, we confirmed the applicability of the Type A transport container for the retrieved small-amount fuel debris.
普天間 章; 越智 康太郎; 佐々木 美雪; 中間 茂雄; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 山田 勉*; et al.
JAEA-Technology 2025-016, 253 Pages, 2026/03
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因する東京電力福島第一原子力発電所事故直後から、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する航空機を用いた空からの測定方法が採用されている。日本原子力研究開発機構は原子力規制庁からの受託事業として、令和6年度に東京電力福島第一原子力発電所周辺の航空機モニタリングを実施した。実施内容は、以下の通りである。過去のモニタリング結果との比較から空間線量率等の変化量を評価し、その変化要因について考察した。航空機モニタリングによる空間線量率の換算精度向上のために、地形の起伏を考慮に入れた解析を行った。地形の起伏を考慮する前後の解析結果を比較し、本手法による換算精度向上の効果を評価した。有人ヘリコプターについては、空気中のラドン子孫核種の弁別手法を測定結果に適用し、ラドン子孫核種が航空機モニタリングに与える影響を評価した。より効率的に広範囲な航空機モニタリングを展開するため、無人航空機によるモニタリングの技術開発を進めた。
普天間 章; 越智 康太郎; 佐々木 美雪; 中間 茂雄; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 眞田 幸尚; et al.
JAEA-Technology 2025-015, 171 Pages, 2026/03
2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う津波により、東京電力福島第一原子力発電所事故が発生し、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後から、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手段として、有人ヘリコプター等による航空機モニタリングが活用されてきた。日本原子力研究開発機構は原子力規制庁からの受託事業として、緊急時モニタリングの迅速化に向け、発電所周辺のバックグラウンド線量率や地形、管制空域等の情報整備を進めている。令和6年度は、島根原子力発電所周辺で航空機モニタリングを実施し、線量率マップ等を作成し、地上測定値や他機関データと比較して妥当性を確認した。原子力総合防災訓練では、有人ヘリコプターに加え無人航空機を用いた訓練フライトを実施し、搭載方法やリアルタイム通信、迅速なマッピングの有効性を確認した。さらに、無人機データ収集システムの整備を進め、リアルタイム解析やマルチプラットフォームでの運用を検証し、改良課題を抽出した。マルチコプターの操作講習も実施し、運用技術の向上を図った。加えて、米国、フランス、韓国、カナダと合同環境放射線モニタリングを行い、各国の測定技術や運用体制に関する知見を得るとともに、国際的な情報共有の重要性を確認した。本報告書は、これら令和6年度の受託研究で得られた成果と技術的課題を取りまとめ、今後の緊急時モニタリング技術の高度化に資する知見を提供するものである。
福島マップ事業対応部門横断グループ
JAEA-Technology 2025-013, 206 Pages, 2026/03
東京電力株式会社福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故による放射性物質の分布状況を平成23年6月より調査してきた。本報告書は、令和6年度の調査において得られた結果をまとめたものである。空間線量率については、走行サーベイ、平坦地上でのサーベイメータによる定点サーベイ、歩行サーベイ及び無人ヘリコプターサーベイを実施し、測定結果から空間線量率分布マップを作成するとともにその経時変化を分析した。山間部モニタリングへの無人航空機の適用可能性を確認するため、山間部における無人航空機の基礎性能試験を実施した。放射性セシウムの土壌沈着量に関しては、in-situ測定及び土壌中深度分布調査をそれぞれ実施した。さらに、これまで蓄積した測定結果を基に空間線量率及び沈着量の実効半減期を評価した。令和6年度調査での走行サーベイや歩行サーベイ等により取得した空間線量率分布データを階層ベイズ統計手法を用いて統合し、福島第一原発から80km圏内及び福島県内の空間線量率統合マップを作成した。令和6年度測定結果のWEBサイトでの公開、総合モニタリング計画に基づく放射線モニタリング及び環境試料分析を実施した。避難指示解除区域への帰還後に想定される複数の代表的な生活行動パターンを設定し、積算の被ばく線量を算出するとともに当該地方自治体・住民に向けた説明資料を作成した。令和6年度調査や原子力規制庁等で実施した環境モニタリングの測定データの一部をCSV等の形式で保存した。モニタリング地点の重要度を相対的に評価するスコアマップを作成するとともに、過去からのスコアの変化要因について考察しモニタリング地点の重点化及び最適化のための基礎評価を実施した。海水中のトリチウム濃度の評価結果を原子力規制庁へ報告する体制を構築・運用し、ALPS処理水の海洋への放出前後のトリチウム濃度の変動に着目して解析評価した。総合モニタリング計画に基づき実施された海域モニタリングの測定結果を集約するとともに、過去からの変動などに関して解析評価を行った。
永岡 美佳; 前原 勇志; 大野 雅子*; 二瓶 英和*; 平尾 萌; 藤田 博喜
JAEA-Research 2026-001, 115 Pages, 2026/03
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所放射線管理部では、2021年度に東京電力ホールディングス株式会社とバイオアッセイ分析法の開発に係る共同研究を行った。本報告書では、尿試料を対象とした
線核種及び純
線核種の系統分析法に関する検討結果を取りまとめた。具体的には、固相抽出樹脂を複数利用した系統分析法の核種分離性能及び放射能測定用試料作製方法についてトレーサー試験による検証を行い、さらに、
線核種分析における不確かさ及び検出限界放射能の算出方法について整理を行った。
御園生 敏治; 尻引 武彦*; 卜部 嘉*; 眞田 幸尚
JAEA-Research 2025-014, 88 Pages, 2026/03
東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所(1F)の事故が発生し、多量の放射性物質が1F 周辺に沈着した。日本原子力研究開発機構では、事故後、放射性物質の動態研究を継続して実施している。本報告書は、令和4 年度における、近沿岸海域等における放射性物質の状況調査を実施した成果をまとめたものである。具体的には、福島沿岸域58 地点において柱状試料を採取し、海底土への放射性セシウムの蓄積状況を示した。また、河川前面における海底土表層の放射性セシウム濃度の水平分布を計測した。放射性物質の水産物への影響の基礎情報として、魚類の分布状況を調査した。得られた結果より1F 前面海域における海底土に含まれる放射性物質の分布と動態について推定を行った。
山田 大地; 鈴木 壮一郎; 伊藤 倫太郎; 太田 侑杏*; 金子 瑛一郎*; 大金 一二*; 川端 邦明
Advanced Robotics, 40(5), p.259 - 270, 2026/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Robotics)本稿では狭隘空間におけるUASの開口部の上昇通過に関する性能評価方法について述べる。本研究は、技術的専門家とは限らないUASユーザにも理解しやすい評価を示すことにより、多様な場面でのUASの利用を促し、UAS産業の促進に貢献することを目的としている。本研究ではUASのユーザやメーカにとって受容しやすい性能評価方法を開発するために、研究の早期からユーザ・メーカとの意見交換を繰り返し実施しながら評価方法を開発した。また、実験により性能評価結果が開口部の上昇通過についてUASの性能の差を的確に示すことを確認した。本稿では、産業の促進を目的とした性能評価のアプローチ、ユーザ・メーカの意見を考慮する開発方法、UASの性能を比較する実験と考察について述べる。
Kim, M.; 吉村 和也; 佐久間 一幸; Malins, A.*; 阿部 智久; 中間 茂雄; 町田 昌彦; 斎藤 公明
Journal of Environmental Radioactivity, 294, p.107931_1 - 107931_8, 2026/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所近傍の居住地域で、除染以外の人間活動(交通など)が空間線量率に与える影響を、現地調査とシミュレーションにより定量評価した。現地調査では、
Cs沈着量と交通量を収集したところ、交通量が多い地域ほど
Cs沈着量の減少が顕著であることが確認され、車両の移動などがセシウムのウェザリングを促進する可能性が示唆された。3D-ADRESによるモンテカルロシミュレーションでも、人間活動が舗装面の空間線量率低下を加速し、最大約50%の減少が見られた。これにより、除染以外の人為的活動が空間線量率低下に大きく寄与することが明らかになった。