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論文

第19回国際熱年代学会議開催(Thermo2025)開催報告

長谷部 徳子*; 田上 高広*; 末岡 茂

地質学会News, 29(1), p.12 - 13, 2026/01

2025年9月14日-20日に第19回国際熱年代学会議(Thermo2025)を金沢市商工会議所で開催したため概要を報告する。本会議は、口頭セッションとポスターセッションからなる研究発表と、中日と前日の巡検、前後のショートコースで構成された。会議には24カ国から205人が参加し、ヨーロッパ以外で開催された国際熱年代学会議では過去最多となった。セッションは基礎研究と応用研究を含む11個に分けられ、2件の特別講演を含めると176件の研究発表が行われた。次回のThermo2027は、カナダのBanffで開催される予定である。

論文

Low-temperature thermochronology of active arc-arc collision zone, South Fossa Magna region, central Japan

末岡 茂; 小林 侑生*; 福田 将眞; Kohn, B. P.*; 横山 立憲; 佐野 直美*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 森下 知晃*; 田上 高広*

Tectonophysics, 828, p.229231_1 - 229231_17, 2022/04

 被引用回数:4 パーセンタイル:20.41(Geochemistry & Geophysics)

島弧衝突帯における山地形成史の解明を目的に、中部日本の南部フォッサマグナ地域に低温領域の熱年代学を適用し、冷却・削剥史を推定した。

論文

フィッション・トラック法における近年の新たな展開; 測定技術の高度化、アニーリング特性の理解、新手法の開発

末岡 茂; 島田 耕史; 長谷部 徳子*; 田上 高広*

Radioisotopes, 70(3), p.189 - 207, 2021/03

フィッション・トラック(FT)法は、確立・普及した地球年代学/熱年代学の手法として知られるが、誕生から半世紀以上を経た現在でも発展を続けている。本稿では、2000年代以降の研究を中心に、FT法の基礎研究に係る発展と課題を概観し、今後FT法に携わる研究者達への指針としたい。具体的には、測定技術の高度化、アニーリング特性の理解、新手法の開発の3点に加え、FT解析に有用なソフトウェアについても紹介する。

論文

フィッション・トラック年代測定の基礎; これまでの経緯と今後の発展の可能性

長谷部 徳子*; 末岡 茂; 田上 高広*

Radioisotopes, 70(3), p.117 - 130, 2021/03

フィッション・トラック(FT)法は、多くの放射年代測定が同位体化学分析を用いているのに比し、ウランの核分裂によって生じる物質中の線状損傷を可視化し観察するユニークな年代測定法である。年代測定法としてだけでなく、その特徴を利用して地質試料の300$$^{circ}$$C以下の熱履歴の復元にも利用されている。本稿ではFT法の歴史を再訪し、今後のFT法の発展にどのような方向性がありうるかを紹介する。

論文

熱年代学を用いた北上山地の隆起・削剥史の推定

梶田 侑弥*; 福田 将眞; 末岡 茂; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 森下 知晃*; Kohn, B. P.*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (33), p.28 - 30, 2020/10

東北日本弧前弧域に分布する北上山地を対象に、熱年代学的手法を用いて山地の熱史・削剥史を検討した。北上山地を東西に横断する方向にアパタイトのFT法および(U-Th-Sm)/He法を実施した結果、既報年代と併せると、FT年代では東側から西側にかけて系統的に若い年代の傾向を示すのに対し、(U-Th-Sm)/He法では西縁で最も古い年代が検出され、以東ではほぼ一様な年代を示した。今後はより詳細に北上山地の熱史の傾向を議論するため、火山フロントの位置がほぼ現在の位置にあったとされる、1千万年以降の年代が期待できる熱年代学的手法の適用を予定している。

論文

伊豆弧の衝突と南部フォッサマグナ地域の山地形成; 低温領域の熱年代学による知見

小林 侑生*; 末岡 茂; 福田 将眞; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 森下 知晃*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (33), p.25 - 27, 2020/10

本州弧と伊豆弧の衝突帯である南部フォッサマグナ地域を対象に、熱年代学の手法を用いて山地の隆起・削剥史を検討した。筑波山,足尾山地,奥秩父のアパタイトFT年代は、伊豆弧の衝突以前の冷却・削剥や岩体形成を反映した古い値を示したが、関東山地のアパタイトFT年代や、より閉鎖温度が低いアパタイト(U-Th)/He年代では衝突開始以降の新しい年代値が得られた。アパタイトFTデータに基づいた熱史逆解析の結果、関東山地の北部から中部と身延山地では約1Ma、奥秩父と関東山地の南部では約4-5Maの急冷イベントが認定された。これらの時期は伊豆ブロックと丹沢ブロックの衝突時期とそれぞれ一致しており、伊豆弧の衝突イベントによる本地域の山地形成への影響が示唆される。

論文

低温領域の熱年代学的手法に基づく南部フォッサマグナ地域の山地の隆起・削剥史解明

小林 侑生*; 末岡 茂; 福田 将眞*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 森下 知晃*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (32), p.8 - 11, 2019/12

本州弧と伊豆弧の衝突帯である南部フォッサマグナ地域の山地において、山地の隆起・削剥史の解明のためにアパタイトフィッション・トラック(AFT)解析を実施した。南部フォッサマグナ地域から離れた筑波山, 足尾山地, 奥秩父では、岩体の形成年代に近いAFT年代が得られたのに対して、身延山地や関東山地では、岩体形成年代より有意に若いAFT年代が得られた。AFT長データを用いた熱史逆解析の結果によると、関東山地北部$$sim$$中央部と身延山地では約1Ma、関東山地南部と奥秩父では4$$sim$$5Ma頃の急冷イベントが推定されたが、これらは伊豆ブロックと丹沢ブロックの衝突時期とそれぞれ一致する。各ブロックの衝突と本地域の山地形成の関係については今後の検討課題である。

論文

高空間解像度の熱年代マッピングによる奥羽脊梁山地の隆起形態の推定; アパタイトフィッション・トラック法による展開

福田 将眞*; 末岡 茂; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 森下 知晃*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (32), p.12 - 16, 2019/12

東北日本弧の奥羽脊梁山地について、稠密な熱年代マッピングと斜面発達モデルの比較によって、隆起形態の制約を試みた。本研究で対象とした奥羽脊梁山地の南部では、山地の外側から内側に向かってアパタイトFT年代が若くなる(削剥速度が速くなる)傾向が見られた。従来提唱されていた奥羽脊梁山地の隆起モデルは、傾動隆起モデルとドーム状隆起モデルの2つであるが、斜面発達モデルを用いた検討によると、このような削剥速度分布は、ドーム状隆起モデルを支持すると考えられる。本研究地域では、脆性的なブロック状の変形よりも、地下の高温領域における塑性変形の伝播が支配的だと考えられるが、奥羽脊梁山地の他の箇所にもこの結果が適用できるかどうかは今後の課題である。

論文

東北日本弧前弧域における熱年代学的研究; アパタイトFT年代予報

梶田 侑弥*; 福田 将眞*; 末岡 茂; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 森下 知晃*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (32), p.6 - 7, 2019/12

太平洋プレートと北米プレート間の沈み込み帯に形成された島弧である東北日本弧の前弧域(阿武隈山地・北上山地)を対象として、アパタイトフィッション・トラック法を用いて隆起・削剥史を検討した。試料は、各山地を横断する方向にそれぞれ6地点と5地点で採取した。阿武隈山地では2地点で年代値が得られ、46.1$$pm$$6.9Maと73.9$$pm$$26.7Maと、先行研究と調和的な結果となった。北上山地では、同じく2地点で年代が得られ、66.8$$pm$$10.4Maと65.8$$pm$$10.4Maとなった。この2つの年代は先行研究より有意に若いが、両者の研究地域間には早池峰構造帯東縁断層が分布しており、年代差との関係は今後の検討課題である。

論文

Thermal fluid activities along the Mozumi-Sukenobu fault, central Japan, identified via zircon fission-track thermochronometry

末岡 茂; 郁芳 隋徹*; 長谷部 徳子*; 村上 雅紀*; 山田 隆二*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 田上 高広*

Journal of Asian Earth Sciences; X (Internet), 2, p.100011_1 - 100011_11, 2019/11

ジルコンフィッション・トラック(ZFT)熱年代により、茂住祐延断層沿いの熱異常検出を試みた。ZFT年代は110-73Ma、ZFT長は7.1-9.0$$mu$$mを示し、これらを基にした熱史逆解析の結果から、約60Maと30-15Maの再加熱イベントが認定された。前者は約65Maの神岡鉱床の形成に伴う熱水活動を反映していると考えられる。後者は日本海拡大時の火成活動起原の加熱で、高温流体の滞留が介在している可能性が高い。

論文

Thermal history analysis of granitic rocks in an arc-trench system based on apatite fission-track thermochronology; A Case study of the Northeast Japan Arc

福田 将眞*; 末岡 茂; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 田上 高広*

Journal of Asian Earth Sciences; X (Internet), 1, p.100005_1 - 100005_9, 2019/06

削剥史推定のため、東北日本弧南部の花崗岩類にアパタイトフィッション・トラック熱年代解析を適用した。前弧側では79.5-66.0Ma、奥羽脊梁山脈では29.8-5.5Ma、背弧側では19.1-4.6Maの年代が得られた。熱史逆解析の結果と併せると、前弧側は新生代を通じて静穏(削剥速度が0.05mm/yr以下)と考えられる一方で、奥羽脊梁と背弧側は3-2Ma以降の隆起に伴う急速な削剥(1-数mm/yr)が推定された。また、奥羽脊梁は傾動ポップアップ型の隆起モデルよりも、ドーミング型の隆起モデルの方が年代分布と整合的である。背弧側山地の隆起開始時期は、従来のモデル(5-3.5Ma)と異なり、奥羽脊梁と同時期(3-1Ma)と推定され、背弧側におけるテクトニクス史の地域差が示唆された。

論文

茂住祐延断層のジルコンFT熱年代解析; 熱史モデルによる再検討

末岡 茂; 郁芳 隋徹*; 長谷部 徳子*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (31), p.9 - 12, 2018/12

上載地層法が適用できない断層の活動性評価手法として、熱年代学の手法による検討が有望だと考えられている。本研究は、跡津川断層帯の茂住祐延断層にジルコンフィッション・トラック(ZFT)熱年代解析を適用した郁芳(2011)のデータの再検討を試みたものである。郁芳(2011)は、茂住祐延断層の2本の破砕帯を貫く調査坑道内において、110-70MaのZFT年代と7-9$$mu$$mのZFT長を報告し、加熱の原因を約65Maの神岡鉱床の形成に伴う熱水活動だと解釈した。一方、本研究による熱史逆解析の結果によれば、加熱の時期は見掛け年代より新しく、約30-15Maと推定された。この時期は日本海拡大期に当たっており、当時の火成活動が加熱イベントに関連していると考えられる。しかし、加熱メカニズムについては、地表に堆積した火山噴出物からの単純な熱伝導では説明が困難であり、今後の検討課題である。

論文

低温領域の熱年代学的手法を用いた東北日本弧における隆起・削剥史の解明

福田 将眞*; 末岡 茂; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (30), p.7 - 10, 2017/12

東北日本弧の100万年スケールの地殻変動像把握のために、阿武隈山地、奥羽脊梁山脈、朝日山地にて、アパタイトフィッション・トラック(AFT)解析を実施した。前弧側の阿武隈山地では79.5-66.0Maの古いAFT年代が得られ、熱履歴解析の結果や先行データと合わせて、本地域は白亜紀後期以降は比較的安定な削剥環境だったことが推定された。対照的に、奥羽脊梁山脈では29.8-5.5Ma、背弧側の朝日山地では21.0-17.6Maの若いAFT年代が得られた。熱履歴解析の結果や既報のアパタイト(U-Th)/He年代と合わせると、最近数Maの山地形成に伴う急冷を反映していると解釈できる。脊梁山脈と背弧側の一部では、日本海拡大より古い年代も得られたが、これらの解釈に関しては、今後の追加分析が望まれる。

論文

Uplift and denudation history of the Akaishi Range, a thrust block formed by arc-arc collision in central Japan; Insights from low-temperature thermochronometry and thermokinematic modeling

末岡 茂; 池田 安隆*; 狩野 謙一*; 堤 浩之*; 田上 高広*; Kohn, B. P.*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 柴田 健二*

Journal of Geophysical Research; Solid Earth, 122(8), p.6787 - 6810, 2017/08

複数の熱年代学的手法とthermo-kinematicモデリングを用いて赤石山脈の削剥史を検討した。熱年代は東に向かって系統的に若返り、赤石山脈北部は東縁に分布する糸魚川-静岡構造線の活動によって隆起した可能性が示唆された。Thermo-kinematicモデリングによって詳細な検討を加えた結果、糸魚川-静岡構造線の変位速度が5-10mm/yr、傾斜が27-45度、デコルマ深度が20-25kmのとき、熱年代測定結果と既存の地形・地球物理データを矛盾なく説明できることが確認できた。隆起速度と削剥速度は約4mm/yrと推定された。一方、赤石山脈南部は、先行研究による少数の熱年代データは北部と異なる値を示しているほか、地形・地質構造等の違いを考慮すると、北部とは別の時期・メカニズムによって隆起している可能性がある。

論文

アパタイトFT解析に基づいた養老-鈴鹿-布引山地の隆起・削剥史

末岡 茂; 堤 浩之*; 田上 高広*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 柴田 健二

フィッション・トラックニュースレター, (27), p.17 - 19, 2014/12

地殻変動の長期予測を行う上で、山地の隆起開始時期や高度の変遷といった発達過程の把握が重要となる。本研究では、近畿の逆断層卓越地域と中部の横ずれ断層卓越地域の構造境界に分布する養老-鈴鹿-布引山地について、アパタイトフィッション・トラック法(AFT法)を用いて、隆起・削剥史の解明を行った。AFT年代測定の結果、47-30Maという年代が得られ、鈴鹿山脈の中部から南部で最も若く、南北に向かって古くなる傾向が認められた。AFT年代とAFT長を基にした熱履歴解析の結果、これらの年代差は最近数100万年間の山地の隆起に伴う削剥量の違いを反映していると解釈できる。古琵琶湖や東海湖といった沈降域が南から北へと発達したのに対し、隆起域はより複雑な発達過程をたどったことが示唆される。

口頭

ジルコンFT熱年代に基づく茂住祐延断層(跡津川断層帯)の熱史解析

末岡 茂; 郁芳 隋徹*; 長谷部 徳子*; 田上 高広*

no journal, , 

跡津川断層帯の茂住祐延断層周辺における熱異常の検出を目的として、調査坑道内の2本の破砕帯沿いを中心に14地点でジルコンフィッション・トラック(FT)法による熱史解析を実施した。FT年代は110.3-73.3Ma、FT長は7.1-9.0$$mu$$mを示した。FTデータと岩石の破砕度には明瞭な相関は見られず、FT年代が断層の摩擦発熱による熱異常を反映している可能性は低い。FTデータを基にした熱史の逆解析の結果、中期中新世頃の再加熱イベントが示唆された。加熱の原因は、日本海拡大時の火山岩類(岩稲累層など)を形成した火成活動に関連していると考えられる。加熱のメカニズムについては、地表の火砕岩からの単純な熱伝導よりは、何らかの高温流体の関与が有力だが、熱源の特定のためには追加の熱年代学的検討が望まれる。

口頭

低温領域の熱年代学的手法を用いた南部フォッサマグナ地域の隆起・削剥史解明

小林 侑生*; 末岡 茂; 福田 将眞*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 田上 高広*

no journal, , 

南部フォッサマグナ地域は、本州弧と伊豆・小笠原弧の島弧-島弧衝突帯であり、中期中新世以降、最大で4つの地殻ブロックの衝突があったと考えられているが、その時期や影響については諸説ある。本研究では、アパタイトフィッション・トラック法を用いて、南部フォッサマグナ地域の山地の隆起・削剥史の解明を試みた結果、奥秩父地域で14.7$$pm$$4.7Ma、関東山地で8.7-1.0Ma、身延地域で3.6$$pm$$2.5Maの年代が得られた。地温勾配を約40$$^{circ}$$Cと仮定すると、削剥速度は奥秩父地域で0.23$$pm$$0.0.7mm/yr、関東山地で0.36-3.6mm/yr、身延地域で1.6$$pm$$1.1mm/yrと計算された。関東山地と身延地域では特に大きな削剥速度が得られ、これらの年代値は地殻ブロックの衝突に伴う山地形成を反映していると考えられる。

口頭

低温領域の熱年代学とthermo-kinematicモデルに基づいた赤石山脈北部の隆起・削剥史

末岡 茂; 池田 安隆*; 狩野 謙一*; 堤 浩之*; 田上 高広*; Kohn, B. P.*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 柴田 健二*

no journal, , 

フィッション・トラック法, (U-Th)/He法, U-Pb法などの熱年代学的手法と、thermo-kinematicモデルを用いて、赤石山脈北部の隆起・削剥史と、糸静線南部の断層活動との関係について検討した。各年代値は、おおむね白州-鳳凰山断層に向かって東方に若返る傾向を示し、これらの断層活動が山地の隆起に最も寄与していると考えられる。Thermo-kinematicモデルによるより詳細な検討結果によれば、変位速度が5-10mm/yr、rampの傾斜が27-45$$^{circ}$$、デコルマの深度が20-25kmのflat-ramp構造を仮定すると、今回得られた年代値および既報の断層パラメータ等を齟齬なく説明できる。このとき、赤石山脈北部の基盤隆起速度と削剥速度は、いずれも約4mm/yrと推定できる。一方、赤石山脈南部については、先行研究で報告されている年代値が北部と傾向を異にすることや、山地側に隆起をもたらすような活断層が不明瞭なことから、北部とは異なる隆起史・隆起メカニズムを有している可能性が示唆される。

口頭

モンゴル西部の湖沼堆積物を用いた完新世後期の古環境変動解析

早川 翼*; 勝田 長貴*; 國分 陽子; 長谷部 徳子*; 村上 拓馬; 宮田 佳樹*; 長谷川 精*; 長尾 誠也*; 川上 紳一*

no journal, , 

モンゴル北西部のテルヒンツァーガン湖(TR湖)と、西部のブンツァーガン湖(BT湖)で、放射年代測定法(土壌TOC・C-14、Pb-210・Cs-137)、粒子解析等を用いて、そこに記録される古気候・環境変動の解析を行った。TR湖底コアでは、堆積年代は約3000年と約6000年であり、生物起源シリカ(bioSi)濃度及び全有機炭素(TOC)濃度と、鉱物粒子径で顕著な変動が見られた。太陽活動指標との対比から、極小期にbioSiとTOCの低下と粒子径の減少、極大期でbioSiとTOCの上昇と粒子径の増加となった。また、1600年以降の太陽活動増加傾向期にbioSiとTOCの増加が見られ、周波数解析により、太陽活動周期に対応する約88, 約240, 約2400年の卓越周期を持つことが明らかとなった。一方、BT湖底コアでは、堆積年代は約150年であり、太陽黒点周期とおおよそ一致する数十年スケールの顕著な炭酸塩量の変動が認められ、太陽活動の静穏期に炭酸量の低下となり、約10-20年の卓越周期であった。したがって、アジア大陸半乾燥地域の気候は、太陽活動の影響を強く受けて変動していることが明らかとなった。

口頭

アパタイトFT法に基づいた東北日本弧における隆起・削剥史の推定; 島弧山地形成過程の解明を目指して

福田 将眞*; 末岡 茂; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 田上 高広*

no journal, , 

東北日本弧における地質学的時間スケールでの削剥史解明のため、アパタイトフィッション・トラック法に基づいた熱史解析を実施した。前弧側では、白亜紀後期以降、安定的な削剥環境が推定された。奥羽脊梁山地と背弧側では、ともに3-2Ma以降の東西圧縮に対応すると考えられる急速な削剥が検出された。従来のモデルでは背弧側から奥羽脊梁へ隆起場が変遷したと考えられているが、両者の隆起開始は同時期であった可能性が示唆される。奥羽脊梁の熱年代パターンは、断層によるpop-up型の隆起よりは、doming型の隆起に整合的な傾向を示した。

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