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大塚 孝治; 阿部 喬*; 吉田 亨*; 角田 佑介*; 清水 則孝*; 板垣 直之*; 宇都野 穣; Vary, J. P.*; Maris, P.*; 上野 秀樹*
Nature Communications (Internet), 13, p.2234_1 - 2234_10, 2022/04
被引用回数:1 パーセンタイル:63.35(Multidisciplinary Sciences)多くの原子核では核子の独立粒子模型がよい近似であり、それが原子核構造の出発点となっているが、一部の軽い原子核では陽子2個と中性子2個からなるアルファ粒子が局在しているアルファクラスターを構成要素としてもよいと考えられている。しかしながら、アルファクラスターそのものを観測することは困難であり、それがどの程度よい近似なのかは軽い核を理解する上で重要である。本研究では、核力から出発した第一原理モンテカルロ殻模型計算により、ベリリウム同位体および炭素12の多体波動関数を得た。物体固定系での密度分布の計算結果から、ベリリウム同位体では2個のアルファクラスターが局在していることを示した。また、炭素12では基底状態は比較的液滴模型に近く、ホイル状態として知られる第一励起状態はアルファクラスターと液滴状態が混合したクロスオーバーとしてとらえられることがわかった。これらの解析に、デンドログラムという統計的学習手法が有効であることもわかった。
阿部 喬*; Maris, P.*; 大塚 孝治*; 清水 則孝*; 宇都野 穣; Vary, J. P.*
Physical Review C, 104(5), p.054315_1 - 054315_22, 2021/11
被引用回数:6 パーセンタイル:86.19(Physics, Nuclear)近年、大規模数値計算の進化に伴い、核力のみを出発点として原子核の性質を得ることを目的とした第一原理核構造計算が盛んに行われているが、未だに酸素16を超える核子多体問題を近似なしに解くのは困難である。本論文では、広い配位空間を採用した無芯殻模型によって第一原理計算を行う手法として、モンテカルロ殻模型による近似解をもとに、配位空間の大きさを無限大に外挿する手法を提案し、その有効性をHe,
Be,
C,
O,
Neの5核種について調べた。特に、Daejeon16相互作用という短距離相関の弱い核力を使えば、
Neでも、外挿にともなう束縛エネルギーの不定性をかなり小さくすることが可能となった。
Juhsz, M. M.*; Elekes, Z.*; Sohler, D.*; 宇都野 穣; 吉田 数貴; 大塚 孝治*; 緒方 一介*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; 馬場 秀忠*; et al.
Physics Letters B, 814, p.136108_1 - 136108_8, 2021/03
被引用回数:2 パーセンタイル:32.08(Astronomy & Astrophysics)(,
)反応と
線分光を用いて
Arの束縛状態と非束縛状態の核構造研究を行った。実験結果と殻模型計算を比較することで、2つの束縛状態と6つの非束縛状態を決定した。
Arの束縛状態を生成する反応断面積が小さいことから、これは中性子数32, 34の顕著なsub-shell closureが存在している確かな証拠と解釈できる。
清水 則孝*; 角田 佑介*; 宇都野 穣; 大塚 孝治*
Physical Review C, 103(1), p.014312_1 - 014312_11, 2021/01
被引用回数:8 パーセンタイル:91.35(Physics, Nuclear)配位混合殻模型は、核子間相関をよく取り込むことができるため、原子核構造を記述する有力な模型の一つである。核子数の多い原子核を殻模型で計算するには、極めて大きな次元数をもつハミルトニアン行列の対角化が必要なため、現実的には不可能である。このような系に対しては、変形したスレーター行列式の重ね合わせによる変分法に基づいた、モンテカルロ殻模型と呼ばれる手法が用いられてきたが、質量数が大きな原子核では精度に課題があった。この論文では、基底をスレーター行列式から準粒子真空に置き換える、新しい手法を提案した。それにより、中重核の二重ベータ行列要素に対し、より信頼できる値を得ることが可能となった。
角田 直文*; 大塚 孝治; 高柳 和雄*; 清水 則孝*; 鈴木 俊夫*; 宇都野 穣; 吉田 聡太*; 上野 秀樹*
Nature, 587, p.66 - 71, 2020/11
被引用回数:26 パーセンタイル:92.19(Multidisciplinary Sciences)与えられた陽子数に対し、どれだけの中性子数の原子核が存在可能であるかという問いは、原子核物理における最も基本的な問題の一つである。原子核は独立粒子描像がよく成り立つため、従来は陽子数で決まるポテンシャルが作る束縛状態の個数で決まると考えられてきた。この研究では、最近実験で確定した、フッ素からナトリウムに対する中性子ドリップ線(最も中性子数の多い同位体)を、核力から出発した第一原理的な大規模殻模型計算によって再現し、そのメカニズムを理論的に解析した。ハミルトニアンを単極相互作用と多重極相互作用に分解し、さらに多重極相互作用を対相互作用と残りの部分に分け、基底状態におけるそれぞれの項の寄与を調べた。その結果、多重極相互作用の変形エネルギーに相当する部分が中性子ドリップ線を決めるのに非常に重要な役割を果たしていることがわかった。すなわち、中性子数が増えていくと徐々に変形エネルギーが増大するものの、ある中性子数でそれが飽和し、その後は減少していくが、その減少過程で中性子ドリップ線が決まるというシナリオである。本研究は、ドリップ線に対する新しい見方を与え、天体中の元素合成過程の理解に重要な貢献をすることが期待される。
Bello Garrote, F. L.*; Sahin, E.*; 角田 佑介*; 大塚 孝治*; Grgen, A.*; Orlandi, R.; 他61名*
Physical Review C, 102(3), p.034314_1 - 034314_13, 2020/09
被引用回数:1 パーセンタイル:18.5(Physics, Nuclear)Detailed spectroscopy of neutron-rich odd- Cu isotopes is of great importance for studying the shell evolution in the region of
Ni. Excited states in
Cu were populated in the
decay of
Ni isotopes, which were produced by the in-flight fission at RIBF, RIKEN. The
Ni isotopes were separated, identified, and implanted in a highly segmented Si detector array for the detection of the
-decay electrons, while the delayed
rays were detected by an array of HPGe cluster detectors. A level scheme of
Cu was built up to
4 MeV, from which the location of the two previously known low-lying isomeric states was clarified. The level structure below 2 MeV was interpreted based on the results of the shell-model calculations and the systematics of odd-
Cu isotopes, revealing the evolution of single-particle states in this region.
Sun, Y. L.*; Obertelli, A.*; Doornenbal, P.*; Barbieri, C.*; 茶園 亮樹*; Duguet, T.*; Liu, H. N.*; Navrtil, P.*; Nowacki, F.*; 緒方 一介*; et al.
Physics Letters B, 802, p.135215_1 - 135215_7, 2020/03
被引用回数:19 パーセンタイル:94.9(Astronomy & Astrophysics)カリウムは陽子数が19であるため、その,
状態はそれぞれ陽子の
,
軌道の空孔状態によって支配されている。その中性子数を
から増やすとこの2つの準位のエネルギー差
は大きく変化することが知られており、中性子過剰核における殻進化と呼ばれる現象のプロトタイプとなっている。これまで
は
まで知られていたが、この研究では、理化学研究所RIビームファクトリーにて、カルシウム同位体からの陽子ノックアウト反応によって
Kの励起状態を生成し、そこからの脱励起ガンマ線を測定することによって、
における
を測定することに成功した。歪曲波インパルス近似計算と実験で得られた断面積の比較から、
,
状態は空孔状態によって支配されていることを確かめた。
の値は
で最小となり、そこから中性子数を増やすとともに増大することがわかった。これは、中心力とテンソル力による殻進化描像にしたがった振る舞いである。
大塚 孝治*; Gade, A.*; Sorlin, O.*; 鈴木 俊夫*; 宇都野 穣
Reviews of Modern Physics, 92(1), p.015002_1 - 015002_52, 2020/03
被引用回数:125 パーセンタイル:96.45(Physics, Multidisciplinary)魔法数によって特徴づけられる原子核の殻構造は、長らく陽子数, 中性子数によらずほぼ不変であると考えられてきたが、近年、不安定核ビーム実験の著しい進展により、極めて中性子過剰核では安定核では見られなかった魔法数が出現するなど、殻構造が陽子数, 中性子数に応じて動的に変化することが明らかになった。本レビュー論文は、不安定核の殻構造研究に業績のある理論, 実験研究者によって、その理論的な基礎と最近の実験の進展をまとめたものである。殻構造の変化の源となるモノポール相互作用の定義など、従来の文献でははっきりと書かれてこなかった事項も含め、詳しく説明した。
Chen, S.*; Lee, J.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Barbieri, C.*; 茶園 亮樹*; Navrtil, P.*; 緒方 一介*; 大塚 孝治*; Raimondi, F.*; et al.
Physical Review Letters, 123(14), p.142501_1 - 142501_7, 2019/10
被引用回数:37 パーセンタイル:92.75(Physics, Multidisciplinary)Caでは中性子魔法数34が現れると考えられているが、その直接的な実験的証拠を得るため、
Caからの中性子ノックアウト反応
Ca(
)
Caによって生成される状態を理化学研究所のRI Beam Factoryによって調べた。基底状態および2.2MeVの励起状態が強く生成され、1.7MeVの励起状態の生成量は小さかった。
Caの運動量分布から、基底状態および2.2MeVの励起状態は
軌道の中性子を叩き出して得られた状態であることが明らかになった。DWIA計算によって得られた分光学的因子から、
Caは
軌道がほぼ完全に占有された閉殻構造を持つことが明らかになり、中性子魔法数34の出現が確実なものとなった。
Abromeit, B.*; Tripathi, V.*; Crawford, H. L.*; Liddick, S. N.*; 吉田 聡太*; 宇都野 穣; Bender, P. C.*; Crider, B. P.*; Dungan, R.*; Fallon, P.*; et al.
Physical Review C, 100(1), p.014323_1 - 014323_14, 2019/07
被引用回数:1 パーセンタイル:15.54(Physics, Nuclear)中性子過剰核Al,
Siとその娘核からのベータ崩壊をミシガン州立大学の国立超伝導サイクロトロン研究所において調べた。ベータ崩壊で得られた準位構造を大規模殻模型計算と比較し、実験と理論の良い一致が得られることがわかった。さらに、脱励起ガンマ線の強度から、それぞれの準位にベータ遷移する強度を表す
値を引き出した。これら奇核のベータ崩壊で得られた低励起状態への
値は偶偶核からのものよりも強くフラグメントしていることがわかった。これは、大規模殻模型計算で予言されたガモフテラー遷移強度の分布に対する一般的傾向に合致した結果である。
Murray, I.*; MacCormick, M.*; Bazin, D.*; Doornenbal, P.*; 青井 考*; 馬場 秀忠*; Crawford, H. L.*; Fallon, P.*; Li, K.*; Lee, J.*; et al.
Physical Review C, 99(1), p.011302_1 - 011302_7, 2019/01
被引用回数:14 パーセンタイル:86.81(Physics, Nuclear)理化学研究所のRI Beam Factory(RIBF)にて中性子過剰核Neの低励起状態を1陽子あるいは2陽子ノックアウト反応によって生成し、そこからの脱励起ガンマ線の測定によって、エネルギー準位を構築した。1410(15)keVのガンマ線を初めて測定し、反応断面積の系統性などから
から
への遷移に対応すると提案した。既に知られている
準位を用いて、
と
の励起エネルギー比2.99(6)が得られた。この値は、回転スペクトルの値に近く、
Neは強く変形していることがわかった。この実験結果は、大規模殻模型計算の結果とよく一致した。
Xu, Z. Y.*; Heylen, H.*; 旭 耕一郎*; Boulay, F.*; Daugas, J. M.*; de Groote, R. P.*; Gins, W.*; Kamalou, O.*; Koszors,
.*; Lykiardopoupou, M.*; et al.
Physics Letters B, 782, p.619 - 626, 2018/07
被引用回数:6 パーセンタイル:53.84(Astronomy & Astrophysics)GANIL研究所において、Sからのフラグメンテーション反応によって中性子過剰核
Alにおける核異性体である
状態を生成し、その磁気双極子モーメントと電気的四重極モーメント(Qモーメント)をそれぞれ
-NMR法および
-NQR法を用いて測定した。この状態は中性子数20の殻ギャップを越えて励起したものであり、その性質を実験的に押さえることは、この原子核の周辺で知られている逆転の島(基底状態で既に殻ギャップを越えた励起が起こるとされる原子核の一団)の発現のメカニズムを解明するための有益な情報を与える。測定されたg因子の絶対値は
、Qモーメントの絶対値は38(5)mbとなった。これらの値は、大規模殻模型計算による予言値に近く、模型の高い記述能力を確かめることができた。
吉田 聡太*; 宇都野 穣; 清水 則孝*; 大塚 孝治*
Physical Review C, 97(5), p.054321_1 - 054321_17, 2018/05
被引用回数:24 パーセンタイル:90.22(Physics, Nuclear)陽子数が13から18まで、中性子数が22から34までの78核種のベータ崩壊半減期及び遅発中性子放出確率を大規模殻模型計算によって求めた。これらは非常に中性子過剰な原子核であるため、実験データが限られており、また、速い元素合成過程の理解に重要な性質である。そのうち実験データがある47核種の半減期を非常によく再現することを示した。これらのベータ崩壊の性質については、核構造の観点からはガモフテラー遷移強度分布が重要となる。ガモフテラー遷移強度分布を詳しく調べた結果、半減期に対して特に重要な低励起状態への強度分布に核子数の偶奇性が強く現れることがわかった。陽子中性子対相関がその性質を支配していることを計算により示した。
Steppenbeck, D.*; 武内 聡*; 青井 考*; Doornenbal, P.*; 松下 昌史*; Wang, H.*; 馬場 秀忠*; 郷 慎太郎*; Holt, J. D.*; Lee, J.*; et al.
Physical Review C, 96(6), p.064310_1 - 064310_10, 2017/12
被引用回数:15 パーセンタイル:79.8(Physics, Nuclear)理化学研究所のRIBFにて、中性子過剰核Scの励起状態を
Tiからの1陽子ノックアウト反応および
Scの非弾性散乱によって生成し、そこからの脱励起
線を観測することによってエネルギー準位を得た。その結果、第一励起状態が695keVと低く現れることがわかった。
Caで知られているように中性子数34の閉殻構造が成り立っているとすると、第一励起状態は約2MeVと高く現れるはずであり、この結果は
Scでは中性子数34の新魔法数が消滅していることを示している。殻模型計算でもこの結果は得られ、中性子数34の殻ギャップが陽子数に応じて強く変化していることがその原因であることがわかった。
Queiser, M.*; Vogt, A.*; Seidlitz, M.*; Reiter, P.*; 富樫 智章*; 清水 則孝*; 宇都野 穣; 大塚 孝治*; 本間 道雄*; Petkov, P.*; et al.
Physical Review C, 96(4), p.044313_1 - 044313_13, 2017/10
被引用回数:4 パーセンタイル:38.75(Physics, Nuclear)ケルン大学のタンデム加速器にてZnの励起状態を核融合反応および核子移行反応によって生成し、そのいくつかの脱励起
線を放出する寿命を測定した。そこから電磁遷移強度を得た。
殻内の配位が主である負パリティ状態間の遷移に加え、
殻から
殻へ中性子が励起した配位をもつ正パリティ間の
遷移強度を得ることにも成功した。これらの正パリティ状態は、以前はオブレート変形しているとも考えられていたが、実験で得られた
遷移強度を大規模殻模型計算の結果と比較することによって、プロレート変形を持つことが明らかとなった。
清水 則孝*; 阿部 喬*; 本間 道雄*; 大塚 孝治*; 富樫 智章*; 角田 佑介*; 宇都野 穣; 吉田 亨*
Physica Scripta, 92(6), p.063001_1 - 063001_19, 2017/06
被引用回数:24 パーセンタイル:81.96(Physics, Multidisciplinary)モンテカルロ殻模型の手法およびその応用について概説する。モンテカルロ殻模型は、効率的に多体基底を生成することによって、従来の直接対角化では計算不可能だった物理系に対する殻模型計算を目指した手法である。このレビュー論文では、モンテカルロ殻模型のここ10年以内の発展をまとめた。手法面では、エネルギー分散を用いた外挿による厳密解の推定法や共役勾配法の導入による効率的な基底生成など、数値計算面では、より効率的な並列化や計算機の実効性能を高める数値計算アルゴリズムなどについて概説する。最近の応用としては、非常に大きな模型空間が必要な第一原理計算および中性子過剰なニッケル領域とジルコニウム領域の計算結果を紹介する。後者の中性子過剰核領域では、変形共存に興味が集まっているが、モンテカルロ殻模型では、変形の分布を解析するT-plotと呼ぶ新しい手法を開発することによって、これらの原子核の変形を直感的に理解することが可能となった。この手法は、軽い原子核のクラスター状態を調べるのにも有用である。
Doornenbal, P.*; Scheit, H.*; 武内 聡*; 宇都野 穣; 青井 考*; Li, K.*; 松下 昌史*; Steppenbeck, D.*; Wang, H.*; 馬場 秀忠*; et al.
Physical Review C, 95(4), p.041301_1 - 041301_5, 2017/04
被引用回数:28 パーセンタイル:92.05(Physics, Nuclear)中性子数20の魔法数はMg近傍の中性子過剰核領域で消失することが知られており、その一群の原子核は核図表における「反転の島」と呼ばれている。陽子数が10よりも小さな原子核が反転の島に含まれるかどうかを示す実験的証拠はこれまでなかった。この研究では、理化学研究所RIビームファクトリー(理研RIBF)にて生成された中性子過剰核
Fのインビーム
線分光から、
Fの第一励起状態を初めて観測することに成功した。その励起エネルギーは1080(80)keVであり、中性子数20魔法数を仮定した計算による励起エネルギーの値である約3MeVよりも著しく小さいことから、この魔法数が消滅していることが明らかとなった。大規模殻模型計算によって励起エネルギーの実験値を再現することに成功するとともに、
Fの基底状態および第一励起状態は中性子が2個殻ギャップから励起した状態によって支配されることがわかった。この第一励起状態は
Oの第一励起状態に
軌道を占める陽子を結合させた状態が主であり、そのエネルギーが低いことから、
Oは二重閉殻構造をもたないと考えられる。
Tripathi, V.*; Lubna, R. S.*; Abromeit, B.*; Crawford, H. L.*; Liddick, S. N.*; 宇都野 穣; Bender, P. C.*; Crider, B. P.*; Dungan, R.*; Fallon, P.*; et al.
Physical Review C, 95(2), p.024308_1 - 024308_7, 2017/02
被引用回数:7 パーセンタイル:55.55(Physics, Nuclear)ミシガン州立大の超伝導サイクロトロン施設にて中性子過剰核Siから
Pへのベータ崩壊を測定した。親核の基底状態
からガモフテラー遷移で強く遷移する
Pの
状態を下から3本観測することができた。これらの
状態はコア励起を伴う異常パリティ状態であるにも関わらず、励起エネルギーが1-2MeV領域と低く出現することがわかった。これらの
状態の励起エネルギーおよび
値は殻模型計算によってよく再現できた。
状態よりも
状態でガモフテラー遷移強度が大きくなるという実験結果を、これらの原子核の殻構造の観点から理解できることを示した。
岩田 順敬*; 清水 則孝*; 大塚 孝治*; 宇都野 穣; Menndez, J.*; 本間 道雄*; 阿部 喬*
Physical Review Letters, 116(11), p.112502_1 - 112502_6, 2016/03
被引用回数:68 パーセンタイル:94.11(Physics, Multidisciplinary)ニュートリノレス二重ベータ崩壊は、ニュートリノがマヨラナ粒子であることを示す決定的な証拠となるが、未だその観測に成功していない。その核行列要素を理論的に正確に与えられれば、実験に大きな制約を与えることになるが、核構造模型による不定性が大きいというのが現状である。この研究では、最も正確な核行列要素を与えると期待される大規模殻模型計算によって、Caのニュートリノレス二重ベータ崩壊の核行列要素を調べた。
殻から
殻へ励起する配位を取り入れた大規模計算によって、従来の
殻計算に比べ、約30
の核行列要素の増大を得た。核構造の観点からは、この増大は、対相関と核行列要素が密接に関係していることによってもたらされたものである。
清水 則孝*; 宇都野 穣; 二村 保徳*; 櫻井 鉄也*; 水崎 高浩*; 大塚 孝治*
Physics Letters B, 753, p.13 - 17, 2016/02
被引用回数:17 パーセンタイル:78.81(Astronomy & Astrophysics)原子核の準位密度は中性子捕獲反応断面積を支配し、そのため原子力や天体核物理への応用に重要な役割を担っている。この論文では、準位密度を殻模型を用いて現実的かつ精度よく計算する新しい手法を提唱し、その有用性を示した。この手法は、準位密度を複素平面の周回積分に置き換え、その各積分点で現れるオペレータのトレースを確率的に効率良く求めるという発想に基づいている。厳密に固有値分布が得られる系でこの手法の有用性を確かめた後、従来直接的には計算不可能だったNiのパリティ依存準位密度を計算した。その結果、
Niの
と
状態の準位密度が低い励起エネルギーでほぼ等しくなるという、これまでの手法では再現できなかった性質を微視的に得ることに初めて成功した。