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論文

J-PARC 3GeVシンクロトロン用荷電変換フォイルの長寿命化に向けたとりくみ

吉本 政弘; 仲野谷 孝充; 山崎 良雄; Saha, P. K.; 金正 倫計; 山本 春也*; 岡崎 宏之*; 田口 富嗣*; 山田 尚人*; 山縣 諒平*

Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.850 - 854, 2021/10

J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器(RCS: Rapid Cycling Synchrotron)では、大強度陽子ビームを実現するために荷電変換フォイルを用いた荷電変換ビーム多重入射方式を採用している。この入射方式では、リニアックから入射される負水素ビームが荷電変換フォイルを通過する際に陽子に変換され、周回ビームに重ねることができる。そのため、ビームサイズを広げずに大強度ビームを蓄積することができる。一方で、ビーム入射期間中は、リニアックからの負水素ビームとRCSで周回する陽子ビームの双方がフォイルを通過するため、荷電変換フォイルのビーム照射に対する耐久性能の向上は大きな課題となっている。RCSでは、ホウ素を添加した炭素電極によるアーク放電法で製膜した薄膜(Hybrid type thick Boron-doped Carbon: HBC)を荷電変換フォイルとして用いている。HBCフォイルは、ホウ素を添加することで従来の純炭素薄膜と比較してビーム照射に対する寿命の向上に成功し、RCSにおいてもビーム強度700kWでの長期間利用運転及び1MWでの2日間連続運転試験で壊れることなく使用できることを示した。我々は、ホウ素添加によりビーム照射耐久性能が向上するメカニズムを明らかにし、さらなる長寿命化に向けたフォイルの実現を目的とし、量子科学技術研究開発機構(QST)高崎・イオン照射施設(TIARA: Takasaki Ion Accelerators for Advanced Radiation Application)のイオンビームを用いた照射試験を行ってきた。これまで、ホウ素の添加量やカソード・アノード電極に使用するホウ素添加炭素電極と純炭素電極の組み合わせにより、イオンビーム照射による寿命が異なることが分かってきた。本報告では、ビーム照射試験の結果からHBCフォイル内のホウ素の役割に関する考察について報告する。

報告書

平成30年度研究開発・評価報告書 評価課題「J-PARCに関する研究開発」(中間評価)

J-PARCセンター

JAEA-Evaluation 2019-003, 52 Pages, 2019/06

JAEA-Evaluation-2019-003.pdf:6.61MB

日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という)は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成28年12月21日内閣総理大臣決定)及びこの大綱的指針を受けて作成された「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成29年4月1日文部科学大臣決定)、並びに原子力機構の「研究開発課題評価実施規程」(平成17年10月1日制定)等に基づき、平成31年3月1日に第3期中長期計画に対する中間評価をJ-PARC研究開発・評価委員会に諮問した。これを受けて、J-PARC研究開発・評価委員会は、委員会において定められた評価方法に従い、原子力機構から提出されたJ-PARC研究開発の実施に関する説明資料の検討及びJ-PARCセンター長並びにディビジョン長による口頭発表と質疑応答を実施した。本報告書は、J-PARC研究開発・評価委員会より提出された中間評価の内容をまとめるとともに、「評価結果(答申書)」を添付したものである。

論文

Pulse-by-pulse switching of operational parameters in J-PARC 3-GeV RCS

發知 英明; 渡辺 泰広; 原田 寛之; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 吉本 政弘

Proceedings of 9th International Particle Accelerator Conference (IPAC '18) (Internet), p.1041 - 1044, 2018/06

The J-PARC 3-GeV RCS (rapid cycling synchrotron) provides a high-power beam to both the MLF (materials and life science experimental facility) and the MR (main ring synchrotron) by switching the beam destination pulse by pulse. The beam properties required from the MLF and the MR are different; the MLF needs a wide-emittance beam with less charge density, while the MR requires a low-emittance beam with less beam halo. To meet such conflicting requirements while keeping beam loss within acceptable levels, the RCS has recently introduced a pulse-by-pulse switching of the operational parameters (injection painting emittance, chromaticity and betatron tune.) This paper reports such recent efforts toward the performance upgrade of the RCS including the successful beam tuning results for the parameter switching.

論文

New injection scheme of J-PARC rapid cycling synchrotron

山本 風海; 神谷 潤一郎; Saha, P. K.; 高柳 智弘; 吉本 政弘; 發知 英明; 原田 寛之; 竹田 修*; 三木 信晴*

Proceedings of 8th International Particle Accelerator Conference (IPAC '17) (Internet), p.579 - 581, 2017/05

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、1MWの大強度ビームを物質生命科学実験施設および主リングシンクロトロンに供給するために設計され、調整が進められている。現在の所、RCSでは設計値の半分である500kWでの連続運転に成功しているが、今後さらにビーム出力を向上するためには、入射点付近の残留放射能による被ばく対策が重要となってくる。これまでのビーム試験やシミュレーション、残留線量の測定結果等から、入射点周辺の残留放射能は入射で使用する荷電変換用カーボンフォイルに入射及び周回ビームが当たった際に発生する二次粒子(散乱陽子や中性子)が原因であることがわかった。現状では、RCSの入射にはフォイルが必須であり、これらの二次粒子を完全に無くすことはできない。そこで、これら二次粒子によって放射化された機器の周辺に遮蔽体を置けるように、より大きなスペースが確保できる新しい入射システムの検討を開始した。予備検討の結果、機器配置は成立するが、入射用バンプ電磁石磁場が作る渦電流による発熱が問題となることがわかったため、今後その対策を検討することとなった。

論文

Radiation safety design for the J-PARC project

中島 宏; 中根 佳弘; 増川 史洋; 松田 規宏; 小栗 朋美*; 中野 秀生*; 笹本 宣雄*; 柴田 徳思*; 鈴木 健訓*; 三浦 太一*; et al.

Radiation Protection Dosimetry, 115(1-4), p.564 - 568, 2005/12

 被引用回数:8 パーセンタイル:48.53(Environmental Sciences)

大強度陽子加速器計画(J-PARC)では、世界最高出力の高エネルギー加速器施設が建設されている。そこで、施設の合理的な遮蔽設計を行うために、J-PARCの遮蔽設計では、簡易計算手法と詳細計算手法を組合せた設計手法が使われている。ここでは、J-PARCの遮蔽設計にかかわる研究の現状について報告する。

報告書

J-PARC用LAN-PLC方式放射線モニタ規格

宮本 幸博; 酒巻 剛*; 前川 修*; 中島 宏

JAERI-Tech 2004-054, 72 Pages, 2004/08

JAERI-Tech-2004-054.pdf:7.3MB

本報告書は、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の放射線安全管理設備としてLAN-PLC方式放射線モニタを導入するにあたり機器仕様の標準化を図るため、その標準規格を大強度陽子加速器施設開発センターとしてまとめたものである。LAN-PLC方式放射線モニタは、現場に配置される検出端・測定系とPLCシステムにより構成される放射線監視盤をLANで接続する形態の放射線モニタリングシステムである。本規格を作成するにあたっては、従来規格の拡張及び国際標準規格への準拠という観点を重視した。本規格により、各構成機器について、互換性,保守性及び生産性の向上が期待される。

論文

大強度陽子加速器施設3GeVシンクロトロンに用いるセラミックビームダクトの真円度・真直度計測

西澤 代治*; 金正 倫計; 金澤 謙一郎; 荻原 徳男; 齊藤 芳男*; 久保 富夫*; 佐藤 吉博*

真空, 47(4), p.339 - 343, 2004/05

大強度陽子加速器施設3GeVシンクロトロンでは磁場歪みと発熱の問題を避けるため、電磁石部主ビームダクトとして円筒状のアルミナセラミック製焼成ダクトを採用する。しかしコストダウン徹底,微細クラック防止を実現しつつ構造強度を保持するには、ダクトを成形・研磨加工することなく、ほぼ焼上がりのままで用いることが不可欠である。このためにはまず、ダクト断面の真円度及び円筒軸の真直度を把握し、ダクト同士の多段金属接合時の接合面積の極大化,軸ズレの極小化を計る必要がある。そこでわれわれは大口径セラミックダクトの真円度・真直度計測機を開発するとともに、その計測法,汎用アプリケーションExcelを用いた最小二乗中心法による真円度,最小領域法による真直度の算出法を確立した。今回はこれら真円度・真直度の算出法,3種類7本の供試体ダクトについて得た一連のデータ、及びその評価を報告する。

報告書

大強度陽子加速器施設(J-PARC)3GeV陽子ビーム輸送施設(3NBT)技術設計書

坂元 眞一; 明午 伸一郎; 今野 力; 甲斐 哲也; 春日井 好己; 原田 正英; 藤森 寛*; 金子 直勝*; 武藤 豪*; 小野 武博*; et al.

JAERI-Tech 2004-020, 332 Pages, 2004/03

JAERI-Tech-2004-020.pdf:17.93MB

日本原子力研究所と高エネルギー加速器研究機構が共同で建設する大強度陽子加速器施設(J-PARC)には、中性子ビーム及びミューオンビームを用いて、おもに物質科学,生命科学の研究が繰り広げられる物質・生命科学実験施設が建設される。この実験施設では、3GeVシンクロトロンで加速された大強度陽子ビームにより、中性子,ミューオンを生成する。3GeVシンクロトロンから物質・生命科学実験施設までの陽子ビームを効率よく輸送し、中性子生成標的,ミューオン標的へ的確にビーム照射を行う陽子ビーム輸送施設(3NBT)の設計全体をまとめる。

報告書

大強度陽子加速器プロジェクト物質・生命科学実験施設機器技術設計書

物質・生命科学実験施設建設チーム

JAERI-Tech 2004-001, 1171 Pages, 2004/03

JAERI-Tech-2004-001-Part1.pdf:80.84MB
JAERI-Tech-2004-001-Part2.pdf:43.14MB

本報告書は、大強度陽子加速器計画(J-PARC)の物質生命科学実験施設(MLF)の機器製作の概念及び基本設計にかかわる平成14年度までの検討成果を技術設計書としてまとめたものである。第1章は、計画書に当たる建設の目的,目標,スケジュール,予算,体制についてまとめた。第2章以下に技術設計書に当たる、個々の機器の基本設計方針と検討内容を記述した。プロジェクトは日々新たな展開を見せ、本設計書段階からは相当詳細化され、あるいは、部分は変更されて製作設計として既に最終的な形として収束している機器もある。それらは、詳細技術設計書として近い将来、続報として報告する。

論文

大強度陽子加速器施設3GeVシンクロトロンに用いるセラミックビームダクトの真円度・真直度計測

西澤 代治*; 金正 倫計; 金澤 謙一郎; 荻原 徳男; 齊藤 芳男*; 久保 富夫*; 佐藤 吉博*

真空, 47(4), p.339 - 343, 2004/02

大強度陽子加速器施設3GeVシンクロトロンでは、主電磁石部ビームダクトとして、世界で初めて大口径の円筒状アルミナセラミック製ダクトを採用する。十分大きなビーム開口径を保ちかつ多段接合時の接合面積を確保するには、ダクト断面の真円度、円筒軸の真直度を把握することが不可欠である。われわれは大口径セラミックダクト用の真円度・真直度計測機を開発するとともに、その計測法及びデータ解析法を確立してセラミックビームダクトの真円度・真直度を始めとする製作精度の計測・評価を進めている。今般、3GeVシンクロトロンのビームダイナミクスからの要求に応じ、初めてBM(偏向電磁石)用楕円セラミックダクト(楕円円筒状セラミックダクト)を試作し、円筒状ダクト同様の製作精度評価を行った。本発表では、これら得られたデータ・知見について報告する。

論文

J-PARC construction and its linac commissioning

山崎 良成

Proceedings of 9th European Particle Accelerator Conference (EPAC 2004), p.1351 - 1353, 2004/00

J-PARCは原研東海に建設中である。2006年末までにビーム試運転が始まる予定であるが、その前にKEKで2003年からリニアック最上流部のビーム試運転が始まっている。3MeVのRFQリニアックに続く3個のDTLタンクのうちの第1タンクで30mAのピーク電流の負水素イオンを20MeVまで加速した。J-PARC加速器の現況を報告する。

論文

Target station design of 1 MW spallation neutron source at the high intensity proton accelerator facilities J-PARC

高田 弘; 前川 藤夫; 本村 士郎*; 吉田 勝彦*; 寺奥 拓史*; 明午 伸一郎; 坂井 昭夫*; 春日井 好己; 兼近 修二*; 大竹 秀範*; et al.

Proceedings of ICANS-XVI, Volume 3, p.1115 - 1125, 2003/07

大強度陽子加速器計画で建設する1MW核破砕中性子源はヘリウムベッセル,ベッセルサポートシリンダ,遮蔽ブロック,23本の中性子ビームライン,陽子ビーム窓等の機器で構成される。機器はライナーの内側に配置され、ヘリウムベッセルを中心とし、その周囲を中性子ビームシャッターを含む鉄鋼製の遮蔽で取り囲む。鉄遮蔽の外周には重コンクリートを配置し、その外表面の線量率が12.5$$mu$$Sv/hを超えないことを設計条件とした。ライナーの外形は直径9.8mであり、重コンの厚さは2.2-2.7mである。ライナー内は遮蔽体の除熱とNOxガスの発生抑制のため乾燥空気を循環させる。このようなステーション構造の概要と機器構造の各論、例えば中性子ビームシャッターは2本ロッド懸垂方式の直方体状で、その一部にガイド管等を装着したダクトを挿入できる構造であること、について報告する。

論文

The JAERI-KEK joint project for the high-intensity proton accelerator, J-PARC

山崎 良成

Proceedings of 2003 Particle Accelerator Conference (PAC 2003) (CD-ROM), p.576 - 580, 2003/00

今、J-PARCと名称が決まった原研KEK大強度陽子加速器統合計画は400MeVのリニアック、3GeVで25Hzの速い繰り返しのシンクロトロン(RCS),50GeVの主シンクロトロン(MR)から成る。MW級のパルス核破砕中性子源として、蓄積リングを使うSNSやESSと対照的にJ-PARCではRCSを使用している。この方式は、主として数10GeVの陽子加速を行うために、そのブースターとしてRCSを選んだのであるが、それ自体、蓄積リング方式よりも幾つかの長所を持っている。低エネルギービーム輸送系(LEBT),3MeVのRFQリニアック,中間エネルギービーム輸送系(MEBT)のビーム試験を行った。そこでは、LEBTに前置チョッパーが、MEBTにチョッパーが装着されている。このチョッパー系はJ-PARCに独自に開発されたものであり、SNSとの比較は比較は興味深い。

報告書

大強度陽子加速器施設における放射線安全管理設備設計上の基本的考え方

宮本 幸博; 池野 香一; 秋山 茂則*; 原田 康典

JAERI-Tech 2002-086, 43 Pages, 2002/11

JAERI-Tech-2002-086.pdf:5.7MB

大強度陽子加速器施設の放射線防護上の特徴と、放射線安全管理設備を設計するうえでの基本的な考え方についてまとめた。大強度陽子加速器施設は、世界最高強度の高エネルギー陽子加速器を中核とした大規模複合施設であり、施設固有の特徴を多く有している。本報告では、大強度陽子加速器施設の特徴を考慮のうえ、整備すべき放射線安全管理設備の仕様について議論した。

論文

Nuclear data relevant to accelerator driven system

池田 裕二郎

Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.2), p.13 - 18, 2002/08

本論文は、加速器駆動システムに関連する核データ研究をまとめたものであり、核データの役割,ニーズ,充足度,進行してる研究活動,今後の展望を、50年にわたるこれまでの歴史を振り返りつつ、加速器駆動システム技術開発との関連における核データの重要性を示したものである。

論文

Status on shielding design study for the high-intensity proton accelerator facility

笹本 宣雄; 中島 宏; 平山 英夫*; 柴田 徳思*

Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.2), p.1264 - 1267, 2002/08

現在、大強度陽子加速器施設の建設計画が進行している。本施設は大出力ビームの加速器であり、非常に厚い遮蔽体を必要とする。合理的で最適な遮蔽設計を実現するために、半経験式と簡易計算法からなる遮蔽設計システムを構築し、部分的にモンテカルロ詳細計算法を導入した。簡易計算法は、高エネルギー計算に対応するためコードの修正を行った。本論文では、当施設の遮蔽設計の現状をレビューし、加速器施設の遮蔽設計の立場から高エネルギー核データの必要性に言及した。

論文

大強度パルス中性子源の開発とその利用

大山 幸夫

Radioisotopes, 51(5), p.219 - 227, 2002/05

21世紀の科学技術を進める研究基盤施設として、現在、日本原子力研究所(原研)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)とが共同で建設を進めている、大強度陽子加速器計画が建設に着手しようとしている。この計画は、3段階のエネルギーに加速された陽子を使って多分野にわたって利用される多目的研究施設である。この中でも特に、大強度パルス中性子源施設は年間延べ数千人にのぼる多くのユーザーを抱える施設であり、そこでは物質・生命科学の多様な研究が行われることが期待される。本施設の完成時には、パルス中性子源も含めて各研究施設では世界第一級の性能の実験設備が完成する。本稿では、大強度パルス中性子源の概要、そしてそこで期待される中性子の利用研究について紹介する。

報告書

大強度陽子加速器計画における核破砕中性子源のバルク遮蔽に関する検討

前川 藤夫; 勅使河原 誠; 高田 弘; 古坂 道弘*; 渡辺 昇

JAERI-Tech 2002-035, 68 Pages, 2002/03

JAERI-Tech-2002-035.pdf:4.76MB

原研-KEKの大強度陽子加速器計画の物質・生命科学実験施設として、3GeV-1MWの陽子ビーム駆動による核破砕中性子源の建設が計画されている。本レポートは、放射線安全性及び建設コストの観点から重要な、中性子源周りの生体遮蔽体のバルク遮蔽性能について、モンテカルロ計算手法を用いた検討を行った結果についてまとめたものである。予備的検討や他の機器との関連から適当と考えられる遮蔽構造を標準ケースとして設定し、目標線量とした1$$mu$$Sv/hを達成できる遮蔽厚さを計算した。また、材料、寸法等の様々な計算条件を変化させた計算を行い、計算条件が遮蔽性能に与える影響について調べた。これらの計算結果及び設計裕度を考慮し、最も適当であると考えられる遮蔽構造を最終的に以下のように決定した。線源の中心から4.8mまでを鉄遮蔽とし、その周囲は重コンクリート遮蔽で囲む。重コンクリート遮蔽は、陽子ビーム入射軸に対して105度よりも後方は中心から6.4mまで、105度から前方に向けて厚さを徐々に増加させ、最前方では中心から8.0mである。

報告書

DCHAIN-SP 2001: 高エネルギー粒子誘導放射能計算コード

甲斐 哲也; 前川 藤夫; 小迫 和明*; 春日井 好己; 高田 弘; 池田 裕二郎

JAERI-Data/Code 2001-016, 82 Pages, 2001/03

JAERI-Data-Code-2001-016.pdf:4.22MB

原研/KEKの大強度陽子加速器計画諸施設の誘導放射能にかかわる安全設計計算に資するため、高エネルギー粒子誘導放射能計算コードDCHAIN-SPの高度化を行い、2001年版を作成した。高度化の内容は以下の3点である。(1)核分裂収率データを組み込み、核分裂性物質を取り扱う長寿命放射性廃棄物の核変換のため実験施設設計への応用を可能にした。(2)20MeV以下の放射化断面積データの改訂を行った。特に水銀,鉛,ビスマス,トリチウム生成の断面積について詳細な検討を行った。(3)入出力に関するユーザインタフェイスの強化を行った。また、コードの使用に必要なマニュアル,インストールと実行手順,及びサンプル問題を付録として添付した。

論文

大強度陽子加速器計画の現状と研究構想

大山 幸夫

日本原子力学会モンテカルロ法による粒子シミュレーションの現状と課題, p.183 - 191, 2001/01

原研及び高エネルギー加速器研究機構(KEK)は共同して大強度陽子加速器計画施設の建設を進めている。本計画は、600MeV陽子リニアック,3GeV及び50GeV陽子シンクロトロン加速器群により作り出される陽子ビームを用いて、核変換実験施設,物質・生命科学実験施設(ミュオン実験施設,中性子散乱実験施設),原子核素粒子実験施設,ニュートリノ実験施設の建設を目指している。物質・生命科学実験施設における中性子利用では、減速した熱・冷中性子を用いた飛行時間法による広いQ-W領域における中性子散乱による物性研究・構造生物学研究、また、ミュオン実験では、mSR等ミュオンをプローブとして用いた物性研究等が計画されている。原子核・素粒子実験施設では、K中間子,$$pi$$中間子等の2次ビームを用いて極限状態の原子核やストレンジネスを持つ原子核の研究が行われる。ニュートリノ実験では、現在つくばで行われているK2K実験より百倍強度の高いニュートリノを用いてニュートリノ振動や混合状態の精密測定が期待されている。核変換実験施設では、物理実験施設を用いて未臨界炉心の炉特性実験や制御実験を行うとともに、工学実験施設でターゲット・構造材料に関する照射実験や液体ターゲットシステムの実証試験を行う。

報告書

Design of a high brightness ion source for the Basic Technology Accelerator(BTA)

奥村 義和; 渡邊 和弘

JAERI-M 92-024, 23 Pages, 1992/03

JAERI-M-92-024.pdf:0.87MB

技術開発用加速器と呼ばれる10MeV,10mA,CWの陽子加速器のためのイオン源を設計し、製作した。このイオン源は多極磁場型プラズマ源と2段加速系から構成され、極めて高輝度の陽子ビーム(100keV,120mA,エミッタンス0.5$$pi$$mm・mrad)を生成する。このイオン源の基本設計方針とビーム光学やプラズマ生成部の磁場配位、プロトン比、ガス効率等に関する計算結果について述べる。

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