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山田 貢*; 玉田 太郎; 竹田 一旗*; 松本 富美子*; 大野 拓*; 小杉 正幸*; 高場 圭章*; 正山 祥生*; 木村 成伸*; 黒木 良太; et al.
Journal of Molecular Biology, 425(22), p.4295 - 4306, 2013/11
被引用回数:21 パーセンタイル:50.76(Biochemistry & Molecular Biology)NADHシトクロム還元酵素(b5R)はNADHドメインとFADドメインの2つのドメインからなるフラボタンパク質で、NADHから二個の電子を受け取り、二分子のシトクロム(Cb5)に一電子ずつ伝達する反応を触媒する。今回、ブタ肝臓由来b5Rの還元型および酸化型の両状態における結晶構造解析に成功した。嫌気環境下で作製した結晶を用いて1.68分解能で解析した二電子還元型b5Rの構造は、酸化型と比較して2つのドメインの相対配置がわずかに変化しており、その結果、FADの溶媒露出面積が増大し、FADのイソアロキサジン環のN5原子と、FADからのプロトン放出に関わっていると考えられているThr66の側鎖の水酸基間に水素結合が形成していた。一方、イソアロキサジン環の平面性は、還元型においても酸化型と変わらず保持されており、NADのニコチンアミド環とスタッキングしていた。また、0.78分解能で解析した酸化型b5Rの構造から、Thr66を介したFADとHis49間の水素結合ネットワークが水素原子の位置情報と共に明らかになった。これらの構造的特徴は、b5Rの触媒サイクルにおいて、電子の逆流を防ぎ、Cb5のような電子受容体への電子移動を促進するものであった。さらに、クライオトラップ法により還元型結晶の大気暴露時間を制御し作製した結晶を用いた解析により、還元型から酸化型への再酸化反応は二段階を経ることが示唆された。
岡安 悟; 片桐 政樹; 北條 喜一; 森井 幸生; 三木 重信*; 島影 久志*; Wang, Z.*; 石田 武和*
Physica C, 468(15-20), p.1998 - 2000, 2008/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Applied)MgB超伝導体の超伝導転移端(TES)を利用した中性子センサーの開発を行っている。この目的のため低ノイズの測定系を開発してきた。この測定系の有用性を検証するためAmを用いた線検出を試みた。感度をかせぐため試料は1m幅で35mの長さの短いミアンダパターンを用いた。定電流モードで測定を行ったところ線の検出に成功した。バイアス電流は6Aであった。
正山 祥生; 玉田 太郎; 黒木 良太; 木村 成伸*; 竹田 一旗*; 林 拓郎*; 三木 邦夫*
no journal, ,
NADH-チトクロームb5還元酵素(b5R)は、FADを持つピリジンヌクレオチド酵素でNADHからcytochrome b5への電子伝達を触媒する酵素である。b5Rは、脂肪酸代謝や、薬物代謝酵素であるチトクロームP450(CYP)の還元に関与している。われわれは、b5Rの構造活性相関を解明するとともに、薬物相互作用にかかわるCYPのb5Rによる還元機構を解明するため、その詳細な立体構造を解析することを目標としている。そのためにまず既報告の手法でブタ肝臓由来のb5Rの膜外領域に存在する触媒ドメインの大腸菌による大量調製を行った。その結果、大腸菌培養液1Lあたり15mgのb5Rを取得した。この試料を用いて既に報告されている結晶化条件[14% PEG4000を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.7)]で結晶化を行った。結晶を中性子構造解析に用いるためには、大型の結晶を作製する必要がある。そこでマクロシーディング法と蛋白質試料を逐次添加することによって、結晶の大型化に取り組み、これまでに最大長辺が約1mmの大型結晶の調製に成功した。この結晶を用いて現在予備的中性子回折実験を実施中である。
正山 祥生; 玉田 太郎; 黒木 良太; 木村 成伸*; 竹田 一旗*; 林 拓郎*; 三木 邦夫*
no journal, ,
NADH-シトクロム 還元酵素(b5R)は、FADを持つピリジンヌクレオチド酵素でNADHからcytochrome への電子伝達を触媒する酵素である。このb5Rは脂肪酸代謝や薬物代謝酵素であるシトクロムの還元に関与することが明らかにされている。そこでわれわれはb5Rの構造活性相関を解明するとともに、薬物相互作用にかかわるCYPのb5Rによる還元機構を解明するため、中性子構造解析によって詳細な立体構造の解析を行うことを目標としている。そのためにまず既報告の手法でブタ肝臓由来のb5Rの膜外領域に存在する触媒ドメインの大腸菌による大量調製を行い、発現したb5Rを各種クロマトグラフィーによって高純度に単離精製した。その結果、大腸菌培養液1Lあたり15mgのb5Rを取得した。この試料を用いてb5Rの大型結晶作成に取り組み、マクロシーディングを行った結晶化溶液にタンパク質試料を逐次添加することで体積が約4mmの大型結晶の調製に成功した。また、この結晶を重水溶液に浸漬し予備的中性子回折実験を行ったところ、最大分解能が2程度の回折点を得ることに成功した。
山田 貢; 玉田 太郎; 松本 富美子; 竹田 一旗*; 木村 成伸*; 黒木 良太; 三木 邦夫*
no journal, ,
シトクロム還元酵素(以下R)は2ドメインからなり、ドメイン間に1個のFADを含み、NADHから電子を2つ受け取りシトクロムに伝達する酸化還元酵素である。本研究は還元型Rの結晶解析及び還元型Rから再酸化型Rへの時分割結晶解析によってRの酸化還元サイクルの詳細を解明することを目的とした。還元型Rの構造において、2つのドメインの相対位置が大きく変化していた。FADのイソアロキサジン環部位は折れ曲がらずに平面構造をとっておりNADとスタッキングしていたが、N10窒素は型の幾何配置をとっていた。また、時分割解析の結果、Rはニコチンアミド部位を押し出す動きと、ADPリボース部位を押し出す動きの2つの動きによってNADを放出していことが明らかになった。上記の結果から、Rは(1)ドメインの相対位置変化によってシトクロム相互作用部位を作り出す機構、(2)FADHとNADの電荷移動相互作用によって共鳴構造が壊れたFADHが安定化する機構、(3)電荷移動相互作用の消失に伴いニコチンアミド部位を活性中心から放出した後、ADPリボース部位を放出する機構の存在が示唆された。
山田 貢; 玉田 太郎; 松本 富美子; 竹田 一旗*; 木村 成伸*; 黒木 良太; 三木 邦夫*
no journal, ,
シトクロムb5還元酵素(以下、b5R)は、立体構造を構成する2つのドメイン間に1分子のFADを含み、NADHから二個の電子を受け取り、二分子のシトクロムb5に一電子ずつ伝達する酸化還元酵素である。二電子還元型b5R及び再酸化型b5Rの結晶解析によってb5Rの酸化還元サイクルにおける立体構造変化を解明する。二電子還元型b5Rの構造において、2つのドメイン配置が酸化型と比較して大きく変化し、FADのイソアロキサジン環は、平面のままNAD+とスタッキングしていた。さらに、b5Rの触媒サイクルにおいて重要な役割を果たすThr66は酸化型構造では、イソアロキサジン環のN5と水素結合を形成していないが、二電子還元型においては水素結合を形成可能な位置に移動していた。一方、再酸化型b5Rではニコチンアミド部位の電子密度が一部不明瞭な構造(再酸化型1)と、完全に消失した構造(再酸化型2)の2つを決定した。このことは、再酸化反応によってまずニコチンアミドが放出され、次いでADPリボースが放出される機構を示唆する。得られた還元型及び再酸化型b5Rの構造学的情報は、b5Rの機能を理解するうえで有用な知見である。
山田 貢; 玉田 太郎; 松本 富美子; 竹田 一旗*; 木村 成伸*; 黒木 良太; 三木 邦夫*
no journal, ,
シトクロム還元酵素(以下、b5R)は、NADHから二個の電子を受け取り、二分子のシトクロムに一電子ずつ伝達する酸化還元酵素である。本発表では二電子還元型b5R及び再酸化型b5Rの結晶解析の結果を報告する。二電子還元型b5R結晶の作製は、嫌気チャンバー内で実施し、SPring-8 BL38B1にて回折実験を行った。再酸化型b5R結晶は還元型結晶を大気暴露し作製した。二電子還元型b5Rの構造において、2つのドメイン配置が大きく変化し、FADの溶媒露出面積が増大した。また、FADのイソアロキサジン環は、折れ曲がらずに平面構造をとっておりNADとスタッキングしていた。さらに、FADからのプロトン放出にかかわっているとされるThr66は酸化型構造では、イソアロキサジン環のN5と水素結合を形成できない距離に位置していたが、二電子還元型においてはドメイン配置の変化によって水素結合を形成可能な位置に移動していた。一方、再酸化型b5Rでは大気暴露時間が少ないニコチンアミド部位の電子密度が一部不明瞭な構造(再酸化型1)と、ニコチンアミドが完全に消失した構造(再酸化型2)の2つを決定したこのことは、再酸化反応によってまずニコチンアミドが放出され、次いでADPリボースが放出される機構を示唆する。
玉田 太郎; 山田 貢*; 竹田 一旗*; 松本 富美子*; 木村 成伸*; 黒木 良太; 三木 邦夫*
no journal, ,
NADHシトクロム還元酵素(b5R)はNADHドメインとFADドメインの2つのドメインからなるフラボタンパク質で、NADHから二個の電子を受け取り、二分子のシトクロム(Cb5)に一電子ずつ伝達する反応を触媒する。嫌気環境下で作製した結晶を用いて1.68分解能で解析した二電子還元型b5Rの構造は、酸化型と比較して2つのドメインの相対配置がわずかに変化しており、その結果、FADの溶媒露出面積が増大し、FADのイソアロキサジン環のN5原子と、FADからのプロトン放出に関わっていると考えられているThr66の側鎖の水酸基間に水素結合が形成していた。一方、イソアロキサジン環の平面性は、還元型においても酸化型と変わらず保持されており、NADのニコチンアミド環とスタッキングしていた。これらの構造的特徴は、b5Rの触媒サイクルにおいて、電子の逆流を防ぎ、Cb5のような電子受容体への電子移動を促進するものであった。さらに、クライオトラップ法により還元型結晶の大気暴露時間を制御し作製した結晶を用いた解析により、還元型から酸化型への再酸化反応は二段階を経ることが示唆された。
平野 優; 山田 貢*; 栗原 和男; 日下 勝弘*; 木村 成伸*; 三木 邦夫*; 玉田 太郎
no journal, ,
NADH-シトクロム還元酵素(b5R)はフラボタンパク質の1つで、その酸化還元反応に伴いチトクロム等の電子受容体に電子を伝達するが、この反応は小胞体における薬物代謝や脂質合成に深く関与することが知られている。これまでに実施した酸化型および還元型b5RのX線結晶解析の結果から、b5Rの酸化還元サイクルの理解が深まったが、電子授受にかかわる補因子(FAD)や周辺のアミノ酸側鎖の水素原子を含む詳細な構造を決定するには至っていない。そこで、水素原子の直接観察にたけた中性子を用いたb5Rの結晶構造解析に着手した。中性子回折実験のために、2mmを超える大型結晶を作成し、それを段階的に抗凍結溶液に浸漬することにより、低温下での中性子回折実験を実現した。J-PARC/MLFのBL03(iBIX)において14時間照射(加速器出力: 300kW)した結果、1.4分解能の回折点を確認することができた。2014A期には中性子結晶解析のためのフルデータ収集を予定している。
平野 優; 山田 貢*; 栗原 和男; 正山 祥生*; 黒木 良太; 日下 勝弘*; 木村 成伸*; 竹田 一旗*; 三木 邦夫*; 玉田 太郎
no journal, ,
NADH-シトクロム還元酵素(b5R)はフラボタンパク質の1つで、その酸化還元反応に伴いチトクロム等の電子受容体に電子を伝達するが、この反応は小胞体における薬物代謝や脂質合成に深く関与することが知られている。これまでに実施した酸化型および還元型b5RのX線結晶解析の結果から、b5Rの酸化還元サイクルの理解が深まったが、電子授受にかかわる補因子(FAD)や周辺のアミノ酸側鎖の水素原子を含む詳細な構造を決定するには至っていない。そこで、水素原子を含めた詳細な構造情報に基づくb5Rの酸化還元サイクル解明を目指して、b5Rの中性子構造解析を実施した。約2mmの大型結晶を段階的に抗凍結溶液に浸漬することにより低温下での中性子回折実験を実現し、J-PARC/MLFのBL03(iBIX)において1.4分解能の回折データの収集に成功した。引き続き、中性子とX線の両回折データを相補的に用いた構造精密化を行うため、同一結晶を用いてPF BL5AにおいてX線回折実験を行い、0.85分解能の回折データを取得した。本発表では、得られた構造の詳細について紹介する。