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論文

${it Desulfovibrio subterraneus}$ sp. nov., a mesophilic sulfate-reducing deltaproteobacterium isolated from a deep siliceous mudstone formation

上野 晃生*; 玉澤 聡*; 玉村 修司*; 村上 拓馬*; 木山 保*; 猪股 英紀*; 天野 由記; 宮川 和也; 玉木 秀幸*; 長沼 毅*; et al.

International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 71(2), p.004683_1 - 004683_10, 2021/02

 被引用回数:6 パーセンタイル:63.69(Microbiology)

幌延深地層研究計画における地上からのボーリング調査孔であるHDB-6の深度288.7-303.0m区間から採水された地下水中から、新種の嫌気的硫酸還元菌を単離した。これをHN2$$^{rm T}$$株と呼ぶ。採水深度の地質は新第三紀堆積岩の稚内層であり、上位の珪藻質泥岩である声問層から珪質泥岩である稚内層への遷移帯に当たる。単離されたHN2$$^{rm T}$$株は、温度5-43$$^{circ}$$C及びpH6.5-7.5の環境において成長が確認された。HN2$$^{rm T}$$株は、硫酸塩や亜硫酸塩, Fe$$^{3+}$$, マンガン酸化物等を電子受容体とし、硫黄元素や硝酸塩,亜硝酸塩は電子受容体として使用しない。HN2$$^{rm T}$$株は、NaClを必要としないが、最大でNaCl濃度4%(w/v)の高塩濃度環境において生息できた。表現型・分子的遺伝情報から、HN2$$^{rm T}$$株を新種と判断し、${it Desulfovibrio subterraneus}$ sp. nov.と命名する。

論文

Characteristics of naturally grown biofilms in deep groundwaters and their heavy metal sorption property in a deep subsurface environment

天野 由記; 岩月 輝希; 長沼 毅*

Geomicrobiology Journal, 34(9), p.769 - 783, 2017/03

 被引用回数:6 パーセンタイル:22.13(Environmental Sciences)

バイオフィルムが重金属元素の移行に及ぼす影響を明らかにするために、東濃地域において掘削されたボーリング孔の嫌気的環境下で形成された、2試料のバイオフィルムを採取した。堆積岩および花崗岩地下水中で形成されたバイオフィルムについて、地球化学的および微生物学的特性調査を行い、それらの重金属収着能力について評価した。バイオフィルム中の微生物群集組成について、クローン解析手法を用いた16S rRNA遺伝子解析の結果から、地下水中の微生物群集とバイオフィルム中の群集組成は全く異なることが示された。さらに、堆積岩と花崗岩環境下で形成されたバイオフィルムも、それぞれ全く異なる群集組成を有し、多様性に欠けていることが明らかになった。バイオフィルム中にはFe, Ni, Cu, Zn, As, Cd, Pb, Th, and Uのような重金属元素が高濃度に濃集されており、その収着特性は元素によって異なることが示された。これらの結果は、バイオフィルムの重金属収着能力に関する重要な知見である。

論文

The Development of Fe-nodules surrounding biological material mediated by microorganisms

吉田 英一; 山本 鋼志*; 天野 由記; 勝田 長貴*; 林 徹*; 長沼 毅

Environmental Geology, 55(6), p.1363 - 1374, 2008/09

 被引用回数:9 パーセンタイル:26.89(Environmental Sciences)

高師小僧は日本において第四紀の堆積岩に生じる現象である。それらは、植物の根の周囲に形成された円筒状の鉄酸化物の塊である。構造的な特徴から、植物の根が分解された後、中央の空洞に酸化性の水が流れることによって、鉄酸化物が濃集されると考えられている。鉄酸化物から採取した微生物の遺伝子解析を行った結果、鉄酸化反応を行う微生物に近縁な種が検出されており、団塊の形成に関与した可能性が示唆された。顕微鏡観察の結果からも、空隙を満たしている鉄酸化物には微生物のコロニーが付着していることが明らかになっている。地質史及びナノ化石から、これらの鉄団塊は少なくとも10万年間もの間深度数十メートルの還元的な第四紀の堆積物中に埋蔵されていたと考えられており、水-岩石-微生物の相互作用によって形成された鉄酸化物の団塊は、還元環境下で持続しうることが示された。このような現象は、核種の移行に影響を及ぼす可能性が考えられるため、放射性廃棄物を地層処分した後のアナログとして重要である。

論文

Redox front formation in an uplifting sedimentary rock sequence; An Analogue for redox-controlling processes in the geosphere around deep geological repositories for radioactive waste

吉田 英一; Metcalfe, R.*; 山本 鋼志*; 天野 由記; 星井 大輔*; 兼清 あきこ*; 長沼 毅*; 林 徹*

Applied Geochemistry, 23(8), p.2364 - 2381, 2008/08

 被引用回数:8 パーセンタイル:26.36(Geochemistry & Geophysics)

地下環境における酸化還元フロントは、多くの微量元素の移行及び固定を制御している。放射性廃棄物の地層処分に関する安全評価にとって、廃棄体周辺の長期に渡る酸化還元反応を評価することが必要となってくる。これらの反応を理解するために、隆起した堆積岩中に形成された酸化還元フロントに関する研究を実施したところ、フロントに存在する鉄酸化物の形成に微生物代謝が関与している可能性が示唆された。本報告で観察されたような水-岩石-微生物相互作用は、廃棄体周辺に形成される可能性のある酸化還元フロントで起こる反応のアナログとなると考えられる。このような酸化還元フロント中に形成された鉄酸化物は、廃棄体閉鎖後に還元環境が復元された後も保存される可能性がある。

報告書

「放射性廃棄物処分研究のためのネットワーク」第1回情報交換会講演資料集(共同研究)

中山 真一; 長崎 晋也*; 稲垣 八穂広*; 大江 俊昭*; 佐々木 隆之*; 佐藤 正知*; 佐藤 努*; 田中 知*; 杤山 修*; 長尾 誠也*; et al.

JAEA-Conf 2007-003, 120 Pages, 2007/03

JAEA-Conf-2007-003.pdf:53.18MB

「放射性廃棄物処分研究のためのネットワーク」は、放射性廃棄物処分のための基礎研究を促進し、また若手研究者を育成することを目的として、日本原子力研究開発機構の「連携重点研究」制度をその枠組みとして設立された研究者ネットワークである。その第1回情報交換会が、2006年8月4日、日本原子力研究開発機構の原子力科学研究所において開催された。本講演資料集は、本課題の第1回情報交換会における発表、及び討論をまとめたものである。

報告書

高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究フェーズII中間報告; 原子炉プラントシステム技術検討書

此村 守; 小川 隆; 岡野 靖; 山口 浩之; 村上 勤; 高木 直行; 西口 洋平; 杉野 和輝; 永沼 正行; 菱田 正彦; et al.

JNC TN9400 2004-035, 2071 Pages, 2004/06

JNC-TN9400-2004-035.pdf:76.42MB

ナトリウム冷却炉、鉛ビスマス冷却炉、ヘリウムガス冷却炉及び水冷却炉について、革新技術を導入し炉型の特徴を活かした炉システム概念を構築し、その概念の成立の見通しを得るための検討を行うとともに、設計要求への適合性を評価した。その結果、2015年頃に高速増殖炉技術を実用化するためには、現状の知見で課題とされた項目で画期的な技術革新がないかぎり、ナトリウムを冷却材して選択することが合理的であることが明らかとなった。

報告書

深部地質環境に対する微生物の影響に関する研究 -地下微生物群集の種組成と代謝の多様性に関する研究-

長沼 毅*; 岩月 輝希; 村上 由記; 濱 克宏; 岡本 拓士*; 谷本 大輔*; 藤田 夕佳*; 渡辺 史子*; 足立 奈保美*; 佐藤 誠*

JNC TY7400 2003-001, 116 Pages, 2003/05

JNC-TY7400-2003-001.pdf:4.97MB

本報告書は、核燃料サイクル開発機構東濃地科学センターと広島大学生物生産学部間で行われた先行基礎工学共同研究「深部地質環境に対する微生物の影響に関する研究-地下微生物群集の種組成と代謝の多様性に関する研究」の成果を取りまとめるものである。概要を以下に示す。岐阜県東濃地域において、地下深部の微生物の存在量と多様性に関する研究を行った。蛍光染色法による全菌数の計測、呼吸活性やエステラーゼ活性等に基づいて、生菌数を調査したところ、全菌数の約0.001%-100%と求められた。これらの微生物の存在量は、環境要因(岩盤中の割れ目本数、地下水の水理・地球化学条件等)に依存していた。ウラン鉱床を含む堆積岩深部においては、地下水中の酸化還元化学種、微生物生息数、硫酸イオンの硫黄同位体比から、硫酸還元菌による硫酸還元反応が主要な酸化還元反応であることが明らかになった。また、硫酸イオンと塩酸イオンが良い相関を示しながら震度とともに増加しており、硫酸イオンの期限は堆積岩上部の海成層であると考えられた。このような地下水-鉱物-微生物システムにおける酸化還元プロセスは、海成層が陸地化してからも、硫酸還元菌が海成層から供給される硫酸イオンを堆積岩下部に豊富に存在する有機物で還元することで長期間続いてきたと推察される。硫酸イオンの供給速度と岩層中の硫酸態硫黄の含有量から、現在の水理条件が続く場合、硫酸還元菌による硫酸還元反応は今後数十万年間以上にわたって継続し、ウランを保持する還元環境が維持されると推察される。一方、花崗岩中の地下水においては、鉄関連細菌が鉄による酸化還元状態の形成に重要な役割を果たしていると考えられる。特に、花崗岩上部では鉄酸化菌が鉄コロイドの沈没に関与していると推察される。

論文

Formation of colloidal iron hydroxide by deep subsurface bacteria

岩月 輝希; 長沼 毅*

2000年環太平洋化学会議, 0 Pages, 2001/00

東濃地域の深部地下水中の鉄関連バクテリアとコロイド相水酸化鉄の相関、地下環境の鉱物形成・酸化還元に微生物が及ぼす影響について報告する。

論文

深部地質環境における微生物群集; 東濃地域を例として

村上 由記*; 長沼 毅*; 岩月 輝希

原子力バックエンド研究, 5(2), p.59 - 66, 1999/03

近年、地下の微生物に関する知見が世界各地で報告されつつある。本件では、岐阜県東濃地域の地下深部の微生物現存量の調査を行った。その結果、花崗岩中の地下水には、105$$sim$$106cell/mlの密度で微生物が存在することが明らかになった。また、微生物の菌数は、鉄の化学種あるいは硫黄の化学種の酸化還元境界と良い相関を示し、深部地質環境の地球化学的状態と微生物の活性には密接な関連があると考えられた。

口頭

宇宙探査用放射線サーベイメータの開発

保田 浩志*; 矢島 千秋*; 高田 真志*; 中村 尚司*; 福田 光宏*; 佐藤 達彦; 長沼 毅*; 大西 武雄*

no journal, , 

将来の月・火星探査を視野に、宇宙船の内外を移動する宇宙飛行士が自ら周囲の放射線場(線質と線量)をオンサイトでリアルタイムに把握できるようにするため、これまで日本宇宙フォーラム公募地上研究等で培ってきた技術をもとに、宇宙環境に適した性能を持つサーベイメータ型の放射線モニタの開発を進めた。開発したシステムは、光子・中性子・荷電粒子による信号を弁別可能な複合型シンチレータからの信号をデジタル波形解析することにより、各放射線の被ばく線量を導出する。本報では、その宇宙用放射線サーベイメータの特長と開発の現状について概要を述べる。

口頭

太陽系惑星間での微生物・有機物の生存圏

小林 憲正*; 三田 肇*; 中嶋 悟*; 薮田 ひかる*; 横堀 伸一*; 鳴海 一成; 長沼 毅*

no journal, , 

地球上の生命起源に関しては、地球起源説と地球外起源説がある。通常、前者が多くの支持を得ているが、後者(パンスペルミア説)の可能性は否定できない。微生物の惑星間移動の可能性を考えるうえでは、微生物の宇宙での生存可能性の検証が必要である。われわれは、惑星間塵中の有機物や微生物の耐性を調べ、パンスペルミアの可能性を検証している。具体的には、地球から脱出した微生物に、宇宙線を模した高エネルギー重粒子線や種々の波長の紫外線を照射し、微生物の生存率や変異を評価した。${it D. radiodurans}$等の放射線抵抗性細菌や胞子を形成する微生物は粒子線や紫外線に対して強い耐性を示した。一方、地球の場合、約40億年前にパンスペルミアもしくは化学パンスペルミアが起きたと考えられる。その場合、惑星間塵等がどの程度の太陽紫外線や銀河宇宙線・太陽フレア粒子・太陽風の照射を受けたかが問題となる。これらの評価を行ううえで、過去の太陽活動に関する情報が必要となる。このような研究においては、化学や微生物の研究者と太陽研究者との協力が不可欠である。

口頭

陸域深部地下珪藻質泥岩層に生息する未培養Bacteroidetes門発酵性細菌の分離培養化と生理機能の解析

玉澤 聡*; 上野 晃生*; 玉木 秀幸*; 玉村 修司*; 村上 拓馬*; 木山 保*; 猪股 英紀*; 宮川 和也; 長沼 毅*; 金子 勝比古*

no journal, , 

嫌気的環境の一つである陸域地下珪藻質泥岩層は地球上に広く分布しており、北海道北部地域の天塩平野の地下には、新生代新第三紀中新世に形成された海成堆積物から成る珪藻質泥岩層が広がっている。これまで珪藻質泥岩層のボーリングコア試料または孔隙水の微生物群集構造解析やメタゲノム解析によって、発酵性細菌と推測される微生物群の存在は示唆されていたものの、現在まで分離培養されておらずその生理生態学的機能はほとんど明らかにされていなかった。本報告は、幌延深地層研究センターの深度250m調査坑道から採取した地下水から、新規Bacteroidetes門細菌HJ250株の純粋分離に成功したことを報告するものである。HJ250株は、15-37$$^{circ}$$C、pH6.0-9.0で生育可能な絶対嫌気性の発酵性細菌であり、メタン生成菌が利用可能な有機化合物を作り出す能力を持っていることが推測される。また、異なる深度の地下水試料から、HJ250株と100%の相同性を示すDNA配列が検出されたことから、HJ250株は原位置にただ存在するだけでなく、珪藻質泥岩層の特に比較的浅部域における嫌気的有機物分解反応に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。

口頭

陸域深部地下珪藻質泥岩層から単離した鉄還元能を有する新規Bacteroidetes門発酵性細菌の機能解析

玉澤 聡*; 上野 晃生*; 玉木 秀幸*; 玉村 修司*; 村上 拓馬*; 木山 保*; 猪股 英紀*; 宮川 和也; 長沼 毅*; 金子 勝比古*

no journal, , 

これまでの研究により、北海道北部地域の地下に分布する新第三紀堆積岩中の地下水において、微生物による有機物の発酵分解とメタン生成反応が生じていることが報告され、発酵性細菌が嫌気的な有機物分解過程において重要な役割を担っていることが示唆されてきた。しかしながら、これらの発酵性細菌は分離培養されておらずその機能の大半は不明であった。本研究では、これらの発酵性細菌の分離培養化と機能解析を実施した。幌延深地層研究センターの地下250m調査坑道から採水した地下水から単離した新規発酵性細菌HJ250株は、少なくとも科レベルで新規な系統群に分類されることが分かった。生理性状解析の結果、HJ250株は15-37$$^{circ}$$C、pH6.0-9.0、NaCl 0-80g/Lで生育可能な糖資化性の絶対嫌気性発酵性細菌であることが分かった。さらに、HJ250株は、Bacteroidetes門細菌としては報告例の極めて少ない、鉄還元能を有することが明らかとなった。また、HJ250株と同様のDNAおよびRNAが、異なる深度の地下水からも検出されたことから、HJ250株が珪藻質泥岩層の比較的浅部域における炭素及び鉄循環に大きく寄与している可能性が示唆された。

口頭

陸域深部地下珪藻質/珪質泥岩層の微生物群集構造解析および微生物群集構造に影響を及ぼす要因の解明

玉澤 聡*; 上野 晃生*; 村上 拓馬*; 宮川 和也; 玉村 修司*; 木山 保*; 猪股 英紀*; 長沼 毅*; 金子 勝比古*; 五十嵐 敏文*

no journal, , 

令和2年度以降の幌延深地層研究計画において原子力機構が取り組んでいる課題の1つである「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、物質移行に対する微生物の影響を確認する必要がある。本研究では、幌延地域の地下深部に存在する微生物群集の構造を規定する要因を明らかにするために、幌延深地層研究センターの地下研究施設から掘削されたボーリング孔を利用して地下水を採水し、16S rRNA遺伝子アンプリコンシーケンスデータを取得し、地下水の地球化学データとの関連性について解析的検討を実施した。その結果、試料間に見られる微生物の群集構造の差異は、採水深度や地下水の電気伝導度、Na$$^{+}$$, K$$^{+}$$, Ca$$^{2+}$$, Mg$$_{2}$$$$^{+}$$, Li$$^{+}$$, Cl$$^{-}$$, Br$$^{-}$$, NH$$_{4}$$$$^{+}$$, PO$$_{4}$$$$^{3-}$$, Sr, I, SO$$_{4}$$$$^{2-}$$などのパラメータと統計的に有意な関連性を持つことが示された。これらの溶存イオン種の空間的な差異は、既往の研究により、化石海水が天水によって希釈されることにより形成されたと考えられている。このことから、本地域の微生物群集構造に影響を及ぼす一因は、化石海水の天水による希釈である可能性が示唆される。

口頭

陸域深部地下環境から取得した新規微生物${it Mangrovibacterium}$ sp. Z1-71株のメタン生成アーキアとの共培養について

上野 晃生*; 玉澤 聡*; 玉村 修司*; 村上 拓馬*; 猪股 英紀*; 天野 由記; 宮川 和也; 長沼 毅*; 五十嵐 敏文*

no journal, , 

幌延深地層研究センターの位置する北海道幌延町の深部地下水にはメタンが溶存している。また、酸化還元電位は-250から-100mVの還元的な値を示す。この電位は硫酸還元反応や二酸化炭素の還元によるメタン生成反応により支配されていると考えられており、その還元反応には微生物活動による触媒反応が必要である。しかしながら、微生物活動によるメタン生成機構や地下水中への二酸化炭素の供給機構については不明な点が多い。本研究では本地域におけるメタン生成機構の解明を目的として、地下施設内のボーリング孔から得られた地下水から新規微生物を取得し、その機能を調べた。取得された新規微生物Mangrovibacterium sp. Z1-71株はD-Glucoseを炭素源として水素を生成することが分かった。この新規微生物を、同地下施設から単離された水素資化性メタン生成古細菌とN2/CO2雰囲気で共培養した結果、メタンの発生が認められた。メタン生成古細菌単体ではメタンが生成されなかったことを踏まえると、本研究で取得された新規微生物が生成する水素もしくは低分子量有機物を用いてメタン生成古細菌がメタンを生成していることが考えられる。

口頭

陸域深部地下環境から取得した新規微生物の水素代謝とメタン生成菌との関係性

上野 晃生*; 佐藤 聖*; 玉村 修司*; 村上 拓馬*; 猪股 英紀*; 玉澤 聡*; 天野 由記; 宮川 和也; 長沼 毅*; 五十嵐 敏文*

no journal, , 

幌延深地層研究センター地下施設より採取した地下水を接種源とし、偏性嫌気性の新規微生物Mangrovibacterium sp.Z1-71株(以下Z1-71株)を取得した。全ゲノム解析の結果、ゲノムサイズが約5.7Mbpと、既報のMangrovibacterium属細菌とほぼ同じゲノムサイズであった。16S rRNA遺伝子(1450 bp)の配列比較では、最近縁種のM. diazotrophicum DSM 27148$$^{T}$$株とは94.6パーセントの一致性であったこと、全ゲノムを用いた系統解析では、既知のMangrovibacterium属とは異なるクレードに分類されたことから、Z1-71株は新種細菌である可能性が高いことが分かった。グルコースを炭素源として培養試験を行った結果、水素を生成することが分かった。過去に同地下環境から単離された水素資化性メタン生成アーキア、Methanoculleus horonobensis T10$$^{T}$$株(以下T10$$^{T}$$株)との共培養試験を行った。T10$$^{T}$$株単独の培養ではメタンは生じなかったが、Z1-71株との共培養を行ったところメタンが生じた。本実験結果より、Z1-71株が生成する水素もしくは低分子量有機物を用い、T10$$^{T}$$株がメタン生成を行うと考えられた。

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