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大沼 敏治*; 宮下 敦巳; 吉川 正人; 土田 秀一*; 岩沢 美佐子*
平成21年度先端研究施設共用促進事業「地球シミュレータ産業戦略利用プログラム」利用成果報告書, p.21 - 27, 2010/07
ワイドギャップ半導体である炭化珪素(SiC)は従来のシリコン(Si)半導体に比べて飛躍的な性能向上を実現するパワー半導体デバイスの材料として期待されている。また、SiC半導体デバイスは低損失の省エネデバイスとして開発が進められているとともに、Si半導体デバイスと同様に熱酸化により酸化絶縁膜を作製できるため、次世代のMOS型パワーデバイスとして有望である。しかし、従来のSiC MOS型パワーデバイスは、界面トラップの存在等によりチャネル移動度が理論的な予想値より遥かに小さく、優れた特性を発揮できていなかった。これらの特性を改善するためには、原子レベルで界面の構造と熱酸化の機構を明らかにすることが重要となる。SiCの熱酸化過程のシミュレーションにおいては、化学反応を伴うことと、界面においてさまざまな結合があることから、経験的なパラメータを一切用いない第一原理法が強力なツールとなるが、計算量が膨大なためこれまで行われてこなかった。地球シミュレータによる大規模な第一原理分子動力学計算によりSiCの熱酸化過程・アニーリング及び界面準位のシミュレーションが可能になったのでここに報告する。
大沼 敏治*; 宮下 敦巳; 岩沢 美佐子*; 吉川 正人; 土田 秀一*
Materials Science Forum, 556-557, p.615 - 620, 2007/00
平面波近似とスーパーセルモデルを用い、SiO/4H-SiC(0001)酸化過程の第一原理分子動力学計算による動的シミュレーションを行った。反応の初期構造の生成には加熱・急冷法を用いた。この初期構造は界面ダングリングボンドのないSiO
/SiC構造である。酸化反応の引き金とするために、界面付近のSiC層に炭素空孔を導入した。酸化反応シミュレーションは界面付近の空隙に酸素分子を一つずつ置いて行くことによって行った。酸化反応シミュレーションは2500Kの下で行った。酸素分子は解離しSiO
中のSi原子と結合を組み、また、界面付近にいるSiC層中のSi原子も酸化されSiO
層を形成した。界面欠陥の候補の一つと考えられている炭素クラスタ構造が界面に形成され、さらに、酸素分子は炭素クラスターと反応しCO分子を形成した。
宮下 敦巳; 大沼 敏治*; 岩沢 美佐子*; 土田 秀一*; 吉川 正人
Materials Science Forum, 556-557, p.521 - 524, 2007/00
SiCデバイスは宇宙や原子炉等の極限環境下で動作する素子として期待されている。しかしながら現状のSiCデバイスは理論的に予想されている性能を発揮しているとは言いがたい。その理由はSiCとその酸化膜であるSiOとの界面に存在する欠陥が素子の性能を低下させているからだと考えられる。実デバイスにある界面欠陥構造を計算機シミュレーションで再現しようとするなら、現実の界面にあるようなアモルファスSiO
/SiCの構造を計算機上に再現することが非常に重要となってくる。われわれは444原子からなる結晶/結晶界面構造を計算機上に構築し、それに対して加熱・急冷計算を行うことでアモルファスSiO
/SiC構造を生成した。加熱温度,加熱時間,急冷速度はそれぞれ4000K, 3ps, -1000K/psである。得られた界面構造のSiO
領域はバルクのアモルファスSiO
構造とよく適合し、界面におけるダングリングボンド欠陥も消滅していることが確かめられた。
木下 幹康*; Geng, H. Y.*; Chen, Y.*; 金田 保則*; 岩沢 美佐子*; 大沼 敏治*; 園田 健*; 安永 和史*; 松村 晶*; 安田 和弘*; et al.
Proceedings of 2006 International Meeting on LWR Fuel Performance (TopFuel 2006) (CD-ROM), p.248 - 254, 2006/10
ニュー・クロスオーバー・プロジェクト(NXO)は、核燃料物質に対する核分裂放射線照射の影響を大学,国立・私立の研究所に渡る横断的な協力研究により検討している。加速器照射実験及び計算科学的手法を使用して、高燃焼度軽水炉燃料ペレットでリム構造を構成する機構を解明するためのシミュレーション研究が実施されている。加速器照射,高エネルギー電子線照射,核分裂エネルギー粒子線及び希ガス原子のイオン注入等が実施されている。照射試料としては、CeOを核燃料の模擬物質として使用した。最初の成果として、高エネルギー電子照射による平面構造形成、及び、高線量の高エネルギー粒子放射による結晶粒微細化に似た表面改質が観察された。第一原理及び分子動力学(MD)計算を用いた解析を実施し、UO
とCeO
の点欠陥形成エネルギー及び点欠陥を伴ったXe原子の相互作用についての情報が得られた。
宮下 敦巳; 吉川 正人; 叶野 琢磨; 大沼 敏治*; 酒井 高行*; 岩沢 美佐子*; 曽根田 直樹*
Annual Report of the Earth Simulator Center April 2004 - March 2005, p.287 - 291, 2005/12
Siに比べ優れた物理特性を持つSiCを用いた半導体デバイスは、従来のSiやGaAs半導体デバイスでは動作が困難な、原子炉や宇宙環境等、極限環境下で用いられる素子として期待されている。半導体素子界面では原子レベルの欠陥の荷電状態が電気特性を支配しているため、この界面構造を計算機上で模擬し、界面欠陥構造がどのようにデバイス特性に影響するのか導出するため、地球シミュレータを用いた第一原理分子動力学計算で界面構造を構築し電子構造を決定する。400原子程度の中規模モデルを用いてアモルファス
界面構造生成を行った。加熱温度は4000K、加熱時間は3ps、急冷速度は-1000K/ps、界面でのSiC可動層は4層とし、2200Kで
側終端固定層を開放し自由端とすることによって、
層でのアモルファス化を促進させた。生成された界面はダングリングボンドが消滅しており、清浄界面に近い状態が再現されたが、バンドギャップ中には欠陥準位が存在するのが観察された。欠陥準位は界面に存在する酸素から生じており、結合に寄与できない局在した電子分布が準位の原因となっていることがわかった。
宮下 敦巳; 大沼 敏治*; 岩沢 美佐子*; 土田 秀一*; 吉川 正人
no journal, ,
SiC半導体デバイスは耐放射線に優れ高電圧・高温での動作が可能なことから、極限環境下で用いられる素子として期待されている。しかし、現状ではSiCデバイスの特性を左右する酸化膜界面には界面欠陥が多く存在しており、理論的に予測されるデバイス特性が実現されているとは言いがたい。本研究では、第一原理分子動力学法を用いて実デバイスの酸化膜界面を模擬できるアモルファスSiO/SiC界面欠陥構造を計算機上に生成し電子構造を算出することで、実験的手法では推定することが難しい、界面欠陥の物理構造と電気特性との関連性を明らかにする。一千原子規模の結晶SiO
/結晶SiC界面原子構造モデルに対して加熱・急冷計算を実行することで、アモルファスSiO
/SiC界面構造の生成に成功した。SiO
層の動径分布関数(RDF)を解析したところ、長周期構造を反映した微細構造は認められなかった。また部分RDFを評価したところ、Si-O結合距離は0.165nm,Si-O-Si結合角は135
,O-Si-O結合角は109
となり、良好なアモルファスSiO
/SiC界面構造が生成されていることが確かめられた。
宮下 敦巳; 大沼 敏治*; 岩沢 美佐子*; 土田 秀一*; 吉川 正人
no journal, ,
Siに比べ優れた物理特性を持つSiCを用いた半導体デバイスは、従来の半導体デバイスでは動作が困難な極限環境下で用いられる素子として期待されている。しかしSiCと酸化膜の界面には、SiCデバイスのチャネル移動度低下の原因となる界面欠陥が多く存在しており、その欠陥構造と素子特性との関連性を追求することは非常に重要である。本研究では実際のデバイスでの酸化膜界面を模擬するため、アモルファスSiO/SiC界面を計算機上に構築し、内在する欠陥構造の電子状態を算出することで、それが界面電気特性に与える影響を追求している。アモルファスSiO
/SiC界面構造の生成は、第一原理分子動力学計算コードを用いた加熱・急冷計算法にて行った。1017原子界面構造モデルに対して、4000K
3psの固定終端加熱,終端解放後,3500K
2psの継続加熱,-2000K/psで室温までの急冷を行った。生成したSiO
層の動径分布関数を評価したところ、Si-O結合距離は0.165nm,Si-O-Si結合角は135
,O-Si-O結合角は109
と得られ、かつ、局所密度分布からも良好なアモルファス特性を示していることが確かめられた。
宮下 敦巳; 大沼 敏治*; 岩沢 美佐子*; 土田 秀一*; 吉川 正人
no journal, ,
第一原理分子動力学計算コードを用いた加熱・急冷計算によってアモルファス界面構造を構築し、電子状態が界面電気特性に与える影響を理論的側面から追求した。1017原子界面構造モデルに対して、冷却速度を従来用いていた-2000K/psから、-1000K/ps, -500K/psと変化させた所、室温冷却後の全エネルギーは-2000K/psの時を基準にして、それぞれ-7.2eV, -13.9eV低くなり安定化した。また、SiO
層中でのSi-O-Si結合角も、135
から、それぞれ137
, 140
と広くなり、よりシリカガラスでのSi-O-Siの結合角(145
10)
に近くなった。これらの結果から、冷却速度が遅い方が安定で実デバイスに近い界面構造を得られることがわかった。
Geng, H. Y.*; Chen, Y.*; 岩沢 美佐子*; 大沼 敏治*; 木下 幹康
no journal, ,
The stability and energetics of oxygen defect clusters in UO+x are studied by first-principles method. The results show that the well known Willis-type cluster is actually unstable and the most possible clustering mode is in cub-octahedral geometry, whose competition with point defects determines the materials' low energy behavior.
Chen, Y.*; 金田 保則*; Geng, H. Y.*; Shang, J. C.*; 岩沢 美佐子*; 大沼 敏治*; 園田 健*; 一宮 尚志*; 鈴土 知明; 板倉 充洋; et al.
no journal, ,
新クロスオーバー研究の研究成果について、計算科学によるシミュレーション研究(第一原理電子論,分子動力学,統計力学・熱力学,メゾスコピック)の成果並びに、加速器によるシミュレーション実験の成果内容も含めてその概要を示す。また、今後の発展の方向と課題について述べる。
金田 保則*; Geng, H. Y.*; Chen, Y.*; 岩沢 美佐子*; 大沼 敏治*; 木下 幹康
no journal, ,
高燃焼度状態でのUOに見られる細粒化現象には、核分裂照射による転位の生成・運動・Xe原子の存在などさまざまな要因が絡んでいると考えられている。また、実験的参照物質としてのCeO
に対する模擬照射実験では、格子間酸素原子集合体なども観測されている。今回は、この格子間酸素原子クラスター核nIoの熱的安定性に対する計算・解析を行い、CeO
/UO
において、そのイオン結合性とバルクの構造を再現する原子間ポテンシャルを用いることにより、(111)面上格子間酸素クラスター核が、2000K程度の高温でも比較的安定に存在しうることを計算により示す。
宮下 敦巳; 大沼 敏治*; 岩沢 美佐子*; 土田 秀一*; 吉川 正人
no journal, ,
SiCを用いた半導体デバイスは、従来のSiやGaAsでは動作が困難な環境下でも使用可能なデバイスとして期待されているが、SiC MOS-FETでは、SiCと酸化膜の界面にデバイス特性を劣化させる界面欠陥が多く存在しているため、その欠陥構造とデバイス特性との関連性を追求することが重要な課題となっている。本研究では実際の界面を模擬した原子構造モデルを計算機上に生成し、その電子状態が界面電気特性に与える影響を理論的側面から追求している。4H-SiC(0001)上に水晶を接続した界面原子構造モデルに対して加熱・急冷計算を行い、アモルファスSiO
/SiC界面原子構造を生成した。なお、加熱・急冷計算には第一原理分子動力学計算コードであるVASPを用いた。生成された界面構造モデルでは、従来モデルにおいて想定されていた、Si原子が界面にある2つないしは3つのSi-O結合をまとめる界面接続モデル以外にも、Si原子が一つのSi-O結合にのみ接続する構造ができていた。加えて従来モデルでは想定されていなかった、Siダングリングボンド,Si-Si結合,5配位Si等の欠陥構造が観察された。
大沼 敏治*; 宮下 敦巳; 岩沢 美佐子*; 吉川 正人; 土田 秀一*
no journal, ,
ワイドギャップ半導体であるSiCはSi同様熱酸化により絶縁膜を作製できるため、次世代のMOS型パワーデバイスとして有望である。しかしSiC/SiO界面においては、Si/SiO
界面に比べて界面トラップ密度が高いことや、MOSデバイスのチャンネル移動度が低いことが知られている。このような性能劣化の原因となる欠陥構造の形成過程の解明のためには、SiC/SiO
界面の熱酸化過程のメカニズムを明らかにすることが重要であることから、われわれは第一原理分子動力学シミュレーションを用いた界面酸化模擬計算を進めている。界面へ酸素分子を導入して計算を行ったところ、一番目の酸素分子は界面中のSi原子と結合解離し、反応の活性化エネルギーは1.8eVとSiの熱酸化における値とほぼ同じ大きさであった。二番目の酸素分子は界面Si原子と結合・解離し、反応の活性化エネルギーは3.6eVであった。界面Si原子との酸化反応の活性化エネルギーが大きいことから、直接界面Si原子を酸化するよりはSiO
層中のSi原子と反応しやすいことがわかる。三番目の酸素分子の解離反応の活性化エネルギーはほぼ0eVであり、酸化が進みダングリングボンドが多数存在すると解離反応が容易に起きることがわかった。
中村 仁一; 金田 保則*; Chen, Y.*; Geng, H.*; 岩沢 美佐子*; 大沼 敏治*; 木下 幹康
no journal, ,
照射環境下で核燃料内に発生するさまざまな欠陥構造の理論的解明には、分子動力学法を用いた解析が有効である。特に面状欠陥の発生に着目し、この計算による再現を目標とした、UO並びに模擬物質としてのCeO
の原子間ポテンシャルの開発・特性解析の現状について述べる。
中村 仁一; Chen, Y.*; 岩沢 美佐子*; 大沼 敏治*; 金田 保則*; Geng, H.*; 木下 幹康
no journal, ,
核燃料であるUOと加速器実験の模擬材料としてのCeO
の物性・構造変化を理解、比較するため、核分裂生成物であるXe原子を含む種々の欠陥系の第一原理計算を行う、二つの系において電子構造,点欠陥生成エネルギーと格子緩和効果を求めた。さらに、有限温度で各種点欠陥濃度を計算し、両系における欠陥生成特性と相違性を調べた。
中村 仁一; Geng, H.*; Chen, Y.*; 金田 保則*; 岩沢 美佐子*; 大沼 敏治*; 木下 幹康
no journal, ,
The stability and energetics of Oxygen defect configrations in UO are studied by first principles method. The results show that, a little unexpected, the planar distribution favourable of oxygen interstitials and the possibility to form O-O dimer in UO
宮下 敦巳; 大沼 敏治*; 岩沢 美佐子*; 土田 秀一*; 吉川 正人
no journal, ,
第一原理分子動力学計算コードであるVASPコードを用いた加熱・急冷計算法による計算機シミュレーションによりアモルファスSiO/SiC界面構造の生成を行った。444原子界面構造モデルに対して、4000K, 3psで加熱融解、-1000K/psで室温までの急冷を行った。生成したSiO
層の動径分布関数を評価したところ、全原子によるRDFでは長周期構造を反映した微細構造は認められず良好なアモルファス状態となっていた。部分RDFを評価したところ、Si-O結合距離は0.165nmであった。SiとSiの近接距離は約0.23nmに小さなピーク,0.315nmに大きなピークが認められる。0.23nmはSi-Si結合によるものでSiO
中にSi-Si欠陥構造が存在することがわかる。0.315nmはSi-O-Si結合でのSi間距離に相当しSi-O-Si結合角は145
である。また、OとOの近接距離は0.266nmにピークを持ちO-Si-O結合角に換算すると107
となった。これらの値はアモルファスSiO
の条件に適合し、加熱・急冷計算によって良好なアモルファスSiO
/SiC界面構造が生成されていることが確かめられた。
木下 幹康; 安永 和史*; 園田 健*; 岩瀬 彰宏*; 石川 法人; 左高 正雄; 安田 和弘*; 松村 晶*; Geng, H. Y.*; 一宮 尚志*; et al.
no journal, ,
新クロスオーバ研究で得られた成果概要を示す。高燃焼度燃料におけるセラミックス燃料の細粒化現象についてそのメカニズム解明とシミュレーション手法の開発をすすめている。主要な強調点は以下の2点である。(1)酸化ウランの模擬資料であるセリア(CeO)を用いて、イオンインプランターによる燃焼度の模擬、タンデム加速器による核分裂照射の模擬、の2つを組合せることによって細粒化の基礎過程である亜結晶の生成を実現した。(2)実燃料で観察される、上記細粒化の発生直前の事象である、酸素の再配置現象について、計算科学において検討をすすめた。過剰な酸素が存在する場合について(過化学量論組成について)第一原理計算では形成エネルギーの計算により秩序配列を再現することができた。加速分子動力学法では、過剰な酸素原子がクラスターをつくり、常温を含む低温でも高速に拡散運動することを初めて発見した。
宮下 敦巳; 大沼 敏治*; 岩沢 美佐子*; 土田 秀一*; 吉川 正人
no journal, ,
Siに比べ優れた物理特性を持つSiCを用いた半導体デバイスは、従来のSiやGaAs半導体デバイスでは動作が困難な極限環境下で用いられる素子として期待されているが、SiCと酸化膜の界面にはSiCデバイス特性を劣化させる界面欠陥が多く存在しており、その欠陥構造とデバイス特性との関連性を追求することは非常に重要である。本研究では実際の界面を模擬した原子構造モデルを計算機上に生成し、電子状態が界面電気特性に与える影響を理論的側面から追求している。表面固定の1017原子界面構造モデルに対して、4000K3psでの加熱,固定解放後3500K
2psでの継続加熱,-2000K/psの速度で室温までの急冷を行った結果、生成されたモデルはSi-O結合距離が0.165nm, O-Si-O結合角が109
, Si-O-Si結合角が135
となり、SiO
層が良好なアモルファス構造になったことが確かめられた。室温冷却後の界面構造では、従来モデルで想定されていた、Si原子が界面にある2つないしは3つのSi-O結合をまとめる構造以外にも、Si原子が一つのSi-O結合にのみ接続する構造,Si-Si結合を含む構造,界面Siのダングリングボンドが認められた。
宮下 敦巳; 大沼 敏治*; 岩沢 美佐子*; 土田 秀一*; 吉川 正人
no journal, ,
Siに比べ優れた物理特性を持つSiCを用いた半導体デバイスは、従来のSiやGaAs半導体デバイスでは動作が困難な極限環境下で用いられる素子として期待されているが、SiCと酸化膜の界面にはSiCデバイス特性を劣化させる界面欠陥が多く存在しており、その欠陥構造とデバイス特性との関連性を追求することは非常に重要である。本研究では実際の界面を模擬した原子構造モデルを計算機上に生成し、電子状態が界面電気特性に与える影響を理論的側面から追求している。1017原子界面構造モデルに対して4000Kでの加熱及び-2000K/psの速度で室温までの急冷を行った結果、生成された界面構造モデルでは、従来の計算機モデルにおいて想定されていたような、Si原子が界面にある2つないしは3つのSi-O結合をまとめる構造以外にも、Si原子が一つのSi-O結合にのみ接続する構造ができていた。加えて従来モデルでは想定されていなかった、Siダングリングボンド,Si-Si結合,5配位Si等の欠陥構造が観察された。このような構造が界面に存在することで、界面でのO濃度の異常な上昇を抑えていると考えられる。