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水野 崇; 鈴木 庸平*; Milodowski, A. E.*; 岩月 輝希
Applied Geochemistry, 150, p.105571_1 - 105571_11, 2023/03
地下水中における嫌気的メタン酸化(AOM)は、地下水の酸化還元条件と炭素循環の両方に影響を及ぼすものの、地層処分の母岩となりうる結晶質岩を対象とした研究例は少ない。そのため、本研究では、日本の中央部に分布する土岐花崗岩の割れ目に産出する二次鉱物である方解石を対象に、炭素と酸素の安定同位体組成に着目した古水理地質学的研究を実施した。その結果、酸素同位体組成(O
: -32.7‰
-0.59‰)から、方解石を析出させた地下水は熱水由来の地下水、地表から浸透した淡水、海進時に侵入した海水であることが明らかとなった。一方、炭素同位体組成
C
: -56.6‰
+6.0‰)は、熱水,淡水,海水由来のDICの炭素同位体組成の範囲(-25‰
+2‰)より広い範囲に分布していた。-25‰より軽い
C
を持つ方解石はAOMから供給されたDICを起源として沈殿したと考えられ、+2‰より重い
C
を持つ方解石はメタン生成時に
Cが濃縮したDICを起源として沈殿したと考えられる。北欧における先行研究とは異なり、瑞浪のAOM方解石は淡水環境で沈殿したものであり、結晶質岩の深部では様々なプロセスによりAOMが生じる可能性があることが示された。このような幅広い環境下での炭素循環を理解することは、地層処分システムの長期的な安全性を評価する上で重要な知見を提供できると考えられる。
Ochs, M.*; Dolder, F.*; 舘 幸男
Applied Geochemistry, 136, p.105161_1 - 105161_11, 2022/01
被引用回数:3 パーセンタイル:82.21(Geochemistry & Geophysics)さまざまな種類の放射性廃棄物や環境中に含まれる有機物は、放射性核種との安定な錯体を形成し、収着による遅延効果を低減させる可能性がある。本研究では、有機配位子が共存するセメントシステムにおける収着低減係数(SRF)を定量化する方法論の適用性を評価する。SRFの推定のための3つの手法、(1)溶解度上昇係数との類似性、(2)熱力学的計算に基づく化学種分布、(3)三元系での収着実測データを組合わせ、代表的な有機配位子(ISAおよびEDTA)および選択された主要な放射性核種(アクチニド)を対象に評価を行った。ここで提案した手法により、評価対象とするシステムに関連する利用可能なデータ等の情報量に応じて、3つのSRFの定量化手法の有効性を評価することが可能である。最も信頼できるSRFは、三元系での収着実測データから導出することができる。そのような直接的な証拠がない状況でSRFを導出する必要がある場合、類推評価や熱力学計算からの推定を行うことになるが、それらの推定には不確実性を伴うことに留意する必要がある。
Mei, H.; 青柳 登; 斉藤 拓巳*; 香西 直文; 杉浦 佑樹; 舘 幸男
Applied Geochemistry, 136, p.105178_1 - 105178_8, 2022/01
被引用回数:2 パーセンタイル:0.01(Geochemistry & Geophysics)Dissolved inorganic carbonate ions (DIC) present in groundwaters may affect both the aqueous and surface species of U(VI) due to its strong complexation ability with U(VI). However, it is still not clear how DIC affects U(VI) sorption on illite, which is one of the critical components in argillaceous rocks. In this study, the sorption of U(VI) on conditioned illite du Puy in presence of varying DIC concentrations (up to 250 mM DIC) as a function of pH was investigated by combining batch sorption experiments, surface complexation modeling, and the cryogenic time-resolved laser fluorescence spectroscopy (TRLFS). The distribution coefficients of U(VI) were sensitive to the DIC concentration, which decreased with an increase of DIC. There is no sorption of U(VI) under relatively high DIC concentrations (100 mM DIC). The U(VI) sorption behavior on illite was modeled by using the 2 Site Protolysis Non-Electrostatic Surface Complexation and Cation Exchange model. Two ternary surface complexation reactions with carbonate were needed to depict the experimental sorption data in addition to binary and ternary hydroxo surface complexation reactions employed for the description of U sorption to illite without carbonate. The cryogenic TRLFS revealed that U(VI) did sorb to illite in presence of high DIC concentration (up to 10 mM DIC). The spectra were unchanged with DIC at pH 8.5, suggesting the surface speciation of U(VI) remained the same. The decay curves were biexponential, which further indicated that at least two species were responsible for the sorption. Our finding will help to predict the transport and retention behaviors of U(VI) near radioactive waste repositories.
Wilson, J.*; Bateman, K.; 舘 幸男
Applied Geochemistry, 130, p.104979_1 - 104979_19, 2021/07
被引用回数:8 パーセンタイル:70.03(Geochemistry & Geophysics)地層処分概念では、セメント系材料の様々な目的での使用が想定されている。粘土質岩が対象母岩である場合、高アルカリ条件のセメント間隙水が、粘土質岩中の主要鉱物を不安定化させ、セメントと岩石の境界部に変質領域を生じさせる。文献のレビューにより、実験研究、アナログ研究及びモデル化研究から得られるプロセスの理解の現状と、残された課題が抽出された。セメントと粘土質岩の相互作用で生じる鉱物の変遷プロセスについて理解が進んでいるものの、今後の課題として、処分環境に近い温度条件でのセメントと粘土質岩の変遷プロセス、二次鉱物生成の反応速度、二次鉱物生成に伴う間隙閉塞、変質が放射性核種の移行に及ぼす影響などが特定された。
渡邊 隆広; 土屋 範芳*; 山崎 慎一*; 澤井 祐紀*; 細田 憲弘*; 奈良 郁子*; 中村 俊夫*; 駒井 武*
Applied Geochemistry, 118, p.104644_1 - 104644_11, 2020/07
被引用回数:9 パーセンタイル:72.06(Geochemistry & Geophysics)地層中の津波堆積物の分布から、過去の津波浸水域を推定することが可能である。津波浸水域に関する情報は、今後の防災や減災計画の基礎データとして利用することが期待されている。しかし、津波堆積物を用いて過去の津波浸水域を復元するにあたり、形成年代の決定、津波堆積物の供給源の特定、洪水や高潮堆積物との区別、及び目視で判別困難な泥質津波堆積物の検出等が現状で解決すべき課題となっている。本研究では上記の問題を解決する一つの手段として、津波堆積物の地球化学判別手法を提案した。仙台平野において採取された堆積物の化学分析を実施し、津波堆積物の判別手法の改良を試みた。分析の結果、カルシウム等の単成分による津波層検出は、後背地の特徴や貝殻の有無などの影響を強く受けることから必ずしも有効ではなく、ケイ素とアルミニウムとの相対比についても、砂層の検出には有効であるが、その供給源に関する情報は乏しいことが示された。一方、ナトリウムとチタンとの相対比を用いることによって海由来の物質で形成された堆積層を検出できる可能性が高いことが示唆された。
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; Solomon, D. K.*; 宮川 和也; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 松本 拓也*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 小野 昌彦*; et al.
Applied Geochemistry, 104, p.60 - 70, 2019/05
被引用回数:3 パーセンタイル:23.35(Geochemistry & Geophysics)地下水に溶存している希ガス(He, Ne, Ar, Kr, Xe)は、地下水の起源や滞留時間、涵養温度などの推定に使われる。地下水に溶存しているガスを全て定量することが望ましいが、一方で、地下水の採取に伴う溶存ガスの脱ガスを避けることは難しい。本研究は、地下水の採取に伴う溶存希ガスの脱ガス挙動について調べ、その補正方法を提案するものである。地下施設及び深層ボーリングから地下水試料を採取し、原位置の圧力を維持した状態で採取した試料と、圧力を低下させて脱ガスさせた試料との比較を行った。その結果、溶存ガス圧が低い試料(約4.6気圧以下)については、大気圧下で脱ガスさせた場合、気液平衡が成り立つことが分かった。一方で、溶存ガス圧が高い試料(約32気圧)については、気液平衡が成り立たないことが分かった。気液平衡が成り立つ試料については、脱ガスの影響を補正することが可能であるが、気液平衡が成り立たない試料については、補正が困難であり、さらなる検討が必要である。
田中 万也; Kaplan, D. I.*; 大貫 敏彦
Applied Geochemistry, 85(Part B), p.119 - 120, 2017/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.3(Geochemistry & Geophysics)Applied Geochemistry誌において「環境中の天然・人工放射性核種の化学形態の変化及びそのゆくえ」と題して特集号を組んだ。本特集号は、様々な環境における天然・人工放射性核種を扱った13編のピアレビュー論文からなる。また、これらの論文はフィールド研究から室内実験まで幅広い題材を取り上げており、主に放射性核種の吸着・酸化還元挙動に関するものである。本特集号は、2016年に横浜で開催されたゴールドシュミット国際会議の出席者及び本特集号のテーマに関する研究分野の研究者により執筆された論文から構成されている。
岩月 輝希; 宗本 隆志*; 久保田 満*; 林田 一貴; 加藤 利弘*
Applied Geochemistry, 82, p.134 - 145, 2017/05
被引用回数:7 パーセンタイル:35.3(Geochemistry & Geophysics)瑞浪超深地層研究所において、地下水及び懸濁態粒子に含まれる希土類元素の挙動について研究を行った。その結果、地下水中の希土類元素の1060%が懸濁粒子に付着して存在することが確認された。希土類元素が付着する懸濁粒子は主に炭酸塩コロイドであり、一般的な地下水は炭酸塩鉱物に対して飽和平衡状態にあることから、炭酸塩コロイドの起源は炭酸塩鉱物と推察された。また、坑道閉鎖環境においては、地下水中の溶存態及びコロイド態の希土類元素濃度が、周辺の地下水に比べて有意に低下することが確認された。熱力学計算により地下水に溶存する希土類元素は主に炭酸錯体と推測され、坑道壁面のセメント吹付上に炭酸塩コロイドとともに吸着・共沈していると考えられた。以上の事から、地下施設におけるセメント材料の使用は、希土類元素の移動し難い環境を形成すると考えられる。
山崎 信哉*; 田中 万也; 香西 直文; 大貫 敏彦
Applied Geochemistry, 78, p.279 - 286, 2017/03
被引用回数:3 パーセンタイル:16.49(Geochemistry & Geophysics)環境中において、水溶性の六価ウランから難溶性の四価ウランへの還元反応はウランの移動度が劇的に変化するため、重要な反応である。本研究では、嫌気性微生物に由来し酸化還元能を有するフラビン化合物が六価ウラン還元反応に与える影響を電気化学的手法を用いて検討した。フラビンを電気化学的に還元すると、フラビンから六価ウランに電子が移動して四価ウランになることが紫外可視吸収スペクトルから確かめられた。また電気化学測定の結果から、フラビンから六価ウランへの電子移動速度を決定した。また、フラビン化合物が存在することで、六価ウランの見かけ上の還元電位が0.2V上昇し、より還元されやすくなることが新たに分かった。
宮川 和也; 石井 英一; 廣田 明成*; 小松 大祐*; 池谷 康祐*; 角皆 潤*
Applied Geochemistry, 76, p.218 - 231, 2017/01
被引用回数:11 パーセンタイル:46.9(Geochemistry & Geophysics)炭酸塩はその形成時に、地下水水質の変遷履歴などの古水理地質情報を記録している可能性があり、地下に形成された炭酸塩脈は、過去の環境の変遷を知る手掛かりになる。本研究では、北海道北部の新第三系海成堆積岩である声問層と稚内層中に見られる炭酸塩脈の産状のコントラストについて、炭酸の供給源の観点からその成因を検討した。炭酸塩脈は、珪藻質泥岩の声問層中にはほとんど見られないが、珪質泥岩の稚内層中には見られる。地下水中に溶存している多量のメタンは微生物活動による二酸化炭素還元反応によって形成されていることが、同位体比分析の結果から分かった。岩盤中の全有機物量は、声問層では深度の増加とともに小さくなるが、稚内層では深度によらず一定であることが分かった。これはこれらの地層境界が、有機物の続成作用区分としてダイアジェネシス期からカタジェネシス期への変化点に相当することを示唆しており、ガスや炭酸塩の炭素同位体比もまた、稚内層中では深度とともに急に重くなっていることが分かった。以上のことから、次のような炭酸塩脈の形成プロセスが考えられる。有機物の続成作用があまり進んでいない声問層では、微生物により有機物が分解され、二酸化炭素が地下水中に供給される。一方で、声問層と比較した時に、稚内層では続成作用が進んでおり、有機物が比較的分解されにくい。このため、メタン生成反応に伴う炭酸の消費が補われることがないため、同時に炭酸塩脈が形成されやすい環境であったことが推察された。
梅田 浩司; 浅森 浩一; 草野 友宏
Applied Geochemistry, 37, p.134 - 141, 2013/10
被引用回数:11 パーセンタイル:37.26(Geochemistry & Geophysics)断層から放出されるガスの同位体組成を指標に、地形判読では不明瞭な活断層の位置を特定するための調査技術の開発を進めている。今回はこれらの技術開発の一環として、2011年6月30日に発生した長野県中部の地震(M5.4)の震源域周辺において、地下水の溶存ガスや温泉の遊離ガスの採取を行い、希ガス同位体の測定を行った。その結果、地震を引き起こした牛伏寺断層に沿って高いHe/
He比が観測された。また、地震発生前に比べて断層近傍ではマントル起源ヘリウムが、断層から離れた地域では地殻起源ヘリウムの含有量が増加する傾向が認められる。
笹本 広; Arthur, R. C.*; 濱 克宏
Applied Geochemistry, 26(8), p.1464 - 1477, 2011/08
被引用回数:12 パーセンタイル:37.79(Geochemistry & Geophysics)高レベル放射性廃棄物の地層処分において、地下深部の未擾乱状態の水理地球化学的条件を把握することは、処分の性能評価において初期条件となる地下水の地球化学的条件を設定するうえで重要である。本報では、幌延の深地層研究所計画における地上からの調査段階で得られた地下水データをもとに、経験的及び統計的手法による地下水データの信頼性・相関性のチェックや地球化学モデルを用いた未擾乱状態の水理地球化学条件の解釈(推定)を行い、地上からの調査段階で得られた地下水データの品質や信頼性を評価する手法の適用性を検討した。
Savage, D.*; Soler, J. M.*; 山口 耕平; Walker, C.; 本田 明; 稲垣 学; Watson, C.*; Wilson, J.*; Benbow, S.*; Gaus, I.*; et al.
Applied Geochemistry, 26(7), p.1138 - 1152, 2011/07
被引用回数:19 パーセンタイル:50.72(Geochemistry & Geophysics)放射性廃棄物の地層処分施設で亀裂のグラウトやトンネルのシール材などとしてセメント系材料を使う場合には、化学的反応性に関する潜在的な問題が生起する。処分の長期安全性評価という点からは、セメントと岩盤などとの反応やその変化について定量的にモデル化することが求められる。LCS(Long-term Cement Studies)プロジェクトとして、NDA(UK), Posiva(Finland), 原子力機構のモデリングチーム間で、セメント水和反応及びセメント-岩反応についての室内実験に対するモデリング比較研究を行った。この結果、どちらの実験についても、詳細なパラメータ化の点で顕著な違いはあるものの、主要な反応経路についてはとてもよく理解できており、チーム間でも矛盾しないことが示された。今後、長期スケールにおける鉱物-水反応の評価に役立つような適切なナチュラルアナログやインダストリアルアナログなどの事例に着目したモデリング研究を行うことが望まれる。
吉田 英一; Metcalfe, R.*; 山本 鋼志*; 天野 由記; 星井 大輔*; 兼清 あきこ*; 長沼 毅*; 林 徹*
Applied Geochemistry, 23(8), p.2364 - 2381, 2008/08
被引用回数:8 パーセンタイル:25.23(Geochemistry & Geophysics)地下環境における酸化還元フロントは、多くの微量元素の移行及び固定を制御している。放射性廃棄物の地層処分に関する安全評価にとって、廃棄体周辺の長期に渡る酸化還元反応を評価することが必要となってくる。これらの反応を理解するために、隆起した堆積岩中に形成された酸化還元フロントに関する研究を実施したところ、フロントに存在する鉄酸化物の形成に微生物代謝が関与している可能性が示唆された。本報告で観察されたような水-岩石-微生物相互作用は、廃棄体周辺に形成される可能性のある酸化還元フロントで起こる反応のアナログとなると考えられる。このような酸化還元フロント中に形成された鉄酸化物は、廃棄体閉鎖後に還元環境が復元された後も保存される可能性がある。
安藤 麻里子; Schnabel, C.*; Cook, G.*; MacKenzie, A. B.*; Dougans, A.*; Ellam, R. M.*; Freeman, S.*; Maden, C.*; Olive, V.*; Synal, H.-A.*; et al.
Applied Geochemistry, 22(3), p.628 - 636, 2007/03
被引用回数:16 パーセンタイル:40.84(Geochemistry & Geophysics)英・セラフィールド再処理工場に近い湖水地方において、海水,湖水及び河川水中のI/
Iを2004年及び2005年に加速器質量分析装置(AMS)を用いて測定した。アイリッシュ海の
I/
I比は2.8
10
から8.2
10
であり、再処理工場からの液体放出の増加を反映して、1992年の測定結果の約10倍に増加した。湖水地方の湖水中
I/
Iは0.7
10
から6.4
10
であり、再処理工場からの距離に応じて指数関数的に減少した。
Schnabel, C.*; Olive, V.*; 安藤 麻里子; Dougans, A.*; Ellam, R. M.*; Freeman, S.*; Maden, C.*; Stocker, M.*; Synal, H.-A.*; Wacker, L.*; et al.
Applied Geochemistry, 22(3), p.619 - 627, 2007/03
被引用回数:20 パーセンタイル:46.8(Geochemistry & Geophysics)スコットランドの海水中I/
Iを2003年から2005年にかけて測定し、西スコットランドにおける最初の
I/
Iデータを含む全体的な分布を示した。南西スコットランドにおける
I/
I比は2004年において3
10
であった。北東スコットランドにおける
I/
Iは1992年から2003年の間に約6倍に増加しており、セラフィールド再処理工場からの
I液体放出の上昇を反映している。
岩月 輝希; 古江 良治; 彌榮 英樹; 井岡 聖一郎; 水野 崇
Applied Geochemistry, 20(12), p.2283 - 2302, 2005/12
被引用回数:53 パーセンタイル:72.59(Geochemistry & Geophysics)瑞浪超深地層研究所の建設に先立ち、周辺の地下水の地球化学特性について、建設による擾乱が起こる前の初期条件を把握するために調査研究を行った。その結果、地下水の水質分布,形成機構,滞留時間,地球化学的に推測される地下水流動状態などについて概念モデルを構築することができた。
松永 武; 長尾 誠也*; 上野 隆; 武田 聖司; 天野 光; Tkachenko, Y.*
Applied Geochemistry, 19(10), p.1581 - 1599, 2004/10
被引用回数:34 パーセンタイル:55.67(Geochemistry & Geophysics)溶存有機物(腐植物質)濃度の高いチェルノブイリ事故地域の河川水・湖沼水において、Sr,
Pu,
Amと水中のコロイドとの結びつきを実験的に研究した。「限外ろ過」とよばれる手法でコロイドサイズの浮遊粒子を分別して、核種分析を行った。この結果、60-80%の
Pu,
Amは分子量相当サイズ10000daltonを超えるコロイド成分に偏在する一方、
Srは1000dalton以下の成分にその90%以上が見いだされた。コロイド成分の元素分析,有機炭素分析,分光特性分析の結果は、Pu, Amと結びついている大きな分子量サイズのコロイドが、腐植物質であることを強く示唆している。一般に、腐植物質に含まれるフェノール基等と放射性核種が錯体をつくることが知られている。この錯体形成反応をモデル化した計算を行った結果、チェルノブイリ地域で見いだされた上記の実験結果を説明することができた。また、腐植物質の濃度が低い国内河川環境でも溶存するPu, Amの多くは腐植物質と結びついた状態となることが推定された。以上の結果、腐植物質を主成分とする有機物コロイドが表面水系におけるアクチニドの存在形態を定めるという役割を一般的に有することが明らかとなった。
Bros, R.; 亀井 玄人; 日高 洋*; 大貫 敏彦*
Applied Geochemistry, 18(12), p.1807 - 1824, 2003/12
被引用回数:32 パーセンタイル:52.52(Geochemistry & Geophysics)ガボン共和国オクロの天然原子炉を対象に、原子炉ゾーンからのU,REE,Zr,MoおよびSeの挙動を、岩石資料からの溶媒抽出法とSHRIMP法で調査した。その結果、Zrはほとんど移動せず、U,REE,Moは原子炉から数mの範囲の移動を認めた。またUは二次的なUOリンに富むコフィナイトとして、沈澱することが遅延の主な原因であると考えられた。Seには遅延の効果は認められなかった。
福士 圭介*; 佐々木 美和*; 佐藤 努*; 柳瀬 信之; 天野 光; 池田 穂高*
Applied Geochemistry, 18(8), p.1267 - 1278, 2003/08
被引用回数:206 パーセンタイル:95.9(Geochemistry & Geophysics)西ノ牧廃鉱山では、鉱滓周辺の水は酸性でヒ素を多く含んでいる。しかし、下流のヒ素濃度は自然に減少する。このような自然浄化の機構を研究するために、河川水と沈殿物を採取した。試料はXRD, IR, ICP-MS及びイオンクロマトにより分析した。沈殿物については選択的抽出法による分析も行った。得られた結果を地球化学コードによる解析結果と比較検討した。パイライトとリアルガーの酸化により放出されたFe(II)は、バクテリアの酸化作用によりFe(III)となりシュベルトマナイトを生成する。シュベルトマナイトのような水酸化鉄はヒ素に対して大きい収着能を示す。この反応により下流の河川水中ヒ素濃度はバックグラウンドレベルまで下がり、沈殿物のヒ素濃度は60mg/gまで上昇する。したがって、ヒ素はシュベルトマナイトの生成により効果的に河川水から除去され自然浄化されることがわかった。