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Thomsen, B.; 永井 佑紀*; 小林 恵太; 濱田 幾太郎*; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 161(20), p.204109_1 - 204109_18, 2024/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)SL-PIHMC-MIX法は、第一原理計算と機械学習ポテンシャルを混合した自己学習型経路積分ハイブリッドモンテカルロ法である。SL-PIHMC-MIX法を用いると、第一原理経路積分分子動力学法(PIMD法)よりも、室温の水の構造を計算し収束させるのに必要な第一原理DFT計算の回数を一桁減らすことができる。
中田 悠人; 佐々木 岳彦*; Thomsen, B.; 志賀 基之
Chemical Physics Letters, 845, p.141285_1 - 141285_9, 2024/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)密度汎関数理論とメタダイナミクスシミュレーションを用いて、シリカ担持白金触媒およびパラジウム触媒を用いた熱水中でのセロビオース加水分解とグルコース水素化反応を研究した。その結果、セロビオースの加水分解は、金属に吸着した水素原子またはシリカに流出したプロトンの攻撃によって進行し、グルコースを形成することがわかった。グルコースは、白金/水界面に吸着した水素原子によって水素化され、ソルビトールを形成する。白金/水界面における加水分解と水素化の反応障壁は、いずれもパラジウム/水界面における反応障壁よりも低い。このことは、白金がパラジウムよりも優れた触媒として機能するという実験結果を説明する。
土屋 旬*; 志賀 基之; 常行 真司*; Thompson, E. C.*
Physical Review Research (Internet), 6(2), p.023302_1 - 023302_6, 2024/06
第一原理経路積分分子動力学計算を用いて、水素原子の核量子効果が高圧・常温条件下での氷VIIの弾性に及ぼす影響を調べた。その結果、40GPa以上の圧力において、氷VIIの静的無秩序構造から動的無秩序構造への転移に対して核量子効果が寄与していることがわかった。この転移は弾性定数の不連続な増加によって特徴づけられる。第一原理分子動力学計算と第一原理経路積分分子動力学計算の比較から、核量子効果によって70GPa, 300Kにおける氷の弾性定数が約20%増加することが明らかになった。
永井 佑紀; 岩崎 祐昂*; 北原 功一*; 高際 良樹*; 木村 薫*; 志賀 基之
Physical Review Letters, 132(19), p.196301_1 - 196301_6, 2024/05
被引用回数:4 パーセンタイル:89.53(Physics, Multidisciplinary)準結晶とは、高次元超格子の3次元空間への射影として理解できる周期性のない物質である。高温における比熱の上昇は、準結晶の高次元性を反映した現象として二十年以上議論されてきた。しかし、準結晶やその近似結晶の比熱の理論計算はその原子構造の複雑さから困難であった。実験と理論の橋渡しを行うため、最先端の機械学習分子動力学法を用いて、比熱の理論計算を試みた。そして、Al-Pd-Ru準結晶とその近似結晶において、実験グループとの共同研究により、実験で異常高温比熱が現れること、理論で同様の現象が再現できること、の二つを確かめた。そして、異常高温比熱が現れる温度領域においては、アルミニウム原子が不連続に飛び移りながら拡散していくことがわかった。そして、その拡散の経路は6次元超原子の揺らぎとして理解することができることを明らかにした。
志賀 基之; Thomsen, B.; 君塚 肇*
Physical Review B, 109(5), p.054303_1 - 054303_12, 2024/02
被引用回数:2 パーセンタイル:72.59(Materials Science, Multidisciplinary)パラジウム中の水素の中性子非弾性散乱スペクトルを有限温度での核量子効果を考慮して計算した。経路積分に基づく半古典分子動力学と機械学習ポテンシャルを組合せた計算手法を用いた。計算されたスペクトルは、水素原子の振動励起の基本波と第一高調波に対応するピークの位置と強度に関して、実験スペクトルとよく一致した。古典分子動力学法との比較から、中性子非弾性散乱スペクトルにおいて核量子効果が本質的な役割を果たしていることが示された。
志賀 基之; Thomsen, B.; 永井 佑紀
アンサンブル, 25(4), p.303 - 310, 2023/10
並列分子シミュレーションソフトウェア「PIMD」を紹介する。第一原理経路積分分子動力学による水の構造、リングポリマー分子動力学による金属中水素の量子拡散、超伝導体の機械学習ポテンシャル作成とフォノン物性、メタダイナミクスによる多価アルコール脱水反応などの具体例を通じて、その使用法を解説する。
Kwon, H.*; 志賀 基之; 君塚 肇*; 小田 卓司*
Acta Materialia, 247, p.118739_1 - 118739_11, 2023/04
被引用回数:19 パーセンタイル:93.86(Materials Science, Multidisciplinary)機械学習によるモーメントテンソルポテンシャルを用いた経路積分シミュレーションから、体心立方格子金属(Nb, Fe, W)中の希薄水素の拡散係数を密度汎関数理論レベルの精度で推定した。この計算結果は、精度が高いと考えられるいくつかの実験結果と大いに一致した。また、実験結果と矛盾なく同位体効果を再現した。
志賀 基之
Journal of Computational Chemistry, 43(27), p.1864 - 1879, 2022/10
被引用回数:7 パーセンタイル:51.22(Chemistry, Multidisciplinary)経路積分法に基づいて、量子振動動力学のための新たな近似法(Brownian chain molecular dynamics: BCMD)を提案する。セントロイド分子動力学法やリングポリマー動力学法などの従来法では、量子振動スペクトルが低温条件で正しく計算できない。そこで、本研究では、その問題の源である非物理的な共鳴や振動回転カップリングを抑制するため、原子の非重心自由度に対して過減衰ランジュバン方程式を導入する。軽水や重水などの赤外吸収スペクトルへの応用例を通じて、この近似を検証する。また、BCMD法を電子状態理論と組み合わせた第一原理シミュレーションを実証する。
君塚 肇*; Thomsen, B.; 志賀 基之
Journal of Physics; Energy (Internet), 4(3), p.034004_1 - 034004_13, 2022/07
被引用回数:17 パーセンタイル:76.96(Chemistry, Physical)パラジウム-水素系の人工ニューラルネットワークに基づく原子間ポテンシャルを開発するとともに、パラジウム結晶中の水素同位体の量子拡散について、経路積分分子動力学計算を行った。50-1500Kの広い温度範囲で軽水素と重水素の拡散係数を計算し、低温と高温における拡散機構の違いを明らかにした。
Thomsen, B.; 志賀 基之
Physical Chemistry Chemical Physics, 24(18), p.10851 - 10859, 2022/05
被引用回数:5 パーセンタイル:46.64(Chemistry, Physical)The heavy hydrogen isotopes D and T are found in trace amounts in water, and they can when their concentration rises play an intricate role in modulating the physical properties of the liquid. We present an analysis of the microscopic structures of ambient light water (HO(l)), heavy water(D
O(l)), T
O(l), HDO(aq) and HTO(aq) studied by
path integral molecular dynamics (PIMD). Unlike previous
PIMD investigations of H
O(l) and D
O(l) [Chen et al., Phys. Rev. Lett., 2003, 91, 215503] [Machida et al., J. Chem. Phys., 2017, 148, 102324] we do find that D
O(l) is more structured than H
O(l), as is predicted by experiment. The agreement between experiment and our simulation for H
O(l) and D
O(l) allows us to accurately predict intra- and intermolecular structures of T
O(l) HDO(aq) and HTO(aq). T
O(l) is found to have a similar intermolecular structure to that of D
O(l), while the intramolecular structure is more compact, giving rise to a smaller dipole moment that that if H
O(l) and D
O(l). For the mixed isotope species, HDO(aq) and HTO(aq), we find smaller dipole moments and less hydrogen bonds when compared with the pure species H
O and D
O. We can attribute this effect to the relative compactness of the mixed isotope species, which results in a lower dipole moment when compared to that of the pure species.
赤沢 第輔; 佐々木 岳彦*; 長坂 将成*; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 156(4), p.044202_1 - 044202_7, 2022/01
被引用回数:8 パーセンタイル:60.83(Chemistry, Physical)セルロースの水和構造は、分子レベルでのバイオマスセルロースの加水分解メカニズムの理解のために非常に重要である。本論文では、セルロースの2糖の単量体であるセロビオースの水溶液について、そのX線吸収分光法(XAS)スペクトルの測定と理論計算を組み合わせた研究について報告する。測定に関する項目では高解像度の炭素K端のXASスペクトルの測定について報告する。理論計算の項目では、第一原理分子動力学計算と励起状態計算を用いてXASのシミュレーションを求める手法と結果ついて論ずる。セロビオースのXASには289.3eV, 290.7eV, 293.6eVの3つのピークがあり、それぞれアルコール基,ヘミアセタール基,アルコール及びヘミアセタール基の両方に対応することがわかった。さらに、25Cから60
Cまでの温度変化に対してスペクトルの高さが規則的に変化し、それがセロビオースと水分子の水素結合の数の変化を表していることがわかった。このスペクトルの変化は様々な環境におけるセルロースの水和構造を知るための情報として有用であると考えられる。
Thomsen, B.; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 155(19), p.194107_1 - 194107_11, 2021/11
被引用回数:8 パーセンタイル:50.20(Chemistry, Physical)The structures of water in the ambient, sub-, and supercritical conditions at various densities were studied systematically by path integral molecular dynamics simulations. It was found that the nuclear quantum effects (NQEs) have significant impact on the structure of hydrogen bonds in close contact, not only in the ambient condition but also in the sub-, and supercritical conditions. The NQEs on the structure beyond the hydrogen bond contact are important in ambient water, but not much for water in the sub-, and supercritical conditions. The NQEs are furthermore important for determining the number of hydrogen bonds in the ambient conditions, this role is however diminished in the sub- and supercritical conditions. The NQEs does nevertheless show their importance in determining the intramolecular structure of water and the close contact structures of the hydrogen bonds, even at sub- and supercritical conditions. Using the RPBE-D3 functional, the computed radial distribution functions for the ambient water are in excellent agreement with experimental data, upgrading our previous results using the BLYP-D2 functional [Machida, et al., J. Chem. Phys. 148, 102324 (2018)]. The computed radial distribution functions for water in the sub- and supercritical conditions were carefully compared with experiment. In particular, we found that the first peak in hydrogen pair distribution functions matches only when the NQEs are taken into account.
Pal, A.*; Pal, S.*; Verma, S.*; 志賀 基之; Nair, N. N.*
Journal of Computational Chemistry, 42(28), p.1996 - 2003, 2021/10
被引用回数:11 パーセンタイル:50.47(Chemistry, Multidisciplinary)温度加速断片サンプリングは、高次元の自由エネルギー地形の計算法である。従来法では、重み付きヒストグラム解析法を用いて計算の後処理を行うが必要があった。この研究では、平均力を使用して後処理を行わずに済む洗練された手法を確立する。これを用いると、アラニンジペプチドとトリペプチドの2次元および4次元の自由エネルギー地形が約kcal/molの誤差内で計算されること実証した。この方法は、計算化学における自由エネルギー計算において幅広い応用が期待される。
近藤 友美; 佐々木 岳彦*; 志賀 基之
Journal of Computational Chemistry, 42(25), p.1783 - 1791, 2021/09
被引用回数:5 パーセンタイル:26.85(Chemistry, Multidisciplinary)高温水溶液中の糖アルコール脱水反応は、有機溶媒を使用せずに環境に優しいバイオマス変換を可能にする重要な反応である。本研究では、高温酸性水中でのソルビトール(SBT)の脱水反応のメカニズムを理解するため、第一原理および半経験的電子状態理論に基づくメタダイナミクス(MTD)シミュレーションによる自由エネルギー解析を行った。反応機構は2分子求核置換型(S2)であり、それによって中間体として生成されたヒドロキシル基のプロトン化の自由エネルギーが酸性種の影響を受けることがわかった。また、5員エーテル生成物につながる反応経路の自由エネルギー障壁は、6員エーテル生成物につながるものよりも低いことがわかった。
小林 恵太; 永井 佑紀; 板倉 充洋; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 155(3), p.034106_1 - 034106_9, 2021/07
被引用回数:13 パーセンタイル:70.15(Chemistry, Physical)自己学習ハイブリッドモンテカルロ法は機械学習力場を利用することにより、第一原理計算の高速化を可能にする手法である。今回、自己学習ハイブリッドモンテカルロ法をNPTアンサンブルに適用し、液体シリカの解析を行った。本論文では自己学習ハイブリッドモンテカルロ法を用いることにより、厳密に第一原理計算の精度を保ちながら、高速に液体シリカの配置空間のサンプリングが可能であることを示した。また、液体シリカの構造因子の計算を行い実験データとの比較を行ったところ、両者はよい一致を見せた。
君塚 肇*; 志賀 基之
Physical Review Materials (Internet), 5(6), p.065406_1 - 065406_9, 2021/06
被引用回数:13 パーセンタイル:54.58(Materials Science, Multidisciplinary)金属内部における水素の動的挙動において、核量子効果は無視できない因子である。本研究では、核量子効果を考慮した第一原理積分分子動力学シミュレーションを用いて、面心立方金属Al, Ag, Cuにおける水素拡散を調べた。その結果、AgとCuにおける水素拡散の温度依存性は逆S字型の曲線となるのに対して、Alにおける水素拡散の温度依存性はC字型となることがわかった。この違いは、水素が最安定となる位置がAg, Cuでは八面体サイト、Alでは四面体サイトであることに由来する。このことから、水素拡散の核量子効果(零点振動とトンネリング)は安定サイトの異なる金属によって質的に異なることがわかった。
Thomsen, B.; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 154(8), p.084117_1 - 084117_10, 2021/02
被引用回数:13 パーセンタイル:67.07(Chemistry, Physical)第一原理経路積分分子動力学シミュレーションにより、室温条件での水の同位体置換体の酸性度定数に対する核量子効果を計算した。この手法は、実験的に測定された液体DOの酸性度定数を再現するだけでなく、希少性のために不明な液体T
Oや、HDOおよびHTO水溶液の酸性度定数の理論的予測も可能にする。計算結果は、核量子効果が酸性度定数の絶対的評価において不可欠な役割を果たすことを示している。
近藤 友美; 佐々木 岳彦*; Ruiz-Barragan, S.*; Ribas-Ario, J.*; 志賀 基之; Ruiz-Barragan, S.*
Journal of Computational Chemistry, 42(3), p.156 - 165, 2021/01
被引用回数:5 パーセンタイル:20.76(Chemistry, Multidisciplinary)本研究では、固定されたバイアスポテンシャル下の正準サンプリングによって、メタダイナミクスを改良する新たな計算手法を提案した。この手法は、2つ以上の自由エネルギー障壁を異なる条件または競合する条件での化学反応間で比較する場合などに役立つ。この方法を用いて、高温水溶液中の多価アルコール脱水反応の酸依存性を調べた。その結果、酸の種類によらず、この反応はS2メカニズムを介して進行することがわかった。一方、中間体として生成されるヒドロキシル基のプロトン化における自由エネルギー変化が、酸の種類によって影響を大きく受けることがわかった。
野口 良史*; 樋山 みやび*; 志賀 基之; 秋山 英文*; 杉野 修*
Journal of Chemical Physics, 153(20), p.201103_1 - 201103_6, 2020/11
被引用回数:2 パーセンタイル:8.63(Chemistry, Physical)第一原理分子動力学シミュレーションを用いて、第一励起状態のオキシルシフェリン水溶液の3つの異性体の安定化メカニズムを調べた。フェノラート-ケト異性体のみが励起状態で水分子に引き付けられ、近くの水分子との水素結合の数を増やすことによって安定化された。励起状態で最も安定な異性体はフェノラート-ケトであり、フェノラート-エノールおよびフェノール-エノラート異性体は、フェノラート-ケトよりもエネルギーがそれぞれ0.38eVおよび0.57eV高かった。この結果は、フェノラート-エノールが最も安定な異性体である基底状態の場合とは対照的である。
君塚 肇*; 尾方 成信*; 志賀 基之
日本物理学会誌, 75(8), p.484 - 490, 2020/08
水素は量子性を示す元素で、他の不純物原子にはない特異な拡散挙動を示す。本研究では、経路積分シミュレーションと電子状態計算を連成させた第一原理手法を用いて、パラジウム結晶中の水素同位体の拡散挙動を幅広い温度で予測した。その結果、高温領域では、温度の低下とともに量子ゆらぎの影響が顕在化することによって拡散抑制が生じ、アレニウスプロットが上に凸の折れ曲がることが示された。一方、低温域では、量子トンネル効果の発現によって拡散障壁は減少に転じ、アレニウスプロットは下に凸の折れ曲がることが示された。異なる温度領域における量子効果の競合は、水素拡散の特異な同位体効果を明瞭に説明する。