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論文

ナトリウム-溶融塩熱交換器を有する蓄熱式高速炉の安全設計技術開発,1; 全体概要及び伝熱管破損の影響検討

山野 秀将; 高野 和也; 栗坂 健一; 菊地 晋; 近藤 俊樹; 梅田 良太; 佐藤 理花; 白倉 翔太*

第28回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集(インターネット), 5 Pages, 2024/06

溶融塩蓄熱式高速炉の安全設計方針及びリスク評価技術、ナトリウム-溶融塩の熱交換性能評価技術と伝熱向上方策、及びナトリウム-溶融塩の化学反応特性評価と安全性向上方策を開発する研究プロジェクトを進めている。ここでは、プロジェクト全体概要に加えて、ナトリウム-溶融塩伝熱破損の影響検討について報告する。

論文

Time-dependent change in occurrence rate of steam generator tube leak in sodium-cooled fast reactors; Phenix and BN-600

栗坂 健一

Mechanical Engineering Journal (Internet), 11(2), p.23-00377_1 - 23-00377_14, 2024/04

本研究は、既存のナトリウム冷却高速炉SFRにおける観測データに基づき蒸気発生器SG伝熱管漏えいの発生率の時間変化を把握することを目的とする。対象とするSFRは仏国のPhenix及び露国のBN-600である。公開文献を基に、管-管板溶接数、管-管溶接数、母材の伝熱面積、SG運転時間、SG伝熱管漏えい発生日、漏えい位置、漏えいモジュールの交換などの漏えい後の是正措置を調べた。これらのデータを踏まえ、漏えい発生までの運転時間を推定し、上記部位毎に伝熱管漏えい発生率の時間変化をハザードプロット法により定量化した。結果、Phenix及びBN-600両者の管漏えい発生率は減少傾向を示した。Phenixの傾向は溶接及び運転条件の改善によるものと考えられる。BN-600については運転初期に破損に拡大した初期欠陥が原因と考えられ、漏えい後特別な対策が講じられていないことから単純に発生率が時間とともに減少したと考えられる。またPhenixの管-管溶接部の漏えい発生率は繰り返し熱応力によって短期に増大する傾向が示された。

論文

Reduction of accident occurrence frequencies by taking safety measures for defense-in-depth level 4 in a sodium-cooled fast reactor

西野 裕之; 栗坂 健一; 鳴戸 健一*; 権代 陽嗣; 山本 雅也

Mechanical Engineering Journal (Internet), 11(2), p.23-00409_1 - 23-00409_15, 2024/04

シビアアクシデントに対する安全対策の有効性評価は日本の高速実験炉「常陽」の再稼働にも必要となる。それらの安全対策には深層防護レベル4の中の対策も含まれる。既往研究では、出力運転時のレベル1PRAを実施し、深層防護レベル1から3までの安全対策の失敗の事故シーケンスの発生頻度を計算、支配的な事故シーケンスグループの同定、支配的な事故シーケンスの同定を実施した。このような成果に基づき、本研究では深層防護レベル4の対策によって発生頻度の減少を示す出力運転時のレベル1PRAを実施した。結果、各事故シーケンスグループの発生頻度は減少し、発生頻度は約1E-6/炉年となった。既往研究で算出した発生頻度と比べて本研究で算出した発生頻度は1/1000倍になった。崩壊熱除去喪失が全ての事故カテゴリの中で最も支配的であった。

論文

Development of failure mitigation technologies for improving resilience of nuclear structures, 6; Resilience improvements of fast reactors by failure mitigation for excessive earthquake

山野 秀将; 二神 敏; 安藤 勝訓; 栗坂 健一

Transactions of the 27th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT 27) (Internet), 11 Pages, 2024/03

本研究では、FINAS/STARコードを用いて課題に対する次原子炉容器の動的構造解析を実施し、象足型座屈を示すとともに、累積疲労損傷和を計算した。その結果を用いて、本論文では安全係数法を用いてフラジリティ曲線を描き、既往評価結果に比べて有意に改善することを示した。

論文

Development of probabilistic risk assessment methodology using artificial intelligence technology, 1; Automatic fault tree creation

二神 敏; 山野 秀将; 栗坂 健一; 氏田 博士*

Proceedings of PSAM 2023 Topical Conference AI & Risk Analysis for Probabilistic Safety/Security Assessment & Management, 8 Pages, 2023/10

原子力発電所のPRAの効率的・効果的な社会実装を目指したイノベーションを創出するため、AI,デジタル化技術を活用して、運転時のPRAにおけるフォルトツリー(FT)作成、及び信頼性データベース構築に着目してAIツールを開発する。本報では、AIツールの開発計画とFT自動作成ツールの開発状況について報告する。

論文

Development of probabilistic risk assessment methodology using artificial intelligence technology, 2; Automatic fault detection method for building reliability database

氏田 博士*; 森本 達也*; 二神 敏; 山野 秀将; 栗坂 健一

Proceedings of PSAM 2023 Topical Conference AI & Risk Analysis for Probabilistic Safety/Security Assessment & Management, 8 Pages, 2023/10

本研究は、AI技術を使用したPRA手法の開発を目的とする。この目的のため、最初のステップとして、フォールトツリー(FT)を自動作成するためのAIツールと信頼性データベースを構築するための自動故障判定手法の開発を含む3年間のプログラムを実施している。これらのAIツールは、ユーザーの影響を受けることなく、誰でも簡単に同じ品質のPRAを実行できるようにすることを目的とする。自動故障判定手法として、NUCIA(軽水炉用)やCORDS(ナトリウム冷却高速炉用)の国内信頼性データベースから故障発生箇所(システム・機器)、故障モード、原因を抽出し、AI技術を用いてデータベース化するAIツールを開発した。

論文

ナトリウム-溶融塩熱交換器を有する蓄熱式高速炉の安全設計技術開発; プロジェクト全体概要

山野 秀将; 栗坂 健一; 高野 和也; 菊地 晋; 近藤 俊樹; 梅田 良太; 白倉 翔太*

第27回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集(インターネット), 5 Pages, 2023/09

溶融塩蓄熱式高速炉の安全設計方針及びリスク評価技術、ナトリウム-溶融塩の熱交換性能評価技術と伝熱向上方策、及びナトリウム-溶融塩の化学反応特性評価と安全性向上方策を開発する研究プロジェクトを進めている。ここでは、プロジェクト全体概要について報告する。

論文

Development of probabilistic risk assessment methodology against strong wind for sodium-cooled fast reactors

西野 裕之; 山野 秀将; 栗坂 健一

Mechanical Engineering Journal (Internet), 10(4), p.22-00387_1 - 22-00387_20, 2023/08

確率論的リスク評価(PRA)は地震と津波だけでなく強風などその他の外部ハザードについても実施されるべきである。本研究では強風に対するPRA手法の開発を実施する。この研究では高速炉を対象とし、事故時には大気が最終除熱源であることに着目して手法開発を実施する。最初に本研究では日本の気象データを基にグンベル分布を使って強風のハザード曲線を評価した。次に、崩壊熱除去のために必要となる重要機器や構築物(SSCs)を同定し、炉心損傷に至るまでのイベントツリーを構築した。このイベントツリーでは強風によって生じる飛来物等を考慮した。高所に配置しているSSCsにも影響する飛来物を同定し、衝突確率と衝突時の破損確率の積でSSCsのフラジリティを計算した。最後に、イベントツリーを定量化し、炉心損傷頻度を計算した。その発生頻度は5E-10/yになった。支配的なシーケンスは、外部電源喪失が発生した後、飛来物の衝突でタンク火災が発生し、強制循環のための電源供給が喪失及び崩壊熱除去の空気取入口の気温上昇による崩壊熱除去の失敗であった。このような計算を通じて、本研究では強風に対するPRAの手法開発を実施した。

論文

Effectiveness evaluation methodology of the measures for improving resilience of nuclear structures against excessive earthquake

栗坂 健一; 西野 裕之; 山野 秀将

Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 8 Pages, 2023/05

本研究の目的は破損拡大抑制技術によって過大地震時の原子炉構造レジリエンス向上策の有効性評価手法を開発することである。安全上重要な機器・構造物のレジリエンス向上策によって耐震裕度が増すとみなす。同向上策の有効性を評価するため、炉心損傷頻度CDFを指標に選び、CDFの低減を 地震PRAによって定量化する。崩壊熱除去機能喪失に至る事故シーケンスがナトリウム冷却高速炉SFRの地震時CDFに有意な寄与を示す。また、同事故シーケンスは超高温を経て炉心損傷に至る。本研究では過大地震時の振動への対策のみならず超高温での対策も評価するよう手法を考案した。手法の適用性を検討するため、ループ型SFRを想定して試計算を実施した。仮定した範囲内では、レジリエンス向上策は設計地震動の数倍の地震までCDFを有意に低減する効果を示した。適用性検討を通じて、有効性評価手法が開発された。

論文

Internal event level-1 PRA for sodium-cooled fast reactor considering safety measures of defense-in-depth level 1 to 4

西野 裕之; 栗坂 健一; 鳴戸 健一*; 権代 陽嗣; 山本 雅也

Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 10 Pages, 2023/05

シビアアクシデントに対する対策の有効性評価は常陽の再稼働のために必要である。これらの対策は深層防護レベル4の対策を意味する。既往研究では出力運転時のPRAにて深層防護レベル3までの対策の失敗を想定した事故シーケンスの発生頻度の計算、支配的な事故シーケンスグループの同定、重要事故シーケンス選定に必要な支配的な事故シーケンスの同定を行った。この既往研究に基づき、本研究では深層防護レベル4までを考慮し、事故シーケンスがどの程度低減するかを評価した。本研究で構築したイベントツリーを定量化した結果、事故シーケンスグループの発生頻度の合計値は1$$times$$10$$^{-6}$$ /炉年になった。これは深層防護レベル3までの対策を想定した既往研究の結果よりも1/1000倍の発生頻度となった。崩壊熱除去機能喪失がすべての事故シーケンスグループの中で最も支配的であった。

論文

Analysis by hazard plotting on steam generator tube leak in sodium-cooled fast reactors Phenix and BN600

栗坂 健一

Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 10 Pages, 2023/05

本研究は、既存のナトリウム冷却高速炉SFRにおける観測データに基づき蒸気発生器SG伝熱管漏えいの発生率の時間トレンドを把握することを目的とする。対象とするSFRは仏国のPhenix及び露国のBN600である。公開文献を基に、管-管板溶接数、管-管溶接数、母材の伝熱面積、SG運転時間、SG伝熱管漏えい発生日、漏えい位置、漏えいモジュールの交換などの漏えい後の是正措置を調べた。これらのデータを踏まえ、漏えい発生までの運転時間を推定し、上記部位毎に伝熱管漏えい発生率の時間トレンドをハザードプロット法により定量化した。結果、Phenixの管-管溶接部の漏えい発生率は繰り返し熱応力によって短期に増大する傾向が示された。長期トレンドとしては、Phenix及びBN600両者の管漏えい発生率は減少傾向を示した。この傾向は溶接及び運転条件の改善並びに初期故障の除去によるものと考えられる。

論文

Effectiveness evaluation methodology of the measures for improving resilience of nuclear structures at ultra-high temperature

小野田 雄一; 栗坂 健一; 山野 秀将

Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 7 Pages, 2023/05

本研究の目的は、破損拡大抑制技術を用いた超高温時における原子炉構造物のレジリエンス向上策の有効性評価手法を開発することである。まず、レジリエンスを向上させる可能性のある事故シーケンスを特定するため、日本の次世代ループ型ナトリウム冷却高速炉(SFR)を対象としてレベル1 PRA及びレベル2 PRAのイベントツリーを分析し、その特性を調査した。その結果、候補となる事故シーケンスとして除熱機能喪失事象の事故シーケンスを特定した。LOHRSに至るすべての事故シーケンスについて、レジリエンス向上策の導入前後の炉心損傷頻度の低減率を定量化することでレジリエンス向上策の有効性を評価するという方法論を考案した。次世代ループ型SFRを対象として予備評価を行い考案した方法論の適用性を確認した。これにより有効性評価の方法を開発することに成功した。今後、レジリエンス向上策の条件付成功確率の精緻化を行う予定である。

論文

Development of safety design technologies for sodium-cooled fast reactor coupled to thermal energy storage system with sodium-molten salt heat exchanger

山野 秀将; 栗坂 健一; 高野 和也; 菊地 晋; 近藤 俊樹; 梅田 良太; 白倉 翔太*; 林 正明*

Proceedings of 8th International Conference on New Energy and Future Energy Systems (NEFES 2023) (Internet), p.27 - 34, 2023/00

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.04(Green & Sustainable Science & Technology)

溶融塩蓄熱式高速炉の安全設計方針及びリスク評価技術、ナトリウム-溶融塩の熱交換性能評価技術と伝熱向上方策、及びナトリウム-溶融塩の化学反応特性評価と安全性向上方策を開発する研究プロジェクトを進めている。ここでは、プロジェクト全体概要について報告する。

論文

Vibration test and fatigue test for failure probability evaluation method with integrated energy

木下 貴博*; 岡村 茂樹*; 西野 裕之; 山野 秀将; 栗坂 健一; 二神 敏; 深沢 剛司*

Transactions of the 26th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT-26) (Internet), 7 Pages, 2022/07

ナトリウム冷却高速炉(SFR)で、原子炉容器のような重要な機器の地震評価は、地震リスク評価(S-PRA)において、原子炉容器のような重要な機器の破損を評価できる評価方法は必要である。疲労破損と機器に累積した振動エネルギーの関係は、過去の研究において確かめられている。また、振動エネルギーによる破損評価は検討されている。本研究では、地震時に機器に累積する振動エネルギーを評価した破損確率評価手法を開発する。

論文

Development of effectiveness evaluations technology of the measures for improving resilience of nuclear structures against excessive earthquake

西野 裕之; 小野田 雄一; 栗坂 健一; 山野 秀将

Proceedings of Asian Symposium on Risk Assessment and Management 2021 (ASRAM 2021) (Internet), 10 Pages, 2021/10

本研究の目的は破損拡大抑制の概念を導入することによる過大地震時の原子炉構造のレジリエンス向上策の有効性評価技術を開発することである。地震PRAの既往研究のイベントツリー解析の後、本研究はレジリエンス向上に効果的な事故シーケンスとして過大地震時に誘発される崩壊熱除去失敗や原子炉容器内液位確保失敗の事故シーケンスを同定した。このため、本研究ではレジリエンス向上策として安全のための重要機器(原子炉容器,空気冷却器,1次主冷却系の配管など)に着目した。また、炉心損傷頻度をレジリエンス向上策の有効性評価の指標として選定した。機器の耐震裕度は破損拡大抑制の概念からくるレジリエンス向上策が実施されたときに大きくなると想定した。試計算を通じて炉心損傷頻度の減少効果を定量化した。結果、レジリエンス向上策は基準地震動の2.2倍で炉心損傷頻度の減少に効果があったことを示した。有効性評価技術の概念を構築した。

論文

Development of effectiveness evaluations technology of the measures for improving resilience of nuclear structures at ultra high temperature

小野田 雄一; 西野 裕之; 栗坂 健一; 山野 秀将

Proceedings of Asian Symposium on Risk Assessment and Management 2021 (ASRAM 2021) (Internet), 11 Pages, 2021/10

ナトリウム冷却高速炉もんじゅをモデルプラントとして、超高温条件下における破壊制御概念を適用したレジリエンス向上策の有効性評価技術を開発し、この技術を用いて予備評価を行った。超高温条件下において破壊制御の概念が適用可能と見込まれる重要な事故シーケンスは、Monjuのレベル2PRAの既存の研究結果を調査して同定された。崩壊熱除去機能喪失(PLOHS)および原子炉容器液位確保機能喪失(LORL)に分類される事故シーケンスは共に、炉心損傷防止の可能性がある重要な事故シーケンスとして識別された。本研究では、レジリエンス向上策の成否を表すヘディングをイベントツリーに導入し、その分岐確率を設定し、レジリエンス向上策の有効性を評価する技術を開発した。レジリエンス向上策の有効性評価は炉心損傷頻度の低減に寄与すると期待される。レジリエンス向上策の有効性評価を試行した結果、破壊制御概念を適用することで炉心損傷頻度を低減できることが確認された。この研究で提案するレジリエンス向上策の成功確率は、仮定に基づいて暫定的に割り当てられたものである。この値は、今後実施される超高温条件下における原子炉容器構造の健全性評価によって定量化されると期待される。本研究で開発した技術は、次世代ナトリウム冷却高速炉のレジリエンス向上策の有効性評価に応用できる。

論文

Internal event level-1 PRA for sodium-cooled fast reactor considering safety measures of defense-in-depth level 1 to 3

西野 裕之; 栗坂 健一; 鳴戸 健一*; 権代 陽嗣; 山本 雅也; 山野 秀将

Proceedings of Asian Symposium on Risk Assessment and Management 2020 (ASRAM 2020) (Internet), 12 Pages, 2020/11

本研究の目的は、深層防護レベル1-3までの安全対策だけを想定した上で炉心損傷を導く事故シーケンスの発生頻度を評価することである。この目的のために、高速炉の安全対策を深層防護レベル1-3、及びレベル4に分けた。この深層防護レベル1-3は、(1)主炉停止系、(2)主冷却系と補助系の2重バウンダリによる原子炉容器内の液位保持、(3)強制循環による崩壊熱除去に関するものである。本研究は事故シーケンスを典型的なSFR特有のグループと全交流動力電源喪失(SBO)に分けた。SFR特有のグループとは、炉心流量喪失時原子炉停止機能喪失,過出力時原子炉停止機能喪失,除熱源喪失時原子炉停止機能喪失,原子炉液位喪失,崩壊熱除去機能喪失(PLOHS)である。これらの事故シーケンスグループの発生頻度を定量化した。結果、PLOHSの発生頻度は1.0E-4のオーダーであった。SBOを除いた状態におけるPLOHSは、全事故シーケンスグループの発生頻度の80%以上の割合を占め、最も支配的な寄与を示していた。支配的な事故シーケンスは、外部電源喪失の起因事象発生後に主冷却系のポンプが共通原因故障で機能喪失し、補助冷却系の起動にも失敗する事故シーケンスであった。SBO時に発生するPLOHSは2番目に支配的な事故シーケンスグループであり、全事故シーケンスグループの発生頻度の15%以上の割合を占めていた。その他の事故シーケンスグループの発生頻度の寄与率はそれぞれ約1%であった。

論文

A Study of probabilistic risk assessment methodology of external hazard combinations; Identification of hazard combination impacts on air-cooling decay heat removal system

岡野 靖; 西野 裕之; 山野 秀将; 栗坂 健一

Proceedings of International Topical Meeting on Probabilistic Safety Assessment and Analysis (PSA 2019), p.274 - 281, 2019/04

ナトリウム冷却高速炉は、大気を崩壊熱の最終除熱源とするため、気象現象が冷却性に影響を及ぼし得る。まれではあるが厳しい外部ハザードが、他の起こり得る外部ハザードと同時に生ずる条件に対し、本研究では、外部ハザードの組合せをスクリーニングする新しい方法を提案した。本研究では、同時または逐次的なハザードの組合せに分類し、ハザードや影響の持続と発生順序の観点から冷却に関連し得る潜在的影響を整理することで、結果として、外部ハザードの重畳により影響が生じるまでのシナリオ進展を特定した。

論文

Level 1 PRA for external vessel storage tank of Japan sodium-cooled fast reactor in whole core refueling

山野 秀将; 栗坂 健一; 西野 裕之; 岡野 靖; 鳴戸 健一*

Proceedings of 12th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal-Hydraulics, Operation and Safety (NUTHOS-12) (USB Flash Drive), 15 Pages, 2018/10

日本におけるナトリウム冷却高速炉では、使用済み燃料は炉心から炉外燃料貯蔵槽(EVST)に移送される。本論文では、日本の次期ナトリウム冷却高速炉システムのEVSTのPRAを実施することによって燃料破損に至る支配的な事故シーケンスの同定を記述する。EVSTの安全設計の考え方は、ナトリウム液位が下がって長期的には炉心頂部が露出されるような厳しい状況を想定しても全燃料集合体を交換できるようにすることとしており、EVSTへ早期に燃料を移行できる。本研究では崩壊熱の減衰に沿って成功基準の緩和を取り入れた。設計情報に基づき、本研究では起因事象の同定、イベントツリー解析、フォルトツリー解析、人間信頼性解析、事故シーケンスの定量化を行った。この論文では、燃料損傷頻度は10$$^{-5}$$/年程度と評価された。支配的なシーケンスは、1系統の除熱運転系統の喪失を起因事象として、待機している3系統の運転への運転員による切替失敗及び静的機器破損であった。

論文

Development of probabilistic risk assessment methodology against volcanic eruption for sodium-cooled fast reactors

山野 秀将; 西野 裕之; 栗坂 健一; 山元 孝広*

ASCE-ASME Journal of Risk and Uncertainty in Engineering Systems, Part B; Mechanical Engineering, 4(3), p.030902_1 - 030902_9, 2018/09

本論文では、ナトリウム冷却高速炉を対象にして火山ハザードに対する確率論的リスク評価(PRA)手法開発について述べる。火山灰は崩壊熱除去に必須である空気取入口のフィルタ目詰まりを引き起こす恐れがある。フィルタ閉塞の程度は、火山灰大気中濃度と降灰継続時間に加えて、各機器の吸い込み風量で計算される。本研究では、火山ハザードは火山灰粒径、層厚及び継続時間の組み合わせで評価できるとした。また、各機器の機能喪失確率はフィルタ破損限界までの猶予時間を使って得られるフィルタ交換失敗確率で表されるとした。イベントツリーに基づいて、炉心損傷頻度は離散的なハザード確率と条件付崩壊熱除去失敗確率を掛け合わせることで求められ、約3$$times$$10$$^{-6}$$/年の結果を得た。支配的なシーケンスは、非常用原電喪失後に、フィルタ目詰まりによる崩壊熱除去系の機能喪失であった。また、感度解析を通じて火山灰到達低減係数とプレフィルタ設置の効果を調べた。

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