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中田 陽; 中野 政尚; 金井 克太; 瀬谷 夏美; 西村 周作; 根本 正史; 飛田 慶司; 二川 和郎; 山田 椋平; 内山 怜; et al.
JAEA-Review 2021-062, 163 Pages, 2022/02
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV 編環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2020年4月から2021年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果、及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力株式会社(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングス株式会社に変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目でみられた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の上限値を超過した値の評価について付録として収録した。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 都築 克紀; 竹内 絵里奈; 西村 周作; 武藤 琴美*; 松永 武*
Journal of Environmental Radioactivity, 238-239, p.106725_1 - 106725_8, 2021/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故により周辺の森林域はCsで汚染された。複雑な山地地形における
Cs沈着量の空間分布を明らかにするために、小河川集水域全域において一定間隔で土壌試料を採取した。土壌試料は2013年夏に42地点、2015年春に6地点において、有機物層と鉱物土壌層に分けて採取した。2013年の
Cs蓄積量は高度と斜面方位に関連した大きな空間変動を示した。有機物層の
Cs残留率は6%から82%と場所により大きく変動し、有機物層の量及び高度と正の相関を示した。しかし、有機物層の
Cs残留率が55%以上であった地点においても、2015年には20%以下に低下しており、沈着から4年後までに多くが鉱物土壌層に移行し、粘土鉱物と結合することで移動性が低下していることが明らかになった。本研究ではまた、
Cs蓄積量と同じ地点で測定した空間線量率を比較し、正の直線関係を得た。この関係式と前報において同じ集水域で測定した3,797点の空間線量率のデータを用いて、全集水域の
Cs沈着量を推定した。
中野 政尚; 藤井 朋子; 根本 正史; 飛田 慶司; 瀬谷 夏美; 西村 周作; 細見 健二; 永岡 美佳; 横山 裕也; 松原 菜摘; et al.
JAEA-Review 2020-069, 163 Pages, 2021/02
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV編 環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2019年4月から2020年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果、及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングスに変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目でみられた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の上限値を超過した値の評価について付録として収録した。
中野 政尚; 細見 健二; 西村 周作; 松原 菜摘; 大倉 毅史; 倉持 彰彦; 川崎 将亜; 竹内 絵里奈; 藤井 裕*; 神野 職*; et al.
保健物理(インターネット), 55(2), p.102 - 109, 2020/06
2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故以降、茨城県の環境放射線モニタリング結果の一部に上昇が観測された。技術的観点からモニタリングデータの変動等について意見交換する場として、「福島第一原発事故による環境影響検討会」を設置し、4つの原子力事業所からモニタリングデータを収集し、変動傾向, Cs/
Cs放射能比等を検討した。本報告では線量率と、降下じん, 表土, カレイ・ヒラメ, 海底土中
Csの検討結果について紹介する。また、検討会における課題解決についても紹介する。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 西村 周作; 武藤 琴美*
Scientific Reports (Internet), 10(1), p.6614_1 - 6614_11, 2020/04
被引用回数:6 パーセンタイル:42.91(Multidisciplinary Sciences)リターの除去は、森林除染において効果的な方法であると考えられているが、福島原発の影響を受けた日本の森林生態系における有効性は不明である。本研究では、福島の広葉樹林の一部に非除染区を設定し、事故後約3.3年後に非除染区を除く森林全域に対してリター除去による除染を行った。除染後3年間にわたり、除染区と非除染区における森林生態系内のCsレベルの推移を調査した。その結果、森林生態系内における
Csの保持及び循環に対する除染効果は極めて限定的であった。日本の森林では、ヨーロッパの森林とは異なり、リター層の
Cs保持能が低いことがその主要因であることが示され、日本の森林生態系に対してはより速いタイミングでのリター除去の実施が必要であったことが示唆された。
中野 政尚; 藤井 朋子; 根本 正史; 飛田 慶司; 河野 恭彦; 細見 健二; 西村 周作; 松原 菜摘; 前原 勇志; 成田 亮介; et al.
JAEA-Review 2019-048, 165 Pages, 2020/03
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV編 環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2018年4月から2019年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果、及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングスに変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目でみられた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の上限値を超過した値の評価について付録として収録した。
小嵐 淳; 西村 周作; 安藤 麻里子; 武藤 琴美; 松永 武*
Scientific Reports (Internet), 9, p.7034_1 - 7034_10, 2019/05
被引用回数:26 パーセンタイル:82.59(Multidisciplinary Sciences)本研究では、福島原子力発電所(福島原発)事故によって陸域生態系にもたらされたCsの表層土壌における保持メカニズムを解明することを目的として、異なる陸域生態系における表層土壌中の
Csの保持状態を、土壌鉱物及び土壌有機物との相互作用に着目して調べた。その結果、森林や果樹園の土壌では、事故から3.5カ月の時点で多くの
Csが土壌鉱物を主体とする土壌フラクションではなく粒子状有機物を主体とする土壌フラクションに存在していること、4年後においてもその存在割合は維持されていることが明らかになった。
小嵐 淳; 西村 周作; 安藤 麻里子; 松永 武*; 佐藤 努*; 長尾 誠也*
Chemosphere, 205, p.147 - 155, 2018/08
被引用回数:15 パーセンタイル:56.08(Environmental Sciences)福島原子力発電所事故の長期的な影響を評価するためには、土壌に沈着した放射性セシウムの挙動の理解が重要であるが、土壌の団粒構造が放射性セシウムの移動性や生物利用性に及ぼす影響は未解明である。本研究では、福島原子力発電所事故の影響を受けた農耕地及び森林の表層土壌を対象に、土壌の団粒化と放射性セシウムの団粒サイズ間における分布や抽出性を調べた。その結果、農耕地土壌では団粒の発達が乏しく、セシウムの多くは粘土サイズの土壌粒子に強く固定されているが、森林土壌では団粒が発達し、大きな団粒に比較的抽出されやすい状態で保持されているセシウムの割合が多いことが明らかになった。
武藤 琴美; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; 竹内 絵里奈; 西村 周作; 都築 克紀; 松永 武*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 314(1), p.403 - 411, 2017/10
被引用回数:15 パーセンタイル:85.97(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所事故により森林に沈着した放射性Csが河川を通して流出することで、下流の市街地や農地への汚染が長期間続くことが懸念されている。本研究では、森林から河川への放射性Cs流出挙動を評価するために、落葉広葉樹林を集水域とする小河川に放射性Csの連続捕集装置を設置し、事故の半年後から4年間調査を行った。河川中の放射性Csを懸濁態と溶存態に分けて採取し、懸濁態は粒径ごとに分画した。また、河川中の懸濁物と土壌について、炭素及び窒素の量と同位体比を分析し比較した。その結果、放射性Csの主要な流出形態は粒径75m以下の懸濁態であり、分解の進んだリターと鉱物土壌を起源としていることが明らかになった。また、リター分解を起源とする溶存態Csの流出量も無視できないことが分かった。リターから土壌への放射性Csの移行が進んでいることから、今後、溶存態による河川流出は数年で減少する一方、懸濁態による河川流出は長期間継続することが示唆された。
小嵐 淳; 西村 周作; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 武藤 琴美
Chemosphere, 165, p.335 - 341, 2016/12
被引用回数:34 パーセンタイル:77.58(Environmental Sciences)福島原子力発電所事故の環境・公衆影響を評価するためには、地表面に沈着したセシウムのリター-土壌系における挙動を把握することが重要であるが、特に沈着後初期段階におけるこの挙動に関する知見は少ない。本研究では、事故後すぐに落葉広葉樹林においてライシメーターを設置し、4年間にわたってリター-土壌境界層及び土壌層内におけるセシウムの下方移行量を直接測定した。その結果、セシウムの下方移行量はすべての深さにおいて年々減少し、リター層に沈着したセシウムが速やかに土壌へ移行するとともに、土壌表層5cm以内で急速に移動性を失う様子を捉えることに成功した。この結果により、日本の落葉広葉樹林では、土壌-植生間におけるセシウムの循環は長期にわたって継続しないことが示唆された。
松永 武; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 武藤 琴美; 都築 克紀; 西村 周作; 小嵐 淳; 乙坂 重嘉; 佐藤 努*; et al.
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 310(2), p.679 - 693, 2016/11
被引用回数:6 パーセンタイル:53.9(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所事故に由来する放射性Csの森林集水域からの流出挙動とその変動要因を解明するために、渓流水中の懸濁態放射性Csの流出量を2012年から2年間連続して測定した。懸濁態Csの流出は、流域からの懸濁物質の流出と密接な関係があり、降雨量の多い8-9月に増加した。
Csは懸濁物質中の粘土鉱物に強く結びついており、流下中に水中に溶存しないことが、鉱物同定及び抽出実験の結果より示唆された。また、単位懸濁物質量あたりの
Cs濃度は、2012年から徐々に低下していた。これらの結果より、懸濁態
Csの流出量は、降雨量に関連した懸濁物質量の変動と、懸濁物質中の
Cs濃度の経年変化の両方の影響を受けて変化していることが明らかとなった。
武藤 琴美; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 西村 周作; 小嵐 淳; 都築 克紀; 中西 貴宏; 松永 武
KEK Proceedings 2015-4, p.252 - 257, 2015/11
福島第一原子力発電所事故により大気中に放出された放射性Csの多くは森林に沈着し、現在も残留している。本研究では森林から河川への放射性Csの流出挙動を評価するために、北茨城市の森林を集水域とする小河川に放射性Csの連続捕集装置を設置し調査を行った。放射性Csは粒径の異なる懸濁態と溶存態Csに分け、それぞれについて流出挙動を評価した。調査期間は2012年12月から2014年11月である。懸濁物はカートリッジフィルターを用いて捕集し、粒径毎に4種類(2000m以上, 500-2000
m, 75-500
m, 75
m以下)に篩別した。溶存態はCs吸着剤を充填したカラムに通水させ捕集した。フィルター及びカラムの交換は約1ヶ月毎に行い、各試料は乾燥させてGe半導体検出器で
線測定を行った。調査の結果、流量の増加が懸濁態・溶存態
Csの流出量に影響を与えることが明らかになった。粒径別に見ると、懸濁態全体に対する流出量の割合は粒径75
m以下のものが最大だったが、流量が特に多い期間に粒径75-2000
mの比較的大きな粒子が増加した。流出量全体では懸濁態の割合が多いが、冬期は溶存態の割合が増加する傾向が見られた。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 竹内 絵里奈; 都築 克紀; 西村 周作; 松永 武
Journal of Environmental Radioactivity, 147, p.1 - 7, 2015/09
被引用回数:23 パーセンタイル:61.72(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故起源の放射性Csにより汚染を受けた山間地の小河川集水域を対象として、空間線量率分布を詳細に測定した。GPS連動型放射性自動計測システムKURAMA-IIを用いた連続測定及びNaIサーベイメーターを用いた一定間隔毎の測定により、山間地での空間線量率と地形との関係を明らかにした。2013年8-9月に測定した空間線量率は、標高の高い東向きの斜面で高く、谷と西向きの斜面で低い値を示した。また、狭い範囲であっても斜面方位の違いにより空間線量率が大きく異なっており、空間線量率分布が地形と密接に関連していることが明らかとなった。山間部における線量の評価や放射能の蓄積量の推定においては、その空間分布を考慮することが重要であることが示された。
松永 武; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 都築 克紀; 西村 周作; 小嵐 淳; 乙坂 重嘉; 佐藤 努*; 長尾 誠也*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 303(2), p.1291 - 1295, 2015/02
被引用回数:3 パーセンタイル:28.28(Chemistry, Analytical)河川中の懸濁物に含まれる放射性核種を研究する目的で、従来にない簡便な受動型の捕集方法を開発し、実証した。これは複数のカートリッジフィルターを備えた大型ホルダーを用いるものである。河川水は河床勾配を利用して、上流からホースによりフィルタホルダーに自然に導く。この方法により、長期にわたる無人捕集が可能になる。従来法に比較して大きな量(数十グラム以上)を捕集することになるので、通例の放射性核種濃度分析に加えて、懸濁物の特性分析も行うことができる長所を持つ。この手法は、懸濁物に含まれる化学物質の研究にも利用できるであろう。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 西村 周作
Scientific Reports (Internet), 4, p.6853_1 - 6853_7, 2014/10
被引用回数:43 パーセンタイル:79.59(Multidisciplinary Sciences)福島第一原子力発電所事故によって、山地や丘陵地に位置する森林がCsによって汚染された。地形的要因が森林地表面における
Csの動態に及ぼす影響を解明するために、2013年8月に、落葉広葉樹林の急斜面における福島事故起源
Csの分布を調査した。落葉堆積物及びそれに保持される
Csが斜面底部に蓄積していることを見出した。蓄積している
Csの65%が、平均年齢が0.5-1.5年と推定される事故後の新しい落葉や分解のあまり進んでいない落葉に保持されていた。さらに、2011年5月(事故から2か月後)に展葉した葉の
Cs濃度が高いこと、その濃度は時間とともに低下したが、2014年においてもなお事故前の濃度レベルより2桁高いことを観測した。これらの結果から、森林斜面における底部への
Cs再分配は生物が関与したプロセスによって強く制御されており、落葉樹のリターフォールにより今後も継続することを初めて示した。
今野 祐多*; 小松 大祐*; 西村 周作*; 福田 朱里; 青才 大介; 水野 崇; 長尾 誠也*; 角皆 潤*; 鈴木 庸平*
no journal, ,
水理・地球化学環境と地下微生物の代謝活動を担うエネルギー源の関係性を把握するため、花崗岩中の地下水試料を用いて、微生物のエネルギー源となり得る物質の分析により、微生物の代謝様式の推定を行った。瑞浪超深地層研究所の地上及び研究坑道内から掘削したボーリング孔より採取した地下水中の腐植物質様有機物の定量・定性,水素ガスの定量,硫酸・硫化物イオン,溶存無機炭素の定量及び安定同位体組成の分析を行った。その結果、腐植様物質は深度100から300mに向けて濃度が減少した。透水性の低い断層の両側に位置し、透水係数が異なる深度300mの2つのボーリング孔の酸化還元状態は、硫酸還元環境と二酸化炭素還元環境で異なることが示唆された。地下水流動が遅い場合、水-岩石-微生物反応にとって十分な反応時間が得られ、酸化剤の消費が進み、より還元的な化学環境が形成されると考えられる。したがってこれらの結果は、花崗岩中の地下水流動特性に従い、有機物に依存する硫酸還元(従属栄養)から地下由来のエネルギー源に依存する二酸化炭素還元(独立栄養)へのシフトを示唆し、地下深部において光合成由来物質が影響する限界に近付いていることを意味する。
西村 周作*; 鈴木 庸平*; 福田 朱里; 今野 祐多*; 執印 訓子*; 長尾 誠也*
no journal, ,
地下水中におけるアクチノイドなどの移行に及ぼす有機物の影響を評価するため、地下水溶存有機物を対象にした研究が進められており、フルボ酸などの溶存有機物の蛍光特性が地層などの違いを反映していることが明らかになってきた。一方、微生物活動が溶存有機物に与える影響については明らかになっていない。本研究では、瑞浪超深地層研究所用地内のボーリング孔から採取した花崗岩中の地下水試料と、地下水のろ過により捕集した懸濁物質を用いた培養試料を試料とした。三元次蛍光分光光度計,紫外可視分光光度計,高速液体サイズ排除クロマトグラフにより測定を行い、培養に伴う有機物の生成と分解について検討を行った。培養後の試料は地下水試料に比べ、フルボ酸物質濃度の指標となる励起320nm/蛍光430nmの相対蛍光強度が高く、嫌気培養に伴い微生物活動によりフルボ酸物質が生成されることを明らかにした。生成したフルボ酸物質は、採取した地下水よりも高分子の有機物量が多いが、微生物の種類や代謝活性の違いにより特徴は異なると考えられる。また、この生成において硝酸は微生物活動を促進し、酸素は阻害する可能性が考えられた。
柳 由貴子*; 進藤 晴夫*; 西村 周作
no journal, ,
植物を含むバイオマスの炭化によって生成した生物起源炭化物は、安定した炭素構造を有している。この様な炭化物の生成および土壌中の分布,動態,機能について我々は様々な研究を行ってきた。この成果の集約は、生物起源炭化物の役割についてより良い知見を与えるものである。(1)植物の炭化過程において脱水重縮合反応が生じていた。(2)炭化物は土壌微生物の無機化に抵抗性を示した。(3)シルト画分は、炭化物の重要な貯蔵庫であった。(4)炭化物は、燃焼後の土壌環境下において風化および生物分解を受け、黒色腐植酸へと変化していた。(5)以上の研究成果をまとめると、燃焼後、炭化物は土壌中の非生物および生物分解によって黒色腐植酸を生成する。この黒色腐植酸を含んだ炭化物の一部は、無機物と結合し、シルト画分となって安定化し、長期にわたって貯留するものと示唆される。
西村 周作; 小嵐 淳; 安藤 麻里子
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故で大気中に拡散したCs-137は、土壌中の粘土鉱物に強く固定されることが知られている。しかし、自然環境下において粘土鉱物の大半は有機物と結合して様々な団粒を形成し、森林土壌の発達した団粒構造は土壌中のCs-137の移動性に影響を与えていることが報告されている。したがって、土壌中でのCs-137の循環等を正確に予測する上で、団粒形成を考慮したCs-137の存在形態について明らかにする必要がある。本研究では、土壌を団粒サイズに分画する手法を提示し、各画分におけるCs-137分布について測定を行った。福島市郊外で採取し、粒度分析法で分析した森林土壌を用いた。土壌団粒を団粒分画法にて分画した後、団粒別画分のCs-137を測定した。団粒分画法の重量分布は、212m以上の画分で粒径分析法に比べて高い値を示した。土壌の団粒別画分のCs-137放射能の分布は、20
212
mの画分において最も高い割合を示した。以上の結果から、本研究で用いた分画手法を用いることで団粒構造を保持した状態でのCs-137の分布測定が可能となり、Cs-137が比較的大きな団粒サイズ(20
212
m)に存在していることが明らかとなった。
竹内 絵里奈; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; 西村 周作; 都築 克紀; 松永 武
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所事故で放出された放射性Csの多くは森林に沈着し現在も留まっている。森林の空間線量率分布を明らかにすることは、放射性Csの森林内での移動を評価し、森林作業従事者の被ばくを管理するために重要である。本研究では、福島第一原子力発電所から南西約67kmの北茨城市の森林集水域を対象とし、GPS連動型放射線自動計測システムKURAMA-IIを用いた空間線量率の詳細測定を行うとともに、NaIシンチレーションサーベイメータにより5cm高さ及び100cm高さの空間線量率を測定することで、森林内の空間線量率分布の特徴を明らかにした。対象集水域の空間線量率は周辺部の尾根で高く、中心付近の谷で低い傾向が見られた。福島第一原子力発電所のある北東に面し、比較的標高の高い領域では、南西に面する領域よりも空間線量率が有意に高かった。また、NaIシンチレーションサーベイメータの測定結果より、100cm高さの空間線量率は、5cm高さの値と直線関係を示していることから、地表面の放射性Csの寄与を主に受けていると考えられる。KURAMA-IIを山間部に適用し、森林内での空間線量率の詳細な分布を測定する手段として有効であることを示した。