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鈴木 伸一; 矢板 毅; 岡本 芳浩; 塩飽 秀啓; 本橋 治彦*
Physica Scripta, T115, p.306 - 307, 2005/00
TBPを用いる核燃料再処理においてテクネチウムは非常に複雑な挙動を示す。特に、U(VI),Pu(IV)やZr(IV)が系内に共存するとテクネチウムは共抽出される。この共抽出のメカニズムとしては硝酸イオンと過テクネチウムイオンとの交換によるものであり、発表においては、U-Tc共抽出錯体の構造について同属であるRe(VII)やMn(VII)と比較しながら報告する。
岡本 芳浩; 赤堀 光雄; 本橋 治彦*; 伊藤 昭憲; 小川 徹
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 487(3), p.605 - 611, 2002/07
被引用回数:27 パーセンタイル:83.19(Instruments & Instrumentation)希土類塩化物のような空気中で活性な溶融塩系の局所構造を調べるために、最高到達温度1000の高温XAFS測定システムを開発した。砂時計型の石英セルの上部タンクに固体試料を減圧状態でセットし、電気炉で溶融させ、厚さ0.1mm(0.2mm)の融体パスを通過するところで、XAFS測定を実施した。石英の吸収のために、10keV以上のエネルギー領域に測定が限られたが、本測定システムで吸湿性の高い活性な溶融塩系のXAFS測定が可能であることを確認した。
岡本 芳浩; 本橋 治彦*
Zeitschrift fr Naturforschung, A, 579(5), p.277 - 280, 2002/05
LiCl-KCL共晶塩融体中のZrClの局所構造について、ZrのK吸収端XAFS測定によって調べた。カーブフィッティング解析の結果、最近接Zr-Cl対の距離が2.510.02Åで配位数が5.80.6であることが判明した。これらの結果は、この混合系融体中では(ZrCl)6配位錯体が主に存在することを示唆する。
成田 弘一; 矢板 毅; 鈴木 伸一; 高井 木の実; 館盛 勝一; 本橋 治彦*
Journal of Synchrotron Radiation, 8(Part2), p.672 - 673, 2001/03
3価ランタノイド(Ln(III))に対する分離・精製試薬として利用されているオキシ二酢酸(ODA)及びイミノ二酢酸(IDA)を用い、Ln(III)との溶液内錯体の局所構造解析をEXAFSにより行った。詳細なEXAFSスペクトルの解析を行うことで、錯体中のLn(III)の配位数、ドナー原子とLn(III)間の結合距離等のパラメーターを求めた。Ln(III)の配位数は、ODA,IDA錯体とも、軽ランタノイドから重ランタノイドにかけて9から8へと減少した。Ln(III)-ドナー原子(カルボキシル酸素,エーテル酸素,窒素)間距離もLn(III)のイオン半径の減少とともに短くなった。ODAとIDA錯体とで比較すると、Ln(III)-カルボキシル酸素原子間距離は両錯体とも同様であったが、IDA錯体におけるLn(III)-N原子間距離はODA錯体におけるLn(III)-エーテル酸素原子距離よりも長い値を示した。
矢板 毅; 成田 弘一*; 鈴木 伸一; 館盛 勝一; 本橋 治彦; 塩飽 秀啓
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 239(2), p.371 - 375, 1999/00
被引用回数:95 パーセンタイル:98.36(Chemistry, Analytical)塩化物、硝酸イオン性水溶液におけるランタノイドイオンの構造研究がEXAFS法により行われた。EXAFSによって得られる動径構造関数から、ランタノイドイオンの第一配位圏には、水あるいは硝酸イオンの酸素が存在し、一方塩化物イオンは存在しないことが明らかとなった。また、ランタノイドイオンの配位数はNd,Smでおよそ8,Eu~Luでおよそ9であることが確かめられた。これは、硝酸イオンの配位の前後で変化はなかった。また、硝酸イオン、水のランタノイドとの結合距離の比較において、硝酸イオンの酸素の方が約10pm外側に存在することが明らかになった。このことから、硝酸イオンは、水より穏やかにランタノイドに結合していると考えられる。
矢板 毅; 成田 弘一*; 鈴木 伸一; 館盛 勝一; 本橋 治彦; 塩飽 秀啓
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.184 - 188, 1998/00
被引用回数:17 パーセンタイル:69.24(Chemistry, Physical)ランタノイド、アクチノイドの溶液中における配位特性に関する知見を得る目的で、ランタノイド、ウラン-有機化合物錯体の溶液中における構造を、EXAFS法により決定した。本研究で用いた有機配位子は、一連のアルキル及びアリル基によって置換された有機リン化合物及びアミド化合物である。これらの化合物は、ランタノイド、アクチノイドに強く配位し、抽出剤として利用されている。ランタノイドと配位子との原子間距離及び配位数は、配位子の塩基性及び嵩高さと関連して変化した。結果に基づき、有機配位子の金属に対する選択性についてに関する重要な要因について議論する。
赤堀 光雄; 小川 徹; 伊藤 昭憲; 本橋 治彦; 塩飽 秀啓
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.363 - 366, 1998/00
被引用回数:2 パーセンタイル:28.04(Chemistry, Physical)(U,Zr)Pd合金のEXAFS測定を行い、理論パラメータを用いた最適化法によりU-Pd,Zr-Pd原子間距離の濃度依存性を調べた。EXAFS測定は、高エネルギー物理学研究所の放射光施設内BL-27X線ラインで実施した。ZrPd組成の増加に伴うU-Pd原子間距離の減少は、X線回折による格子定数から求めた平均の原子間距離よりも少ないことが解った。このことは、UPdでの局在化した5-f電子構造が(U,Zr)Pdでも維持されていることを示していた。
矢板 毅; 成田 弘一*; 鈴木 伸一; 塩飽 秀啓; 本橋 治彦; 大野 英雄; 宇佐美 徳子*; 小林 克己*
Photon Factory Activity Report 1997, P. 81, 1997/00
ウラン(VI)、トリウム(IV)-アミド(N,N-dihexyl-2-ethylhexanamide:DH2EHA,N,N-dihexyl-3-ethylhexanamide:DH3EHA)あるいはTBP錯体のアルコール溶液中での錯体構造をXAFS法により明らかにした。得られた動径構造関数は、おもにウラニルイオンの軸方向の酸素及び配位子及び硝酸イオンの酸素のピークなどからなることが分かった。アミド化合物の配位酸素のウランとの原子間距離において、DH2EHAとの錯体は、DH3EHAとの錯体より短いことが明らかになった。このことは、原子間距離は配位サイト近傍での立体障害より配位酸素のドナー性に依存することを表している。またTBP錯体は、第一配位圏においてDH3EHA錯体と類似した構造をとるが、第二配位圏より外の中距離構造は見いだされなかった。
小西 啓之; 横谷 明徳; 塩飽 秀啓; 本橋 治彦; 牧田 知子*; 柏原 泰治*; 橋本 眞也*; 原見 太幹; 佐々木 貞吉; 前田 裕司; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 372, p.322 - 332, 1996/00
被引用回数:69 パーセンタイル:97.65(Instruments & Instrumentation)この論文は、高エネルギー物理学研究所(KEK)・放射光実験施設(PF)の放射線管理区域内に設置した、新しいビームラインのデザインとその建設について記したものである。ビームラインはフロントエンド部と2本のブランチライン部から構成されている。ブランチラインの1本はX線光電子分光法と軟X線領域(1.8~6keV)放射線生物学の研究に使用され、もう1本はX線回折、XAFSと軟X線領域(4~20keV)放射線生物学の研究に使用される。前者(軟X線領域)のブランチラインには、放射性物質の飛散事故を防ぐ目的で、真空系内外に特別な装置を備えていることが特徴である。このビームラインを用いた応用実験もすすめられており、最新の結果も併せて報告している。
中村 有夫*; 橋本 眞也*; 本橋 治彦
JAERI-Research 94-029, 54 Pages, 1994/11
分光結晶の温度や熱変形を解析し、光学的性能の劣化を議論した。3種の冷却水炉形状について、水冷銅試験体を用いた電子線照射(JEBIS)実験を実施し、結果から各水路面の熱伝達率を得た。同形状のシリコン分光結晶を想定し、得られた熱伝達率を導入して、SPring-8偏向電磁石とWPH-33J(原研試作アンジュレータ)の光を照射した場合の温度分布と熱変形を求めた。結果として、初期温度27〔C〕とすると、偏向電磁石の場合、結晶表面中心は0.27〔MW/m〕の熱流束を受けて30〔C〕程度になった。アンジュレータの場合、結晶表面中心は8.2〔MW/m〕の熱流束を受けて200~280〔C〕程度になり、結晶表面に23〔rad〕(シリコン(111)のダーウィン幅)以上のうねりが発生することが判明した。
松木 信雄*; 橋本 真也*; 本橋 治彦
JAERI-M 93-021, 20 Pages, 1993/02
SPring-8で使用する分光器は高強度の放射光によって発熱し、分光性能に悪影響を与える。本報告では、有限要素解析コード(ANSYS)を使って、電子線照射法による水冷Cu試験体に対する熱負荷実験をもとに熱伝達率を算定し、偏向電磁石とアンジュレータ光源の2種類についてSi結晶を想定して、上昇温度と熱変形を計算した。この結果偏向電磁石光源では分光結晶は0.27MW/mの熱流束を受け、4Cの温度上昇と表面のうねり角0.27arc secが生じることがわかった。一方アンジュレータ光源では8.1MW/mの熱流束を受け、85Cの温度上昇と表面うねり角2.1arc secを得た。
片野 進; 本橋 治彦*; 飯泉 仁
Review of Scientific Instruments, 57(7), p.1409 - 1412, 1986/00
被引用回数:6 パーセンタイル:67.14(Instruments & Instrumentation)試料温度を、非常に急速に加熱及び冷却することができる電気炉を製作した。急速加熱にはサークライン型の赤外ランプを用い、急速冷却には高圧ガスを試料に吹きつける。直径10mm、長さ30mmの合金に対して、加熱速度1000C/分、冷却速度-500C/分以上の性能が得られた。この電気炉を用いて、銅・亜鉛及びニッケル・マンガン合金の秩序無秩序転移の緩和過程を調べた。
本橋 治彦; 古田 照夫
JAERI-M 83-132, 15 Pages, 1983/08
ジルカロイ-4管が水素・水蒸気の混合気流中、1000Cで酸化した時に生成する層状酸化膜の特性を20C~1300Cの温度でX線回折法により調べた。室温におけるX線回析図形の解析から、正方晶ZrOを含む層状酸化膜中の単斜晶ZrOは340の小さな結晶子となり0.03%の大きな格子歪を持ちそして111の格子面間隔が標準物質より0.7%大きくなっていることを明らかにした。また高温X線回折から正方晶ZrOを含む層状酸化膜中の単斜晶ZrOはゆるやに相変化を起こすことがわかった。この相変化の起こる温度は正方晶ZrOを含まない酸化膜中の単斜晶ZrOの相変化温度より低くなっている。これらの事実から正方晶ZrOを含む層状酸化膜の生成は酸化膜の結晶子の微細化と大きな格子歪か生じる事と相関性があることを明らかにした。
本橋 治彦; 古田 照夫
JAERI-M 82-005, 14 Pages, 1982/03
軽水炉用燃料被覆管ジルカロイ-4を1000Cおよび1050Cで水蒸気-水素混合ガス気流中で酸化させ、表面に生成された酸化膜の特性について、X線回折法によって調べた。試料表面には混合ガスの組成によって、2種類の酸化膜、即ち単斜晶ZrOから成る単層および単斜晶・正方晶ZrOとZrOからなる多層の酸化膜が生成される。単層の酸化膜が形成される場合の酸化速度は、放物線則に従っているが、多層酸化膜の場合は、酸化の初期において直線則に従っている。また多層酸化膜が形成される時、ジルカロイ中には多量の水素が吸収されている。多層酸化膜は、表面付近で単斜ZrO、中間層では単斜晶と正方晶ZrOがそして酸化膜と金属との界面ではZrOによって構成されている。正方晶ZrOは酸化時間の増加と共に単斜晶ZrOへと変化していることも認められた。
本橋 治彦; 古田 照夫
JAERI-M 8649, 28 Pages, 1980/01
軽水炉の冷却材喪失事故(LOCA)条件において被覆の破裂と水蒸気酸化によって起るジルカロイ被覆の内面酸化挙動を明らかにする目的で、滞留水蒸気あるいは水蒸気・水素混合雰囲気中でジルカロイ-4管の高温酸化を行った。そして主として被覆管表面に形成した酸化膜をX線回析法によって調べた。この結果2つの異なった酸化物が観察され、1つは単斜晶ZrOのみで形成され、他方は単斜晶と正方晶ZrOの混合物から形成されている。また酸化膜とジルカロイ金属相の界面では準安定相といわれるZrOがZrOの結晶系によらずほとんど形成されていることがわかった。水素吸収量の多いジルカロイ管では金属相中に8-ZrH.5の水素化物が析出しいていることが認められた。
古田 照夫; 本橋 治彦
Journal of Nuclear Materials, 95(3), p.303 - 306, 1980/00
被引用回数:14 パーセンタイル:94.62(Materials Science, Multidisciplinary)軽水炉の冷却材喪失事故時に燃料棒が破裂すると、ジルカロイ被覆管は外面だけでなく内面も水蒸気と酸化反応を起こす。この時、内面の酸化膜は外面の稠蜜な被膜と異なった多孔質な被膜となる場合がある。ふたつの酸化膜について生成物の同定をX線回折によって行った。その結果、稠蜜な被膜は単斜晶ジルコニアであるのに対して、多孔質な被膜は単斜晶および正方晶ジルコニアの混合物であることが判った。さらに、多孔質被膜に認められる立方晶の回折線についても同定を行ない、従来あまり明確にされていないZrOであることを確認した。
本橋 治彦; 坂本 正誠
JAERI-M 7581, 31 Pages, 1978/03
固体及び液体による中性子回折の研究を行うために、パルス中性子源として原研リニアックを使用し、TOF型中性子分光器を設置した。ここでは装置の概要と特性について述べる。モデレータの工夫により、観測された中性子の波長範囲は0.4であり、時間分解能(t/t)=510の値を得ることに成功した。この値はNi多結晶体及びhiF単結晶の中性子回折図形から得た。
浅田 洋*; 戸谷 富之*; 本橋 治彦; 坂本 正誠; 濱口 由和
Journal of Chemical Physics, 63(9), p.4078 - 4079, 1975/09
被引用回数:15白金表面に吸着した水素のダイナミックスを中性子非弾性散乱により測定した。吸着水素の振動エネルギーは50MeVにあらわれる鋭いピークと、白金の格子振動に重なっている15MeV以下の複雑な構造を持ったピークの二種類からできている。50MeVのピークは水素が表面に平行に振動するモードによるものであると予想される。
坂本 正誠; 正木 典夫; 本橋 治彦; 土井 健治; 栗山 将; 依田 修; 田村 直幸; 小田島 晟*
JAERI-M 5933, 7 Pages, 1974/12
中性子の非弾性散乱で配向したポリオキシメチレン結晶中での水素の振動数分布の軸方向に垂直な成分Gperpと平行な成分Gparaを測定した。両者の強度比は北川、宮沢の計算と定理的に合っており、又スペクトルに出ているいくつかのピークも計算したスペクトルと大体合せることができる。
坂本 正誠; 飯泉 仁; 正木 典夫; 本橋 治彦; 皆川 宣明; 土井 健治; 栗山 将; 依田 修; 田村 直幸; 小田島 晟*
Journal of Polymer Science; Polymer Letters Edition, 11(6), p.377 - 381, 1973/06
繊維状ポリテトラフルロエチレン(PTFE)試料で、遷移軸方向にそろったC軸にそって音響波縦波のフォノンの分散関係の測定を中性子分光で行った。測定は約25Cと-80Cで行った。PTFEは19Cで相転移があるが、測定結果は転移温度の上のフォノンの振動数が、低温でのフォノンの振動数より高いことを示している。この結果は、Hannon,Boerio,KOenigの計算結果とは一致せず、彼らの仮定に反して転移温度上下で力の定数や、1部の構造上のパラメーターが変化していることを示唆するものと考えられる。