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永井 佑紀; 奥村 雅彦; 小林 恵太*; 志賀 基之
Physical Review B, 102(4), p.041124_1 - 041124_6, 2020/07
被引用回数:1 パーセンタイル:31.73(Materials Science, Multidisciplinary)第一原理計算で得られたポテンシャルを再現するようなニューラルネットワーク(ANN)を構築して分子動力学を実行するのが機械学習分子動力学法である。ANNを構築する際の最適なトレーニングデータは、元々の第一原理分子動力学法で生成される原子配置とそのポテンシャルである。通常は、様々な原子配置とそのポテンシャルデータを大量に作成することで、目的の機械学習分子動力学法と同じようなポテンシャルを生成するANNを構築している。しかしながら、構築されたANNが元々の第一原理計算のポテンシャルを再現するという保証はない。さらに、4元素以上で構成されるような系の場合には、長時間の機械学習分子動力学法では計算が不安定になることがあり、機械学習分子動力学法の計算の精度や妥当性については常に慎重な議論が必要であった。本論文発表では、自己学習モンテカルロ法のアイディアを用いることで、得られた結果が統計的に厳密にオリジナルの第一原理計算分子動力学法の計算結果と等しい手法を開発したことを報告する。
Yan, L.*; 山本 良幸*; 志賀 基之; 杉野 修*
Physical Review B, 101(16), p.165414_1 - 165414_9, 2020/04
電気化学において関心の高い、白金(111)表面上の高被覆率水素に対して、第一原理経路積分分子動力学シミュレーションを行った。その結果、室温において、量子効果と多体効果がともに重要な役割を果たすことを見出した。完全被覆率の場合、水素原子は、その強い反発力のため、アトップサイトまたは面心立方サイトに存在する。これに対して、被覆率2/3の場合には、水素原子は非局在化して、面心立方サイトと最密六方サイトに共存する。この結果は、白金表面への水素の被覆率依存性に関する長年の論争を解決する手がかりとして、量子多体効果が大変重要であることを示している。
君塚 肇*; 尾方 成信*; 志賀 基之
Physical Review B, 100(2), p.024104_1 - 024104_9, 2019/07
被引用回数:3 パーセンタイル:43.12(Materials Science, Multidisciplinary)結晶中の水素同位体の振る舞いは材料物理学における基本的なテーマである。広い温度範囲にわたる同位体拡散挙動は重要な知見だが、まだ完全な調査には至っていない。本研究では、電子と原子核の両方を量子力学的に扱った最先端の第一原理計算を行い、面心立方Pd金属中の水素同位体拡散係数の温度依存性を調べたところ、逆S型形状のアレニウスプロットを示すことがわかった。この異常な振る舞いは、温度・質量依存性の異なる核量子効果が競合することに起因する。その結果、80-400Kの限られた温度範囲で、三重水素(H)が軽水素(
H)よりも速く拡散するという特性につながる。このメカニズムは、高温および低温での実験でそれぞれ観察されている正・逆同位体効果間がクロスオーバーを示す理論的根拠となることがわかった。
Chang, Y. L.*; 佐々木 岳彦*; Ribas-Ario, J.*; 町田 昌彦; 志賀 基之
Journal of Physical Chemistry B, 123(7), p.1662 - 1671, 2019/02
被引用回数:1 パーセンタイル:100(Chemistry, Physical)バイオマス由来ポリアルコールの脱水は、有機溶媒または金属触媒を使用せずに、高温水または高温炭酸水で制御可能な選択的反応の典型としてグリーンケミストリーにおいて最近注目を集めている。この研究では、酸性の高温水中での1,2,5-ペンタントリオールの競合分子内脱水反応のメカニズムを理解するために、第一原理メタダイナミクスとブルームーンアンサンブルシミュレーションに基づく自由エネルギー解析を行った。その結果、最も支配的なメカニズムは、水によるヒドロキシル基のプロトン化およびC-O結合の切断および形成が同時に起こる、プロトン支援S2型のプロセスであることがわかった。シミュレーションから見いだされた詳細なメカニズムは、どのようにして反応経路が熱水中で選択的であるか、そしてなぜ反応速度が酸性環境において加速されるかを示し、競合する多価アルコールの脱水プロセスについて実験結果の明確な説明を与える。
志賀 基之; Tuckerman, M. E.*
Journal of Physical Chemistry Letters (Internet), 9(21), p.6207 - 6214, 2018/11
被引用回数:3 パーセンタイル:78.62(Chemistry, Physical)反応経路の予測は、理論・計算化学の最も重要な課題の一つである。本論文では、最急降下法と最緩上昇法の組み合わせを用いて、化学反応の自由エネルギーランドマーク、すなわち最小および鞍点を自動探索するための新手法を提案する。この手法を実証するため、ベンゾシクロブテンの開環反応や水溶液中のSN2反応への応用例を紹介する。
鈴木 健人*; 宮崎 貴暉*; 高柳 敏幸*; 志賀 基之
Physical Chemistry Chemical Physics, 20(41), p.26489 - 26499, 2018/11
被引用回数:1 パーセンタイル:90.46(Chemistry, Physical)ヘリウムクラスターの直接光イオン化に続く短時間過程について、DIMモデルに基づく経路積分分子動力学(PIMD)およびリングポリマー分子動力学(RPMD)シミュレーションで調べた。PIMDシミュレーションによって実験で得られた非対称で幅広いイオン化スペクトルが再現され、その原因はHe原子のエネルギー準位の不均一性にあることがわかった。また、RPMDシミュレーションから、高励起状態にあるイオン化ヘリウムクラスターは、非断熱的電荷移動を通じて高速電子状態緩和した後、ゆっくりと構造緩和することがわかった。
小座間 瑛記*; 安達 サディア*; 高柳 敏幸*; 志賀 基之
Chemistry; A European Journal, 24(48), p.12716 - 12721, 2018/08
被引用回数:1 パーセンタイル:89.35(Chemistry, Multidisciplinary)量子論的な経路積分分子動力学シミュレーションによって、ヘリウムクラスター中の三価アクチニウムカチオン(AcHe
)の分子構造を計算した。安定なAc
-He複合体が作られる低温(1-3K)において、ヘリウム原子の原子核量子効果は重要な役割を果たす。計算の結果、第一溶媒和圏を構成するヘリウム原子はD
対称をもって配置され、その配位数は18個にも及ぶことがわかった。このAc
-He
複合体は、クラスターサイズ(
)が大きくなるにつれて強固になり、安定化する。なお、本研究は相対論的第一原理計算によりAc
-He相互作用の正確な記述に基づくものである。
町田 昌彦; 加藤 孝一郎*; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 148(10), p.102324_1 - 102324_11, 2018/03
被引用回数:9 パーセンタイル:23.96(Chemistry, Physical)水,重水,トリチウム水の液体状態における構造を第一原理経路積分分子動力学法を用いて研究した。用いた計算手法は、電子と原子核のすべてを量子力学的に取り扱うものであり、現時点で最も正確な計算手法の一つである。シミュレーションした結果は、実験とおおよそ一致しており、核量子効果により、同位体間の構造上の違いが明らかにされた。特に特筆すべき結果は、水分子内のOH共有結合中のHが隣接水分子との水素結合上の中点まで移動できる一方、重水素,トリチウムの順に中点まで行ける確率が減少するという傾向を得たことである。しかしながら、実験との完全な一致は未だ得られておらず、密度汎関数法の改良が必須であることが示唆された。また、最近の研究成果である密度汎関数に対するvan der Waals補正は液体状態における同位体効果を研究する上で必須であることが分かった。
君塚 肇*; 尾方 成信*; 志賀 基之
Physical Review B, 97(1), p.014102_1 - 014102_11, 2018/01
被引用回数:8 パーセンタイル:32.09(Materials Science, Multidisciplinary)パラジウム(Pd)中の水素(H)の高い拡散性のメカニズムを理解するため、有限歪み下における電子と核の両方の量子性を考慮した第一原理シミュレーションに基づいて、面心立方晶PdにおけるHの格子間拡散プロセスを研究した。その結果、八面体サイトの核量子効果のために、温度の低下とともに水素移動の活性化障壁が大幅に増加することが明らかになった。しかしながら、拡大した格子歪みのもとでは、四面体サイトがより安定化し、核量子効果はあまり顕著にならなかった。これは、歪みが増加するにつれて、拡散機構が量子的拡散から古典的拡散へ徐々に変化することを意味する。
志賀 基之
Reference Module in Chemistry, Molecular Sciences and Chemical Engineering (Internet), 22 Pages, 2018/00
原子核の量子効果は水素などの軽元素を含む分子系において重要である。例えば、水素結合系における大きな零点振動およびプロトントンネリングは核量子効果に由来する。本レビュー論文では、虚時間の経路積分理論に基づいて核量子効果を考慮した経路積分分子動力学法について説明する。この方法では、複雑分子系の量子揺らぎにおいて数値的厳密解が得られる。また、その拡張であるセントロイドおよびリングポリマー分子動力学法は近似的量子動力学法である。第一原理電子状態計算と組み合わせることで、多電子・原子核系全体の量子シミュレーションが可能になる。
関 悠佑*; 高柳 敏幸*; 志賀 基之
Physical Chemistry Chemical Physics, 19(21), p.13798 - 13806, 2017/06
被引用回数:6 パーセンタイル:53.21(Chemistry, Physical)500個のヘリウム原子からなる低温クラスターに埋め込まれたAg原子の光励起ダイナミクスを理解するため、リングポリマー分子動力学シミュレーションを行った。本研究では、Pスピン軌道の電子波動関数の時間依存シュレーディンガー方程式とRPMD方程式を結合したエーレンフェスト平均場近似を用いた。このシミュレーションから、Ag原子は光励起後100psの時間でヘリウムクラスターから大部分が放出されることが分かった。放出したAg原子の平均速度は60
70m/sと見積もられ、実験結果と定性的に一致した。
樋山 みやび*; 志賀 基之; 古賀 信明*; 杉野 修*; 秋山 英文*; 野口 良史*
Physical Chemistry Chemical Physics, 19(15), p.10028 - 10035, 2017/04
被引用回数:3 パーセンタイル:76.25(Chemistry, Physical)本研究では、水溶液中のオキシルシフェリンアニオン異性体における特徴的な水和構造が電子吸収スペクトルに与える影響を検討した。第一原理分子動力学シミュレーションから得られた水和構造のカノニカルアンサンブルを用いて、室温でのケト-, エノール-およびエノラート型水性オキシルシフェリンアニオンの電子吸収スペクトルをQM/MM法で計算したところ、スペクトルシフトおよび広がりに関する実験結果をよく再現した。これは、オキシルシフェリンアニオンの分子振動とその水和構造の変動を考慮していない、静的な量子化学計算とフランク-コンドン近似に基づく従来法とは対照的な結果である。
Ruiz-Barragan, S.*; Ribas Ario, J.*; 志賀 基之
Physical Chemistry Chemical Physics, 18(47), p.32438 - 32447, 2016/12
被引用回数:5 パーセンタイル:75.31(Chemistry, Physical)反応場として熱水の使用は、グリーンケミストリー分野において非常に有望な技術である。これを活用するにあたり、熱水における反応機構を解明することが重要である。本研究では、熱水における2,5-ヘキサンジオールの脱水の反応機構について、ストリング法, メタダイナミクス法, 分子動力学法という三つの異なる第一原理シミュレーションを用いて研究を行った。その結果、この反応はプロトン化、結合交替と脱プロトン化を含む反応全体において、安定な中間体を形成することなく、連続的に進行することがわかった。この際、周囲の水の作る水素結合ネットワークは、反応の開始時と終了時における効率的なプロトンリレーを促す上で重要な役割を持っていることが明らかになった。この反応は36kcal/molのエネルギー障壁のあるSN2経路を取ることがわかり、実験で観測されている高い立体選択性と反応速度に一致する結果を得た。
野口 良史*; 樋山 みやび*; 志賀 基之; 杉野 修*; 秋山 英文*
Journal of Physical Chemistry B, 120(34), p.8776 - 8783, 2016/09
被引用回数:4 パーセンタイル:83.8(Chemistry, Physical)室温の水溶液中におけるオキシルシフェリンアニオンの安定性(ケト,エノール、およびエノラート異性体)を調べるため、ナノ秒スケールの大規模な第一原理分子動力学シミュレーションを行った。その結果、従来の量子化学計算とは対照的に、ケト型よりもエノール型の方がわずかに安定で、最近の幾つかの実験的結論に合致した。このシミュレーションから、ケト型が特に疎水的でと水との界面にキャビティが形成することや、疎水性が水分子数とともに減少する様子が明らかになった。このことから、安定な異性体は水和クラスターの大きさに依存するものと予想される。
箕島 裕介*; 関 悠佑*; 高柳 敏幸*; 志賀 基之
Chemical Physics, 472, p.1 - 8, 2016/06
被引用回数:2 パーセンタイル:89.03(Chemistry, Physical)放射線によって生じた電子がDNAに付着して生体損傷のもととなる際に分子構造がどのように変化するのか、基礎的問題として興味をもたれている。本研究では、グアニン-シトシン塩基対の電子付着過程について、経験的原子価結合モデルに基づく半古典リングポリマー分子動力学法を用いて理論的に解析した。その結果、塩基対の負イオンは、双極子束縛状態から原子価束縛状態へ短時間で変化し、その後塩基間のプロトン移動を引き起こすことがわかった。この過程における同位体置換効果や温度効果について詳しく調べた。プロトン移動の動的過程は、原子核の量子性を伴うものであることがわかった。
太田 幸宏; Ruiz-Barragan, S.*; 町田 昌彦; 志賀 基之
Chemical Physics Letters, 648, p.119 - 123, 2016/03
被引用回数:2 パーセンタイル:89.03(Chemistry, Physical)自動化学反応経路探索のソフトウエアGRRMと半経験的分子軌道計算法ソフトウエアMOPACのインターフェースツールの開発に成功した。このツールを使ってセルロースに対するイオンの吸着についてのテストを実施した所、計算効率は密度汎関数理論を用いたときより遥かに高速となり、複雑かつ巨大な分子に対する構造や反応経路の探索においては、極めて有効なツールとなることが分かった。
Ruiz-Barragan, S.*; 石村 和也*; 志賀 基之
Chemical Physics Letters, 646, p.130 - 135, 2016/02
被引用回数:6 パーセンタイル:68.58(Chemistry, Physical)第一原理シミュレーションを階層的に並列化した新しい計算コードPIMD-SMASHを開発した。これによって、数十分子程度の水クラスター系について、経路積分分子動力学シミュレーションを効率的に実施できることを示した。また、開発されたコードを利用して、第一原理ストリング法によりシクロペンタジエンとブテノールのディールス・アルダー反応を調べた。その結果、水の水素結合によって反応のエネルギー障壁が下がることが見出され、この反応が水溶液中で加速するメカニズムを説明した。
本田 知大*; 箕島 裕介*; 横井 悠輝*; 高柳 敏幸*; 志賀 基之
Chemical Physics Letters, 625, p.174 - 178, 2015/04
被引用回数:3 パーセンタイル:84.09(Chemistry, Physical)密度汎関数理論および分子動力学法により、グアニン-シトシン(G-C)塩基対への電子付着の動力学的ふるまいについて研究を行った。G-Cの負イオンのポテンシャルエネルギーは、長距離補正密度汎関数計算の情報をもとに経験的原子価結合法でモデル化した。半古典的リングポリマー分子動力学法の結果、初期において双極子束縛状態にある負イオンは、0.1ピコ秒程度で原子価束縛状態へと容易に移行した後、10ピコ秒程度でプロトン移動が起こることがわかった。一方、古典分子動力学法の結果でも同じ傾向が見られたが、反応にかかる時間はずっと遅かった。このことから、低エネルギー電子によるDNA損傷過程のダイナミクスにおいて、原子核の量子効果が重要な役割を果たしていると考えられる。
Vela, S.*; Deumal, M.*; 志賀 基之; Novoa, J.*; Ribas-Arino, J.*
Chemical Science, 6(4), p.2371 - 2381, 2015/04
被引用回数:20 パーセンタイル:35.39(Chemistry, Multidisciplinary)これまで、分子磁性体における磁気的性質はX線結晶解析などで得られる一つの分子構造で決まるものと考えられてきた。しかし、第一原理計算に基づく計算化学的手法によりこれを検証したところ、一点の構造における磁性と、露に温度ゆらぎを取り入れた磁性の計算は、必ずしも一致しないことがわかった。特に、結晶中におけるラジカルが大振幅振動を起こすような、静的な描像に限界がある。そのような分子磁性体である1,3,5,トリチア-2,4,6トリアザペンタレニル(TTTA)系を例としてこれを実証する。
Vela, S.*; Mota, F.*; Deumal, M.*; 水津 理恵*; 珠玖 良昭*; 水野 麻人*; 阿波賀 邦夫*; 志賀 基之; Novoa, J.*; Ribas-Arino, J.*
Nature Communications (Internet), 5, p.4411_1 - 4411_9, 2014/07
近年、同じ熱力学的条件下で二つの安定状態を有する特性のもつ新しい有機ラジカル材料が注目を集めている。なかでも、中性のラジカルであるTTTAは室温下でヒステリシス性のスピン相転移を起こすジチアゾリル系の化合物として知られている。その機構を解明するため、第一原理分子動力学シミュレーションを行ったところ、重層構造をもったTTTA分子の単位がペアで交換する動力学が見られた。これが振動エントロピーの変化に大きな役割を果たし、相転移の引き金になっていることが明らかになった。