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服部 高典; 佐野 亜沙美; 有馬 寛*; 小松 一生*; 山田 明寛*; 稲村 泰弘; 中谷 健; 瀬戸 雄介*; 永井 隆哉*; 内海 渉; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 780, p.55 - 67, 2015/04
被引用回数:87 パーセンタイル:99.02(Instruments & Instrumentation)PLANETは高温高圧実験に特化された飛行時間型の中性子ビームラインである。パルス中性子回折実験用に設計された大型の6軸型マルチアンビルプレスを用いることで定常的には高温高圧下約10GPa、2000Kでのデータ測定が可能性である。きれいなデータを取得するために、ビームラインには入射スリットと受光スリットが装備してあり、高圧アセンブリからの寄生散乱が除去可能である。/
=0.6%の高い分解能、0.2-8.4
の広いデータ取得可能
レンジおよび高い寄生散乱除去性能により、高温高圧下での結晶および液体の高精度な構造決定が可能となっている。
廣木 章博; Tran, H. T.*; 長澤 尚胤; 八木 敏明*; 玉田 正男
Radiation Physics and Chemistry, 78(12), p.1076 - 1080, 2009/12
被引用回数:63 パーセンタイル:96.56(Chemistry, Physical)カルボキシメチルセルロース(CMC)とカルボキシメチルキトサン(CMCts)をさまざまな比率(CMC/CMCts:100/0, 75/25, 50/50, 25/75, 0/100)でブレンドし、水と混練りすることで、30wt%のペースト状サンプルを調製した。真空脱気後、線照射することでCMC/CMCtsブレンドゲルを合成した。得られたゲルのゲル分率は、照射線量が20-30kGyの間で急激に増加し、100kGyで約60%に達した。CMCtsに含まれる窒素に着目し、ゲル化前後のサンプルの元素分析を行った結果、サンプル中に含まれる窒素の割合は、ゲル化前後でほぼ一致していることがわかった。したがって、ゲル中のCMCとCMCtsの組成比は、照射前のブレンド比とほぼ同じであると考えられる。ブレンドゲルを金と鉛イオン水溶液に浸漬し、吸着された金属イオンの割合(金属イオン吸着率)をICP-質量分析装置により測定した。金属イオン吸着率は、CMCのみから成るゲルが最も低く、CMCtsの比率が増加するにしたがい増加することがわかった。鉛イオンの吸着率は、約55%から約80%に増加した。金イオンの場合、CMC/CMCts(100/0)ゲルでわずか10%であった吸着率が、CMC/CMCts(75/25)ゲルになると約60%に達し、その後CMCtsの増加に伴い徐々に増加し約90%に達した。したがって、ブレンドゲル中のCMCとCMCtsの組成を調整し、官能基の数を制御することで、金イオンの吸着性能を制御できることが明らかとなった。
岩井 保則; 廣木 章博; 八木 敏明*; 玉田 正男; 山西 敏彦
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1410 - 1413, 2008/12
被引用回数:7 パーセンタイル:43.62(Nuclear Science & Technology)核融合炉プラントのトリチウム水処理システムを構成する固体高分子電解槽の放射線耐久性を精査した。固体高分子電解槽の水電解機能を担うナフィオンN117イオン交換膜について、浸漬条件下にて国際熱核融合実験炉における使用時の線量上限値530kGyを越える線量の線や電子線を照射した結果、1600kGyにおいても機械的強度やイオン交換能について設計要求値以上の放射線耐久性を有することを確認した。使用時の線量上限値530kGyまで固体高分子電解槽の電解性能を維持するためには、商用電解槽において電気絶縁に使用されているテフロンを1500kGyにおいても放射線耐久性を有するポリイミド材に交換することを提案した。Oリングに用いられるゴム材については、1500kGyにおいても機械的強度が変化せず、放射線劣化に伴う有機物の溶出も小さいバイトンが最適であることを明らかとした。
Sarath Kumara, P. H.*; 長澤 尚胤; 八木 敏明; 玉田 正男
Journal of Applied Polymer Science, 109(5), p.3321 - 3328, 2008/09
被引用回数:22 パーセンタイル:54.93(Polymer Science)ポリ乳酸(PLA)に生分解性芳香族ポリエステルであるポリ(ブチレンアジペート・テレプタレート)(PBTA)をブレンドし、橋かけ剤であるトリアリルイソシアヌレートを添加して放射線橋かけを行うことにより。PLA/PBTAブレンド体の熱変形性の抑制だけでなく、力学的性質の改善にも成功した。PBTAとのブレンドと電子線照射による橋かけ構造導入により、PLAの融点以上で形状を保持できるうえ、室温域で柔軟さを付与できることを見いだし、産業応用への道筋をつけた。
岩井 保則; 山西 敏彦; 廣木 章博; 八木 敏明*; 玉田 正男
Fusion Science and Technology, 54(2), p.458 - 461, 2008/08
被引用回数:6 パーセンタイル:39.07(Nuclear Science & Technology)核融合炉で発生する高濃度トリチウム水の電解処理を担う耐放射線型固体高分子電解槽(SPE)を提案した。電解槽に使用する高分子材料は 国際熱核融合実験炉(ITER)におけるトリチウム水処理システムのSPEの目標線量である530kGyにおいて機能が維持できるよう選定した。耐放射線性のある高分子材料としてはイオン交換膜にPtとIrを担持したナフィオンN117膜、Oリングにバイトン、電気絶縁にポリイミドを選定した。これら材料を用いて組み上げた電解槽を線照射した結果として530kGyの線量に対して意図どおりの耐久性を有することを実証した。また、電解槽のイオン交換膜とOリングは9TBq/kgのトリチウム水にさらされるため、メインテナンス時のトリチウム除染が重要となる。イオン交換膜内の自由水に含まれるトリチウムは真空脱水等により速やかに除去できるのに対して、構造水内のトリチウム除去には同位体交換反応の活用が必要となることを示した。
瀧上 眞知子*; 天田 春代*; 長澤 尚胤; 八木 敏明; 笠原 崇光*; 瀧上 昭治*; 玉田 正男
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 32(3), p.713 - 716, 2007/09
カルボキシメチルセルロース(CMC)は水溶性の高分子であり、10%程度のペースト状態で放射線橋かけし、水に不溶な化学ゲルを調製することができる。CMCと酸とを混練するだけで、これまでの放射線橋かけゲルでは作製できない弾力性のあるCMC弾性ゲルを調製できることを見いだした。この新規ゲルは、(1)CMCと酸水溶液とを混練する、(2)上記(1)に線照射する、(3)CMCのペーストに
線照射後に酸水溶液中に浸漬する3つの方法で調製できる。生成直後のゲルの圧縮弾性率は酸の濃度が高くなるのに伴い大きくなり、CMCの置換度、分子量や酸の種類、濃度を変化させ、照射を組合せることにより硬さを広範囲に制御できることを見いだした。CMC弾性ゲルの生成前後のIRスペクトルやEDXの測定結果から、この弾性ゲルは、CMCのカルボキシル基の対イオンとして存在していたNaがHに置換することによりカルボキシル基の解離が押さえられ、CMC分子内あるいは分子間の静電的反発が減少して、CMC分子鎖が凝集してできた物理ゲルであると考えられる。このゲルは、新規で簡便な手法で調製でき、広範囲での応用が期待される。
長澤 尚胤; Wasikiewicz, J. M.*; 瀬古 典明; 八木 敏明; Zhao, L.*; 三友 宏志*; 吉井 文男; 玉田 正男
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 52, 2007/02
放射線で橋かけしたカルボキシメチルキチン(CMCt)及びカルボキシメチルキトサン(CMCts)ゲルを作製し、金や白金等の有用金属イオンの吸着特性を検討した。試料を40%濃度の高濃度ペーストに調製後、フィルム状(1mm厚)に作製し、電子線を所定線量照射後、凍結乾燥して蒸留水中に投入し、その不溶分からゲル分率を評価した。CMCtとCMCtsの最大ゲル分率はそれぞれ72%(75kGy)と50%(100kGy)に達した。これらのゲルは、乾燥ゲル1gあたり8.3g(CMCt), 21.2g(CMCts)の吸水特性を有した。作製ゲルの金属吸着特性は、100mLの金属イオン水溶液(100ppb, pH4.0)に乾燥ゲル50mgを2時間浸漬した後、その上澄み液の金属イオン濃度を誘導結合プラズマ質量分析装置で測定後、初期水溶液と上澄み液との濃度差から評価した。両ゲルとも、金や銅イオンを最も吸着し、CMCtゲルはスカンジウムやカドミニウムを、CMCtsゲルはバナジウムを吸着した。カルボキシメチル化キチン誘導体の放射線橋かけゲルは、金やスカンジウム等の有用金属を吸着し、かつ生分解性を有した捕集材として応用可能である。
長澤 尚胤; Luan, L. Q.*; 八木 敏明; 吉井 文男; 久米 民和; 中西 友子*; 玉田 正男
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 55, 2007/02
アルギン酸ナトリウム(Alg)は褐藻類から得られる多糖類で、そのオリゴ糖の植物生長促進、植物内の酵素活性増大などの新しい生物活性機能が注目されている。本報告では、放射線分解したAlgについて、高い植物生長活性を発現するための照射条件や放射線分解産物の構造について検討した。4%濃度のAlg水溶液で照射してキク,トルコギキョウ,宿根リモニウムの寒天培地に添加した組織培養及び生育試験した結果、増殖率,各々の草丈,根長,新鮮重が向上し、最適な線量,添加濃度及び平均分子量が75kGy,100mg/L,約1.4万であることを見いだした。この照射Algを分子量分画した結果、F2画分(6-15量体)がオオムギの植物生長促進やアルコール脱水素酵素活性誘導の効果が最も高く、低濃度で効果が得られた。酵素分解生成物と比較して、酵素分解物では10%で、放射線分解では26%生成しており、4%水溶液75kGyの照射でF2活性区分の生成量が多いことが、植物生長促進活性の高い要因であることを明らかにした。さらに本活性画分が特異的に蓄積することに加え、Alg分子鎖切断で生成したカルボニル基及びカルボキシル基による構造変化が活性に起因していると考えられる。Algの放射線分解生成物は、顕著な植物生長促進活性及び酵素誘導効果が発現することから、天然物由来の植物生長促進剤としての応用が期待できる。
長澤 尚胤; 金田 綾子*; 松崎 友章*; 金澤 進一*; 八木 敏明; Tran, M. Q.*; 三友 宏志*; 吉井 文男; 玉田 正男; Quynh, T. M.*
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 53, 2007/02
デンプンを原料とする植物由来プラスチックであるポリ乳酸(以下PLAと略記)は、約170Cの高い融点を有し、透明性や機械的特性などが優れていることから、実用化に一番近い材料として有望視されている。しかし、PLAは約60
Cを超えると熱変形し、強度が低下するという欠点があるため、耐熱性の向上が必要とされている。ここでPLAの耐熱性改善に対して、放射線照射による橋かけ構造を導入することを試みた。PLAに融点以上の温度(180
C)でポリマー重量に対して3重量%濃度の各種多官能性モノマーを添加して
線照射したPLAのゲル分率を測定した結果、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)とトリメチルプロパントリアクリレート添加した系のみ、50kGy照射で80%のゲルが生成し、効果的に橋かけ反応が起きた。橋かけ前後の熱機械的分析の結果、未照射PLAでは、約60
Cのガラス転移温度以上で急激に変形し、約100
Cで測定不可能になる。3%TAIC濃度で50kGy照射したPLAでは、約60
Cで変形せず、200
Cでも5%しか変形しないことから、橋かけ構造導入により耐熱性が極めて大きく向上することがわかった。放射線照射によって橋かけしたPLAを熱収縮チューブに応用した。橋かけPLAを200
Cで2.5倍に膨張させ、室温で冷却固定すると熱収縮チューブにでき、このチューブを160
C以上で再加熱すると、元の大きさに収縮して電線などの結束部分の保護材として利用できる。
廣木 章博; 長澤 尚胤; 八木 敏明; 久米 民和; 吉井 文男; 玉田 正男
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 56, 2007/02
当研究グループでは、ベトナムに豊富に存在する海藻やカニ・エビなどの海産物を原料としたアルギン酸やキチン・キトサンなどの天然多糖類を有効に活用した新たな産業の創出を目的に、多糖類の放射線加工に関する研究協力を行っている。6年間に及ぶこれまでの二国間研究協力の中で、植物成長促進剤,抗菌・抗カビ剤,金属吸着材の開発などさまざまな成果を上げてきた。例えば、アルギン酸水溶液に線照射することで、従来の酵素分解法に比べ簡便に低分子量化することができることを見いだした。低分子量化したアルギン酸を添加すると、イネやニンジンの生育が約20%促進されることがわかった。また、
線照射により低分子量化したキトサンの水溶液をマンゴーやバナナの表面に塗布すると、未照射キトサンを塗布したものに比べ、抗カビ作用の向上に伴い貯蔵期間は2
4倍も長くなった。さらに、キトサン誘導体であるカルボキシメチルキトサンをペースト状態で
線照射することによりゲルが得られることを見いだした。このゲルは抗菌性のみならず銅などに対する高い吸着性を有していたことから、有害金属除去材としての利用が期待されている。
八木 敏明; 玉田 正男; 宇田川 昂*
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 57, 2007/02
圧縮成型前にポリ4弗化エチレン粉末(PTFE)を線で照射し、その機械的強度変化を調べた。照射により、PTFEの引張強度は変わらないが、引き裂き強度と伸びは4倍になった。また、窒素及び酸素ガスの透過は低下した。これらの結果から、PTFE粉末への照射は、成形粉末への応用に有効であることがわかった。
小原 建治郎; 角舘 聡; 八木 敏明; 森下 憲雄; 柴沼 清
JAEA-Technology 2006-023, 38 Pages, 2006/03
国際熱核融合実験炉(ITER)の真空容器内に取り付けられるブランケットやダイバータの保守・交換作業には専用のITER保守装置が使用される。作業時の真空容器内は高線量率のガンマ線雰囲気となるため、ITER保守装置には長期間(1年程度)の使用が可能な耐放射線性が求められる。耐放射線モータ駆動装置は、ITER保守装置の耐放射線駆動源の開発を目的としたもので、耐放射線レベルの異なる各種の機器・部品を使用し、ITER保守装置の駆動源を模擬して設計、製作、8kgfの重り(模擬負荷)を指令信号によりモータで回転,制御する装置である。ガンマ線照射下での連続動作試験は、平均線量率を3.6kGy/h、目標積算線量を30MGy以上とし、2000年3月から開始した。試験では、動作時のモータ電流及び主要部の温度データの取得,故障事象の把握,個々の機器・部品の外観変化を観察した。試験は途中に分解点検をはさみ、2段階に分けて実施した。その結果、第1, 第2各段階での装置停止時までの積算線量は47.6MGyと23.9MGy、運転時間はそれぞれ13,200時間と6,640時間となり、ITER真空容器内線量率(0.5kGy/h)から求められる保守装置の耐放射線性を十分に満たすことがわかった。なお、停止の原因は、第1段階では減速機に充填したグリースの硬化、第2段階では電線の絶縁劣化に起因した。本報告書では、耐放射線モータ駆動装置の設計条件、基本仕様をはじめ、照射試験、分解点検の結果等について述べる。
岩井 保則; 山西 敏彦; 磯部 兼嗣; 西 正孝; 八木 敏明; 玉田 正男
Fusion Engineering and Design, 81(1-7), p.815 - 820, 2006/02
被引用回数:15 パーセンタイル:69.45(Nuclear Science & Technology)アルカリの添加なしに直接電解が可能な固体高分子電解法(SPE)は核融合で発生するトリチウム水の処理システム向け電解プロセスとして魅力的であるが、使用においては特にイオン交換膜の放射線耐久性を考慮する必要がある。市販イオン交換膜であるナフィオン膜の放射線耐久性を、原研高崎研究所のCo-60照射施設及び電子線加速器を用い、引っ張り強度,イオン交換能,電気伝導率,透過係数,単位重量あたりの溶解フッ素量等の観点から検証した。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を主鎖にスルホン酸基を側鎖に有するナフィオン膜は、浸水状態における線照射時の引っ張り強度の劣化挙動がPTFEの劣化挙動と大きく異なることを見いだした。イオン交換能の照射線量依存性はナフィオンの各グレードにおいてほぼ同様であった。いずれにせよ核融合実験炉ITERにおいてイオン交換膜に求められる積算照射量530kGyまでは問題となるまでの性能低下が起こらないことを見いだした。ナフィオンの放射線耐久性はその構造式から推定されるよりも高く、温度や照射線種などの影響を検証するとともに、ラジカル反応機構から雰囲気が与える影響を考察した。
岩井 保則; 山西 敏彦; 西 正孝; 八木 敏明; 玉田 正男
Journal of Nuclear Science and Technology, 42(7), p.636 - 642, 2005/07
被引用回数:21 パーセンタイル:76.83(Nuclear Science & Technology)放射性排水の電解処理における高分子材料の耐久性評価を目的に固体高分子電解槽に使用する高分子材料の放射線耐久性を500kGy前後の線照射量において評価した。500kGy前後の
線照射量では電解膜の強度及びイオン交換能,シール材の強度については問題となるまでの低下が起こらないことを明らかとした。絶縁材として従来使用されている四フッ化樹脂系についてはポリイミド系材料に代替させることで電解槽全体の放射性耐久性の問題を解決できる見通しを得た。電解膜の破壊メカニズムについては
線の直接的破壊効果と
線により生成するラジカルによる間接的破壊効果の複合が考えられたが、間接的破壊効果は有意な影響を与えていないことを明らかとした。また劣化に酸素が大きく影響することを明らかとした。容易に測定できる溶出フッ素量は主鎖の劣化を示す強度及び側鎖の劣化を示すイオン交換能とそれぞれ確かな再現性がある相関関係を有することを明らかとした。よって、このことを利用して溶出フッ素量から電解膜の劣化を判定することが可能であることを見いだした。
長澤 尚胤; 金田 綾子*; 金澤 進一*; 八木 敏明; 三友 宏志*; 吉井 文男; 玉田 正男
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 236(1-4), p.611 - 616, 2005/07
被引用回数:81 パーセンタイル:97.80(Instruments & Instrumentation)生分解性のポリ乳酸は硬く、透明性のよい樹脂であるが、ガラス転移温度60C以上で変形が起きるため、耐熱性の改善が急務である。これを改善するには橋かけ構造の導入が有効であるため、反応性の多官能性モノマーについて検討した結果、トリアリルイソシアヌレートが橋かけに最も有効であることを見いだした。照射橋かけにより耐熱性が向上したポリ乳酸は、融点(160
C)以上でも融解しないことから熱収縮チューブへの応用を可能にした。また、橋かけPLAは結晶化が起こらないため熱湯を注いでも透明性を保持しており、食器類への応用が期待できる。
長澤 尚胤; 八木 敏明; 久米 民和; 吉井 文男
Carbohydrate Polymers, 58(2), p.109 - 113, 2004/11
被引用回数:120 パーセンタイル:96.26(Chemistry, Applied)カルボキシメチルデンプン(CMS)をペースト状態の高濃度水溶液で照射して橋かけし、生分解性ハイドロゲルを合成した。CMSの橋かけに必要な濃度,蒸留水や生理食塩水中のゲルの吸水性及び生分解性について検討した。最適な濃度は、20から50%で、1gの乾燥ゲルは、蒸留水中で約500gを、生理食塩水中で約26gを吸水した。また、CMSゲルの生分解性は調整堆肥内で2週間後、約40%と未照射と変わらず、標準セルロース粉末よりも分解しやすいことがわかった。デンプンはアミロースとアミロペクチンの二成分からなっており、橋かけに寄与する成分をカルボキシメチルアミロースとカルボキシメチルアミロペクチンを用いて検討した結果、アミロペクチン成分が橋かけに寄与していることがわかった。
八木 敏明
第14回放射線利用技術セミナー; 広がる放射線の産業利用講演テキスト, p.67 - 72, 2004/10
生分解性プラスチックは、通常の使用に耐え、使用後は土壌中の微生物によって分解する環境に優しい高分子である。放射線橋かけが難しい生分解性プラスチック(ポリ乳酸など)や天然高分子の多糖類(デンプン,セルロース,キチン・キトサンなど)について、放射線による橋かけ構造を導入する技術開発を行った。ポリ乳酸は放射線橋かけにより、高温(160C以上)にも耐える耐熱性が得られ、熱収縮材への応用が可能である。また、デンプンやセルロースなどは放射線橋かけにより、高吸水性多糖類ゲルが得られ、医療・福祉,農業,衛生用品などへの応用が期待できる。
長澤 尚胤; 八木 敏明
Science & Technology Journal, 13(10), p.20 - 21, 2004/10
ポリ乳酸は、放射線照射により分子鎖が切断される放射線分解型の材料であるため、橋かけ構造の導入が困難であった。そこで、橋かけ助剤を用いた放射線橋かけ法の研究を進め、橋かけ構造を導入することに成功し、耐熱性を改善することができた。いろいろな種類の橋かけ助剤中でトリアリルイソシアヌレート(TAIC)が橋かけに有効であることと、TAIC添加濃度が3%で橋かけが促進することを見いだした。また、耐熱性は橋かけしたポリ乳酸フィルムに一定荷重を掛け、昇温による試料の伸び変化測定より評価した。橋かけしていないポリ乳酸では60C以上で形状が保持できなくなるが、TAIC3%で放射線橋かけしたポリ乳酸は、融点である160
C以上でも伸びの変化がほとんどなくなり、ポリ乳酸の耐熱性を著しく改善できることを明らかにした。この技術により高温に耐えるポリ乳酸熱収縮材の開発に進展し、ポリ乳酸の従来品に比べ、収縮性能で約2倍以上、ポリエチレン製熱収縮材に比べ、80
Cでの強度が3倍を有する生分解性で透明性に優れた耐熱性高倍率熱収縮材であるといった具体例をもとにポリ乳酸の橋かけ技術及び応用例を紹介した。
宇田川 昂*; 池田 重利*; 八木 敏明
放射線と産業, (103), p.54 - 58, 2004/09
典型的な放射線分解型の高分子材料として知られているポリテトラフルオロエチレン(PTFE,テフロンの名で知られているフッ素樹脂)について、原料粉末の段階で1kGyを照射し、その後、溶融圧縮成形して得られる成型品は未照射品に比べ、破断伸びが約1.6倍、引き裂き強度が2倍、耐折性は50倍向上することが明らかとなった。また、PTFE延伸多孔質体を低線量照射することにより、多孔質膜の孔経を任意にコントロールできる技術を見いだした。
小原 建治郎; 八木 敏明; 横尾 典子*; 柴沼 清
JAERI-Tech 2003-035, 107 Pages, 2003/03
高線量率(~10kGy/h)下で高照射量(~70MGy)測定が可能な色素線量計を開発した。本線量計は、アルミ合金の薄板表面に作製した酸化膜中にアゾ系の染料を含浸させたもので、丈夫で安価,測定が容易であるなどの特長を持っている。照射量は、線によって退色するアゾ線量の色相あるいは明るさの変化をマンセルの色立体に基づき調整してある分光式色差計によって測定し、別に作成する校正曲線を用いて知ることができる。報告では、本線量計の特性試験(線量計や酸化膜厚,染料種依存性,温度や紫外線による影響)のほか、実用化に向けての課題について述べる。