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森下 祐樹; Peschet, L.; 山田 勉*; 中曽根 孝政*; 菅野 麻里奈*; 佐々木 美雪; 眞田 幸尚; 鳥居 建男*
Radiation Measurements, 183, p.107414_1 - 107414_6, 2025/04
被引用回数:0原子力施設の廃止措置では、作業員がアルファ線を放出する核種に被ばくするのを防ぐために、配管の汚染を検査することが重要である。ガンマ線と中性子を使用する従来の方法では検出下限値が高いため、少量のアルファ核種の検出には不十分であった。この問題を解決するために、配管内で直接核種を測定するためのコンパクトな検出器を開発した。この検出器は、アルファ粒子用のZnS(Ag)シンチレータとベータ粒子(ガンマ線)用のプラスチックシンチレータで構成され、小型の光電子増倍管に接続された。このシステムは、パルス形状弁別(PSD)によってアルファ線とベータ線を区別する高い精度を実証した。モンテカルロシミュレーションと実験測定により検出器の有効性が確認され、ベータ線とガンマ線に対する感度は無視できるほど小さく、かつ、アルファ粒子に対する検出効率は51.3%であった。この検出器は、福島第一原子力発電所の廃炉作業現場など、ベータ線とガンマ線のバックグラウンドが高い環境におけるアルファ線汚染の直接測定に効果的である。
普天間 章; 眞田 幸尚; 中間 茂雄; 佐々木 美雪; 越智 康太郎; 澤幡 義郎*; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; et al.
JAEA-Technology 2024-022, 170 Pages, 2025/03
2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波が原因で、東京電力福島第一原子力発電所事故が発生し、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後から、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手段として、有人ヘリコプター等を用いた航空機モニタリングが活用されている。日本原子力研究開発機構は、原子力規制庁からの受託事業として、本モニタリング技術を原子力施設等の事故時における緊急時モニタリングに活用し、モニタリング結果を迅速に提供するため、全国の発電所周辺におけるバックグラウンド放射線量や地形的特徴、管制空域等の情報を事前に整備している。令和5年度の受託事業では以下について実施した。九州電力(株)川内原子力発電所の周辺について航空機モニタリングを実施し、バックグラウンド放射線量及び管制区域等の情報を整備した。緊急時における航空機モニタリングの実効性向上に資するため、原子力総合防災訓練において航空機モニタリングを実施するとともに、国内初となる原子力防災訓練での無人機の訓練フライトを実施した。無人航空機による放射線モニタリングの技術開発を進め、緊急時モニタリングに必要とされる要件を満たす無人航空機を選定し、その飛行性能を調査した。本報告書は、これら令和5年度の受託研究において得られた結果及び抽出された技術的課題についてまとめたものであり、今後の緊急時対応技術向上に資する知見を提供する。
普天間 章; 眞田 幸尚; 中間 茂雄; 佐々木 美雪; 越智 康太郎; 長久保 梓; 澤幡 義郎*; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; et al.
JAEA-Technology 2024-021, 232 Pages, 2025/03
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因する東京電力福島第一原子力発電所事故では、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後から、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手段として、航空機を用いた空からの測定方法が採用されている。日本原子力研究開発機構は、原子力規制庁からの受託事業として、有人ヘリコプター及び無人ヘリコプターを使用して、東京電力福島第一原子力発電所周辺の航空機モニタリングを継続的に実施してきた。本報告書では、令和5年度に実施したモニタリング結果について取りまとめ、過去のモニタリング結果との比較から空間線量率等の変化量を評価し、その変化要因について考察した。また、航空機モニタリングによる計数率から空間線量率への換算精度向上のために、地形の起伏を考慮に入れた解析を行った。地形の起伏を考慮する前後の解析結果を比較し、本手法による換算精度向上の効果を評価した。さらに、有人ヘリコプターについては、空気中のラドン子孫核種の弁別手法を測定結果に適用し、ラドン子孫核種が航空機モニタリングに与える影響を評価した。加えて、より効率的に広範囲な航空機モニタリングを展開するため、無人航空機によるモニタリングの技術開発を進めた。
佐々木 美雪; 阿部 裕稀*; 眞田 幸尚; 鳥居 建男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1072, p.170207_1 - 170207_12, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Instruments & Instrumentation)フラクタル構造を採用した全方位放射線イメージング装置「FRIEシステム」を開発した。本論文では、福島第一原子力発電所のような廃止措置環境内での放射能分布を正確に推定するために設計されたFRIEシステムの開発と評価について述べる。FRIEシステムは、16個の四面体形状の放射線センサーで構成されており、それらがシェルピンスキー四面体形状に配置されている。また、センサー間の空間にはタングステンベースの合金が充填され、放射線シールドとして機能している。本研究では、シミュレーションと実際の測定試験を通じて、FRIEシステムの放射能分布推定性能を評価した。その結果、測定密度を少なくとも2point/m、位置誤差を
10cm以内、角度誤差を
10度以内に制限することで、約30度の角度分解能で線源位置を推定可能であることが確認された。FRIEシステムの結晶配置や遮蔽材の改良を行うことで、さらなる性能向上が期待される。本研究は、フラクタルを基盤とした放射線イメージング技術の革新的な実装を示しており、放射線測定に新たな方向性を提供するものである。
佐藤 里奈; 吉村 和也; 眞田 幸尚; 三上 智; 山田 勉*; 中曽根 孝政*; 金井塚 清一*; 佐藤 哲朗*; 森 翼*; 高木 毬衣*
Environment International, 194, p.109148_1 - 109148_8, 2024/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)周辺線量当量による個人の外部被ばく線量評価は、個人線量計が適用できない、予測的及び遡及的な評価に用いられる。しかし、様々なパラメータを用いるため個人線量測定による評価よりも誤差を含む傾向がある。そこで本研究では、周辺線量当量から個人の外部被ばく線量を精度良く評価するため、生活パターンと、建物や乗り物による遮蔽効果を考慮して実効線量を評価するモデルを作成した。モデルパラメータは、2020から2021年に福島第一原子力発電所の被災地域で測定した屋内外の環境放射線のロバストなデータセットを基に評価した。モデルの精度は、2020年に福島県内で測定した106人日の個人線量と比較し評価した。モデルによる推定実効線量は、実測個人線量をよく表し、モデルが個人線量計と同様に個人の被ばく線量推計に活用できることが示された。さらに、このモデルは、環境放射線データを用いることで、個人の被ばく線量を予測的及び遡及的に精度良く評価でき、放射線防護に有用なツールである。
佐久間 一幸; 操上 広志; Wainwright, Haruko*; 谷森 奏一郎*; 長尾 郁弥; 越智 康太郎; 眞田 幸尚; 斎藤 公明
Journal of Environmental Radioactivity, 280, p.107554_1 - 107554_11, 2024/12
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)本研究では航空機サーベイ、走行サーベイ、歩行サーベイ、定点サーベイといった複数タイプの測定結果を用いて、2011年から2022年を対象に福島地区の空間線量率統合マップを作成した。福島内の避難指示解除区域を考慮しつつ、Wainwright et al. (2017, 2019)で開発されたベイズ地球統計学手法を福島第一原子力発電所から80km圏内及び福島県全域へ適用した。統合マップは森林域の空間線量率の過小評価を修正し、既往の研究に比べ、より広範かつ複数年を対象に再現性の高いマップを作成することができた。本研究の結果は一般公衆への詳細な被ばく評価に使われることが期待される。
眞田 幸尚; 卜部 嘉*; 齋藤 まどか*; 尻引 武彦*; 御園生 敏治; 舟木 泰智
環境技術, 53(4), p.188 - 193, 2024/07
処理水放出に伴い、原子力機構では、データ公開から1週間以内を目途に海水中のトリチウム濃度の評価を実施し、その結果を意思決定者(原子力規制庁)へ報告する評価方法・体制を構築し運用してきた。ここでは、特に処理水の海洋への放出前後のトリチウム濃度の変動に着目して評価解析結果の概要を報告する。
斎須 要文*; 安藤 維彦*; 内山 恵三*; 上野 敏弘*; 瀧澤 孝一*; 遠藤 裕司*; 吉村 和也; 眞田 幸尚
Journal of Radiological Protection, 44(2), p.021518_1 - 021518_16, 2024/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)Following the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station, evacuation orders were issued for the surrounding communities. In order to lift the evacuation order, it is necessary to determine individual external doses in the evacuated areas. The purpose of this study was to determine the quantitative relationship between individual external doses and ambient dose rates per hour as conversion coefficients. More specifically, individual external doses of Tokyo Electric Power Company Holdings employees in difficult-to-return zone were measured broadly over a long period (FY2020 to FY2022). To obtain highly accurate estimates, we used not only ambient dose rates based on airborne radiological monitoring data, but also Integrated dose rate map data that had been statistically corrected to correspond to local ambient dose rate gradients on the ground. As a result, the conversion coefficients based on the ambient dose rate map measured by airborne radiological monitoring were 0.42 for the Evacuation-Order Lifted Zones (ELZs), 0.37 for the Special Zones for Reconstruction and Rehabilitation (SZRRs), and 0.47 for the Difficult-to-Return Zones (DRZs) without a SZRRs. On the other hand, the conversion coefficients based on the Integrated dose rate map which is a highly accurate dose rate map based on statistical analysis of various types of monitoring that have been studied in government projects in recent years, were 0.78 for the ELZs, 0.72 for the SZRRs and 0.82 for the DRZs. Using these conversion coefficients, the individual external dose can be estimated from two representative ambient dose rate maps provided by the government.
森戸 誠*; 藤井 俊*; 吉村 洸貴*; 眞田 幸尚; 馬場 尚一郎*; 松永 浩志*; Mori, Takami*; 佐藤 憲一郎*; 田原 淳一郎*
Proceedings of 34th International Ocean and Polar Engineering Conference (ISOPE-2024), p.3754 - 3761, 2024/06
本研究では、海底地盤の放射線計測を行う無人探査機の制御手法として、スライディングモード制御とニューラルネットワークを組み合わせた手法を提案する。制御入力のベースとしてスライディングモード制御を用い、スライディングモード制御のパラメータの一つであるとその変化率が小さくなるようにニューラルネットワークコントローラを用いて補正入力を加える。本方式を用いた制御システムを製作した後、シミュレーション試験、海域試験を行い、本方式による調査が可能かどうかを評価した。
眞田 幸尚; 阿部 智久; 佐々木 美雪; 菅野 麻里奈*; 山田 勉*; 中曽根 孝政*; 宮崎 信之*; 押切 圭介*; 渡部 浩司*
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(5), p.693 - 702, 2024/05
被引用回数:5 パーセンタイル:84.10(Nuclear Science & Technology)主な放射性物質を除去した「処理水」にはトリチウムが含まれており、日本のステークホルダーからはどのように処理するかが議論されている。施設内の処理水の量は限界に達しており、日本政府は、2023年度(年度:年度)までに海に放流することを決定した。本研究では、福島第一原子力発電所(FDNPS)のトリチウム水放出用のシンプルで実用的なトリチウムモニターを開発した。シンプルで実用的なトリチウムモニターは、薄いプラスチックシンチレーターシートに基づくFDNPSトリチウム水放出用に開発された。開発されたデバイスは、標準的なトリチウム溶液と最小検出可能活性を計算する方法を使用して較正された。厚さ0.25mmのシンチレータ15個を0.26Lのフローセルに配置して、サンプル水を供給し、3,200mmの有効表面積を得ることができる。完全な水でのトリチウム水の効率は0.000035cpsBq
である。単純なシールド条件下で検出可能な最小活性は7,800BqL
であった(測定時間は3,600秒であった)。
眞田 幸尚; 押切 圭介*; 菅野 麻里奈*; 阿部 智久
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1062, p.169208_1 - 169208_7, 2024/05
被引用回数:4 パーセンタイル:95.93(Instruments & Instrumentation)福島第一原子力発電所(FDNPP)の廃炉作業の一環として、2023年から貯蔵処理水の放出が開始される。本研究では、FDNPPでのバッチサンプリング測定により確認されたトリチウム水の濃度を連続的に監視する実用的なトリチウムモニタを開発した。このモニターは、安価なプラスチックシンチレータペレットからなるフローセル検出器を配置し、3つの検出器による同時測定、ベト検出器、環境線の影響を低減するための鉛遮蔽を組み込んだ。このシステムは、測定時間30分で911Bq L-1の検出限界に達し、これはトリチウム水の排出基準1,500Bq L-1よりも低い。このシステムはまた、
線スペクトルを用いて、トリチウム以外の妨害放射性核種やバックグラウンド放射線による妨害の存在を定性的に区別することができる。また、
線スペクトルを用いて、トリチウム以外の妨害放射性核種やバックグラウンド放射線による妨害の有無を定性的に区別することができる。
藁科 友朗*; 佐藤 朝子*; 比内 浩; Shaikhutdinov, N.*; Shagimardanova, E.*; 森 宙史*; 玉木 聡志*; 斎藤 元文*; 眞田 幸尚; 佐々木 祥人; et al.
Applied and Environmental Microbiology, 90(4), p.e02113-23_1 - e02113-23_23, 2024/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Biotechnology & Applied Microbiology)A major incident occurred at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station following the tsunami triggered by the Tohoku-Pacific Ocean Earthquake in March 2011, whereby seawater entered the torus room in the basement of the reactor building. Here, we identify and analyze the bacterial communities in the torus room water and several environmental samples. Samples of the torus room water (1 10
Bq
Cs/L) were collected by the Tokyo Electric Power Company Holdings from two sampling points between 30 cm and 1 m from the bottom of the room (TW1) and the bottom layer (TW2). A structural analysis of the bacterial communities based on 16S rRNA amplicon sequencing revealed that the predominant bacterial genera in TW1 and TW2 were similar. TW1 primarily contained the genus Limnobacter, a thiosulfate-oxidizing bacterium.
-Irradiation tests on Limnobacter thiooxidans, the most closely related phylogenetically found in TW1, indicated that its radiation resistance was similar to ordinary bacteria. TW2 predominantly contained the genus Brevirhabdus, a manganese- oxidizing bacterium. Although bacterial diversity in the torus room water was lower than seawater near Fukushima,
70% of identified genera were associated with metal corrosion. Latent environment allocation - an analytical technique that estimates habitat distributions and co-detection analyses - revealed that the microbial communities in the torus room water originated from a distinct blend of natural marine microbial and artificial bacterial communities typical of biofilms, sludge, and wastewater. Understanding the specific bacteria linked to metal corrosion in damaged plants is important for advancing decommissioning efforts.
Katengeza, E. W.*; 眞田 幸尚; 越智 康太郎; 飯本 武志*
Cogent Engineering (Internet), 11(1), p.2340203_1 - 2340203_9, 2024/04
放射能測定の不確かさは、底質中の対象核種の鉛直分布に影響されることがある。本研究では、47か所のため池で2015-2019年の期間に測定されたデータを用いて、プラスチックシンチレーションファイバー(PSF)の換算係数の深度依存性と、測定の不確かさへの影響を評価した。換算係数を算出する際に着目する深度を、10cmから15-20cmに変更することで、PSFによって推定された放射性セシウム濃度の、同じ場所で採取されたコア底質中放射性セシウム濃度に対する正規化平均二乗誤差が小さくなることが分かった。
越智 康太郎; Barker, E.*; 中間 茂雄; Gleizes, M.*; Manach, E.*; Vincent, F.*; 眞田 幸尚
Journal of Disaster Research, 19(2), p.429 - 445, 2024/04
周辺線量当量率(空間線量率)分布のマッピング技術は、各国で統一された明確な基準はない。本研究では、日本原子力研究開発機構とフランス放射線防護・原子力安全研究所が共同で、福島第一原子力発電所周辺において、歩行サーベイ、車両サーベイ、無人ヘリコプターサーベイを実施し、各機関のモニタリング手法の有効性を確認した。例えば、歩行サーベイでは、検出器で得られた計数率を空間線量率に換算する際に、ガンマ線エネルギーの異なる放射性核種からの寄与を考慮するかどうかで、両機関が測定した空間線量率の間にずれが生じることが確認された。本研究のように、各国のマッピング技術を比較し、相互にフィードバックすることで、原子力発電所事故後のゾーニングシナリオの精度を向上させることができると思われる。
普天間 章; 眞田 幸尚; 長久保 梓; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 圷 雄一郎*; 新井 仁規*; et al.
JAEA-Technology 2023-027, 146 Pages, 2024/03
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、航空機等を用いた空からの測定方法が適用されている。日本原子力研究開発機構では、有人ヘリコプターを使用した航空機モニタリングを福島第一原子力発電所周辺において継続的に実施してきた。本報告書では、令和4年度に実施した福島第一原子力発電所周辺におけるモニタリング結果について取りまとめると共に、過去のモニタリング結果から空間線量率等の変化量を評価し、その変化要因について考察した。また、航空機モニタリングによる空間線量率の換算精度向上に資するために、航空機モニタリングデータを用いて地形の起伏を考慮に入れた解析を行った。地形の起伏を考慮に入れる前後での解析結果を比較し、本手法による精度向上効果を評価した。さらに、空気中のラドン子孫核種の弁別手法を測定結果に適用して、空気中のラドン子孫核種が航空機モニタリングに与える影響について評価した。
普天間 章; 眞田 幸尚; 佐々木 美雪; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 圷 雄一郎*; 新井 仁規*; et al.
JAEA-Technology 2023-026, 161 Pages, 2024/03
2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、有人ヘリコプター等を用いた航空機モニタリングが活用されている。本モニタリング技術を原子力施設等の事故時における緊急時モニタリングに活用し、モニタリング結果を迅速に提供するために、全国の発電所周辺におけるバックグラウンド放射線量や地形的特徴、管制空域等の情報を事前に整備している。令和4年度は関西電力(株)美浜発電所並びに日本原子力発電(株)敦賀発電所及び四国電力(株)伊方発電所の周辺について航空機モニタリングを実施し、バックグランド放射線量及び管制区域等の情報を整備した。さらに、有人ヘリコプター等を用いた航空機モニタリングの代替技術として期待されている無人航空機によるモニタリングの技術開発を進めた。本報告書は、それらの結果及び抽出された技術的課題についてまとめたものである。
鳥居 建男; 眞田 幸尚
環境放射能学入門, p.31 - 54, 2024/02
福島第一原子力発電所の事故により放出された環境中での放射性核種の影響を評価するため、航空機を用いた放射線モニタリング が実施された。事故直後、米国エネルギー省により実施された航空機モニタリングは、文部科学省より日本原子力研究開発機構に委託され、事故の3ヶ月後より航空自衛隊、各県の消防防災隊、民間のヘリコプター運航会社などの協力により、オールジャパンの体制でヘリコプターによる日本全域の航空機モニタリングが実施された。この広域の面的なモニタリングによる測定データは、除染計画や避難区域の策定などの福島第一原子力発電所から80km圏内の比較的汚染の高い場所のモニタリングとして現在までも継続的に実施されている。また、この航空機モニタリングの技術は、農薬散布で使われていた国産の無人ヘリコプターにコンピュータシステムを搭載した自律飛行システムに応用され、遠隔で放射線測定が可能なシステムとして開発され、有人航空機の飛行が制限されていた福島第一原子力発電所周辺の放射線モニタリングに現在でも活用されている。このような福島の経験により培われた技術は、長距離飛行が可能な固定翼型の無人飛行機を活用したシステムが開発されるなど、今後の原子力防災に適用するための研究開発が継続的に行われている。本稿では、福島第一原子力発電所事故後に始められ、2023年現在も行われている有人のヘリコプターや無人のヘリコプターを用いた航空機モニタリングの経緯、手法及び将来展望について詳述する。
中西 貴宏; 鶴田 忠彦; 御園生 敏治; 尻引 武彦; 卜部 嘉*; 眞田 幸尚
Journal of Coastal Research, 116(SI), p.161 - 165, 2024/01
2012年から2022年までに福島第一原子力発電所(FDNPP)周辺で観測された表層海底堆積物中のCs-137濃度の連続データをとりまとめた結果、全体的にCs-137濃度は時間とともに徐々に低下していた。しかし、浅海域のいくつかのモニタリングポイントでは、Cs-137濃度の長い環境半減期や大きなばらつきが認められた。浅海域海底におけるセシウムの動態についての理解を深めるために、FDNPP近くの浅海域で長尺の堆積物コアを採取し、Cs-137濃度と粒径分布の鉛直分布を得た。海岸付近では、Cs-137の濃度と粒径分布は数十cmから1m以上の深さまで非常に均一化されていたことから、現在、海岸付近の堆積物には深い層に相当量のCs-137が蓄積している。陸域だけでなく深層からのCs-137供給が、海岸付近の表層海底土のCs-137濃度の時間的低下を抑制している可能性が示唆された。沖合の崖や窪地に位置する地点ではCs-137濃度の鉛直分布は不均質であり、数年間に同一地点で得られたCs-137鉛直分布はまったく異なっていた。この不均質性が、表層堆積物のCs-137濃度の経時的な大きな変化を引き起こすと推測された。
眞田 幸尚; 御園生 敏治; 尻引 武彦*
海洋理工学会誌, 27(2), p.37 - 44, 2023/12
本稿では、福島第一原子力発電所事故後に実施された海洋モニタリングの概況、USVの開発・運用経験、今後の原子力防災のためのツールとしての無人船舶の適用可能性などについてまとめた。海水で0.01Bq/L以下、海底土で10Bq/L以下。このような環境放射線モニタリングに使用するため、3機のUSVの運用試験を継続的に行っている。これらのUAVは、性能に応じて、海水サンプリング、海底土壌表層の直接測定、海底土壌サンプリングへの利用を視野に入れ、開発を進めている。今後の原子力発電所事故に備え、USVの開発促進が必要である。
高橋 成雄*; 櫻井 大督*; 長尾 郁弥; 操上 広志; 眞田 幸尚
シミュレーション, 42(2), p.68 - 75, 2023/06
本稿では、事故後行われてきた地上および空中放射線モニタリングを通じて蓄積されてきた、空間線量率の時空間分布に関するデータから、放射性物質の沈着過程の理解や、除染作業による線量率低減度の評価に関する科学的知見を、視覚解析を通じて得ることができた事例を紹介する。また関連して、今後の原発事故からの復興の施策立案の一助となる重要な知見を効果的に得るための、今後の取り組みについての展望を図る。