Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
奥平 琢也; 清水 裕彦*; 北口 雅暁*; 広田 克也*; Haddock, C. C.*; 伊藤 維久也*; 山本 知樹*; 遠藤 駿典*; 石崎 貢平*; 佐藤 匠*; et al.
EPJ Web of Conferences, 219, p.09001_1 - 09001_6, 2019/12
原子核が熱外中性子を共鳴吸収する反応において、弱い相互作用起因のパリティ対称性の破れが核子間相互作用の最大10倍増幅される現象が観測されている。この反応では時間反転対称性の破れにも同様の増幅効果があることが理論的に予言されており、全く新しい手法で未知の時間反転対称性の破れを世界最高感度で探索できる可能性がある。しかし、その増幅率は全ての核種で未知であり、この手法がもつ可能性を具体的に議論できていなかった。本研究ではJ-PARC, MLF, BL04のGe検出器群を用いて、La(n,)反応の角度分布測定を行い、世界で初めてLaで時間反転対称性の破れの増幅率を求めることに成功した。この結果を用いて、実験に必要な測定時間を見積もると、偏極率40%のLa核偏極技術、偏極率70%, 79atm・cmのHe Spin Filterを用意すれば、1.4日の測定で世界最高感度で時間反転対称性の破れ探索実験が可能であることが判明した。現在原子力機構では高性能なHe Spin Filterの開発を行なっており、本発表では線の角度分布測定の結果、及び共用ビームラインに適用するためのHe Spin Filterの開発の現状について発表する。
広田 耕一
放射線と産業, (139), p.33 - 36, 2015/12
文部科学省の補助事業「先端研究施設供用・プラットフォーム形成事業」を活用した高崎量子応用研究所のイオンビーム照射研究施設、線照射施設、電子線照射施設の利用概要及びその研究成果について解説する。具体的には、各照射施設の特徴や専任の指導員による技術サポートが受けられる三つの戦略分野(有用遺伝子資源創成研究、分析技術利用、材料開発)の内容について紹介するとともに、同事業により得られた最近の成果(既存品種にない花色や花びらを有する花の作出、高性能リチウムイオン電池の開発に役立つリチウムイオンの濃度分布の分析、耐変形性を付与したフッ素ゴムの開発など)について述べる。
広田 耕一
原子力・量子・核融合事典,4, p.126 - 127, 2014/12
放射線による環境汚染物質の分解について解説したものである。具体的には、電子線を利用した排ガス中揮発性有機化合物(VOC)及びゴミ燃焼排ガス中ダイオキシン類の分解について、実験装置,分解率,分解によって生成する中間副生成物等について放射線化学の観点から概説した。例えば、VOCの分解では、排ガスに直接電子線を照射することにより空気成分の水から生成したOHラジカル等により芳香族化合物を分解し、中間副生成物として、ギ酸,酢酸,プロピオン酸等の有機酸と有機硝酸塩を含む粒子状物質が生成するが、さらに酸化がすすむと二酸化炭素まで完全に分解できる。また、酸化分解を促進するため電子線照射後の排ガスに二酸化マンガン触媒を接触させることにより、効率的に二酸化炭素まで分解できる。ダイオキシン類の分解については、高崎市の高浜クリーンセンターからの実排ガスに電子線を直接照射して、ダイオキシン及びフランを90%以上分解できること、及びフランの分解率がダイオキシンのそれより低いのは、高塩素化同族体の脱塩素反応による低塩素化同族体の生成が原因であることを示した。
広田 耕一
Isotope News, (698), p.24 - 25, 2012/06
平成24年1月25日(水)高崎市総合福祉センターにおいて開催された放射線利用フォーラム2012 in高崎について紹介する。具体的には、「水素に触れると着色するセラミック材料の開発」など当該年度の概要と成果、元原子力委員で現在アジア原子力協力フォーラムの町末男コーディネーターによる特別講演「世界に拡がる放射線利用」、「低温でもよく育つイオンビーム育種により作出したメロン」など実用化間近の研究のほか、放射線照射により記憶形状機能を付与したプラスチック等の実演・展示など、高崎量子応用研究所の研究成果や技術移転の取組みについて開催当日の様子を紹介する。
広田 耕一
放射線と産業, (131), p.64 - 65, 2011/12
2011年6月20日(月)から23日(木)までの4日間、パシフィコ横浜にて開催された「RadTech Asia 2011(第12回紫外線・電子線硬化技術国際会議)」について、日本, 中国, 韓国, 北米, ヨーロッパにおける紫外線・電子線を利用した材料開発等の現状のほか、UV/EB及びレーザー装置,印刷,表面加工など計10分野の一般セッションと、ナノインプリント, ナノリソグラフィー, グリーンテクノロジーなど5分野で構成される特別セッションの講演内容について紹介する。具体的には、一般セッションでは光硬化性樹脂の新たな添加剤や硬化機構に関する発表など、特別セッションではUVを利用して加工したポリ乳酸を原料とする低環境負荷材料の開発や電子加速器を利用したエマルショングラフト重合による金属吸着材の創製などについて触れる。
Parajuli, D.; 広田 耕一; 瀬古 典明; 大渡 啓介*
Proceedings of 12th International Conference on Environmental Science and Technology (CEST 2011), p.B835 - B842, 2011/09
綿に電子線を照射してメタクリル酸グリシジル(GMA)をグラフト重合させた後エチレンジアミンなど官能基を修飾して得られた吸着材を用いて、都市鉱山廃液中に含まれるパラジウムの効率的な分離回収について試験を行った。吸着材の合成では、吸収線量,GMA濃度,反応時間などをパラメータとしたほか、乳化剤として日本杉から抽出した精油を用いて、グラフト重合に最適な条件を調べた。その結果、精油濃度50ppm,GMA濃度2%,吸収線量20kGy,反応温度40度,反応時間60分の条件で200%超のグラフト率が得られた。また、線照射した杉精油を用いると効率的にグラフト重合できることがわかった。精油に含まれる成分をGC/MSにて分析したところ、芳香族系のテルペンにOH基が付加している物質が多く検出されたことから、線照射により水分子から生じたOHが精油成分に反応して生成した物質がGMAの効率的な分散に寄与していると考えられる。
広田 耕一; 箱田 照幸; 島田 明彦; 田口 光正; 木村 敦; 小嶋 拓治
Proceedings of 12th International Conference on Radiation Curing in Asia (RadTech Asia 2011) (Internet), p.108 - 109, 2011/06
電子線によるVOC処理において最も困難なプロセスに、VOCの電子線照射によって生成する副産物の処理がある。この副産物を完全に酸化するため、オゾン分解触媒である二酸化マンガン触媒を導入した。この触媒は、照射により生成するオゾンを分解して活性酸素を発生させ、これにより副産物を酸化することができる。そこで、ガス処理専用の電子加速器と二酸化マンガンを備えたハイブリットVOC処理装置用いてトルエンとキシレンの混合ガスを処理したところ、11kGyでVOCを完全に無機化することができた。また、電子線によるダイオキシン類分解に関する研究では、高浜クリーンセンターの実ガス1,000m/hを用いてパイロット試験を行った。その結果、14kGyで排ガスに含まれるダイオキシン類の90%以上を分解することができた。
広田 耕一; Parajuli, D.; 瀬古 典明
Proceedings of 12th International Conference on Radiation Curing in Asia (RadTech Asia 2011) (Internet), p.136 - 137, 2011/06
金,白金,パラジウムなどの貴金属を回収する一般的な方法として、溶媒抽出,凝集沈殿,イオン交換などがあるが、これらの方法は高い初期投資,多量の溶媒使用及び廃液の発生など多くの問題を抱えている。これに対して、バイオマス吸着材は、経済性に優れるほか、廃液もほとんど発生しないため、低環境負荷型の技術として注目されている。本研究では、電子線を利用して日本杉を基材とする吸着材を合成し、模擬高レベル放射性廃棄物からパラジウムを分離回収する実験を行った。その結果、パラジウムのみを選択的に分離回収することができた。また、合成した吸着剤の耐放射線性を調べるため、線照射下でパラジウムに対する最大吸着量を調べたところ、市販の吸着材は0.12mol/kgであったが、合成した吸着剤からは照射の有無に関係なく約1.0mol/kgの高い値が得られた。この結果から、合成した吸着剤は耐放射線性が高く、高レベル放射性廃棄物からもパラジウムを回収できることがわかった。
Parajuli, D.; 広田 耕一; 瀬古 典明
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 288(1), p.53 - 58, 2011/04
被引用回数:19 パーセンタイル:79.21(Chemistry, Analytical)Radioactive high-level liquid waste generated during the reprocessing of spent nuclear fuel can be a rich source of a number of rare metals. Among several metals of interest, recovery of fission palladium is of particular interest for its high concentration (2000 ppm). Also, 83% of fission palladium is of stable isotopes and remaining 17% of radioactive Pd also possesses poor intrinsic radioactivity that is acceptable for several industrial applications. However, selective and effective separation of the desired fission-element is always a big challenge for even the highly efficient extractants in normal conditions lose their metal binding property when exposed to the radiation. Considering the rigidity of biomass-based adsorbents in harsh conditions, Japanese cedar wood powder was modified to thiamide-type adsorbent, CWP-TU, by microwave heating and tested for the adsorption of Pd(II) from nitric acid in normal and irradiation conditions. The results show that CWP-TU not only possesses distinct selectivity for Pd(II) in simulated high-level liquid waste, but also exhibits high loading capacity under irradiation environment as in normal condition.
広瀬 雄介*; 西村 尚人*; 本多 史憲*; 杉山 清寛*; 萩原 政幸*; 金道 浩一*; 竹内 徹也*; 山本 悦嗣; 芳賀 芳範; 松浦 直人*; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 80(2), p.024711_1 - 024711_12, 2011/02
被引用回数:9 パーセンタイル:53.04(Physics, Multidisciplinary)Magnetic and superconducting properties of CeRhGe and CePtSI have been investigated by bulk property measurements and neutron scattering experiments. CeRhGe was found to order antiferromagnetically with an ordered moment 1.3 /Ce along the -axis of the orthorhombic unit cell. High pressure resistivity measurements revealed a suppression of the antiferromagnetic transition with increasing pressure and the occurrence of superconductivity near the critical pressure where antiferromagnetism vanishes. Quantum-critical characteristics are expected to these compounds.
須郷 由美; 田口 光正; 佐々木 祐二; 広田 耕一; 森田 泰治
JAEA-Review 2010-065, JAEA Takasaki Annual Report 2009, P. 17, 2011/01
Influence of coexisting oxygen on the radiolysis of organic extractants for the separation of actinides was investigated. -Tetraoctyldiglycolamide (TODGA) was dissolved in -dodecane, and purged with nitrogen or oxygen gas. The solution was irradiated with helium ions provided by a cyclotron accelerator in the TIARA facility. The concentration of TODGA in -dodecane after irradiation was measured using GC/FID. It was observed the yield for the degradation of TODGA in the presence of oxygen was slightly less than that in the nitrogen-saturated system. Next, a difference in the degradation products according to the existence of oxygen was examined by GC/MS analysis. A number of new peaks assigned to the oxidation products of -dodecane such as ketones and alcohols, were appeared only in the presence of oxygen. This result suggests the intermediate species of -dodecane such as radical cations are liable to react with oxygen. It is therefore considered that the yield for the degradation of TODGA is slightly reduced in the presence of oxygen.
広田 耕一
Charged Particle and Photon Interactions with Matter; Recent Advances, Applications, and Interfaces, p.923 - 941, 2010/12
放射線は環境負荷物質の分解に有効な高度処理技術の1つであり、大気や水への直接照射により生成させた活性種を利用して環境負荷物質を処理することができる。大気に放射線を照射するとN, O, OHなどの化学種が生成するが、この中でOHは環境中の有害物質を効率的に酸化分解できる最も重要な活性種である。一方、水中の有機化合物の処理ではOHと水和電子が酸化反応の役割を担う。放射線による環境負荷物質の分解では、線源として電子線と線が利用されるが、放射線管理や運転の容易さ等の点で電子線の普及が進んでいる。本研究では、基礎的な実験結果を踏まえ、NOとSO,ダイオキシン類,染色廃液など環境負荷物質の処理パイロット試験及び実証試験の概要や成果について報告する。
木村 敦; 田口 光正; 近藤 孝文*; Yang, J.*; 永石 隆二; 吉田 陽一*; 広田 耕一
Radiation Physics and Chemistry, 79(11), p.1159 - 1164, 2010/11
被引用回数:3 パーセンタイル:23.49(Chemistry, Physical)新規機能性溶媒であるイオン液体はイオン対で構成されていることから、クーロン場として電荷を有する活性種と相互作用してイオン反応を促進する。一方で、放射線化学反応において重要な活性種の一つである溶媒和電子は、高い反応性を有することから数多くのイオン反応に関与する。本研究では、溶媒和電子の捕捉剤であるハロフェノールを用いて、イオン液体中の溶媒和電子の反応挙動について調べた。その結果、各イオン液体中のクロロフェノール(CP)の分解G値(0.73)が溶媒和電子の生成G値(0.8)とほぼ一致したこと、さらに溶媒和電子捕捉剤である亜酸化窒素を飽和したイオン液体中でフェノールの生成G値が0.5から0.2程度に大幅に減少したことから、CPの分解には溶媒和電子が大きく寄与している、すなわち解離的電子付着反応が起きていると考えられる。また、イオン液体中のハロフェノール(フルオロ,クロロ,ブロモ、及びヨードフェノール)の線分解におけるフェノールの生成G値(0.5)は、フルオロフェノールを除いてほぼ一定となった。以上より、イオン液体は放射線還元における優れた反応場として利用できると考えられる。
中川 清子*; 田口 光正; 広田 耕一; 村上 健*
Radiation Physics and Chemistry, 79(8), p.890 - 893, 2010/08
被引用回数:3 パーセンタイル:23.49(Chemistry, Physical)重イオンの線質・線量率効果を解明することを目的に、窒素飽和により脱酸素したヒドロキシマレイミドの2-プロパノール溶液試料に、2から400eV/nmのLET値を有するHe, C及びNeイオン照射を行った。ヒドロキシマレイミドの分解G値(収率)は、LET値が8eV/nmより小さい場合には線で得られている値(0.78)ものよりもやや低い値(0.65)を示すものの、LETが増加するに伴い0.02程度にまで減少した。さらに、同じLET値で比較した場合ではイオン種が重くなるほど小さくなった。また、5.010ions/cm/s程度のフルエンス率でイオン照射した場合と比べ、フルエンス率を一桁下げると分解G値は約1.5倍大きくなり、線量率依存性が観測された。以上、重イオン照射によって生成する活性種の空間及び時間分布が反応収率に大きく関与することを明らかにした。
箱田 照幸; 島田 明彦; 木村 敦; 田口 光正; 須郷 由美; 荒木 浩史*; Dally, E. B.*; 広田 耕一
Industrial & Engineering Chemistry Research, 49(12), p.5517 - 5522, 2010/05
被引用回数:11 パーセンタイル:38.19(Engineering, Chemical)当グループでは、電子ビーム照射による分解と固体触媒による酸化を組合せたVOC含有ガスの浄化技術の開発を進めている。本研究では、この技術の実用化を目指して、従来の照射技術では利用されてこなかった低反応性のオゾン(O)に着目し、このOを分解して活性酸素を生成できるMnOを併用した実規模ガス流量のVOC分解装置を用いて、トルエンやキシレンを同時に含む500m/hの空気について分解処理を行った。その結果、初期濃度が5ppmvの場合では9.3kGyの電子ビーム照射で42%の無機化率をMnO併用により100%に、初期濃度が10ppmvの場合では11kGyの照射で40%の無機化率を81%に向上できることを明らかにし、電子ビームと触媒の併用システムは実規模ガス流量条件においてもVOCの無機化に有効であることを実証した。
箱田 照幸; 松本 加奈江*; 水野 彰*; 広田 耕一
International Journal of Plasma Environmental Science & Technology, 4(1), p.65 - 70, 2010/03
環境材料プロセシング研究グループでは、これまでに電子線と触媒を併用した揮発性有機化合物の無機化技術の開発を進めている。本研究では、Ptをアルミナに担持した熱触媒やAgをアルミナに担持したプラズマ反応との親和性の高い触媒について、熱分解が生じない100Cの温度条件下でキシレンの分解に対する触媒の効果を調べた。具体的には、アルミナ単独の触媒及び金属担持アルミナ触媒について、それぞれの触媒層が、電子線に照射される条件から照射されない条件まで段階的に変化させ、キシレンや生成するCOやCO濃度変化を調べた。その結果、アルミナ単独の場合に比べて、Pt担持アルミナでは電子線に照射される条件において分解活性が低下し、Ag担持アルミナでは電子線に照射されない条件において分解活性が向上できることを見いだした。また、この分解活性の反応機構についても考察した。本研究の結果から、電子線照射と組合せるアルミナ系触媒として、熱触媒であるPt担持触媒は触媒効果が極めて小さく、プラズマ反応触媒であるAg担持触媒がその効果が高いことを明らかにした。
須郷 由美; 田口 光正; 永石 隆二; 佐々木 祐二; 広田 耕一; 森田 泰治
JAEA-Review 2009-041, JAEA Takasaki Annual Report 2008, P. 26, 2009/12
使用済核燃料からアクチノイドを分離するための抽出剤の耐放射線性を評価する際には、従来から最も簡便な方法である線照射のみに頼ることが多かった。しかし、実際の分離プロセスでは、線エネルギー付与(LET)の小さい線や線だけでなく、分離対象核種であるアクチノイドから生じる高LETの粒子も抽出剤に吸収される。放射線分解生成物の種類や収量はLETに依存するため、粒子による抽出剤の放射線分解特性をも把握する必要がある。本研究では、TODGAを溶解したドデカン溶液に、イオン照射研究施設のタンデム加速器から生じるHeイオンビームを深度制御細胞照射装置(TC1)を用いて、大気圧のもと水平方向にスキャン照射した。吸収線量に対するTODGA濃度の減衰曲線から放射線分解収量(G値)を求め、線照射の場合と比較すると、線照射では約1/4の値となった。よって、線,線,線が混在する実際の系での抽出剤の分解G値は、従来の線照射試験のみで得られる値よりも低く見積もることができると考えられる。
箱田 照幸; Chowdhury, M. A. Z.*; 島田 明彦; 広田 耕一
Plasma Chemistry and Plasma Processing, 29(6), p.549 - 557, 2009/12
被引用回数:6 パーセンタイル:26.49(Engineering, Chemical)ガス中の臭気物質の分解・脱臭技術の開発のために、ごみ処理場などのガス中で検出される硫化ジメチル(DMS)の電子ビーム照射による分解挙動を調べるとともに、分解促進のための触媒併用処理を試みた。その結果、DMSの照射生成物として、COやCOのほかに、有機化合物としてギ酸やジメチルスルフォキシド,極微量のメタノールやジメチルスルフォンを同定した。これらの照射生成物を含むガスをオゾン分解触媒であるMnO層に通過した結果、初期濃度10.6ppmvのDMSの場合に6.3kGyにおいて照射のみで41%であった無機化率を100%にすることに成功した。また同4.6ppmv, 3kGyで25%であった無機化率についても同様の結果が得られた。本研究の結果から、臭気物質の分解・脱臭においては電子ビームと触媒の併用プロセスが有効であることを明らかにした。
須郷 由美; 田口 光正; 佐々木 祐二; 広田 耕一; 木村 貴海
Radiation Physics and Chemistry, 78(12), p.1140 - 1144, 2009/12
被引用回数:31 パーセンタイル:87.30(Chemistry, Physical)使用済核燃料からマイナーアクチノイドを選択的に分離する目的で開発してきた錯形成剤TODGAについて、その放射線分解特性を明らかにするため、本研究では加速器を利用したヘリウムイオンビームの照射実験を行った。その結果、同じ吸収線量でも線を照射した場合に比べヘリウムイオンを照射した場合ではTODGAの分解率が小さい値を示した。さらに、エネルギーの異なるヘリウムイオンを照射して得た分解率のエネルギー依存性の結果から、ドデカン溶液中のTODGAはLETの高い放射線ほどTODGAの分解反応が抑えられることがわかった。
田口 光正; Baldacchino, G.*; 倉島 俊; 木村 敦; 須郷 由美; 勝村 庸介*; 広田 耕一
Radiation Physics and Chemistry, 78(12), p.1169 - 1174, 2009/12
被引用回数:4 パーセンタイル:29.90(Chemistry, Physical)材料や生物分野において非常に強力なツールとして期待されている高エネルギー重イオンの特異的な照射効果は、重イオン飛跡周りの高密度で不均一な活性種の生成及び反応が原因と考えられている。この活性種を時間分解で定性・定量的に解析するために、パルス重イオン照射下での時間分解分光測定システムを構築した。イオン源で発生した低エネルギーの重イオンを、パルスジェネレーターからの信号によりチョッパーを高精度に制御しパルス化した後、サイクロトロンで高エネルギーに加速し、大気中にて金属セルに封入した水溶液試料に照射した。観測光は、試料セルのイオン照射位置に調整し、フォトダイオードにより検出した。KSCNを超純水に溶解したものを試料とし、220MeV Cイオンを照射したところ、照射直後の観測光強度の変化から、KSCN水溶液中に生じたOHラジカルとSCNの反応により生じた(SCN)に由来する吸光度が得られた。現在のところ、H(20MeV/u), He(12.5MeV/u), C(18.3MeV/u)及びNe ion(17.5MeV/u)の照射が可能であり、測定感度は1E-5レベルである。