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浅井 志保*; 堀田 拓摩
分析化学, 73(10-11), p.569 - 578, 2024/10
放射性廃棄物の処分における長期的な安全性を評価するためには、半減期の長い放射性核種(長寿命核種)の存在量を把握する必要がある。特に高レベル放射性廃棄物(HLW)処分の安全性評価には、これまで、燃焼計算コードによって算出された長寿命核種生成量の推定値が用いられてきた。しかし、長寿命核種の多くは分析実績が少ないことから、推定値の信頼性が十分に検証されていない。本研究では、放射性廃棄物における長期的な処分安全性評価の信頼性向上への貢献を目指して、実際に商用原子炉で使用された核燃料ペレット中に存在する長寿命核種の存在量を定量し、燃焼計算コードの出力値である"ウラン単位質量あたりの生成量"を算出することで推定値を検証した。さらに、測定が難しいとされる長寿命核種の現実的な分析法を提案することも目的とした。本稿では、長寿命核種のうち誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)で測定されるZr、
Pd、および
Csを対象とし、それらの測定前処理技術を含めた定量法の開発実証例を示す。
堀田 拓摩; 山岸 功; 永石 隆二; 柏谷 龍之介*
JAEA-Technology 2021-012, 34 Pages, 2021/07
東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所における多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System; 以下「ALPS」という。)および増設多核種除去設備(Improved ALPS)の前処理設備から発生する炭酸塩沈殿物を主とする廃棄物(以下「炭酸塩スラリー」という。)は高性能容器(High Integrity Container; 以下「HIC」という。)に格納されている。このHIC内において、水の放射線分解により発生した水素ガスの炭酸塩スラリー内での保持および、それに伴う容積増加が原因と推定される上澄み水のHIC外部への漏えい事象(溢水)が発生した。この溢水の発生が確認された当時に保管されていた大部分のHICにおいて、外部への溢水は観察されていない。このことはHIC内炭酸塩スラリー自体の性状や気泡の保持特性の理解が溢水発生条件を明らかにする上で重要であることを示唆している。そこで本研究では、溢水したHIC内炭酸塩スラリーの組成を模擬した炭酸塩スラリーを作製し、その炭酸塩スラリーの非放射性条件下での性状および気泡の保持特性を明らかにすることを目的とした。まず、溢水が発生した炭酸塩スラリーの組成を模擬するために、溢水した炭酸塩スラリーが調製された当時のALPS運転条件を調査し、炭酸塩スラリーの主要元素であるマグネシウムとカルシウムの比率を変えた5つの原水を調製した。これら原水から炭酸塩等を沈殿させ、実機ALPSと同じクロスフローフィルタ方式を用いて模擬炭酸塩スラリーを作製した。次に、作製した炭酸塩スラリーの化学分析を実施した。また、沈降試験を実施して沈降層の密度(以下「沈降密度」という。)、降伏応力を測定した。最後に、沈降層への気泡注入試験を実施し、炭酸塩スラリー内部での気泡保持/放出特性について検討した。模擬炭酸塩スラリーは原水組成のカルシウム含有率が高いほど沈降密度が高くなることが分かった。そして、沈降密度が高い模擬炭酸塩スラリーでは沈降層の降伏応力が高く、注入した気泡を保持しやすい傾向が観察された。これらのことから、溢水したHIC内炭酸塩スラリーを模擬するためには原水組成に関する情報が重要であり、また、スラリー内での気泡の保持状況には炭酸塩スラリーの密度が影響を及ぼすことを明らかにした。
堀田 拓摩; 浅井 志保*; 今田 未来; 松枝 誠; 半澤 有希子; 北辻 章浩
分析化学, 69(10/11), p.619 - 626, 2020/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Analytical)Sr分析の迅速な前処理分離を可能とするため、基材表層部へ吸着層を形成可能な放射線乳化グラフト重合法により、Sr吸着性を示す18-クラウン-6エーテル誘導体を担持したSr分離用吸着繊維を開発した。常温で液体のSr吸着分子を繊維表面に担持させることにより、前報で作製したSr分離材料と比較してSr吸着容量が大幅に向上した。このSr吸着繊維の平衡吸着容量は、同一のSr吸着分子を含浸する市販の粒子状のSr分離材料(Sr Resin)と比較しても遜色なかった。また、Sr吸着分子の本来の金属イオン選択性は維持されていた。この吸着繊維を用いた簡易的な
Sr分析法を考案し、
Srの吸着性能を評価したところ、Srの吸着操作から測定までを約1時間で完了することが可能であった。
浅井 志保*; 大畑 昌輝*; 半澤 有希子; 堀田 拓摩; 蓬田 匠; 北辻 章浩
Analytical Chemistry, 92(4), p.3276 - 3284, 2020/02
被引用回数:7 パーセンタイル:30.21(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所の汚染水処理に使用されたCs吸着材を安全に処分するために、長寿命核種であるCsの放射能を把握する必要がある。
Csは、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)で測定するが、通常、液体試料のみに対応しているため、廃Cs吸着材の場合、Csの溶離操作が不可欠となる。しかし、
Csから放出される強い放射線が取り扱いを困難にする。そこで本研究では、固体試料の直接測定が可能なレーザーアブレーションICP-MSを用いて
Cs/
Csを測定し、
Csの
線測定結果と合わせて、Cs吸着材中の
Csを簡便かつ精確に定量する方法を開発した。方法の妥当性を確認するため、放射性セシウムを含む汚染水に市販のCs吸着材を浸漬させて模擬試料を調製し測定したところ、水試料の分析値と一致した。
浅井 志保; 大畑 昌輝*; 蓬田 匠; 佐伯 盛久*; 大場 弘則*; 半澤 有希子; 堀田 拓摩; 北辻 章浩
Analytical and Bioanalytical Chemistry, 411(5), p.973 - 983, 2019/02
被引用回数:14 パーセンタイル:58.34(Biochemical Research Methods)使用済燃料中には複数のPd同位体が存在している。そのうちPdは放射性であるため、使用済燃料中のPdを廃棄物処分もしくは資源として利用する場合、
Pdの定量分析が不可欠となる。本研究では、
Pdの分析を迅速化することを目的として、レーザーアブレーションICP-MS(LA-ICP-MS)による定量を試みた。LA-ICP-MSでは、沈殿分離したPdを固体のまま直接測定でき、従来の溶液測定において不可欠であった溶液化処理や希釈操作が不要となる。ここでは、使用済燃料中には存在せず天然にのみ存在する
Pdを内標準として、
Pdの添加量と
Pd/
Pd実測値から
Pdを定量した。Pd沈殿は、遠心分離によってろ紙上に回収することで、均質で平滑なPd薄層を形成するため、アブレーションに適した形状となる。このため安定した
Pd/
Pdが得られ、従来の溶液測定における
Pd定量結果と一致した。
蓬田 匠; 浅井 志保; 佐伯 盛久*; 半澤 有希子; 堀田 拓摩; 江坂 文孝; 大場 弘則*; 北辻 章浩
分析化学, 66(9), p.647 - 652, 2017/09
被引用回数:3 パーセンタイル:9.45(Chemistry, Analytical)ウランの核分裂生成物の一つであるPdは、半減期が約650万年と長く、長期間に渡り放射線を放出して人体に影響を及ぼす可能性があることから、高レベル放射性廃液(HLLW)中の存在量を正確に把握する必要がある。しかし、これまでその存在量の実測報告例はない。本研究では、遠隔・非接触分離が可能なレーザー誘起光還元法のHLLWへの適用を念頭に、HLW模擬液を用いて種々の分離条件がPd回収率に与える影響を検討した。Pdの回収率は、還元剤として作用するエタノール濃度、レーザー光の照射時間とパルスエネルギーに依存し、それぞれ40%、20分、100mJとした場合に60%となった。また、Pd濃度0.24
g mL
から24
g mL
の広い濃度範囲において、主要な放射能源やスペクトル干渉源となる元素を99.5%以上の割合で除去し、Pdを高純度に分離できることを明らかにした。本条件によれば、レーザー誘起光還元法はHLLWなど実際の放射性廃棄物に含まれる
PdのICP-MS測定前処理法として、十分に適用可能である。
瀬川 優佳里; 堀田 拓摩; 北辻 章浩; 熊谷 友多; 青柳 登; 中田 正美; 音部 治幹; 田村 行人*; 岡本 久人; 大友 隆; et al.
JAEA-Technology 2016-039, 64 Pages, 2017/03
本報告書は、プルトニウム研究1棟の廃止措置に関して施設利用者である研究グループが主体的に取り組んだ準備作業についてまとめたものである。プルトニウム研究1棟は、平成25年度から推進された原子力機構改革において、廃止措置対象施設の一つに選定された。廃止措置の決定により、それまで施設を利用してきた研究グループは、実験器具及び測定機器を撤去し、核燃料物質の一部及び放射性同位元素を他施設へ運搬する必要が生じた。放射化学研究グループでは、廃止措置準備を円滑に実施するため平成27年4月に「プルトニウム研究1棟使用機器撤去作業チーム」を立ち上げ、使用機器の撤去、薬品の処分、放射能汚染した可能性がある水銀の安定化処理、核燃料物質の安定化処理、核燃料物質・放射性同位元素の他施設への運搬グローブボックス汚染状況の調査について計画を立案し実施した。核燃料物質の使用の許可に関わる作業を除き、作業は平成27年12月に完了した。本報告書では、今後の老朽化施設廃止の際に役立てられるように、これらの作業について細目立てし、詳細に報告する。
堀田 拓摩; 浅井 志保; 今田 未来; 半澤 有希子; 斎藤 恭一*; 藤原 邦夫*; 須郷 高信*; 北辻 章浩
分析化学, 66(3), p.189 - 193, 2017/03
被引用回数:1 パーセンタイル:3.09(Chemistry, Analytical)放射性ストロンチウム(Sr)分析の迅速化のため、放射線エマルショングラフト重合法により
Sr分析用分離材料を作製した。最初に、直径13
mのポリエチレン繊維を基材として、エポキシ基を有したビニルモノマーであるメタクリル酸グリシジル(GMA)を繊維表層部にエマルジョングラフト重合した。次に、得られた繊維の表層部に疎水場を構築するため、オクタデシルアミンをエポキシ開環反応により導入した。最後に、疎水性相互作用によりSr
の抽出剤である18-クラウン-6-エーテル誘導体を得られた高分子鎖上に担持した。作製したSr分離材料は、市販のSr分離材料(Sr Resin)よりも100倍ほど速い吸着速度を有しており、
Sr分析の迅速化に適用可能であることを示した。
浅井 志保; 蓬田 匠; 佐伯 盛久*; 大場 弘則*; 半澤 有希子; 堀田 拓摩; 北辻 章浩
Analytical Chemistry, 88(24), p.12227 - 12233, 2016/12
被引用回数:19 パーセンタイル:56.00(Chemistry, Analytical)放射性廃棄物中の放射能インベントリを合理的に積算するためには、実廃棄物の分析値によって裏付けられた信頼性の高い放射能評価値が不可欠である。Pdは、高レベル放射性廃棄物(HLW)の主要な発生源である使用済燃料中に存在し、HLWの放射能評価対象核種の1つとされている。しかしながら、測定が困難であるため実測値の報告例がなくHLW中存在量は未評価である。本研究では、ICP-MSによる使用済燃料中
Pdの定量を目的とし、パルスレーザー照射によって誘起されるPdの光還元反応を利用した迅速簡便な分離法を開発した。方法の妥当性検証のため使用済燃料試料に適用したところ、20分のレーザー照射によって使用済燃料試料中に存在する約90%のPdが回収され、かつ不純物がほとんど存在しない純粋なPd沈殿が得られた。したがって、不純物による測定干渉がない正確な
Pd定量値が得られ、初めての実測例となった。
浅井 志保; 大畑 昌輝*; 蓬田 匠; 佐伯 盛久*; 大場 弘則*; 半澤 有希子; 堀田 拓摩; 北辻 章浩
no journal, ,
放射性廃棄物を安全かつ合理的に処分するためには、放射性廃棄物に含まれる核種の存在量評価が不可欠である。Pdは、存在量評価対象核種の1つであるが、分離・分析法が確立されておらず、これまで実測報告例がなかった。我々の研究チームは、レーザー誘起光還元法により、使用済燃料溶解液からPdを非接触で沈殿分離し、
PdをICP-MSで定量することに成功した。しかし、Pd沈殿を王水で溶解後、塩酸で希釈する必要があり、溶解・希釈過程における不純物の混入や塩酸による装置内部の腐食が課題となっていた。本研究では、固体試料の直接測定が可能なレーザーアブレーション(LA)-ICP-MSを適用し、Pd沈殿中
Pdの直接測定を試みた。本方法により得られたPd沈殿の粒径は0.5
m未満であり、アブレーションのスポット径50
mに比べて十分に小さいため、均質に気化・蒸発が起こり、安定した計数率が得られた。したがって、直接測定の場合でも溶液測定と同等の精度での定量が実現した。
佐伯 盛久*; 浅井 志保; 蓬田 匠; 半澤 有希子; 田口 富嗣*; 堀田 拓摩; 北辻 章浩; 大場 弘則*
no journal, ,
使用済核燃料や高レベル放射性廃棄物中(HLW)中には、ウランの核分裂によって生成するパラジウム, ロジウム、およびルテニウムなどの白金族元素(PGMs)が存在しており、HLW処分の安全評価や資源利用の観点から、それらを回収する研究が進められてきた。また、パラジウムは長寿命核種Pdを含んでおり、長期的な安全性を評価する目的で、その存在量の測定が不可欠となっている。しかし、
Pdを定量するには、測定前処理段階で、純度の高いパラジウムを回収する技術が要求される。我々は、レーザー照射によって誘起される微粒子化反応を利用して、溶液中のPGMsを高純度で回収する方法を開発した。本方法では、PGMsの電荷移動吸収帯がUVレーザーの波長領域に存在することを利用して、PGMsイオンを選択的に還元し、沈殿として回収することができる。UVレーザーを密封状態の試料溶液に照射するだけで分離が完了するため、回収操作で発生する廃棄物(二次廃棄物)が少ない点も特徴である。発表では、使用済核燃料の溶解液から回収したパラジウム中の
Pd定量とPGMs/希土類元素混合溶液からのPGMs分離の結果を報告する。
堀田 拓摩; 岩崎 真歩
no journal, ,
現在建設中である大熊分析・研究センター 第1棟においては、年間200試料の放射性廃棄物中の38核種の分析を計画している。この計画を達成するため、2020年の第1棟運転開始に向けて効率的な分析技術開発が求められている。ICP-MSを用いた放射性核種の質量分析は、従来の分析フローを効率化できる可能性があるが、同重体の干渉を受ける。近年、四重極を2つ、コリジョン/リアクションセルを1つ搭載したICP-QQQ-MSが開発されている。本ICP-QQQ-MSは、同重体の干渉を低減できる可能性があり、大熊分析・研究センターの多核種同時分析へ適用化を目指している。ICP-QQQ-MSの適用には、ホット試験により放射性核種の測定条件の検討が必要であるが、分析管理準備室は管理区域を有していないため、ホット試験は実施できない。そこで、東北大学金属材料研究附属量子エネルギー材料科学国際研究センターのICP-QQQ-MSを用いてNp-237の測定条件検討を実施した。本発表では、Np-237の測定条件検討として、リアクションガスにOガスを使用した場合の検出下限値について報告する。
古瀬 貴広; Do, V. K.; 圷 英之; 堀田 拓摩
no journal, ,
平成30年度の大熊分析・研究センターの成果報告として、施設整備及び分析技術開発の状況を報告する。分析技術開発については、自動化システム及びICP-MSを用いた迅速かつ効率的な放射性核種分析方法について報告する。
浅井 志保*; 大畑 昌輝*; 半澤 有希子; 蓬田 匠; 堀田 拓摩; 北辻 章浩
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所では、汚染水処理で使用された廃Cs吸着材が多量に発生している。この廃Cs吸着材中には、Csだけでなく
Csも存在している。
Csの半減期は230万年であり、長期間放射線を放出し続けるため、処分の際には
Csと同様に存在量を評価する必要がある。
Csは、非破壊測定できないことから、従来法ではCsを溶離させた後に測定する必要があるが、線量が高く取扱いが困難である。そこで本研究では、固体試料の直接測定が可能なLA-ICP-MSを用い、Csの溶離操作無しで
Csを簡便に定量する方法を提案する。FP由来のCsを含む溶液試料に市販のCs吸着材を浸漬し、
Cs/
Csを測定した。安定したシグナルが得られる測定条件下で、
Cs/
Cs比として(5.4
0.6)
10
を得た。この値は、同じ試料を化学分離して得た溶液試料の測定結果とよく一致した。また、
Csの
線測定結果(3.0
0.2MBq/g-Cs Resin)に乗ずることで、
Cs存在量を16
2Bq/g-Cs Resinと算出した。
浅井 志保*; 大畑 昌輝*; 半澤 有希子; 堀田 拓摩; 蓬田 匠; 北辻 章浩
no journal, ,
福島第一原子力発電所では、汚染水処理に使用された廃Cs吸着材が多量に保管されている。廃Cs吸着材を処分するには、主要な放射線源であるCsだけでなく長寿命核種
Csの放射能評価も必要となる。
Csの定量にはICP-MSが用いられるが、通常、液体試料のみに対応しているため、廃Cs吸着材の場合、Csの溶離操作が不可欠となる。ところが、廃Cs吸着材は放射線量が高く、取り扱いが困難であることに加え、Cs
が廃Cs吸着材から溶離しにくく、溶液試料の調製は容易ではない。そこで、廃Cs吸着材中Csの
Cs/
Csを、固体試料の質量分析が可能なレーザーアブレーション(LA)ICP-MSを用いて溶出操作なしで測定し、
Csの
線測定結果を乗じて
Csを定量する方法を開発した。本方法の妥当性は、核分裂生成物由来のCsを含む汚染水試料を用いて、
Cs放射能が既知の廃Cs吸着材模擬試料を調製し、LA-ICP-MSで実際に
Csを定量することにより評価した。LA-ICP-MS測定で得られた
Cs/
Csは0.41
0.02(原子数比)であり、
Csの
線測定結果を乗じて
Cs放射能を算出した。この値が、あらかじめ値付けした廃Cs吸着材模擬試料の
Cs放射能に等しくなったことから、本方法の妥当性を確認できた。
山岸 功; 加藤 友彰; 堀田 拓摩
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故の汚染水処理で発生する炭酸塩スラリーはHIC容器に保管されているが、容器外へのたまり水が確認された。これまでのシリーズ発表では、その要因として放射線分解水素による模擬スラリーの膨張などを報告した。本発表では、処理時の水質や運転条件をもとに、主成分であるカルシウムとマグネシウムの割合や沈殿反応時間が異なる模擬スラリーを作製し、沈降密度,粒子形状などの性状を比較検討した。カルシウム含有率が高いスラリーの沈降密度が高い傾向を示し、代表的組成のスラリーCについて沈殿反応時間を変えても沈降挙動に及ぼす影響は小さいことがわかった。エタノール脱水したスラリーCのSEM分析により、0.4ミクロン以下の微細な沈殿が数ミクロン以上の不定形な粒子に凝集している様子が観察された。
浅井 志保; 蓬田 匠; 佐伯 盛久*; 大場 弘則*; 半澤 有希子; 堀田 拓摩; 北辻 章浩
no journal, ,
Pdは、高レベル放射性廃棄物(HLW)中に存在する長寿命核種の1つであり、HLWにおける長期的な安全評価の対象核種となっている。したがって、HLW中の
Pd存在量を正確に把握する必要があるが、HLWは放射能を多量に含んでおりPdの回収操作が困難であるため、これまで
Pdの存在量は未評価であった。そこで本研究では、Pdの回収操作における被ばく低減を目的として、レーザー誘起光還元法に基づく遠隔分離法に着目し、同法をHLWの発生元である使用済燃料の溶解液に適用した。使用済燃料試料から実際に回収されたPd沈殿中には、アクチノイド(U, Np, Pu, Am, Cm)および主要な核分裂生成物(Sr, Zr, Mo, Tc, Ru, Rh, Ba, Cs, Ceなど)はほぼ検出されなかったことから、ICP-MS測定において107の質量スペクトルが干渉を受けることなく、正確な
Pd定量値が得られた。主成分
Uの重量あたりに換算すると、使用済燃料中の
Pd存在量は239
9ng/mg-
Uとなった。
蓬田 匠; 浅井 志保; 佐伯 盛久*; 半澤 有希子; 堀田 拓摩; 江坂 文孝; 大場 弘則*; 北辻 章浩
no journal, ,
分析化学研究グループでは、高レベル放射性廃棄物(HLW)中に存在する長寿命核種であるPdを分析するため、単純な分離操作でPd沈殿を生成できる、レーザー誘起光還元法を用いた分析手法開発を行っている。しかし、レーザー誘起光還元法では大強度のパルスレーザー光の照射が必要であり、レーザー光源の導入と取扱いが難しい。そこで、取扱いの容易なキセノンランプを用いた紫外-可視光照射でPdの沈殿分離を行う方法について検討した。HLW模擬試料に還元剤として添加するエタノール濃度を変化させて、キセノンランプによる30分の紫外-可視光照射を行い、Pd沈殿を回収した。その結果、エタノール含有率50%でPd回収率は極大となり、50%のPdを回収できた。また、Pd沈殿中の共存元素の除去率は99%以上と高く、紫外-可視光の照射でもHLW模擬試料からPdを選択的に回収できることを明らかにした。
今田 未来; 堀田 拓摩; 浅井 志保; 松枝 誠; 半澤 有希子; 斎藤 恭一*; 藤原 邦夫*; 須郷 高信*; 亀尾 裕
no journal, ,
福島第一原子力発電所では、海水・地下ドレン水等に含まれる放射性核種のモニタリングが行われている。その中でもSrの放射能分析は煩雑で長時間を要する分析前処理が必要となるため、簡易・迅速化が達成できれば、より効率的なデータの取得が可能となる。これまで我々は、
Sr分析の前処理を容易にするためにSr吸着繊維を作製してきた。本繊維は、グラフト重合を用いて付与した高分子鎖により繊維表面の疎水性を向上させ、疎水性相互作用によってSr吸着剤である18-クラウン-6-エーテル誘導体を担持している。本研究では、
Srを吸着した繊維の(1)サーベイメータを用いた
線測定、(2)液体シンチレーションカウンタを用いた
Yのチェレンコフ光測定の2つの測定法への適用を検討した。
Srの正確な定量のためには、繊維による
線の自己吸収やチェレンコフ光の遮蔽を考慮し、測定試料を作製する必要があることがわかった。
堀田 拓摩; 秋元 友寿*; Do, V. K.
no journal, ,
サマリウム-151 (Sm)は、半減期が約90年の
線放出核種(
核種)で従来は
線測定により分析されている。種々の線源が混在する試料の
線測定では、他の
核種の分離操作が必要であるが、その分離操作が煩雑であり長時間かかることが課題である。そこで、二つの四重極とその間にコリジョン・リアクションセル(CRC)を装備したタンデム型誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS/MS)による、合理的な
Sm分析技術を開発している。質量分析では同重体(ユウロピウム-151 (
Eu))などの分離を要するが、分離対象が少なく短時間測定が可能である。さらに、CRCへ導入する反応ガスに対する測定核種および同重体の反応性の違いを利用した同重体分離測定が可能である。種々の反応ガスとのSmおよびEuの反応性を確認し、
Euからの
Sm分離測定条件について検討した。その結果、NH
ガスを用いた際に、m/Zが16増えた分子イオンの生成挙動にSmとEuで差が確認できた。この反応性の差により、
Euからの
Sm分離測定条件について見出すことができた。