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報告書

軟X線領域のXAFS測定によるホウケイ酸ガラスの構造評価,3(共同研究)

永井 崇之; 岡本 芳浩; 山岸 弘奈*; 柴田 大輔*; 小島 一男*; 長谷川 毅彦*; 佐藤 誠一*; 深谷 茜音*; 畠山 清司*

JAEA-Research 2023-004, 45 Pages, 2023/09

JAEA-Research-2023-004.pdf:6.07MB

ホウケイ酸ガラス中のガラス成分や廃棄物成分の局所構造は、その化学組成によって変化する。本研究は、ガラス固化体を模擬したガラス(以下、模擬廃棄物ガラス)を対象に軟X線領域のXAFS測定を実施し、原料ガラス成分のホウ素(B)やケイ素(Si)、廃棄物成分の鉄(Fe)やセシウム(Cs)の化学的状態等を評価した。模擬廃棄物ガラスの化学的安定性を把握するため、浸出試験に供したガラス表面を対象に、BのK吸収端、FeのL$$_{3}$$、L$$_{2}$$吸収端及びCsのM$$_{5}$$、M$$_{4}$$吸収端のXANESスペクトル測定を行った。その結果、浸出液に曝露されたガラス表面は変化し、明瞭なXANESスペクトルが得にくくなることが分かった。BのK吸収端XANESスペクトルから、浸出試験後の試料表面は未浸漬の試料表面と比較してB-Oの3配位構造(BO$$_{3}$$)が増加し、4配位構造(BO$$_{4}$$)が減少する傾向を確認した。FeのL$$_{3}$$、L$$_{2}$$吸収端及びCsのM$$_{5}$$、M$$_{4}$$吸収端のXANESスペクトルから、浸漬時間が長くなるに従って、ガラス表面に存在するCsが浸出液中へ溶出することを確認した。未浸漬の模擬廃棄物ガラスを対象に、SiのK吸収端XANESスペクトルを測定した結果、Na$$_{2}$$O濃度によるXANESスペクトルの変化が廃棄物成分濃度による変化より大きいことを確認した。

論文

Chemical species of cesium and iodine in condensed vaporized microparticles formed by melting nuclear fuel components with concrete materials

大貫 敏彦*; Ye, J.*; 加藤 友彰; Liu, J.; 高野 公秀; 香西 直文; 宇都宮 聡*

Environmental Science; Processes & Impacts, 25(7), p.1204 - 1212, 2023/07

 被引用回数:1 パーセンタイル:44.37(Chemistry, Analytical)

福島第一原子力発電所事故により生成し環境に放出された放射性微粒子に含まれるCsとIの化学状態を明らかにするため、CsIとコンクリートを含む核燃料成分を用いた溶融実験により生成した粒子(CVP)に含まれるCsとIを分析した。CVPは直径が数10$$mu$$mより小さい丸い粒子で、CsとIを含んでいた。2種類の粒子が確認された。一つはCsとIを多く含むもので、CsIが含まれていると推定された。他方はSi量が多く、CsとIの量は少なかった。2種類の粒子に含まれるCsIの大部分は水に溶けた。Siを多く含む粒子からは一部のCsが水に溶けずに残った。これらの結果は、後者の粒子ではSiとともにCsが粒子に取り込まれ、Siによってこの粒子の溶解性が低くなったことを示す。

報告書

ラマン分光測定による模擬廃棄物ガラス凝固表面の構造評価

永井 崇之

JAEA-Research 2022-014, 84 Pages, 2023/02

JAEA-Research-2022-014.pdf:22.26MB

物性評価に供する模擬ガラス固化体試料の多くは、溶融ガラスを室温まで徐冷したガラス塊から測定手法に適した形状に加工しているが、実際のガラス固化体は、溶融炉から流下したガラスをキャニスター内で冷却凝固させる。そこで、溶融状態の模擬廃棄物ガラスを凝固させた表面を深さ方向にラマン分光測定し、凝固表面近傍のSi-O架橋組織の状況を評価した。溶融した模擬廃棄物ガラスカレットを大気下で凝固させたガラス表面近傍のラマンスペクトルは、表面からの深さ方向に対して変化し、スペクトル解析の結果、ガラス凝固表面のSi-O架橋組織は架橋酸素数の少ない構造の割合が高くなる傾向が認められた。一方、原料に用いたガラスカレットやArガス雰囲気で凝固させたガラス表面は深さ方向に対するスペクトル変化は小さく、ガラス表面近傍のSi-O架橋組織はほぼ同等であった。また、ガラス切断面も深さ方向に対するスペクトル変化は小さく、破損したガラス破断面も深さ方向に対するスペクトルの変化が小さいことを確認した。表面近傍の深さ方向に対するラマンスペクトル変化が大きいガラスは、大気雰囲気のマッフル炉内で溶融状態から室温まで冷却したガラスであり、溶融状態から凝固するまでの時間が長いほど深さ方向に対するスペクトル変化が大きくなると考えられる。ガラス凝固表面でSi-O架橋組織の架橋酸素数が少ない構造の割合が高くなる理由を確認するため、凝固表面と切断面を対象にSiのK吸収端及びCeのL$$_{3}$$吸収端をXAFS測定した。その結果、凝固表面のSiのK吸収端ピークが切断面のピークより高く、凝固する過程で表面近傍にアルカリ金属酸化物の濃度が高まる可能性が認められた。また、凝固表面と切断面のCeのL$$_{3}$$吸収端XAFSスペクトルを比較すると、凝固表面近傍のCeが切断面より4価状態にあることを確認した。

論文

Preliminary studies of XANES and DFT calculation of Ru extraction by imino-diacetamide and related compounds

佐々木 祐二; 中瀬 正彦*; 金子 政志; 小林 徹; 竹下 健二*; 松宮 正彦*

Analytical Sciences, 5 Pages, 2023/00

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Analytical)

Ru抽出に関して、XANESスペクトルとDFT計算による理論的な検討を行った。各種鉱酸からMIDOA(メチルイミノジオクチルアセトアミド)によるRu分配比はHCl $$>$$ H$$_2$$SO$$_4$$ $$>$$ HNO$$_3$$ $$>$$ HClO$$_4$$の順になった。XANESスペクトルの結果から、HClから抽出したRuの原子価は低く、有機相中でアニオン性のRuの存在とこれによるイオン対抽出を示唆した。抽出剤相互のRu分配比の比較結果(NTAamide $$>$$ MIDOA $$>$$ IDOA)はDFT計算のHOMO, LUMO間のエネルギー差と一致した。これは抽出能力と反応熱量の間に重要な関連があることを示した。

論文

Crystal structure of U$$_{1-y}$$Ln$$_{y}$$O$$_{2-x}$$ (Ln = Gd, Er) solid solution

Pham, V. M.*; 有馬 立身*; 稲垣 八穂広*; 出光 一哉*; 秋山 大輔*; 永井 崇之; 岡本 芳浩

Journal of Nuclear Materials, 556, p.153189_1 - 153189_9, 2021/12

 被引用回数:1 パーセンタイル:15.09(Materials Science, Multidisciplinary)

純Ar及びAr-10%H$$_{2}$$雰囲気1973Kで8時間焼結させた(1-x)UO$$_{2}$$-xLnO$$_{1.5}$$ (Ln=Gd or Er; x= 0 to 0.4)試料の結晶構造変化を評価した。UO$$_{2}$$に対してLnO$$_{1.5}$$を添加した場合の構造への影響を、X線回折(XRD)及びX線吸収微細構造(XAFS)法によって調べた。UO$$_{2}$$にLnO$$_{1.5}$$を添加していくと、40mol%LnO$$_{1.5}$$組成まで、UO$$_{2}$$-LnO$$_{1.5}$$固溶体の格子定数が減少していった。これらの試料の格子定数の値は、化学量論比(U,Ln)O$$_{2.00}$$の固溶体とほぼ同じであったことから、試料中のO/M比は2.00に近い状態にあるとみられる。U原子L$$_{3}$$吸収端のXANES解析は、試料中のUの酸化数に関して、4価に加えて、より高い5価あるいは6価の生成を示した。また、EXAFS解析から、U-OとGd-Oの原子間距離はxの増加とともに減少したが、Er-Oの原子間距離は単調に減少しないことがわかった。

論文

Sorption behavior of selenide on montmorillonite

杉浦 佑樹; 戸村 努*; 石寺 孝充; 土井 玲祐; Francisco, P. C. M.; 塩飽 秀啓; 小林 徹; 松村 大樹; 高橋 嘉夫*; 舘 幸男

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 324(2), p.615 - 622, 2020/05

 被引用回数:4 パーセンタイル:43.68(Chemistry, Analytical)

Batch sorption experiments were performed to investigate the sorption mechanism of Se on montmorillonite under reducing conditions in deep geological environments. Based on Eh-pH diagrams and ultraviolet-visible spectra, Se was dissolved as selenide (Se(-II)) anions under the experimental conditions. The distribution coefficients ($$K_{rm d}$$; m$$^{3}$$ kg$$^{-1}$$) of Se(-II) indicated ionic strength independence and slight pH dependence. The $$K_{rm d}$$ values of Se(-II) were higher than those of Se(IV), which also exists as an anionic species. X-ray absorption near edge spectroscopy showed that the oxidation state of Se-sorbed on montmorillonite was zero even though selenide remained in the solution. These results suggest that Se(-II) was oxidized and precipitated on the montmorillonite surface. Therefore, it is implied that a redox reaction on the montmorillonite surface contributed to high $$K_{rm d}$$ values for Se(-II).

論文

Application of M$$_{V}$$-edge XANES to determination of U oxidation state in zircon

田中 万也; 高橋 嘉夫*

Geochemical Journal, 53(5), p.329 - 331, 2019/00

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Geochemistry & Geophysics)

本研究では放射線量の異なる天然ジルコン3試料のウランM$$_{V}$$吸収端及びL$$_{III}$$吸収端XANESスペクトルの測定を行った。最も線量が高いジルコン試料中では、M$$_{V}$$吸収端及びL$$_{III}$$吸収端ともにウランが四価であることを示す結果が得られた。残りの2試料は五価ウランの存在の可能性を残しつつも、四価と六価のウランが共存していることが示唆された。本研究は、ウランM$$_{V}$$吸収端XANESを天然試料に適用した初めての論文である。

論文

Preliminary evaluation of local structure and speciation of lanthanoids in aqueous solution, iron hydroxide, manganese dioxide, and calcite using the L$$_{3}$$-Edge X-ray absorption near edge structure spectra

太田 充恒*; 田中 万也; 津野 宏*

Journal of Physical Chemistry A, 122(41), p.8152 - 8161, 2018/10

 被引用回数:1 パーセンタイル:3.25(Chemistry, Physical)

本研究では、L$$_{3}$$吸収端XANESスペクトルを用いて水溶液, 鉄水酸化物, マンガン酸化物及び炭酸カルシウム中のランタノイドの局所構造解析を行った。XANESスペクトルピークの半値幅(FWHM)はランタノイドの配位数の増加とともに減少した。しかし、こうした関係は厳密ではなく、むしろ化学形(配位子)の違いによるものと考えられた。そこでFWHMの大小関係を5d電子軌道の結晶場理論や縮退の観点から評価した。その結果、FWHMの系統的な変化は配位子によって引き起こされる結晶場分裂により説明できることが明らかとなった。本研究の結果は、XANESスペクトルの半値幅を用いることによりEXAFSのような直接的な局所構造解析法よりもより簡便にランタノイドの化学種解析を行うことができることを示した。

論文

Nitrogen K-edge X-ray absorption near edge structure (XANES) spectra of purine-containing nucleotides in aqueous solution

島田 紘行*; 深尾 太志*; 南 寛威*; 鵜飼 正敏*; 藤井 健太郎; 横谷 明徳; 福田 義博*; 斎藤 祐児

Journal of Chemical Physics, 141(5), p.055102_1 - 055102_8, 2014/08

 被引用回数:17 パーセンタイル:55.69(Chemistry, Physical)

The N K-edge X-ray absorption near edge structure (XANES) spectra of the purine-containing nucleotide, guanosine 5'-monophosphate (GMP), in aqueous solution are measured under various pH conditions. The spectra show characteristic peaks, which originate from resonant excitations of N 1s electrons to $$pi$$$$^{*}$$ orbitals inside the guanine moiety of GMP. The relative intensities of these peaks depend on the pH values of the solution. The pH dependence is explained by the core-level shift of N atoms at specific sites caused by protonation and deprotonation. The experimental spectra are compared with theoretical spectra calculated by using density functional theory for GMP and the other purine-containing nucleotides, adenosine 5'-monophosphate, and adenosine 5'-triphosphate. The N K-edge XANES spectra for all of these nucleotides are classified by the numbers of N atoms with particular chemical bonding characteristics in the purine moiety.

論文

Difference between Cr and Ni K-edge XANES spectra of rust layers formed on Fe-based binary alloys exposed to Cl-rich environment

小西 啓之; 山下 正人*; 内田 仁*; 水木 純一郎

Materials Transactions, 46(1), p.136 - 139, 2005/01

 被引用回数:2 パーセンタイル:25.71(Materials Science, Multidisciplinary)

耐候性鋼の表面に生成するさび層の保護性は、さび層の構造に関係して現れる特性である。塩分環境下でCr添加型耐候性鋼のさび層よりもNi添加型耐候性鋼のさび層が高い保護性を持つことは、それぞれのさび層中におけるCr及びNiの化学状態や局所構造などの特徴が異なることを示唆する。塩分環境下での鋼材さび層の保護性に対するCrとNiの効果の相違を説明するために、塩分環境下で大気暴露したFe-Cr及びFe-Ni合金のさび層中のCr及びNiの周辺構造を放射光を用いたXANES測定によって調べた。Cr K-edge XANES測定の結果よりFe-Cr合金のさび層中のCrの局所構造はCr添加量によって変化し、したがってその構造は不安定であり、CrまたはCrが作る分子はその周辺の原子から比較的強く相互作用を受けると考えられる。一方、Fe-Ni合金のさび層のNi K-edge XANES測定から、Niがさび層構成物質の結晶構造の中の特定の位置を占有しており、このためCl$$^{-}$$イオンなどの影響をNiはほとんど受けず、保護性さび層形成にかかわる役割を阻害されないと考えられる。

論文

XAFS and spectroscopic characterization for the structure and electronic structure of Ce-DMDPhPDA complexes in methanol

矢板 毅; 塩飽 秀啓; 鈴木 伸一; 岡本 芳浩; 島田 亜佐子*; Assefa, Z.*; Haire, R. G.*

Physica Scripta, T115, p.302 - 305, 2005/00

N,N'-dimethyl-N,N'-diphenylpyridine-2,6-carboxyamide(DMDPhPDA)セリウム錯体の構造パラメータ及び電子状態についての研究を、XAFS及び蛍光,励起スペクトル法によって行った。DMDPhPDAは、3価ランタノイドからの3価アクチノイド分離のための試薬として有望なものである。SPring-8 BL11XUにおいて測定し、CeのK吸収端XAFS解析から、セリウムと酸素及び窒素の原子間距離はそれぞれ、253pm及び264pmであることを見いだした。ピリジル基の為す平面と金属の為す角はおよそ180度であった。得られた錯体は黄色の錯体で、その吸収スペクトルは大変ブロードなものであった。このピークの長波長側の部分は他のランタノイドでは見いだされなかった。XANESスペクトルは、Ceが3価であることを示しており、この吸収帯は、f-d遷移に基づくものであると推定した。

論文

EPR studies of 5-bromouracil crystal after irradiation with X rays in the bromine K-edge region

横谷 明徳; 高倉 かほる*; 渡邊 立子; 赤松 憲*; 伊藤 隆*

Radiation Research, 162(4), p.469 - 473, 2004/10

 被引用回数:3 パーセンタイル:10.05(Biology)

DNAの放射線増感剤の一つである、5-bromouracilの単結晶に対するX線吸収スペクトルの測定を、水平面内に直線偏光した放射光を用いて、透過法により13.41から13.50keVのBrK吸収端領域で行った。その結果、4つの共鳴ピーク構造が観測された。これらのピークの相対強度は、X線の入射方向と平行にした結晶のb-c面の法線に関する回転に強く依存した。分子軌道計算により、これらのピーク構造はBr-C結合の反結合分子軌道への励起及び形状共鳴に由来することが示された。観測されたX線吸収の異方性は、これら分子軌道の角度依存性に由来すると考えられる。

論文

Electronic structures of ultra-thin silicon carbides deposited on graphite

馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; Nath, K. G.

Applied Surface Science, 234(1-4), p.246 - 250, 2004/07

 被引用回数:10 パーセンタイル:46.72(Chemistry, Physical)

炭化ケイ素(SiC)は耐熱性,化学的安定性を持つワイドギャップ半導体としての応用が期待されている材料である。しかしSiC結晶はsp$$^{3}$$結合でできており固体表面では3次元的に成長するため、数原子層以下の薄膜化は難しい。しかし最近、sp$$^{2}$$結合でできたグラファイト状の構造を持つSiC単原子層が安定に存在するという理論計算が報告された。本研究はこれを実験的に確かめるため、グラファイト単結晶表面にイオンビーム蒸着法で作成した単原子層以下のSiCの構造をX線光電子分光法(XPS),X線吸収微細構造法(XANES)などの放射光を用いた内殻分光法で調べた。その結果、XPSの化学シフト及びXANESのピークエネルギーなどから、バルクのSiCと異なる構造を持つ二次元状SiCの存在を示唆する結果が得られた。また、XANESスペクトルの偏光依存性から、この二次元相がグラファイトと類似の構造を持つことが明らかとなった。

論文

Element-specific and site-specific ion desorption from adsorbed molecules by deep core-level photoexcitation at the $$K$$-edges

馬場 祐治

Low Temperature Physics, 29(3), p.228 - 242, 2003/03

 被引用回数:54 パーセンタイル:52.35(Physics, Applied)

固体表面に低温で吸着した分子の内殻軌道電子を、放射光軟X線によって選択的に光励起することができる。この特長をうまく使うと、特定の元素を含むフラグメントを表面から選択的に脱離させたり、特定のサイトや化学結合を選択的に切断することができる。そこで、どのような場合にこのような内殻電子励起による選択的な脱離を起こすことができるかについて、さまざまな実例をあげながらわかりやすく解説した。内殻電子励起後の主なエネルギー緩和過程はオージェ遷移であるため、種々の励起エネルギーにおけるオージェ遷移と脱離イオン種,脱離イオン強度の関係を特に詳細に議論した。その結果、内殻軌道から価電子帯の反結合性の非占有軌道へ共鳴励起された電子が、この軌道に一定の時間局在することによって起こる速い結合解裂が選択的な脱離にとって極めて重要であることを明らかにした。

論文

Structural and electronic investigation of TbPdAl by means of EXAFS and XANES measurements

水牧 仁一朗*; 吉井 賢資; 北澤 英明*; 谷田 肇*

Journal of Solid State Chemistry, 171(1-2), p.291 - 294, 2003/02

 被引用回数:5 パーセンタイル:17.54(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

希土類金属間化合物TbPdAlは六方晶構造または斜方晶構造を有する。前者の構造を有する場合、ネール温度43Kと22Kに2段反強磁性転移を示し、かつ、100K近傍において同一の空間群を保ちながら構造相転移を起こすことが知られている。本研究では放射光を用いた吸収分光測定により、本系の性質について調べた。TbのL$$_{3}$$吸収端のEXAFS測定からは、上記の100K転移近傍においてTb周囲の結合長さに変化が見られた。また、TbのL$$_{3}$$吸収端XANESスペクトルは温度変化を示さないのに対し、PdのK吸収端XANESスペクトルはわずかに温度変化を示した。これは100K相転移がPdの電子構造変化に起因することを示唆する。

論文

X-ray absorption near edge structure of DNA bases around oxygen and nitrogen K-edge

藤井 健太郎; 赤松 憲; 村松 康司; 横谷 明徳

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 199, p.249 - 254, 2003/01

 被引用回数:40 パーセンタイル:91.15(Instruments & Instrumentation)

DNAを構成している分子の軟X線光化学反応の知見を得ることは、細胞内の複雑なDNA損傷とその修復反応を解き明かすための第一歩となる。DNA構成要素の電子状態を調べることは、放射線によるDNAの鎖切断や塩基損傷のメカニズムを知るうえで重要な知見を与える。本研究では、DNA構成分子のそれぞれのX線吸収微細構造(XANES)スペクトルを測定し、分子軌道法(DV-X$$alpha$$法)を用いてその帰属を行った。DNA及びその構成ユニットの窒素・酸素のK吸収端近傍のXANESスペクトルは蒸着試料の全電子収量を測定することによって得られた。実験は大型放射光施設SPring-8の日本原子力研究所軟X線ビームライン(BL23SU)で行った。XANESスペクトルの帰属は、DV-X$$alpha$$法を用いた分子軌道計算の結果を元に行った。DNAのXANESスペクトルは大きく分けて、低エネルギー($$pi$$*)領域と高エネルギー($$sigma$$*)領域に分けることができ、$$pi$$*領域のスペクトル構造は主に塩基の電子状態に由来していることがわかった。また、$$pi$$*領域内は各々の塩基によってスペクトル構造が顕著に異なり、照射する単色軟X線の光のエネルギーを選択することで、特定の塩基を選択的に励起することが可能となる。

論文

Electron paramagnetic resonance induced by K-shell resonance excitation in DNA bases in solid state

横谷 明徳; 赤松 憲*; 藤井 健太郎

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 99, p.366 - 369, 2003/01

これまでの放射光を用いた生体分子損傷研究では、おもにエンドポイントである反応生成物に主眼が置かれてきた。一方軟X線光反応を起こした直後の反応中間体の一つとして推測されるラジカル分子種については、ほとんど知見がない。この理由は、放射光ビームラインにラジカル分子種をその場"in situ"測定するための装置がなかったためである。不対電子を有するラジカル分子種はイオンと中性の両方の場合があり、また照射試料表面から脱離せずにバルク中に残る場合も多いと考えられる。このため通常のイオン分光等の測定のみでは、その全貌を追跡することが困難である。このような状況を踏まえ、われわれはラジカル測定のための電子常磁性共鳴装置を備えた実験ステーションを、これまでSPring-8に立ち上げてきた。本講演では、DNA構成塩基を試料として試験的に試みた幾つかのラジカル測定に成功したので、これを報告する。

論文

X-ray absorption study of molten uranium chloride system

岡本 芳浩; 赤堀 光雄; 伊藤 昭憲; 小川 徹

Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.638 - 641, 2002/11

LiCl-KCl共晶塩中の、UCl$$_3$$融体の局所構造について、U原子L$$_3$$吸収端XAFS測定によって調べた。XAFS測定は、高エネルギー加速器研究機構の放射光実験施設BL27Bで実施した。ウラン水素化物の塩化によって調製した、UCl$$_4$$を亜鉛粉末で還元してUCl$$_3$$を得た。カーブフィッティング解析の結果、最近接U$$^{3+}$$-Cl$$^-$$相関に関する構造情報を得た。MD計算とXAFSシミュレーションコードFEFF8の併用から、最近接U$$^{3+}$$-Cl$$^-$$相関の相互作用について評価した。また、いくつかのウランハロゲン化物のXANES測定を行い、そのシフトから原子価について評価した。

論文

Local electronic and geometric structures of silicon atoms implanted in graphite

馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 194(1), p.41 - 46, 2002/07

 被引用回数:4 パーセンタイル:29.31(Instruments & Instrumentation)

炭化ケイ素(SiC)にはいくつかの安定層があるが、いずれもsp3結合で構成された結晶構造をもつ。最近、第一原理計算により、sp2結合から構成される二次元グラファイト構造をもつSiCが安定に存在する可能性が報告された。本研究はこれを実験的に検証するため、グラファイト単結晶に低エネルギーシリコンイオンを注入し、シリコン原子周囲の電子状態と構造をX光電子分光法(XPS)と直線偏光した放射光を用いたX線吸収端微細構造法(XANES)により調べた。Si/C比が0.01の試料におけるSi K-吸収端のXANESスペクトルには、sp2結合の$$pi$$軌道への遷移と思われる低エネルギーピークが観測されるとともに、このピーク強度に顕著な偏光依存性が認められた。偏光解析の結果、$$pi$$軌道はグラファイト面に垂直に近いことが明らかとなった。このことから、シリコン濃度の小さい範囲においては、グラファイト構造をもつSixC層が存在し得ることが明らかとなった。

論文

Study of metallofullerenes encapsulating actinides

秋山 和彦; 末木 啓介*; 塚田 和明; 矢板 毅; 三宅 洋子*; 羽場 宏光*; 浅井 雅人; 兒玉 健*; 菊地 耕一*; 大槻 勤*; et al.

Journal of Nuclear and Radiochemical Sciences, 3(1), p.151 - 154, 2002/06

アクチノイドフラーレンはそのHPLC溶離挙動から2つのグループに分類することができる。第1のグループはU,Np,Amを内包した金属フラーレンでLa,Ce,Pr,Ndのような軽ランタノイドを内包したものと類似した溶離挙動を示しており、第2のグループはTh,Paを内包したもので、ランタノイドフラーレンとは全く異なった挙動を示している。溶出ピークの主成分は質量分析の結果から前者はM@C82、後者はM@C84であると同定され、内包されたU及び,Th原子の酸化状態は紫外可視近赤外吸収やX線吸収端近傍構造分光から、それぞれ3+及び、4+であることが推測される。

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