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柳澤 宏司; 求 惟子
JAEA-Research 2025-001, 99 Pages, 2025/06
中性子吸収棒の反応度価値に関する安全検査データのより深い理解と反応度価値の測定技術の向上のために、TRIGA-ACPR(環状炉心パルス炉)に分類されるNSRR(原子炉安全性研究炉)の初回起動炉心の臨界解析用詳細計算モデルを作成した。本モデルの形状、材料、運転データの誤差から伝播する中性子実効増倍率(keff)の不確かさを、最新の核データライブラリJENDL-5及び旧版のJENDLライブラリとMVP第3版コードを用いて詳細に評価した。その結果、本モデルにおけるkの全体的な不確かさは、0.0027から0.0029
k
の範囲と評価した。本モデルは、TRIGA-ACPRのk
のベンチマークとして利用されることが期待される。さらに、全体的な不確かさは、NSRRで測定された吸収棒価値よりも十分小さいことを確認した。よって、本モデルはNSRRにおける吸収棒反応度価値に関する今後の解析にも適用できる。
佐藤 里奈; 吉村 和也; 眞田 幸尚; 三上 智; 山田 勉*; 中曽根 孝政*; 金井塚 清一*; 佐藤 哲朗*; 森 翼*; 高木 毬衣*
Environment International, 194, p.109148_1 - 109148_8, 2024/12
被引用回数:1 パーセンタイル:36.75(Environmental Sciences)周辺線量当量による個人の外部被ばく線量評価は、個人線量計が適用できない、予測的及び遡及的な評価に用いられる。しかし、様々なパラメータを用いるため個人線量測定による評価よりも誤差を含む傾向がある。そこで本研究では、周辺線量当量から個人の外部被ばく線量を精度良く評価するため、生活パターンと、建物や乗り物による遮蔽効果を考慮して実効線量を評価するモデルを作成した。モデルパラメータは、2020から2021年に福島第一原子力発電所の被災地域で測定した屋内外の環境放射線のロバストなデータセットを基に評価した。モデルの精度は、2020年に福島県内で測定した106人日の個人線量と比較し評価した。モデルによる推定実効線量は、実測個人線量をよく表し、モデルが個人線量計と同様に個人の被ばく線量推計に活用できることが示された。さらに、このモデルは、環境放射線データを用いることで、個人の被ばく線量を予測的及び遡及的に精度良く評価でき、放射線防護に有用なツールである。
曽根原 正晃; 岡野 靖; 内堀 昭寛; 大木 裕*
Journal of Nuclear Science and Technology, 12 Pages, 2024/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)ナトリウム冷却高速炉では、ナトリウム漏えい事故を管理するためにナトリウムの燃焼挙動を理解することが極めて重要である。本研究では、多次元熱流動解析コードAQUA-SFを用いて、サンディア国立研究所(SNL)のT3実験のベンチマーク解析を実施した。この実験は、容器容積100m、ナトリウム流量1kg/sの密閉空間で実施され、ナトリウム注入直後の局所的な温度上昇がもたらす多次元的な影響を明らかにした。本研究では、AQUA-SFの機能を拡張することを目的として、このような多次元的な温度変動、特に容器底部における高温領域の形成のシミュレーションに焦点を当てた。提案したモデルには、ナトリウム液滴着火の一時停止と床面上のナトリウム飛沫の噴霧燃焼が含まれる。さらに、底部高温域の再現性を高めるためには、床部近傍に熱源を追加することが不可欠であることを示した。そこで、噴霧円錐角の感度解析と床面上の液滴の長時間燃焼を含むケーススタディを実施した。この包括的なアプローチにより、ナトリウム冷却高速炉におけるナトリウム燃焼のダイナミクスと安全対策に関する貴重な知見を得ることができた。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2024-026, 80 Pages, 2024/10
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という。)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明」の令和元年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、放射化学、核化学、核物理、燃料材料科学の専門家に環境微生物の専門家を加えた研究者により、模擬デブリの作製から、照射、化学的作用及び生物作用による溶出試験を行い、富岡町の国際共同研究棟等にJAEAが有する先端分析機器を駆使してデブリの性状の変化、元素の溶出挙動を分析し、放射線損傷と酸化環境下における化学的及び生物学的損傷の複合作用による燃料デブリの劣化機構を解明することを目的とした。令和4年度には、放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明のため、線照射下における微生物の模擬燃料デブリ劣化試験、Feと錯形成能を有するシデロフォアであるdesferrioxamine (DFO)あるいは代替物とFe、Uの錯形成能、模擬燃料デブリやマイクロ粒子を計測できるマイクロ流路を用いた溶解試験、Fe酸化物への収着へのシデロフォアなどの影響、モデル微生物や1F付近で採取した菌種による模擬燃料デブリの劣化に関する知見を実験により得た。更に、模擬デブリの劣化を時間の関数として表すモデルを作成し、計算を行った。
廃炉環境国際共同研究センター; 海上・港湾・航空技術研究所*
JAEA-Review 2024-020, 77 Pages, 2024/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和2年度に採択された研究課題のうち、「無人航走体を用いた燃料デブリサンプルリターン技術の研究開発」の令和2年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、日英共同研究体制の下、耐放射線性を持ちつつ中性子検出効率を向上させた中性子検出器と、強力な切削能と収集能を持ったエンドエフェクタ並びにマニピュレータを融合させた燃料デブリサンプリング装置を開発し、それらを無人航走体へ搭載させた燃料デブリサンプリングシステムを構築することを目指したものである。さらに、システム位置を同定する測位システムと、光学カメラ、ソナー、今回開発する中性子検出器の計数情報を仮想現実システムへ投影させる技術を開発し、遠隔操作技術の向上に貢献する技術開発を行った。日本側が担当した燃料デブリマッピングツールの開発では、1)高耐放射線小型高効率中性子センサの開発、2)UUVプラットホームの開発、3)放射線環境シミュレーション及び積算中性子線量計の特性評価を実施した。実施項目1)ではシリコン半導体検出器に微細構造を施して中性子の感度を上げ、ガンマ線の感度を下げたMSNDの特性評価と専用集積回路を開発し、小型高効率中性子センサを実現した。実施項目2)では、燃料デブリマッピングツール構成要素(中性子センサ、水中カメラ、ソナー、LiDAR)が連動するための通信制御系とUUVプラットホームとのインターフェースを完成させた。
田村 浩司; 中西 隆造; 大場 弘則; 狩野 貴宏; 柴田 卓弥; 平等 拓範*; 若井田 育夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(8), p.1109 - 1116, 2024/08
被引用回数:1 パーセンタイル:25.62(Nuclear Science & Technology)For the development of the remote elemental analysis method in a radiation environment based on the laser-induced breakdown spectroscopy (LIBS), the radiation effects on the laser oscillation properties of the single crystal (SC) Nd: YAG microchip laser (MCL) were investigated and compared with those of ceramics Nd: YAG MCL. The laser oscillation properties were measured under gamma-ray irradiation as a function of dose rate. The effects on the SC MCL properties were found to be very small compared to those on the ceramics, indicating minimal radiation effects on the LIBS signal when using SC MCL. Pulse energy and oscillating build-up time (BUT) were measured for a cumulative dose exceeding 1400 kGy. The pulse energy remained stable, and the laser continued to oscillate under irradiation. The BUT also remained stable, demonstrating negligible optical loss accumulation that could affect laser properties even at the demonstrated cumulative dose. The results indicate that the effects of dose rate and cumulative dose on SC MCL laser properties were minimal. The SC MCL was then integrated into the LIBS system, and the gadolinium signal of composite oxides, simulating fuel debris, was successfully measured at the dose rate of 5 kGy/hr. These findings highlight the radiation tolerance of SC MCL as a laser medium for remote LIBS applications in harsh radiation environments.
関 剛斎*; 内田 健一*; 高梨 弘毅
Journal of Physics; Condensed Matter, 36(33), p.333001_1 - 333001_11, 2024/05
被引用回数:1 パーセンタイル:17.83(Physics, Condensed Matter)Spin caloritronics, a research field studying on the interconversion between a charge current (J) and a heat current (J
) mediated by a spin current (J
) and/or magnetization (M), has attracted much attention not only for academic interest but also for practical applications. Newly discovered spin-caloritronic phenomena such as the spin Seebeck effect (SSE) have stimulated the renewed interest in the thermoelectric phenomena of a magnet, which have been known for a long time, e.g. the anomalous Nernst effect (ANE). These spin-caloritronic phenomena involving the SSE and the ANE have provided with a new direction for thermoelectric conversion exploiting J
and/or M. Importantly, the symmetry of ANE allows the thermoelectric conversion in the transverse configuration between J
and J
. Although the transverse configuration is totally different from the conventional longitudinal configuration based on the Seebeck effect and has many advantages, we are still facing several issues that need to be solved before developing practical applications. The primal issue is the improvement of conversion efficiency. In the case of ANE-based applications, a material with a large anomalous Nernst coefficient (S
) is the key for solving the issue. This review article introduces the increase of S
can be achieved by forming superlattice structures, which has been demonstrated for several kinds of materials combinations. The overall picture of studies on spin caloritronics is first surveyed. Then, we mention the pioneering work on the transverse thermoelectric conversion in superlattice structures, which was performed using Fe-based metallic superlattices, and show the recent studies for the Ni-based metallic superlattices and the ordered alloy-based metallic superlattices.
Yuan, X.*; Hu, Q. H.*; Fang, X.*; Wang, Q. M.*; Ma, Y.*; 舘 幸男
Sedimentary Geology, 465, p.106633_1 - 106633_14, 2024/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geology)Archie's cementation factor, m, is a critical parameter for petrophysical studies, and the value is influenced by several factors such as the shape, type, and size of grains, degrees of diagenesis, and associated pore structure. Using integrated experimental and theoretical approaches, the goal of this study is to obtain the cementation factor of rocks (both reservoir rock and caprock) and assess the impact of diagenesis processes on the values of the cementation factor. Thirteen samples of geologically diverse rocks (six mudstones, four fossiliferous limestones, two marbles, and one sandstone) were selected to achieve these research objectives. Two approaches, the diffusion of gas tracers and the Bosanquet formula calculation using pore-throat sizes from mercury intrusion porosimetry analyses, were used to derive the cementation factors of these rock samples. These rocks were categorized into two groups based on the correlation between average pore-throat diameter and diffusivity, and an exponential-law relationship between the cementation factor and porosity was determined for these sample groups. In addition, thin-section petrography and field emission-scanning electron microscopy observations were utilized to investigate diagenetic processes, with four diagenetic patterns being established: (1) strong compaction, strong cementation, and weak dissolution-diagenesis pattern; (2) weak compaction, medium cementation, and weak dissolution-diagenesis pattern; (3) weak compaction, medium cementation, and strong dissolution-diagenesis pattern; and (4) fracture-matrix pattern. The results indicated that diagenetic processes and microfractures contribute to the variability in the cementation factors in these rock samples.
福島マップ事業対応部門横断グループ
JAEA-Technology 2023-024, 176 Pages, 2024/03
東京電力(株)福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故による放射性物質の分布状況を平成23年6月より調査してきた。本報告書は、令和4年度の調査において得られた結果をまとめたものである。空間線量率については、走行サーベイ、平坦地上でのサーベイメータによる定点サーベイ、歩行サーベイ及び無人ヘリコプターサーベイを実施し、測定結果から空間線量率分布マップを作成するとともにその経時変化を分析した。放射性セシウムの土壌沈着量に関しては、in-situ測定及び土壌中深度分布調査をそれぞれ実施した。さらに、これまで蓄積した測定結果を基に空間線量率及び沈着量の実効半減期を評価した。モニタリングの重要度を相対的に評価するスコアマップを福島県及び福島第一原発から80km圏内について作成するとともに、多年度のモニタリングデータを使用した場合のスコアの変化要因について考察した。過去の海水中トリチウムの濃度データの変動幅を把握しその要因について考察した。総合モニタリング計画に基づき実施された海域モニタリングについて令和4年度の測定結果を集約するとともに、過去からの変動などに関して解析評価を行った。階層ベイズ統計手法を用いて、走行サーベイや歩行サーベイ等の調査により取得した空間線量率分布データを統合し、80km圏内を対象とした統合マップ及び解析対象を福島県全域に広げた統合マップを作成した。これらの他、「放射性物質モニタリングデータの情報公開サイト」への令和4年度の測定結果の公開、総合モニタリング計画に基づく放射線モニタリング及び環境試料分析測定データのCSV化を実施した。
Zablackaite, G.; 塩津 弘之; 城戸 健太朗; 杉山 智之
Nuclear Engineering and Technology, 56(2), p.536 - 545, 2024/02
被引用回数:2 パーセンタイル:57.00(Nuclear Science & Technology)Radioactive iodine is a representative fission product to be quantified for the safety assessment of nuclear facilities. In integral severe accident analysis codes, the iodine behavior is usually described by a multi-physical model of iodine chemistry in aqueous phase under radiation field and mass transfer through gas-liquid interface. The focus of studies on iodine source term evaluations using the combination approach is usually put on the chemical aspect, but each contribution to the iodine amount released to the environment has not been decomposed so far. In this study, we attempted the decomposition by revising the two-film theory of molecular-iodine mass transfer. The model involves an effective overall mass transfer coefficient to consider the iodine chemistry. The decomposition was performed by regarding the coefficient as a product of two functions of pH and the overall mass transfer coefficient for molecular iodine. The procedure was applied to the EPICUR experiment and suppression chamber in BWR.
福田 航大
Proceedings of 4th Reactor Physics Asia Conference (RPHA2023) (Internet), 4 Pages, 2023/10
水減速燃料粒子分散体系(例:燃料デブリ体系)における熱膨張フィードバックが即発超臨界時の出力ピーク値や放出エネルギーに与える影響を定量的に明らかにすることを目的とした解析を行った。熱膨張を考慮する場合/しない場合の燃料温度反応度係数を仮想的な体系に対して計算し、Nordeheim-Fuchモデルを用いた評価を行った。その結果、熱膨張の影響を無視することで出力ピーク値や放出エネルギーに数十パーセントの誤差が生じうることが明らかとなった。この誤差は臨界事故解析の多くの場面では問題となる大きさではないものの、解析の目的によっては(例えば、事故後の被ばく量やRI放出量の検証のため精度よく結果を得たい場合)熱膨張反応度フィードバックの影響を考慮すべきであることが示された。
廃炉環境国際共同研究センター; 海上・港湾・航空技術研究所*
JAEA-Review 2022-070, 70 Pages, 2023/03
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和2年度に採択された「無人航走体を用いた燃料デブリサンプルリターン技術の研究開発」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、日英共同研究体制の下、耐放射線性を持ちつつ中性子検出効率を向上させた中性子検出器と、強力な切削能と収集能を持ったエンドエフェクタ並びにマニピュレータを融合させた燃料デブリサンプリング装置を開発し、それらを無人航走体へ搭載させた燃料デブリサンプリングシステムを構築することを目指すものである。さらに、システム位置を同定する測位システムと、光学カメラ、ソナー、今回開発する中性子検出器の計数情報を仮想現実システムへ投影させる技術を開発し、遠隔操作技術の向上に貢献する技術開発を行う。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2022-066, 91 Pages, 2023/03
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和元年度に採択された「放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、放射化学、核化学、核物理、燃料材料科学の専門家に環境微生物の専門家を加えた研究者により、模擬デブリの作製から、照射、化学的作用及び生物作用による溶出試験を行い、富岡町の国際共同研究棟等にJAEAが有する先端分析機器を駆使してデブリの性状の変化、元素の溶出挙動を分析し、放射線損傷と酸化環境下における化学的及び生物学的損傷の複合作用による燃料デブリの劣化機構を解明することを目的とした。令和3年度には、放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明のため、線照射下における微生物の模擬燃料デブリ劣化試験、6価ウランの錯形成能、模擬燃料デブリやマイクロ粒子を計測できるマイクロ流路の構築、Fe酸化物への収着挙動、モデル微生物や1F付近で採取した菌種による模擬燃料デブリの劣化に関する知見を実験により得た。
柳澤 宏司; 梅田 幹; 求 惟子; 村尾 裕之
JAEA-Technology 2022-030, 80 Pages, 2023/02
連続エネルギーモンテカルロコードMVPと評価済み核データライブラリJENDL-5によって、ウラン水素化ジルコニウム燃料棒を用いるTRIGA型原子炉体系の臨界ベンチマーク解析を行った。解析対象は、国際臨界安全ベンチマークプロジェクト(ICSBEP)のハンドブックに掲載されているIEU-COMP-THERM-003とIEU-COMP-THERM-013の二種類のデータであり、中性子実効増倍率、制御棒等の反応度価値について旧バーションのJENDLを使用した結果と比較した。その結果、JENDL-5による中性子実効増倍率はJENDL-4.0よりも0.4から0.6%大きく、制御棒等の反応度価値は、JENDL-5とJENDL-4.0との有意な差は無いことが分かった。これらの解析結果は今後予定しているNSRRの制御棒反応度価値等の解析において、計算精度の確認の参考になるものと考えられる。
福島マップ事業対応部門横断グループ
JAEA-Technology 2022-026, 152 Pages, 2023/01
東京電力(株)福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故による放射性物質の分布状況を平成23年6月より調査してきた。本報告書は、令和3年度の調査において得られた結果をまとめたものである。空間線量率については、KURAMA-IIを用いた走行及び歩行サーベイ、平坦地上でのサーベイメータによる定点測定及び無人ヘリサーベイを実施し、空間線量率分布マップを作成するとともにその経時変化を分析した。放射性セシウムの土壌中深度分布調査及び土壌沈着量in-situ測定をそれぞれ実施した。これまで蓄積した測定結果を基に空間線量率及び沈着量の実効半減期を評価した。福島県及び福島第一原発から80km圏内でのスコアマップを作成し、多年度のモニタリングデータを使用した場合のスコアの変化要因について考察した。総合モニタリング計画で実施された海域モニタリング結果を集約し、セシウム137について過去からの変動や濃度などの詳細な解析評価を行なった。階層ベイズ統計手法を用いて、走行サーベイや歩行サーベイ等により取得した空間線量率分布データを統合し、同80km圏内及び福島県全域の統合マップを作成した。「放射線量等分布マップ拡大サイト」への測定結果の追加、総合モニタリング計画に基づく放射線モニタリング及び環境試料分析測定データのCSV化を実施した。
佐藤 里奈; 眞田 幸尚; 吉村 和也; 中山 真理子*
JAEA-Review 2022-055, 42 Pages, 2023/01
東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に伴い設定された避難指示区域は、空間線量率の減少や除染の進捗に従って区域の再編がなされており、帰還困難区域についても、2020年代をかけて帰還意向に応じた除染、及び避難指示解除を目指すことが決定された。本報告書は、今後の避難指示区域解除における住民の個人被ばく線量評価の在り方について検討するため、事故後に個人線量計による測定やシミュレーションを活用して実施されてきた個人被ばく線量評価の手法や特徴を調査し、体系的にまとめたものである。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2022-005, 93 Pages, 2022/06
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和元年度に採択された「放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明」の令和2年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、放射化学、核化学、核物理、燃料材料科学の専門家に環境微生物の専門家を加えた研究者により、模擬デブリの作製から、照射、化学的作用及び生物作用による溶出試験を行い、富岡町の国際共同研究棟等にJAEAが有する先端分析機器を駆使してデブリの性状の変化、元素の溶出挙動を分析し、放射線損傷と酸化環境下における化学的及び生物学的損傷の複合作用による燃料デブリの劣化機構を解明することを目的とした。令和2年度には、放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明のためHeイオンを照射した模擬燃料デブリのイオン交換水による溶解、4価イオンの錯形成能、マイクロ流路におけるU(VI)の検出法、モデル微生物や1F付近で採取した菌種による模擬燃料デブリの劣化に関する知見を実験により得た。
佐藤 里奈; 吉村 和也; 眞田 幸尚; 佐藤 哲朗*
Journal of Radiation Protection and Research, 47(2), p.77 - 85, 2022/06
福島第一原子力発電所事故後、避難指示解除後に帰還が予想される住民の外部被ばく線量を推計するためのモデルが開発されたが、モデルの精度や推計に用いるパラメータの不確かさについてはこれまで評価されていなかった。本研究では、モデルにより推計した実効線量と個人線量計で測定した個人線量当量を比較し、モデルの精度を検証した。個人線量当量と生活パターンデータは2019年に福島第一原子力発電所の近くに居住または勤務していた成人36名を対象に取得した。推計実効線量は個人線量当量と有意な相関があり、実効線量の推計にモデルが適用可能であることが示された。しかし、屋内では個人線量当量に対し推計実効線量が低い値を示しており、これは周辺線量当量から実効線量への換算係数が実際の環境を反映していないためである可能性がある。
近藤 恭弘; 武井 早憲; Yee-Rendon, B.; 田村 潤
プラズマ・核融合学会誌, 98(5), p.222 - 226, 2022/05
ADSの要求を満たすドライバリニアックを実現するためには超伝導加速空洞が必須であり、従来常伝導を採用していた低エネルギー部について、近年の特に低エネルギー用の超伝導加速空洞開発の進展を反映した再設計を行った。また、最も使用実績の少ないスポーク型空洞について試作機による開発を行っている。本稿では、これら日本原子力研究開発機構における最新のADS用リニアックの研究開発について報告する。
福島マップ事業対応部門横断グループ
JAEA-Technology 2021-025, 159 Pages, 2022/01
東京電力(株)福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故による放射性物質の分布状況を平成23年6月より調査してきた。本報告書は、令和2年度の調査において得られた結果をまとめたものである。空間線量率については、走行サーベイ、平坦地上でのサーベイメータによる定点測定、歩行サーベイ及び無人ヘリコプターサーベイを実施し、測定結果から空間線量率分布マップを作成するとともにその経時変化を分析した。放射性セシウムの土壌沈着量に関しては、in-situ測定及び土壌中深度分布調査をそれぞれ実施した。さらに、これまで蓄積した測定結果を基に空間線量率及び沈着量の実効半減期を評価した。測定箇所の重要度分類のためのスコア化の検討では、福島県及び福島第一原発から80km圏内でのスコアマップを作成するとともに、多年度のモニタリングデータを使用した場合のスコアの変化要因について考察した。実測データの統合的解析では、階層ベイズ統計手法を用いて、航空機サーベイ、走行サーベイ、歩行サーベイにより取得した空間線量率分布データを統合し、福島第一原発から80km圏内を対象とした統合マップ及び解析対象を福島県全域に広げた統合マップを作成した。これらの他、「放射線量等分布マップ拡大サイト」への令和2年度の測定結果の公開、総合モニタリング計画に基づく放射線モニタリング及び環境試料分析測定データのCSV化を実施した。