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中沢 哲也; Grismanovs, V.*; 八巻 大樹; 片野 吉男*; 有賀 武夫
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.166 - 170, 2003/05
被引用回数:33 パーセンタイル:88.19(Instruments & Instrumentation)高エネルギー酸素イオン照射したLiTiOの結晶構造及び化学状態等の変化をラマン分,X線回折及び走査型電子顕微鏡(SEM)で調べた。ラマン分光分析からは化学構造の際だった変化は観察されなかった。一方、X線回折からは1.2E+19 ions/mまでの照射で(002)の回折ピークの減少が他のピークと比較して著しいことが観察された。この結果はLi原子とTi原子の部分的なミキシングが照射によって引き起こされていることを示している。このような照射によるミキシングに起因した無秩序化への移行が表面層での粒構造の消失としてSEMによっても観察された。
中沢 哲也; 横山 啓一; Grismanovs, V.*; 片野 吉男*; 實川 資朗
Journal of Nuclear Materials, 307-311(Part2), p.1436 - 1440, 2002/12
被引用回数:1 パーセンタイル:10.15(Materials Science, Multidisciplinary)本研究ではリチウムシリケイトからのトリチウム放出に関する基礎的な知見を得るために非経験的分子軌道計算を用いてリチウムシリケイトとAl添加リチウムシリケイトの表面水酸基とHの同位体交換反応について調べた。計算はGaussian98を用いてHF/3-21G, HF/6-31G**, MP2/6-31G**の理論レベルで行った。HSiOHをシリケイトガラスにおける表面水酸基のモデルとして、HSi(OH)Al(H)OSiH はAlを含んでいるシリカガラスの表面水酸基のモデルとして選んだ。各クラスターとH2の交換反応に対して計算されたHF/6-31G**活性化エネルギーはそれぞれ88.1と42.7kcal/molである。活性化エネルギーのこのような減少はAl原子の相互作用に起因した表面水酸基の電荷の変化と関連している。各原子の電荷をMulliken population解析によって求めた。その結果、表面水素原子のイオン性が表面水酸基に対するAl原子の直接の相互作用によって増加していた。他の理論レベルにおいても同様の結果が得られた。得られた計算結果はAl原子の相互作用によってリチウムシリケイトの表面水酸基とHの交換反応がより低い温度で行われることを示唆している。
有賀 武夫; 片野 吉男*; 大道 敏彦*; 岡安 悟; 数又 幸生*; 實川 資朗
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 197(1-2), p.94 - 100, 2002/11
被引用回数:9 パーセンタイル:51.46(Instruments & Instrumentation)アルミナ(AlO),スピネル(MgAlO),マグネシア(MgO)焼結体試料にタンデムからの85MeVのヨウ素イオンを110/m・sの線束で1.210/mまで室温照射した。透過電顕による観察の結果、スピネルではアルミナより~1m深くまで非晶質化が認められ、複雑な組成の方が非晶質化し易い傾向を見いだした。MgOでは非晶質化などの損傷は認められなかったが、X線回折の結果、約10m厚さの表面層で微結晶表面が(100)面に再配列することを新たに見いだした。透過電顕での電子線回折では認められないこれらの変化は、高エネルギーイオンの透過に伴う飛跡に沿って再配列が生じると考えられる。
有賀 武夫; 片野 吉男*; 大道 敏彦*; 實川 資朗
Surface & Coatings Technology, 158-159, p.444 - 448, 2002/09
アルミナ(AlO),スピネル(MgAlO),マグネシア(MgO)焼結体試料にタンデム加速器からの85MeVのヨウ素イオンを110/mの線束で最高1.210/mまで室温照射した。1.210/mまで照射したスピネルでは~6mの深さまで完全に非晶質化したことが、透過電顕の観察からわかった。しかし結晶粒によっては6.5mの深さまで非晶質化が起こり、イオンの飛行方向と粒の方位に関係して非晶質化が起こることを指摘した。またスピネルでは、アルミナで認められたような、非晶質化しかかっている粒が、既に非晶質化した表面近くの領域に移動する現象は生じない。さらにスピネルとマグネシアでは照射後3~3.5年で、表面に0.1m以下の厚さの、金属光沢をもって薄膜が形成された。今後、この形成のメカニズムを明らかにする必要がある。
中沢 哲也; 横山 啓一; Grismanovs, V.*; 片野 吉男*; 實川 資朗
Journal of Nuclear Materials, 302(2-3), p.165 - 174, 2002/04
被引用回数:3 パーセンタイル:23.41(Materials Science, Multidisciplinary)本論文では、リチウムシリケイト表面に水酸基の形で存在するトリチウムの放出過程を理解するため、シリカ表面に孤立して存在する水酸基(-OH)と水分子の相互作用と水素放出反応過程について非経験的分子軌道計算により調べた。表面水酸基からの水素放出反応として表面水酸基と水分子の間で起る水素交換反応と水酸基交換反応について検討を行った。その結果、水素放出はシリカ表面水酸基のSi-O結合の切断による水酸基交換反応で起ることが分かった。この水酸基交換反応はプロトン供与体として働く水分子と表面水酸基の複合体において進行する。したがって、シリカ表面からのトリチウム放出は水分子と表面水酸基の間における水素交換反応ではなく、それらの間での水酸基交換反応で進行するものと考えられる。また、この反応の反応エネルギー障壁は24.4kcal/molと計算された。
中沢 哲也; 横山 啓一; Grismanovs, V.*; 片野 吉男*
Journal of Nuclear Materials, 297(1), p.69 - 76, 2001/07
被引用回数:9 パーセンタイル:56.08(Materials Science, Multidisciplinary)本研究ではシリカ,シリケイト化合物などの1対の表面水酸基がHO分子を生成して脱離する反応プロセスについて基礎的な知見を得るために非経験的分子軌道計算を用いて調べた。特に、表面水酸基に対するAl原子の直接の相互作用がこの反応に及ぼす影響に関して検討を行った。計算はGaussian98を用いてHF/6-31G**, MP2/6-31G**の理論レベルで行った。表面水酸基におけるHO分子の生成・脱離反応経路に関するエネルギープロフィールを計算により求めた。その結果、表面水酸基に対するAl(OH)ユニットの相互作用によってHO分子の生成や脱離に必要な活性化エネルギーは低下することがわかった。この活性化エネルギーの低下はAl(OH)ユニットの表面水酸基への相互作用による構造変数と電荷分布の変化と密接に関係している。
片野 吉男*; 有賀 武夫; 山本 春也; 中沢 哲也; 八巻 大樹; 野田 健治
Journal of Nuclear Materials, 283-287(Part.2), p.942 - 946, 2000/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)電気絶縁材料等として核融合炉で使用されるアルミナで、照射によって生じるH,Heのガス原子と格子からの原子のはじき出しとの相乗効果による損傷機構を調べる目的で、H,He及びOイオンのトリプルビーム、H,He及びAlイオンのトリプルビーム等のビームを照射した試料について、注入H原子の拡散挙動への注入O,Al原子の影響を比較した。HとAlを照射した試料ではH原子の拡散はHイオンだけを注入した場合よりも抑制されることを見いだした。さらにH,He,Alを照射した場合には、AlによるH原子拡散の抑制効果は、同時にOイオンとトリプルで照射した場合とほぼ同程度になり、注入Heが最も支配的であることを見いだした。組織変化も抑制されたH原子の拡散に対応し、Alと同時照射した試料ではキャビティー形成も抑制される。
中沢 哲也; 横山 啓一; Grismanous, J.*; 片野 吉男*
Journal of Nuclear Materials, 279(2-3), p.201 - 206, 2000/06
被引用回数:10 パーセンタイル:57.14(Materials Science, Multidisciplinary)本論文ではシリカ表面水酸基の化学的特性に対する他元素(B,Al,Ga)の添加効果や非架橋酸素に配位したリチウム原子の影響を調べた。種々のリチウムシリケイト表面クラスターモデルを用いて表面水素原子がHとして脱離するのに必要なエネルギーと電子状態に対して分子軌道計算を行い検討した。その結果、表面水素原子のイオン性は添加原子の表面酸素への直接相互作用によって強まり、Li原子の非架橋酸素への配位によって弱まることがわかった。また、表面水素原子の脱離エネルギーはそのイオン性の増加に伴い減少することがわかった。
有賀 武夫; 片野 吉男; 大道 敏彦; 岡安 悟; 数又 幸生
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 166-167, p.913 - 919, 2000/05
被引用回数:32 パーセンタイル:86.9(Instruments & Instrumentation)電気絶縁体であるセラミック材料の照射損傷機構を解明するため、アルミナ焼結体に85MeV沃素イオン(I)を最高110/mまで室温で照射し、損傷組織を入射方向に沿って11mの深さまで観察した。表面から約4mの深さまでは照射によってほとんど非晶質化し、6.5mより深い領域では結晶粒組織がほぼ完全に残る。4~6.5mの間の、結晶-非晶質の遷移領域では非晶質領域を表面に向かって移動したと認められる粒や、その途中で微細化した粒が観察された。従来、セラミック(アルミナ)の非晶質化は、核的エネルギー付与によるはじき出し損傷の関数で整理されてきたが、今回の結果は、はじき出し損傷がピークとなる7~9mの深さの範囲では非晶質化が認められず、電子系へのエネルギー付与が大きな4mまでの範囲で顕著な非晶質化を認めた。
中沢 哲也; Grismanovs, V.*; 八巻 大樹; 片野 吉男*; 有賀 武夫; 岩本 昭
Proceedings of 2000 International Conference on Ion Implantation Technology (IIT 2000), p.753 - 756, 2000/00
本論文は高エネルギーイオンに曝されたリチウムタイタネイトセラミックス(LiTiO)の照射効果に関する研究を扱っている。LiTiOセラミックスは核融合炉の固体増殖材料の候補材料である。LiTiOにおける照射欠陥や微細構造の損傷に関する研究はその材料の照射下における性能を評価するのに非常に重要なものである。LiTiOセラミックスに対してさまざまな温度(343-873K)でトリプルイオン照射(0.25MeV H,0.6MeV He,2.4MeV O)を行った。それぞれのイオンは1.010ion/mまで照射した。照射したイオンのエネルギーはともに約2.3m付近にピークを持つように決めた。さらに、LiTiOは高エネルギー酸素イオン(30-120MeV)で2.010ion/mまで照射した。ラマン分光装置、FT-IR分光装置、走査電子顕微鏡(SEM)とX線解析装置を用いて照射したサンプルを調べた。照射試料の回復挙動を調べるためArガス雰囲気中さまざまな温度で照射サンプルをアニールした。トリプルイオン照射したLiTiO表面にTiOのアナターゼ層が形成されたことがラマン分光分析とX線回折分析で明らかになった。603Kと873Kで照射した試料のラマンスペクトルはアナターゼTiOのスペクトルとほとんど一致した。しかしながら、343Kで照射した試料のラマンスペクトルはLiTiOのラマンスペクトルとアナターゼTiOのラマンスペクトルを重ね合わせたものである。このことから、照射温度が高いほどアナターゼ層の形成が効果的であることがわかる。この傾向はX線回折パターンからも同様に言える。照射した試料の熱処理は照射によって導入された構造欠陥の熱による回復が約1050Kで始まることを示した。したがって、トリプル照射によって導入された構造欠陥は熱に強いことがわかった。
有賀 武夫; 片野 吉男*
Proceedings of 2000 International Conference on Ion Implantation Technology (IIT 2000), p.797 - 800, 2000/00
標準の316ステンレス鋼に雰囲気温度で3.0MeVのHeイオンを910/mまで照射し、深さ方向の損傷組織が観察できる透過電子顕微鏡用試験片を造り、1MeVの電子線を32dpaまで照射し、Heが分布する深さの範囲の組織変化をその場観察した。Heを照射したままの試料で観察された欠陥集合体の深さ方向の数密度分布は、集合体がHe原子の分布に依存して形成されたことを示し、823Kで32dpaまで電子線照射しても、キャビティの形成は認められなかった。すなわち、~0.1at.%の高濃度で予注入されたHe原子は、照射で造られた空格子点と複合体を形成し、これらの高密度で形成された複合体が照射で造られた点欠陥の消滅場所となり、キャビティの形成を抑えたことを示している。
片野 吉男*; 有賀 武夫; 山本 春也; 中沢 哲也; 八巻 大樹
Proceedings of 2000 International Conference on Ion Implantation Technology (IIT 2000), p.805 - 808, 2000/00
核融合炉において電気絶縁体材料等として使用されるアルミナ(-AlO)の照射損傷を調べる目的で、H,HeイオンとNまたはOイオンをトリプルビームで同時照射し、損傷組織を深さ方向に透過電子顕微鏡で観察した。表面から1.4~1.5mの深さに停止イオンが分布するように、0.25MeVのHイオンと0.6MeVのHeイオンと、さらにこれらの深さを通過しながらはじき出し損傷を与える目的で、4.7MeVのNイオンをトリプルで照射(923K)した試料では、平均~3nmのキャピティが、1.45と1.55mの深さに帯状に観察された。同量のH,HeをOイオンとともに約1/2のdpa/sで注入した試料ではキャビティーの成長が抑えられた。H,Heのキャビティーの形成に及ぼす損傷速度の効果を定量的に把握するとともに、水素原子の動きに及ぼすHe原子の役割を示した。
谷藤 隆昭; 片野 吉男; 中沢 哲也; 野田 健治
Journal of Nuclear Materials, 253, p.156 - 166, 1998/00
被引用回数:5 パーセンタイル:44.27(Materials Science, Multidisciplinary)JRR-3及び線照射施設を用い、AlO及びMgO単結晶の核分裂中性子及び線照射下における電気伝導度を測定した。いずれの照射においても、照射中に電気伝導度が高くなる照射誘起電気伝導(RIC)が生じた。また、最近、照射量とともに極めて大きな電気伝導度(すなわち、絶縁変化)が起こる照射誘起電気特性劣化(RIED)がいくつかの研究で報告されているが、本研究ではこのRIEDは生じなかった。測定されたRIC及びRIEDが生じなかったことについて、最近の他の研究と比較し討論が行われる。
仲田 清智*; 片野 吉男; 野田 健治
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.1831 - 1835, 1998/00
被引用回数:1 パーセンタイル:15.03(Materials Science, Multidisciplinary)AlO(アルミナ)の照射によるスエリング性の改良のため、種々の添加元素の照射挙動に与える効果を検討した。純AlOでは、973K以上の電子照射温度で、転位ループとキャビティが生成し、さらに、試験片表面にAl析出物が現れた。TiO添加AlO照射挙動は、純AlOと同様であったが、CrOを添加したAlOでは、転位ループやキャビティは生成するが、純AlOと比較して、成長速度が著しく小さく、結果としてスエリングが抑制された。また、表面のAl析出も形成されなかった。これはCrO添加によって照射で導入された格子間原子の移動度が低下することに起因することがわかった。
片野 吉男; 中沢 哲也; 八巻 大樹; 有賀 武夫; 野田 健治
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.1842 - 1847, 1998/00
被引用回数:6 パーセンタイル:49.22(Materials Science, Multidisciplinary)AlO中のH,Heによる損傷効果を評価する目的から、酸素(O)イオン(4.7MeV)をはじき出し損傷関数(dpa)として利用し、H,He/dpaとスエリングの関係を調べた。照射実験には高崎研TIARAのトリプルビーム照射装置を用い、650Cの照射温度で最大損傷量7.6dpaまで行い、照射後電子顕微鏡観察により損傷組織を入射イオンの深さ方向からの関数として評価した。その結果、Oイオンによる損傷は2.7mの深さまで形成し、表面近傍には~150nm大きさの転位ループが分布した。一方キャビティは、H(0.25MeV)、He(0.9MeV)及びOイオンの各飛程(1.4,2.1及び2.6m)付近にピークを持って分布し、これらによるスエリングは各々0.2,0.3及び1%であった。これらは照射後焼鈍(1000C1h)によって、He及びOイオン領域では50~80nmに成長したキャビティが形成され、それらによるスエリングは5.8及び8%に増大した。これらの挙動から、HeやO原子は、はじき出し損傷によって生成した欠陥集合体がキャビティ成長を促進する。H原子は転位の上昇運動によって消滅し易い。
浜田 省三; 三輪 幸夫; 八巻 大樹; 片野 吉男; 中沢 哲也; 野田 健治
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.383 - 387, 1998/00
被引用回数:18 パーセンタイル:79.15(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉の照射環境を模擬した照射実験を行い、材料の微細組織変化に及ぼす同時照射効果を明らかにする。このために、材料研究部で設計・開発し、製作した後、高崎研の複合ビーム棟に設置したトリプルビーム照射実験装置について、その性質、仕様、特徴ならびにこの装置を用いて得られた成果の一部について報告する。
片野 吉男; 中沢 哲也; 八巻 大樹; 有賀 武夫; 野田 健治; 山本 春也
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 140(1-2), p.152 - 158, 1998/00
本研究では、電気絶縁材料であるAlOについて多重イオン同時照射に伴う損傷特性について透過電子顕微鏡組織断面観察から評価した。実験では、照射温度650Cで3.6dpaまで照射したトリプル(O,He,H)イオン同時照射材と10.2dpaまでデュアル(O,H)照射材、さらに再試料を1273K1照射後焼鈍し、注入イオンの深さ方向に転位ループの生成、キャビティの成長を比較検討した。その結果、転位ループ生成挙動では、トリプル照射材は深さ1.5mの損傷ピークまで欠陥集合体の転位が深の関数で増加する。しかしデュアル照射材では損傷が最も大きい1.4mから1.6mで格子間原子の集合体である転位が希薄な領域が認められた。この領域では照射に伴うH電子が点欠陥の消滅に寄与していることを示している。一方、両照射材の照射後焼鈍では、いずれも損傷ピーク付近で著しいキャビティの成長が認められた。この結果、AlOは1000Cで熱的に活性化し、注入イオンや空孔の移動・再結合が促進されることが分かった。
片野 吉男; 北條 喜一; 中沢 哲也; 八巻 大樹; 有賀 武夫; 野田 健治
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 141(1-4), p.411 - 418, 1998/00
被引用回数:6 パーセンタイル:49.22(Instruments & Instrumentation)酸化アルミニウム(AlO)におけるH及びHe原子とによるキャビティ形成挙動を調べる目的からH,He及びOイオンを同時照射し、損傷組織を入射イオンの深さ方向からの関数として評価した。照射温度650Cでトリプル(0.25MeV-H,1.1MeV-He,2.4MeV-O)イオンビームを同時照射した結果、深さ1.4-1.8m及び2.2-2.5mの二つの領域で、それぞれ平均=20及び8nmの大きさのキャビティが310/m並び210/mの数密度で形成した。これは計算で求めたO-HとHイオン飛程の領域で、良い一致を示した。さらに、O-Hイオン飛程近傍では不規則なキャビティの分布を持って観察された。この領域(1.5m)は、損傷が最も受けたと予測される領域で、格子間原子の集合体(転位ループ)の密度が希薄になる傾向を示した。これは、H原子と格子間原子との相互作用がHe原子と比べ弱いため、転位の発達及びキャビティ形成が促進されたものと考えられる。この結果、AlO中でのH及びHe原子によるキャビティ形成挙動が大きく異なることが判った。
朝岡 秀人; 片野 吉男; 野田 健治
Applied Surface Science, 113-114, p.198 - 201, 1997/00
被引用回数:9 パーセンタイル:53.09(Chemistry, Physical)ZrOには立方、正方、単斜晶系が存在し、1170C付近で正方・単斜晶系のマルテンサイト変態が起こる。この急激な格子定数変化に伴い室温で単斜晶単結晶を得ることは難しい。この度、分子線エピタクシー法により清浄サファイヤーR基板上に単斜晶ZrO単結晶薄膜を成長させることに成功した。RHEEDによりストリークパターンが観測され、基板と薄膜は[1120]//[010]、[2021]//[110]の結晶方位を持つ。またAES、XRD、IRによる分析を行い相の同定を行った。
片野 吉男; 中沢 哲也; 八巻 大樹; 野田 健治
Journal of Nuclear Materials, 233-237, p.1325 - 1331, 1996/00
被引用回数:7 パーセンタイル:54.42(Materials Science, Multidisciplinary)酸化アルミニウム単結晶(-AlO)に水素、ヘリウム及び酸素イオンを同時照射し照射欠陥集合体の分布を透過電子顕微鏡観察により入射面から深さ方向の関数として調べた。トリプルビーム照射を650Cで行った試料のキャビティの生成・成長は、水素イオン照射及びヘリウムと酸素イオンのデュアルビーム照射した試料に比べ、キャビティの分布領域が狭くなることを見い出した。このことからトリプルビーム照射では、高密度の照射欠陥集合体の形成に伴い水素原子やヘリウム原子の移動が抑制されたものと考えられる。