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吉岡 聰*; 鶴田 幸之介*; 山本 知一*; 安田 和弘*; 松村 晶*; 杉山 武晴*; 大場 洋次郎; 石川 法人; 小林 英一*; 奥平 幸司*
Journal of the American Ceramic Society, 103(8), p.4654 - 4663, 2020/08
被引用回数:4 パーセンタイル:21.78(Materials Science, Ceramics)高速重イオン照射によりMgAlOスピネルに形成された損傷組織をX線吸収端近傍構造解析(XANES)とX線小角散乱法(SAXS)を用いて調べた。照射量が増加するとSAXSとXANESの両方で変化が見られた。SAXSでは、照射部に直径5nmの円柱状のイオントラックが観測された。XANESの結果は、四面体位置と八面体位置の間でカチオンの無秩序化が生じていることを示すものであった。さらに、XANESスペクトルの定量的な解析により、高照射量ではカチオンが八面体位置を優先的に占有することがわかった。
吉岡 聰*; 鶴田 幸之介*; 山本 知一*; 安田 和弘*; 松村 晶*; 石川 法人; 小林 英一*
Physical Chemistry Chemical Physics, 20(7), p.4962 - 4969, 2018/02
被引用回数:5 パーセンタイル:22.57(Chemistry, Physical)MgAlO中のカチオン(Mg, Al)は、通常は秩序だったサイトに配置されている。Mgは四面体位置、Alは八面体位置にある。しかし、スピネルに高速重イオンを照射すると、スピネル中のカチオンの配置が無秩序になることが予想される。カチオン配置の秩序度の変化を、放射光を利用したエックス線吸収端近傍構造の測定により評価した。その結果得られた実験データを、第一原理計算の結果と比較することによって、以下のことが分かった。照射に伴うMgの配置の変化とAlの配置の変化が整合しており、MgがAlサイトに、AlがMgサイトに乗り移る無秩序化が進んでいることが分かった。高照射量(110 ions/cm)では、完全な配置の無秩序化が達成されることがわかった。
小林 正人*; 齋藤 雅彦*; 岩谷 隆文*; 中山 雅; 棚井 憲治; 藤田 朝雄; 朝野 英一*
JAEA-Research 2015-018, 14 Pages, 2015/12
原子力機構と原子力環境整備促進・資金管理センター(原環センター)は、地層処分研究ならびに技術開発を進めている。原子力機構は、北海道幌延町において幌延深地層研究計画を進めており、地層科学研究および地層処分研究開発を実施している。一方、国は深地層の研究施設等を活用して、国民全般の高レベル放射性廃棄物地層処分への理解促進を目的として、実規模・実物を基本とするが、実際の放射性廃棄物は使用せずに、地層処分概念とその工学的な実現性や人工バリアの長期挙動までを実感・体感できる設備の整備等を行う「地層処分実規模設備整備事業」を平成20年度から公募事業として進めており、平成26年度は事業名称を「地層処分実規模設備運営等事業」に変更した。原子力機構と原環センターは、原環センターが受注した「地層処分実規模設備運営等事業」の工学技術に関する研究を共同で実施するために、共同研究契約「地層処分実規模設備運営等事業における工学技術に関する研究」を締結した。なお、本共同研究は幌延深地層研究計画のうち、処分システムの設計・施工技術の開発や安全評価手法の信頼性確認のための研究開発の一環として実施する。本報告は、本共同研究における平成26年度の成果について取りまとめたものである。
藤田 朝雄; 棚井 憲治; 中山 雅; 澤田 純之*; 朝野 英一*; 齋藤 雅彦*; 吉野 修*; 小林 正人*
JAEA-Research 2014-031, 44 Pages, 2015/03
原子力機構と、原環センターは、原環センターが受注した「地層処分実規模設備整備事業」の工学技術に関する研究を共同で実施するために、「地層処分実規模設備整備事業における工学技術に関する研究」に関して、共同研究契約を締結した。本共同研究は、「地層処分実規模設備整備事業」における設備整備のための工学技術に関する研究(調査、設計、製作、解析等)を共同で実施するものである。なお、本共同研究は深地層研究所(仮称)計画(平成10年10月、核燃料サイクル開発機構)に含まれる地層処分研究開発のうち、処分システムの設計・施工技術の開発や安全評価手法の信頼性確認のための研究開発の一環として実施されている。本報告は、上記の共同研究契約に関わる平成25年度の成果についてまとめたものである。具体的成果としては、平成20年度に策定した全体計画に基づき、緩衝材定置試験設備や、実物大の緩衝材及びオーバーパック(模擬)の展示を継続するとともに、緩衝材定置(実証)試験を実施した。また、緩衝材の浸潤試験を継続した。
中司 昇; 佐藤 治夫; 棚井 憲治; 中山 雅; 澤田 純之*; 朝野 英一*; 斉藤 雅彦*; 吉野 修*; 塚原 成樹*; 菱岡 宗介*; et al.
JAEA-Research 2013-034, 70 Pages, 2014/01
原子力機構と原環センターは、原子力環境整備促進・資金管理センターが受注した「地層処分実規模設備整備事業」の工学技術に関する研究を共同で実施するため、「地層処分実規模設備整備事業における工学技術に関する研究」について共同研究契約を締結した。本共同研究は深地層研究所(仮称)計画に含まれる地層処分研究開発のうち、処分システムの設計・施工技術の開発や安全評価手法の信頼性確認のための研究開発の一環として実施されている。本報告は、上記の共同研究契約に関わる平成24年度の成果についてまとめたものである。具体的成果としては、平成20年度に策定した全体計画に基づき、緩衝材定置試験設備や、実物大の緩衝材及びオーバーパック(模擬)の展示を継続するとともに、ブロック式緩衝材定置試験設備の自動運転用ソフトウェアを製作した。また、緩衝材の浸潤試験を継続した。
谷口 直樹; 鈴木 宏幸; 川崎 学; 内藤 守正; 小林 正人*; 高橋 里栄子*; 朝野 英一*
Corrosion Engineering, Science and Technology, 46(2), p.117 - 123, 2011/04
被引用回数:9 パーセンタイル:46.83(Materials Science, Multidisciplinary)炭素鋼は高レベル放射性廃棄物地層処分におけるオーバーパック候補材料の一つに選定されている。炭素鋼の腐食は全面腐食と局部腐食の二つに分類される。本研究では酸化性雰囲気における炭素鋼の浸漬試験によって全面腐食と局部腐食の進展挙動を調べた。浸漬試験結果,腐食進展速度は環境条件と鋼種に大きく依存した。しかし、孔食係数(最大腐食深さと平均腐食深さの比)の上限はおよそ平均腐食深さのみから決定されることがわかった。実験データと文献データに基づき、Gumbel分布を用いた極値統計解析を適用することによって平均腐食深さからオーバーパックの最大腐食深さを推定する経験的モデルを提示した。
小林 正人*; 横山 裕*; 高橋 里栄子*; 朝野 英一*; 谷口 直樹; 内藤 守正
Corrosion Engineering, Science and Technology, 46(2), p.212 - 216, 2011/04
被引用回数:4 パーセンタイル:28.85(Materials Science, Multidisciplinary)炭素鋼オーバーパックの長期健全性を予測するため、還元条件下での炭素鋼溶接部の腐食挙動が調べられた。本研究で用いた試験片は3つの溶接方法(GTAW, GMAW, EBW)から作成された。各試験片には全面腐食が観察され、溶接部における腐食速度は母材と同等かそれ以下となった。浸漬期間中に吸収された水素量は3年間で2.4810 mol kg[Fe](0.05ppm)以下であり、水素脆化の影響がほとんどない値となった。水素脆化感受性は母材で最も大きく、溶接による悪影響はほとんどないことが示された。溶接された炭素鋼オーバーパックは還元条件下で期待される寿命期間中耐食性を有すると考えられる。
岩月 輝希; 佐藤 治夫; 棚井 憲治; 稲垣 学; 澤田 淳; 新沼 寛明; 石井 英一; 前川 恵輔; 戸村 豪治; 真田 祐幸; et al.
JAEA-Research 2009-002, 156 Pages, 2009/05
「高レベル放射性廃棄物の地層処分基盤研究開発に関する全体計画」及び研究技術開発の現状に基づいて既往の研究計画を更新し、幌延深地層研究計画第2段階における平成2021年度の具体的な研究計画を作成した。計画検討にあたっては、施設建設工程などの制約条件を踏まえたうえで、深地層の科学的研究,地層処分研究開発にかかわる研究技術開発(地質環境特性調査評価技術,地下施設建設に伴う地質環境変化の調査評価技術,深地層における工学技術,地層処分に必要な工学技術,安全評価技術など)の今後の実施計画として、ボーリング調査計画やモニタリング計画,工学試験などの計画検討を行ったうえで、各課題の現中期計画終了時の達成目標を明確化した。
藤田 朝雄; 谷口 直樹; 松井 裕哉; 棚井 憲治; 西村 繭果; 小林 保之; 平本 正行; 前川 恵輔; 澤田 淳; 牧野 仁史; et al.
JAEA-Research 2007-045, 140 Pages, 2007/03
本報告書では、堆積岩で塩水系地下水を対象とした幌延深地層研究計画において段階的に得られる地質環境条件を一つの適用例として、第1段階である地上からの調査で得られた情報をもとに処分場の設計技術や性能評価技術それぞれの適用性について論じるとともに、必要に応じて実施した技術の改良や代替技術の開発状況を取りまとめた。処分技術の信頼性向上では、最新の知見を踏まえ第2次取りまとめにおいて示された処分場全体設計フローの更新や人工バリアなどの設計手法の詳細化、並びに設計における地質環境条件の一般的な留意点や設計入力データ項目について整理を行った。また、これらを踏まえ、幌延の地質環境条件を一例とした場合の施設設計,人工バリア設計及び閉鎖設計を通じて第2次取りまとめで採用された設計手法が適用可能であることがわかった。安全評価手法の高度化については、第2次取りまとめにおいて示された安全評価手法を実際の地質環境に適用するために必要な具体的な作業をフローとして構築した。これに基づき、幌延の地質環境条件を一例として物質移行解析を行い、これらの検討を通じて第2次取りまとめの手法を堆積岩地域に適用した場合の調査から解析・評価に至る一連の方法論及び、その過程で得られるノウハウや知見,調査や解析上の留意点を整理した。
東谷 篤志*; 杉本 朋子*; 森 ちひろ*; 鈴木 蓉子*; 齋藤 るみ子*; 一石 英一郎*; 坂下 哲哉; 浜田 信行*; 和田 成一*; 柿崎 竹彦; et al.
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 113, 2007/02
モデル生物の1つである線虫を用いて、生殖細胞系の放射線影響、特にDNA損傷によるアポトーシスと細胞周期の停止とバイスタンダー効果について検討した結果、線虫の生殖細胞形成時のパキテン期チェックポイント機構によるアポトーシスに関しては、同一個体内での間接的な効果、バイスタンダー効果によりアポトーシスが誘導される可能性は低いことが示唆された。そこで、腸管や筋肉等の体細胞における放射線誘発バイスタンダー効果の有無を検証するとともに、放射線被曝を受けていない細胞においてほかのストレス応答が誘導されているかどうかを解析するため、さまざまな外部ストレスに応答して発現が上昇することが知られている低分子heat shock protein: 遺伝子に大腸菌遺伝子が融合した組換え体線虫などを用いて生物効果のモニター系の構築を行った。
福井 佑治*; 穴見 昌三*; 山口 誠哉*; Fang, Z.*; 川村 真人*; 南茂 今朝雄*; 三川 勝彦*; 門倉 英一*; 鈴木 浩幸; 堀 利彦; et al.
Proceedings of 3rd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan and 31st Linear Accelerator Meeting in Japan (CD-ROM), p.403 - 405, 2006/00
大強度陽子加速器計画(J-PARC)リニアックの前段部分(RFQ, DTL13, SDTL116)の高周波源には周波数324MHzのMアノード型パルスクライストロンが20台使用される。要求電力の異なる各空洞にクライストロンを適切に配置するため、クライストロンのRF特性測定や各種パラメータを取得する目的で、本年2月から6月までの約5か月間、クライストロン2台を運転できるテストスタンドを整備し大電力試験を行った。本報告ではこのクライストロン大電力試験で使用したデータ収集システムの概略について述べる。
千代 悦司; 堀 利彦*; 小林 鉄也; 鈴木 浩幸*; 菅沼 和明; 山崎 正義*; 穴見 昌三*; Fang, Z.*; 福田 茂樹*; 福井 佑治*; et al.
Proceedings of 2nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan and 30th Linear Accelerator Meeting in Japan, p.236 - 238, 2005/07
発表では、J-PARC線形加速器の建設状況,クライストロン電源,立体回路及び周辺機器の設置,立上げ試験状況,ローレベル制御系の試験・評価結果,972MHzクライストロンの開発状況など線形加速器高周波の現状について報告を行う。
小林 鉄也; 鈴木 浩幸*; 穴見 昌三*; 山口 誠哉*; 川村 真人*; 福井 佑治*; 門倉 英一*; 上窪田 紀彦*; 高木 誠*; 吉田 奨*; et al.
Proceedings of 1st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan and 29th Linear Accelerator Meeting in Japan, p.314 - 316, 2004/08
J-PARCリニアック運転のため、現在KEKで行われているDTL1ビームコミッショニングにおいて性能評価される低電力高周波源システムの特性について報告する。本ビーム試験では、RFQ,バンチャー2台,チョッパー、及びDTL1を、いずれも324MHzで駆動する。これらの位相・振幅フィードバック制御とモニターシステムの特性,バンチャーでのフィードバックシステムの有効性などについて述べる。
一宮 正和; 堂崎 浩二; 上野 文義; 森下 正樹; 小林 孝良; 奥田 英一; 嵐田 源二
JNC TN2400 2000-005, 103 Pages, 2000/12
もんじゅ2次系床ライナについて、漏えいナトリウムの燃焼による熱荷重条件に対するライナの機械的健全性を、溶解塩型腐食による減肉を考慮したうえで、非弾性解析及び部分構造模擬試験により評価した。非弾性解析の結果、減肉が著しく進行しても、ライナに生じるひずみ値は材料固有の延性限度内にあるため、ライナに貫通性損傷が発生することはなく、その機械的健全性が確保されることを確認した。また、部分構造模擬試験の結果、非弾性解析による推定値を大幅に上回るひずみを与えても損通性損傷はなく、機械的健全性を維持することを確認した。
嶋守 重人; 小林 孝良; 鈴木 惣十; 金城 勝哉; 奥田 英一; 加納 茂機
PNC TN9410 94-351, 97 Pages, 1994/09
オフ・ライン荷重センサーの開発に関して、「焼結体による荷重測定素子の特性測定(その1)(PNC SN9410 90-082)」で得られた基礎的特性データに基づき、原子炉環境下における実用化の観点から特性測定(II)及び(III)として以下の試験及び検討を行った。(1)特性測定(II)1)初期条件調整圧縮試験2)形状パラメータ圧縮試験3)斜角圧縮試験4)圧縮クリープ試験(2)特性測定(III)1)初期条件調整圧縮試験2)高温平行圧縮試験3)高温斜角圧縮試験特性測定(II)により、測定素子は530程度以下の原子炉環境下においてオフ・ライン荷重センサーとして実用に供しうるとの見通しが得られた。さらに特性測定(III)では、ルースパーツ対策としてカバーを接合した測定素子の特性データ取得し、実用の可能性を確認した。一連の特性測定試験と並行して、原子炉内における荷重測定素子としての実用化検討と汎用生の検討も加えた。本報告書では、特性測定(II)及び(III)の期間に得られた成果を第1編、第2編で報告するとともに、第3編に実用化に関する検討結果を報告する。
伊藤 卓志; 加藤 章一; 青木 昌典; 吉田 英一; 小林 十思美; 和田 雄作
Journal of Nuclear Science and Technology, 29(4), p.367 - 377, 1992/04
高速炉の大型炉では、一体貫型蒸気発生器の実現を目指してMod.9Cr-1Mo鋼の開発を進めている。本研究では、Mod.9Cr-1Mo鋼を実機冷却システムへの適用を想定し、高温ナトリウム環境における脱侵炭挙動を把握し長時間供用後の平均炭素量を試算するとともに、これらが高温強度特性に及ぼす影響を評価した。高温ナトリウム環境におけるMod.9Cr-1Mo鋼の脱侵炭挙動はナトリウム中の固溶炭素濃度と密接に関係しており、脱侵炭量はナトリウム中固溶炭素濃度および温度に依存することが判明した。Mod.9Cr-1Mo鋼をステンレス鋼とで構成される冷却システムに適用した場合、蒸気発生器入口温度505、ナトリウム中固溶炭濃度0.01波0.10ppmの範囲では侵炭挙動を示すことが予想されたが、20万時間供用後の平均炭素の増加は約0.1030.148wt%と僅かであることが判明した。
青木 昌典; 加藤 章一; 佐藤 勝美*; 鈴木 高一*; 小林 裕勝*; 吉田 英一; 和田 雄作
PNC TN9450 91-010, 259 Pages, 1991/10
本報告は,高温構造材料設計 材料強度基準および高温強度特性評価法の高度化に供することを目的に,FBR蒸気発生器材料として適用が予定されている。Mod.9Cr-1Mo鋼について,材料開発室の研究開発計画に基づいた試験で取得したクリープ特性データをまとめたものである。今回報告する試験内容は, (1)材 料:Mod.9Cr-1Mo鋼(母材) 板 材 7鋼種(F2,F6,F7,F9,F10,NSC1,NCS2) 鍛鋼品 8鋼種(F4,F5,F8,F11,VIM,F550) 管 材 1鋼種(F3) (2)試験温度:450650度C (3)試験方法:JIS Z 2271「金属材料の引張クリープ試験方法」,ならびにJIS Z 2272「金属材料引張クリープ破断試験方法」およびPNC N241 79-32「FBR金属材料試験実施要領書」に準拠 (4)試験環境:大気中及びナトリウム中 (5)データ点数:314点 なお,材料特性データは,「FBR構造材料データ処理システム SMATのデータ様式に従い作成したものである。
加藤 章一; 青木 昌典; 佐藤 勝美*; 鈴木 高一*; 小林 裕勝*; 矢口 勝己*; 吉田 英一
PNC TN9450 91-008, 38 Pages, 1991/09
本報告は,高温構造材料設計 材料強度基準および高温強度特性評価法の高度化に供することを目的に,FBR大型炉用構造材料として適用が予定されている高速炉構造用SUS316(316FR)について,材料開発室の研究開発計画に基づいた試験で取得した引張特性データをまとめたものである。今回報告する試験内容は,(1)材 料 :高速炉構造用SUS316(母材) 1・板 B7ヒート 50mmt1000mm1000mm 2・板 B8ヒート 40mmt1000mm1000mm 3・板 B9ヒート 25mmt1000mm1000mm(2)試験温度 :RT750度C(3)試験方法 :JIS G 0567 「鉄鋼材料および耐熱合金の高温引張試験方法」 およびN241 79-32「FBR 金属材料試験実施要領書」に準拠(4)データ点数:64点 なお,材料特性は,「FBR構造材料データ処理システム SMAT」のデータ様式に従い作成したものである。
下山 一仁; 小林 十思美; 宇佐美 正行; 田辺 裕美; 吉田 英一; 萩 茂樹*
PNC TN9410 91-288, 72 Pages, 1991/07
高速増殖炉の設計を合理化する手段として、蒸気発生器を一体貫流型にする案が検討されている。それを採用するためには、耐応力腐食割れ性とい高温強度の両方の特性を満足する伝熱管材が必要で、現在高クロム系鋼が候補材として挙がっている。これまでその代表3鋼種(Mod.9Cr-1Mo鋼、9Cr-2Mo鋼、9Cr-1Mo-Nb-V鋼)の伝熱管母材部について、ナトリウム-水反応時の耐ウェステージ試験を実施し、上記の特性を十分満足することを既報で確認した。しかし、蒸気発生器としての総合的な評価を行うためには、母材部のみでなく伝熱管の中で初期次陥発生の可能性が最も高い溶接部についての耐ウェステージ性を把握しておく必要がある。そこで上記3鋼種を代表としてMod.9Cr-1Mo鋼を選定し、その溶接部に関する微小リーク領域と小リーク領域のナトリウム-水反応時のウェステージ試験を実施した。試験によって、以下に示すことが明らかになった。1)微小リーク領域において、伝熱管溶接部自身の耐ウェステージ性は、溶接部の初期リーク孔位置(溶接金属部、ボンド部、溶接熱影響部)に依存せず、母材部との間に有意な差はない。2)小リーク領域において、ターゲットとなる伝熱管溶接部の耐ウェステージ性は、母材部との間に有意な差はない。これらの結果から、一体貫流型蒸気発生器で9Cr系鋼の伝熱管材を採用する場合の微小小リーク・ナトリウム-水反応事象の評価には、9Cr系鋼母材部の試験で導いた実験式を溶接部も含めた全伝熱管部に適用できることが確認できた。
和田 雄作; 吉田 英一; 小林 十思美; 青砥 紀身
Proceedings of International Conference on Fast Reactors and Related Fuel Cycles, ,
高速炉構造用SUS316の最適成分(C,N,P)の検討結果を示し、選定された成分に基づいて製造された316Fr鋼のクリープ試験結果をベースに、既存の同じ成分範囲のデータを含めて評価を実施したクリープ特性の定式化を続いて論じた。その上で、クリープ特性と疲労特性といった基本的な材料特性に基づいて316FR鋼のクリープ疲労特性を推定し、現状短時間試験が中心ではあるが、試験データとの比較によりSUS304に適用した評価手法が適用出来る見通しであることを示した。 そて、30万時のプラント寿命に対し、316FR鋼の優位性を具体的に明らかにした。また、この優位性を実用で活かす上で溶接部特性の向上が重要なポイントであることを溶接部クリープ疲労試験データをベースに具体的に示すことが出来た。中性子照射効果とナトリウム環境効果についても論じ、316FR鋼の優位性に影響を与えるような効果はないことが期待出来る