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報告書

RADREMOTE 2018; Proceedings of The 5th Fukushima Research Conference (FRC) 2018; Radiation hardness, smartness and measurement in remote technology for the decommissioning of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station

冠城 雅晃; 鳥居 建男; 小川 徹

JAEA-Review 2019-031, 251 Pages, 2020/01

JAEA-Review-2019-031.pdf:57.36MB

福島第一原子力発電所の廃炉をはじめとした過酷な放射線環境下で、現場作業者の被ばく線量を低減するため、遠隔技術やロボティクスの高度化に大きな期待が集まっている。しかし、ロボットの遠隔制御のための最先端の要素技術やセンサー, 電子機器の耐放射線性にも厳しい限界がある。原子力へのロボット技術の応用拡大に向けて、機器の耐放射線性の向上(Radiation hardness)や運用における放射線環境への適応力(Radiation smartness)が求められる。さらに、将来の核燃料デブリの探査と取り出しに向けては、福島第一原子力発電所内の高線量率現場での放射線イメージングや核燃料デブリの検出といった、放射線計測(Radiation measurement)および位置認識・周辺環境の把握のための技術の開発が必要である。今回の福島リサーチカンファレンスでは、遠隔技術のさらなる進展のため、さまざまな分野の専門化を交えて将来のビジョンを共有することを目指している。

論文

Cesium concentrations in various environmental media at Namie, Fukushima

Heged$"u$s, M.*; 城間 吉貴*; 岩岡 和輝*; 細田 正洋*; 鈴木 崇仁*; 玉熊 佑紀*; 山田 椋平; 辻口 貴清*; 山口 平*; 小倉 功也*; et al.

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 323(1), p.197 - 204, 2020/01

福島県浪江町において、2017年の部分的な避難指示区域の解除後、2つの主要河川の水中及び堆積物中の放射性セシウム濃度を大気中放射性物質濃度とともに測定した。観測された濃度は、ろ過していない河川水中の$$^{137}$$Csで最大384$$pm$$11mBq/L、大気中の$$^{137}$$Csで最大1.28$$pm$$0.09mBq/m$$^{3}$$であり、堆積物中の$$^{137}$$Csでは最大で44900$$pm$$23.4Bq/kgであった。$$^{134}$$Cs/$$^{137}$$Cs比は、これまでの研究報告とよく一致し、浪江町における堆積物中の放射性セシウムの主な起源が1号機である可能性が高いと考えられる。

報告書

平成30年度研究開発・評価報告書; 評価課題「東京電力福島第一原子力発電所事故の対処に係る研究開発」のうち「廃止措置等に向けた研究開発」(中間評価)

福島研究開発部門

JAEA-Evaluation 2019-009, 182 Pages, 2019/12

JAEA-Evaluation-2019-009.pdf:23.34MB

日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という)は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成28年12月21日内閣総理大臣決定)及びこの大綱的指針を受けて作成された「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成14年6月20日文部科学大臣決定、平成29年4月1日最終改定)、並びに原子力機構の「研究開発課題評価実施規程」(平成17年10月1日制定、平成30年3月29日最終改正)等に基づき、平成30年11月27日に「福島第一原子力発電所の廃止措置に係る技術等の研究開発」に関する事前評価を福島廃止措置研究開発・評価委員会に諮問した。これを受けて、福島廃止措置研究開発・評価委員会は、委員会において定められた評価方法に従い、原子力機構から提出された第3期中長期計画期間(平成27年4月から平成34年3月)における研究開発計画に関する説明資料の検討及び各担当者による口頭発表と質疑応答を実施した。本報告書は、福島廃止措置研究開発・評価委員会より提出された事前評価の内容をとりまとめたものである。

報告書

平成30年度研究開発・評価報告書; 評価課題「福島環境回復に関する技術等の研究開発」(中間評価)

福島研究開発部門 企画調整室

JAEA-Evaluation 2019-008, 129 Pages, 2019/12

JAEA-Evaluation-2019-008.pdf:11.63MB

福島環境研究開発・評価委員会は、委員会において定められた評価方法に従い、原子力機構から提出された第3期中長期計画期間(平成27年4月から平成34年3月)における研究開発計画に関する説明資料の検討及び各担当者による口頭発表と質疑応答を実施した。本報告書は、福島環境研究開発・評価委員会より提出された中間評価の内容をとりまとめるとともに、「評価結果(答申書)」を添付したものである。

論文

Development of an external radiation dose estimation model for children returning to their homes in areas affected by the Fukushima Nuclear Accident

森 愛理; 高原 省五; 吉田 浩子*; 眞田 幸尚; 宗像 雅広

Health Physics, 117(6), p.606 - 617, 2019/12

On 1 April 2017, evacuation orders in large areas were lifted. To estimate external radiation doses to children after returning to these areas, a dose estimation model based on a probabilistic approach has been developed. Validation of the model in an area for which individual personal dosimetry measurements were available show that it is valid for infants, kindergarteners, 3rd to 6th grade elementary school students, and junior high school students. As a result of our estimations, 95th percentile doses to all age groups were less than 20 mSv y$$^{-1}$$ in period from 2017 to 2020 and in all areas. Doses in some areas were less than 1 mSv y$$^{-1}$$, which is the long-term dosimetric target set by Japanese government. It is noted that our results are preliminary. To estimate doses to the children precisely, further considerations for assumptions and limitations on the environmental contamination conditions and behavioral patterns of children will be needed.

論文

Simulation study of the effects of buildings, trees and paved surfaces on ambient dose equivalent rates outdoors at three suburban sites near Fukushima Dai-ichi

Kim, M.; Malins, A.; 吉村 和也; 佐久間 一幸; 操上 広志; 北村 哲浩; 町田 昌彦; 長谷川 幸弘*; 柳 秀明*

Journal of Environmental Radioactivity, 210, p.105803_1 - 105803_10, 2019/12

放射能被害地域において空間線量率のシミュレーション精度を向上させるには、環境内の放射性核種の異なる分布、例えば、農地, 都市, 森林の放射能レベル差を考慮して現実的にモデル化する必要がある。さらには建物, 樹木, 地形による$$gamma$$線の遮蔽効果をモデルに考慮すべきである。以下に、福島県の市街地及び農地の3次元モデルの作成システムの概要を述べる。線源設定は$$^{134}$$Cs及び$$^{137}$$Csの放射能分布をモデルのさまざまな環境要素に異なる分布設定が可能である。構造物については、現地の建物モデルにおいては日本の典型的な9種類の建物モデルを用いて作成される。また、樹木については広葉樹と針葉樹モデル、地形モデルは、地形を考慮した地表面モデルを取り込んだ。計算対象のモデルの作成時は、数値標高モデル(DEM),数値表面モデル(DSM)及びユーザー編集の際にサポートする対象領域のオルソ画像で作られる。計算対象のモデルが作成されたら、放射線輸送解析計算コードであるPHITSに適したフォーマットでシステムから出力される。上記のシステムを用いて、福島第一原子力発電所から4km離れた地域でかつ、まだ除染作業が行われてない郊外を計算対象としてモデルを作成した。モデル作成後、PHITSによる空間線量率の計算結果は走行サーベイの実測値との相関があった。

論文

Land use types control solid wash-off rate and entrainment coefficient of Fukushima-derived $$^{137}$$Cs, and their time dependence

脇山 義史*; 恩田 裕一*; 吉村 和也; 五十嵐 康記*; 加藤 弘亮*

Journal of Environmental Radioactivity, 210, p.105990_1 - 105990_12, 2019/12

This study provides the results of observations of plot-scale $$^{137}$$Cs wash-off from various land uses (two uncultivated farmlands, two cultivated farmlands, three grasslands and one forest) from 2011 to 2014. Annual $$^{137}$$Cs wash-off rate ranged from 0.0026 to 7.5% per year, and more vegetation cover resulted in lower sediment discharge. $$^{137}$$Cs concentration observed in uncultivated farmland plot decreased with time and the rate was lower than those of riverine, suggesting that contributions of $$^{137}$$Cs from the upslope area may be insignificant to that in riverine. A negative relationship between $$^{137}$$Cs concentration normalized by initial deposition amount and sediment concentration in runoff water was found. Cultivation appeared to cause enhanced soil erosion and resulted in constant relatively low $$^{137}$$Cs concentration. A contribution of coarse organic matter to $$^{137}$$Cs wash-off was suggested in the forest, which had relatively high $$^{137}$$Cs concentration and low sediment discharge.

論文

On the hydrogen production of geopolymer wasteforms under irradiation

Cantarel, V.; 有阪 真; 山岸 功

Journal of the American Ceramic Society, 102(12), p.7553 - 7563, 2019/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Materials Science, Ceramics)

放射性廃棄物固化において、固化体からの水素発生は安全上の主要な懸念事項である。ジオポリマー材で固化する場合、材の多孔質構造中に多量の水が存在するため、水の放射線分解による水素発生が重要な因子となる。本研究では、ジオポリマー材単独またはゼオライト(模擬廃棄物)を含むジオポリマー固化体を、水飽和度と試料サイズを変えて$$^{60}$$Co $$gamma$$線で照射し、水素放出量を測定した。試料が塊状でサイズが大きく(円筒形40cm長)かつ水で飽和している場合(円筒形40cm長)の水素ガス放出量は1.9$$times$$10$$^{-10}$$ mol/Jであり、粉末試料の放出量2.2$$times$$10$$^{-8}$$ mol/Jよりも2桁小さかった。測定結果をジオポリマー中での水素の発生、再結合および拡散挙動を考慮したモデルにより解釈した。ジオポリマー中の拡散係数が既知であれば、モデルは水素放出量を水飽和度の関数として再現でき、試料サイズ40cmまでの放出量を予測できることがわかった。

論文

福島第一原発港湾からの放射性セシウム137の推定流出量の変遷; 2011年4月$$sim$$2018年6月までの7年間に渡る月間流出量の推定

町田 昌彦; 山田 進; 岩田 亜矢子; 乙坂 重嘉; 小林 卓也; 渡辺 将久; 船坂 英之; 森田 貴己*

日本原子力学会和文論文誌, 18(4), p.226 - 236, 2019/12

2011年4$$sim$$5月にかけて発生した東京電力HD・福島第一原子力発電所2号機及び3号機からの汚染水の海洋への直接流出以後、神田は相対的に小さいが連続的な放射性物質の流出が引き続き起こっていることを指摘している。しかし、その期間は2012年9月までであり、その後の流出量の推定についての報告はない。そこで、本論文では、その後を含めて2011年4月から2018年6月までの7年間に渡りCs-137の流出量を推定した結果を報告する。報告のない時期、国・東京電力HDは、流出を抑制するための努力を続け、港湾内海水の放射性核種濃度は徐々に減少している。われわれは、一月単位でCs-137の流出量を二つの手法、一つは神田の提案した手法だがわれわれの改良を加えた手法とボロノイ分割によるインベントリー評価法を使い評価した。それらの結果から、前者の手法は常に後者の手法と比べて保守的だが、前者の後者に対する比は1桁の範囲内であることが分かった。また、それらの推定量から簡単に沿岸域に対するインパクトを評価し、特に魚食による内部被ばく量を推定したところ、1Fの海洋流出量に基づく内部被ばく分は極めて小さいことが分かった。

報告書

平成30年度原子力発電所周辺における航空機モニタリング(受託研究)

普天間 章; 眞田 幸尚; 石崎 梓; 古宮 友和; 岩井 毅行*; 瀬口 栄作*; 松永 祐樹*; 河端 智樹*; 萩野谷 仁*; 平賀 祥吾*; et al.

JAEA-Technology 2019-016, 116 Pages, 2019/11

JAEA-Technology-2019-016.pdf:14.09MB

2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、航空機等を用いた空からの測定方法が適用されている。ここでは、2018年度に実施した福島第一原子力発電所周辺におけるモニタリング結果についてまとめた。過去の福島第一原子力発電所周辺におけるモニタリング結果から空間線量率等の変化量を評価し、変化量に寄与する要因について考察した。また、空気中のラドン子孫核種の弁別手法を測定結果に適用して、空気中のラドン子孫核種が航空機モニタリングに与える影響について評価した。さらに、航空機モニタリングによる空間線量率の計算精度向上に資するために、過去の航空機モニタリングデータを用いて地形の起伏を考慮に入れた解析を行なった。地形の起伏を考慮に入れる前後で解析結果を比較し、本手法による精度向上効果を評価した。

論文

Transport and redistribution of radiocesium in Fukushima fallout through rivers

谷口 圭輔*; 恩田 裕一*; Smith, H. G.*; Blake, W.*; 吉村 和也; 山敷 庸亮*; 倉元 隆之*; 斎藤 公明

Environmental Science & Technology, 53(21), p.12339 - 12347, 2019/11

 被引用回数:0

The Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FDNPP) accident released the largest quantity of radiocesium into the environment since Chernobyl. Here, we show for the first time, how redistribution of radiocesium by river and watershed-scale hydrological processes in Fukushima is driving localized decline in terrestrial dose rates in populated areas. The rate of Fukushima recovery greatly exceeds initial post-disaster expectations and indicates that landscape-scale recovery from such large contamination events is highly dependent on local hydrological and land use controls.

論文

Numerical study of transport pathways of $$^{137}$$Cs from forests to freshwater fish living in mountain streams in Fukushima, Japan

操上 広志; 佐久間 一幸; Malins, A.; 佐々木 祥人; 新里 忠史

Journal of Environmental Radioactivity, 208-209, p.106005_1 - 106005_11, 2019/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Environmental Sciences)

本報告では、セシウム137の森林内での循環と河川への流出、渓流に生息する淡水魚への移行を考慮したコンパートメントモデルを構築し、福島の環境に基づいて一般化した流域を対象に解析を行い、淡水魚へ移行するセシウム137の森林内の流出源を推定した。その結果、セシウム137の流出源は、落葉の河川への直接流入、落葉層からの側方流入、土壌層からの側方流入の3つからなることがわかった。また、森林内のセシウム137の循環は事故後10年程度で平衡状態に近づき、それに伴って河川水や淡水魚のセシウム137濃度は物理減衰程度になると推測された。

論文

Characterizing vertical migration of $$^{137}$$Cs in organic layer and mineral soil in Japanese forests; Four-year observation and model analysis

武藤 琴美; 安藤 麻里子; 松永 武*; 小嵐 淳

Journal of Environmental Radioactivity, 208-209, p.106040_1 - 106040_10, 2019/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Environmental Sciences)

福島第一原子力発電所事故により森林に沈着した放射性Csによる長期的な放射線のリスクを評価するためには、森林の表層土壌における放射性Csの挙動を明らかにすることが重要である。本研究では、事故後4.4年間で5回、福島県内の植生の異なる森林5地点において放射性Csの鉛直分布の調査を行い、モデル計算の結果との比較を行った。また、欧州の森林における文献値と比較を行い、日本の森林における有機物層と表層土壌における放射性Csの移行特性を考察した。調査の結果、有機物層から鉱物土壌への$$^{137}$$Cs移行は欧州よりも早く、日本の森林では$$^{137}$$Csの移動度や生物利用性が急速に抑制されることが示唆された。鉱物土壌中の$$^{137}$$Cs拡散係数は0.042-0.55cm$$^2$$y$$^{-1}$$と推定され、日本と欧州で同程度であった。これらのパラメータを用いた予測計算では事故から10年後では$$^{137}$$Csは主に表層鉱物土壌に分布していることが示され、森林に沈着した放射性Csは表層土壌に長期的に保持されることが示唆された。

論文

Temporal decrease in air dose rate in the sub-urban area affected by the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident during four years after decontamination works

中間 茂雄; 吉村 和也; 藤原 健壮; 石川 浩康; 飯島 和毅

Journal of Environmental Radioactivity, 208-209, p.106013_1 - 106013_8, 2019/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Environmental Sciences)

除染後の空間線量率の低下傾向とそれに影響を及ぼす要因は、公衆の外部被ばくの予測や被ばく低減対策の実施など、放射線防護のための重要な情報である。本研究では、2012年11月から4年間、除染を実施した福島第一原子力発電所周辺の避難区域における163地点で空間線量率の減少を調査した。アスファルト舗装上の空間線量率は土壌表面よりも急速に減少すること、森林付近の空間線量率は、周囲の開けた場所よりも減少が遅いことが明らかとなった。これらの結果は、都市部における空間線量率は、土地利用によらず、除染後においても減少が早いことを示唆している。また、他の研究との比較から、空間線量率は避難区域内よりも避難区域外の方が早く減少する傾向があること、除染後の空間線量率の低下は除染前よりも遅いことが明らかとなった。物理減衰を除く生態学的減少率のうち、風化と人間活動による減少の寄与は、それぞれ約80%と20%と推定された。

論文

A Modeling approach to estimate the $$^{137}$$Cs discharge in rivers from immediately after the Fukushima accident until 2017

佐久間 一幸; 中西 貴宏; 吉村 和也; 操上 広志; 難波 謙二*; Zheleznyak, M.*

Journal of Environmental Radioactivity, 208-209, p.106041_1 - 106041_12, 2019/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Environmental Sciences)

タンクモデルとL-Q式を用いた簡易な$$^{137}$$Cs流出モデルを開発した。福島第一原子力発電所事故初期から2017年にかけて、阿武隈川および浜通り河川から海洋へ流出する$$^{137}$$Cs量および流出率を推定した。事故後約半年間における$$^{137}$$Cs流出量および流出率はそれぞれ、18TBq(3.1%)および11TBq(0.8%)であった。これらは2011年6月以降に観測された流出率に比べ、1-2桁程度高く、事故初期の流域から河川を通じて流出する$$^{137}$$Csは非常に重要であると考えられた。しかし、河川を通じた海洋への$$^{137}$$Cs流出量は、福島第一原子力発電所からの直接放出(3.5PBq)および大気由来の沈着量(7.6PBq)に比べ、2桁程度小さいため、海洋への影響は限定的であることが示唆された。

論文

An Experimental investigation of influencing chemical factors on Cs-chemisorption behavior onto stainless steel

西岡 俊一郎; 中島 邦久; 鈴木 恵理子; 逢坂 正彦

Journal of Nuclear Science and Technology, 56(11), p.988 - 995, 2019/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)

シビアアクシデント(SA)解析コードで用いられているCs化学吸着モデルの改良に資する知見取得のため、セシウムの鋼材への化学吸着挙動に影響を与える化学的要因(温度・雰囲気・関係する元素のの濃度など)を実験的に評価した。その結果、既存のCs化学吸着モデルで使用されている表面反応速度定数が、既に知られている温度依存性だけでなく、雰囲気,気相中の水酸化セシウム(CsOH)濃度、SUS304中に含まれるケイ素(Si)濃度にも影響を受け、Cs化学吸着モデルの改良においてはこれらの化学的要因を考慮すべきであることがわかった。加えて、873K程度の比較的低温での化学吸着においてはCs-Fe-O化合物が主な化合物として生成し、Cs-Si-Fe-Oが主に生成する1073K以上の化学吸着とは挙動が異なることがわかった。

論文

Repeatability and reproducibility of measurements of low dissolved radiocesium concentrations in freshwater using different pre-concentration methods

栗原 モモ*; 保高 徹生*; 青野 辰雄*; 芦川 信雄*; 海老名 裕之*; 飯島 健*; 石丸 圭*; 金井 羅門*; 苅部 甚一*; 近内 弥恵*; et al.

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 322(2), p.477 - 485, 2019/11

 被引用回数:0

福島県の淡水に含まれる低レベル溶存態放射性セシウム濃度の測定に関する繰り返し精度と再現精度を評価した。21の実験施設が5つの異なる前濃縮法(プルシアンブルー含浸フィルターカートリッジ,リンモリブデン酸アンモニウム共沈,蒸発,固相抽出ディスク、およびイオン交換樹脂カラム)によって10L試料3検体を前濃縮し、放射性セシウム濃度を測定した。全$$^{137}$$Cs濃度測定結果のzスコアは$$pm$$2以内で、手法間の誤差は小さいことが示された。一方で、各実験施設内の相対標準偏差に比べて、施設間の相対標準偏差は大きかった。

論文

福島県内山域における歩行サーベイによる線量率測定とデータ解析

土肥 輝美; 武藤 琴美; 吉村 和也; 金井塚 清一*; 飯島 和毅

KEK Proceedings 2019-2, p.14 - 19, 2019/11

福島第一原子力発電所(FDNPP)の事故により放射性物質が環境中に放出された。現在の空間線量率を支配しているのは$$^{137}$$Csで、その多くは山地森林に沈着し残存しているが、アクセスの困難さもあって空間線量率の実測値のデータは十分とは言えない。山域において$$^{137}$$Csによる汚染の実態を把握することは、林業・林産物・レクリエーション利用の観点において重要である。本研究では、湿性沈着が優勢とされる主要なプルーム軌跡に着目し、同軌跡上における高太石山および十万山において標高や方位が空間線量率の分布に与える影響を調べるため、歩行サーベイを行った。さらに、歩行サーベイで得られた空間線量率の実測値とデータの解析から、沈着メカニズムの評価を試みた。その結果、高太石山では山域の東側で高く、西側で低い傾向が認められるなど空間線量率の方位依存性が明瞭に示された。さらに山麓付近の標高で空間線量率が高くなっていた。このような特徴から、高太石山ではFDNPPからのプルーム通過による沈着が起きている可能性が新たに見出された。十万山では、空間的に一様な線量率の分布がみられ、高太石山のような方位依存性は認められなかった。十万山の空間線量率の標高特性からは、航空機サーベイと大気拡散シミュレーションから推定された湿性沈着と同様の傾向が示されたことから、湿性沈着の影響を受けた可能性が考えられる。よって、今回の地上計測によって、FDNPP近傍の同一プルーム軌跡上の山域であっても、沈着メカニズムが異なる可能性が示された。

論文

福島原発事故後の飛翔性昆虫における放射性セシウム濃度

田中 草太; 柿沼 穂垂*; 足達 太郎*; 高橋 知之*; 高橋 千太郎*

KEK Proceedings 2019-2, p.179 - 182, 2019/11

福島第一原子力発電所事故後の節足動物における放射性セシウム濃度の経年変化は、食性によって大きく異なり、昆虫類などを捕食する肉食性のジョロウグモでは、植食性のコバネイナゴや雑食性のエンマコオロギと比較して、放射性セシウム濃度が維持される傾向にある。餌資源を生きた植物、すなわち、生食連鎖に依存する種は、事故後の時間経過とともに放射性セシウムが減少するのに対して、汚染が蓄積するリターや土壌表層の有機物に起因する腐食連鎖に依存する種は、放射性セシウム濃度が維持されるものと考えられる。造網性のクモ類は、森林土壌の表層から発生する飛翔性昆虫に主な餌資源を依存しているために、放射性セシウム濃度が維持するものと予想される。しかしながら、土壌表層から地上部に生息する捕食者への放射性セシウムの移行をどのような餌昆虫が担っているかは不明である。そこで本研究では、造網性クモ類の餌となる飛翔性昆虫について、放射性セシウム濃度を調査した。その結果、事故8年後においても、飛翔性昆虫の多くから、$$^{137}$$Csが検出された。特に、造網性のクモ類の餌となる腐食性のハエ類が、放射性セシウムの移行経路の1つとして重要である可能性が示唆された。

論文

Intercomparison of numerical atmospheric dispersion prediction models for emergency response to emissions of radionuclides with limited source information in the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident

岩崎 俊樹*; 関山 剛*; 中島 映至*; 渡邊 明*; 鈴木 靖*; 近藤 裕昭*; 森野 悠*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 滝川 雅之*; et al.

Atmospheric Environment, 214, p.116830_1 - 116830_11, 2019/10

放射性物質の事故放出のための大気拡散予測モデルの利用が日本気象学会の作業部会により勧告された。本論文の目的は、2011年の福島第一原子力発電所からの事故放出に関する予測モデル相互比較によるこの勧告の検証である。放出強度は、放出の時間変化が得られない場合の最悪ケースを想定するため予測期間内で一定と仮定された。放射性物質の吸入を防ぐには地上大気の汚染度、湿性沈着に伴う放射線被ばく軽減には鉛直積算量の利用が想定される。予測結果はアンサンブル幅を有しているが、共通して時間空間的な相対的危険度を示しており、公衆に効果的な警告を不足なく出すのに非常に有用である。信頼性向上にはマルチモデルアンサンブル手法が効果的であろう。

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