Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
笹尾 英嗣
no journal, ,
我が国のウラン鉱床では、さまざまな地質学的事象を被りつつも長期間に渡って核種が保持されてきている。このような天然の事例を活用し、地質学的な変動帯に位置する我が国の多様な地質環境における核種の保持・移行挙動についての理解を深めることは、核種移行モデルの不確実性を低減させるとともに、地層処分の安全性に対する信頼性をさらに向上させるうえで有益である。そこで、このような取り組みの端緒として、我が国においてどのような鉱床がどのような岩石中に存在するかを整理した。国内で認められるウラン鉱床及び鉱徴は、おもに第三系の砂岩層や花崗岩中に存在するが、一部は白亜系及び中古生界堆積岩類,変成岩などにも存在することがわかった。このように多様な岩石中にウラン鉱床が存在することは、日本列島のような変動帯においても地層処分に適した地質環境が広く存在することを示唆する。今後、ウランに限らず他の金属鉱床も含めた検討を行うなど、事例を積み上げることによって、地層処分システムの安全性が地質学的な観点から強化され、地層処分に対する安心感の醸成に結びつけられるものと考えられる。
二ノ宮 淳; 梅田 浩司
no journal, ,
活断層・活褶曲・活傾動等の隆起・沈降・水平変動を含む第四紀の地殻変動(活構造)に関する研究は、従来、地形学,地質学及び地球物理学の領域で進められてきた。本研究では、活構造とヘリウム同位体比の関連性を明らかにするため、地殻下部へ深部流体が付加することにより地殻歪みが集中していると考えられている地域(新潟-神戸歪み集中帯)、及びその周辺において、既存のヘリウム同位体データ(He/
He比)のコンパイルを行うとともに、その空間的分布の特徴を明らかにした。その結果、南部,中部,北部で、それぞれスラブ,マグマ,マントル由来と考えられる深部流体の起源と調和的な
He/
He比分布となっていることがわかった。このことから地中ガスのヘリウム同位体比は、地殻変動の活動性を評価するための有効な指標であると示唆される。また、この指標を用いることにより、従来行われてきた地形・地質学的アプローチに基づく地殻変動の活動性の評価に伴う不確実性の低減を図れる可能性がある。
萩原 大樹; 水野 崇
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の処分技術に関する調査研究において、処分施設建設時の水理学的,地球化学的擾乱は、予測と実測の比較を行うことにより水理モデル及び地下水化学モデルの信頼性の向上に用いるとともに、再冠水後における初期状態への復帰の評価を行ううえで重要な課題である。しかし、これらの事例に関する研究例は少ない。このため、研究坑道内に設置された200m予備ステージよりボーリング孔を掘削し、定期的に地下水水質を観測することにより、研究坑道掘削による地下水水質への影響の時間的,空間的な把握を行っている。定期的な地下水水質の観測として、水質の連続的モニタリングと定期的な主要化学成分分析及び同位体分析を実施した。分析結果は、地下水の起源が雨水であることを示唆し、地下水の水質組成は、各区間においてNa-Cl型を示した。また、空間的に塩化物イオン濃度は、立坑からの距離の増加に応じて減少する傾向を示すとともに、時間的に、各区間における濃度の変化は増減の時期や傾向が一致した。各区間での塩化物イオン濃度は、増減の時期や傾向が一致すること、及び間隙水圧との間に相関性が認められることから、研究坑道の掘削に伴う擾乱によるものであると考えられる。以上を総合的に解釈すると、立坑周辺で深部地下水のupconing現象が起きているものと推定された。これらのことから、今回の調査方法が、研究坑道の掘削に伴う地下水水質分布の変化を把握するうえで適切であったと考えられる。
前川 恵輔; 戸村 豪治; 横田 秀晴
no journal, ,
地表から地下への地下水の涵養量は、地層処分の安全評価において重要な地下水流動解析の境界条件を設定するうえで必要となるが、直接測定することが困難なため、降水量,河川流量及び蒸発散量に基づく水収支から推定する方法が一般的に実用に供されている。しかし、推定方法や結果の妥当性,精度を確認した事例は少ない。幌延深地層研究計画では、涵養量の推定に必要な水収支などを把握するための方法論の確認を目的として、気象観測や河川流量観測などから構成される表層水理調査を実施しているが、これまでの調査から、雪寒冷地域では風雪や融雪などを考慮した算定が必要と考えられる。そこで、降雪などの影響を考慮して表層部の水収支を精密に観測可能な装置を設置し観測を開始したので、その概要を報告する。
岡崎 啓史*; 嶋本 利彦*; 上原 真一*; 新里 忠史
no journal, ,
地下の岩石の浸透率や間隙率などの水理特性データは、地層処分で重要となる地下深部での流体移動を推定するうえで必要不可欠な情報である。特に、褶曲や断層帯の形成に伴う変形作用は岩石の水理特性に大きな影響を与えるが、これまで変形作用と水理特性との関連性にかかわる研究例は少ない。幌延深地層研究計画では、地下水流動の長期的な変化を予測するための調査・解析技術に関する研究として、地質構造と水理特性の関連性の調査を進めている。これまでの研究から、幌延地域では衝上断層褶曲帯の地質構造が発達し、褶曲や断層帯の形成及び地層の圧密などの変形作用と岩石の水理特性とに強い関連性のあることが示唆されている。そこで、岩石の水理特性に対する変形の影響を確認するため、幌延町内に分布する新第三紀堆積岩のボーリングコア試料を用いて地下深部の圧力条件下で三軸圧縮変形試験を行った。その結果、勇知・声問層は変形に伴い圧密が進行し流体が通りにくくなり、稚内層は変形による破断面の形成で流体が通りやすくなることがわかった。これらの結果を地下水流動解析に反映することにより解析の不確実性が減少するものと考えられる。
上原 真一*; 松本 拓真*; 嶋本 利彦*; 岡崎 啓史*; 新里 忠史
no journal, ,
流体移動に対する泥質岩のシール性能は地質構造や変形との関連性が示唆されており、健岩部とともに岩盤中の亀裂や断層破砕帯の水理特性を考慮して評価を行うことが重要である。泥質岩中の亀裂は、ある深度で透水性が健岩部と同等になると予想されるが、その深度依存性に関する定量的な評価の研究事例は少ない。幌延深地層研究計画では、堆積岩を対象とした地下水流動特性に関する調査研究を実施しており、健岩部と亀裂ともに水理特性データの深度依存性を考慮した地下水流動解析を行うことにより、堆積岩で予想される事象を考慮したより精度の高い流動特性の評価の例示ができると考えられる。本研究では健岩部と亀裂について水理特性データの深度依存性を明らかにするため、幌延地域の声問層珪藻質泥岩と稚内層珪質泥岩を用いて模擬亀裂を含む試料を作成し、等方性応力下における室内透水試験により、亀裂の透水性にかかわる深度(垂直応力)依存性を調査した。その結果、声問層では垂直応力が1.2MPa程度,稚内層では80MPa程度において、亀裂を含む試料の透水性が健岩部のそれと同等となり、その応力条件は健岩部における岩石の力学特性と関連が認められた。
横田 秀晴; 藪内 聡; 戸村 豪治; 前川 恵輔
no journal, ,
日本原子力研究開発機構では、ボーリング孔を用いた地下水の水圧・水質の長期モニタリングにより、地下施設の建設(坑道掘削)が地下水の水圧・水質に与える影響をどの程度把握することが可能かを研究している。これまでの観測で、立坑に最も近い2孔、すなわち立坑からの距離が100m程度のHDB-6孔と250m程度のHDB-3孔に立坑の建設に伴うと考えられる水圧の低下が認められた。しかし、水位低下が認められた観測深度以浅及び以深では水位変化は認められない。この水位変化はボーリング調査等から推定されている稚内層最上部の高透水性ゾーンから立坑への湧水に起因するものと推定される。今後もモニタリングを継続し、地下施設建設に伴う影響の範囲の把握及び周辺の水理地質構造との関係の把握等を行っていく。
宗像 雅広; 渕脇 博孝; 酒井 隆太郎; 花谷 育雄; 木村 英雄
no journal, ,
広域を対象とした長期地下水流動評価手法の開発の一環として、堆積岩分布地域を対象とした解析的検討を行った。対象となる地域は、砂泥互層が内湾方向に向かって緩く傾斜する単斜構造を呈する。この領域に対し、解析範囲を対象地域の中央に位置する河川とそれを取り囲む5河川の流域(およそ4050km)とした。また、地層の透水性は、既存文献による透水性データを参考に設定し、間隙率は岩相の一般的値からの推定値を用いた。隆起侵食量に関しては、既存の調査を参考に空間分布を考慮して設定した。10万年間の地下水流動解析の結果を見ると、隆起の影響により全水頭の勾配が大きくなり、領域中央に位置する河川の中流域の地下500mにおける流速の変化は5%程度増加していた。流速の変動は場所によって大きな差を示しており、地質の分布等による影響の大小が考えられる。このため、より現実的な隆起侵食速度とその空間分布の設定を行うことで、長期的な流動状況の変化を想定できる可能性が示唆された。
木村 英雄; 宗像 雅広; 花谷 育雄; 酒井 隆太郎; 渕脇 博孝; 松葉 久
no journal, ,
地層処分評価手法の整備を目的として、(1)外的要因を考慮した広域かつ長期にわたる地下水流動解析モデルの構築,(2)広域かつ長期に亘る地下水流動解析モデルの検証方法,(3)広域かつ長期にわたる地下水流動解析コードの整備を実施している。平成16年から平成21年までの研究計画においては、数10100km程度の広域における地下水流動が考慮可能な基本モデルを構築するとともに、その基本モデルによる解析結果の検証のための対象地区を選定して、広域的水文現象に関する既存調査結果並びに知見をもとに検証を行う予定としている。平成19年度からは、地形及び気候関連事象の変化等の外的要因による地下水流動系への影響を評価できる解析モデルに拡張し、水文地質学的変化を伴う広域における長期地下水流動の評価手法を整備中である。本報告並びに関連する報告において、長期的な地下水流動解析を実施する際の解析対象範囲に関する検討、海水面変化が地下水流動に影響を与えるシナリオの検討、地下水流動に与える長期的な地形変化の調査、地形変化がもたらす地下水流動変化の解析的検討等を報告する。
片山 芳則
no journal, ,
最近の研究によって、液体や非晶質でも1次相転移のような圧力誘起構造変化が起こりうることが明らかになってきた。J-PARCの強力な中性子は、このような研究に新しい可能性をもたらす。新学術研究「高温高圧中性子実験で拓く地球の物質科学」の計画研究のひとつである「高圧下における水をはじめとした液体の構造変化」(通称:液体班)は、総括班が整備する高温高圧中性子散乱ビームラインを用いて、世界的にもユニークな高圧下での液体・非晶質研究を実現することを目指している。高圧液体の研究者と不規則系物質の中性子散乱の専門家が協力することによって、実験法や解析法を開発するとともに、中性子のメリットが生きる水をはじめとする化学的に単純な系を対象に、液体中での圧力誘起構造変化に関する新発見を目指す。本講演では、高圧液体研究における中性子のメリットと難しさ、期待される結果について紹介する。
岩月 輝希; 石井 英一
no journal, ,
本研究では、北海道幌延地域を事例として、過去から現在までの地質現象とそれらの地球化学環境との関連性を整理したうえで、研究所設置地区の深部地下水の化学条件の長期的変遷について考察した。その結果、地下水のpH,酸化還元状態が長期に渡って中性付近,強還元状態に維持されてきたことがわかった。また、今後考慮すべき重要な現象として、将来の隆起に伴う水理・地球化学環境の領域の変化やそれにかかわる主要プロセス(水-鉱物-微生物-ガス相互作用)が挙げられる。
森川 佳太*; 岩月 輝希; 細谷 真一*
no journal, ,
本研究では、深度約500mの地下水を対象として、形状の異なる複数の電極を用いて酸化還元電位を測定し、調査における電極選択の考え方を整理した。さらに、地下水中の溶存成分や地上における脱ガス量を計測することで、脱ガスに伴う酸化還元電位の変化とその補正方法について検討した。その結果、電極表面積が小さい点状電極の測定値は、他の電極の測定値よりも高い値となり、表面積の大きな円筒状電極がその他の電極よりも短時間で安定値を取得できることを確認した。したがって、深部地下水の酸化還元電位を測定する際には、使用している電極の特性とその不確実性を理解したうえで、調査に適した電極を選択する必要がある。また、pHと酸化還元電位にかかわる主要なプロセスを解析する際は、脱ガス量とその成分を把握しpHを補正することにより、誤解釈を防ぐことが重要である。
新里 忠史; 五十嵐 八枝子*; 安江 健一
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発では、地層処分システムの長期的な安全性に影響をもたらすことが想定される天然現象の発生様式や傾向及び天然現象による地質環境の変化について、数万年以上の期間で評価・予測することが重要である。本研究では、過去から現在までの地質学的変遷(地史)とそれに伴う地質環境条件の変化量を推定し、その場の将来における地質環境の長期的な変化を予測するというアプローチのもと、北海道北部の幌延地域を事例として、地形・地質調査及び花粉分析等の結果に基づいて過去の地表環境の変化を考察した。その結果、過去21万年間の海岸線位置の変遷,氷期における古気候を推定するとともに、幌延地域の最終氷期後半の植生と永久凍土層の層厚や分布を明らかにした。
丹羽 雄一*; 須貝 俊彦; 大上 隆史*; 田力 正好; 安江 健一; 藤原 治*
no journal, ,
断層活動・海水準変動に伴う地形変化やそれによる地下水流動の変化は、地質環境の長期安定性に影響を与えると考えられるため、断層活動・海水準変動の調査・評価手法の高度化は、地層処分システムの長期安定性を評価する技術を整備するうえで重要な課題と考えられる。本研究では、堆積物の分析に基づく断層活動・海水準変動の復元手法の整備を目的として、濃尾平野で掘削された計8本のボーリングコアの岩相記載・粒度分析・電気伝導度測定・C年代測定を行った。調査の結果、各コアにおいて地震性沈降を示唆する層準が複数認められた。濃尾平野西縁の養老断層系南部を構成する桑名断層では、Naruhashi et al. (2008)によって、複数回の地震性沈降イベントが報告されているが、本研究で得られた各イベントの年代は、それらの年代とおおむね一致している。本研究で用いたコアは、養老断層系北部の養老断層下盤側に位置しており、本研究で得られた結果は、養老断層と桑名断層が同一の活動セグメントをなす可能性を示す。以上の結果から、平野の堆積物の分析は、断層活動・海水準変動を評価するうえで有効な調査手法として利用できる見通しが示された。
福田 朱里*; 萩原 大樹; 石村 豊穂*; 幸塚 麻理子*; 伊藤 一誠*; 角皆 潤*; 鈴木 庸平*; 水野 崇
no journal, ,
地下水の酸化還元電位(Eh)を測定については、安定した測定値を得るまでに長期間要することや、地下水採取時の脱ガス等の化学的な変化によるEhの変化が指摘されている。他方、地下水中の微生物は、地下水中に供給される還元剤・酸化剤を用いた酸化還元反応を利用して生息しているため、代謝活性様式から酸化還元環境を推定できる可能性がある。そのため、Ehの測定に関する不確実性を低減することを目的として、生物化学的な観点から酸化還元環境を測定する研究を日本原子力研究開発機構と産業技術総合研究所が共同で行った。本研究では、採取した地下水試料のEhを従来の電極法で測定するとともに、微生物の代謝活性様式から酸化還元環境を推定した。その結果、電極法による測定結果と微生物の代謝活性様式から推定される酸化還元環境は整合的な結果を示しており、本研究で用いた生物化学的手法により、Ehの測定結果に対する不確実性を低減させることが可能であると考えられる。今後は、生物化学的な擾乱を避けるための試料採取方法等を含めて、本手法の体系化を進める予定である。
田力 正好; 安江 健一; 杉山 真二*; 高田 圭太*; 加藤 孝幸*; 須貝 俊彦; 守田 益宗*; 古澤 明*
no journal, ,
地殻変動に伴う地形変化やそれによる地下水流動の変化は、地質環境の長期安定性に影響を与えると考えられるため、地殻変動の調査・評価手法の高度化は、地層処分システムの長期安定性を評価する技術を整備するうえで重要な課題と考えられる。内陸部の地殻変動は、おもに河成段丘を用いて推定されるが、この手法は河成段丘が気候変動に連動して形成されるというモデルに基づいているため、この手法を実際に適用するためには、対象地域の河成段丘が気候変動に連動して形成されたことを確認する必要がある。本研究では、それを確認する一方法として、植物珪酸体分析に基づく古気候(段丘の形成環境)の復元を試みた。鏑川流域の、低位・中位段丘堆積物から採取された植物珪酸体試料からは、寒冷な気候が復元された。このことは、これらの段丘堆積物は寒冷期に堆積したことを示し、鏑川流域において段丘が気候変動に連動して形成された可能性を示唆する。以上の結果から、植物珪酸体分析は古気候の復元、及び段丘の形成環境を推定するうえで有効な調査手法として利用できる見通しが得られた。
野原 壯; 田力 正好; 安江 健一; 草野 友宏
no journal, ,
地形変化に伴う地下水流動の変化は、地質環境の長期安定性に影響を与えると考えられ、地形調査の結果に基づく地下水流動の変化の調査・評価手法の有効性を確認することが課題である。本研究では、土岐川(庄内川)流域の河成段丘の分布に基づいて、地下水流動場の長期的変化の傾向を推定した。また、推定結果の検証の試みとして、既存の放射非平衡調査結果との比較を行った。その結果、最近数十万年間の河川侵食による起伏の増加に伴い、ローカルな地下水流動の主な湧出域が移動した範囲が示された。また、推定された主な湧出域の放射非平衡の特徴から、過去約数千年間の地下水上昇が示唆された。本研究により、河成段丘の情報に基づく地下水流動場の長期的変化の傾向を推定する手法の有効性と、放射非平衡を用いた検証方法の可能性が示された。
三枝 博光; 大澤 英昭; 大山 卓也; 尾上 博則*
no journal, ,
地上からの地質環境特性評価技術を知識化するため、水理地質構造モデル構築及び地下水流動解析にかかわる意思決定プロセスを整理することを目的として、超深地層研究所計画における経験に基づき、作業項目分類及び手順の整理を行うとともに項目ごとに詳細な作業内容を分析・整理した。構築した意思決定プロセスは、一連の地質環境調査の進展によって変化する情報の質や量,社会状況などに応じて、調査計画の立案や実施,変更を支援する次世代型サイト特性調査情報統合システムにおけるルールベースや事例ベース作成に使用するものである。
石丸 恒存; 黒澤 英樹; 小坂 英輝*; 丹羽 正和; 島田 耕史
no journal, ,
断層活動は、周辺岩盤に対して破断・変形といった力学的な影響を及ぼすとともに、新たな水みちの形成など水理学的にも影響を及ぼすと考えられる。放射性廃棄物の地層処分などの大深度地下構造物を建設する場合には、地域周辺に分布する断層の活動性や断層活動に伴う影響範囲をさまざまな調査手法の組合せによって適切に把握し、その安全性を評価することが有効と考えられる。このような断層活動の影響にかかわる調査手法の一つとして、断層破砕帯などから放出されるガスのうち、おもに水素ガスを利用した調査手法の適用性の検討を進めている。これまでに実施した跡津川断層,阿寺断層,野島断層,仮屋断層,山形断層,仏像構造線及び跡倉ナップ基底断層周辺の水素ガス濃度測定の結果からは、活断層では地質断層と比べて水素ガス放出量が多い傾向が認められた。このように、本手法の適用により対象とする地域での断層調査にかかわる不確実性低減に寄与できる見通しを得た。
村上 亮*; 川村 淳; 佐々木 寿*; 牧野 仁史; 瀬尾 俊弘; 西村 卓也*; 梅田 浩司; 大井 貴夫; 下司 信夫*; 及川 輝樹*
no journal, ,
火山噴火シナリオは、従来、主として火山活動の物理・科学的な機構の理解に基づき、経験論的に噴火の推移について検討されてきた。しかしながら、火山噴火シナリオをある火山の経験論だけに基づいて検討した場合、過去にその火山が経験したことのない事象は、シナリオから抜け落ちる恐れがある。そのため、いろいろな火山を対象として情報を収集し、抜け落ちをフォローする手法を整備する必要がある。それに対応するために、本研究では地層処分で検討されてきたシナリオ解析手法(FEP解析手法)を火山噴火に応用し、火山活動の進展の予測に資する火山噴火シナリオ解析手法の開発を目的とした。その結果、FEP解析手法を適用することにより、火山噴火シナリオが構築可能である見通しを得た。また、地層処分で開発されたFEP解析手法の他の分野への適用可能性についての見通しも得られた。今後は、情報の充実を図るとともに、他の火山への適用も検討する。また、本作業を通して、FEP解析手法の改良を行う。