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小嵐 淳; 安藤 麻里子; 西村 周作
Ecotoxicology and Environmental Safety, 262, p.115177_1 - 115177_9, 2023/09
被引用回数:6 パーセンタイル:63.96(Environmental Sciences)日本の森林土壌における放射性セシウム(Cs)の深度分布の将来を把握することは、福島第一原子力発電所事故の環境影響を評価する上で重要である。本研究では、土壌有機物の濃度プロファイルが最終的な
Csの深度分布を決定するという仮説を立て、土壌有機物プロファイルが異なる森林土壌における大気圏核実験起源
Csの約半世紀後の深度分布を調べることでその仮説を検証した。その結果、土壌層の
Cs保持能力は、調査地や土壌深度にかかわらず土壌有機炭素濃度の関数として表せることが示された。このモデルを用いることで日本の森林土壌における最終的な
Cs深度分布を予測できることを示した。
中田 陽; 金井 克太; 瀬谷 夏美; 西村 周作; 二川 和郎; 根本 正史; 飛田 慶司; 山田 椋平*; 内山 怜; 山下 大智; et al.
JAEA-Review 2022-078, 164 Pages, 2023/03
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV編環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2021年4月から2022年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果、及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力株式会社(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングス株式会社に変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目でみられた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の上限値を超過した値の評価について付録として収録した。
中田 陽; 中野 政尚; 金井 克太; 瀬谷 夏美; 西村 周作; 根本 正史; 飛田 慶司; 二川 和郎; 山田 椋平; 内山 怜; et al.
JAEA-Review 2021-062, 163 Pages, 2022/02
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV 編環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2020年4月から2021年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果、及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力株式会社(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングス株式会社に変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目でみられた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の上限値を超過した値の評価について付録として収録した。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 都築 克紀; 竹内 絵里奈; 西村 周作; 武藤 琴美*; 松永 武*
Journal of Environmental Radioactivity, 238-239, p.106725_1 - 106725_8, 2021/11
被引用回数:4 パーセンタイル:12.32(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故により周辺の森林域はCsで汚染された。複雑な山地地形における
Cs沈着量の空間分布を明らかにするために、小河川集水域全域において一定間隔で土壌試料を採取した。土壌試料は2013年夏に42地点、2015年春に6地点において、有機物層と鉱物土壌層に分けて採取した。2013年の
Cs蓄積量は高度と斜面方位に関連した大きな空間変動を示した。有機物層の
Cs残留率は6%から82%と場所により大きく変動し、有機物層の量及び高度と正の相関を示した。しかし、有機物層の
Cs残留率が55%以上であった地点においても、2015年には20%以下に低下しており、沈着から4年後までに多くが鉱物土壌層に移行し、粘土鉱物と結合することで移動性が低下していることが明らかになった。本研究ではまた、
Cs蓄積量と同じ地点で測定した空間線量率を比較し、正の直線関係を得た。この関係式と前報において同じ集水域で測定した3,797点の空間線量率のデータを用いて、全集水域の
Cs沈着量を推定した。
中野 政尚; 藤井 朋子; 根本 正史; 飛田 慶司; 瀬谷 夏美; 西村 周作; 細見 健二; 永岡 美佳; 横山 裕也; 松原 菜摘; et al.
JAEA-Review 2020-069, 163 Pages, 2021/02
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV編 環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2019年4月から2020年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果、及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングスに変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目でみられた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の上限値を超過した値の評価について付録として収録した。
中野 政尚; 細見 健二; 西村 周作; 松原 菜摘; 大倉 毅史; 倉持 彰彦; 川崎 将亜; 竹内 絵里奈; 藤井 裕*; 神野 職*; et al.
保健物理(インターネット), 55(2), p.102 - 109, 2020/06
2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故以降、茨城県の環境放射線モニタリング結果の一部に上昇が観測された。技術的観点からモニタリングデータの変動等について意見交換する場として、「福島第一原発事故による環境影響検討会」を設置し、4つの原子力事業所からモニタリングデータを収集し、変動傾向, Cs/
Cs放射能比等を検討した。本報告では線量率と、降下じん, 表土, カレイ・ヒラメ, 海底土中
Csの検討結果について紹介する。また、検討会における課題解決についても紹介する。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 西村 周作; 武藤 琴美*
Scientific Reports (Internet), 10(1), p.6614_1 - 6614_11, 2020/04
被引用回数:14 パーセンタイル:45.76(Multidisciplinary Sciences)リターの除去は、森林除染において効果的な方法であると考えられているが、福島原発の影響を受けた日本の森林生態系における有効性は不明である。本研究では、福島の広葉樹林の一部に非除染区を設定し、事故後約3.3年後に非除染区を除く森林全域に対してリター除去による除染を行った。除染後3年間にわたり、除染区と非除染区における森林生態系内のCsレベルの推移を調査した。その結果、森林生態系内における
Csの保持及び循環に対する除染効果は極めて限定的であった。日本の森林では、ヨーロッパの森林とは異なり、リター層の
Cs保持能が低いことがその主要因であることが示され、日本の森林生態系に対してはより速いタイミングでのリター除去の実施が必要であったことが示唆された。
中野 政尚; 藤井 朋子; 根本 正史; 飛田 慶司; 河野 恭彦; 細見 健二; 西村 周作; 松原 菜摘; 前原 勇志; 成田 亮介; et al.
JAEA-Review 2019-048, 165 Pages, 2020/03
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV編 環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2018年4月から2019年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果、及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングスに変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目でみられた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の上限値を超過した値の評価について付録として収録した。
小嵐 淳; 西村 周作; 安藤 麻里子; 武藤 琴美; 松永 武*
Scientific Reports (Internet), 9, p.7034_1 - 7034_10, 2019/05
被引用回数:34 パーセンタイル:75.64(Multidisciplinary Sciences)本研究では、福島原子力発電所(福島原発)事故によって陸域生態系にもたらされたCsの表層土壌における保持メカニズムを解明することを目的として、異なる陸域生態系における表層土壌中の
Csの保持状態を、土壌鉱物及び土壌有機物との相互作用に着目して調べた。その結果、森林や果樹園の土壌では、事故から3.5カ月の時点で多くの
Csが土壌鉱物を主体とする土壌フラクションではなく粒子状有機物を主体とする土壌フラクションに存在していること、4年後においてもその存在割合は維持されていることが明らかになった。
小嵐 淳; 西村 周作; 安藤 麻里子; 松永 武*; 佐藤 努*; 長尾 誠也*
Chemosphere, 205, p.147 - 155, 2018/08
被引用回数:21 パーセンタイル:54.27(Environmental Sciences)福島原子力発電所事故の長期的な影響を評価するためには、土壌に沈着した放射性セシウムの挙動の理解が重要であるが、土壌の団粒構造が放射性セシウムの移動性や生物利用性に及ぼす影響は未解明である。本研究では、福島原子力発電所事故の影響を受けた農耕地及び森林の表層土壌を対象に、土壌の団粒化と放射性セシウムの団粒サイズ間における分布や抽出性を調べた。その結果、農耕地土壌では団粒の発達が乏しく、セシウムの多くは粘土サイズの土壌粒子に強く固定されているが、森林土壌では団粒が発達し、大きな団粒に比較的抽出されやすい状態で保持されているセシウムの割合が多いことが明らかになった。
武藤 琴美; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; 竹内 絵里奈; 西村 周作; 都築 克紀; 松永 武*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 314(1), p.403 - 411, 2017/10
被引用回数:16 パーセンタイル:79.63(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所事故により森林に沈着した放射性Csが河川を通して流出することで、下流の市街地や農地への汚染が長期間続くことが懸念されている。本研究では、森林から河川への放射性Cs流出挙動を評価するために、落葉広葉樹林を集水域とする小河川に放射性Csの連続捕集装置を設置し、事故の半年後から4年間調査を行った。河川中の放射性Csを懸濁態と溶存態に分けて採取し、懸濁態は粒径ごとに分画した。また、河川中の懸濁物と土壌について、炭素及び窒素の量と同位体比を分析し比較した。その結果、放射性Csの主要な流出形態は粒径75m以下の懸濁態であり、分解の進んだリターと鉱物土壌を起源としていることが明らかになった。また、リター分解を起源とする溶存態Csの流出量も無視できないことが分かった。リターから土壌への放射性Csの移行が進んでいることから、今後、溶存態による河川流出は数年で減少する一方、懸濁態による河川流出は長期間継続することが示唆された。
小嵐 淳; 西村 周作; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 武藤 琴美
Chemosphere, 165, p.335 - 341, 2016/12
被引用回数:42 パーセンタイル:75.59(Environmental Sciences)福島原子力発電所事故の環境・公衆影響を評価するためには、地表面に沈着したセシウムのリター-土壌系における挙動を把握することが重要であるが、特に沈着後初期段階におけるこの挙動に関する知見は少ない。本研究では、事故後すぐに落葉広葉樹林においてライシメーターを設置し、4年間にわたってリター-土壌境界層及び土壌層内におけるセシウムの下方移行量を直接測定した。その結果、セシウムの下方移行量はすべての深さにおいて年々減少し、リター層に沈着したセシウムが速やかに土壌へ移行するとともに、土壌表層5cm以内で急速に移動性を失う様子を捉えることに成功した。この結果により、日本の落葉広葉樹林では、土壌-植生間におけるセシウムの循環は長期にわたって継続しないことが示唆された。
松永 武; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 武藤 琴美; 都築 克紀; 西村 周作; 小嵐 淳; 乙坂 重嘉; 佐藤 努*; et al.
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 310(2), p.679 - 693, 2016/11
被引用回数:6 パーセンタイル:45.30(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所事故に由来する放射性Csの森林集水域からの流出挙動とその変動要因を解明するために、渓流水中の懸濁態放射性Csの流出量を2012年から2年間連続して測定した。懸濁態Csの流出は、流域からの懸濁物質の流出と密接な関係があり、降雨量の多い8-9月に増加した。
Csは懸濁物質中の粘土鉱物に強く結びついており、流下中に水中に溶存しないことが、鉱物同定及び抽出実験の結果より示唆された。また、単位懸濁物質量あたりの
Cs濃度は、2012年から徐々に低下していた。これらの結果より、懸濁態
Csの流出量は、降雨量に関連した懸濁物質量の変動と、懸濁物質中の
Cs濃度の経年変化の両方の影響を受けて変化していることが明らかとなった。
武藤 琴美; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 西村 周作; 小嵐 淳; 都築 克紀; 中西 貴宏; 松永 武
KEK Proceedings 2015-4, p.252 - 257, 2015/11
福島第一原子力発電所事故により大気中に放出された放射性Csの多くは森林に沈着し、現在も残留している。本研究では森林から河川への放射性Csの流出挙動を評価するために、北茨城市の森林を集水域とする小河川に放射性Csの連続捕集装置を設置し調査を行った。放射性Csは粒径の異なる懸濁態と溶存態Csに分け、それぞれについて流出挙動を評価した。調査期間は2012年12月から2014年11月である。懸濁物はカートリッジフィルターを用いて捕集し、粒径毎に4種類(2000m以上, 500-2000
m, 75-500
m, 75
m以下)に篩別した。溶存態はCs吸着剤を充填したカラムに通水させ捕集した。フィルター及びカラムの交換は約1ヶ月毎に行い、各試料は乾燥させてGe半導体検出器で
線測定を行った。調査の結果、流量の増加が懸濁態・溶存態
Csの流出量に影響を与えることが明らかになった。粒径別に見ると、懸濁態全体に対する流出量の割合は粒径75
m以下のものが最大だったが、流量が特に多い期間に粒径75-2000
mの比較的大きな粒子が増加した。流出量全体では懸濁態の割合が多いが、冬期は溶存態の割合が増加する傾向が見られた。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 竹内 絵里奈; 都築 克紀; 西村 周作; 松永 武
Journal of Environmental Radioactivity, 147, p.1 - 7, 2015/09
被引用回数:27 パーセンタイル:59.31(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故起源の放射性Csにより汚染を受けた山間地の小河川集水域を対象として、空間線量率分布を詳細に測定した。GPS連動型放射性自動計測システムKURAMA-IIを用いた連続測定及びNaIサーベイメーターを用いた一定間隔毎の測定により、山間地での空間線量率と地形との関係を明らかにした。2013年8-9月に測定した空間線量率は、標高の高い東向きの斜面で高く、谷と西向きの斜面で低い値を示した。また、狭い範囲であっても斜面方位の違いにより空間線量率が大きく異なっており、空間線量率分布が地形と密接に関連していることが明らかとなった。山間部における線量の評価や放射能の蓄積量の推定においては、その空間分布を考慮することが重要であることが示された。
松永 武; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 都築 克紀; 西村 周作; 小嵐 淳; 乙坂 重嘉; 佐藤 努*; 長尾 誠也*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 303(2), p.1291 - 1295, 2015/02
被引用回数:3 パーセンタイル:23.54(Chemistry, Analytical)河川中の懸濁物に含まれる放射性核種を研究する目的で、従来にない簡便な受動型の捕集方法を開発し、実証した。これは複数のカートリッジフィルターを備えた大型ホルダーを用いるものである。河川水は河床勾配を利用して、上流からホースによりフィルタホルダーに自然に導く。この方法により、長期にわたる無人捕集が可能になる。従来法に比較して大きな量(数十グラム以上)を捕集することになるので、通例の放射性核種濃度分析に加えて、懸濁物の特性分析も行うことができる長所を持つ。この手法は、懸濁物に含まれる化学物質の研究にも利用できるであろう。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 西村 周作
Scientific Reports (Internet), 4, p.6853_1 - 6853_7, 2014/10
被引用回数:47 パーセンタイル:75.68(Multidisciplinary Sciences)福島第一原子力発電所事故によって、山地や丘陵地に位置する森林がCsによって汚染された。地形的要因が森林地表面における
Csの動態に及ぼす影響を解明するために、2013年8月に、落葉広葉樹林の急斜面における福島事故起源
Csの分布を調査した。落葉堆積物及びそれに保持される
Csが斜面底部に蓄積していることを見出した。蓄積している
Csの65%が、平均年齢が0.5-1.5年と推定される事故後の新しい落葉や分解のあまり進んでいない落葉に保持されていた。さらに、2011年5月(事故から2か月後)に展葉した葉の
Cs濃度が高いこと、その濃度は時間とともに低下したが、2014年においてもなお事故前の濃度レベルより2桁高いことを観測した。これらの結果から、森林斜面における底部への
Cs再分配は生物が関与したプロセスによって強く制御されており、落葉樹のリターフォールにより今後も継続することを初めて示した。
西村 周作; 平舘 俊太郎*; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
表層土壌(深さ020cm)中における植物炭化物の分布、炭素および窒素同位体組成ならびにその化学構造について明らかにする。今回、日本に分布している黒ボク土および褐色森林土の計12試料を供試し、これらの土壌から植物炭化物を分離した。土壌および植物炭化物の炭素含量、窒素含量、安定同位体炭素および窒素を測定した。また、この植物炭化物の化学構造を固体
C核磁気共鳴(固体
C NMR)法を用いて分析した。土壌の炭素含量(33
132g kg
土壌)に占める植物炭化物の炭素含量(2.4
40.0g kg
土壌)の割合は、4.5
27.6%範囲に分布し、本研究で分離した植物炭化物は、土壌炭素の重要な構成要素の一つとして看過しえないことが明らかになった。植物炭化物の
C NMRスペクトルは、すべての試料において、芳香族態炭素のみならず、脂肪族態炭素の割合が高いことを示した。この結果から、これまでは植物炭化物と考えられていたものの中にも、炭化物とは考えられない脂肪族化合物が相当量含まれていることが示唆された。
竹内 絵里奈; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; 西村 周作; 武藤 琴美; 都築 克紀; 中西 貴宏; 松永 武
no journal, ,
森林から河川を通じた有機炭素の流出過程を解明することは、森林集水域内の炭素循環における炭素消失を理解する上で重要である。本研究では、北茨城市の森林集水域内の渓流水を対象として、溶存態有機炭素(DOC)濃度の連続測定を行うとともに、懸濁物質を捕集して粒子状有機炭素(POC)の量及び同位体測定を行い、2013年から2014年にかけてその流出特性を評価した。POCは、2つの孔径のカートリッジフィルターに通水させて捕集し、粒径毎に篩分けを行い、炭素量及び炭素:窒素同位体比の測定を行った。DOC濃度は、フィルターを通過した渓流水の紫外線吸光度を連続的に測定した。DOC濃度は、降水イベントとそれに伴う河川流量の増加に応じて上昇したが、その濃度変化は降水量や先行降雨の状況により大きく異なった。台風シーズン等の高流量期には、DOC濃度の増加が頭打ちになり、一方で小さな降雨イベントではDOC濃度が急激に上昇した。これらの結果は、降水の河川への流入経路の違いを反映していると示唆された。
竹内 絵里奈; 安藤 麻里子; 西村 周作; 中西 貴宏; 都築 克紀; 小嵐 淳; 松永 武
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性Csは、現在でも森林に多く沈着しており、降雨などによる河川への流出が懸念されている。本研究では、降雨や季節変動と放射性Csの流出挙動の相関を調べるために、放射性Csを連続的に捕集する装置を設置し、森林から河川への放射性Csの流出量を溶存態と粒径の異なる懸濁態に分けて評価した。観測は北茨城市の小河川を対象とし、2012年11月から2013年12月にかけて行った。カートリッジフィルターに河川水を通水させて懸濁物を捕集し、4つのサイズ(F1: 2000m以上、F2: 500-2000
m、F3: 75-500
m、F4: 75
m以下)に篩別した。溶存態CsはCs吸着剤を充填した2本の塩ビ製カラムに通水させて捕集した。カートリッジフィルター及びカラムは、1ヵ月毎に交換し各試料はGe半導体検出器で
線測定を行った。その結果、夏季(5
10月)は降雨量が多く土砂が増えることから懸濁態Csの流出割合が多く、冬季(12
4月)になると溶存態Csの流出割合が増加する傾向が見られた。懸濁態の粒径別では、ほとんどが75
m以下のサイズで流出していることを示した。