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論文

Dynamics of low-energy electrons in liquid water with consideration of Coulomb interaction with positively charged water molecules induced by electron collision

甲斐 健師; 横谷 明徳; 鵜飼 正敏*; 藤井 健太郎; 樋口 真理子; 渡辺 立子

Radiation Physics and Chemistry, 102, p.16 - 22, 2014/09

 被引用回数:29 パーセンタイル:88.43(Chemistry, Physical)

本研究では水中に入射及び生成された電子のエネルギー緩和過程の詳細に明らかにするために、電子の衝突イベント数及び軌道追跡の時間発展を計算により求めた。本シミュレーション法では電子の軌道を追跡する計算を行うために、分子過程として電子衝突による水分子の電離過程、電子的励起過程、解離性付着過程、振動励起過程、回転励起過程及び弾性散乱過程を考慮し、さらに低エネルギー電子の詳細軌道を計算するために荷電粒子間のクーロン相互作用を考慮した。水中に500eVの電子を入射した際の各分子過程の衝突イベント数を見積もった結果、振動及び回転励起過程をより多発させながらエネルギーを損失することがわかった。また、生成された2次電子は100フェムト秒間で電離した位置から平均3nm程度の位置まで拡散することがわかった。

論文

Development of a simulation method for dynamics of electrons ejected from DNA molecules irradiated with X-rays

甲斐 健師; 樋口 真理子; 藤井 健太郎; 渡辺 立子; 横谷 明徳

International Journal of Radiation Biology, 88(12), p.928 - 932, 2012/12

 被引用回数:1 パーセンタイル:12.15(Biology)

We have proposed a simulation method based on the molecular dynamics to understand the role of the Auger effect with irradiation of monochromatic soft X-rays. The dynamics of the free electrons generated with the radiation damage is described by using Newton equation. The photo-absorption ionization, the elastic scattering, the electron impact ionization, and the Auger decay are considered as atomic processes for the radiation damage. Using this simulation method, there is a possibility to understand the time evolution of the DNA damage induced by the radiation in detail. In this study, we have selected a DNA of 30 base pair as the target, and we will discuss the ionization mechanism and the electron dynamics in the DNA damage with the irradiation of monochromatic soft X-rays.

論文

A Possible overestimation of the effect of acetylation on lysin residues in KQ mutant analysis

藤本 浩文*; 樋口 真理子; 小池 学*; 大出 裕高*; Pinak, M.; Kotulic Bunta, J.*; 根本 俊行*; 作道 隆*; 本田 尚子*; 前川 秀彰*; et al.

Journal of Computational Chemistry, 33(3), p.239 - 246, 2012/01

 被引用回数:36 パーセンタイル:66.50(Chemistry, Multidisciplinary)

リジン残基のアセチル化は、タンパク質が受ける翻訳後修飾の中で最も一般的なものの一つである。本研究では、DNA修復酵素の一つであるKuタンパク質内のリジン残基がアセチル化されると、その基質であるDNAとの結合力がどのように変化するのかをコンピュータシミュレーションを用いて検証した。擬似アセチル化タンパク質のモデルとして実験的によく用いられる、グルタミン置換変異体(KQ変異体)ではDNAとの結合力が下がり、非擬似アセチル化タンパク質モデルとして用いられるアルギニン置換変異体(KR変異体)では結合力は低下しなかった。このシミュレーション結果は既報の実験結果と完全に一致している。一方、これらのリジン残基をアセチル化してもDNAとの結合力は低下しなかった。したがって、擬似アセチル化タンパク質のモデルとしてKQ変異体を用いると、アセチル化の影響を過大評価する場合があると考えられる。

論文

Enhanced resolution of molecular recognition to distinguish structurally similar molecules by different conformational responses of a protein upon ligand binding

樋口 真理子; 藤井 淳平*; 米谷 佳晃; 北尾 彰朗*; 郷 信広*

Journal of Structural Biology, 173(1), p.20 - 28, 2011/01

 被引用回数:2 パーセンタイル:5.91(Biochemistry & Molecular Biology)

ヌクレオシドdGTPと損傷したヌクレオシド8oxodGTPは構造が似ているが、修復酵素MutTは結合力の大きな差によって両者を区別している。本研究では分子動力学シミュレーションの手法を用いて、基質の小さな差を増幅し大きな結合力の差として認識する分子的な仕組みを解明した。MutTはdGMPとの結合時は基質周辺のループが開いている状態が安定だが、8oxodGMPとの結合時は基質周辺のループが閉じている状態が安定であることがわかった。このような結合構造の違いが結合力の大きな差を生み出していると考えられる。さらに、基質のH7とMutTの119番目の残基Asnをつなぐ水素結合が結合構造の違いに重要な役割を果たしていることがわかった。

論文

Effects of Abasic site and 8oxoG lesions on DNA molecule

樋口 真理子; Pinak, M.; 斎藤 公明

保健物理, 42(2), p.166 - 173, 2007/06

8オキソグアニンと塩基脱落部位を含むクラスターDNA損傷は、酵素による修復が阻害される一つの例である。2ナノ秒の分子動力学シミュレーションを行い、クラスターDNA損傷において、塩基脱落部位は8オキソグアニンよりも大きな影響をDNA構造変化に及ぼすことがわかった。クラスターDNA損傷はおもに塩基脱落部位において曲がった構造をとる。8オキソグアニンと塩基脱落部位を含むクラスターDNA損傷の曲がる方向は、8オキソグアニン単独の損傷を持つDNAとは異なっている。これらの変化はDNA修復酵素の働きに影響を与えると考えられる。

論文

Analysis of the function of a large-scale supra-biomolecule system by molecular dynamics simulation system, SCUBA (Simulation Codes for hUge Biomolecular Assembly)

石田 恒; 樋口 真理子; 米谷 佳晃*; 叶野 琢磨; 城地 保昌*; 北尾 彰朗*; 郷 信広

Annual Report of the Earth Simulator Center April 2005 - March 2006, p.237 - 240, 2007/01

地球シミュレータは従来にはない大規模生体超分子系の分子動力学シミュレーションを可能とする計算能力を持つ。そこで、われわれは数百万原子の生体超分子系を扱う大規模な分子動力学シミュレーションシステムSCUBA(旧名PABIOS)を開発している。SCUBAはPPM計算法,系のエネルギー,温度,圧力を一定に保つさまざまな時間積分アルゴリズム,系の原子分布異方性により引き起こされる並列化効率の悪化を防ぐための動的ロードバランスなど、最新のアルゴリズムを採用した計算性能に優れたシミュレーションシステムである。本年度は、約55万原子の系(RuvAB-Holliday分岐DNA)について分子動力学シミュレーションを実行した結果、地球シミュレータで360個のプロセッサを用いてもSCUBAはベクトル化率95%以上,並列化効率50%以上の優れた性能を達成することに成功した。そして、ホリデイジャンクションモデル(RuvA-Holliday分岐DNA)の長時間分子動力学シミュレーションを実行することで、Holliday分岐DNA結合タンパク質RuvAがDNAを組み換えるメカニズムを分子レベルで明らかにすることができた。

論文

Development of molecular dynamics simulation system for large-scale supra-biomolecules, PABIOS (PArallel BIOmolecular Simulator)

石田 恒; 樋口 真理子; 米谷 佳晃*; 叶野 琢磨; 城地 保昌*; 北尾 彰朗*; 郷 信広

Annual Report of the Earth Simulator Center April 2004 - March 2005, p.241 - 246, 2005/12

地球シミュレータは従来にはない大規模超分子系の分子動力学シミュレーションを可能とする計算能力を持つ。そこで、われわれは数百万原子のシステムを扱う大規模な分子シミュレーション(PABIOS)を開発している。PABIOSは空間分割法を用いており高い並列化効率を持つ。PABIOSは系のエネルギー,温度,圧力を一定に保つさまざまな時間積分アルゴリズム,原子結合長を固定することにより時間ステップの増大を可能とするSHAKE, RATTLEアルゴリズムなどの高精度アルゴリズムを採用した計算性能に優れたシミュレーションシステムである。今回、系の原子分布の異方性による並列化効率の悪化がおこらないように、動的ロードバランスを開発した。ホリデイ分岐DNAとDNA結合蛋白質RuvA4量体の複合体が水中に存在する系(全系16万6千原子)について分子動力学シミュレーションを実行した結果、地球シミュレータで120個のプロセッサを用いてもPABIOSはベクトル化率95%以上,並列化効率50%以上の優れた性能を達成することに成功した。そして計算速度も昨年度と比べて約2倍程度向上した。

論文

Development of molecular dynamics simulation system for large-scale supra-biomolecules, PABIOS (PArallel BIOmolecular Simulator)

石田 恒; 城地 保昌*; 樋口 真理子; 叶野 琢磨; 北尾 彰朗*; 郷 信広

Annual Report of the Earth Simulator Center April 2003 - March 2004, p.175 - 179, 2004/07

地球シミュレータは従来にはない大規模超分子系の分子動力学シミュレーションを可能とする計算能力を持つ。そこで、われわれは数百万原子のシステムを扱う大規模な分子シミュレーション(PABIOS)を開発している。PABIOSは空間分割法を用いており高い並列化効率を持つ。PABIOSは系のエネルギー,温度,圧力を一定に保つさまざまな時間積分アルゴリズム,原子結合長を固定することにより時間ステップの増大を可能とするSHAKE, RATTLEアルゴリズムなどの高精度アルゴリズムを採用した計算性能に優れたシミュレーションシステムである。ホリデイ分岐DNAとDNA結合蛋白質RuvA4量体の複合体が水中に存在する系(全系16万6千原子)について分子動力学シミュレーションを実行した結果、地球シミュレータで144個のプロセッサを用いてもPABIOSはベクトル化率95%以上,並列化効率50%以上の優れた性能を達成することに成功した。

口頭

DNA修復酵素FpgのクラスターDNA損傷に対する結合阻害

樋口 真理子; Pinak, M.

no journal, , 

放射線により損傷が10から20ベースペア以内に複数の損傷が生じることがあり、これをクラスター損傷と呼ぶ。修復酵素Fpg及びhOGG1はともにDNA上の損傷残基である8オキソグアニンを修復する酵素だが、両者の構造は全く異なっている。しかし、8オキソグアニンの相補鎖上の数ベースペア離れた位置に一本鎖鎖切断がある場合、両者とも修復が阻害されることが実験によりわかっている。二つの損傷の相対位置を変えると阻害率が変化するが、その振る舞いはFpgとhOGG1ではやや異なっている。本研究では、クラスター損傷DNAと修復酵素hOGG1及びFpgの分子動力学シミュレーションを行い、結合阻害の分子機構を解析して、両者を比較した。DNAモデルには一本鎖鎖切断が8オキソグアニンの近くに位置するものを用い、二つの損傷の相対位置を変えてそれぞれの振る舞いを調べた。その結果、Fpg結合時のDNAの構造揺らぎの振る舞いはhOGG1結合時の振舞いと似ていることがわかった。また、FpgとhOGG1間の、二つの損傷の相対位置を変化させた時の振る舞いの違いは、DNAとの相互作用の詳細が異なるためであることがわかった。

口頭

水中における1次・2次電子の衝突イベント及び軌道の時間発展計算

甲斐 健師; 横谷 明徳; 鵜飼 正敏*; 藤井 健太郎; 樋口 真理子; 渡辺 立子

no journal, , 

本研究では、水中に入射及び生成された電子による衝突イベント及び電子軌道の時間発展を明らかにするために、電子衝突による水分子の電離,電子的励起,解離性付着,振動励起,回転励起及び弾性散乱を考慮し、さらに荷電粒子間のクーロン相互作用を考慮したシミュレーションを行った。その結果、数eV以下のエネルギーを持つ電子はクーロン相互作用の影響を受けやすく、振動励起及び回転励起を多発させながらエネルギーを損失し、電離により生じた2次電子は、初期電離サイトから平均3nm程度でmeVオーダーになることがわかった。また、入射電子のエネルギーが500eVであると、照射後1.5fs程度でエネルギー付与が最も大きくなることも明らかになった。得られた知見は、水溶液中の生体分子に対する放射線作用の時間発展及び空間分布を考えるうえで重要な情報である。

口頭

水中におけるフェムト秒オーダーでの電離電子のダイナミクス

甲斐 健師; 横谷 明徳; 鵜飼 正敏*; 藤井 健太郎; 樋口 真理子; 渡辺 立子

no journal, , 

放射線によるDNA損傷において、電子の衝突電離により発生した2次電子は重要な役割を果たす。しかしながら、フェムト秒オーダーにおける2次電子のダイナミクスや空間分布は未だ解明されていない。そこで、水中に発生した2次電子の空間分布を明らかにするために、荷電粒子(分子)間のクーロン相互作用を考慮した電子ダイナミクスの計算法を開発した。500eVの入射電子に対してこの方法を適用した結果、電離から500fs後には生じた2次電子の約半数は、親イオンから1nm以内の領域に分布していることが分かった。これは、電離位置のごく近傍に、従来の予測と比べて高い密度で2次電子が分布することを示しており、放射線によるDNA損傷の推定のみならず水溶液中の放射線作用初期過程の基礎となる重要な情報である。

口頭

損傷が近接する二本鎖切断と蛋白質Kuの結合

樋口 真理子; Pinak, M.

no journal, , 

DNAの二本鎖切断はNHEJ(non-homologous end joining)過程によって修復される。ところが、鉄イオンの照射によって生じた二本鎖切断の修復は、X線照射によって生じたものよりも時間がかかることがわかっている。鉄イオンの方がDNA損傷を集中して発生させ、二本鎖切断に近接した他の損傷が修復を遅らせているのではないかと考えることができる。これを確かめるための第一歩として、NHEJ過程で最初にDNAと結合するKuと二本鎖切断近傍に酸化損傷を配置したDNAとの結合状態を分子動力学シミュレーションの手法を用いて調べた。その結果、酸化損傷が二本鎖切断の近傍にあると、Kuとの結合状態で構造揺らぎはやや大きくなった。しかし、DNAの構造エントロピーの結合による変化を調べると、両者には大きな差がないことがわかった。今後、DNAとKuの間の相互作用も調べる必要があるが、DNAの構造揺らぎの点ではKuと二本鎖切断の結合に関して酸化損傷の影響は小さいと考えられる。

口頭

鎖切断を含むクラスター損傷DNAの分子動力学シミュレーション

樋口 真理子; Pinak, M.; 斎藤 公明

no journal, , 

複数のDNA損傷が集中して生じたものをクラスターDNA損傷と呼ぶ。これは放射線によって生じるDNA損傷の特徴でもある。クラスター損傷になると単独の損傷よりも修復されにくくなるが、その詳細な原因は不明である。具体的な例では、8oxoGの相補鎖の数ベースペア離れた位置に別の損傷があると、修復酵素MutMによる8oxoGの修復が阻害される。阻害率の高さは損傷の種類によって異なり、$$beta$$-$$delta$$鎖切断は阻害率が高いが、$$beta$$鎖切断はAPサイトと同程度である。本研究では、分子動力学シミュレーションを用いて、クラスター損傷を持つDNAの構造を調べた。用いたモデル構造は3種類で、それぞれ8oxoGの相補鎖の1ベースペア離れた位置に、(1)$$beta$$-$$delta$$鎖切断,(2)$$beta$$鎖切断,(3)APサイトを配置した。これらのモデルを用いたシミュレーション結果と実験データとの比較により、修復阻害率とDNA構造変化の関係について議論する。

口頭

クラスターDNA損傷と修復酵素hOGG1の分子動力学シミュレーション

樋口 真理子; Pinak, M.; 斎藤 公明

no journal, , 

放射線により、10から20ベースペア以内に複数の損傷が生じることがあり、これをクラスター損傷と呼ぶ。クラスター損傷は単独損傷と比較して修復が阻害される傾向がある。8オキソグアニンの相補鎖上の数ベースペア離れた位置に一本鎖鎖切断がある損傷は修復が困難なクラスター損傷の例である。このクラスター損傷は修復酵素hOGG1による8オキソグアニンの修復を阻害することが実験によりわかっている。しかし、クラスター損傷の修復阻害の分子的な機構は解明されていない。本研究では損傷DNAと修復酵素hOGG1の分子動力学シミュレーションを用いて修復阻害の解明を目指した。8オキソグアニン単独損傷の場合と、8オキソグアニンと一本鎖鎖切断のクラスター損傷の場合を比較した。その結果、単独損傷の場合は修復のための酵素反応が生じる部位に8オキソグアニンが近づいた構造が安定であったのに対し、鎖切断がある場合は酵素反応を生じる部位以外でも8オキソグアニンが安定に存在してしまう、すなわち、修復が起きる確率が低くなることがわかった。

口頭

Molecular dynamics simulation of cluster damaged DNA and hOGG1

樋口 真理子; Pinak, M.

no journal, , 

放射線により損傷が10から20ベースペア以内に複数の損傷が生じることがあり、これをクラスター損傷と呼ぶ。クラスター損傷は単独損傷と比較して修復が阻害される傾向がある。8オキソグアニンの相補鎖上の数ベースペア離れた位置にAPサイトや一本鎖鎖切断がある損傷は修復が困難なクラスター損傷の例である。このクラスター損傷は修復酵素hOGG1による8オキソグアニンの修復を阻害することが実験によりわかっている。8オキソグアニンとの相対位置により修復率が変わるが、その原因はわかっていない。本研究では損傷DNAと修復酵素hOGG1の複合体の分子動力学シミュレーションを用いて修復阻害の仕組みの解明を目指した。APサイトあるいは鎖切断を複合体中のDNA上に配置し、場所を変えて数種類のシミュレーションを行った。その結果、結合したDNAの構造のゆがみ方が鎖切断の位置によって変わることがわかった。

口頭

クラスターDNA損傷が修復酵素hOGG1の基質認識に及ぼす影響

樋口 真理子; Pinak, M.

no journal, , 

放射線により損傷が10から20ベースペア以内に複数の損傷が生じることがあり、これをクラスター損傷と呼ぶ。クラスター損傷は単独損傷と比較して修復が阻害される傾向がある。8オキソグアニンの相補鎖上の数ベースペア離れた位置にAPサイトや一本鎖鎖切断がある損傷は修復が困難なクラスター損傷の例である。このクラスター損傷は修復酵素hOGG1による8オキソグアニンの修復を阻害することが実験によりわかっている。8オキソグアニンとの相対位置により修復率が変わるが、その原因はわかっていない。本研究では損傷DNAと修復酵素hOGG1の複合体の分子動力学シミュレーションを用いて修復阻害の仕組みの解明を目指した。APサイトあるいは鎖切断を複合体中のDNA上に配置し、場所を変えて数種類のシミュレーションを行った。その結果、鎖切断の位置によってDNAの構造揺らぎが変わることがわかった。損傷の位置によって酵素との接触面積が変わるからと考えられる。

口頭

Molecular dynamics simulation of clustered DNA damage site with DNA repair enzyme MutM

樋口 真理子; Pinak, M.

no journal, , 

クラスター損傷とは10$$sim$$20ベースペア内に二つ以上の損傷があるものをいい、放射線により高い頻度で生じる。クラスター損傷は単独の損傷よりも修復されにくく、その修復機構もよくわかっていない。8オキソグアニン(8oxoG)の近傍に塩基欠落部位(APサイト)があるクラスター損傷は修復が困難な損傷の一つである。実験により、8oxoGのある鎖の、対の鎖上の8oxoGから1ベースペア離れた位置にAPサイトがあると、グリコシラーゼMutMによって8oxoGが修復されにくくなること、また、8oxoGとAPサイトの距離が離れると、修復される確率が増えていくことがわかっている。本研究では、単独の8oxoG損傷を持つDNAと8oxoG-APサイトによるクラスター損傷DNAの分子動力学シミュレーションを行い、結果を比較した。分子動力学シミュレーションを行うために、損傷部位の力場パラメータを量子化学計算により求めた。分子構造と原子電荷分布が損傷のないDNAとは異なることがわかった。分子動力学シミュレーションではAPサイトがクラスター損傷の形状に大きく影響していることがわかった。

口頭

The Affinity of close-two-damaged DNA and repair enzyme hOGG1

樋口 真理子; Pinak, M.

no journal, , 

放射線により損傷が10から20ベースペア以内に複数の損傷が生じることがあり、これをクラスター損傷と呼ぶ。修復酵素hOGG1はDNA上の損傷残基である8オキソグアニンを修復する酵素だが、8オキソグアニンの相補鎖上の数ベースペア離れた位置に一本鎖鎖切断がある場合、修復が阻害されることが実験によりわかっている。8オキソグアニンと他の損傷の相対位置により修復率が変わるが、その原因は明確ではない。本研究では、クラスター損傷DNAと修復酵素hOGG1の分子動力学シミュレーションを行い、結合力を推定した。クラスター損傷のモデルとして8オキソグアニンと一本鎖鎖切断の二つを含むDNAを用いた。8オキソグアニンをDNAの中央に配置し、鎖切断を8オキソグアニンから見てそれぞれ$$pm$$1, $$pm$$3ベースペア離れた位置に配置した。推定した結合力の相対値は、修復確率の実験結果と定性的に矛盾のない値が得られた。この結果は修復確率がDNAと酵素hOGG1との結合力を反映していることを支持する。さらに、結合状態の詳細を調べ、hOGG1の結合面の形が、二つの損傷の相対位置による結合力の変化をもたらしていることがわかった。

口頭

Simulation study on induction and repair of clustered DNA damage

斎藤 公明; 渡辺 立子; 樋口 真理子

no journal, , 

修復されにくいクラスターDNA損傷が放射線生物影響上重要であると考えられてきたが、クラスター損傷の実体に関してはまだ十分に解明が行われていない。原子力機構では、クラスター損傷の生成・修復機構の解明に貢献するため、シミュレーション計算を用いた研究を実施している。この中で、線質(放射線の種類・エネルギー)と損傷スペクトル(損傷の種類と収率)の関係を明らかにするためのモンテカルロ計算,クラスター損傷DNAが修復され難い原因を明らかにするための分子動力学計算を進めてきた。本講演ではおもに2007$$sim$$2008年に得られた成果をまとめて発表する。前者のシミュレーションについては、DNAの高次構造が損傷生成に与える影響について、後者のシミュレーションについては、DNAの構造変化が修復に与える影響についてそれぞれ得られた新しい知見について紹介し議論を行う。

口頭

Simulation on clustered DNA damage induction and repair

斎藤 公明; 樋口 真理子; 渡辺 立子

no journal, , 

DNA is considered as the most important target which initiates biological radiation effects, even now that non-targeted effects like bystander effects have been highlighted. We have utilized computational simulations for investigating the features of DNA damage induction and repair. Concerning DNA damage induction, a Monte Carlo code was developed to simulate sequential processes of energy depositions by radiations, productions and diffusions of radical species, and following DNA damage inductions. So far, the characteristics of DNA damage spectra for divers radiation including heavy charged particles have been clarified. Further, molecular dynamics simulation has been employed to examine the structural change of cluster-damaged DNA and its interaction with a repair enzyme. It is suggested the magnitude of structural change in DNA would be somewhat related to the difficulty of the repair. These results will be summarized in the paper.

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