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Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 永野 正光*; 野口 英行*
Journal of Nanomaterials, 2012, p.528256_1 - 528256_9, 2012/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Nanoscience & Nanotechnology)シリコンポリマーは炭素ポリマーに比べてシグマ軌道間のエネルギー準位の差(バンドギャップ)が小さいため、理想的な一次元電導体として分子デバイスにおける電子配線としても注目されている。一次元ポリマー薄膜の電気伝導特性や光学特性などの電子物性は、固体表面におけるポリマーの配向に大きく依存する。そこで、真空蒸着法で作成した一次元状シリコンポリマー薄膜の配向を、直線偏光した放射光を用いたX線吸収微細構造法(XAFS)により調べた。高配向性熱分解グラファイト(HOPG)表面に蒸着したポリジメチルシラン(PDMS)のSi K-吸収端XAFSスペクトルに認められる2つのピークの強度は放射光の入射角により変化した。この入射角依存性を解析した結果、PDMS分子は、HOPG表面に平行に"寝ている"ことがわかった。これは、金属銅やインジウムスズ酸化物(ITO)表面においてPDMS分子は垂直に"立っている"というわれわれが依然報告した結果と全く反対であった。HOPG表面でのみポリマーが"寝る"という現象は、ポリマー中のCH結合とHOPG表面のパイ軌道との強い静電相互作用によると結論した。
Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 永野 正光*; 野口 英行*
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, P. 159, 2012/00
直線偏光した放射光軟X線を用いたX線吸収微細構造法(NEXAFS)により、固体表面に蒸着した一次元状シリコンポリマーの配向を調べた。高配向性熱分解グラファイト(HOPG)表面に蒸着したポリジメチルシラン(PDMS)のSi K-吸収端NEXAFSスペクトルには明瞭な偏光依存性が観測された。この偏光依存性を解析した結果、PDMSはHOPG表面に平行に「寝ている」ことがわかった。これは金属銅やインジウムスズ酸化物(ITO)表面においてPDMS分子は垂直に「立っている」というわれわれが以前報告した結果と全く反対であった。このような表面による配向の違いを、表面の平坦性や基板-分子相互作用の大きさから議論した。
Mannan, M. A.; 馬場 祐治; 木田 徹也*; 永野 正光*; 下山 巖; 平尾 法恵; 野口 英行*
Thin Solid Films, 519(6), p.1780 - 1786, 2011/01
被引用回数:19 パーセンタイル:61.17(Materials Science, Multidisciplinary)ホウ素,炭素,窒素を含む有機分子を原料物質に用い、高周波プラズマ加熱法により、ニッケル単結晶及びチタン表面にホウ素-炭素-窒素から成るハイブリッド薄膜を合成し、その配向について種々の分光学的手法により調べた。X線回折の結果、合成した薄膜は軌道を持つことがわかった。ラマン分光測定の結果も、軌道を持つB-C-N結合の生成を支持するものであった。放射光を用いたX線吸収端微細構造の測定結果から、ホウ素原子は3つの窒素原子と配位したBN構造をとり、BCN薄膜はニッケル単結晶表面に平行に配向することがわかった。一方、多結晶のチタン表面においては、BCN薄膜はランダムに配向することから、表面の化学的活性度が表面の配向に影響することがわかった。
Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; 永野 正光*; 野口 英行*
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 181(2-3), p.242 - 248, 2010/08
被引用回数:5 パーセンタイル:31.03(Spectroscopy)有機分子やポリマーなど異方性分子の薄膜の電気的,光学的特性は、結晶構造や電子構造だけでなく、分子の配向にも大きく依存する。そこで放射光を用いて、導電性透明基板として用いられているインジウム・スズ酸化物(ITO)表面に蒸着したシリコンポリマーの分子配向を調べた。試料は、最も簡単なシリコンポリマーであるポリジメチルシラン(PDMS)を用いた。PDMSを電子衝撃加熱法によりITO表面に1層ずつ精密に蒸着し、直線偏光した放射光を用いてSi K-吸収端のX線吸収スペクトルを測定した。その結果、スペクトルの吸収ピーク強度に顕著な偏光依存性が認められた。これを解析した結果、ポリマーのSi-Si分子軸は表面に対して40度傾いていることがわかった。この角度は、表面に垂直に立ったポリマーがヘリカル構造をとったときの角度にほぼ一致する。以上の結果から、PDMSは自己組織化過程により、高度に配向することが明らかとなった。
菊地 正博; Hussain, M. S.*; 森下 憲雄; 鵜飼 光子*; 小林 泰彦; 下山 雄平*
Spectrochimica Acta, Part A, 75(1), p.310 - 313, 2010/01
照射された生鮮マンゴーに誘起されたラジカルに関して電子スピン共鳴(ESR)分光法による研究が行われた。生鮮状態のマンゴーは線で照射され、凍結乾燥後に粉末に磨砕された。粉末のESRスペクトルは、g=2.004の強いメインピークと、そのメインピークを中心とする1対のピークが検出された。メインピークは、果肉と果皮の両方の検体で検出された。このピーク高は照射後の保存中に徐々に減少した。一方、サイドピークは照射9日後でさえ、はっきりした線量応答関係を示した。したがって、サイドピークは生鮮マンゴーの照射を見分ける有用な手法を提供する。
菊地 正博; Hussain, M. S.*; 森下 憲雄; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 鵜飼 光子*; 下山 雄平*; 小林 泰彦
JAEA-Review 2009-041, JAEA Takasaki Annual Report 2008, P. 86, 2009/12
熱帯果実の輸入の際には病害虫防除のため検疫処理が必要であり、世界的には放射線照射が用いられつつある。照射が用いられた場合、その表示が必要で、表示の信頼性を担保するために検知法が必要となる。照射された生マンゴーかどうかを判別するため、ESRを用いたラジカル検出を行った。凍結乾燥後にESRメインピークが観察されたが、そのシグナル強度は熟度や保存期間に影響された。われわれは、サイドピークの有無が検疫処理の線量で照射された生マンゴーを検知する指標となることを見いだした。ESR法は複雑な前処理なしに測定できるので、より広範な食品に対しての照射処理の検知法としてこの方法は利用できる。
菊地 正博; Hussain, M. S.*; 森下 憲雄; 鵜飼 光子*; 下山 雄平*; 小林 泰彦
Radioisotopes, 58(12), p.789 - 797, 2009/12
本論文では、電子スピン共鳴(ESR)法を用いて、放射線照射により生マンゴー果肉と果皮に誘起されたラジカルを凍結乾燥後に検出できたので報告する。フィリピン産の生マンゴーを線照射し、その凍結乾燥粉末をESR装置で測定した。水分含量の高いマンゴー果肉・果皮の検体を用いて=2.004を中心とする鋭い1本線のメインピークと一対のサイドピークが検出された。果肉・果皮で測定されたメインピーク高は照射後数日で減衰して安定しないため、検知法として利用できなかった。一方、一対のサイドピークは照射当日から9日後まで線量依存性が変化しなかったことから、生マンゴーの検知法として利用可能であると考えられた。本サイドピークを利用することで、これまで乾燥食品に限定して用いられてきたESR法が、生マンゴーをはじめとする熱帯果実や生鮮野菜など多くの生鮮食品へ適用できる可能性がある。
Mannan, M. A.*; 木田 徹也*; 野口 英行*; 永野 正光*; 下山 巖; 平尾 法恵; 馬場 祐治
Journal of the Ceramic Society of Japan, 117(1364), p.503 - 507, 2009/04
被引用回数:11 パーセンタイル:53.74(Materials Science, Ceramics)トリス-ジメチル-アミノボランを原料物質として用い、高周波プラズマ誘起化学蒸着法によりSi(100)単結晶表面に高度に配向した六方晶のホウ素-炭素-窒素薄膜(BCN薄膜)を作成することに成功した。六方晶BCNの結晶が生成していることは、フーリエ変換赤外分光法及びX線回折法により確認した。メタンと水素の混合気体をキャリアーガスとして用いると、窒素を用いたときよりも炭素濃度が増大した。X線光電子分光測定の結果、生成したBCN薄膜中には、B-N結合,B-C結合,C-N結合などさまざまな結合状態が存在することがわかった。また、放射光を用いたX線吸収端微細構造(NEXAFS)測定の結果、ホウ素K-吸収端にパイ共鳴ピークが認められることから、BCN薄膜中には、六方晶BN薄膜に存在するBN結合と同様に、混成軌道を持つことがわかった。以上の結果と、NEXAFSスペクトルの偏光依存性から、生成したBCN薄膜は、高度に配向していることが明らかとなった。
山崎 千里*; 村上 勝彦*; 藤井 康之*; 佐藤 慶治*; 原田 えりみ*; 武田 淳一*; 谷家 貴之*; 坂手 龍一*; 喜久川 真吾*; 嶋田 誠*; et al.
Nucleic Acids Research, 36(Database), p.D793 - D799, 2008/01
被引用回数:52 パーセンタイル:71.15(Biochemistry & Molecular Biology)ヒトゲノム解析のために、転写産物データベースを構築した。34057個のタンパク質コード領域と、642個のタンパク質をコードしていないRNAを見いだすことができた。
Uddin, M. N.*; 下山 巖; 関口 哲弘; Nath, K. G.*; 馬場 祐治; 永野 正光*
JAEA-Research 2006-034, 72 Pages, 2006/06
イオンビーム蒸着法によりホウ素,炭素,窒素からなる二次元薄膜(B-C-Nハイブリッド薄膜)を合成し、その電子構造と立体構造を放射光を用いた内殻分光法により調べた。B-C-Nハイブリッド薄膜は、種々の温度で高配向性熱分解グラファイト(HOPG)表面にボラジンガスの放電により生成したプラズマを蒸着させることにより合成した。薄膜の構造はX線光電子分光法(XPS)及びX線吸収端微細構造法(NEXAFS)によりその場観察した。XPS測定の結果、薄膜中のホウ素,炭素,窒素原子はB-C, B-N, B-C-Nなど種々の結合状態をとることがわかった。B-C-Nハイブリッドは高温で作成するほど効率よく生成し、ホウ素の濃度が低い領域ではB-C-N結合をもつ薄膜の生成が支配的になることを明らかにした。NEXAFSスペクトルには、B 1s軌道から的性格を持つ価電子帯の非占有軌道への共鳴吸収によるピークが明瞭に観測された。このピークの偏光依存性を調べた結果、ホウ素の濃度が低い領域においてグラファイトと同様な配向性をとる二次元状のB-C-Nハイブリッド薄膜が安定に存在することを明らかにした。
Uddin, M. N.*; 下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Nath, K. G.*; 永野 正光*
Journal of Applied Physics, 99(8), p.084902_1 - 084902_5, 2006/04
被引用回数:4 パーセンタイル:17.05(Physics, Applied)六方晶グラファイトと同様の構造を持つホウ素-炭素-窒素系ハイブリッド薄膜の作成条件の検討と構造解析を行った。試料は、配向性グラファイト表面にベンゼン状の有機分子であるボラジン(BNH)イオンプラズマを注入することにより作成した。表面の構造は、X線光電子分光法(XPS)及び直線偏光した放射光を用いたX線吸収微細構造法(NEXAFS)によりその場観察した。XPS測定の結果、作成したB-C-N薄膜中のホウ素原子は、B-C, B-N, B-C-Nなどさまざまな結合状態をとることがわかった。ホウ素K-吸収端のNEXAFSスペクトルには、B 1s軌道から価電子帯の*軌道及び*軌道への共鳴吸収ピークが明瞭に認められた。このことは、ホウ素原子が、となりの原子とsp2結合を形成することを示唆している。800Cにおいて作成したB-C-N薄膜のホウ素K-吸収端のNEXAFSスペクトルにおけるB 1s*共鳴吸収ピークは、グラファイトのC 1s*共鳴吸収ピークと同様の偏光依存性を示した。この結果から、六方晶グラファイトと同様の配向性を持つB-C-Nハイブリッド薄膜が安定に存在することを明らかにした。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Nath, K. G.*; Uddin, M. N.*
Journal of Physics; Condensed Matter, 17(36), p.5453 - 5466, 2005/09
被引用回数:1 パーセンタイル:6.21(Physics, Condensed Matter)ハロゲン置換,NCO-基置換した有機シリコン化合物について、その凝集試料のSi K吸収端近傍におけるX線吸収スペクトル(NEXAFS)測定とその偏光依存性測定を行い、その電子状態及び分子配向性、特に配向性が発生する機構を明らかにした。凝集表面において分子間の双極子-双極子相互作用により反平行配置を取りやすく、それが系全体の平均配向として現れること、正四面体型分子に近い構造の場合ほど最密充填構造をとり水平配向度が高くなる傾向があるなどのことが明らかとなった。また、スペクトルの蒸着速度依存性測定から動力学的要因によっても分子軸配向が影響を受けることを明らかにした。
Uddin, M. N.; 下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 永野 正光*
Journal of Vacuum Science and Technology A, 23(3), p.497 - 502, 2005/05
被引用回数:39 パーセンタイル:77.19(Materials Science, Coatings & Films)B-C-Nハイブリッドは新奇半導体材料として注目されており、これまでさまざまな合成方法が試みられてきた。しかし合成された試料の多くはグラファイトと窒化ホウ素(BN)の混晶とともにさまざまな化合物を含み特定の結晶構造をもった単一成分の合成に成功した例はまだない。したがって合成方法の開発はまだ発展段階にある。われわれはイオン注入法を用いてその合成を試み、生成物のキャラクタリゼーションをX線光電子分光法(XPS)を用いて行った。イオン注入の供給ガスとしてはボラジン(BNH)を用い、室温,600C、及び850Cの3つの温度でグラファイトにイオン注入を行った。各温度におけるさまざまなイオンフルエンスで測定されたXPSスペクトルにおいてB-C, B-N, N-C、及びB-C-N結合形成が観測された。これらの結合状態は基板温度とイオンフルエンスに大きく依存し、B-C-Nハイブリッド成分が高温,低フルエンスにおいて成長したことから、温度・フルエンスによりB-C-Nの組成を制御することが可能であることを示した。
Uddin, M. N.; 下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Nath, K. G.; 永野 正光*
Applied Surface Science, 241(1-2), p.246 - 249, 2005/01
被引用回数:8 パーセンタイル:37.08(Chemistry, Physical)類似化合物であるグラファイトと六方晶窒化ホウ素はそれぞれ半金属と絶縁体であって電子構造は全く異なる。これにより両者のハイブリッド材料(B-C-Nハイブリッド)半導体的性質を持つことが期待されている。われわれはB-C-Nハイブリッドを合成するためにグラファイトにボラジン(BNH)をイオン注入することによりB-C-Nハイブリッド合成を試みた。実験は高エネルギー加速器研究機構放射光施設で行った。室温及び、YAGレーザーで600Cに加熱したグラファイトに3keVに加速したボラジンのプラズマをさまざまなフルエンスで打ち込み、B原子周囲の化学結合状態について光電子分光法(XPS)を用いて調べた。室温,600CでのB1s XPSスペクトルはともにB-C, B-N, B-C-N結合に由来するさまざまな成分を示したが、各成分の強度比は温度とフルエンスに大きく依存した。特にB-C-Nに帰属されるピークは室温で合成した試料に比し600Cで合成した試料において大きく成長し、ドミナントな成分になることが確認された。この結果によりB-C-Nハイブリッドは高温でのイオン注入により優先的に合成されることを示した。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; Nath, K. G.*; Uddin, M. N.*
no journal, ,
ハロゲン置換,NCO-基置換した有機シリコン化合物(CH)SiX(X = F, Cl, Br, I, NCO)について、その凝集試料のSi K吸収端近傍におけるX線吸収スペクトル(NEXAFS)測定とその偏光依存性測定を行った。NEXAFSスペクトルの偏光依存性から塩素体のSi-X結合が最も顕著な水平配向を示すことが明らかとなった。その電子状態及び分子配向性が発生する機構を熱力学データ,モデルクラスター分子の安定化構造,モル分子容,分子形状(全電子密度),双極子モーメントをもとに考察した。結論として、凝集表面において分子間の双極子-双極子相互作用により反平行配置を取りやすく、それが系全体の平均配向として現れること、正四面体型分子に近い構造の場合ほど最密充填構造をとり水平配向度が高くなる傾向がある。また、スペクトルの蒸着速度依存性測定から動力学的要因によっても分子軸配向が影響を受けることを明らかにした。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; 平尾 法恵*; Nath, K. G.*; Uddin, M. N.*
no journal, ,
光子エネルギー可変性,偏光特性,パルス性といった放射光の特長を活かし、超高真空容器内で回転可能な飛行時間質量分析装置(R-TOF-MS)を開発した。それを使い、脱離イオン収量の励起スペクトルを測定することができる。内殻励起とオージェ過程の両者が局在した原子内過程であり、励起原子近傍で解離が起こるため、それは特定の化学結合に関する部分X線吸収断面積をもたらす場合が多い。さらに、偏光角度を変えることにより、光吸収選択則により特定方向を向いた化学結合のみが励起され、その断片イオンが脱離する。これまで吸着有機分子や炭素材料表面に適用した結果、角度依存解析から最表面分子の配向情報が得られる可能性が示唆された。さらに、超斜入射角度において最表面に吸着する微量分子が分解脱離する確率が大きく増加する現象が見いだされた。超斜入射ではX線が固体内部に進入せず、二次電子衝突励起による分子分解が抑制されるためと考察した。
菊地 正博; Hussain, M. S.; 森下 憲雄; 鵜飼 光子*; 下山 雄平*; 小林 泰彦
no journal, ,
トロピカルフルーツは国内では生産に適した場所が限られるため、その消費量のほとんどを海外からの輸入に頼っている。諸外国では生鮮食品の検疫処理として食品への放射線照射が利用されており、日本でも将来利用される可能性がある。しかし、照射食品の適切な流通過程を担保し消費者の食品選択の自由を保障するためには照射履歴判別法(検知法)が必要である。そこで、照射によって生じたラジカルを難しい前処理を必要とせず何度でも測定できるESR法を、検知法として利用するための条件検討を行った。市販のフィリピン産新鮮マンゴーを線照射し、冷蔵庫で保管後、凍結乾燥し、ESR測定を行った。その結果、照射マンゴー及び非照射マンゴーでESRシグナルが観測され、メインピークはg=2.004であった。マイクロ波強度を変化した時、そのメインピークは約3mWで飽和した。線量とピーク高の関係を調べたところ、果肉部では約25kGyまで線量依存的に増加した。このことから、照射によるラジカルが安定に存在し、ESRで検出できたと考えられる。すなわち、マンゴーで得られるESRシグナルを総合的に評価することにより、照射された新鮮マンゴーを識別できる可能性が示唆された。
下山 巖; Uddin, M. N.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 永野 正光*
no journal, ,
半金属のグラファイトと絶縁体の六方晶窒化ホウ素(h-BN)の中間の組成をとるハイブリッド構造(B-C-Nハイブリッド)は半導体的な電気特性を持ち、その電子構造は組成と原子配置に大きく依存することが理論的に報告されているが、生成物のほとんどはさまざまな結合の組合せによる複雑な構造をとるため構造は不明な点が多い。そこでまずわれわれは局所的な結合状態を明らかにするため吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)分光法を用いた構造解析を行った。ボラジンをイオン化して得られるフラグメントイオンをグラファイトにイオン注入し、フルエンスを制御することでさまざまな組成のB-C-N薄膜を作成した。得られた薄膜のB及びN K端におけるNEXAFSスペクトルはフルエンスに依存して大きな変化を示した。また、低フルエンスで得られた試料のNEXAFSスペクトルは異なる偏光依存性を持つ複数のピークを示した。これらの結果はBNとは異なる立体配置と組成を持つ幾つかの局所構造が形成されたことを示している。われわれはこの密度汎関数法を用いたモデルクラスターの電子構造と比較することにより、B-C-Nハイブリッドの局所構造に関するモデルについて考察を行う。
菊地 正博; 小林 泰彦; 森下 憲雄; Hussain, M. S.; 鵜飼 光子*; 下山 雄平*
no journal, ,
病害虫の侵入を防止するために、日本向けマンゴーでは蒸熱処理されている。将来日本で照射による検疫処理が実用化された場合には、照射履歴判別法が必要である。そこでESR法を生マンゴーに適用することを試みた。フィリピン産の生マンゴーを線で照射し、冷蔵庫で保管後、果皮・果肉それぞれを凍結乾燥した。乾燥後粉砕し、試料管に高さ一定で封入しESR測定した。照射及び非照射マンゴーで観測されたESRメインピークは、335.9mTであった。マイクロ波強度を変化させると、それは約3mWで飽和したことから、有機物ラジカルであることが示唆された。線量とピーク高の関係を調べた結果、果肉では約25kGyまで線量依存性を示したことから、照射に起因したラジカルが測定されたと考えられる。次に、マンゴーの個体差について検討したところ、熟度の違いや保存期間の違いでメインピーク高は変化することがわかった。このことからメインピークでの判別は難しいと考えられた。そこで、実用線量照射で変化するピークを探索し、2つのサイドピークの存在を見いだした。このサイドピークを用いると、照射された生マンゴーの識別が可能であることが示唆された。
下山 巖; Uddin, M. N.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 永野 正光*
no journal, ,
発光素子や触媒などの応用が提案されているB-C-Nハイブリッドは結晶構造・組成・原子配置に依存して多様な電子構造をとることが理論的に予測されており、これまでさまざまな手法で合成が試みられてきた。しかし合成された試料の構造は不明な点が多い。そこでわれわれはその局所構造を調べるため吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)分光法を用いた構造解析を行った。ボラジンのイオン化により得られるフラグメントイオンを3keVでグラファイトにイオン注入し、さまざまな組成のB-C-N薄膜を作成した。高温で合成した試料のNEXAFSスペクトルにはグラファイト的な偏光依存性を持つ複数のピーク中に異なる偏光依存性を持つ成分が存在することがわかった。この結果はB-C-N薄膜中にグラファイト的な平面構造と歪んだ平面構造が存在していることを示唆する。われわれはB, C, Nからなる幾つかの炭素モデルクラスターの生成熱を比較し、グラファイトのB, N置換により5員環形成が誘起されることを見いだした。そこでわれわれは歪んだ平面構造が5員環と6員環からなるフラーレン構造に起因することを提案する。