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井口 正; 岩城 智香子*; 安濃田 良成
JAERI-Research 2001-060, 91 Pages, 2002/02
従来のポストCHF試験に比べて、2MPa~18MPaの広い圧力範囲,33kg/ms~1651kg/m
sの広い流量範囲,過熱度500Kまでの広いヒータ温度範囲で、定常ポストCHF試験を行い、沸騰遷移領域,限界熱流束,ポストCHF熱伝達率に関するデータを得た。試験体は、BWR燃料と同径・同長のヒータによる4
4管群流路とした。試験の結果、沸騰遷移は複数のグリッドスペーサの直下で生成し、加熱量の増加とともに、沸騰遷移領域は下方に伸長することがわかった。グリッドスペーサー上方は核沸騰状態であるのに対し、グリッドスペーサ下方は膜沸騰状態になる。したがって、限界熱流速は、グリッドスペーサからの距離に影響される。グリッドスペーサ直上の限界熱流束は、同じ局所条件で比べるとグリッドスペーサ直下の限界熱流束の約1.15倍であった。ポストCHF熱伝達は、伝熱体の加熱度が十分大きければ、蒸気乱流熱伝達が支配的であり、単相流の熱伝達相関式が適用できる。加熱度が十分には大きくない場合、ポストCHF熱伝達率は、単相流の熱伝達相関式による予測値よりも大きくなる。ポストCHF熱伝達率を単相流の熱伝達相関式による予測値で規格化することにより、質量流束の影響を表現できる。ただし、圧力,過熱度,位置の影響を表現できない。試験結果によれば、ポストCHF熱伝達率に及ぼす圧力,過熱度,位置の影響は、ヒータ温度及び位置の関数で表現できた。ポストCHF熱伝達率は、グリッドスペーサ直下で最小であり、グリッドスペーサから上流に離れる程増加する。グリッドスペーサ1スパン区間で、ポストCHF熱伝達率は約30%増加した。
安藤 良平*; 西原 健司; 高野 秀機
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(10), p.924 - 933, 2000/10
将来の商業炉において高燃焼度燃料やMOX燃料が使われることにより、使用済み燃料からのマイナーアクチノイド及び核分裂生成物は多様化する。これを評価するために必要な計算手法を検討し、軸方向の燃焼度と減衰材密度分布を考慮した燃焼計算を行った。今回の計算では、さまざまな使用済み燃料(PWRかBWR、燃焼度33,45,60GWd/HMt、UOかMOX燃料)の燃焼時組成変化を明らかにした。それによって、PWRとBWR間のマイナーアクチノイド生成の相違などか示された。
久語 輝彦; 大久保 努; 島田 昭一郎*
JAERI-Research 99-057, p.29 - 0, 1999/09
将来型軽水炉の一つのオプションとして、既存軽水炉技術を用いて、平均取り出し燃焼度100GWd/tでサイクル長3年の高燃焼度フルMOX PWRの炉心概念の検討を進めている。本報告では、燃料棒の細径化によって減速材対燃料体積比(Vm/Vf)を増加させて、核的及び熱的性能の向上を試みることを目的として、燃料ピン間隔を現行炉心と同様の12.6mmとし、燃料棒を現行の9.5mmから8.3mmに細径化することによりVm/Vfを3.0に増加させた炉心を提案し、炉心核特性を評価し、炉心成立性を確認した。また、燃料棒径を現行と同様とし、かつ燃料ピン間隔を拡張したVm/Vf=2.6の炉心核特性と比較した結果、サイクル長が約9%減少することを除けば、核分裂性プルトニウム富化度を約0.3wt%節約でき、また減速材温度係数に余裕が増加するなど、むしろ良好な炉心特性を持つことが判明した。
久語 輝彦; 嶋田 昭一郎*; 大久保 努; 落合 政昭
JAERI-Research 98-059, 40 Pages, 1998/10
将来型軽水炉の一つのオプションとして、高燃焼度フルMOX PWRの炉心概念の検討を進めている。燃料ピン間隔を13.8mmに広げることにより減速材対燃料体積比を2.6に増加させて、電気出力60万kW、平均取り出し燃焼度100GWd/tを達成する炉心を提案し、核的成立性について検討した。本炉心には、12%の核分裂性プルトニウム富化度を要した。B-10を40%濃縮したホウ酸水を使用すれば、ホウ素タンクの増強をせずに、燃焼反応度の制御は可能である。また、天然ボロンカーバイド(BC)を使用した制御棒クラスターを集合体3体につて1体を設置すれば、2%dk/kk'以上の炉停止余裕を確保することができる。減速材ボイド係数及び減速材温度係数は運転中は負であり、可燃性毒物等の使用は不可欠ではないが、Gd
O
及びEr
O
等の可燃性毒物の使用により、径方向ピーキング係数を約0.1低減できる。
高野 誠; 奥野 浩
JAERI-Research 96-003, 170 Pages, 1996/02
この報告書は、経済開発機構原子力機関で実施された燃焼度クレジットの臨界ベンチマーク問題フェーズIIAの最終結果を示したものである。フェーズIIAのベンチマーク問題では、加圧水型原子炉使用済燃料の軸方向燃焼分布が臨界性に与える効果(端部効果)を検討した。燃焼度10、30及び50GWd/tにおける軸方向分布を考慮した。10ヶ国、18機関から合計22の結果が提出された。参加者の中性子増倍率は、1.0%
kの幅で広がっていた。しかし、より厳密な比較を行った後では、この幅は
0.5%
kに縮まった。30GWd/tまでの照射では端部効果は1.0%
k未満であった。しかし50GWd/tの場合では、この効果はアクチノイドとFPを両方考慮したときには4.0%
kを超え、またアクチノイドのみでは1.0%
k未満にとどまった。核分裂密度のデータは、燃焼燃料系の臨界安全解析における端部領域が持つ重要性を示した。
安達 武雄; 中原 嘉則; 河野 信昭; 郡司 勝文; 鈴木 敏夫; 園部 保; 大貫 守; 加藤 金治; 立川 圓造; 井上 伸*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 31(10), p.1119 - 1129, 1994/10
被引用回数:8 パーセンタイル:59.75(Nuclear Science & Technology)ガドリ入り燃料から切り出された5個のグラム量使用済燃料試片の破壊分析を行い、アクチノイド及びFP核種を定量した。これらの分析値を用いて核設計コード(CASMO)と燃焼計算コード(ORIGEN-2)の両計算値の精度評価を行った。主要核分裂性核種(U,
Pu,
Pu)についてのCASMOの計算値は、約3%以内と実測値に非常に良く一致した。一方OROGEN-2の計算値は、UO
燃料に対して約5%、Gd
O
-UO
燃料に対して約12%といずれも低い値を示した。この12%の過小評価は、ORIGEN-2の計算では、Gdの効果を考慮していないためであると考えられる。その他のマイナーアクチノイドについては、両計算コード間に大差はなく10%前後であったが試験間での変動が大きかった。FPについては、
Eu及び
Sbが非常に大きなくい違いを示した。
大貫 晃; 秋本 肇; 井口 正; 村尾 良夫
JAERI-Research 94-012, 59 Pages, 1994/08
PWR-LOCA時再冠水過程における炉心内熱水力挙動をこれまで1515型模擬燃料集合体を用いて調べてきた。これまでの知見の実炉解析への適用性を評価するためには、燃料集合体形状(15
15型と17
17型との違い)及び燃料棒構造(被覆管材質・ギャップの有無)の影響を明らかにする必要がある。本研究では、小型再冠水試験装置による試験結果の比較及び15
15型に適用可能であるREFLA/TRACコードの解析結果を仲介として、上述の各パラメータが炉心内熱水力挙動に与える影響を検討した。その結果、いずれの効果についても基本的な熱水力挙動は15
15型で得られたものと変わらず、15
15型模擬燃料集合体で得られた知見は実炉の燃料熱特性の体系にも適用できることがわかった。
高野 誠
JAERI-M 94-003, 145 Pages, 1994/01
本報は、OECD/NEAで行われた燃焼度クレジット臨界ベンチマーク計算フェーズ1Aに対する各国の最終結果をとりまとめたものである。使用済燃料棒中の核種として、主要アクチニド7核種、主要核分裂生成物(FP)15核種を使用した。燃焼度が、30GWd/tのとき、燃焼による反応度損失の約50%以上を主要アクチニドが、さらに30%以上を主要FPが分担していることが示された。また、主要アクチニドに比べ主要FPによる反応度損失の評価に対する参加者間の偏差が大きく、これはFP断面積の不確実性が比較的大きいことを示唆していることがわかった。
大貫 晃; 秋本 肇; 村尾 良夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 30(3), p.187 - 202, 1993/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)REFLAコード炉心熱水力モデルのPWR1717型燃料集合体への適用性を評価した。同モデルは従来15
15型燃料集合体に対し開発されてきたものである。15
15型と17
17型燃料集合体とでは、(1)集合体形状及び(2)支持構造が異なる。(1)及び(2)の効果を実験的に調べると共に、そのデータを使い適用性を評価した。REFLAコードの膜沸騰熱伝達及びボイド率モデルは各モデルの誤差範囲内(
30%)で17
17型燃料集合体へ適用できることがわかった。支持構造の違いは、ターンアラウンド温度には影響しなかったがクエンチ速度には影響した。17
17型の支持構造の場合にはクエンチ速度は低くなり熱伝達率の増加するのが遅れたため、REFLAコードにより評価モデル(EM)条件における被覆管最高温度(PCT)に及ぼす支持構造の効果を評価した。その結果、支持構造の違いはEM条件でのPCTに影響しない事がわかった。
永瀬 文久; 大友 隆; 上塚 寛; 古田 照夫
JAERI-M 92-179, 31 Pages, 1992/11
ジビアアクシデント時におけるPWR用銀-インジウム-カドミウム制御棒合金とジルカロイの反応は、集合体溶融に大いに影響を及ぼすし、著者らはジルカロイ-4と制御棒合金の反応を調べすでに報告をした。この複雑な反応系のメカニズムを探るために、合金の主成分である銀とジルカロイ-4を、アルゴン中1273~1473Kで等温加熱しジルカロイの溶解挙動を調べた。本実験の結果と制御棒を用いた試験の結果を比較し、インジウムの寄与を考察した。反応速度は制御棒合金を用いた反応と同様に、試験温度の上昇とともに増大したが、低温側で制御棒材/ジルカロイ反応に比べて小さかった。この差は主に銀と制御棒合金の融点の差によるものと考えられる。1473Kでは2つの反応速度はほぼ同等であった。反応時間の経過に伴うジルカロイの肉厚減少はほぼ2乗則に従った。各温度での反応速度定数と見かけの活性化エネルギ580.8kJ/molを求めた。
永瀬 文久; 大友 隆; 上塚 寛; 古田 照夫
JAERI-M 92-001, 28 Pages, 1992/02
加圧水型軽水炉のシビアアクシデント時における、溶融した制御棒合金とジルカロイの反応性を調べるために、銀-インジウム-カドミウム制御棒合金とジルカロイ-4を、アルゴン中、1273K~1473Kの温度範囲で等温反応させた。反応速度は試験温度の上昇とともに増大し、1473K60秒間の反応でジルカロイの肉厚は約1mmが減少した。反応時間の経過にともなうジルカロイの肉厚減少はほぼ2乗則に従った。各温度での反応速度定数を求めるとともに、反応の見かけの活性化エネルギ約334KJ/molを求めた。また、反応試験後、金属顕微鏡やEPMAを用いて反応相の金属組織や元素の移動を調べた。
大久保 努; 井口 正; 秋本 肇; 村尾 良夫
JAERI-M 91-227, 89 Pages, 1992/01
本報告書は、円筒第2次炉心試験C2-15(Run75)の評価報告書である。本試験は、CCTF及びFLECHT-SETによる再冠水実験の間に熱水力学的挙動の差が或るか否かを検討するために実施された。両試験の結果を検討して以下の結論が得られた。(1)両試験の条件の間には初期にいくつかの相違が見られたが、その影響は時間とともに小さくなった。(2)CCTF試験では、急峻な炉心半径方向出力分布により半径方向に熱伝達の差が現れたが、FLECHT-SETでは、平坦な出力分布のためそれが現れなかった。この熱伝達の差は、中央高さ位置では顕著であったがそれより上方では小さくなった。(3)上記の差が小さい炉心の上部領域では、両試験の熱伝達はほぼ同一であり既存の相関式により予測できた。(4)以上の事から両装置における炉心冷却は、同一の炉心境界条件と半径方向出力分布の下ではほぼ同一になると予想される。
柳澤 和章; 笹島 栄夫; 片西 昌司; 藤城 俊夫; 三瓶 真一; 二瓶 康夫; 三村 英明; 大枝 悦郎; 山原 武; 森本 研次*
JAERI-M 91-218, 199 Pages, 1992/01
美浜2号機にて使用した1414PWR型燃料棒に対し、原研ホット試験室にてパルス前の照射後試験を実施した。これは商用炉供用期間末期の燃料性能に関するデータを手得する目的で実施されたものである。得られた非破壊及び破壊試験データをとりまとめ、本報告書に収録した。反応度事故(RIA)に係る安全性研究の観点から、当該燃料棒は本試験後に短尺化され、原研原子炉安全性研究炉(NSRR)にてパルス照射に供試された。収録したデータは、予備照射した燃料棒のRIA破損に関するメカニズム究明にとって将来とも重要なものになると思われる。
柳澤 和章; 片西 昌司; 笹島 栄夫; 本間 功三*; 藤城 俊夫
Proc. of the Int. Topical Meeting on LWR Fuel Performance; Fuel for the 90s, p.850 - 861, 1991/00
美浜2号機にて、燃焼度39MWd/kgUまで照射を行なった1414PWR型燃料棒(有効発熱長約3.6m)を切断し、有効発熱長約0.12mの短尺燃料棒を作製した。この燃料棒の内圧は予備照射終了時で4.66MPaであり、初期加圧量は3.24MPaであった。また、予備照射終了時の燃料棒内ガス組成は99.3%He+0.1%Kr+0.6%Xeであり、初期加圧時は殆どが純ヘリウムであった。短尺化した燃料棒に対し、4.23MPaまでHeにてガス充填を行い、NSRR照射カプセルに封入後、約58cal/g fuelの発熱量を与えるパルス実験を行なった。また、照射後(パルス照射後)試験も実施した。この結果、(1)予備照射中の燃料からのFPガス放出率は0.17%であった。パルス照射による追加ガス放出率は3.7%であった。後者は、バースト放出であろう事が、全相試験から指定された。(2)燃料破損は生じなかったが、約0.43%の軸方向伸び歪(最大)が観察された。(3)被覆管表面温度は100
Cに達したが、DNBは観られなかった。
熊丸 博滋; 田坂 完二*
JAERI-M 90-142, 63 Pages, 1990/08
LSTF(大型非定常試験装置)実験のための新出力曲線を、特に遅発中性子による核分裂の出力の評価及びPWR(加圧水型原子炉)燃料棒の蓄積熱の考慮という2点において、最適評価ベースで計算した。LSTFヒータロッド中の外側絶縁材の熱伝導率の値に不確かさがあるため、LSTFヒータロッドの蓄積熱は無視し、最終的には、PWR燃料棒よりの熱伝達量が新出力曲線として採用された。新出力曲線をLSTF炉心出力曲線として用いた場合、LSTFヒータロッドよりの熱伝達量は、PWR燃料棒よりの熱伝達量と比較して、少し保守的な値を与える。
大久保 努; 井口 正; 岩村 公道; 秋本 肇; 大貫 晃; 阿部 豊; 榊 勲*; 安達 公道; 村尾 良夫
JAERI-M 90-046, 114 Pages, 1990/03
UPTFとの実験的結合に用いるコールドレグ注水型ECCS付PWRに対する評価モデル条件下に於ける広い炉心内の再冠水データを得る為に、1000MWe級PWRの半径と同じ半径方向長さを有するSCTF第3次炉心を用いて試験を実施した。本報告書では、対応するCCTF試験C2-4のデータを用いてSCTFとCCTFの間の再冠水挙動の差を主に検討した。得られた主要な結論は、(1)本試験は成功裏に実施され、UPTFとの結合に必要なデータを取得した。(2)本試験でみられた全体的な炉心冷却挙動は、CCTF試験C2-4のそれとほぼ同一であった。(3)しかし、本試験でみられた炉心差圧の特徴は、試験C2-4でみられたものと多少異なっていた。この相違の理由は、両試験の間で炉心入口サブクーリングが異なっていた事と両試験装置の間で炉心の実効流路面積が異なっている事であるとしてほぼ説明できた。
大久保 努; 井口 正; 岩村 公道; 秋本 肇; 大貫 晃; 阿部 豊; 榊 勲*; 安達 公道; 村尾 良夫
JAERI-M 90-036, 120 Pages, 1990/03
ベントバルブ付PWR(BBR)のLOCA時再冠水過程の熱水力学的挙動を検討するため、SCTFを用いて再冠水実験を実施した。また、本試験結果は、2D/3D協定に基づき、西独の上部プレナム試験装置との実験的結合に用いられることになっている。本試験のデータを他の試験のデータも用いて解析し、以下の主要な結論を得た。(1)最適条件下におけるBBRの再冠水過程中の炉心冷却は非常に良好で有ることが実証された。(2)健全ループ差圧は、ベントバブルが開くことにより著しく減少する。(3)ベントバルブが炉心冷却におよぼす効果は、ベントバルブが開いていない場合にダウンカマ水位がオーバフロ位置に達しない条件の下では顕著ではなかった。しかし、その効果は、ベントバブルが開いていない場合に、ダウンカマ水位がオーバフロ位置を越えるような条件の下では顕著になると考えられる。
大久保 努; 井口 正; 岩村 公道; 秋本 肇; 大貫 晃; 阿部 豊; 湊 明彦*; 榊 勲*; 安達 公道; 村尾 良夫
JAERI-M 90-035, 143 Pages, 1990/03
複合注水型ECCSを備えたPWRの再冠水過程において、タイプレート付近の水温分布がブレークスルーおよび炉心冷却に与える影響を検討するため、SCTF第3次炉心を用いて2回の試験を実施した。一方の試験(試験S3-7)では、UCSP直上へのECC注水をバンドル3、4の上方で行い、もう一方の試験(試験S3-8)では、最初の60秒はバンドル7、8の上方でその後バンドル3、4の上方へ切換えて注水を行なった。これらの試験データを解析して、以下の事柄が明らかとなった。ブレークスルーは、タイプレート付近での水温がサブクールの所で生じ、ブレークスルー域では、炉心冷却が著しく増大する。また、ブレークスルーの位置は、多少の時間遅れを伴ってタイプレート付近での水温分布の変化に追随して変化する。更に、ブレークスルーの生じていない領域での炉心冷却は、ブレークスルーの位置に関係無く同程度である。
大久保 努; 井口 正; 杉本 純; 秋本 肇; 村尾 良夫
JAERI-M 89-227, 96 Pages, 1990/01
本報告書は、円筒第2次炉心試験C2-AA2(Run 58)の評価報告書である。本試験は、ダウンカマ注水試験に於ける熱水力挙動の特徴を調べることを目的として実施された。本試験のデータをコールドレグ注水試験(基準試験)のデータと比較検討して、以下のような結果が得られた。(1)本試験においては、基準試験では見られない大きな振動が観測された。振動は周期的で周期は5.7秒であった。(2)この原因は、本試験ではダウンカマでECC水と健全ループを流れる蒸気との混合が熱的に非平衡に起こり、ダウンカマ水温がサブクールてあった点であると考えられる。(3)系全体に渡り熱水力挙動では振動的であったが、振動的なデータの平均値は、基準試験のデータとほぼ同一であり、一部の修正を行えば、コールドレグ注水の場合に対して用いられているのと同じモデル・手法あるいは計算コードがダウンカマ注水にも使用可能であることが示唆された。
上塚 寛; 大友 隆
JAERI-M 89-150, 27 Pages, 1989/10
加圧水型軽水炉のシビアアクシデント時における制御棒材料の蒸発挙動を調べるために、80%銀-15%インジウム-5%カドミウム合金を、アルゴン中で1073~1673kの温度に加熱し、60~3600秒間等温保持した。この合金の溶融温度は1123~1173kの範囲であり、溶融温度より低い温度での蒸発量は極めて少量であった。高温における保持時間3600秒という条件に対して、蒸発による試料の重量減少は、1123kで0.5%、1673kで8.2%であった。カドミウムは、試料を1173k以上に昇温させた場合に100%放出された。一方、銀は1473k以下の温度では全く放出されなかった。試験条件の範囲においては、この合金の構成元素のうちで最も蒸発性の高いのはカドミウムであり、低いのは銀であることが確かめられた。試験結果は、元素の放出速度と全放出量の時間依存性が強いことを示した。