Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
武田 遼真; 柴田 裕司; 武内 伴照; 中野 寛子; 関 美沙紀; 井手 広史
JAEA-Testing 2024-007, 33 Pages, 2025/03
日本原子力研究開発機構及び日本原子力研究所では過去30年以上、自己出力型の中性子検出器(Self-Powered Neutron Detector: SPND)やガンマ線検出器(Self-Powered Gamma Detector: SPGD)の開発・照射試験が行われており、複数の研究成果が報告されている。本稿では、これらの試験結果に対して、JAEA報告書『自己出力型放射線検出器の出力電流値計算コードの作成(JAEA-Data/Code 2021-018)』において作成した計算コードによる理論的な出力結果との比較・検証を行った。比較対象はコバルト60ガンマ線照射施設SPGDの照射試験結果とした。その結果、ガンマ線によるコンプトン散乱電子の飛程に対して比較的にエミッタ径が細い場合には計算結果は試験結果を良く再現することが分かった。一方、比較的にエミッタ径が太い場合には計算結果と比較して試験結果における出力電流値は半分程度にとどまった。エミッタ径の違いによる差異が生じた要因としてエミッタによる自己遮蔽効果が考えられ、エミッタ径が太い場合や線場が等方的でない条件に由来する自己遮蔽による影響を、計算コードにおける電子の平均飛程や平均最小エネルギーの変化として採り入れる等の新たな定式化が必要であると思われる。
永田 寛; 河内山 真美; 茅根 麻里奈; 菅谷 直人; 西村 嵐; 石川 譲二; 坂井 章浩; 井手 広史
JAEA-Data/Code 2024-016, 44 Pages, 2025/03
原子炉施設の構造材の元素組成は、廃止措置計画の策定などの際に評価を行う放射化計算において、重要なパラメータの一つとして使用されている。このうち、試験研究炉の構造材として使用されているアルミニウム合金などの元素組成については、主要成分以外の元素については十分なデータが得られていない。このことから、材料試験炉「JMTR」の主要な構造材として使用されてきたアルミニウム合金、ベリリウム、ハフニウムなどから試料を採取し、元素組成の分析を実施した。本報告書は、令和5年度に取得した78元素の元素組成データについてまとめたものである。
広田 憲亮; 中野 寛子; 武田 遼真; 井手 広史; 土谷 邦彦; 小林 能直*
材料の科学と工学, 61(6), p.248 - 252, 2024/12
SUS304Lステンレス鋼の0.2%耐力に関する比較分析により、ひずみ速度が低下するほど、温度が上昇するほど、0.2%耐力は著しく低下することが明らかとなった。一方で結晶粒径を68.6mから0.59
mに微細化した場合における低ひずみ速度下での0.2%耐力への強度低下率の影響は小さかった。しかし、結晶粒微細化は、室温に比べて原子炉運転温度下での0.2%耐力低下には影響を及ぼした。粒内応力腐食割れ(SCC)を促進する条件下での低ひずみ速度引張試験では、28.4
m以下の結晶粒径を持つSUS304Lに対しては、原子炉運転温度下での破断ひずみと同等の値を示したが、粗粒のSUS304Lでは破断ひずみが低下した。微細構造解析では、より結晶粒が微細な材料で87%以上の延性破面が観察され、特に0.59
mの結晶粒径を持つSUS304Lでは{111}/
3粒界が数多く存在する一方で、結晶粒径が大きくなるにつれてその割合が減少していた。これらの結果は、結晶粒微細化により、{111}/
3粒界の増加を通じて、腐食の進行が遅延し、粒内SCCが抑制されたことを示唆している。
藤田 善貴; Hu, X.*; Yang, Y.*; 北川 大凱*; 藤原 靖幸*; 吉永 尚生*; 堀 順一*; Do, T. M. D.*; 鈴木 達也*; 末松 久幸*; et al.
KURNS Progress Report 2023, P. 122, 2024/07
核セキュリティ等の観点から放射化法((n,)法)による
Mo製造の研究開発が進められている。この方法を
Mo/
Tcジェネレータに適用するためには、Mo吸着材として用いられるアルミナ(Al
O
)の特性改善が不可欠である。本報告では、高いMo吸着特性を有すると報告されている2つの文献を基に3種類のアルミナを合成し、ジェネレータへの適用性を評価した。京都大学研究用原子炉(KUR)で照射したMoO
を溶解した溶液(Mo濃度10g/L、pH4)に、アルミナを添加し3時間静置した。静置後のアルミナをカラムに移し、24時間ごとに2日間ミルキングを実施した。その結果、全てのアルミナで現行のジェネレータに使用されているアルミナを大きく上回る90mg-Mo/g以上のMo吸着量を得た。一方で、表面に均一な細孔が観察されたアルミナではミルキングにおけるMo脱離量も多かった。したがって、本試験条件においては、アルミナの表面状態はMo吸着特性よりもMo保持能力に大きな影響を与える可能性が示唆された。今後、より実用的な条件下でのジェネレータへの適用性を評価する。
永田 寛; 大森 崇純; 前田 英太; 大塚 薫; 中野 寛子; 花川 裕規; 井手 広史
JAEA-Review 2023-033, 40 Pages, 2024/01
JMTR原子炉施設は2017年4月の「施設中長期計画」において廃止施設に位置付けられたことから、廃止措置計画認可申請書を原子力規制委員会に提出するに当たり、廃止措置計画に記載する必要がある、廃止措置の工事上の過失等があった場合に発生すると想定される原子炉施設の事故の種類、程度、影響等の評価をするため、廃止措置計画の第1段階で想定される事故について、その種類の選定と程度、一般公衆への被ばく影響の評価を行った。廃止措置計画の第1段階で想定される事故として燃料取扱事故及び廃棄物の保管中の火災を選定し、大気中に放出された放射性物質による一般公衆への被ばく線量の評価を行ったところ、最大でも1.910
mSv(廃棄物の保管中の火災)であり、判断基準(5mSv)に比べて小さく、一般公衆に対して著しい放射線被ばくのリスクを与えることはないことが分かった。
藤田 善貴; Hu, X.*; 武内 伴照; 武田 遼真; 藤原 靖幸*; 吉永 尚生*; 堀 順一*; 鈴木 達也*; 末松 久幸*; 井手 広史
KURNS Progress Report 2022, P. 110, 2023/07
ウランを使用しないテクネチウム-99m(Tc)の国産化を目的に、(n,
)法によるモリブデン-99(
Mo)製造に関する研究を行っている。この方法で生成される
Mo比放射能は低いことから
Moの娘核種である
Tcを濃縮するため、メチルエチルケトン(MEK)を用いた溶媒抽出法によって
Tcを抽出し、アルミナカラムによって
Tcを濃縮する技術に着目した。還元された
TcはMEKに抽出されないとの報告があることから、本試験では、モリブデン酸ナトリウム水溶液への水素バブリングによる
Tc還元を試み、
Tc収率への影響を調査した。その結果、論文で報告されたMEKへの
Tc抽出に対する影響は確認されず、酸性カラムへの
Tc吸着を阻害する可能性が示された。また、
Tcの化学形を把握するための基礎的データとして、回収した
Tc溶液のラマン分光分析を実施した結果、1050cm
あたりにシャープな弱いピークが確認された。今後、Tcの還元を確認するため、Tcの化学形の違いによるラマンピークの違いなどを調査していく。
永田 寛; 大塚 薫; 大森 崇純; 花川 裕規; 井手 広史
JAEA-Technology 2022-029, 55 Pages, 2023/02
JMTR原子炉施設は、日本原子力研究開発機構が策定した2017年4月の施設中長期計画において廃止施設に位置付けられたことから、廃止措置計画認可申請を原子力規制委員会に提出するにあたり、廃止措置計画に記載する必要がある原子炉施設に残存する放射性物質の推定放射能量のうち、二次汚染物の推定放射能量を評価するため、線量当量率の測定や核計算コード等を用いた放射能量の評価を行った。この結果、総放射能量は、原子炉停止後12年で2.7310
Bq、原子炉停止後21年で1.46
10
Bqで、一次冷却系統が最も大きい評価となった。放射能量が大きい核種としては、H-3やFe-55、Co-60、Ni-63、Sr-90、Cs-137などであった。評価で得られた放射能濃度から放射能レベル区分を行ったところ、一次冷却系統及び排水系統(第3排水系)がL2に、それ以外の系統はL3に区分された。区分結果に影響を与える核種としては、水力ラビット照射装置やOSF-1照射設備についてはCo-60のみであったのに対し、その他の系統ではH-3、Co-60、Sr-90、Cs-137などであった。今後行う廃棄物の処理処分にあたっては、放射化汚染物の推定放射能量などの評価結果も考慮した上で廃棄物の放射能レベル区分を評価し、それぞれの区分に応じた適切な処理処分方法を検討する。
中野 寛子; 西方 香緒里; 永田 寛; 井手 広史; 花川 裕規; 楠 剛
JAEA-Review 2022-073, 23 Pages, 2023/01
材料試験炉部では、発電用原子炉の導入を検討しているアジア諸国をはじめとした海外の原子力人材育成及び将来の照射利用拡大、並びに国内の原子力人材の育成及び確保を目的とし、国内外の若手研究者・技術者を対象に、JMTR (Japan Materials Testing Reactor)等の研究基盤施設を活用した実践型の実務研修を実施している。本年度の研修は、昨年度に引き続き、国立研究開発法人科学技術振興機構の日本・アジア青少年サイエンス交流事業「さくらサイエンスプラン」に採択され、アジア地域の6か国から12名の若手研究者・技術者が参加し、2019年7月24日から7月31日までの期間で実施した。今回の研修では、原子力エネルギー、照射試験、原子炉の核特性、原子炉施設の安全管理等に関する講義を行うとともに、シミュレータを用いた運転等の実習やJMTR等の施設見学を行った。本報告書は、2019年度に実施した研修についてまとめたものである。
永田 寛; 大塚 薫; 大森 崇純; 井手 広史
JAEA-Technology 2022-017, 113 Pages, 2022/08
JMTR原子炉施設は2017年4月の「施設中長期計画」において廃止施設に位置付けられたことから、廃止措置計画認可申請を原子力規制委員会に提出するにあたり、廃止措置計画に記載する必要がある原子炉施設に残存する放射性物質の推定放射能量のうち、放射化汚染物の推定放射能量を評価するため、核計算コード等を用いた放射化放射能量の評価を行った。この結果、総放射化放射能量は、9.310
Bq (原子炉停止直後)、2.7
10
Bq (21年後)、1.0
10
Bq (40年後)、2.4
10
Bq (100年後)となり、放射化放射能量の大きい構造物は、ベリリウム枠やベリリウム反射体要素、アルミニウム反射体要素、格子板、キャプセル照射装置などの圧力容器内の構造物で、材質はステンレス鋼やベリリウムなどであった。また、全放射化放射能量に対する核種の割合は、原子炉停止後40年あたりまではH-3の割合が高く、その後はNi-63が最も高くなった。参考に、得られた放射化放射能濃度から放射能レベル区分を行ったところ、放射化汚染物の全重量に対する区分ごとの重量の割合は、原子炉停止から100年後にかけて、L1が0.3
0.4% (10
13t)、L2が0.0
0.4% (0
14t)、L3が1.0
1.2% (32
39t)、CLが98.0
98.7% (約3200t)となり、コンクリートなどのCLに区分されるものが全体の約9割以上を占めることがわかった。今後行う廃棄物の処理処分にあたっては、二次汚染物の推定放射能量などの評価結果も加え、適切な処分方法に従った区分の評価を行う。
藤田 善貴; 関 美沙紀; Ngo, M. C.*; Do, T. M. D.*; Hu, X.*; Yang, Y.*; 武内 伴照; 中野 寛子; 藤原 靖幸*; 吉永 尚生*; et al.
KURNS Progress Report 2021, P. 118, 2022/07
核セキュリティ等の観点から放射化法((n,)法)による
Mo製造の研究開発が進められている。この方法を
Mo/
Tcジェネレータに適応するためには、Mo吸着材として用いられるアルミナ(Al
O
)の特性改善が不可欠である。これまで、開発したAl
O
試料から得られる
Tc溶液の品質を評価してきたが、溶液中への
Mo脱離が課題だった。本研究では、市販のジェネレータを模した形状のカラムにAl
O
試料を充填し、
Mo脱離低減のためのいくつかの措置を施して
Tc溶液の品質を評価した。以前実施した、Al
O
試料をMo溶液に浸漬させる静的吸着の条件と比較した結果、Mo溶液をAl
O
カラムに流す動的吸着の適用、Mo溶液の高濃度化、Mo添加量の低減により
Mo脱離量が大幅に改善された。したがって、吸着方法および吸着条件の最適化による品質向上の可能性が示唆された。今後、本結果に基づきカラム形状およびMo吸着条件の最適化を図る。
大島 宏之; 森下 正樹*; 相澤 康介; 安藤 勝訓; 芦田 貴志; 近澤 佳隆; 堂田 哲広; 江沼 康弘; 江連 俊樹; 深野 義隆; et al.
Sodium-cooled Fast Reactors; JSME Series in Thermal and Nuclear Power Generation, Vol.3, 631 Pages, 2022/07
ナトリウム冷却高速炉(SFR: Sodium-cooled Fast Reactor)の歴史や、利点、課題を踏まえた安全性、設計、運用、メンテナンスなどについて解説する。AIを利用した設計手法など、SFRの実用化に向けた設計や研究開発についても述べる。
中野 寛子; 冬島 拓実; 津口 明*; 中村 和*; 武内 伴照; 竹本 紀之; 井手 広史
JAEA-Technology 2022-007, 34 Pages, 2022/06
軽水炉高温高圧水を模擬した環境における構造材料の応力腐食割れ(SCC)等の現象を把握するため、水質を管理することが重要である。一般的に、材料試験を行うための高温高圧水試験装置の循環水中溶存水素濃度は、純水素ガスや高水素濃度の標準ガスのバブリングにより制御している。しかしながら、この方法では試験装置の設置場所に大掛かりな防爆設備等が必要である。一般的に、水素災害防止のためには、爆発に至る前に漏えい量の制限、水素の排除、電源の遮断、燃焼の抑制等の対策を講じることが求められている。このため、水の電気分解を利用し、循環水中溶存水素濃度を制御できる固体高分子電解質膜を有する溶存水素濃度制御装置の開発に着手した。本開発にあたっては、小型基本実験装置を組立て、固体高分子電解質膜の単体性能及び循環状態における溶存水素濃度変化に関する基本データを取得した。この基本データに基づき、実機の高温高圧水ループ試験装置に設置する溶存水素濃度制御装置を設計した。本報告書は、小型基本実験装置による性能試験結果と溶存水素濃度制御装置の基本設計についてまとめたものである。
関 美沙紀; 藤田 善貴; 藤原 靖幸*; Zhang, J.*; 吉永 尚生*; 佐野 忠史*; 堀 順一*; 永田 寛; 大塚 薫; 大森 崇純; et al.
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(1), p.2 - 9, 2022/06
材料試験炉(JMTR)の炉心構造材はステンレス鋼の他、アルミニウム(Al)やベリリウム(Be)が多く使用されている。廃止措置に当たって、放射性雑固体廃棄物(廃棄体)を作製するが、その埋設基準はドラム缶内に健全性を損なう物質を含まないことおよび最大放射能を超えないことが要求されている。とくに、Alはコンクリート等のアルカリ物質と反応し水素を発生することから、固化体の強度低下、内圧上昇による破損等が課題となっている。本研究では、バイヤー法を応用したAlの安定化処理技術の確立を目的とし、コールド試験にて基本的な処理工程を確立した。また、京都大学研究用原子炉(KUR)にてAl試験片を中性子照射し、本処理工程によるAl中に含まれる添加元素や不純物元素で生成する放射性核種の除去特性を調査した。結果として、本処理工程によりAlをアルミナ(AlO
)に変換可能であり、通常の放射性廃棄物の処理方法と同様にセメント系充填剤によって固化できる見通しが得られた。さらに、不溶解残渣物の除去により、廃棄物の放射能量を1
2桁減らすことができることが示唆された。
森田 寿; 大伍 史久; 佐谷戸 夏紀; 綿引 俊介; 小島 一樹; 中山 一彦; 井手 広史
JAEA-Technology 2021-030, 166 Pages, 2022/05
平成27年1月にJMTRホットラボ建家において雨漏れ補修を行っていたところ、ホットラボ排気筒の基礎部アンカーボルト1本に減肉が確認された。その後の排気筒における詳細調査により、複数のアンカーボルトの減肉及びフランジプレートとアンカーボルトのナットに間隙が確認されたことを受け、排気筒の倒壊が否定できない状態であると判断されたため、排気筒の撤去を行った。そのため、早急に当該排気筒の取替えを行う必要が生じた。新たな排気筒の設計を行うにあたり、詳細調査により判明したアンカーボルトの減肉等の原因である基礎部への雨水の浸入への対策に加え、東京電力福島第一原子力発電所の事故後に策定された新規制基準への対応を踏まえた設計とした。また、建築確認を受けなければならない建築物及び工作物に該当することから、建築基準法及び煙突構造設計指針に基づく地震力や風荷重に対する排気筒の健全性の評価を行った。本報告書はホットラボ排気筒の基本設計についてまとめたものである。
柴田 裕司; 武内 伴照; 関 美沙紀; 柴田 晃; 中村 仁一; 井手 広史
JAEA-Data/Code 2021-018, 42 Pages, 2022/03
日本原子力研究開発機構大洗研究所に設置されている材料試験炉(Japan Materials Testing Reactor: JMTR)では過去30年以上、多様な原子炉材料や照射技術及び計測装置の開発が行われてきた。その中では自己出力型の中性子検出器(Self-Powered Neutron Detectors: SPNDs)やガンマ線検出器(Self-Powered Gamma Detectors: SPGDs)の開発も行われており、複数の研究成果が報告されている。しかし、それら成果のほとんどは検出器の開発に関する創意工夫と炉内照射試験、コバルト60によるガンマ線照射試験の結果を整理又は考察したものであり、検出器出力の理論的な解析及び評価はあまり行われてこなかった。そこで、これら自己出力型放射線検出器の理論的な評価を行うための準備として1974年にH.D. WarrenとN.H. Shahが著した論文『Neutron and Gamma-Ray Effects on Self-Powered In-Core Radiation Detectors』を基に数値計算コードの作成を行った。本稿は作成した数値計算コードの内容について報告を行うものである。
大森 崇純; 大塚 薫; 遠藤 泰一; 武内 伴照; 井手 広史
JAEA-Review 2021-015, 57 Pages, 2021/11
JMTR原子炉施設は、日本原子力研究開発機構が2017年4月1日に策定した施設中長期計画において、廃止施設に選別され、2019年9月18日に廃止措置計画認可申請を行い、2回の補正を経て、2021年3月17日に認可を取得した。現在、廃止措置を行うための準備を進めている。JMTR原子炉施設は、1968年3月の初臨界から50年以上経過し高経年化が進んでいるが、原子炉一次冷却系統などについては建設当時から更新されておらず、腐食等によって減肉している可能性があると考えた。そのため、JMTR原子炉施設のうち、冷却水等を取扱う設備を対象とし、配管の健全性調査をおこなった。本調査においては、原子炉一次冷却系統の主循環系統、プールカナル循環系統、CFプール循環系統等に対して、超音波厚さ測定法(UTM: Ultrasonic Thickness Measurement)を用いて配管の肉厚測定を実施した。その結果、これら系統を構成する配管等について、「試験研究用原子炉施設に関する構造等の技術基準平成15年5月30日(15科原安第13号)第3種管40条(管の形状)」に定める計算式から算出した最小肉厚値を満足していることを確認した。今後は、基礎的なデータとして本結果を活用することで、廃止措置期間中においても冷却水循環及び送水設備の配管等に健全性を損なう減肉がないことを定期的に確認していく。
古田 裕繁*; 佐藤 薫; 西出 朱美*; 工藤 伸一*; 三枝 新*
Health Physics, 121(5), p.471 - 483, 2021/11
被引用回数:3 パーセンタイル:32.32(Environmental Sciences)従来、国内の放射線業務従事者の低線量放射線被ばくによる発がん等の健康影響は、個人線量計の指示値(個人線量当量: Hp(10))と疾病情報を用いた疫学的解析によって推定されていた(J-EPISODE: the Japanese Epidemiological Study on Low-Dose Radiation Effects)。一方、放射線被ばくによる発がんは臓器線量に依存するため、放射線防護の目的で使用されるHp(10)を用いて発がん率等を推定することは適切でなかった。そこで本研究では、放射線業務従事者のHp(10)から臓器線量を推定する手法を新たに構築した。構築した推定手法では、着用個人線量計の応答特性、被ばくジオメトリ・エネルギー、体格等のパラメーターを考慮することで、国内の放射線業務従事者を対象とした疫学的解析を可能にした。今後、構築した臓器線量推定方法を用いて、放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターにより管理・保存されている被ばく線量データを解析することにより、国内の放射線業務従事者における低線量放射線被ばくによる健康影響の推定に利用する予定である。
朝倉 和基; 下村 祐介; 堂野前 寧; 阿部 和幸; 北村 了一; 宮越 博幸; 高松 操; 坂本 直樹; 磯崎 涼佑; 大西 貴士; et al.
JAEA-Review 2021-020, 42 Pages, 2021/10
原子力の研究開発施設から発生する放射性廃棄物の処理処分は、取り扱う核燃料物質や材料が多種多様なこと等を踏まえ、放射能濃度を求める必要がある。大洗研究所は、廃棄物を処理する施設のみならず、廃棄物を発生させる施設も含め、埋設処分を見据えた検討に着手している。本報告書は、大洗研究所内で発生する放射性廃棄物の埋設処分に向けて、主要課題のひとつである放射能濃度評価手法について、令和2年度の検討結果を取りまとめたものである。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 滑川 要二*; 西方 香緒里; 大伍 史久; 井手 広史; 土谷 邦彦; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; 堀 順一*; et al.
KURNS Progress Report 2020, P. 136, 2021/08
高濃縮ウランの利用低減や核不拡散及び核セキュリティ、核分裂生成物の処理の観点から放射化法((n,)法)による
Mo製造の研究開発が進められている。放射化法で生成される
Moの比放射能は極めて低いことから、娘核種である
Tcを濃縮するためメチルエチルケトン(MEK)を用いた溶媒抽出法に着目した。照射ターゲットであるMoO
ペレットは、長時間照射すると還元されることが分かっている。本試験では、MoO
が還元した際に酸化剤としてNaOClを使用する可能性を考慮し、MoO
を溶解して得られたモリブデン酸ナトリウム水溶液中へのNaCl添加の有無が
Tc回収率に及ぼす影響を調べた。その結果、NaClはMEKへの
Tc抽出率を低下させる可能性が示唆された。
関 美沙紀; 中野 寛子; 永田 寛; 大塚 薫; 大森 崇純; 武内 伴照; 井手 広史; 土谷 邦彦
デコミッショニング技報, (62), p.9 - 19, 2020/09
材料試験炉(JMTR)は、1968年に初臨界を達成して以来、発電用軽水炉を中心に、新型転換炉,高速炉,高温ガス炉,核融合炉等の燃料・材料の照射試験に広く利用されてきた。しかし、法令で定める耐震基準に適合していないため2017年4月に施設の廃止が決定され、現在廃止措置計画の審査を受けている。JMTRでは発電炉とは異なった炉心構造材であるアルミニウムやベリリウムが使用されているため、これらの処理方法を確立し、安定な廃棄体を作製する必要がある。また、蓄積された使用済イオン交換樹脂の処理方法についても検討する必要がある。本報告では、これらの検討状況について紹介する。