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有森 貴夫*; 伊藤 彰紘*; 中澤 昌美*; 上田 光宏*; 玉田 太郎
Journal of Synchrotron Radiation, 20(6), p.884 - 889, 2013/11
被引用回数:18 パーセンタイル:66.04(Instruments & Instrumentation)セルロースを含む木質バイオマスからのバイオエタノール生産における糖化プロセスにおいて、(293K以下でも十分な活性を示す)低温寛容性セルラーゼを用いることができれば、加熱するためのエネルギーを節約できるだけではなく、並行複発酵による高濃度アルコール生産が可能となる。GHファミリー9に属するシマミミズ由来1,4--エンドグルカナーゼ(EF-EG2)は313Kにおいて最大活性を示すが、283Kにおいても比較的高い活性を保持する。酵母を用いた組換え型EF-EG2の発現系を構築し、引き続き試料精製および結晶化を実施したところ、回折実験可能な針状結晶を得ることに成功した。この結晶を用いて放射光施設において1.5分解能の回折データを収集し、結晶学的値が14.7%(free-値が16.8%)まで精密化を完了した。EF-EG2の全体構造は(/)バレルから成り、その中心に活性部位と想定されるクレフトが確認された。また、分子表面は負電荷に富んでいたが、この特徴は構造既知の低温寛容性酵素においても広く観察されており、EF-EG2の低温寛容性との関連が示唆された。
有森 貴夫*; 川本 乃理子*; 新家 粧子*; 岡崎 伸生*; 中澤 昌美*; 宮武 和孝*; 深溝 慶*; 上田 光宏*; 玉田 太郎
Journal of Biological Chemistry, 288(26), p.18696 - 18706, 2013/07
被引用回数:31 パーセンタイル:63.83(Biochemistry & Molecular Biology)sp. A-471由来のキチナーゼC(Ra-ChiC)の活性ドメインはG型リゾチームと類似した配列を有し、他のキチナーゼとは異なりGHファミリー23に属する。しかしながら、NMRを用いた解析ではRa-ChiCはキチン二量体と相互作用する一方で、ペプチドグリカン断片とは相互作用しなかった。本論文では、Ra-ChiCの活性ドメイン(野生型, E141Q, E162Q変異体)及びキチンオリゴ糖複合体の結晶構造解析を報告する。Ra-ChiCは基質特異性をつかさどるトンネル構造を含む基質結合部位を有しており、そのトンネル上に位置するAsp226が塩基触媒として水分子を活性化する機構が構造情報に基づく変異体解析の結果から示唆された。構造的に高く保存された酸触媒として機能するGlu141とこのAsp226の相対配置は、他のGH23型酵素や反転型GH19キチナーゼとは異なっており、Ra-ChiCの特徴的な機能と関連していると考えられた。
岡崎 伸生; 有森 貴夫; 中澤 昌美*; 宮武 和孝*; 上田 光宏*; 玉田 太郎
Acta Crystallographica Section F, 67(4), p.494 - 497, 2011/04
被引用回数:3 パーセンタイル:40.66(Biochemical Research Methods)Chitinase from the moderately thermophilic bacterium sp. A-471 (Ra-ChiC) is divided into two domains: a chitin-binding domain (residues 36-80) and a catalytic domain (residues 103-252). Although the catalytic domain of Ra-ChiC has homology to goose-type lysozyme, Ra-ChiC does not show lysozyme activity but does show chitinase activity. The catalytic domain with part of an interdomain loop (Ra-ChiC) was crystallized under several different conditions using polyethylene glycol as a precipitant. The crystals diffracted to 1.85 resolution and belonged to space group 622 or 622, with unit-cell parameters = = 100, = 243 . The calculated Matthews coefficient was approximately 3.2, 2.4 or 1.9 Da assuming the presence of three, four or five Ra-ChiC molecules in the asymmetric unit, respectively.
石山 敦士*; 植田 浩史*; 福田 光宏*; 畑中 吉治*; 宮原 信幸*; 横田 渉; 鹿島 直二*; 長屋 重夫*
電気学会研究会資料,超電導応用電力機器研究会(ASC-10-33), p.83 - 88, 2010/06
陽子線や重粒子線(炭素線)によるがん治療は、高齢者や難治がんに有効であることがその実績から明らかになっている。このため粒子線によるがん治療のさらなる普及が望まれているが、主要装置である加速器が大型で建設費や運転費が高額であることが普及の障害となっている。本発表では、小型化,省電力化が可能なことから次世代型がん治療用加速器として有望な超電導サイクロトロンの開発の概要を報告する。
坂中 章悟*; 明本 光生*; 青戸 智浩*; 荒川 大*; 浅岡 聖二*; 榎本 収志*; 福田 茂樹*; 古川 和朗*; 古屋 貴章*; 芳賀 開一*; et al.
Proceedings of 1st International Particle Accelerator Conference (IPAC '10) (Internet), p.2338 - 2340, 2010/05
日本においてERL型放射光源を共同研究チームで提案している。電子銃,超伝導加速空洞などの要素技術開発を進めている。また、ERL技術の実証のためのコンパクトERLの建設も進めている。これら日本におけるERL技術開発の現状について報告する。
宮脇 信正; 奥村 進; 倉島 俊; 柏木 啓次; 吉田 健一; 百合 庸介; 湯山 貴裕; 石堀 郁夫; 上松 敬; 石坂 知久; et al.
Proceedings of 4th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan and 32nd Linear Accelerator Meeting in Japan (CD-ROM), p.604 - 606, 2007/00
原子力機構AVFサイクロトロンでは、フラットトップ加速によるビームエネルギー幅の縮小化のため、中心領域の位相スリットを用いたビーム位相幅の制御を行っている。サイクロトロン内部でのビーム位相幅の計測を行うため、ビーム電流計測に用いるメインプローブのディファレンシャルヘッドに、プラスチックシンチレータを取り付けたプローブを開発した。実ビームでの測定の結果、位相スリット位置とビーム位相の相関関係が明確に認められた。このプローブを用いたサイクロトロン内部でのビーム位相幅は約10.2rf度(FWHM)であったが、サイクロトロンから取り出されたビーム位相幅は約4.3rf度(FWHM)であり、取り出し機器がビーム位相幅に影響を及ぼすことが確認できた。
有森 貴夫*; 伊藤 彰紘*; 中澤 昌美*; 上田 光宏*; 玉田 太郎
no journal, ,
We cloned the gene for endo-1,4--glucanase from Eisenia foetida (EF-EG2) consisting of 1368 bp encoding 456 amino acid residues. The amino acid sequence of the gene shares sequence homology ( 50%) with endo-1,4--glucanases belonging to glycoside hydrolase family 9. The recombinant EF-EG2 showed highest activity at 40C, and also retained a comparatively high activity at 10C. We purified the recombinant EF-EG2 expressed in Pichia pastoris, and then grew needle shaped EF-EG2 crystals with dimensions of 0.02 0.02 1 mm. Diffraction data of EF-EG2 was collected at beamline 1A, Photon Factory, KEK, and integrated and scaled to 2.1 resolution. The crystals belonged to space group 321 with unit-cell parameters of = = 135 , =54.9 . The location of one EF-EG2 molecule in the asymmetric unit was identified by molecular replacement analysis using the coordinates of endoglucanase from Nasutitermes takasagoensis (NtEgl). The final model of EF-EG2 was refined to a crystallographic -factor of 17.9% (free R-factor of 21.4%) to 2.1 resolution. Overall structure of EF-EG2 is similar to that of NtEgl with an RMSD value of 0.9 for 423 C atoms, however, a slight difference between both structures was confirmed around substrate binding site.
有森 貴夫*; 伊藤 彰紘*; 中澤 昌美*; 上田 光宏*; 玉田 太郎
no journal, ,
植物バイオマスを糖化する際、従来の高温条件下ではなく、低温条件下で効率よく糖化できれば、加温するためのエネルギーを節約することができる。最近われわれは、シマミミズ由来1,4--エンドグルカナーゼ(EF-EG2)のクローニングに成功した。本酵素は、40において最大活性を示すが、低温(20C)条件においても比較的高い活性を保持する。EF-EG2は、456アミノ酸残基から構成される約50kDaの酵素であり、GHファミリー9に属するタカサゴアリ由来の1,4--エンドグルカナーゼ(NTEgl)と高いアミノ酸配列相同性(55%)を有している。われわれは、EF-EG2が低温においても高い活性を保持する機構を立体構造情報から理解することを目的に、EF-EG2の結晶構造解析に取り組んだ。酵母を用いた組換え型酵素の発現系を構築し、引き続き試料精製、結晶化スクリーニング、結晶化条件の最適化を実施した結果、回折実験可能な針状のEF-EG2結晶を得ることに成功した。この結晶を用いて放射光施設において、2.1分解能の回折データを収集し、引き続き既知のNTEglの構造情報を用いた分子置換法による位相決定、及び構造精密化を完了した。EF-EG2の全体構造は、一般的なGH9酵素と同様、(/)バレル構造をしていたが、糖結合部位付近の構造には他のGH9酵素との構造とわずかな相違がみられた。本発表では、得られたEF-EG2の立体構造と他のGH9酵素の立体構造との詳細比較から、EF-EG2の活性発現及び低温耐性機構について議論したい。
玉田 太郎; 岡崎 伸生; 上田 光宏*; 中澤 昌美*; 宮武 和孝*; 黒木 良太
no journal, ,
好熱性細菌 sp. A-471由来の新規酵素(Ra-ChiC)の1.9分解能での構造解析に成功した。Ra-ChiCの触媒ドメインは7本のへリックスから構成されており、うち5本へリックスについてはガチョウ型リゾチームの立体構造と類似していた。ガチョウ型リゾチームの触媒残基であるグルタミン酸残基はRa-ChiCにおいて側鎖を含め立体的によく保存されていた(Glu141)。ガチョウ型リゾチームで活性に関与していると考えられる2つのアスパラギン酸については、Ra-ChiCにおいて1つは立体的にほぼ似た箇所にグルタミン酸として存在していた(Glu162)のに対し、もう1つは主鎖構造から完全に異なっていた。これらの違いがキチナーゼ活性とリゾチーム活性の違いを創出していると考えられた。
玉田 太郎; 有森 貴夫*; 福原 宏章*; 伊藤 彰紘*; 上田 光宏*
no journal, ,
セルロースを含む木質バイオマスからのバイオエタノール生産における糖化プロセスにおいて、低温適応性セルラーゼを用いることができれば、加熱するためのエネルギーを節約できるだけではなく、並行複発酵による高濃度アルコール生産が可能となる。GHファミリー9に属するシマミミズ由来1,4--エンドグルカナーゼ(EF-EG2)は313Kにおいて最大活性を示すが、283Kにおいても比較的高い活性を保持する。酵母を用いた組換え型EF-EG2の発現系を構築し、引き続き試料精製および結晶化を実施したところ、太さ0.02mm程度の針状結晶を得ることに成功した。この結晶を用いて1.50分解能の回折データを収集し、結晶学的値が14.7%(free-値が16.8%)まで精密化を完了した。さらに、触媒残基と想定されるGlu431をGlnに置換した変異体(E431Q)と基質(セロトリオース)複合体結晶を作製し、1.55分解能の回折データを収集した。現在、精密化中であるが、サブサイト-2-4にセロトリオース由来の明瞭な電子密度を観測することができた。また、分子表面は負電荷に富んでいたが、この特徴は構造既知の低温適応性酵素においても広く観察されており、EF-EG2の低温適応性との関連が示唆された。
橋本 直幸*; 磯部 繁人*; 岡 弘*; 林 重成*; 上田 幹人*; 山下 真一郎; 板倉 充洋; 都留 智仁
no journal, ,
原子炉および次世代型エネルギー炉の安全な稼働には、高エネルギー粒子照射環境に十分な耐性を持つ構造材料が必要不可欠であり、従来構造材料として信頼性の高い既存構造材料を基礎に材料開発が行われてきた。材料開発のポイントは、中性子エネルギーによる材料の照射損傷とそれに起因する機械的特性劣化の抑制にある。これまでの基本戦略は、既存構造材料の改良であり、製造工程や熱処理による微細組織の最適化や材料の化学組成の調整で対応してきたが、耐照射性という点で劇的な効果は得られなかった。そこで我々は、弾き出し損傷が起こらないあるいは弾き出し損傷後すぐに回復する材料の創製を目標に掲げ、この挑戦に可能性を感じさせる候補材料として、ハイエントロピー合金: HEA(高濃度固溶体合金: CSA)に着目してきた。HEAについては、最近、材料構成原子の拡散挙動や欠陥形成挙動における特異性および高温での照射損傷に対する優位性についても報告されるようになってきた。本発表では、次世代小型炉に対応した技術である積層造型(AM)法を用い、高温で耐照射性を有する低放射化ハイエントロピー材料(RA-HEAs)の創製を目的に実施した基礎基盤研究の現在までに得られている成果を紹介する。
山田 来樹*; 高橋 俊郎*; 長田 充弘; 植田 勇人*
no journal, ,
背弧拡大中の沈み込み帯火山活動の時間変遷とその役割を明らかにするため、西南日本弧富山堆積盆に分布する日本海拡大期火山岩類の地質学的および岩石学的研究を行った。本発表では、地質調査、ジルコンU-Pb年代、ジルコン化学組成(微量元素・Hf同位体組成)、および全岩化学組成(主要・微量元素、Sr-Nd同位体組成)を報告し、富山堆積盆で日本海拡大期に起きた火成活動の時間変遷を議論する。各分析の結果、約23Maのアルカリ系列の流紋岩は非常に肥沃的な全岩Sr-Nd同位体組成やジルコンHf同位体組成を示すため、大陸地殻を多く溶かし込んだマグマだと解釈される。続く18-17Maには非常に多様な安山岩流紋岩質の火成活動があった。このマグマの多様性にはスラブ流体で飽和したマントルの溶融やスラブメルトに汚染されたマントルの部分溶融が関与していると考えられる。
山田 来樹; 長田 充弘; 高橋 俊郎*; 植田 勇人*
no journal, ,
本研究では西南日本の富山堆積盆に分布する中新統南砺層群および八尾層群の岩相層序の構築とジルコンU-Pb年代測定をおこなった。取得した岩相層序とジルコンU-Pb年代を、先行研究による放射年代、古地磁気層序および微化石層序と比較した。これらの結果に基づく対象地層の堆積・定置年代は、以下のようなステージにまとめることが出来る。すなわち、(1)南砺階(23.0-22.3Ma)、(2)不整合形成期(22.3-17.5Ma)の後の岩稲階(17.5-17.3Ma)、(3)医王山-黒瀬谷階(17.3-16.6Ma)、そして(3)東別所-福平階(16.6-15.2Ma)に区分される。各層の形成年代はさらに狭い範囲で推定される。また、いくつかの層については0.01-0.001Myrレベルで推定できた。これらの年代は、近年の研究よりも更に狭く制約されている。これらの結果は、発達する放射年代測定技術と詳細な層序学的データを組み合わせれば、中新世堆積盆の年代層序や形成プロセスを0.1Myrスケールで高解像度に議論ができるようになることを、我々に提示している。本研究は、経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和5年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(地質環境長期安定性総合評価技術開発)(JPJ007597)」の成果の一部である。
上田 吉徳*; 高梨 光博*; 内山 軍蔵; 吉田 一雄; 山根 祐一; 関根 啓二*; 藤田 邦雄*
no journal, ,
再処理施設のリスク評価の検討に資するため、設計上の想定を超える事象が発生した場合の、放射性物質の移行挙動の把握を目的とした研究を開始した。本報告では本研究の背景及び対象事象について述べる。
関根 啓二*; 藤田 邦雄*; 小玉 貴司*; 玉内 義一*; 内山 軍蔵; 吉田 一雄; 山根 祐一; 上田 吉徳*; 高梨 光博*
no journal, ,
高レベル濃縮廃液が沸騰して乾固状態に至る事象に着目した研究を進めるにあたって必要となる、実施設における崩壊熱除去のための冷却系統の構成について、また、冷却機能喪失時に想定される事象進展及び放射性物質放出現象等について調査・整理した。
有森 貴夫*; 川本 乃理子*; 岡崎 伸生*; 中澤 昌美*; 宮武 和孝*; 深溝 慶*; 上田 光宏*; 玉田 太郎
no journal, ,
好熱性細菌 sp. A-471由来キチナーゼ(Ra-ChiC)は、天然資源であるキチンをさまざまな分野で利用できるオリゴ糖へと分解する。しかしRa-ChiCはこれまでに同定されているキチナーゼとはアミノ酸配列の相同性を有さず、キチナーゼとしては唯一GHファミリー23に分類される。一方、GHファミリー23には主にガチョウ型(G-type)リゾチームが属しているが、Ra-ChiCはリゾチーム活性を有さない。われわれは、Ra-ChiCの基質認識機構及び触媒反応機構を解明するため、Ra-ChiCの触媒ドメイン(野生型, E141Q変異体, E162Q変異体)のリガンド非結合型及びキチンオリゴ糖結合型の結晶構造解析を行った。Ra-ChiCは基質特異性を司るトンネル構造を含む基質結合部位を有しており、そのトンネル上に位置するAsp226が塩基触媒として水分子を活性化する機構が構造情報に基づく変異体解析の結果から示唆された。構造的に高く保存された酸触媒として機能するGlu141とこのAsp226の相対配置は、Ra-ChiCの特徴的な機能と関連していると考えられた。
橋本 直幸*; 上田 幹人*; 林 重成*; 岡 弘*; 磯部 繁人*; 山下 真一郎; 板倉 充洋; 都留 智仁
no journal, ,
次世代小型炉に対応した技術である金属積層造形法(3Dプリンティング)を用い、高温で耐照射性を有する低放射化ハイエントロピー材料の創製を目指し、2020年より原子力システム研究開発事業において研究開発を進めている。成果報告として3件のシリーズ発表を行う予定であり、本発表では研究の全体概要を紹介する。
上田 光宏*; 中澤 昌美*; 宮武 和孝*; 岡崎 伸生; 黒木 良太; 玉田 太郎
no journal, ,
好熱性細菌 sp. A-471由来の新規酵素(Ra-ChiC)の結晶化スクリーニング及び条件最適化の結果、0.1mm角程度の結晶を取得した。今回の構造解析から、触媒ドメインは7本のへリックスから構成されており、うち5本へリックスについてはガチョウ型リゾチームの立体構造と類似していた。ガチョウ型リゾチームの触媒残基であるグルタミン酸残基はRa-ChiCにおいて側鎖を含め立体的によく保存されていた(Glu141)。ガチョウ型リゾチームで活性に関与していると考えられる2つのアスパラギン酸については、Ra-ChiCにおいて1つは立体的にほぼ似た箇所にグルタミン酸として存在していた(Glu162)のに対し、もう1つは主鎖構造から完全に異なっていた。これらの違いがキチナーゼ活性とリゾチーム活性の違いを創出していると考えられた。
有森 貴夫; 岡崎 伸生; 中澤 昌美*; 宮武 和孝*; 上田 光宏*; 玉田 太郎
no journal, ,
好熱性細菌由来キチン分解酵素Ra-ChiCは、キチン結合ドメインと触媒ドメインから構成されており、その触媒ドメインはガチョウ型リゾチームと18%程度のアミノ酸相同性を有している。しかしながら、Ra-ChiCはキチナーゼ活性のみを示し、リゾチーム活性は示さない。そこでわれわれはRa-ChiCがいかにして有為なキチナーゼ活性を発揮するかを理解することを目的とし、Ra-ChiCの立体構造解析を行った。その結果、ガチョウ型リゾチームの触媒残基であるGlu残基は、Ra-ChiCにおいて側鎖を含め立体的によく保存されていた(Glu141)が、ガチョウ型リゾチームで活性に関与していると考えられている2つのAsp残基については、Ra-ChiCでは1つは立体的にほぼ似た箇所にGluとして存在し(Glu162)、もう1つは一次構造上全く異なる位置にあるAsp残基が三次構造上で近い位置に存在していた(Asp226)。さらに、Ra-ChiCではAsp226が存在するループ領域が活性部位を覆うような構造をしており、ガチョウ型リゾチームと比較して基質結合ポケットを狭めていた。これらの違いがキチナーゼ活性とリゾチーム活性の違いを創出していると考えられた。
有森 貴夫; 川本 乃理子*; 岡崎 伸生; 中澤 昌美*; 宮武 和孝*; 上田 光宏*; 玉田 太郎
no journal, ,
好熱性細菌由来キチナーゼ(Ra-ChiC)は、天然資源であるキチンをさまざまな分野で利用できるオリゴ糖へと分解する。しかしRa-ChiCはこれまでに同定されているキチナーゼとはアミノ酸配列の相同性を有さず、キチナーゼとしては唯一GH family 23に分類される。一方、GH family 23にはおもにガチョウ型(G-type)リゾチームが属しているが、Ra-ChiCはリゾチーム活性を有さない。われわれは、Ra-ChiCの基質認識機構及び触媒反応機構を解明するため、触媒ドメインのリガンド非結合型及びキチンオリゴ2糖結合型の結晶構造解析を行った。Ra-ChiCの活性部位の構造から、われわれはRa-ChiCの触媒反応にはG-typeリゾチームにも保存されているE141だけでなく、G-typeリゾチームには保存されていないD226も寄与すると予想した。そこで変異体実験を実施した結果、どちらの残基においても変異体では著しい活性の低下が見られた。さらに、E141Q変異体とキチンオリゴ4糖との複合体についても結晶構造を決定した。この構造をもとにリゾチームの基質の構成要素であるN-アセチルムラミン酸(NAM)の結合モデルを作成したところ、Ra-ChiCではD226が存在するループ領域が活性部位を覆っているため、G-typeリゾチームより基質結合部位が狭く、かさ高い置換基を持つNAMの結合においては立体障害が生じることがわかった。このことから、Ra-ChiCがリゾチーム活性を示さないのは、このような基質結合部位の構造の違いが原因であると考えられた。
内山 軍蔵; 吉田 一雄; 山根 祐一; 上田 吉徳*; 高梨 光博*; 関根 啓二*; 藤田 邦雄*
no journal, ,
再処理施設のリスク評価の検討に資するため、高レベル濃縮廃液が設計上の想定を超えて、沸とうして乾固状態に至る事象における放射性物質の移行挙動に関する研究を開始した。本研究の試験研究計画の概要について報告する。