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富田 純平; 富田 涼平; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ
Journal of the American Society for Mass Spectrometry, 35(6), p.1178 - 1183, 2024/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Biochemical Research Methods)U-236は原子炉内における中性子照射により生成される人工放射性核種であるため、保障措置上重要な核種の1つである。しかしながら、サブナノグラム程度のウラン量では、 U量が少ないため、10レベルのU/U比を測定することは困難であった。本研究では、これら同位体比の測定を可能にするため、マルチコレクタ型ICP-MSを用いた高感度ウラン同位体比測定法を開発した。まず、測定溶液量を10分の1としシグナル強度を高め、全量をICP-MSに導入する。次に、マルチコレクタによる測定の利点を生かし、空気が混入する試料導入時及び消耗時以外のすべての測定データを使用し、それぞれの同位体の全計数から同位体比を求めた。開発したこの手法をIRMM-184ウラン同位体標準溶液のU/U比測定に適用した結果、得られた同位体比は、不確かさ(=2)の範囲内で保証値と一致した。また、本手法を用いることにより、不確かさを従来法よりも10倍改善することができた。
富田 涼平; 富田 純平; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ
放射化学, (48), p.1 - 15, 2023/09
二次イオン質量分析法は酸素などのイオンビームを試料に照射することで試料の構成元素から放出されたイオンを質量分析する手法である。この手法は僅かなイオンであっても高感度の計測が可能であり、極微量の元素の同位体比分析に広く用いられる。我々は高分解能を有する二次イオン質量分析装置を用いて、ウランを主とした核物質を含む微小粒子の同位体組成分析技術を開発するとともに、IAEAが原子力施設等の立ち入り査察で採取した試料に含まれるウラン粒子の同位体組成を日本のIAEAネットワーク分析所として分析し、その結果を報告している。本稿では、二次イオン質量分析法の解説と従来型の二次イオン質量分析装置から始まり、現在、主流となっている大型二次イオン質量分析装置が開発されるまでの二次イオン質量分析法を使用した保障措置環境試料中のウラン粒子に対する分析技術の発展について、我々が行った分析技術開発の成果を中心に述べる。
宮本 ユタカ; 鈴木 大輔; 富田 涼平; 富田 純平; 安田 健一郎
Isotope News, (786), p.22 - 25, 2023/04
IAEAが核不拡散条約に基づき、IAEAに未申告の原子力活動を探知するための技術としてIAEAが実施している「保障措置環境試料」の分析について、技術的な側面から概要を述べるとともに、国際協力の一環として日本のIAEAネットワーク分析所として活動している原子力機構の分析技術について解説する。特に微小核物質粒子の検知および核物質の同位体組成分析技術に焦点を当てて解説する。
富田 純平; 富田 涼平; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ
KEK Proceedings 2022-2, p.154 - 158, 2022/11
保障措置環境試料に含まれるウラン粒子中の存在度の低いウラン同位体(U及び)を精密に測定することは、施設の原子力活動を検認するうえで重要である。本研究では、これら存在度の低いウラン同位体の測定技術を開発するために使用するウラン模擬粒子の作成方法を検討した。ウランの代用としたルテチウム溶液を粒子母体である多孔質シリカビーズを効果的に含浸させる方法を検討した。走査型電子顕微鏡で粒子の含浸状態を観察した結果、シリカビーズと溶液をPFA棒で混合するよりも時間をかけて静かに含浸させる方法が含浸粒子を効果的に作成できることが分かった。
富田 涼平; 富田 純平; 蓬田 匠; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 江坂 文孝; 宮本 ユタカ
KEK Proceedings 2022-2, p.108 - 113, 2022/11
ウラン粒子に対するSIMS分析では最初に粒子自動測定(APM)を行う。APMを行うことで試料台上に存在するウラン粒子の個数とその位置や、どの程度の濃縮度であるかを知ることができる。APMは測定範囲350m四方に酸素イオンビームを短時間照射する同位体比測定を座標を移動しながら繰り返すことで試料台全体の様子を網羅していくが、その精度や確度は試料の状態の影響を大きく受ける。そこで、試料の前処理で行っている加熱処理の温度がウラン二次イオンの発生効率やウラン水素化物の生成量、粒子の結晶性等に与える影響を調べ、APMに適した条件を求めた。得られた実験結果を元に試料の状態に応じた粒子分析スキームを作成した。実験により800Cの加熱処理は350Cと比較してウラン二次イオンの検出量が33%まで低下し、ウラン水素化物の生成も4倍となる結果が得られた。ラマン分光分析によって800Cの加熱は結晶性の向上に繋がることがわかったが、二次イオンの発生効率を低下させるような変質が引き起こす悪影響の方が顕著であり、今回の実験では350Cによる加熱が適した加熱条件であるとわかった。
富田 涼平; 富田 純平; 蓬田 匠; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 江坂 文孝; 宮本 ユタカ
KEK Proceedings 2021-2, p.146 - 150, 2021/12
大型二次イオン質量分析装置(LG-SIMS)を使用したウラン粒子のスクリーニング測定(APM)は広い測定領域に複数の粒子を収め、測定範囲内に存在する個々の粒子の座標と同位体組成の情報を得る連続測定である。特に高濃縮の粒子を含むAPMではウラン粒子表面の水素化物生成比が高い場合にU$測定値$=UH+U$真値$となる影響を受けてUの存在率が見かけ上高くなる。APMでは個々の粒子から得られる二次イオンが少ないため正確な水素化物補正ができず、この影響でウラン全体に対するUの存在率が見かけ上低下する問題が起きる。そこでAPMの測定前に一定時間だけイオンビームを照射することでウラン粒子表面の水素化物生成比の低減を試みた。また、粒子表面を十分にスパッタしやすいマニピュレーション-APM(APM-mani)についても実験を行い、水素化物を効果的に低減できるスクリーニング条件を検討した。
宮部 昌文; 佐藤 志彦; 若井田 育夫; 寺林 稜平*; Sonnenschein, V.*; 富田 英生*; Zhao, Y.*; 坂本 哲夫*
Journal of Physics B; Atomic, Molecular and Optical Physics, 54(14), p.145003_1 - 145003_8, 2021/07
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Optics)高繰返しチタンサファイアレーザーとウランホローカソードランプを用いて、2色2段階光イオン化光ガルバノ分光法により、ウランの2段階共鳴イオン化スキームの探索を行った。基底状態のウラン原子を1段目のレーザー光で5つの偶パリティ励起準位に遷移させ、2段目のレーザー波長をスキャンすることで多くのイオン化遷移を観察した。1段目のレーザー光を遮断することで、単色・2光子イオン化遷移の同定も行った。これらの結果から、イオン化ポテンシャル(49958.4cm)から51150cmまでのエネルギー範囲で、50個以上のウランの奇パリティ自動イオン化準位を見出した。得られた準位エネルギーは、これまでに報告されている値と1cm以内で一致した。これらの結果から、工学院大学や名古屋大学と共同開発している共鳴イオン化スパッタ分析装置を用いた放射性微粒子のウラン分析のための基礎データを取得することができた。
鈴木 大輔; 富田 涼平; 富田 純平; 江坂 文孝; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 328(1), p.103 - 111, 2021/04
被引用回数:3 パーセンタイル:37.09(Chemistry, Analytical)保障措置のためのウラン粒子の精製年代分析技術を開発した。ウランの精製年代は、粒子中のウランとトリウムを化学分離したのち、シングルコレクタ型誘導結合プラズマ質量分析計を用いてTh/U原子個数比を測定することにより得た。粒子中のTh及びUの原子個数の定量は、既知量のU濃縮同位体標準物質及びその標準物質にUの娘核種として含まれるThをスパイクとして用いて行った。精製年代既知(精製からの経過年: 61年)の二種類の同位体標準物NBL U-850及びU-100のウラン粒子を用いて分析を行ったところ、得られた推定精製年代はそれらの標準物質の参照精製年代と良く一致した結果であった。さらに、単一のU-850ウラン粒子を用いて分析を行った結果、推定精製年代は参照精製年代から-28年2年のずれの範囲内で得ることができた。
富田 涼平; 富田 純平; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ
no journal, ,
これまでに同位体比標準溶液を多孔質シリカ粒子に含浸させる手法(含浸法)の開発に成功し、従来法よりも簡便に様々な組成の粒子が作成可能になった。しかし、この方法で作成した含浸粒子はSIMS法による分析で正の酸素イオン(O)を一次イオンとして照射すると帯電し、ウラン同位体比測定が困難になる課題があった。そこで、この含浸粒子の帯電を解消し、正確にウラン同位体比を測定できる手法の確立を試みた。その結果、負の酸素イオン(O)を一次イオンとして照射することで含浸粒子の帯電を解消し、保証値に対する偏りが0.01%以内の正確なウラン同位体比の測定値を得ることに成功した。
富田 涼平; 富田 純平; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ
no journal, ,
環境サンプリング法は隠された原子力活動を検知する方法として1996年からIAEAの保障措置に導入された。日本原子力研究開発機構の保障措置分析化学研究グループは分析能力の認定を受けたIAEAのネットワーク分析所のひとつとして、IAEAが環境サンプリング法で採取した試料の分析を実施している。本発表では研究グループの概要とともに、近年の研究成果として簡便に作業標準粒子を作成する技術開発や、この手法で作成した粒子を大型二次イオン質量分析装置で正確に測定する手法について紹介する。
富田 涼平; 富田 純平; 鈴木 大輔; 安田 健一郎
no journal, ,
我々は、保障措置環境試料分析に利用可能な模擬粒子の作成手法として含浸法を開発した。含浸法では、同位体比既知の標準溶液を多孔質シリカ粒子へ含浸させることで標準溶液の同位体組成を反映した模擬粒子を作成することが可能である。本研究では、含浸法を用いて、同位体比既知のプルトニウム含浸粒子を作成し、その同位体比を大型二次イオン質量分析装置(LG-SIMS)で正確に測定する手法を検討した。検討した方法によって得られた含浸粒子のPu/Puはプルトニウム標準溶液の保証値と標準偏差の2倍の範囲で一致する正確さを示し、LG-SIMSで正確に粒子のプルトニウム同位体比を測定することに成功した。
富田 涼平; 江坂 文孝; 宮本 ユタカ
no journal, ,
環境試料(IAEAによる原子力施設の査察試料)中に含まれるウラン粒子をマイクロマニピュレーションにより取り出すことで、ウラン以外の粒子から放出される分子イオンの影響を排除した精密なウラン同位体比を二次イオン質量分析(SIMS)によって測定する方法の開発を行ってきた。しかし、試料中に数多くのウラン粒子が存在する場合には、分析時間の制約上、ウラン粒子の一部(1試料当たり1020粒子程度)を無作為に取り出して分析することになるため、必ずしも試料全体のウラン同位体比の分布を反映することにはならないという問題があった。本研究ではマイクロマニピュレーションで分離した50個以上のウラン粒子をSIMSの簡易測定で短時間におおよそのウラン同位体比分布を把握した後、この分布を代表する粒子を選び出して詳細分析した。これにより、少数の粒子分析でも試料全体のウラン同位体比分布を網羅できる分析方法を実現した。
富田 涼平; 江坂 文孝; 蓬田 匠; 宮本 ユタカ
no journal, ,
大型二次イオン質量分析装置(LG-SIMS)はウラン粒子1個に対する精密な同位体比分析において空間分解能1m以下の高い能力を発揮する。しかし、ウラン粒子の同定を行う自動測定(APM)は精密分析と比較して広いビーム径のイオンビームで広い領域を走査する必要がある。そのため精密分析ほどの空間分解能を保てず、近接する複数の粒子を一つの粒子として検出することで誤った結果を含む問題(粒子のミキシング)があった。そこで既知の同位体比を持つ複数の標準ウラン粒子を混合した試料を作成し、APMによってどの程度のミキシングが発生するかを確かめた。また、ミキシングを低減する方法としてウラン粒子を走査型電子顕微鏡で拾い出すマニピュレーション法を用いた手法を検討した。同位体比が既知である4種の標準ウラン粒子(U010, U100, U350, U850)が混在する試料を作成した。この試料に対するAPMでは5976個の粒子が検出され、本来存在しない同位体組成を示す粒子が1943個含まれていた。U850粒子の同位体組成が参照値と一致しない問題も見られた。これはウラン水素化物生成比(UH/U)が平均0.237と高く、UHがU同位体として含まれることでウラン全体に対するUの存在率が見かけ上低くなったためであった。APMは粒子試料の全体像を把握する上で有効であるが、精確さに問題が生じるケースがある。そこで粒子マニピュレーションで試料から5080個のウラン粒子を分離した後にAPMを実施することで精確な分析結果を得ることを試みた。
富田 涼平; 富田 純平; 蓬田 匠; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 江坂 文孝; 宮本 ユタカ
no journal, ,
環境試料中のウラン粒子に対するSIMS分析では最初に粒子の位置とおおよその同位体組成の情報を得る粒子自動測定(APM)を行う。APMは試料台上の広範囲を網羅する連続した測定であり、個々の領域に対する測定時間が短いため、検出された粒子の情報は表面の状態による影響を大きく受ける。特に、粒子表面でウラン水素化物生成が多い場合ではUと供にUHが検出され、見かけ上Uの存在率が高くなる問題が顕著となる。そこで表面が高い水素化物生成比を示す標準ウラン粒子を用いて粒子が完全に消耗し切るまで同位体比測定を行う全損分析を実施し、粒子表面から内部に至る同位体比変化を観察した。これにより、粒子の全量に対して何%が表面として同位体比に影響を与えるのかを求めた。全損分析の結果を元に同位体比の変化が大きい粒子表面を除いて安定した同位体比を示す部分でデータを取得できるようなAPMのビーム強度,測定時間の条件を求めた。また、通常の手法と比較して遥かに高いビーム強度でAPMが行えるマイクロマニピュレーションを用いた手法についてもビーム強度,測定時間,ラスターサイズについて最適な条件を探った。
富田 純平; 富田 涼平; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ
no journal, ,
保障措置環境試料や地球化学試料の分析では、極微量のウラン(U)やプルトニウム(Pu)を測定する。ICP-MSによる測定では、測定試料中に不純物元素が多量に存在すると、それらがアルゴンや酸素と結合して測定目的の同位体と同質量の分子イオンを形成し、正確な同位体比測定を妨害する。本研究では、正確な保障措置環境試料分析を目的として、MC-ICP-MSを用いた正確な極微量U及びPu同位体比測定に影響を及ぼす分子イオンの同定及びその影響の定量的評価を行った。U同位体については、質量数233でIr、質量数234, 235及び236でPtによる顕著なスペクトル干渉が確認された。これらは、主にIrAr, PtAr, PtAr及びPtArによると考えられる。仮に1 ppbの天然U(IRMM184, U/U: 5.3110)を含む溶液中にPtが0.4ppb含まれているとすると、分子イオンの妨害により約2倍高いU/U値になると概算される。一方、Pu同位体については、質量数244でPb(PbAr)によるスペクトル干渉が確認されたが、その他の元素に由来する明瞭な干渉は確認されなかった。
富田 涼平; 富田 純平; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ
no journal, ,
原子力関連分野における二次イオン質量分析(SIMS)装置の利用法の一つとして、保障措置を目的とした環境試料中の核燃料物質を含む微粒子の同位体組成分析が挙げられる。IAEAは、原子力施設内に立入査察を行った際、施設の壁や床から採取した拭き取り試料(保障措置環境試料)に含まれるウラン微小粒子の同位体組成を分析することで、未申告の原子力活動が行われていないことを確認している。試料の分析はIAEAが認定したネットワーク分析所で行われ、我々の研究グループでは、試料分析・結果報告を行いつつ、分析の課題克服や極微量分析技術の開発を進めている。本講演ではIAEAのネットワーク分析所の一つである原子力機構高度環境分析研究棟(CLEAR)における我々の分析活動や、IAEA保障措置環境試料中の極微量核物質の分析技術について紹介する。さらには、SIMSによる粒子分析技術において、これまでに得られた開発成果をIAEA試料分析に対してどのように応用しているのかについても紹介する。
松村 万寿美*; 笹 公和*; 松中 哲也*; 富田 涼平; 高橋 努*; 松崎 浩之*; 末木 啓介*
no journal, ,
A significant amount of radioactive material was released into the environment after the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FDNPP) on March 11, 2011, with atmospheric emissions commencing on March 12 and peaking during March 1516 and 2022 (TEPCO, 2012). Anthropogenic sources such as nuclear-fuel reprocessing plants had already increased the I-129 level in the environment above its natural background (I-129/I-127 = 1.510; e.g.). Total amounts of radionuclides discharged into the atmosphere were estimated to be 8.1 GBq for I-129 (T1/2=1.57107 y) and 120200 PBq for I-131 (T1/2=8.02 d) released from the FDNPP accident. Although the accident-derived I-131 in soil extinguished in a few months, the long-lived I-129 can be used as a tracer to retrospectively infer the level of I-131. We mentioned at AMS-15, the I-129/ I-131 atomic ratio in 5-cm-long surface soils of Fukushima area for reconstruction of the I-131 deposition using the long-lived I-129, average ratio of I-129/ I-131 was estimated to be 26.05.7 corrected at 14:45, March 11, 2011. Several years were passed, I-129 released into the environment exists through repeated deposition and resuspension. We investigated the concentration of I-129 and isotopic ratio of I-129/ I-127 in river water in Fukushima Prefecture, the sampling was conducted at five sites on the Niida-River, once per year, from 2014 to 2020. Sample measurements were performed using AMS at the MALT, The University of Tokyo until 2015 and at UTTAC, The University of Tsukuba thereafter. As a results, the I-129 concentrations were in the range (0.352.8)10 atoms L0 and the I-129/ I-127 ratio was (0.514.6)10. Generally, values are high at the earliest sampling time and appear to have stabilized since then.
富田 純平; 富田 涼平; 鈴木 大輔; 安田 健一郎
no journal, ,
環境サンプリング法は隠された原子力活動を検知する方法として1996年からIAEAの保障措置に導入された。日本原子力研究開発機構の保障措置分析化学研究グループは分析能力の認定を受けたIAEAのネットワーク分析所のひとつとして、IAEAが環境サンプリング法で採取した試料の分析を実施している。本発表では研究グループの概要とともに、近年の研究成果としてマルチコレクタ型ICP-MSを用いたサブngのウランに含まれる10程度のU/U比が測定可能な高感度測定法について紹介する。
富田 涼平*; 松中 哲也*; 本多 真紀*; 佐藤 志彦; 松村 万寿美*; 高橋 努*; 坂口 綾*; 松崎 浩之*; 笹 公和*; 末木 啓介*
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故により拡散した放射性核種は降雨などの影響を受けて地上に沈着した。原子力発電所から200km離れた千葉県東葛地域の河川底質土からも原子力発電所由来の放射性核種が検出されており、我々は地点毎に河川水溶存態中放射性セシウムCsや放射性ヨウ素I、それらの安定同位体濃度を測定した。特にセシウムに関して特徴的な変化が観測された。本流と比較して低いセシウム同位体比(Cs/Cs)を示す利根川河川水の注水によって本流の溶存態中Cs/Cs比が一時的に大きく減少していた。一時的に減少したCs/Cs比は河口に向けて移動している間に徐々に上昇する変化が観測された。この溶存態中Cs /Cs比の上昇には底質土が大きく寄与していると考え、底質土から逐次抽出によりCsの抽出を行い、各フラクションのCsとCsを定量し、溶存態との比較を行った。結果、速い速度で底質土と溶存態との平衡に達することが示唆された。
江坂 文孝; 蓬田 匠; 富田 涼平; 宮本 ユタカ
no journal, ,
環境中に存在する個々の微粒子に対してその化学状態を調べることは、その起源や環境への影響を明らかにする上で重要である。しかし、個々の微粒子中に含まれる元素量は少なく、元素組成のみならず化学状態まで明らかにすることは非常に困難である。本研究ではより微小な粒子の分析を目的として、電子線後方散乱回折(EBSD)法を用い、ウラン微粒子の化学状態分析への適用可能性について検討を行った。その結果、直径1m以下の粒子に対しても明瞭な電子線回折パターンを取得することができた。また、UO微粒子ではCubic構造、UO微粒子ではOrthorhombic構造に対応した電子線回折パターンを取得でき、本法により各微粒子の化学状態の違いを区別できることが示された。一方、微粒子の表面は平滑ではないため、測定位置によっては後方散乱電子の検出器への到達が妨げられ、明瞭な電子線回折パターンが取得できないことも明らかとなった。これは、微粒子表面を研磨することなどにより解決できるものと考えられる。