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中西 貴宏; 佐久間 一幸; 大山 卓也; 萩原 大樹; 鈴木 崇史
Environmental Pollution, 355, p.124213_1 - 124213_7, 2024/08
被引用回数:3 パーセンタイル:59.12(Environmental Sciences)本研究は、福島事故時に沈着したI/
Csの放射能比が山間部で低く平野部で高かった流域において、2013年から2015年にかけて実施した河川敷調査により
Iの挙動を検討した。2015年まで堤防冠部の
I/
Cs比は2011年の周辺土壌と同程度であった。一方、河川敷表層堆積物の
I/
Cs比は低く、山間部から輸送された放射性核種が平野部に堆積したことを示した。河川敷堆積物の鉛直分布から、事故直後に河川敷に沈着した
Iと
Csの一部は下層に残ったが、殆どは事故直後に浸食されたことが示された。事故後2015年まで一定であった河川敷堆積物の
I/
Cs比に基づき、
Cs流出量から
Iの海洋流出量を求めた。その結果、調査対象流域および汚染された流域(調査河川を含む福島沿岸河川)からはそれぞれ1.8
10
Bqおよび1.2
10
Bqの
Iが流出していた。本研究の結果から、河川からの継続的な
I流出は福島沿岸の海底堆積物中の
I量に殆ど寄与していないことが示された。
佐藤 雄飛*; 乙坂 重嘉*; 鈴木 崇史; 中西 貴宏
Limnology and Oceanography, 68(7), p.1580 - 1594, 2023/07
被引用回数:4 パーセンタイル:61.28(Limnology)海水中の懸濁態ヨウ素(PI)濃度の規定要因を明らかにするため、太平洋沿岸の2つの海域で、PI、懸濁態有機炭素(POC)・窒素、溶存態ヨウ素、植物プランクトン色素を測定した。PI/POC比から、データセットは3グループ(A: 低い、B: 中間、C: 高い)に分類された。各グループは、植物プランクトンの生理状態として、それぞれ対数増殖期、静止期、衰退期に特徴付けられた。PI生産と植物プランクトンの生理状態との関係に基づき、季節的・地域的差異が一貫して説明できた。これらの結果から、植物プランクトンの生理状態が海水中のPI濃度を調節する重要な因子であることが示唆された。
乙坂 重嘉*; 神林 翔太*; 福田 美保*; 鶴田 忠彦; 御園生 敏治; 鈴木 崇史; 青野 辰雄*
Environmental Science & Technology, 54(21), p.13778 - 13785, 2020/11
被引用回数:16 パーセンタイル:53.43(Engineering, Environmental)2015年から2018年にかけて、福島周辺の沿岸域から採取した海水,海底堆積物,間隙水中のCs濃度を調査し、福島第一原子力発電所事故によって海底に沈着した放射性セシウムの海水中への放出の効果を評価した。間隙水中の
Cs濃度は33から1934mBq L
で、海底直上水(海底から約30cmまでの間の海水)の10から40倍であった。多くの観測点で、海底直上水と間隙水との間には
Cs濃度に正の相関がみられた。間隙水と堆積物間の見かけの分配係数は、0.9-14
10
L kg
であり、採取年による差は見られなかった。これらの結果は、間隙水と堆積物間での
Csの平衡が比較的短期間で成立された後、間隙水中の
Csが海底上に徐々に拡散することが示唆された。これらの観測結果に基づく海底付近での
Csの収支計算から、堆積物中の
Csの約6%が一年間に脱離・拡散すると推定された。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 永野 博彦*; Sugiharto, U.*; Saengkorakot, C.*; 鈴木 崇史; 國分 陽子; 藤田 奈津子; 木下 尚喜; 永井 晴康; et al.
JAEA-Technology 2020-012, 53 Pages, 2020/10
近年急速に進行する温暖化をはじめとした地球環境の変化は、陸域生態系(とりわけ森林生態系)における炭素循環に変化をもたらし、その結果、温暖化や環境変化の進行に拍車をかける悪循環が懸念されている。しかしながら、その影響の予測には大きな不確実性が伴っており、その主たる要因は、土壌に貯留する有機炭素の動態とその環境変化に対する応答についての定量的な理解の不足にある。放射性炭素(C)や安定炭素(
C)同位体の陸域生態系における動きを追跡することは、土壌有機炭素の動態を解明するうえで有力な研究手段となりうる。本ガイドは、同位体を利用した土壌炭素循環に関する研究を、特にアジア地域において促進させることを目的としたものである。本ガイドは、土壌の採取、土壌試料の処理、土壌有機炭素の分画、
Cの同位体比質量分析法による測定及びその試料調製、ならびに
Cの加速器質量分析法による測定及びその試料調製に関する実践的手法を網羅している。本ガイドでは、炭素循環研究において広く用いられる
C分析結果の報告方法についても簡単に紹介する。さらに、同位体を利用した研究手法の実際的応用として、日本の森林生態系において実施した事例研究の結果についても報告する。本ガイドによって、同位体を利用した炭素循環研究に興味を持って参画する研究者が増加し、地球環境の変化の仕組みについての理解が大きく進展することを期待する。
三輪 一爾; 小畑 元*; 鈴木 崇史
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(5), p.537 - 545, 2020/05
被引用回数:2 パーセンタイル:17.45(Nuclear Science & Technology)本研究では、チャクチ海, ベーリング海において人為起源の放射性核種であるIodine-129(I)の鉛直分布の観測を実施した。現在、
Iの主なソースはヨーロッパの核燃料再処理施設である。2013年6月から8月の観測結果よりチャクチ海, ベーリング海における
I濃度はフォールアウトレベルであった。ヨーロッパの核燃料再処理施設から海洋に放出された
Iを高濃度に含んだ海水の流入は確認できなかった。また、海洋の生物生産に重要な役割を果たしているヨウ化物イオンの鉛直分布をチャクチ海, ベーリング海にて初めて観測した。観測の結果、当海域においては海底付近でヨウ化物イオンの濃度が高くなる傾向が見られた。
鈴木 崇史; 乙坂 重嘉; 桑原 潤; 川村 英之; 小林 卓也
JAEA-Conf 2018-002, p.103 - 106, 2019/02
福島第一原子力発電所(1F)事故起因の放射性物質の海洋中での動態解明を行うことを目的に、西部北太平洋における3地点でIの鉛直分布を明らかにした。3地点とも1F事故起因とみられる
Iは混合層内に存在していた。また最も南側の観測点では水深370m-470mに1F事故起因とみられる
Iによる極大層が存在していた。溶存酸素濃度及び周辺海域の流速を考慮すると、この極大層は、別の海域の表層に存在していた
Iが速い下降流によって、水深370m-470mに到達したと考えられる。
乙坂 重嘉; 佐藤 雄飛*; 鈴木 崇史; 桑原 潤; 中西 貴宏
Journal of Environmental Radioactivity, 192, p.208 - 218, 2018/12
被引用回数:16 パーセンタイル:44.29(Environmental Sciences)2011年8月から2013年10月にかけて、福島第一原子力発電所から160km圏内の26観測点において、海底堆積物および沈降粒子中のI濃度を観測した。2011年における海底堆積物中の
I濃度は0.02
0.45mBq/kgであった。同海域の海底への主な
Iの沈着は事故後の半年以内に起こったと推測され、その初期沈着量は約0.36
0.13GBqと見積もられた。ヨウ素は生物による利用性の高い元素であるが、事故由来の放射性ヨウ素を海産生物を介して摂取することによる被ばく量は、極めて低いと推定された。福島周辺の陸棚縁辺域(海底水深200
400m)では、2013年10月にかけて表層堆積物中の
I濃度がわずかに増加した。この
I濃度の増加をもたらす主要因として、福島第一原子力発電所近傍の海底から脱離した
Iの陸棚縁辺域への再堆積と、河川を通じた陸上からの
Iの供給の2つのプロセスが支配的であると考えられた。
鈴木 崇史; 乙坂 重嘉; 桑原 潤; 川村 英之; 小林 卓也
Marine Chemistry, 204, p.163 - 171, 2018/08
被引用回数:3 パーセンタイル:13.78(Chemistry, Multidisciplinary)福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の深さ方向への移行を調べる事を目的に、親潮,黒潮、及びそれらの混合海域においてヨウ素129(I)の鉛直分布を明らかにした。福島第一原子力発電所起因の
Iは親潮及び混合海域においては表層で、黒潮海域においては亜表層で観測された。親潮及び混合海域で観測された
I/
Csは福島第一原子力発電所の原子炉内のそれより高いことが明らかとなった。高い
I/
Csは、(1)事故時に放射性ヨウ素は放射性セシウムより放出されやすかった、(2)汚染地域から
Iが再放出され、大気経由で沈着した、(3)放射性セシウムが除去された汚染水が観測地点に到達した可能性が示唆された。また亜表層で観測された福島第一原子力発電所起因の
Iは黒潮続流の蛇行によって運び込まれたと考えられる。、
門脇 正尚; 堅田 元喜*; 寺田 宏明; 鈴木 崇史; 長谷川 英尚*; 赤田 尚史*; 柿内 秀樹*
Atmospheric Environment, 184, p.278 - 291, 2018/07
被引用回数:20 パーセンタイル:53.45(Environmental Sciences)長寿命放射性ヨウ素(I)は、大気環境における放射性核種の有用な地球化学トレーサである。本研究では、
Iの大気濃度および沈着の観測を実施し、観測データから大気濃度および沈着の明瞭な季節変動を得た。さらに、大気中の
I循環を支配する要因を明らかにすることを目的として、得られた観測データを用いて、移流、乱流拡散、大気沈着、光化学、ガス粒子変換、核燃料再処理工場からの
Iの排出、海洋および陸域からの
Iの揮発の各物理・化学過程を考慮した全球ヨウ素輸送モデルを開発した。全球ヨウ素輸送モデルは、我々が観測した
Iの大気濃度および沈着の季節変動、そして既往文献の
Iの降水中濃度の全球分布を良好に再現した。開発した全球ヨウ素輸送モデルを用いて人為起源と自然起源の
Iインベントリの強度を変化させる数値実験を実施し、地球全体の
I循環に対する人為起源の
Iの影響を評価した。その結果、冬季においては、人為起源の
Iが主にユーラシアの北部に沈着する可能性があることが示された。一方で、夏季においては、自然起源の
Iが北半球中高緯度の沈着に支配的であった。これらの結果は、地球表面からの
Iの再飛散過程が全球規模での
I循環に重要であることを示唆している。さらに、冬季のユーラシア北部や北極域においては局所的に乾性沈着が寄与しており、乾性沈着が環境中の
Iの季節変化に重要な影響を及ぼすことが示唆された。
乙坂 重嘉; 中西 貴宏; 鈴木 崇史; 佐藤 雄飛; 成田 尚史*
Environmental Science & Technology, 48(21), p.12595 - 12602, 2014/11
被引用回数:27 パーセンタイル:58.09(Engineering, Environmental)福島第一原子力発電所から約100km東方の沖合に、2011年8月から約2年間にわたってセジメントトラップを設置し、事故由来の放射性セシウムの海底への輸送フラックスを見積もるとともに、鉛同位体濃度等を指標として沈降粒子の輸送過程を解析した。Cs粒子束は観測期間の初期に高く、季節的に変動しながら全体として減少傾向を示した。この放射性セシウムの粒子束は、主に2つのモードで制御されていた。一つ目は表層水中で放射性セシウムを取り込んだ粒子の急速な鉛直輸送(鉛直モード)であった。このモードは、特に事故後の早い段階で支配的であり、観測点付近の海底における放射性セシウムの分布を形成したと推測された。二つ目のモードは、海底付近に運ばれた粒子状放射性セシウムの再移動であった(水平モード)。福島周辺の広域で採取した海底堆積物中の
Cs/
Pb比を沈降粒子と比較することにより、水平モード時に堆積物が移動する範囲は数十km程度であると推定された。
佐藤 雄飛; 乙坂 重嘉; 鈴木 崇史
Journal of Water and Environment Technology (Internet), 12(2), p.201 - 210, 2014/04
本研究では、懸濁態および溶存態中の全ヨウ素濃度を簡便かつ迅速に測定するために、次亜塩素酸による試料の酸化分解(NaClO-酸化分解)とボルタンメトリーを組み合わせた分析法を提案する。代表的な3種類の試料(参照土壌,堆積物,海藻)を用いた検討の結果、最適なNaClO-酸化分解の条件は、40-50C、2時間の分解であった。この条件を用いて、有機態ヨウ素の標準物質であるチロキシンを用いて、本法によるヨウ素の回収率を調べたところ、97%以上であった。また、チロキシンと参照土壌を混合しチロキシン由来ヨウ素(チロキシン-ヨウ素)の回収実験(標準添加-回収実験)を行ったところ、1-7
mol g
の濃度範囲において、ほぼ全てのヨウ素が回収された。懸濁態試料(参照土壌,堆積物,海藻,濾紙上懸濁物)および溶存態試料を用いて、本法と、従来の一般的な分析法であるNaOH-分解および燃焼法の測定結果と比較した。NaOH-分解においては、従来法は本法に比べ低い測定値となり、分解能力が不十分であることが示唆された。燃焼法では、一部の試料で従来法は、本法に比べて低い測定値となり、これはおそらく、トラップ効果と不十分な燃焼が原因であることが推測された。
鈴木 崇史; 乙坂 重嘉; 桑原 潤; 川村 英之; 小林 卓也
Biogeosciences, 10(6), p.3839 - 3847, 2013/06
被引用回数:28 パーセンタイル:60.08(Ecology)福島第一原子力発電所事故により環境中にさまざまな放射性物質が放出された。事故起因のIの影響を評価することを目的に事故前後における海水中の
I濃度を測定した。事故前の
I濃度の結果から北太平洋の北緯36度から44度における濃度分布は緯度の減少とともに減少している傾向を示した。事故後の海水中の
I濃度は最大値で73倍、平均値で約8倍上昇していることが明らかとなった。また鉛直分布の結果から水深1000mまでの事故起因
Iのインベントリーは(1.8-9.9)
10
atoms/m
であった。海水中の
I測定結果から海産生物摂取による内部被ばく量を見積もったところ、事故起因の
Iによる被ばく量は極めて小さいと考えられる。
鈴木 崇史; 乙坂 重嘉; 桑原 潤
第15回AMSシンポジウム報告集, p.49 - 52, 2013/03
福島第一原子力発電所事故により放出されたIの海洋環境における移行過程を解明する目的で、北西部北太平洋における
Iの鉛直分布を測定した。海水試料は、親潮海域のSta.106、親潮と黒潮の混合海域であるSta.098、及び黒潮海域のSta.090において表面から水深1500mまで採取した。表面海水中の
I濃度は、Sta.106及びSta.098では事故以前の濃度レベルより高かったが、Sta.090では事故以前と同レベルであった。この結果から、黒潮海域では事故起因の
Iの影響を受けていないことが確認された。Sta.106及びSta.098の
Iの鉛直分布の結果は、表面が最も高く水深とともに減少していく傾向が見られた。一方Sta.090の鉛直分布の結果は、水深500m付近に濃度極大が存在することが確認された。この濃度極大は、
Iが高濃度の表面海水が等密度面に沿って水深500mまで運ばれたためだと考えられる。
鈴木 崇史; 乙坂 重嘉; 外川 織彦
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 294, p.563 - 567, 2013/01
被引用回数:5 パーセンタイル:37.09(Instruments & Instrumentation)日本海は北太平洋の縁辺海であり、気候変動に対し鋭敏な海域であることが知られている。そこでIを海水循環のトレーサーとして利用し、日本海の海水循環構造を解明することを目的に、2007年11月に北海道大学所属の練習船おしょろ丸にて日本海調査を行った。
I測定用試料は日本海の亜寒帯循環内の2地点及び亜熱帯循環内の3地点で深度別に採取した。亜寒帯循環内の表面海水中の
I濃度は亜熱帯循環内のそれより高かった。この傾向は核実験起源の核種である
C,
Sr及び
Csの傾向とは一致しなかった。この結果は日本海における
I濃度分布はすべて核実験起源では説明できないことを示している。亜寒帯循環(高緯度域)の表面海水で
I濃度が高かったことから、英国や仏国などの高緯度域で稼動している再処理工場の影響を受けているのではないかと考えられる。
田中 孝幸; 甲 昭二; 木下 尚喜; 鈴木 崇史; 桑原 潤; 関 武雄
第13回AMSシンポジウム報告書, p.129 - 132, 2011/01
日本原子力研究開発機構青森研究開発センターにある加速器質量分析装置(JAEA-AMS-MUTSU)は、平成9年に設置され、C測定については平成11年、
I測定については平成15年から定常運転を開始した。平成18年度からは外部利用者が利用可能な供用施設となり、多くの利用者によりさまざまな研究活動に利用されるようになっている。本講演では、JAEA-AMS-MUTSUの現状を報告する。施設供用制度開始から5年間は、平成21年度を除き、順調に測定数を増加させた。しかし、平成21年度の測定数の減少は、制御システムの更新により、約1.5か月間、加速器を停止させたこと、検出器のアンプの故障により、数か月間、
C測定が不可能であったことによるものである。現在は、問題も解消し、
C及び
Iともに順調に測定している。
鈴木 崇史; 乙坂 重嘉; 外川 織彦
第13回AMSシンポジウム報告書, p.69 - 72, 2011/01
地球環境中でのIの循環過程を理解する目的で、日本海における亜寒帯前線の北部と南部の表面海水中の
I濃度を測定した。水深100m以浅の平均
I濃度は北部と南部でそれぞれ1.9
10
atoms/m
及び1.5
10
atoms/m
であり、北部の
I濃度が南部のそれより高かった。この濃度分布は核実験起源核種である
C,
Sr及び
Csの分布と異なっていた。すなわち
Iの濃度分布は核実験起源だけでは説明できないことを意味している。核実験以外の
Iの起源はおもに再処理工場であること、日本海の北部で高濃度であったことを考慮すると、ヨーロッパの再処理工場から放出された
Iが沈着することによりこのような濃度分布になったと考えられる。
田中 孝幸; 甲 昭二; 木下 尚喜; 鈴木 崇史; 桑原 潤; 関 武雄
第23回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.113 - 116, 2010/11
日本原子力研究開発機構青森研究開発センターにある加速器質量分析装置(JAEA-AMS-MUTSU)は、平成9年に設置され、C測定については平成11年、
I測定については平成15年から定常運転を開始した。平成18年度からは外部利用者が利用可能な供用施設となり、多くの利用者によりさまざまな研究活動に利用されるようになっている。本講演では、平成21年度のJAEA-AMS-MUTSUの現状を報告する。平成21年度の試料測定数は、
C測定を480試料、
I測定を677試料測定した。この測定数は、平成20年度より712試料少なかった。測定数の減少は、制御システムの更新により、約1.5か月間、加速器を停止させたこと、検出器のアンプの故障により、数か月間、
C測定が不可能であったことによるものである。現在は、問題も解消し、
C及び
Iともに順調に測定している。
Pham, M. K.*; Betti, M.*; Povinec, P. P.*; Alfimov, V.*; Biddulph, D.*; Gastaud, J.*; Kieser, W. E.*; Lpez, Guti
rrez, J. M.*; Possnert, G.*; Sanchez-Cabeza, J. A.*; et al.
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 286(1), p.121 - 127, 2010/10
被引用回数:14 パーセンタイル:66.01(Chemistry, Analytical)本論文は認証標準物質IAEA-418(地中海海水)中のI濃度測定結果について報告するものである。この海水は9機関に配布され、8機関は加速器質量分析法(AMS)で、1機関は中性子放射化分析法(NAA)で
I濃度を測定した。
I濃度の認証は、NAAでは海水中の
I濃度が検出限界以下であったこと、またAMSで測定した機関の内1機関の測定値が棄却検定によって棄却されたため、7機関の測定結果によって行われた。この認証標準物質に与えられた
I濃度は中央値が2.3
10
atom/Lであり、95%信頼区間では(2.2
2.8)
10
atom/Lであった。
西沢 匡人; 鈴木 崇史; 永井 晴康; 外川 織彦
Proceedings of Joint International Conference of 7th Supercomputing in Nuclear Application and 3rd Monte Carlo (SNA + MC 2010) (USB Flash Drive), 4 Pages, 2010/10
鈴木ら(,
, 268-275, 2008)は日本海において採取した海水中の
Iの80%以上が核燃料再処理施設起源であると推定した。欧州の再処理施設から日本海までの距離と大気及び海洋循環の時間スケールを考慮すると、
Iの大部分は大気を経由して輸送したものと考えられる。本研究では、欧州の核燃料再処理施設から放出される
Iの動態と遠隔地における沈着量を調べるために全球化学物質輸送モデルMOZART-4を用いた。1950年代から50年以上に渡る数値シミュレーションの結果を観測値との比較により検証し、
Iの濃度及び沈着量分布の特徴を調べた。その結果、モデルは欧州における降水中の
I濃度と日本近海における
I沈着量の観測値と同じオーダーにあった。大気中に放出された
Iは、偏西風により北半球全体に拡散・沈着したことがわかった。よって
Iの大気中への放出は、
Iの遠隔地への輸送と沈着を考えるうえで重要であることがわかった。
鈴木 崇史; 皆川 昌幸*; 甲 昭二; 外川 織彦
第12回AMSシンポジウム報告集, p.69 - 72, 2010/05
原子力利用によって放出されたIは、日本海の海水循環を考察するうえで有効なトレーサーであると考えられる。そこで、日本海における
I濃度の水平及び鉛直分布を明らかにした。表面海水中の濃度レベルは核実験による濃度レベルより高かった。これは欧州及び米国の再処理工場から放出された
Iが飛来してきたものだと考えられる。日本海底層水(JSBW)では人為起源
Iが観測された。この観測された人為起源
Iの濃度レベルからJSBWのturnover timeとpotential formation rateを見積もった。結果はそれぞれ180
210年と(3.9
4.6)
10
m
/yrであった。また本発表では国際原子力機関海洋環境研究所で行われた海水中の
I相互比較検定において青森研究開発センターで測定した結果が推奨値の範囲内に入っており、良い精度及び正確さを持って測定したことも併せて報告する。