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論文

J-PARCクライストロン短絡保護用半導体クローバースイッチの開発

小野 礼人; 高柳 智弘; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 山本 風海; 金正 倫計

Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.831 - 834, 2021/10

J-PARCでは、直線型加速器の高周波加速用クライストロン電源のクライストロン短絡保護装置(クローバー装置)に水銀整流器(イグナイトロン)を用いている。イグナイトロンは、世界的に使用が制限されている水銀を使用しており、将来的に製造中止が見込まれる。そこで、大電力半導体素子(MOSゲートサイリスタ)を用いたクライストロン短絡保護用半導体クローバースイッチを開発している。1枚当たり、3kV, 40kA, 50$$mu$$sの動作出力を実現するオーバル型基板モジュールを製作した。制御電源供給には、120kVを想定し、各基板モジュールに充電される高電圧を利用する自己給電システムを採用している。このオーバル型基板モジュール10枚を10直列で接続し、既設機器(120kV, 40kA)の電圧に対して1/4スケール(30kV, 40kA)での動作性能を確認することができた。その出力試験結果について報告する。

論文

A Possible modification of ceramic chambers in the injection area at the RCS in J-PARC

菖蒲田 義博; 神谷 潤一郎; 高柳 智弘; 堀野 光喜*; 植野 智晶*; 柳橋 享*; 古徳 博文*

Proceedings of 12th International Particle Accelerator Conference (IPAC 21) (Internet), p.3205 - 3208, 2021/08

J-PARCのRCSの入射部では、セラミックチェンバー上のコンデンサー付きの銅ストライプ(RFシールド)と外部磁場の相互作用により、チェンバー内の磁場が変調する。したがって、この磁場の変調とビームの振動が共鳴を起こすとビームロスが発生する。今回、この磁場の変調を抑制する一つの案として、銅のストライプがチャンバーを螺旋状に覆っている場合について考えた。そして、試験的なチェンバーをベークライトで製作し、コンデンサーにかかる電圧を測定することで、間接的に磁場の変調の様子を数値的,実験的に調べた。一方で、このようなチェンバーが作るビームのインピーダンスへの影響についても、数値的実験的に調査した。結果、螺旋状の銅ストライプは低周波側でインピーダンスの虚部を増大させるが、RCSのビームの不安定化の主原因となっているキッカーインピーダンスに比べれば、小さくできることを明らかにした。

報告書

電磁石電源装置の長期的安定運用を実現する安全安心な維持管理手法の提案

小野 礼人; 高柳 智弘; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 山本 風海; 金正 倫計

JAEA-Technology 2021-005, 40 Pages, 2021/05

JAEA-Technology-2021-005.pdf:4.27MB

大強度陽子加速器施設(J-PARC)の3GeVシンクロトロン加速器には、1MWの大強度ビームを生成するために開発された電磁石用の電源装置が多数配置されている。これらの電源装置は、陽子ビームの軌道制御の要求に合わせて専用に開発されており、多種多様な出力波形の形式,定格仕様、更には異なる筐体のサイズや電源回路で構成されている。J-PARC用に開発されたこれらの電源装置には世界最先端の技術が集約されており、故障が少ない安定した運転、かつ故障時に大きなトラブルに発展しない安全な機器として運用するためには、新しい装置として特徴を良く理解した適切かつ的確な管理により機器装置の性能を維持しなければならない。しかし、それぞれの装置の仕様や機能は異なっており、更には製作メーカーも違っているため、装置の構造・構成・特徴に合わせた維持管理手法が必要である。維持管理の手法は大きく分けて3つのタイプがある。機器・部品の劣化による交換や後継機種への更新を目的とした週・月・年ごとに実施する「メンテナンス」、運転中の装置の状態を常時監視し、異常・異変の有無を確認する「日常点検」、突発的な故障の修理を目的とした「トラブル対応」に分類できる。本報告書では、電磁石電源グループで実施している保守管理の事例を基に、「メンテナンス」、「日常点検」、「トラブル事例」の内容を紹介する。特に、修理などの交換作業を容易にするアイデアを含めた作業管理手法、および装置の構成・構造・特徴に依らない、電源の保守作業時に必要な注意すべき点を整理して報告する。

論文

Kicker power supply for J-PARC 3-GeV RCS with SiC-MOSFET

高柳 智弘; 小野 礼人; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 富樫 智人; 山本 風海; 金正 倫計; 小泉 勲*; 川又 俊介*

JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011020_1 - 011020_6, 2021/03

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、ビーム加速後の取出しに使用するキッカー電磁石の電源に、真空管の一種であるサイラトロンを使用してきた。しかし、より高耐圧、低損失かつ、高周波特性に優れた次世代電力用半導体であるSiC-MOSFETを使用することにより、電源の安定動作,小型化、及び省エネ化の高度化を進めている。RCSキッカー電源で採用されているサイラトロンスイッチ、同軸ケーブルタイプのPFN回路、および、反射波吸収用のエンドクリッパー等の主要な回路は、パワー半導体と蓄積用コンデンサーなどを用いることで一枚の回路基板上に実装可能とした。この回路基板は、単一で800V/2kAを出力できるため、複数枚の回路基板を直列多段に積み重ねることにより、必要な高電圧パルスを出力する。回路設計の詳細と、40kV/2kAの目標仕様に対して半分の20kV/2kAの出力を達成した結果を発表する。

報告書

安全性と信頼性を備えた加速器用電磁石電源装置の設計モデルの構築

小野 礼人; 高柳 智弘; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 山本 風海; 金正 倫計

JAEA-Technology 2020-023, 40 Pages, 2021/02

JAEA-Technology-2020-023.pdf:2.98MB

大強度陽子加速器施設(J-PARC)の3GeVシンクロトロン加速器には、1MWの大強度ビームを生成するために開発された電磁石用の電源装置が多数配置されている。これらの電源装置は、陽子ビームの軌道制御の要求に合わせて専用に開発されており、多種多様な出力波形の形式、定格仕様、更には異なる筐体のサイズや電源回路で構成されている。3GeVシンクロトロン加速器は運転を開始してから10年が経過し、経年劣化が原因と思われる故障が起きている。そのため、定期的に部品の交換や機器の更新を行っているが、連続運転中の予想しないタイミングで故障が発生してしまうなど完全な対策は難しい。J-PARCは多くのユーザーが研究利用をしており、故障時は速やかな復旧が求められる。しかし、異常検出センサーや設計仕様が電源毎に異なり、確認調査に多くの時間が費やされる状況も生じている。そこで、電源装置毎に専用マニュアルを作成し専用の治工具も用意をしたが、経験の無い症状と状況で発生するトラブルもあり、作業者の経験や知見に頼る対応を取らざるを得なくなっている。この様な状況は、多くの時間と労力を要する原因となり、作業間違いや事故が生じる要因にもなる。電源装置で使用するセンサーなどの電気・電子部品は、多くの部分で共通化が可能である。さらに、異常検出の方法を共有化し基本設計に組み込むことで、トラブル対応マニュアルの共有化と予備品の共通化が可能になる。そして、電源装置の構造を、故障による交換作業を前提にした設計にすることで、効率的、かつ実用性に優れたトラブル対応とメンテナンス手法を構築できる。これらの対応は、安全性と信頼性を確立する電源装置の開発に繋がり、加速器装置全体の稼働率向上にも貢献できる。本報告書では、電源装置の開発において設計思想の共有化と部品の共通化の必要性について述べるとともに、安全性と信頼性の確立に必要な基本設計モデルについて、3GeVシンクロトロン加速器の電磁石用電源装置の開発事例を用いて紹介する。

論文

RCSキッカー用半導体スイッチ電源

高柳 智弘; 小野 礼人; 堀野 光喜*; 植野 智晶*; 富樫 智人; 山本 風海; 金正 倫計

Proceedings of 17th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.25 - 28, 2020/09

J-PARCの3GeVシンクロトロン(RCS)キッカー電源を代替する半導体スイッチ電源の開発を進めている。パワー半導体の素子には、現在の主流であるシリコン(Si)製より高周波特性に優れ低損失なシリコンカーバイド(SiC)製の半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を採用し、回路基板の主要な部分は、低ノイズと低インダクタンスを実現した放射対称型のLinear transformer driver(LTD)回路で構成した。また、電源全体は、既存のキッカー電源の機能を有する回路に新たに追加する周回中の大強度ビームの誘導電流低減を目的として反射波吸収回路を1枚のモジュール基板で実装する主回路基板と、フラットトップの時間的一様性を要求仕様に合わせて補正する低電圧出力の補正基板の2種類の組み合わせで構成する。主回路基板は一枚で800V/2kA出力が可能であり、52枚の主回路基板と20枚の補正基板を用いて、RCSキッカー電源に必要な高電圧40kVとフラットトップ平坦度$$pm$$0.2%以下の出力試験に成功した。更に、既設のキッカー電源の実構成を想定した2並列回路による予備試験を実施した。評価結果と今後の展望について報告する。

論文

J-PARC加速器用イグナイトロン代替半導体スイッチの開発

小野 礼人; 高柳 智弘; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 山本 風海; 金正 倫計

Proceedings of 17th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.590 - 593, 2020/09

J-PARCでは、直線型加速器の高周波加速用クライストロン電源のクライストロン短絡保護装置(クローバー装置)に水銀整流器(イグナイトロン)を用いている。イグナイトロンは、世界的に使用が制限されている水銀を使用しており、将来的に製造中止が見込まれる。そこで、大電力半導体素子(MOSゲートサイリスタ)を用いたイグナイトロン代替用半導体スイッチを設計した。クローバー装置に使用するためには、120kV, 40kA, 50usの動作出力が必要である。1枚当たり、3kV, 40kA, 50usの動作出力を実現するオーバル型基板モジュールを製作した。このオーバル型基板モジュール4枚を4直列で接続し、既設機器(120kV, 40kA)の電圧に対して1/10スケール(12kV, 40kA)での動作性能を確認することができた。その出力試験結果について報告する。

論文

Comparative studies of three-dimensional analysis and measurement for establishing pulse electromagnet design

高柳 智弘; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 小野 礼人; 山本 風海; 金正 倫計

IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 30(4), p.4901605_1 - 4901605_5, 2020/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Engineering, Electrical & Electronic)

A new horizontal shift bump magnet for the J-PARC RCS injection system was designed and fabricated. The magnet is a pulse magnet that repeatedly excites a trapezoidal waveform of about 1.5ms at 25Hz with the maximum current of 16kA and the voltage of 12kV. In order to design the magnets of such specifications, three-dimensional analysis of time-varying magnetic field which capable of evaluating eddy currents is required. Using one electromagnet model, the difference between the static magnetic field analysis and the dynamic magnetic field analysis, and the difference between the two-dimensional and three-dimensional analysis were compared, respectively. In addition, we also verified the analysis result and the actual measurement results carried out by the search coil and the hall probe. Finally, we established a pulse electromagnet design method. The verification results by the fabricated electromagnet are presented here.

論文

Development of low inductance circuit for radially symmetric circuit

高柳 智弘; 植野 智晶; 堀野 光喜

Journal of Physics; Conference Series, 1350(1), p.012183_1 - 012183_7, 2019/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.07

J-PARC RCSの安定した運転を維持継続するための高度化研究開発の一つとして、キッカーシステムで採用しているサイラトロン代替用半導体スイッチ回路の開発を行っている。その中で、次世代半導体の一つであるSIC-MOSFETの半導体を用いた放射対称型回路は、多数の半導体スイッチが直列, 並列に多重化された構成である。この放射対称型回路では、全ての並列回路の長さが等しいため、タイミングジッタやレベル変化により出力波形が歪むことは原理的には無い。そのためこの回路は、超高速ショートパルスの波形の出力に有用である。本研究では、電力伝送回路を2重の円リング構造にすることで同軸形状とし、更なる低インダクタンス化を実現する回路を開発した。構造と出力波形から求めたインダクタンス値を比較した結果、約10%の低減を実現した。また、実試験にて計算と実測の比較検証を行い、開発した円リング構造が計算通り低インダクタンス化に有効であることを確認した。

論文

パワー半導体を用いたキッカー用パルス電源とイグナイトロン代替スイッチの開発

高柳 智弘; 小野 礼人; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 山本 風海; 金正 倫計

Proceedings of 16th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.75 - 79, 2019/07

サイラトロンやイグナイトロンなどの放電型スイッチを、より安定した動作を可能とする半導体スイッチに更新する高度化を進めている。キッカー電源で使用しているサイラトロンの代替スイッチとして、SiC-MOSFETを用いた800V/2kA出力のモジュール基板を製作した。高電圧出力用に積み重ねたモジュール基板間の電力伝送構造を同軸リング型とすることで、更なる低インダクタンス化を実現した。その結果、キッカーシステムに必要な立ち上がり250ns以下、フラットトップ1.0us以上を20kV/1kAで実現した。他方のイグナイトロンは、大電力クライストロンの短絡スイッチとして使用されているが、世界的に使用が制限される水銀を用いているため、今後生産中止になる可能性がある。LINACのクライストロン用短絡スイッチは、120kV/40kAを50usでの動作出力が必要である。今回は、MOSゲートサイリスタを用いた3kV/40kAのオーバル型モジュール基板を試作し評価をした結果、動作仕様を満足することを確認した。

論文

J-PARC加速器用イグナイトロン代替半導体スイッチと新キッカー電源の開発

小野 礼人; 高柳 智弘; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 山本 風海; 金正 倫計

Proceedings of 16th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.399 - 403, 2019/07

J-PARCでは、LINACの高周波加速用クライストロン電源のクローバー装置にイグナイトロン、RCSのキッカー電源システムにサイラトロンを用いている。イグナイトロンは、世界的に使用が制限されている水銀を使用しており、将来的に製造中止が見込まれる。そこで、MOSゲートサイリスタを用いたイグナイトロン代替用半導体スイッチを設計した。クローバー装置に使用するためには、120kV, 40kA, 50usの動作出力が必要である。1枚当たり、3kV, 40kA, 50usの動作出力を実現するオーバル型基板モジュールを製作し、仕様を満足すること確認した。また、サイラトロン代替スイッチにSiC-MOSFETを用いたLTD回路を採用したモジュール型パルス電源を製作し、RCSキッカー電源システムに必要な、立ち上がり250ns以下、フラットトップ1.5us以上を実現する。1枚当たり800V, 2kAの主回路基板26枚とフラットトップを補正する100V, 2kAの補正回路基板14枚を積み重ね、20kVの出力を実現した。試験結果について報告する。

論文

Development of radiation resistant monitoring camera system

武内 伴照; 大塚 紀彰; 渡辺 恭志*; 田中 茂雄*; 小沢 治*; 駒野目 裕久*; 上野 俊二*; 土谷 邦彦

Proceedings of 2017 IEEE Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference (NSS/MIC 2017) (Internet), 3 Pages, 2018/11

福島第一原子力発電所事故の教訓から、過酷事故時の環境でも原子炉建屋内の監視が可能な耐放射線性カメラシステムの開発を開始した。本研究は、カメラを構成する部品の要素技術開発を行い、カメラシステムの試作・性能を評価した。まず、要素技術開発として放射線環境下において100Gy未満で使用不能となるイメージセンサの劣化主因が暗電流増加であることを明らかにし、トランジスタの数を4つから3つに減らすとともに光電変換構造としてフォトゲート型を採用することで暗電流の軽減を図った。その結果、イメージセンサの耐放射線性は200kGy以上にまで向上した。また、光学系については、石英とフッ化カルシウムを用いた耐放射線プリズムとズームレンズにすることにより、1MGy照射後においても十分な性能を有することを示した。一方、その他の電子部品については、100kGy未満で故障するものもあり、一部に遮蔽構造を採用した。これらの結果を踏まえ、開発したカメラシステムが900kGy以上の照射線量でも良好な画像を取得できることを明らかにした。

論文

Development of a new modular switch using a next-generation semiconductor

高柳 智弘; 植野 智晶*; 堀野 光喜*

Journal of Physics; Conference Series, 1067, p.082019_1 - 082019_6, 2018/10

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.11

Semiconductor switches using SiC-MOSFETs are expected to substitute the thyratron, and they are designed by connecting many semiconductor switches in parallel-series for high power operation. In order to suppress the common-mode noise caused by switching, it is common to form a symmetrical circuit. However, as the number of parallel connections in the horizontal direction increases, the length of the parallel circuit becomes longer, and the output waveform is distorted due to time lag between the circuits. Therefore, we propose a radially-symmetrical type module switch which can equalize the circuit length regardless of the number of parallel circuit. Even in circuit fabrication, it was easy for the radially-symmetrical type to make the distances of the parallel circuits equal, shorten the circuit length, and make the circuit impedance lower than the line-symmetrical type. It was confirmed that the radially-symmetrical type circuit is very useful for constructing multiple circuits. The design and preliminary test results of two types of switch circuits, radially-symmetrical type and general line-symmetrical type are presented here.

論文

SiC-MOSFETを用いた半導体スイッチ電源の開発

高柳 智弘; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 山本 風海; 金正 倫計

Proceedings of 15th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.244 - 248, 2018/08

3GeVシンクロトロン加速器用パルス電磁石電源の高度化を目的とした超高電圧短パルススイッチ電源に関する発表を行う。現在主流のSi製のパワー半導体より高耐圧,低損失、かつ、高周波動作に優れた次世代パワー半導体のSiC-MOSFETを用いたスイッチ電源の開発を進めている。半導体のSiC化は、サイラトロン代替スイッチや省電力小型スイッチング電源の製品化を可能とする。しかし、J-PARC 3GeV-RCSキッカー電源で採用しているサイラトロンの仕様(80kV/4kA)を1モジュールで満足する製品は開発されていない。その為、パワー半導体を直並列に多重化した回路を構築する必要がある。また、キッカー電源に要求される高速短パルス波形の出力には、パワー半導体の性能向上とは別にインダクタンスや浮遊容量などの回路インピーダンスを考慮した設計がポイントになる。そこで、パワー半導体を同心円状に配列し全並列回路のインピーダンスを同値にできる円形の放射対称型回路を構築した。これにより、回路インピーダンスの差異に起因した波形歪みを抑制できた。本構造はLTD回路に採用されており、半導体新キッカー電源の開発には不可欠である。発表では、SiC-MOSFETを用いたスイッチ回路を放射対称型と一般的な線形対称型でそれぞれ構築し各出力波形歪みを評価した結果、LTD回路を採用した半導体新キッカー電源の予備試験の結果、更に、同じスイッチング回路でSi-IGBTとSiC-MOSFETを置換して損失を評価した結果を報告する。

論文

A New pulse magnet for the RCS injection shift bump magnet at J-PARC

高柳 智弘; 山本 風海; 神谷 潤一郎; Saha, P. K.; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 金正 倫計; 入江 吉郎*

IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 28(3), p.4100505_1 - 4100505_5, 2018/04

The 3-GeV Rapid-Cycling Synchrotron at the Japan Proton Accelerator Research Complex has demonstrated a high power beam equivalent to 1 MW. Therefore, in order to realize more stable operation, we are considering an upgrade plan. Regarding the radiation protection at the upgrade plan, a new injection system has been proposed to secure enough space for radiation shielding and maintenance work. For this purpose, it is necessary to integrate the splitted iron cores of the injection shift bump magnet into one core, the length of which is shorter than the total length of the splitted iron cores. The number of coil turns for the new one core magnet is then increased from 2 to 4. The structural design of the new shift bump magnet excited at 25 Hz repetition rate is in progress from view point of eddy current losses at the magnet edge and the coil temperature by using the OPERA-3D. This paper details these aspects and outlines the new power supply briefly.

報告書

光学部品のガンマ線照射劣化挙動(受託研究)

武内 伴照; 柴田 裕司; 花川 裕規; 上原 聡明*; 上野 俊二*; 土谷 邦彦; 熊原 肇*; 柴垣 太郎*; 駒野目 裕久*

JAEA-Technology 2017-026, 26 Pages, 2018/02

JAEA-Technology-2017-026.pdf:4.0MB

原子力施設でシビアアクシデントが発生した際に、プラント状態を監視し、緊急時対応を円滑に実施するためには、信頼性の高い伝送技術が必要である。本研究では、水中で伝送可能な可視光無線伝送システムの構築を目指して、LEDやフォトダイオード等の光学部品に対して10$$^{6}$$Gyまでのガンマ線の照射による影響を調べた。その結果、LEDは全光束が減少するとともに樹脂レンズ部が着色した。フォトダイオードの電流-電圧特性にはほとんど変化は無かった。フォトダイオードは、受光感度が減少するとともに窓材の樹脂が着色したが、暗電流は伝送に悪影響を与えるほどの大きさにはならなかった。これらの結果から、両素子を無線伝送システムに適用する場合に考慮すべき特性劣化の主因は、半導体部分の劣化ではなく、樹脂の着色によって発光及び受光量が減少することによるものであることが示唆された。また、発光・受光回路部を環境から隔離するための窓材や、外乱ノイズ光を軽減するための光学フィルタとして、各種ガラスについてもガンマ線照射による透過率の減少を評価し、伝送システムの構築に向けた基礎データを取得した。

論文

SiC-MOSFETのLTD回路を用いたRCSキッカー用新電源の開発

高柳 智弘; 金正 倫計; 山本 風海; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 徳地 明*; 虫邊 陽一*

Proceedings of 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.45 - 49, 2017/12

J-PARC RCSは、運転開始から10年が経過し機器の更新が必要となっている。そこで、スイッチング損失が小さく高耐圧の次世代パワー半導体(SiC-MOSFET)を適用したパルス電源の検討を行っている。このパルス電源は、複数の半導体と大容量コンデンサを1枚の基板上で直並列に多重化した回路基板(LTD)で構築する。出力800V/2kAのLTDを主基板とし、並列多段済みにした階層構造とすることで、RCSキッカー電源として必要な電圧40kV、電流4kA、矩形波のパルス幅1500nsの仕様を満足することができる。また、出力電圧が40Vの補基板を複数枚追加し、かつ、その補基板回路の動作トリガの入力タイミングを各々任意に設定することで、矩形波の平坦度補正調整も可能となる。主基板5枚と補基板4枚による最大出力4kV/2kAの予備試験の結果において、RCSの大強度ビーム出力の安定運転の維持に有効であることが確認できた。発表では、回路設計の構造と予備試験結果について報告する。

論文

J-PARC 3GeVシンクロトロンビームコリメータの故障原因究明作業

岡部 晃大; 山本 風海; 神谷 潤一郎; 高柳 智弘; 山本 昌亘; 吉本 政弘; 竹田 修*; 堀野 光喜*; 植野 智晶*; 柳橋 亨*; et al.

Proceedings of 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.853 - 857, 2017/12

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)には、ビーム損失を局所化し、機器の放射化を抑制するためにビームコリメータが設置されている。RCSにて加速中に広がったビームハローは、すべてコリメータ散乱体によって散乱され、吸収体部にて回収される。2016年4月のコリメータ保守作業時に吸収体部の1つで大規模な真空漏れが発生したため、代替の真空ダクトを設置することで応急的な対処を行い、ビーム利用運転を継続した。取り外したコリメータの故障原因を特定するためには、遮蔽体を解体し、駆動部分をあらわにする必要がある。しかし、故障したコリメータ吸収体部は機能上非常に高く放射化しており、ビームが直接当たる真空ダクト内コリメータ本体では40mSv/hという非常に高い表面線量が測定された。したがって、作業員の被ばく線量管理、及び被ばく線量の低減措置をしながら解体作業を行い、故障したコリメータ吸収体の真空リーク箇所の特定に成功した。本発表では、今回の一連の作業及び、コリメータの故障原因について報告する。

論文

J-PARC RCS入射バンプシステムの現状と将来計画

高柳 智弘; 植野 智晶; 堀野 光喜; 富樫 智人; 飛田 教光*; 山本 風海; 金正 倫計

Proceedings of 13th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.699 - 702, 2016/11

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)の入射バンプシステムは、2012年と2013年に、LINACの181MeVから400MeVへのアップグレードに合わせた電源の交換及び電源容量の増強を行った。水平シフトバンプ電源と水平ペイントバンプ電源1は新電源に変更し、水平ペイントバンプ電源2, 3, 4は、定格の電流を1.6倍、電圧を2倍に電源容量を増強するため、既設電源に対してチョッパ盤の追加及びアセンブリ間の配線変更を実施した。そして、2015年1月には、RCS所期性能である1MW相当のビーム加速に成功した。しかし、その後、RCSの加速器が安定したユーザー利用運転を継続していく中で、水平ペイントバンプ電源では、パルスショット毎の電流値の変動(定格の$$pm$$1%以上)がビーム調整時に問題になることが判明した。また、入射部の電磁石周辺では、荷電変換入射による残留線量の増加が散見されるようになった。そのため、電流値の変動については、旧水平ペイントバンプ電源を用いたオフラインでの調査・対策を実施し、残留線量については、入射用水平シフトバンプ電磁石の形状変更による入射部遮蔽体の追加を計画している。本発表では、入射バンプシステムの現状と将来計画について報告する。

論文

耐放射線性を有する水中無線伝送システムの開発

武内 伴照; 大塚 紀彰; 柴垣 太郎*; 駒野目 裕久*; 上野 俊二*; 土谷 邦彦

日本保全学会第13回学術講演会要旨集, p.379 - 386, 2016/07

東京電力福島第一原子力発電所事故の経験や教訓を踏まえ、過酷事故時においても水中における信号伝送が可能な無線システムの高度化に向けた基盤技術開発に取り組んだ。使用する送受信方式の選定や構成部品の耐放射線性評価を終え、要素的な技術開発を完了した。さらに、これらの要素技術を踏まえた送受信系を試作して水中環境を模擬した伝送試験を実施した。その結果、気泡や浮遊物等が存在する水中環境においても環境ロバスト性を有しており、水中5m間の可視光による無線伝送が十分に可能であることが示され、システム開発に目途を付けた。今後は、水中伝送性能のさらなる安定性向上や、放射線環境下におけるセンサ計測データ処理を確証し、システムの技術的な完成を目指す。

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