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Nugraha, E. D.*; 細田 正洋*; Kusdiana*; Untara*; Mellawati, J.*; Nurokhim*; 玉熊 佑紀*; Ikram, A.*; Syaifudin, M.*; 山田 椋平; et al.
Scientific Reports (Internet), 11(1), p.14578_1 - 14578_16, 2021/07
被引用回数:19 パーセンタイル:82.87(Multidisciplinary Sciences)マムジュは、インドネシアの中でも自然を保っている地域の一つであるが、自然放射線の被ばく量が比較的高い。本研究の目的は、高自然放射線地域としてのマムジュ地域全体の放射線量の特徴を明らかにし、一般市民や環境の放射線防護のための手段として、現存被ばくを評価することである。外部および内部の放射線被ばくに寄与するすべてのパラメータを測定し、クラスター・サンプリング・エリアによる横断的な調査方法を用いた。その結果、マムジュは年間の実効線量が17115mSv、平均32mSvの特異的な高自然放射線地域であることがわかった。生涯における累積の実効線量を計算すると、マムジュの住民は平均して2.2Svを受けていることになり、これは、がんや非がん性疾患のリスクが実証されている原爆被ばく者の平均線量をはるかに上回るものである。今回の研究結果は、慢性的な低線量率放射線被ばくに関連した健康影響の理解を深めるための新しい科学的データであり、今後の疫学研究の主要な情報として用いることができる。
細田 正洋*; Nugraha, E. D.*; 赤田 尚史*; 山田 椋平; 玉熊 佑紀*; 佐々木 道也*; Kelleher, K.*; 吉永 信治*; 鈴木 崇仁*; Rattanapongs, C. P.*; et al.
Science of the Total Environment, 750, p.142346_1 - 142346_11, 2021/01
被引用回数:23 パーセンタイル:84.59(Environmental Sciences)低線量率の放射線被ばくが人体に及ぼす生物学的影響については、未だに不明な点が多い。実際、日本では福島第一原子力発電所事故後もこの問題に悩まされている。最近、高自然放射線であり慢性的に低線量率の放射線を浴びている特殊な地域をインドネシアにて発見した。そこで本研究では、特に自然放射線量が高い地域での内部被ばくと外部被ばくによる包括的な線量を推定し、ラドンの増強メカニズムを議論することを目的とした。大地からの放射線による外部被ばく線量を推定するために、自動車走行サーベイを実施した。屋内ラドン測定は、47戸の住宅を対象に、典型的な2つの季節をカバーする35ヶ月間で実施し、内部被ばく線量を推定した。また、大気中のラドンガスを複数の高さで同時に採取し、鉛直分布を評価した。調査地域の空気吸収線量率は、50nGy hから1109nGy hの間で大きく異なっていた。屋内ラドン濃度は124Bq mから1015Bq mであった。すなわち、測定された屋内ラドン濃度は、世界保健機関(WHO)が推奨する基準値100Bq mを超えている。さらに、測定された屋外ラドン濃度は、高い屋内ラドン濃度に匹敵するものであった。調査地域の外部及び内部被ばくによる年間実効線量は、中央値を用いて27mSvと推定された。その結果、多くの住民が放射線業務従事者(職業被ばく)の線量限度を超える天然放射性核種による放射線被ばくを受けていることが判明した。このように屋外ラドン濃度が高くなっている原因は、例外的に低い高度で発生する安定した大気条件の結果である可能性がある。このことから、この地域は、慢性的な低線量率放射線被ばくによる健康影響に関する疫学調査を実施するためのユニークな機会を提供していることが示唆される。
玉熊 佑紀*; 山田 椋平; 鈴木 崇仁*; 黒木 智広*; 佐賀 理貴哉*; 水野 裕元*; 佐々木 博之*; 岩岡 和輝*; 細田 正洋*; 床次 眞司*
Radiation Protection Dosimetry, 184(3-4), p.307 - 310, 2019/10
被引用回数:1 パーセンタイル:10.65(Environmental Sciences)東京電力福島第一原子力発電所事故後の放射能(線)監視データが不足していたため、第一陣の緊急対応者の放射線量は正確に評価されなかった。原子力事故で緊急対応をしている労働者の放射線量を評価することは重要である。本研究では、外部被ばく線量と内部被ばく線量の両方を評価できる新しい装置を開発し、緊急時の環境放射能(線)モニタリングの観点から、市販のモニタを含む様々な環境放射能(線)モニタの性能を比較した。福島県で各モニタのバックグラウンド計数値と周辺線量当量率を測定した。ベータ線の検出限界はISO11929に従って評価した。ZnS(Ag)とプラスチックシンチレータを用いたダストモニタのガンマ線に対する感度は高いが、CsI(Tl)結晶を有するシリコンフォトダイオードを用いた外部被ばくモニタの感度は比較的低かった。検出限界は100Sv hで190-280Bq mであり、日本の原子力規制委員会による要求下限値の100Bq mの検出限界を超えていた。要求下限値を達成するには、鉛によるシールドを用いることが必要である。これらの結果から、評価対象モニタの中でも、ZnS(Ag)シンチレータとプラスチックシンチレータを併用したダストモニタが外部被ばくモニタに適しており、開発された内部被ばくモニタが緊急時の内部被ばくモニタとして適していることがわかった。将来的には、アルファ線の計数効率, 相対不確かさ及び検出性能が評価され、さらに可搬性を考慮した上でどのタイプのモニタが適しているかが検討される予定である。
山田 洋一*; Kuklin, A. V.*; 佐藤 翔*; 江坂 文孝; 角 直也*; Zhang, C.*; 佐々木 正洋*; Kwon, E.*; 笠間 泰彦*; Avramov, P. V.*; et al.
Carbon, 133, p.23 - 30, 2018/07
被引用回数:17 パーセンタイル:54.24(Chemistry, Physical)本研究では、超高真空中で高純度Li@C[PF]塩の蒸発によってLiイオン内包フラーレンを調製し、走査型トンネル顕微鏡(STM)により明瞭に観察することに成功した。また、STM観察に先立って、光電子分光およびX線吸収分光などにより測定したところ、Liは正、PFは負のチャージを帯びており、Cは中性であることが明らかとなった。
長谷川 友里; 山田 洋一*; 佐々木 正洋*
Vacuum and Surface Science, 61(6), p.366 - 371, 2018/06
本研究では、単結晶基板表面に作製した高配向DNTTおよびPicene分子膜の分子配列構造および電子状態を、走査トンネル顕微鏡(STM)および角度分解光電子分光(ARUPS)を用いて計測した。不活性なAu(111)表面では、両分子は単結晶と類似の分子配列を形成する。この分子配列において、UPS計測およびDFT計算から、隣接する分子同士の軌道の重なりが増大し、軌道分裂が起こることが示された。一方、異方的なAg(110)表面では、一次元上の分子配列構造が観察された。ただし、HOMOの分散幅は最大でも200meV程度であり、HOMOの重なりは単結晶中のそれより小さいことが示唆された。
岡田 隆太; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 山田 洋一*; 佐々木 正洋*
Applied Physics Express, 8(2), p.025701_1 - 025701_4, 2015/02
被引用回数:7 パーセンタイル:30.62(Physics, Applied)並進運動エネルギーが26meVから2.3eVの範囲の酸素分子によるのGe(111)-c(28)表面の室温酸化を研究した。酸化中のその場放射光光電子分光を行い、調べた全てのビームエネルギーに関しておおよそ0.52MLに対応する酸化膜で覆われることがわかった。加えて、表面酸化物の状態は、並進エネルギーに依存することがわかった。これらの結果は、Ge(111)-c(28)の極薄表面酸化物の精密制御を示している。
吉越 章隆; 寺岡 有殿; 岡田 隆太; 山田 洋一*; 佐々木 正洋*
Journal of Chemical Physics, 141(17), p.174708_1 - 174708_7, 2014/11
被引用回数:8 パーセンタイル:29.47(Chemistry, Physical)酸素分子の並進エネルギーを2.2eVまで変えた時のGe(100)21表面の飽和酸化まで表面状態をその場放射光光電子で調べた。飽和吸着酸素量が1モノレイヤー以下であり、Si表面酸化と大きく異なり酸化数が+2までであることが分かった。直接活性化吸着によるGe成分の増加を伴う吸着量の促進を観測した。本研究は室温における酸素吸着プロセスの基礎的理解に貢献する。
横山 有太; 山田 洋一*; 朝岡 秀人; 佐々木 正洋*
Journal of Physics; Conference Series, 417, p.012036_1 - 012036_6, 2013/03
被引用回数:1 パーセンタイル:38.27(Materials Science, Coatings & Films)Si(110)表面は、162構造という非常に特異な再構成表面を形成する。162構造は、単原子高さのステップがおよそ5nmの間隔で交互に並んだ凹凸構造をしており、低次元ナノ構造創成のテンプレート表面として最適である。しかし、構造をよく制御したナノ構造創成はこれまで実現されていない。本研究では、Si表面温度をさまざまに変化させながらC分子を真空蒸着し、吸着形態の変化を走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて計測した。その結果、表面温度によってC分子の吸着しやすいサイトが変化することが明らかとなった。これは表面温度の制御によりC分子の吸着位置が制御可能であることを示しており、任意の位置での低次元ナノ構造創成につながる成果であるといえる。
横山 有太; 朝岡 秀人; Sinsarp, A.*; 佐々木 正洋*
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 10, p.509 - 512, 2012/09
Si(110)-162再構成表面は、規則的な凹凸が非常に広範囲に渡って続く特異な1次元構造を有するため、低次元ナノ構造創製のテンプレート表面としての応用が期待される。本研究では、表面温度や蒸着量を制御しながらGeを真空蒸着することで、Geのクラスター化やナノドット化の様子を走査トンネル顕微鏡を用いて計測した。その結果、表面温度を上げるとGeのクラスターサイズが大きくなり、600C以上で加熱することでGeナノドットが形成された。また、ナノドットが形成されることで基板の構造が変化しており、基板にひずみが生じている可能性がある。今後基板のストレス計測などを行い、ナノドット形成過程をより詳細に検討する。
横山 有太; Sinsarp, A.*; 山田 洋一*; 朝岡 秀人; 佐々木 正洋*
Applied Physics Express, 5(2), p.025203_1 - 025203_3, 2012/02
被引用回数:3 パーセンタイル:13.46(Physics, Applied)Ge(110)-162及びSi(110)-162単一ドメイン表面をテンプレートとすることで、C分子の1次元的な規則配列構造の作製を行った。Ge(110)-162表面では、室温においてもC分子の拡散が起こり、C分子はステップ端に選択的に吸着し、規則的なナノワイヤー構造を形成した。一方、Si(110)-162表面では表面とC分子の相互作用が強いため、室温ではあまり表面拡散が起こらず、ランダムに吸着した。この結果は、Ge(110)-162表面をテンプレートとすることで、原子・分子のナノワイヤー構造が作製できる可能性を示唆するものである。
吉澤 勇二*; 甲斐 倫明*; 大越 実; 加藤 智子; 山口 徹治; 佐々木 隆之*; 服部 隆利*; 宮崎 振一郎*; 樋口 奈津子*; 床次 眞司*; et al.
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分において、遠い将来に放射性核種が生物圏に移行してきたときの一般公衆に対する線量評価の中で、U-238, U-234及びPu-238を親核種とする崩壊系列の放射性核種の被ばくに対して、ラドンを考慮した場合の線量への影響に関する評価結果を示す。
横山 有太*; 山田 洋一*; 朝岡 秀人; 佐々木 正洋*
no journal, ,
Si(110)表面は162構造という特異な一次元的長周期再構成構造を有し、表面準備条件を最適化することで非常に広範囲に渡る単一ドメインを実現することができる。この表面の優れた一次元性はナノワイヤ等のテンプレートとしての利用が期待されるが、そのようなナノ構造創成は未だ実現されていない。本研究では、この表面に有機分子を蒸着することで低次元ナノ構造の創成を目指し、各種分子の吸着形態をLEED及びSTM/STSにより計測した。その結果、低被覆率においては、有機分子は162構造の幾何的に高い部分へやや優先的に吸着することがわかった。しかし高被覆率では、表面全体へ吸着が起こり、一次元構造の形成には至らなかった。一方で、このように形成された単分子膜は基板構造を反映した一次元の凹凸構造を有することがわかった。この凹凸は単分子膜に一軸歪を生じさせ、膜の電子状態が異方性を示す可能性がある。
横山 有太*; 山田 洋一*; 朝岡 秀人; 佐々木 正洋*
no journal, ,
Si(110)-162表面は特異な1次元長周期再構成構造を有するため、低次元ナノ構造作製のテンプレート表面としての応用が期待される。本研究では、この表面上に各種有機分子を蒸着し、吸着形態や薄膜構造をLEED及びSTMを用いて測定した。その結果、低被覆率領域においては、有機分子は幾何的に高い列付近へ優先的に吸着することがわかった。一方高被覆率では、基板の構造を反映したアモルファス膜が形成された。これらの結果から、低被覆率領域における有機分子の選択吸着をより効率的に制御することができれば、本表面をテンプレートとした低次元ナノ構造作製が可能であると考えられる。
山田 洋一*; Sinsarp, A.*; 横山 有太; 朝岡 秀人; 佐々木 正洋*
no journal, ,
Si(110)及びGe(110)表面は162構造と呼ばれる特異な擬一次元表面再構成構造を有する。特に162構造の単一ドメインは、非常に均一な一次元性を有するため、ナノワイヤー作製のテンプレートとしての利用が期待されている。本研究では、Si(110)-162及びGe(110)-162の単一ドメインを作製することに成功した。さらに、Ge(110)-162単一ドメイン表面において、C分子のナノワイヤー作製に成功した。
岡田 隆太; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 山田 洋一*; 佐々木 正洋*
no journal, ,
次世代デバイス材料としてSiよりも移動度などで優れた物性を有するGeが期待されている。Geを電界効果トランジスタ(FET)に応用するためには、Ge酸化膜の制御が不可欠である。またデバイスでは、さまざまな結晶面上のGe酸化膜が考えられる。本研究によってGeの代表的な低指数面である(111)の室温酸化反応に対して、超音速酸素分子線によって、バックフィリングより酸化が進むことが放射光XPSによるその場観測から明らかになった。本研究で観測されたGeのXPSスペクトルの比較から、超音速酸素分子線による酸化はバックフィリング酸化よりも、高配位の酸化成分を持つことが明らかになった。本研究は、高品質なGe酸化膜を形成する応用上重要な基礎的知見となる。
吉越 章隆; 寺岡 有殿; 岡田 隆太; 山田 洋一*; 佐々木 正洋*
no journal, ,
次世代デバイス材料としてSiよりも優れた移動度を有するGeが期待されている。Geを電界効果トランジスタ(FET)材料に応用するためには、極薄酸化膜をよく制御した表面の作製が不可欠である。本研究では、Ge(100)単結晶表面の室温における酸化反応を放射光XPSによるその場計測によって調べた。特に超音速酸素分子線技術を用いることで、入射酸素のエネルギーと酸化反応との関連を詳細に検討した。この結果、入射酸素分子線のエネルギーの増加とともにGeの高酸化数のGeの割合が多くなることがわかった。本研究は、高品質なGe酸化膜を実現するうえで重要な基礎的知見となる。
岡田 隆太; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 神農 宗徹*; 山田 洋一*; 佐々木 正洋*
no journal, ,
次世代デバイス材料としてSiよりも移動度などで優れた物性を有するGeが期待されている。Geを電界効果トランジスタ(FET)に応用するためには、Ge酸化膜の制御が不可欠である。またデバイスではさまざまな結晶面上のGe酸化膜が考えられる。本研究によってGeの代表的な低指数面である(100)及び(111)の室温酸化反応に対して、超音速酸素分子線によって、バックフィリングより酸化が進むことが放射光XPSによるその場観測から明らかになった。本研究で観測されたGeのXPSスペクトルの比較から、超音速酸素分子線による酸化はバックフィリング酸化よりも、Geの酸化成分が増加する明らかになった。本研究は高品質なGe酸化膜を形成する応用上重要な基礎的知見となる。
岡田 隆太; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 神農 宗徹*; 山田 洋一*; 佐々木 正洋*
no journal, ,
次世代FET材料としてSiよりも移動度などで優れた物性を有するGeが注目されている。また、FETの応用技術としてさまざまな結晶面方位が利用されることが想定されている。Geを用いたFETを実用化するには、Ge酸化膜の特性を理解することが不可欠である。本研究の目的の一つは、Ge酸化膜の特性の一つである酸化状態を超音速酸素分子線によって制御することである。われわれはGe(100)-21表面において並進運動エネルギーが高い超音速酸素分子線によって、室温酸化反応が促進されることを報告している。本実験では、Geの代表的な低指数面である(111)-c(28)表面上の酸化膜に注目した。表面構造に由来する(100)とは異なる酸化状態を形成できることが期待されるので、高分解能放射光XPSによってバックフィリング及び超音速酸素分子線によるGe室温酸化膜を分析した。実験の結果、高エネルギーの超音速酸素分子線によって形成したGe(111)酸化膜には、(100)表面上では形成されなかったGe成分が明瞭に観測された。これはGe酸化膜を形成する際に面方位によって酸化状態に変化が起きることを示している。この発見はGe単結晶表面の酸化状態の制御に重要な基礎的知見を与える。
吉越 章隆; 岡田 隆太; 寺岡 有殿; 神農 宗徹*; 山田 洋一*; 佐々木 正洋*
no journal, ,
Si系LSIの高性能化に対して移動度の優れたGe材料の導入が有望視され、Ge単結晶表面の酸化膜の形成機構及び安定性の研究が活発化している。Ge酸化において、酸化を誘起する酸素分子の並進運動エネルギーは、酸化膜形成を理解するうえで重要な要素である。われわれは、Ge(100)表面の室温酸化において高エネルギーの超音速酸素分子線を用いることで、バックフィリング酸化よりも吸着酸素量が増加することを見いだしている。本研究では、超音速酸素分子線及びバックフィリング酸化によって形成した吸着酸素量の異なるGe(100)上の酸化膜を放射光XPSによって分析することで、酸化膜形成を理解するうえで重要なGeの酸化状態の分析を行った。Ge 3d XPSスペクトルの比較から、双方のGe酸化の価数に違いがないことがわかった。しかし、超音速酸素分子線による酸化膜では2価の酸化成分の量が増加することを確認した。これは新たなGe(100)表面への酸素の吸着を示唆している。この発見はGe(100)表面酸化膜の形成機構を理解するうえで重要な基礎的知見を与える。
岡田 隆太; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 神農 宗徹*; 山田 洋一*; 佐々木 正洋*
no journal, ,
次世代電界効果トランジスタ(FET)の材料として、移動度でSiよりも優れるGeが期待されている。Ge材料をFETに用いる際は、その酸化膜の制御が不可欠であり、Ge単結晶表面上の酸化膜形成に関する研究が活発化している。Ge酸化を誘起する酸素分子の持つ並進運動エネルギーは、形成される酸化膜の酸化状態を決定する重要な要素の一つである。本研究では、室温の酸素曝露及び超音速酸素分子線によってGe(111)室温酸化膜を形成し、放射光XPSによって分析し比較を行った。酸化膜のGe 3dスペクトルの比較から、超音速酸素分子線の並進運動エネルギーを高めることで酸化が促進され、Ge成分が形成されることを明らかにした。この結果は、Ge酸化膜の形成を理解するうえで重要な基礎的知見を与える。