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論文

地層処分におけるグラウト技術の高度化開発,2; グラウト材料の選定

川口 昌尚; 岸 裕和*; 藤田 朝雄; 岸田 潔*

第13回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(CD-ROM), p.337 - 342, 2013/01

地層処分事業において用いられるグラウト材料が満足すべき材料特性については、これまでの検討においてはフィンランドのPOSIVAが実施したR20プログラムのうちグラウト材料にかかわるプロジェクトであるIMA-projectの例を参考にして設定された選定基準を用いてきた。しかし、この要求基準は本来低アルカリ性セメントを対象として配合の絞り込みを行うための目安として設けられたものであり、施工性に関する要求基準をすべて満足しても実際の現地の亀裂に対する浸透性は保証されない一方で、室内平行平板浸透試験の結果から強度特性やブリーディング特性を満足するためには浸透性を犠牲にしなければならないなどの問題点が明らかとなった。このため本検討においては圧縮特性やブリーディング特性を必須要件から外す一方、原位置の亀裂特性を反映した浸透特性についての選定基準を設けることにより、より現地の地質水理特性に合わせて最適な材料選定を行える選定基準を提案した。同時に、室内試験により得られたグラウト材料の浸透特性をもとに原位置における浸透特性を推定するために必要となる水理学的亀裂開口幅の評価方法について検討を行い、水理学的亀裂開口幅の補正方法について新たな提案を行う。

論文

セメントの使用を極力抑えた岩石利用セグメント支保工の開発

多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 齋藤 亮*; 中谷 篤史*; 石井 卓*; 真田 昌慶; 野口 聡*; 岸 裕和*; 中間 茂雄; 藤田 朝雄

第13回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(CD-ROM), p.133 - 138, 2013/01

高レベル放射性廃棄物の地層処分施設に関し、セメント系材料の使用を極力抑えた坑道の新しい構築方法の開発に取り組み、低アルカリ性モルタルを用いた岩石利用セグメント支保工の成立性や有効性を示すための研究開発を進めている。本研究では、低アルカリ性モルタルを用いた岩石利用セグメント支保工と裏込め材の力学特性値を室内試験により取得し、得られた物性値を用いて坑道の安定性に関する検討を実施した。検討結果より、従来の吹付けコンクリートを主体とした支保工に対して、セメント使用量を大幅に低減し、かつ低アルカリ性モルタル利用することにより、セメント影響のさらなる低減化を図った支保工の力学的な成立性,有効性を確認した。

報告書

地層処分を対象としたグラウト材料の開発,2

川口 昌尚; 中西 達郎; 岸 裕和; 延藤 遵*; 山田 勉*; 藤田 朝雄; 畑中 耕一郎

JAEA-Data/Code 2012-007, 250 Pages, 2012/11

JAEA-Data-Code-2012-007.pdf:20.55MB

地層処分で使用される支保工やグラウトにはセメント系材料を用いることが考えられるため、長期的に岩盤の変質を引き起こし、地層処分システムの長期性能に影響を及ぼす可能性が指摘されている。さらに、地層処分施設の操業にあたっては、湧水量が厳しく制限されることが想定されることから、微細な亀裂に対しても注入可能なグラウト材料の開発が必要となってくる。このため、平成19年度より、既存のグラウト材料と同等以上の施工性・止水性を有し、岩盤への影響を最小限に抑える低アルカリ性(pH$$leqq$$11)のグラウト材料の開発に取り組んでいる。ここでは、平成21年度に取りまとめを行ったJAEA-Data/Code 2010-005の続編として、それ以後のグラウト材料に関する室内試験結果を取りまとめデータ集として報告するものである。

論文

Development of a grout database for geological disposal of high-level radioactive waste

津田 秀典; Walker, C.; 新貝 文昭*; 岸 裕和*; 油井 三和

Journal of Nuclear Science and Technology, 49(11), p.1110 - 1113, 2012/11

 被引用回数:4 パーセンタイル:31.65(Nuclear Science & Technology)

Japan Atomic Energy Agency (JAEA) has developed a grout database (GDB) comprising the latest technical data of grout materials relevant to the geological disposal of high-level radioactive waste (HLW). Currently, only newly developed grout materials of low pH cements, superfine spherical silica and colloidal silica, which are expected to provide a target pH under 11 leachate, are included in the GDB. Case examples from on-site works and laboratory based tests that have been published in the literature have been used to add construction and material details to the GDB. The GDB is available online for registered users to obtain and provide data of grout technology.

報告書

岩石の強度回復特性・一般化応力緩和挙動に関する研究,5

真田 昌慶; 岸 裕和*; 杉田 裕; 林 克彦*; 武部 篤治*; 大久保 誠介*

JAEA-Research 2012-025, 130 Pages, 2012/09

JAEA-Research-2012-025.pdf:4.12MB

本研究では、「強度回復試験」,「一般化応力緩和試験」,「引張強度試験」を、稚内層珪質泥岩を用いて実施した。その結果、強度回復を表す構成方程式で適切な定数の値を用いることにより、押し込み試験での軸応力の変化を表現できることを示した。一般化応力緩和挙動については気乾状態と湿潤状態で試験を行った。粘弾性的な挙動は、気乾状態よりも湿潤状態の方が、また、一般化応力緩和試験を開始するまでの載荷速度が大きいほど顕著であることがわかった。さらに引張特性については圧裂引張試験と一軸引張試験を実施した。圧裂引張強度については層理面に対する載荷方向の影響が大きいことがわかった。

論文

Characteristic evaluation of colloidal silica grout material developed for a high level radioactive waste geological repository

岸 裕和; 川口 昌尚; 内藤 守正; 畑中 耕一郎; 延藤 遵*; 杉山 博一*

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 19(1), p.3 - 8, 2012/06

高レベル放射性廃棄物の地層処分施設の湧水抑制対策は、我が国のような地下水が豊富で割れ目が多い岩盤について特に重要であり、日本原子力研究開発機構では、低pHで岩盤への影響が少なく、高い湧水抑制効果を有するグラウト材料の開発を実施している。グラウト材料の低pH性は、長期間に渡る岩盤の変質を抑制し、長期安全性評価における不確実性を低減するうえで重要である。現在検討を進めているグラウト材料には低アルカリ性のセメント系、超微粒で球状のシリカ系の他、コロイダルシリカ系のものがある。ここでは、コロイダルシリカ系のグラウトについて、各種の室内試験により特性を評価した結果について述べる。使用したグラウトは、SiO$$_{2}$$の濃度,粒子径,表面改質に関して比較ケースを設定した。また、基本的特性の把握のため、pH測定,粘性測定,寸法安定性試験,圧縮強度試験,抵抗性試験を実施した。さらに、長期耐久性の評価のため、主成分であるシリカの溶出試験を実施した。その結果、このグラウトは、pHは要求値11未満で粘性も低く、グラウト材料としての適性が高いと評価された。また、溶出が比較的少ない配合について確認し、原位置での使用に適当な配合を選出することができた。

論文

The JAEA grouting test at the Grimsel test site; Site characterization of a fractured rockmass and preparation of DFN model and its equivalent continuous porous media model

Bruines, P.*; 田中 達也*; 小山 倫史*; 岸 裕和; 中西 達郎; 大西 有三*

Proceedings of 2012 ISRM International Symposium; Rock Engineering and Technology for Sustainable Underground Construction (EUROCK 2012) (USB Flash Drive), 15 Pages, 2012/05

日本原子力研究開発機構は、スイスのグリムゼル岩盤研究所において、グラウトの浸透範囲を管理しつつ、グラウト施工を行う実証試験を予定している。本報告では、グラウト注入の対象範囲及び注入仕様の設定を目的とした、水理地質構造の調査と評価の結果をとりまとめる。同試験場は花崗岩体中に位置し、グラウトは割れ目を主な経路として移動することから、調査・評価結果を3次元的な割れ目ネットワークモデルを用いて統合・記述した。また、着目する岩体の透水性の分布,異方性,割れ目密度及び水圧等の水理特性を可能な限りモデル内に記載する方針を採用したことで、グラウト挙動を再現するモデルとしてふさわしいことがわかった。

論文

The JAEA grouting test at the Grimsel test site; Numerical simulation of the grout injection process of silica sol in fractured rock mass

小山 倫史*; 大西 有三*; Bruines, P.*; 田中 達也*; 蓮井 昭則*; 片山 辰雄*; 岸 裕和; 葛葉 有史

Proceedings of 2012 ISRM International Symposium; Rock Engineering and Technology for Sustainable Underground Construction (EUROCK 2012) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2012/05

亀裂性岩盤における溶液型グラウトの注入・浸透過程のメカニズム解明及びグラウト注入効果の検証を目的として、スイス・グリムゼル岩盤試験場における溶液型グラウト注入試験の事前解析を実施した。本解析では、原位置より得られた不連続面幾何学情報をもとに作成した亀裂ネットワークモデルを等価多孔質媒体に置き換える。また、溶液型グラウトはニュートン流体であると仮定し、粘性試験の結果より算出した粘性の経時変化を時間と濃度の関数で表し、透水係数低減関数を算出する。この透水係数低減関数を用い、浸透流解析と移流・分散解析を組合せることでグラウト注入過程の3次元シミュレーションを実施した。

報告書

地層処分施設における多連設坑道の設計手法に関する検討,5

真田 昌慶; 岸 裕和; 林 克彦*; 武部 篤治*

JAEA-Research 2011-055, 79 Pages, 2012/03

JAEA-Research-2011-055.pdf:4.11MB

地層処分施設における多連設坑道の設計手法については、第2次取りまとめの考え方に基づき、さらに詳細化・合理化を図ることを目的に検討を行ってきている。本報告では、実施工における施工性・経済性・安全性を考慮したケース設定を行ったうえで、坑道の掘削順序がEDZ発生領域に与える影響を三次元の多連設解析モデルを用いて検討した。この結果、隣接坑道間における切羽進行のズレの影響などが考慮されることにより、二次元解析とは異なる塑性領域の発生を表現できる可能性が示された。また、これまで未検証であった結晶質岩盤に対して、多連設坑道モデルの二次元解析を行った結果、塑性領域は発生せず、掘削順序が与える影響は非常に小さいことが確認された。

論文

慣性項を考慮した単一亀裂グラウト注入モデルと平行平板実験への適用

岸田 潔*; 小林 賢一郎*; 細田 尚*; 藤田 朝雄; 岸 裕和; 葛葉 有史; 延藤 遵*

材料, 61(3), p.245 - 252, 2012/03

本研究では、慣性項を考慮した非ニュートン流体としてのグラウト注入のモデルの構築を行い、単一亀裂平行平板モデルという簡略化した岩盤亀裂モデルに対し行われた模型実験に対する数値シミュレーションを行った。その結果、従来モデルと本研究で提案するモデルでは、平行平板での亀裂内のグラウト浸透距離における明瞭な差異は確認できなかったが、圧力の変動や浸透速度に差異が生じることを確認した。また、いずれのモデルにおいてもグラウト材料の要素試験で決定した降伏値や塑性粘度と平行平板実験から推定される塑性粘度に差異があることが確認された。

論文

地層処分におけるグラウト技術の高度化研究,3; 多孔質媒体モデルを用いた溶液型グラウト注入解析

小山 倫史*; 片山 辰雄*; 蓮井 昭則*; 田中 達也*; 岸 裕和; 大西 有三*

第41回岩盤力学に関するシンポジウム講演集(CD-ROM), p.83 - 88, 2012/01

本研究では、亀裂性岩盤における溶液型グラウトの注入・浸透過程のメカニズム解明、及びグラウト注入効果の検証を目的として、スイス・グリムゼル岩盤試験場における溶液型グラウト注入試験の事前解析を実施した。本解析では、原位置より得られた不連続面幾何学情報をもとに作成した亀裂ネットワークモデルを等価多孔質媒体に置き換える。また、溶液型グラウトはニュートン流体であると仮定し、粘性試験の結果より算出した粘性の経時変化を時間と濃度の関数で表し、透水係数低減関数を算出する。この透水係数低減関数を用い、浸透流解析と移流・分散解析を組合せることでグラウト注入過程の3次元シミュレーションを実施した。

報告書

岩石の強度回復特性・一般化応力緩和挙動に関する研究,4

真田 昌慶; 林 克彦*; 岸 裕和; 武部 篤治*; 大久保 誠介*

JAEA-Research 2011-028, 102 Pages, 2011/11

JAEA-Research-2011-028.pdf:3.08MB

本研究では、「強度回復試験」,「一般化応力緩和試験」,「引張強度試験」を、稚内層硬質頁岩を用いて実施した。その結果、いったん破壊した岩石が、条件が整いさえすれば強度,透水係数ともに回復することがわかった。この結果は、長期間に渡る密閉性,隔離性,安定性,信頼性の確保が極めて重要な岩盤内空洞の安定性評価にとって重要といえる。一般化応力緩和挙動については試験片を水没させた状態で試験を行った。水中で試験を行うことにより、試験片ごとのばらつきの少ない試験結果が得られた。また、一般化応力緩和を開始するまでの載荷過程における歪速度によって、一般化応力緩和試験の結果が異なることを確認した。さらに引張特性については圧裂引張試験と一軸引張試験を水中で行ったところ、気乾状態と比較して、強度が低下し試験片ごとのばらつきの少ない試験結果が得られた。これらの結果は、今後の構成方程式や予測モデルの改良に役立つと言える。

論文

Mix design of low pH cement shotcrete in high level radioactive waste repositories

野口 聡; 岸 裕和; 畑中 耕一郎; 内藤 守正

Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM), 6 Pages, 2011/10

多様な地質環境条件に適用するため、高レベル放射性廃棄物処分場を対象とした低アルカリ性吹き付けコンクリートの一般化された配合選定手法を提案する。本手法には2つの改善点がある。一つが低アルカリ性を担保する結合材の配合を事前に選定すること、もう一つが強度を担保するために水セメント比を設定することにある。これらの手法はこれまでの吹き付けコンクリートの配合選定手法に幌延深地層研究センターの地下坑道への適用を念頭に置いた研究の成果及び既往のコンクリート配合選定手法が加味されている。

論文

地層処分におけるグラウト技術の高度化開発,2; グラウト材料の浸透特性に関する室内試験

川口 昌尚; 岸 裕和; 延藤 遵*; 杉山 博一*

土木学会平成23年度全国大会第66回年次学術講演会講演概要集(DVD-ROM), p.67 - 68, 2011/09

高レベル放射性廃棄物地層処分施設の建設には、微細な亀裂に対しても注入可能で高い改良目標値に対応でき、かつ長期的な岩盤変質への影響を最小限に抑える低アルカリ性(pH$$leq$$11)のグラウト材料が必要であり、原子力機構では低アルカリ性セメント系グラウト材料,溶液型グラウト材料,超微粒子球状シリカ系グラウト材料の3種類の材料を開発してきた。平行平板を用いた室内浸透試験により、これらの各材料の浸透可能な開口幅の概要の把握を行った。また、浸透特性に影響を与える要因について検討を行った結果、低アルカリ性セメント及び超微粒子球状シリカに関しては、材料の最大粒径が大きく影響しており浸透特性のさらなる向上のためには材料の団粒化を解消することが必要である。溶液型に関しては、設計ゲルタイムと関係なく狭隘部で発生するゲル化が閉塞を起こす原因であり、これを防止するための工夫が必要である。

論文

地層処分におけるグラウト技術の高度化開発,9; 壁面凹凸を考慮したグラウト浸透モデルの理論的考察

岸田 潔*; 小林 賢一郎*; 細田 尚*; 葛葉 有史; 岸 裕和; 延藤 遵*

土木学会平成23年度全国大会第66回年次学術講演会講演概要集(DVD-ROM), p.81 - 82, 2011/09

グラウトの設計・施工は実績や経験に基づいて行われてきたことから、そのメカニズムや理論は十分に確立されておらず、注入仕様や改良効果の定量的評価が曖昧となっている。この課題を検討するのに、原位置での評価は難しく、モデル実験を行うのが適切であるが、ラフネスを有するフラクチャーに対してさまざまな実験を行うことは、多大な時間と費用を要することになる。そこで本研究では、フラクチャーの壁面凹凸がグラウト流動にどのような影響を及ぼすかについて理論的考察を行った。壁面振幅の影響として逆位相で壁面振幅が変化する場合の最大浸透距離と、波長の影響として最大浸透距離の波長による変化率を求めた結果、壁面振幅の存在によりグラウト最大浸透距離は88%に減少し、さらに、波長により最大65%程度最大浸透距離が平行平板状態より減少することを確認した。これは、壁面からの反力によって生じるもので、流下方向と反対に作用する壁面反力が、グラウト流体の浸透挙動に影響することが確認できた。

論文

地層処分におけるグラウト技術の高度化開発,8; 等価多孔質媒体モデルを用いた注入事前解析

葛葉 有史; 岸 裕和; 蓮井 昭則*; 片山 辰雄*; 小山 倫史*

土木学会平成23年度全国大会第66回年次学術講演会講演概要集(DVD-ROM), p.79 - 80, 2011/09

地層処分施設におけるグラウト技術の高度化研究では、グラウト浸透モデルを用いた注入管理方法についての技術開発を行っている。この技術開発では、ネットワーク構造や破砕帯構造で適用可能な、等価多孔質媒体モデルによる注入管理の具体化に向けた検討を行ってきた。本研究では等価多孔質媒体モデルに対して解析理論や解析コードの改良を行い、スイス・Nagraの地下研究施設グリムゼル岩盤研究所(以下、GTS)での地質調査に基づき作成した割れ目モデルに対して、室内試験で得られたグラウト材料の特性を使用して、GTSで予定するグラウト注入試験の事前解析を実施した。事前解析結果では、グラウト注入孔の2m範囲で透水係数が改良されていることが判明した。したがって、今後実施予定のGTSでのグラウト注入現位置試験では、注入孔に対し2m離れた場所に観測孔を削孔したうえで、グラウト注入を行い事前解析結果と実測データを比較検討することで等価多孔質媒体モデルの適用性を評価する予定である。

報告書

地層処分施設における多連設坑道の設計手法に関する検討,4

林 克彦; 岸 裕和; 小林 保之*; 武部 篤治*; 藤山 哲雄*; 平本 正行*; 水谷 和彦*; 森田 篤*

JAEA-Research 2010-059, 92 Pages, 2011/03

JAEA-Research-2010-059.pdf:3.71MB

本検討では、坑道の掘削順序の影響に関する解析的検討、及び昨年度の追加として幌延の岩石試験で得られたひずみ軟化データを反映した解析検討を実施した。掘削順序の影響に関する解析的検討では、2次元モデルによる検討の範囲であるが、ある程度離隔を持った坑道掘削を先行して行い、後ほど坑道間の坑道掘削を行う方法が望ましいこと、ただし使用する掘削機械や実施工レイアウトなどを参考に、より現実的かつ詳細な検討が必要であることを示した。またひずみ軟化データを反映した解析検討では、幌延の岩石試験で得られた実測データを参考にしたモデルを適用することで、より信頼性の高いEDZを示すことができた。さらに、既往の多連設坑道の設計手法に関する検討から、設計実務への適用を指向した設計手法の体系化(案)を作成した。

報告書

高レベル放射性廃棄物処分施設における坑道支保工に用いるセメント系材料の低減化技術に関する研究(共同研究)

林 克彦; 野口 聡; 岸 裕和; 小林 保之*; 中間 茂雄; 藤田 朝雄; 内藤 守正; 多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 郷家 光男*; et al.

JAEA-Research 2010-057, 101 Pages, 2011/03

JAEA-Research-2010-057.pdf:7.47MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分施設において支保工やグラウトに用いられるセメント系材料は、地下水に溶出し高アルカリ環境を生じさせる。このような高アルカリ環境は、緩衝材や埋め戻し材に使用されるベントナイトや周辺岩盤に変質を生じさせ、処分システムの長期的な性能の確保に不確実性を増大させる結果になることが懸念されている。本研究は、セメント系材料の高アルカリ影響に対するセメント量の低減化の観点から、処分システムの長期的な性能に配慮した材料を主体とする支保構造の技術的成立性について、原子力機構及び清水建設の双方が所有する知見を最大限に活用し、検討・評価するものである。それに基づき、将来の高レベル放射性廃棄物処分施設への適用に向けた実現可能性について課題を取りまとめた。

論文

地層処分におけるグラウト技術の高度化開発,4; 超微粒子球状シリカグラウトの配合選定試験

山田 勉*; 関根 一郎*; 関口 高志*; 石田 秀朗*; 岸 裕和; 福岡 奈緒美

土木学会平成22年度全国大会第65回年次学術講演会講演概要集(DVD-ROM), p.89 - 90, 2010/09

高レベル放射性廃棄物の地層処分における地下坑道への湧水抑制対策として、岩盤亀裂を対象にグラウト注入が検討されている。そのグラウト材料として、低アルカリ性セメント系グラウト材料の開発、溶液型グラウト材料の適用性検討が進められている。しかしながら、地下深部の高水圧環境において許容湧水量が厳しく制限されることなどを考慮すると、期待する止水効果が得られない可能性がある。そのため、セメント系と溶液型双方の弱点を補う性能が期待される代替材料として、超微粒子球状シリカグラウトを開発した。本稿では各種試験及び推奨配合の選定を行い、推奨配合として、SFCa/B=40.9%, W/B=201%, SP/B=5.5%を選定した。この配合は浸透性に優れるばかりでなく、分散性のよいスラリーで供給されるため、超微粒子粉体を取り扱ううえでのさまざまな課題についても改善されている。

論文

地層処分におけるグラウト技術の高度化開発,5; 幌延URL原位置適用性試験

岸 裕和; 泉 敦; 戸井田 克*

土木学会平成22年度全国大会第65回年次学術講演会講演概要集(DVD-ROM), p.91 - 92, 2010/09

地層処分施設建設におけるグラウト技術の高度化研究において原位置適用性試験を実施し、開発したグラウト材料及び高圧対応機器の施工性及び適用性の確認、グラウト注入範囲の推定に用いるグラウト浸透モデルの適用性の評価を行った。本稿では、原位置適用性試験における低アルカリ性セメントによるグラウト材料のグラウト注入試験結果について報告する。原位置試験では、適用ステージの数ルジオン程度・以下の透水性の地質に対して、岩盤への有効な注入量を得るために、限界圧力程度による割裂注入が必要となった。割裂注入は選択的な割れ目への注入を促すため、均質なグラウト改良が得られにくいが、グラウトを注入したステージ割れ目の水理的開口幅が50$$mu$$m程度もしくはそれ以下であるため、当グラウトの粒径から必要な方法であったと考えた。

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