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西野 紗樹; 岡田 純平; 渡邉 一樹; 古内 雄太; 横田 知; 矢田 祐士; 草加 翔太; 諸角 詩央里; 中村 芳信
JAEA-Technology 2023-011, 39 Pages, 2023/06
2014年に廃止措置に移行した東海再処理施設は、2007年の運転停止時に再処理運転の再開を計画していたことから、分離精製工場(MP)等の一部機器には、核燃料物質(使用済燃料せん断粉末、低濃度プルトニウム溶液、ウラン溶液等)が残留していた。このため、廃止措置の開始に際しては、これらの核燃料物質を順次取り出す工程洗浄を計画し、第一段階として使用済燃料せん断粉末の取出しを実施した。これまで実施した使用済燃料のせん断処理により、分離精製工場(MP)のセル内には使用済燃料せん断粉末が滞留しており、2016年4月から2017年4月にかけてセル内の床面、せん断機及び分配器より使用済燃料せん断粉末の回収を保守の一環として実施した。なお、本作業は核燃料物質の取出しを目的としているものの、核物質防護上の理由から、核燃料物質量を記載していない。回収した使用済燃料せん断粉末の取出しは、核燃料物質を安全かつ早期に取り出すため、濃縮ウラン溶解槽において少量ずつバッチ式(回分式)で溶解し、その溶解液はウラン及びプルトニウムの分離操作を行わずに高放射性廃液貯蔵場(HAW)の高放射性廃液貯槽へ送液した。溶解液の送液後、硝酸及び水を用いて送液経路の押出し洗浄を実施した。本作業では、再処理運転を終了してから約15年ぶりに工程設備を稼働させたことから、ベテラン(熟練運転経験者)と若手を組み合わせた体制を整備し、設備点検及び教育訓練(モックアップ訓練)を入念に実施したことで、取出し作業を無事完遂した(2022年6月から同年9月実施)。なお、使用済燃料せん断粉末の取出しは、工程機器の一部を稼働させることから、廃止措置計画の変更認可申請を行い、原子力規制委員会の認可を受けた上で実施した。
棚井 憲治; 堀田 政國*; 出羽 克之*; 郷家 光男*
JNC TN8410 2001-026, 116 Pages, 2002/03
地下構造物は、地上構造物に比較して耐震性が高く、耐震性を検討した事例は少なかったが、兵庫県南部地震で開削トンネルが被災したため、地中構造物の耐震設計法に関する研究が精力的に実施され多くの知見が得られてきている。しかし、ほとんどの研究は比較的浅い沖積地盤における地中構造物の地震時挙動を対象としたものであり、深部岩盤構造物の地震時挙動についての検討はあまり実施されていないのが実情であるため、深部岩盤構造物の明確な耐震性評価手法が確立しているとは言い難い。一方、高レベル放射性廃棄物の地層処分場は、地下深部に長大な坑道群が建設されることとなり、また、これらの坑道内にて操業が行われることとなる。さらに、建設開始から操業及び埋め戻しまでを含めた全体的な工程は、おおよそ60年程度とされている(核燃料サイクル開発機構、1999)。これらの期間中においては、施設の安全性の観点から、地下構造物としての耐震性についても考慮しておくことが必要である。そこで、地層処分場の耐震設計に関する国の安全基準・指針の策定のための基盤情報の整備の一つとして、既存の地下構造物に関する耐震設計事例、指針ならびに解析手法等の調査・整理を行うとともに、今後の課題を抽出した。また、これらの調査結果から、地下研究施設を一つのケーススタディーとして、地下構造物としての耐震性に関する検討を実施するための研究項目の抽出を行った。
江崎 哲郎*; 神野 健二*; 三谷 泰浩*; 蒋 宇静*; 内田 雅大; 赤堀 邦晃*
JNC TY8400 2000-004, 94 Pages, 2000/03
放射性廃棄物の地層処分は、地下の構成材料である岩盤の隔離性、密閉性などを積極的に利用するものであり、その設計にあたっては安全性、経済的合理性、環境上の配慮など、従来の地下構造物と比べて格段に厳しい設計条件が要求される。そのため、岩盤においてその特性を支配する不連続面の力学・透水特性およびカップリング特性などを適切に把握する必要がある。本研究では、理想的な条件下で実験を行なうための新しいせん断透水同時試験装置の開発を行った。そして、装置の検証を兼ねて行ったせん断透水同時実験の結果、新装置は、上箱の回転による影響を定量的に評価でき、一方向流による透水試験を実施することができた。さらに、不連続面のせん断透水同時特性は、垂直応力が大きくなると上箱の回転による透水係数が著しいことを明らかにした。また不連続面の間隙幅分布を不連続面凹凸の幾何学特性とGIS(地理情報システム)によるシミュレーションによって特定する方法を提案するとともに、せん断透水同時試験のモデルを構築し、せん断透水同時特性のメカニズムを明らかにすることを目的としてシミュレーションを行った。その結果、GISによるシミュレーションの有効性を示すことができた。
大柳 雅塞*; 廣岡 知*; 岩崎 任伯*
JNC TJ7420 99-020, 45 Pages, 2000/03
本調査は、地質構造モデル作成手法の確立のため、同モデル作成に必要な堆積岩の堆積構造、基盤花崗岩体上面の起伏および同岩体内部の変質、破砕帯の分布などの地下構造に関するデータを取得することを目的とする。なお、正馬様洞用地においては、平成10年度に南北方向の測線において反射法弾性波探査が実施され、同用地の南北方向の地下構造が把握されている。今回は、東西方向の地下地質構造を把握するために、東西方向に測線を設定して反射法弾性波探査を実施した。本報告書は、これらの結果をとりまとめたものである。実施した調査項目は、ドロップヒッター振源(重錘落下型)を用いたP波反射法探査である。本調査の結果、以下のことが明らかにされた。・反射法探査断面で明世累層基底礫岩層に対応する反射イベントは、ほとんど水平で、標高190m前後に位置する。・基盤上面に対応すると推定される強反射イベントは、およそ標高150mから190mの深度にあり、測線両端で浅く、測点No.70付近で最も深くなる凹状を呈している。・強反射イベント以深においては、西半では東傾斜、東半では西傾斜する断片的なイベントが標高50m付近から標高-200m付近間に把握された。これらのイベントは割れ目密度が大きく速度変化の激しい個所に概ね対応する。
Yang Zumao*; 村松 壽晴
JNC TN9400 2000-009, 81 Pages, 2000/02
原子炉構造物に熱疲労を与える温度成層化現象およびサーマルストライピング現象について、その熱流動上の特徴を把握することは、原子炉設計の観点から重要である。本研究では、核燃料サイクル開発機構で開発された多次元熱流動解析コードAQUAを用い、水,ナトリウム,鉛および炭酸ガスを冷却材として用いた場合の熱流動上の特徴を数値解析により抽出する。温度成層化現象については、リチャードソン数Riをパラメータとして合計8ケースを解析し、以下の結果を得た。(1)流体物性および計算初期条件は、同現象を支配する浮力、熱拡散などの効果に大きな影響を与える。(2)炭酸ガスを用いた場合の熱流動上の特徴は、この他の流体を用いた場合のそれらと大きな違いを示し、特に温度成層界面近傍における運動量および熱量の交換特性に関する差異が顕著である。サーマルストライピング現象については、同現象を特徴づける熱流動上の特徴の内、温度ゆらぎ振幅の空間分布特性についての評価を行い、以下の結果を得た。(1)高乱流条件である今回のサーマルストライピング解析結果は、前記の温度成層化現象で抽出された特徴と比較して、違いが認められた。(2)今後の温度ゆらぎ周波数の検討では、炭酸ガスを冷却材に用いた場合に低流速領域での特徴把握に、その他の冷却材を用いた場合に剪断流領域での特徴把握に注意を払う必要がある。
高治 一彦; 谷口 航
JNC TN8400 99-042, 68 Pages, 1999/11
緩衝材には、止水性、自己シール性、核種収着性、熱伝導性、化学的緩衝性、オーバーパック支持性、応力緩衝性等が長期にわたり維持されることが期待されている。これらの機能を比較的満足し得る材料として、天然に産する粘土が注目され、中でも圧縮されたベントナイトは、非常に低い透水性による水の動きの抑制、水の浸潤に伴い膨張し圧縮ベントナイト中の間隙や隣接する岩盤中の割れ目への充填、陽イオン核種を収着する陽イオン交換能を有している等の点で優れており、緩衝材として最も有力であると考えられている。サイクル機構では地層処分研究の一環として、人工バリア技術開発および安全評価の基礎データとするために緩衝材の特性に関する研究を進めている。本報告書は、耐震安定性評価に資するための緩衝材としての圧縮ベントナイトの動的力学特性の把握を目的として、動的三軸試験、弾性波速度の測定、液状化試験についての手順、試験条件、結果および考察についてまとめたものである。動的三軸試験により、せん断剛性および減衰比のせん断ひずみ依存性、力学モデルへの適用等、弾性波速度の測定により、動的三軸試験によって得られた最大せん断剛性の妥当性等、液状化試験により、繰返し載荷による動的強度等を把握することができた。
三浦 均也*; 西村 右敏*
JNC TJ1400 99-027, 32 Pages, 1999/03
近年の構造物の長大化・重量化,および丘陵・山岳地帯への構造物の建設に伴って,十分な支持力を得るために,軟岩地盤を基盤として選定することが多くなってきており,これに伴い軟岩の力学的性質の研究は,十分ではないにしてもかなり蓄積されてきている。しかし,軟岩地盤の支持力を扱った研究は少なく,3次元的な地盤変形や破壊機構については未だ不明な点が多いのが現状である。また,軟岩地盤の工学的挙動はその生成過程や構成物質によって多種多様で,実際の地盤は,多層であったり層が傾斜している場合が多く,支持力の評価は更に複雑で困難である。前年度は,模型地盤を作製し載荷実験を行うことにより,地質不連続面を有する二層軟岩盤の支持機構を明らかにし,基礎データを収集した。本報告はこれらを踏まえて,軟岩地盤の三次元的破壊現象をとりまとめ,現行の支持力算定法の軟岩地盤への適用性を検討する。また,傾斜軟岩地盤に対してBishopの分割法を修正した3次元支持力算定法を提案する。
S.M.Spiessberger*; K.Humer*; H.W.Weber*; E.K.Tschegg*; H.Gerstenberg*; 宇田川 昂
Advances in Cryogenic Engineering Materials, Vol.44, p.191 - 195, 1998/00
種々のGFRP積層板(S-ガラス繊維を双方向に配した補強材を持つエポキシまたはビスマレイミド樹脂)について、77Kのショートビームせん断試験を行うに先立ち、室温で2MeVの電子線並びに室温と5Kで異なる原子炉の放射線を用いて約270MGyの線量域まで照射した。低温照射した後試験片の半数は77Kで試験をする前に室温に戻すアニーリングを行った。積層板の層間せん断強度に対する異なる放射線源、照射温度、アニーリングサイクルに及ぼす影響についてそれぞれの結果を比較し、議論した。
not registered
PNC TJ1412 97-002, 157 Pages, 1997/03
放射性廃棄物の地層処分においては緩衝材とその周辺岩盤に、廃棄体から発生する熱による力学・透水特性に変化、地下水の侵入による伝熱・力学特性の変化、緩衝材の膨潤、岩盤の変形による伝熱・透水特性の変化等が相互に複合して生じる。このため、人工バリア及びその周辺岩盤の伝熱特性、力学的挙動、水理特性等を評価するためには、これらの熱-水-応力連成現象を解析するモデル、コードの開発・確証が必要である。釜石鉱山においては、白亜紀初期の花崗岩中で原位置試験が進められてきた。本試験はその1つとして、熱-水-応力連成概念モデルを確立し、数学モデルとコンピューターコードを確証する目的で平成6年度に開始された。試験は、試験坑道掘削、岩の特性調査、試験ピット掘削、ベントナイトの埋設と連成試験の5段階に分かれている。昨年度までに、発破工法によって試験坑道掘削、14本の試錐と各種計測機器の埋設、大口径ボーリングによるピット掘削と岩盤挙動計測などが終了した。本年度は、試験ピット内に緩衝材を原位置締固め方式で施工し、同時に、緩衝材中に発熱体と熱-水-応力連成現象を観察する各種計測器を埋設したので報告する。
蛯沢 勝三; 亀岡 裕行*; 安藤 和博*; 柴田 勝之
Proc. of 14th Int. Conf. on Structural Mechanics in Reactor Technology, 7, p.475 - 482, 1997/00
機器免震設計基準を確立するために、2つの研究を行っている。1つは、機器免震の有効性評価法と評価コードを開発することである。有効性評価法については、確率論的手法や地震PSA手法を応用し開発した。また、同手法に基づき評価コードEBISAも開発した。2番目の研究は、機器免震設計基準の概念を確立することである。建屋内の機器においては、建屋応答の機器応答への影響評価が重要である。そのため、機器応答の入力となる原子炉建屋床応答スペクトの挙動について検討を行っている。一方、建屋外の機器においては、地盤物性の機器応答への影響評価が重要である。そのため、安全上重要な機器として挙げられている碍管付き起動変圧器を対象として、地盤物性を表すせん断波速度(Vs)を150から1500m/sの範囲で変えた場合の非免震・免震機器応答への影響評価を行った。その結果、地盤のせん断波速度の非免震機器応答への影響は大きいが、免震機器応答への影響はないことが分かった。これらから、建屋外機器の免震設計基準の概念を確立する場合、地盤物性を考慮する必要がないことが分かった。
小原 浩史*; 五十嵐 登*
PNC TJ8164 96-009, 261 Pages, 1996/09
沸騰水型原子炉(Boiling Water Reactor,BWR)商用炉で照射した使用済み燃料被覆管せん断片(ハル)を不活性ガス気流中で圧縮・減容し、発生するジルカロイ微粒子(ファイン)及び気中に移行する放射性核種に係わるデータの取得試験を実施し、以下のような結果を得た。(1)酸洗浄後のハルの内面には、ウラン、セシウム等の核分裂生成物が付着している領域が認められた。(2)ハル外表面最大酸化膜厚さは3060mで、文献データと同等の範囲であった。(3)ハルの圧縮時に発生したファイン重量は約0.20.3gで、圧縮したハルの重量(約3233g)の0.51.0wt%であり、燃焼度の増加に伴なって多くなる傾向が認められた。(4)3233gのハルを圧縮した時に気中に移行したファインの重量は、1mg以下であった。(5)ハルの圧縮時に発生したファインの粒径は1m以下のものから100m以下のものまで観察された。発生したファインの粒径は1m以下のものから100m以上のものまで観察された。発生したファインの粒径別個数頻度では10m以下のものが大半であった。(6)電子線微小分析装置(Electori Probe Micro Analyzer,EPMA)による観察結果では、ファインは全て酸化物と推定された。(7)ハル中のトリチウムの吸蔵量を、ORIGEN-2コードを用いた計算による燃料中の生成量の60%と仮定した時、ハルの圧縮時に気中に移行するトリチウム量は、圧縮したハルのトリチウムの吸蔵量の10^-3%以下であったが、燃焼度の燃焼度の増加に伴なってわずかに大きくなる傾向が認められた。
石島 洋二*
PNC TJ1600 96-001, 62 Pages, 1996/03
地層処分に限らず、岩盤あるいは岩盤内に設けられた構造物を効果的にシーリングする上で、岩盤中に含まれている不連続面のシーリングが最大の問題になる。ところが、天然の不連続面の力学的ならびに水理学的性質に関する研究は、室内試験の段階に留まっている。地下岩盤には、様々な規模と性質を持ち、しかも様々な環境に置かれた無数の不連続面が存在しており、原位置での簡易な計測によって、特性が把握する技術の開発が望まれる。本研究はこの要請に答えようとするもので、原位置試験として孔内点載荷試験を取り上げ、本試験法により、不連続面の力学的性質に関して、どのような情報を得ることができるかを検討することにした。今回は、不連続面を含む岩盤に関して、常に均一な供試体を使用できるように、不連続面を持つ岩盤模型を開発した。これを用いて、不連続面の力学的性質を評価するための3つの室内試験法を実施し、試験方法の違いが結果に及ぼす影響について検討した。次いで、孔内点載荷試験に関して、3次元有限要素法による解析と岩盤模型試験を実施した。充填型不連続面を持つ岩盤模型として、岩盤のインタクト部をモルタル、不連続面を厚さ1mmのセメントミルクで作る方法を開発した。これを供試体として、不連続面の力学的性質を明らかにするための室内試験を行った。
not registered
PNC TJ1559 96-002, 239 Pages, 1996/03
「地下水流動に関する調査・解析研究(その5)」として、平成7年度に実施された研究内容は以下に要約される。不連続性岩盤の浸透流解析と確率論的評価に関する研究については、岩盤工学上かつ放射性廃棄物の地中処分を考える上で今問題となっており、さらに今後も問題となる不連続性の岩盤と浸透流岩盤と確率論の適用について研究した。これらのキーワードは、連携もしているが、独立した部分もあり、得られた成果は当初の目的を完全に達成していると言い難いが、相当の結果が得られた。岩盤浸透流の三次元特性の調査と解析については、地下水の三次元解析を行う上で必要不可欠な課題として、ボーリングデータからの割れ目系の水みちの推定法開発の基礎研究、原位置での地盤の不飽和透水特性把握法の実用性の検討および林地蒸発散量推定法の開発を行った。従来の技術を踏まえて、より実用性のある技術を開発するものである。水理試験法及び水理試験装置の開発研究については、岩盤内の浸透を対象とし、岩盤内と浸透特性を把握する方法を確立し、その浸透による物質移動を予測するための計測方法に関する研究を行った。深層水理の調査手法及びモデル化に関する研究については、平成7年釜石鉱山550mレベルのKD90坑道周辺での圧力伝播試験を例として、試験サイト周辺の岩盤状態を汎用の水理モデルにより3次元的にモデル化し、順解析の観点から試験結果と計算結果を比較することで、このような複雑なサイトのモデル化手法、および将来の逆解析手法の適用性を予備的に検討した。地下水の地球化学的特性調査に関する研究については、顕著な岩盤内地下水流動が想定される今市扇状地内2箇所に扇状地礫層を貫通して基盤岩まで到達するような深度200mのボーリング孔を2孔掘削し、比抵抗検層、自然電位測定、キャリパー検層を実施した。扇状地礫層地は、揚水試験により帯水層の透水性を把握し、岩盤部の透水性を測定した。渇水期に当たる95年2月及び豊水期に当たる95年8月の2つの異なる時期に、地下水ポテンシャル測定・区間別地下水採水を行い地下水流動の実態を把握するFlow system studyへの展開を試みた。
not registered
PNC TJ1150 96-001, 192 Pages, 1996/02
高レベル放射性廃棄物地層処分の人工バリアの仕様の合理化、信頼性の向上をめざした設計検討及び各種試験設備の検討を行った。複合オーバーパックに関しては、複合方式の要件、耐食層接合手法、ハンドリング概念、遮蔽性、について検討を行った。人工バリアの信頼性向上のための試験設備の検討に於いては、TIG溶接、及び電子ビーム溶接の技術開発課題の整理、非破壊検査を主体とした溶接検査手法、及び溶接試験設備の基本仕様の検討を、炭素鋼オーバーパックの溶接を念頭において行った。また、人工バリアの機械的安全性の研究として、処分場におけるせん断事象とその解析手法を調査して、この事象の予備的解析を計算コードを用いて実施すると共に、せん断試験設備の基本仕様の検討を行った。そして、これら溶接、及びせん断試験設備の他に、オーバーパックの耐圧、緩衝材の施工、及び坑道のシーリング性能、を加えた5つの試験設備の概念検討を行って、試験施設全体の概念をまとめた。
月森 和之
PNC TN9410 95-203, 17 Pages, 1995/08
プラント工学室におけるリサイクル炉の概念検討の中で燃料集合体のホールドダウンについてメカニカルホールドダウン方式が検討されている。**この具体的な構造はコイルばねであり、クリープ温度域で所定の押付け力を維持することが必要となる。コイルばねのクリープ挙動の詳細数値解析を概念検討の段階で実施することはあまり得策ではない。本報告書は、このような背景からコイルばねのクリープ挙動解析手法について検討した結果をまとめたものである。コイルばねの断面の応力場として純せん断を仮定し、ひずみの径方向線形分布とクリープ特性式からトルクを求め、力の釣合いからばね力の時間的変化を評価する。この方法によれば、径方向応力分布が非線形になるため簡単なプログラムを作成する必要があるが、任意の形状・寸法および材料のコイルばねのクリープ挙動についての広範なパラメトリックサーベイが可能となる。
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PNC TJ1380 95-001, 82 Pages, 1995/05
釜石鉱山の550mL坑道の原位置試験場においては、平成5年度より人工バリアの評価に関する研究が実施されている。本年度はその一環として、新たに試験用の計測坑道の掘削を実施した。今回の調査では本坑道における割れ目特性を把握して、今後実施される各種試験の基礎データとして役立てる為に、以下の様な割れ目調査を実施した。1)ST掘削後の坑道の割れ目調査(長さ3m以上の割れ目を対象)2)追切り後の坑道の割れ目調査(長さ3m以上の割れ目を対象)3)掘削終了後の床面の割れ目調査(長さ50cm以上の割れ目を対象)調査結果はスケッチ図と割れ目記載表にまとめて示した。また、割れ目特性に関しては以下の様にまとめられる。1)本坑道においては、EW系・NSNE系の3方向の割れ目系が発達している。2)EW系の割れ目は連続性が良く、NSNE系の割れ目はそれらに挟まれて分布している事が多い。3)EW系とNSNE系の割れ目は坑道全体に分布するが、NW系の割れ目は一部に偏在して分布している。4)EW系は左横ズレ、NSNE系は右横ズレ成分の大きいセン断割れ目である。5)EW系の割れ目で5m以上のものは、ある地点を境にして、その走向が反時計回りの方向に徐々に変化していく傾向が認められる。6)EW系とNSNE系の割れ目の関係に関しては、a.共役、b.NSNE系がEW系の派生割れ目、c.両者は別の時期に形成の3つの可能性が推定された。
茨目 幸雄*; 檜山 敬; 岡本 文敏; 富樫 昭夫
PNC TN8410 95-010, 40 Pages, 1995/04
使用済燃料再処理工程における剪断・溶解オフガス中のC化合物の連続オフガスモニタ(インライン計測)を開発している。高感度であり、濃度変化に追随可能な方法としてガスクロマトグラフ質量分析法を選定し、その実用化をはかるため、分析システムを試作し、コールドでの性能評価試験を実施している。分析対象を化学形CO (m/e46)とすると、実オフガス中にはm/e46分析の妨害因子として、COと同重体である多量のNOおよび酸素の安定同位体Oを構成元素とするCOO等がある。高濃度NOと空気中のCOを分離用ガスクロマトグラフの段階で分離可能なカラムの選定および、その性能確認試験を実施した。NOとCOの分離は、実験濃度範囲において可能であることを確認したが、使用したNOX ガスに含まれるNO・NOの影響が大きいことが判明した。安定同位体Oがm/e46のバックグランドを上昇させ、分析対象COとしての定量下限を上げてしまう事象には、分離カラム毎に空気中のCOOを繰り返し測定し、その変動幅の3をとることでCOの定量下限を検討し、porapak Tで0.149ppm、シリカゲルで0.212ppmとなった。
富樫 昭夫; 坂井 敏幸*; 算用子 裕孝; 岩崎 伊佐央*; 栗林 正和*; 根本 慎一
PNC TN8410 95-056, 65 Pages, 1995/03
CPFでは,これまでに「常陽」MK-I,MK-IIおよび海外炉照射済燃料等を対象とした多数のホット溶解試験を実施し,高速炉使用済燃料再処理に関する基礎的なデータを取得してきた。これらの結果をふまえて,今回の第18回試験では仏国「Phenix」炉で照射された平均燃焼度が94,000MWd/tの高燃焼度燃料を対象として,高硝酸濃度(8M)条件下において溶解温度を主な試験パラメータとした合計2回の溶解試験を実施した。以下にその概要を示す。1.溶解速度に与える溶解温度の影響高硝酸濃度条件下においても溶解速度は溶解温度に依存し,温度の上昇に伴い速くなる。しかしながら,沸点より5程度低い温度以上では逆に溶解速度の低下が観察され,既往文献に報告されているウラン溶解挙動と同じ傾向を示すことが確認された。2.不溶解性残渣の発生率本試験結果とこれまでのCPF試験結果を併せて評価した結果,燃料燃焼度の上昇に伴って不溶解性残渣の発生率も増加する傾向にあることが見出された。また,これまでの溶解試験で回収した残渣と燃焼度をパラメータに算出した残渣成分元素(Mo,Tc,Ru,RhおよびPd)の生成量との比較・評価を行った結果,計算値に対して約20%から100%が残渣として回収されている。なお,本報告書は使用済燃料再処理工程のうちのせん断・溶解・清澄試験に関するものであり,これ以降の工程に関する試験結果については別途報告することとする。
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PNC TJ1602 95-002, 52 Pages, 1995/03
2次元剪断流れ場中における帯電したコロイド粒子の拡散挙動を、モンテカルロ計算によって検討し、壁と粒子がともに帯電することによる拡散挙動への影響を明らかにした。壁と粒子が同符号に帯電する場合、電荷の効果を考慮することは粒子の拡散挙動に重大な影響を及ぼし、考慮しない場合に比べて移行距離が増加した。同時に、ラテックス粒子を用いてthrough-diffusion法による拡散実験を行った結果、実測された実効拡散係数はStokes-Einstein式より計算される実効拡散係数に比べて大きくなることがわかった。さらに、石英表面に付着したカオリナイト粒子の脱離挙動をカラム法によって検討し、pHとイオン強度の影響を明らかにした。実験結果は、ファンデルワールスポテンシャルと電気2重層ポテンシャルを考慮した計算結果と一致した。
月森 和之
PNC TN9410 95-042, 313 Pages, 1995/02
高速増殖炉(FBR)の機器や配管は基本的に薄肉構造であるため、地震時等の座屈の防止に対する配慮が重要となる。そこで、昭和63年度からFBR機器構造設計の安全裕度の適正化を図り、設計の合理化を実現することを目的として、基本的な構造モデルである薄肉円筒殻のせん断・曲げ座屈に関する研究開発が展開され、広範囲な形状および材質の構造物に適用しうる解析に基づく座屈評価式が提案された。本報告は、この延長上に位置づけられるもので、座屈評価式の高度化を図るために前述の評価式では考慮されていないせん断-曲げ相互作用の影響について解析的に検討・評価した結果についてまとめたものである。せん断-曲げ相互作用の影響の検討は、次の3つの観点から実施した。(1)主応力差等の応力指標の最大値と発生位置に対するせん断荷重と曲げモーメントの比率の影響。(2)弾性座屈固有値解析によるせん断支配型座屈と曲げ支配型座屈の遷移領域でのせん断-曲げ相互作用の影響。(3)弾塑性域では,塑性ポテンシャルを介して、せん断応力と直応力が従属関係にあることから、塑性の進展に起因するせん断ー曲げ相互作用の理論的評価手法の検討。検討の結果、(1)純せん断力、純曲げモーメントそれぞれ単独で発生する主応力差および相当応力の最大値と発生位置は、せん断力と曲げモーメントを重畳させた場合も変わらない。(2)せん断支配型座屈と曲げ支配型座屈の遷移領域でのせん断ー曲げ相互作用は弾性の場合も若干存在するが、弾塑性の場合は塑性に起因した相互作用が卓越する。(3)既存のy係数を包含する、塑性の進展に起因するせん断-曲げ相互作用の理論的手法を提案した。さらに、試験データおよび弾塑性詳細解析との比較から、この方法によって、せん断支配型から曲げ支配型への遷移領域を合理的に評価できることを確認した。上の結果から、解析的にせん断-曲げ相互作用の影響を評価し、既存の座屈評価式を高度化できる見通しが得られた。