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Kim, B. K.*; Tan, L.*; 酒瀬川 英雄; Parish, C. M.*; Zhong, W.*; 谷川 博康*; 加藤 雄大*
Journal of Nuclear Materials, 545, p.152634_1 - 152634_12, 2021/03
被引用回数:4 パーセンタイル:44.71(Materials Science, Multidisciplinary)Understanding the effects of helium on microstructures and mechanical properties of reduced-activation ferritic-martensitic steels is important to use of these steels in fusion reactor structures. 9Cr-2WVTa steels were doped with Ni and
Ni isotopes at 2 weight percent to control the rate of transmutation helium generation. The samples were irradiated in the High Flux Isotope Reactor. Transmission electron microscopy revealed a variety of precipitates and the radiation-induced dislocation loops and cavities (voids or helium bubbles). Tensile tests of the irradiated samples at the irradiation temperatures showed radiation-hardening at 300
C and radiation-softening at 400
C. Analysis indicates that the hardening primarily originated from the loops and cavities. The
Ni-doped samples had greater strengthening contributions from loops and cavities, leading to higher hardening with lower ductility than the
Ni-doped samples. The greater helium production of
Ni did not show pronounced reductions in ductility of the samples.
物質科学研究部; 核融合工学部(東海駐在)
JAERI-Review 2004-018, 97 Pages, 2004/08
低放射化フェライト鋼F82H及び数種の類似鋼を対象に、ここ数年間に渡り照射挙動の評価を精力的に実施してきた。この結果、使用下限温度の明確化と照射による劣化への対策等を得ることを目指す高照射量実験について、(1)弾き出し損傷にして20dpaまで、延性脆性遷移温度(DBTT)の上昇への照射効果の評価を達成し、また、同位体調整したニッケルやホウ素の微量添加手法を用い、(2)DBTT上昇へのHe原子の助長効果についての実験的解析を進め、さらに、(3)高温高圧水中低速引張試験により、環境割れへの照射効果等の概要を得ることができた。加えて、照射後試験装置の開発や関連研究の進捗が得られた。本報告書は、これらの結果をまとめたものである。なお、得られた結果は、低放射化フェライト鋼が核融合炉への使用に対し高い適合性を持つことを示している。
谷川 博康; 橋本 直幸*; 酒瀬川 英雄*; Klueh, R. L.*; Sokolov, M. A.*; 芝 清之; 實川 資朗; 香山 晃*
Journal of Nuclear Materials, 329-333(1), p.283 - 288, 2004/08
被引用回数:19 パーセンタイル:74.72(Materials Science, Multidisciplinary)低放射化フェライト鋼は、核融合炉ブランケット構造材料の候補材料である。これまでの研究により、300C5dpaの中性子照射による鋼の延性脆性遷移温度がF82H(Fe-8Cr-2W-V-Ta)に比べて、ORNL9Cr-2WVTa及びJLF-1(Fe-9Cr-2W-V-Ta-N)が小さいことが明らかになっている。これらの違いは、照射硬化の影響のみでは説明することができない。また一方、Cr量の違いとして解釈できるものでもない。本研究では、これらの鋼の衝撃特性変化の違いについて、その要因を探るべく、微細組織解析を行った、その結果について報告している。
谷川 博康; 酒瀬川 英雄*; 橋本 直幸*; Zinkle, S. J.*; Klueh, R. L.*; 香山 晃*
Fusion Materials Semiannual Progress Report for the Period Ending (DOE/ER-0313/35), p.33 - 36, 2004/04
本報告は、日米協力に基づき著者が米国オークリッジ国立研究所において、High Flux Isotope Reactor(HFIR)を用いて行った研究の成果である。JLF-1やORNL9Crの靭性特性は、F82Hに比べて照射後の延性脆性遷移温度変化が小さく、優れていることから、これらの相違をミクロな観点から明らかにする目的で、析出物の分布を解析するために、各種フェライト鋼(F82H-IEA, F82H HT2, JLF-1とORNL9Cr)非照射材より抽出レプリカ試片を準備した。これらの試片について、TEMにより析出物のサイズ分布、SEMにより化学組成の解析が行われた。さらに、後方散乱電子像は、Ta-richな析出物をほかの析出物と分離するのに効果的であることを示した。F82Hについては、主な析出物はM23C6であり、形状は丸状である。一方、JLF-1とORNL9Crでは、析出物は細長い形状であった。MX析出物に関しては、F82Hではほとんど見られないが、非常に大きく、Tiを含んでいた。対照的にJLF-1とORNL9Crでは多くの微小なMX析出物が観察された。JLF-1やORNL9Crの靭性特性は、F82Hに比べて照射後の延性脆性遷移温度変化が小さく優れているが、これらの違いの一因に、Taリッチの析出物(MX系析出物)の存在形態がかかわっている可能性を指摘した。
谷川 博康; 酒瀬川 英雄*; Payzant, E. A.*; Zinkle, S. J.*; Klueh, R. L.*; 香山 晃*
Fusion Materials Semiannual Progress Report for the Period Ending (DOE/ER-0313/35), p.37 - 40, 2004/04
本報告は、日米協力に基づき著者が米国オークリッジ国立研究所において、High Flux Isotope Reactor(HFIR)を用いて行った研究の成果である。HFIR 11Jキャプセルで照射された代表的なフェライト鋼(F82H, JLF-1, ORNL9Cr, NiドープF82H)を対象に、照射された鉄鋼材料の抽出残渣試料を対象とした、X線回折分析(XRD)による析出物解析を世界で初めて行った。さらに非照射材と時効材も同様に調べられた。その結果、M23C6の明瞭なピークはすべての試片について見られたが、特に照射後靭性の良好な鋼(JLF-1, ORNL9Cr)では、照射前に顕著であったTaリッチ析出物(MX系析出物)のピークが、照射後に消滅していることがわかった。このことからJLF-1やORNL9Crが照射後靭性特性に優れている理由として、照射によりTaリッチ析出物が分解され、Taが強制固溶したことによる可能性を指摘した。
谷川 博康; 橋本 直幸*; Sokolov, M. A.*; Klueh, R. L.*; 安堂 正己
Fusion Materials Semiannual Progress Report for the Period Ending (DOE/ER-0313/35), p.58 - 60, 2004/04
本報告は、日米協力に基づき著者が米国オークリッジ国立研究所において、High Flux Isotope Reactor(HFIR)を用いて行った研究の成果である。低放射化フェライト鋼の延性脆性遷移温度評価はマスターカーブ法による評価が中心となるが、F82H鋼の評価においては、遷移温度領域において特異な低靭性データが得られることが問題となっており、本研究によって、その原因と解決法が示唆された。まず予亀裂周辺のミクロ組織は、光学顕微鏡,SEM,方位像顕微鏡(OIM),TEMによって観察された。この一連のクラック前方周辺のTEM試片はFIB加工によって作製された。さらに試験後の破面観察も行われた。光学顕微鏡観察の結果、疲労予亀裂の形成は、始め直線的であるが、そのあと旧オーステナイト粒界に沿って進み、最終端では、23の方向に分かれている傾向にある。SEMとOIMの結果より、予亀裂周辺と予亀裂前方のミクロ組織は、典型的なF82H鋼の疲労組織に見られるようなセル構造を呈していた。さらにクラック前方の領域から得られたTEM像と、逆極点図形は、この構造変化を支持するものである。予亀裂の分離や予亀裂前方のセル構造は、破壊靭性に影響することから、粗大な旧オーステナイト粒を持つ鋼の場合、疲労予亀裂の影響が遷移温度領域における特異な低靭性として現れやすい可能性があることを指摘した。
谷川 博康; 酒瀬川 英雄*; Zinkle, S. J.*; Klueh, R. L.*; 香山 晃*
Fusion Materials Semiannual Progress Report for the Period Ending (DOE/ER-0313/35), p.30 - 32, 2004/04
本報告は、日米協力に基づき著者が米国オークリッジ国立研究所において、High Flux Isotope Reactor(HFIR)を用いて行った研究の成果である。HFIR 11J照射された代表的なフェライト鋼(F82H, JLF-1, ORNL9Cr, NiドープF82H)を対象に、照射された鉄鋼材料について抽出残渣法によって得られた析出物のX線回折の解析を世界で初めて実施し、さらに照射によって生じた析出物に関する変化を調べるために、これらの析出物量の変化の測定が行われた。測定には2つの異なるフィルター(細かいものと粗いもの)が析出物の大きさから照射による影響を明らかにするために用いられた。同様に、これらは比較のため非照射材に関しても行われた。その結果、照射によってF82H, Ni添加F82H, JLF-1, ORNL9Crについては大きい析出物量は増加し、またJLF-1では微細な析出物が消滅していたが、Ni添加F82H鋼においては、微細な析出物の増加が見られた。以上の結果から、非照射下では変化が生じない温度域(300C)であっても、照射下では顕著な変化が析出物分布に現れることが示された。
沢 和弘; 飛田 勉*
Nuclear Technology, 142(3), p.250 - 259, 2003/06
被引用回数:13 パーセンタイル:63.86(Nuclear Science & Technology)照射健全性を補償するためにHTTRの最高燃焼度は3.6%FIMAに制限されている。燃焼度を延長した場合の燃料挙動を検討するために、照射試験を行った。被覆燃料粒子のバッファ層とSiC層は5%FIMAを超えても健全性を保てるよう厚く設計した。これらの燃料コンパクトは、ORNLのHFIRと原研のJMTRのキャプセルで独立に照射した。放出率の測定値と計算値の比較から、両方の照射試験中に追加の破損が生じたことがわかった。内圧破損モデルでは、照射末期においても健全粒子のSiC層には引張応力は作用せず、破損は生じないと評価された。考えられる破損機構として、製造時のSiC層破損粒子の貫通破損又は加速照射による過度の内圧上昇が考えられるが、さらに検討が必要である。
若井 栄一; 三輪 幸夫; 橋本 直幸*; Robertson, J. P.*; Klueh, R. L.*; 芝 清之; 安彦 兼次*; 古野 茂実*; 實川 資朗
Journal of Nuclear Materials, 307-311(Part.1), p.203 - 211, 2002/12
被引用回数:27 パーセンタイル:82.64(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉構造材や核破砕ターゲット材は高エネルギー粒子との衝突によって弾き出し損傷が生じるだけでなくHやHeなどが生成する。このため本研究ではBを添加したF82H鋼や
Feを用いて作製したF82H鋼を用い、中性子照射中にHeやHを生成させてこれらが組織に及ぼす影響を検討した。照射はHFIR炉で2.8から51dpaまで250
Cから400
Cで行った。250
C照射で水素が生成した材料では転位ループの数密度がわずかに増加するとともに、転位ループのバーガースベクトルの3割程度を(1/2)
111
タイプから
100
タイプのループに変化した。また、キャビティ形成を助長した。300
Cや400
C照射でHeが生成した場合、転位ループの数密度はわずかに増加し、キャビティの数密度も増加した。照射温度に依存する微細組織変化の解析から、微細組織と照射硬化または延性脆性遷移温度シフトの間の関係を考察し、照射による延性脆性遷移温度シフトの増加の原因は転位ループ形成による硬化だけに起因しているものではなく、転位ループ上に形成した
'析出物にも関係していることを指摘した。
若井 栄一; 橋本 直幸*; J.P.Robertson*; 沢井 友次; 菱沼 章道
Fusion Materials, 313(25), p.197 - 201, 1999/04
20%冷間加工した数種類のオーステナイトステンレス鋼をORR炉とHFIR炉で400Cにて、中性子スペクトル調整照射実験を17dpaまで行った。この時のヘリウムの生成割合は平均で約15appm He/dpaになるように制御した。照射後、透過形電子顕微鏡により微細組織を観察した。この照射によって、これらの材料では転位ループ、炭化物、キャビティが形成した。特に注目されるキャビティに関して、6
10
m
から2
10
m
程度形成し、その平均半径((r
)
)は1.2nmから2.4nmであり、そのスエリング量は0.007から0.1%であった。最も低いスエリング量(0.007%)を示したJPCA-CW材では炭化物の数密度が1
10
m
と最も高かった。一方、最も高いスエリング(0.1%)を示したK-CWでは逆に炭化物の数密度が2
10
m
で最も低かった。これらのことから、炭化物形成がキャビティと同程度形成される場合、スエリング挙動に大きな影響を及ぼすことがわかった。
若井 栄一; 橋本 直幸*; 芝 清之; 三輪 幸夫; J.P.Robertson*; R.L.Klueh*
Fusion Materials, 313(25), p.151 - 160, 1999/04
低放射化フェライト鋼であるF82Hに対し、その水素の効果を調べるために、Feを用いてF82H鋼(F82H(
Fe)を作成し、中性子照射を行った。照射は米国HFIR炉において、250
Cで約3dpaまで行った。照射によって生成される水素量はF82H(
Fe)材と標準材でそれぞれ68と5appm程度と推定される。照射前のF82H(
Fe)材の組織は、標準材のそれとほぼ同じであった。照射後、微細なキャビティがF82H(
Fe)材でのみ観察され、そのスエリング量は0.0001%程度であった。一方、照射によって高密度の転位ループが標準材及びF82H(
Fe)材で形成され、その数密度と平均の大きさはそれぞれ、1.4
10
m
と7.9nm及び2.1
10
m
と6.6nmであった。標準材では(1/2)
111
タイプのバーガースペクトルを持つ転位ループが形成したのに対し、F82H(
Fe)材では111と100の2タイプのループが形成した。またF82H(
Fe)材における111タイプの割合は全体の73%程度であった。
若井 栄一; 橋本 直幸*; 芝 清之; 三輪 幸夫; J.P.Robertson*; R.L.Klueh*
Fusion Materials, 313(25), p.161 - 169, 1999/04
F82Hに対し、BやNiのアイソトープを添加した材料を用いて、ヘリウム生成量に対するスエリング挙動を調べた。中性子照射は米国HFIR炉において300と400Cで約51dpaまで行った。照射後、透過型電子顕微鏡により微細組織を観察した。400
C照射ではF82Hの標準材のスエリング量は約0.6%であり、F82H+(311appm)natural BとF82H+(325apm)
B材ではそれぞれ、約0.9%と1.1%であった。またF82H+1.4%
Ni及びF82H+1.4%
Ni材ではそれぞれ0.02%と0%であった。他方Ni添加材では高密度の析出物が形成した。一方、300
C照射ではヘリウム発生量の多いF82H+
BとF82H+
Niでのみ微小なキャビティがわずかに観察され、そのスエリング量は0.02%以下であった。これらの結果からヘリウムの発生量はF82H鋼のスエリングに大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。また、Ni添加材における400
C照射の低いスエリングの原因は高密度の析出物の形成がキャビティの形成、成長過程に著しい影響を与えたためと考えられる。
沢井 友次; 芝 清之; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.1997 - 2001, 1998/00
被引用回数:3 パーセンタイル:31.55(Materials Science, Multidisciplinary)改良ステンレス鋼JPCAに電子ビーム溶接を行い、母材及び溶接部から採取した試験片をHFIRターゲットキャプセルで照射した。照射温度は300,400及び500Cであり、照射量は17dpaであった。300
Cでは、キャビティーは2nm以下であり試料によるミクロ組織変化はほとんど見られなかった。400
Cではキャビティーサイズは若干大きくなるが(最大8nm)、ヘリウムガス圧によるバブルと推定される。これに比して500
CではJPCA溶接部試験片中に最大30nmまでのキャビティーが観察され、これらはボイドであると推定される。溶金部試料では最終凝固部分にチタン等のスエリング抑制元素が偏析した結果、500
Cでのミクロ組織変化は不均一であり、初晶に対応する凝固セル中央部では顕著なボイドの発生、成長により耐スエリング性劣化が見られる。凝固セル界面ではキャビティー密度は高いものの、全て微細なバブルにとどまっておりスエリングは少なかった。以前の超高圧電子顕微鏡による実験結果とは完全に一致しないが、ヘリウムの発生する照射環境でも、改良ステンレス鋼の耐スエリング性が溶接によって劣化することが示された。
浜田 省三
JAERI-Tech 97-041, 180 Pages, 1997/08
このレポートは、これまで著者が行ってきたイオン及びHFIR照射実験等によって得られた照射損傷組織に関する主な実験結果をまとめたものである。内容は6章から構成されている;第1章は緒言、第2章はオーステナイト鋼におけるイオン照射損傷組織の深さ分布に関するもので、損傷組織の断面観察のためのTEM試料作成技術の開発、イオン照射損傷の深さ分布に関する実験値と計算値の比較検討、第3章は2層から成るステンレス鋼のイオン照射下での相の安定性について述べた。第4章はオーステナイト鋼の中性子照射損傷に関する基礎理論、HFIR照射の特徴、中性子照射したTEM試料の放射能を低減化するための技術開発、第5章はHFIRで重照射したオーステナイト鋼の微細組織変化について述べ、第6章では全体をまとめて総括とした。
沢井 友次; 芝 清之; 深井 勝麿; 菱沼 章道
6WS-96: 6th Int. Welding Symp. on the Role of Welding Science and Technology in the 21st Century, 2, p.483 - 488, 1996/00
核融合炉の炉心構造材料として短期的には最も有力な候補材料であるオーステナイト鋼に対して、溶接を行った場合の照射によるミクロ組織変化、特にボイドスエリングを母材と比較した。用いた照射手段は超高圧電子顕微鏡、分裂炉(HFIR、ORR)である。このうちORR照射では、照射温度が400Cと低かったために母材と溶金部のスエリングの差はなかったが、超高圧電子顕微鏡照射では溶金部と溶接熱影響部では母材よりスエリングが大きく、これは特に溶金部で顕著であった。(照射温度は500
C)。HFIR500
C照射でも、溶金部のスエリングは、過去の母材データに比して大きかった。これら溶金部でのスエリング増加は、溶金部凝固組織中でのスエリング抑制元素の偏析と関連している。照射条件の差により、超高圧電子顕微鏡で照射した溶金部では、ボイドの発生が不均一ミクロ組織を生じさせていたが、原子炉照射ではボイドの成長が鍵であった。
沢 和弘; 福田 幸朔; R.Acharya*
JAERI-Tech 94-038, 46 Pages, 1995/01
本報は、米国オークリッジ国立研究所のHFIRで照射を行ったHRB-22キャプセル照射試験の照射前に行った温度評価について記述したのもである。本試験は、米国エネルギー省と原研との高温ガス炉研究開発試験協力に基づいて実施している高温ガス炉燃料日米共同照射試験の一部である。燃料は、高温工学試験研究炉用初装荷燃料よりも高燃焼度に耐えるよう設計した国産の改良型燃料である。照射中の燃料コンパクト内の重金属及び核分裂生成物量の変化は、CACA-2コードを用いて計算した。定常温度計算にはHEATING7.2コードを用いた。この計算結果に基づき、4サイクルの照射期間を通して燃料コンパクト平均温度及び最高温度をそれぞれ1250C、1350
C以下にするよう、燃料コンパクトを収納する黒鉛及びキャプセルの直径を定めた。本検討結果に基づき、キャプセル部品寸法等の詳細設計を行った。
鈴木 雅秀; 浜田 省三; P.J.Maziasz*; 實川 資朗; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 191-194, p.1351 - 1355, 1992/00
被引用回数:13 パーセンタイル:74.36(Materials Science, Multidisciplinary)日本の核融合炉材料候補材(JPCA)中のTi富化MC型析出物のHFIR照射下での析出挙動についてまとめられた。300Cで34dpaまで照射を行うと、微細なMCが析出する。しかしながら、さらに58dpaまで照射を続けると、MCの密度は減少する。MCの化学組成は、析出物の大きさに強く依存する。熱的に生成したMCも、照射を行うと、照射によって誘起した析出と同様な化学組成、サイズ依存性を有するようになる。本報告では、化学組成のサイズ依存性と析出の照射下での安定性について議論した。
森井 幸生
日本結晶学会誌, 34(2), p.62 - 69, 1992/00
JAERI-JRR3に新しく設置した高分解能粉末回折装置(HRPD)と、ORNL-HFIRの広角中性子回折装置(WAND)について、その構成、性能、実験例を述べて、中性子粉末回折の特徴を解説した。HRPDでは極細コリメータシステムにより回折ピークの分解能を0.2%まで上げたために、複雑な構造や磁気構造、大きな単位セルをもつ構造を持つ物質の構造研究が進んでおり、その一例としてLaNiO
について述る。WANDでは、広い回折角にわたって同時に回折パターンを得ることが可能で、相転位の時間発展の様子を直接測定することができる。
菱沼 章道
日本原子力学会誌, 33(10), p.926 - 932, 1991/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)HFIR/ORR日米共同照射実験で得られた最近のデータを中心に、ステンレス鋼の構造材料としての応用の観点から主として室温~400Cの低温領域における基本的照射特性を、核変換によるHeの効果を含めて紹介する。ステンレス鋼の低温照射特性の劣化は予想以上に大きいこと、低温クリープ、照射誘起腐食等の研究をさらに発展させる必要があること、また核融合炉材料の照射実験ではスペクトル調整照射が重要であることが明らかにされた。
實川 資朗; M.L.Grossbeck*; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.563 - 567, 1991/00
被引用回数:14 パーセンタイル:79.74(Materials Science, Multidisciplinary)一般にオーステナイトステンレス鋼は照射により硬化と延性低下を生ずる。これらの評価には引張試験が用いられるが延性の評価には結果の取り扱いが適当でないことが多い。これは試験片のくびれデータや絞りデータ取得が困難な事が多い為である。そこで、試験中のくびれ挙動を与える近似法を作り、試験後の試験片形状よりこのためのパラメタを得、これをHFIR照射したステンレス鋼(316鋼、改良ステンレス鋼:PCA)の荷重変位曲線に適用し、引張真応力-真ひずみ関係を得た。さらにこの結果にスウィフトの構成方程式を適用し結果の整理を行なった。これより照射温度673K以下では照射は主として硬化をもたらす事、この硬化を除けば加工硬化挙動に与える効果の小さい事、また733K以上では効果と延性低下をもたらし、硬化及び加工硬化挙動がPCAと316鋼とでは異なることがわかった。