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宮崎 則幸*; 萩原 世也*; 茅野 栄一*; 丸山 結*; 橋本 和一郎*; 前田 章雄*
JAERI-Research 2001-047, 35 Pages, 2001/10
原子炉のシビアアクシデント時には、損傷炉心から流入する高温気体からの伝熱や核分裂生成物の崩壊熱によって原子炉冷却系配管が加熱されるが、内圧が高い場合には、高温での短時間クリープで配管が破損する可能性がある。このような配管の構造健全性評価のためには、従来ほとんど考慮されなかった第3期クリープ挙動をも考慮したクリープ構成式を用いて、精度の良い予測法を開発する必要がある。そのため、Kachanov-Ravotnovの等方性損傷理論を用いて第3期クリープ挙動を考慮したクリープ構成式を作成し、別途取得した実験データをもとに構成式の定数を決定するとともに、得られた構成式を用いて等温及び非等温の各クリープ条件で配管の局所有限要素法解析を行った。その結果、損傷変数によって内部損傷の定量評価が可能であり、特に、配管外壁から破損するという、円管を用いた配管高温負荷試験での結果を良く再現することができた。
宮園 敏光; 大野 修司; 中井 良大
JNC TN2400 2000-006, 56 Pages, 2000/12
高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい対策について設計の妥当性を確認する際の判断材料を得るため、ナトリウム燃焼解析コードASSCOPS version2.1を使用し、2次主冷却系設備に諸けるナトリウム漏えい時の建物や床ライナへの影響解析(ナトリウム燃焼解析)を実施した。本報告書は、ナトリウム燃焼解析で得られた雰囲気圧力、床ライナ温度及び水素濃度等をまとめたものである。主要な解析結果は以下のとおりである。(1)雰囲気圧力-圧力最高値約4.3kPa[gage]、(2)床ライナ温度-床ライナ最高温度約870度C, 床ライナ最大減肉量約2.6mm、(3)水素濃度-水素濃度最高値2%未満、(4)貯留室の床ライナ温度及び床コンクリート温度-床ライナ最高温度約400度C, 床コンクリート最高温度約140度C
一宮 正和; 堂崎 浩二; 上野 文義; 森下 正樹; 小林 孝良; 奥田 英一; 嵐田 源二
JNC TN2400 2000-005, 103 Pages, 2000/12
もんじゅ2次系床ライナについて、漏えいナトリウムの燃焼による熱荷重条件に対するライナの機械的健全性を、溶解塩型腐食による減肉を考慮したうえで、非弾性解析及び部分構造模擬試験により評価した。非弾性解析の結果、減肉が著しく進行しても、ライナに生じるひずみ値は材料固有の延性限度内にあるため、ライナに貫通性損傷が発生することはなく、その機械的健全性が確保されることを確認した。また、部分構造模擬試験の結果、非弾性解析による推定値を大幅に上回るひずみを与えても損通性損傷はなく、機械的健全性を維持することを確認した。
村松 壽晴; 須田 一則; 村上 諭*; 山口 彰
JNC TN9400 2000-109, 96 Pages, 2000/11
高速炉の実用化に向け、多様な作動流体を冷却材として用いた場合の検討に資するため、原子炉基本設計を左右する重要熱流動課題として、(1)自由液面揺動、(2)温度成層化、(3)サーマルストライピングおよび(4)自然対流の4項目を取上げ、作動流体としてNa、Pb-Bi合金、Co2ガスを用いた場合のそれぞれの現象の特性変化を数値解析的に検討・評価した。得られた結果は、以下の通りである。[自由液面揺動](1)Fr数を指標とした内部流動特性および自由液面特性につき、Naを作動流体とした場合とPb-Bi合金を作動流体とした場合で有意な違いは生じない。(2)液面近傍流速を指標としたガス巻込み限界につき、AQUA-VOFコードが実験結果と概ね一致する結果を与え、同コードがガス巻込み限界の1次評価に使用可能であることを確認した。[温度成層化](1)連行現象(上下層剪断渦)の発生位置は、NaあるいはPb-Bi合金を作動流体とした場合Ri数の減少とともに下流側に移動する。一方、CO2ガスの場合には、その発生位置はRi数の減少により上流側に移動する。(2)温度成層界面の解消速度は、流体物性としての熱伝導度に大きく依存した特性を示す。すなわち、CO2ガス中に温度成層界面が発生した場合には、より積極的な界面解消策を講じる必要があることを示唆している。[サーマルストライピング](1)CO2ガスを作動流体とした場合には、大きな粘性係数値と小さな熱伝導度との相乗効果によって、より下流側まで大振幅の温度揺らぎが到達する。(2)作動流体を変更した場合、温度揺らぎ振幅を評価するためにはReを一致させる必要が、温度揺らぎ周期を評価するためには流速値を一致させる必要がある。[自然対流](1)基本的に、浮力噴流挙動に準じる特性を示す。ただし、自然循環力の立ち上がりの特性は、流体の熱容量および熱伝導度の影響を大きく受ける。なお、CO2ガスの場合には、自然循環ヘッドが大きい場合のみ、液体金属の場合と同様な温度過渡特性を示す。(2)各作動流体を用いた場合のピーク温度到達時間は、Ra数一致条件の下で評価が可能である。
原田 雄平*; 丸山 結; 前田 章雄*; 茅野 栄一; 柴崎 博晶*; 工藤 保; 日高 昭秀; 橋本 和一郎; 杉本 純
JAERI-Conf 2000-015, p.309 - 314, 2000/11
シビアアクシデントに関する解析的研究により、軽水炉の一次系高圧シーケンスにおいて、原子炉冷却系配管の破損は、原子炉圧力容器の破損より先に起こる可能性が示された。軽水炉冷却系配管材料の高温強度モデルの確立は、事故の進展を正確に予測し、配管挙動を評価するために重要である。材料試験に基づき、800以上における0.2%耐力と引張強さは、絶対温度の逆数の2次式で良く表される。ここで、配管材料は、SUS316ステンレス鋼、原子力用SUS316ステンレス鋼、CF8M鋳造二相ステンレス鋼及びSTS410炭素鋼である。高温における短時間クリープ破断時間及び最小クリープ速度は、応力及び温度の関数として修正ノルトン則で良く表される。クリープデータと引張データから、動的再結晶効果の生じる温度領域を明らかにした。
柴崎 博晶*; 丸山 結; 工藤 保; 湯地 洋子; 茅野 栄一; 中村 秀夫; 日高 昭秀; 橋本 和一郎
JAERI-Conf 2000-015, p.225 - 230, 2000/11
日本原子力研究所の配管信頼性実証試験計画では、エアロゾル再蒸発挙動を把握することを目的に配管内エアロゾル再蒸発試験を実施している。配管内エアロゾル挙動試験装置では、前段及び後段試験部としてステンレス鋼直管を水平に設置した。前段試験部にCsIエアロゾルを導入し、一旦沈着させた後に同試験部を段階的に再加熱した。前段試験部から再蒸発したエアロゾルを、温度勾配を設定した後段試験部に沈着させた。また、PWRの状況を模擬するためメタホウ酸を装荷した試験も実施した。メタホウ酸を装荷した試験では、高温部においてセシウムのみが沈着していた。また、試験部温度が上昇するにつれて沈着セシウムに対する沈着ヨウ素の割合が減少していることがわかった。試験後に、ESCAによる分析の結果、沈着したCsIがメタホウ酸と反応してホウ酸セシウム、酸化ホウ素及びヨウ素が生成していると推定された。
技術協力課*
JNC TN1400 2000-003, 252 Pages, 2000/07
機構は、大学及び研究機関(以下「大学等」という。)との研究協力の推進を図るため、平成7年度から先行基礎工学研究協力制度を発足させた。同制度は、平成11年度で5年目を迎え、対象としている研究分野は機構の研究開発に係わるすべての分野に拡大している。同制度は、機構の施設及び設備を主に利用し、機構が取り組むプロジェクト開発に先行した基礎・基盤的研究を大学等との研究協力により推進することを目的とする。同制度では、機構が設定した研究協力テーマに対して、大学等から研究目的を達成する上で必要な研究協力課題及び研究協力者を提案して頂き、外部の専門家を中心とする選考委員会で研究協力課題を選考している。研究協力形態としては、大学等との共同研究の実施又は客員研究員として受け入れる形態を採用している。なお、共同研究又は客員研究員に大学院修士課程・博士課程の学生を研究生として加えることも可能としている。本報告書は、平成11年度に実施した高速増殖炉関係、核燃料サイクル関係及び環境技術関係の先行基礎工学研究に関する49件の研究協力課題の実施結果についてその概要をまとめたものである。なお、49件の研究協力課題のうち、高速増殖炉関係の12件、核燃料サイクル関係の1件及び環境技術関係の4件の合計17件については、平成11年度で終了した。
岡本 孝司*; 班目 春樹*
JNC TY9400 2000-016, 90 Pages, 2000/06
FBR冷却系に於いて、蒸気発生器内でのナトリウム-水反応が安全上問題となる。この反応では、化学反応による流体の物性変化が流れ場に強く影響するため、非線形性が大きくその挙動の予想は困難である。本研究では、このように物性変化が大きな反応性流れ場の挙動を解明することを目的とし、ナトリウム-水反応を模擬した試験流体の流動特性に関して、実験的検討及び数値解析的検討を平成11,12年度の2ヶ年にわたり実施する。平成11年度研究では、実験的検討として緩やかな化学反応を伴う流れ場の速度,濃度の同時計測技術を開発した。速度場については、既存のPIV(Particle Image Velocimetry)手法を用いる。また濃度分布に関してはpH分布の計測に着目し、発光強度に関しpH依存性の有無を有する2種類の蛍光染料を同時に用いたDELIF(Dual Emission LIF)手法を開発した。開発した計測技術を用い、2種類の蛍光塗料としてQuinineとRhodamine6Gを用いることにより、酢酸水-水,アンモニア水-水,アンモニア水-酢酸水を用いた軸対称噴流場での速度,pH濃度場の同時計測を行った結果、これらの同時計測が可能でありかつ高い精度でpH濃度場の計測が可能となった。また、一連の実験により二液二層流体の混合に於いて、拡散が抑制される傾向が見られることが判明した。本報告書は、先行基礎工学分野に関する東京大学とサイクル機構との共同研究のうち、東京大学で実施したものについてまとめたものである。
庄野 彰; 佐藤 若英*; 岩井 武彦*
JNC TN9400 2000-096, 113 Pages, 2000/06
BFS-58-1-I1炉心に関する最新の実験解析結果を報告する。本炉心は、中央部から順にU無し燃料領域、MOX燃料領域、濃縮UO燃料領域が配置された特殊な構成を持つ。当初入手した実験情報のうち、物質配置を決定するラッパ管間隔を修正する必要が生じたので、解析を全面的にやり直した。JUPITER解析と同様に、高速炉用70群基本炉定数セットJFS-3-J3.2を用い、プレートストレッチモデルに基づくセル計算によって炉中心反応率比を求めたが、その解析精度が測定誤差では説明できないほど悪いことがわかった。そこで、プレートストレッチモデル適用性の良否を検討するために、ペレットの原子数密度を保存するセルモデルの効果を、連続エネルギーモンテカルロ計算コードMVPを用いて調べた。また、JFS-3-J3.2の適用性の良否を検討するために、高速炉より軟らかな中性子スペクトルで重み付けされたSRACライブラリを用いて一部の核反応断面積を置換した場合の効果を調べた。その結果、MOX燃料領域及び濃縮UO燃料領域とは異なり、典型的なNa冷却MOX燃料炉心に比べてきわめて軟らかい中性子スペクトルを示す炉心中心領域(U無し燃料領域)のセル計算では、プレートストレッチモデルが無視できない計算誤差を引き起こすこと、ならびに、JFS-3-J3.2をそのまま適用することは適切でないことがわかった。これらの考察を踏まえ、U無し燃料領域には原子数密度を保存するセルモデルを適用するとともに、JFS-3-J3.2の構造材核種の散乱断面積をSRACライブラリと置換して実効断面積を求めた。その結果、炉中心反応率比に関して測定誤差範囲内の解析精度が得られた。また、臨界性についても、輸送・メッシュ補正後の2次元RZモデル解析値はIPPE及びCEAの報告値と同等の値を得た。さらに、これらの解析情報を考慮した炉定数調整結果を検討した結果、JUPITER実験解析結果との整合性は良好であることを確認した。これらの知見は、解体核処分支援のための共同研究において今後実施するBFS-2臨界実験解析にも適用できる。
久保 篤彦
JNC TN9410 2000-010, 72 Pages, 2000/03
高速実験炉「常陽」は、昭和57年に照射用炉心(MK-II炉心)として初臨界を迎えて以来、31サイクルの定格出力運転を行い、平成9年12月にMK-III炉心への移行を開始した。その間、「常陽」では多くのプラント特性試験データを蓄積しており、これをMK-II炉心の運転開始に先立って原子炉の性能を確認する性能試験、原子炉の安全な運転を確保するためサイクル毎に実施する運転特性試験、高速炉開発に関するデータ取得と解析評価手法の開発・整備のために実施する特殊試験がある。本報告書では、試験項目毎にその内容と結果を示した。また、本文中に記載したデータの他、動特性に関する時系列データを含め、ユーザーがこれらのデータを机上のPC環境下で利用できるように、光磁気ディスクにて支給可能とした。
伊藤 和寛; 根本 昌明; 佐井川 拓也*; 助川 一弥*
JNC TN9410 2000-008, 66 Pages, 2000/03
高速実験炉「常陽」は、昭和57年に、照射用炉心(MK-II炉心)として初臨界を迎えて以来31サイクルの定格出力運転と13項目の特殊試験のための短期間運転及び8回の定期検査を行い、平成9年12月にMK-III炉心への移行を開始した。この間、1次系ナトリウムは67回、2次系ナトリウムは81回、1次系カバーガスは75回、2次系カバーガスはオーバフロータンク及びダンプタンクから各89回のサンプリングを実施し、不純物濃度データを蓄積してきた。「常陽」MK-II炉心の集大成として、これらのデータ及びこれらに関連するプラントデータについてユーザが利用できるようにデータベースとして整備した。本データベースには、関連するプラントデータと「常陽」実機で測定した1次系ナトリウム及び2次系ナトリウム中の酸素、炭素、水素、窒素、塩素、鉄、ニッケル及びクロムを、1次カバーガス及び2次カバーガス中の酸素、水素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン及びヘリウムの濃度を収録している。これらのデータは、ユーザが利用しやすいようにその時の炉心状態と併せて収録した。
月森 和之; 古橋 一郎*
JNC TN9400 2000-049, 93 Pages, 2000/03
ナトリウム冷却ループ型大型炉の設計において、1次系配管に発生する応力の低減が設計成立の重要な鍵のひとつである。本件は、炉容器と中間熱交換器を結ぶ基本的な配管系として面内S字型のレイアウトを対象として、想定される寸法範囲で弾性計算によるパラメータサーベイを行い、配管ルーティングに依存した発生応力の傾向を把握し、最適のルーティング候補を選定することを目的とする。得られた主要な見解は以下のとおりである。(1)概して、ノズルよりもエルボ部の応力が厳しくなる。炉容器出口ノズルと中間熱交換器入口ノズル間レベル差と炉容器出口ノズルと液面までの距離を大きくすると、エルボの応力は減少する傾向にある。(2)超90度エルボを適用することで、エルボに発生する応力を大幅に低減することが期待できる。暫定的に応力制限を課した場合、超90度エルボ配管引回しは、従来の90度エルボ配管引回しに比べて広い寸法パラメータ範囲で成立する。(3)告示501号ベースでエルボの応力評価を行った場合、エルボ端部で応力強さが最大となる場合、シェル要素による計算された応力よりも過大となる傾向にある。この場合、エルボ中央と端部最大応力の平均を最大値とみなすことで、簡便かつ保守的に最大応力強さを評価できる。(4)従来の90度エルボによる配管引回しでエルボ部の応力強さが最小となるケース(炉容器出口ノズルと中間熱交換器入口ノズル間レベル差V=7m、炉容器出口ノズルと液面までの距離V1=5m)に対して、105度エルボを前提として、ノズル間レベル差の最小化および同寸法で発生応力の大幅低減という2つの観点からそれぞれについて、V=5m,V1=4mおよびV=7m,V1=5mという代替引回しを提示した。いずれの場合もノズル部の応力は、90度エルボ配管引回しに比べて減少する。
上平 明弘; 鵜飼 重治; 水田 俊治
JNC TN9400 2000-040, 41 Pages, 2000/03
高速増殖炉(以下FBRという。)の実用化戦略調査研究の一環である炭酸ガス冷却炉の燃料設計評価に資するために、フェライト鋼の炭酸ガス腐食に関連する文献を調査し、炭酸ガス腐食に影響を及ぼす因子を整理した。特にブレイクアウェイが発生するまでの腐食挙動について、温度依存性・Si量依存性・Cr量依存性について定量的な評価を行い、次のような腐食評価式を策定した。(式省略)
原田 雄平; 丸山 結; 前田 章雄; 柴崎 博晶*; 工藤 保; 日高 昭秀; 橋本 和一郎; 杉本 純
Journal of Nuclear Science and Technology, 36(10), p.923 - 933, 1999/10
被引用回数:3 パーセンタイル:28.69(Nuclear Science & Technology)軽水炉のシビアアクシデントの高圧シーケンス時には、炉心から流入する高温気体からの熱移行と炉心から放出・移行して沈着した核分裂生成物の崩壊熱により軽水炉冷却系配管が熱負荷を受ける可能性がある。そこで、軽水炉冷却系配管の耐破損特性を明らかにすることを目的に、配管破損試験とともに配管材料の高温引張とクリープ破断試験並びに金相試験を実施した。各種配管材料に対して800C以上では、0.2%耐力はアレニウスの式により表現できる。SUS316ステンレス鋼に対して800~1,150Cでは、修正ノルトン則を用いた高温・短時間のクリープ破断時間の予測式は、実験値と良く一致する。これは、修正ノルトン則では析出物の形成と再固溶の高温強度への効果を考慮しているからである。軽水炉のシビアアクシデントを想定した高温・短時間の配管破損条件下の挙動は、0.2%耐力を用いた流動応力破損モデルを支持した。
前田 章雄; 丸山 結; 橋本 和一郎; 原田 雄平; 柴崎 博晶*; 工藤 保; 中村 尚彦; 日高 昭秀; 杉本 純
JAERI-Conf 99-005, p.165 - 170, 1999/07
シビアアクシデント時には炉心から放出されたFPが一次系へ移行し配管へ沈着する。沈着したFPの崩壊熱や炉心で発生した高温ガスの流入等により配管が高温に加熱され、配管の健全性が損なわれることが懸念される。日本原子力研究所では、高温、高圧条件下での原子炉冷却系配管の健全性を評価するために配管信頼性実証試験(WIND)計画を実施中である。現在までに口径や材質を変えた7回の破損試験を実施している。外径約11cmの原子力用SUS316配管を用いて内圧15MPaで実施した試験では、970Cにて温度を保持した。温度保持中は急激な配管外径の増加が観測され、温度保持後1時間で破損した。試験後には、3次クリープを含む改良法を用いた解析を実施した。2次元解析の結果は、配管外径の膨張履歴や試験後の外径と肉厚を良好に再現した。また、3次元モデルによる解析結果も含め、破損時刻を良好に再現した。
原田 雄平; 丸山 結; 前田 章雄; 柴崎 博晶*; 工藤 保; 日高 昭秀; 橋本 和一郎; 杉本 純
JAERI-Conf 99-005, p.171 - 175, 1999/07
配管信頼性実証試験では、シビアアクシデント時における原子炉冷却系配管の耐性を明らかにするための配管高温付加試験を実施している。配管試験体から切り出した試験片を用いた引張り試験及びクリープ破断試験を行っている。引っ張り試験及びクリープ破断試験の結果に基づいて、316ステンレス鋼の降伏応力、引っ張り強さ及びクリープ破断時間の応力及び温度依存性に関する相関式を導出した。クリープ破断時間については、800C以下の温度領域ではNorton則、800Cを越える場合はNorton則を改良することにより試験結果を再現できることが明らかになった。内圧により発生する配管試験体外面における周方向応力と流動応力を比較した。流動応力と破損した配管試験体の外面周方向応力が同程度になった。このことは、原子炉冷却系配管破損の有無を評価する上では、流動応力が有効な指標になり得ることを示すものと考えられる。破断した試験片及び配管試験体の観察では、応力の増大により炭化物の析出及び成長が促進されること、960C程度の温度になると析出した炭化物が再固溶により消失すること、亀裂が金属組織の結晶粒界から発生していることが判明した。
橋本 和一郎; 原田 雄平; 前田 章雄; 丸山 結; 柴崎 博晶*; 工藤 保; 日高 昭秀; 杉本 純
JAERI-Conf 99-005, p.161 - 164, 1999/07
軽水炉のシビアアクシデント時には、炉心から放出されたFPが原子炉冷却系配管の内表面に沈着する。また、炉心から高温ガスが配管に流れ込んでくる。このような状態では、沈着したFPの崩壊熱などによる熱負荷と内圧による応力負荷が配管に作用し、配管の健全性が損なわれることが懸念される。日本原子力研究所では、シビアアクシデント時のFPエアロゾル挙動と、高温、高圧条件下での原子炉冷却系配管の健全性を評価するために配管信頼性実証試験(WIND)計画を実施中である。エアロゾル挙動試験では、小・中口径配管を対象とした試験を行うと共に、蒸気発生器伝熱管試験の準備を進めた。配管高温負荷試験では、配管の口径や材質、圧力条件等を変えた7回の試験を実施し、破損条件を取得した。解析に関しては、種々のコードを導入又は開発し、最終的にシビアアクシデント時の原子炉冷却系配管の健全性を評価することとしている。
柴崎 博晶*; 丸山 結; 工藤 保; 橋本 和一郎; 前田 章雄; 原田 雄平; 日高 昭秀; 杉本 純
JAERI-Conf 99-005, p.191 - 196, 1999/07
FPエアロゾルの再蒸発挙動はシビアアクシデントのソースターム及び配管への熱負荷となり得る崩壊熱分布を評価する上で重要である。そのため配管信頼性実証試験(WIND)計画では、様々な条件下におけるエアロゾル再蒸発挙動を把握することを目的に配管内エアロゾル再蒸発試験を実施した。メタホウ酸を装荷していない試験では、セシウムとヨウ素の沈着密度はほぼ等しく、CsIの化学形で再蒸発し、後段試験部に沈着したと考えられる。一方、メタホウ酸を装荷した試験では、セシウムの沈着密度がヨウ素のそれより著しく大きいことが観測された。これは沈着したCsIがメタホウ酸と反応してホウ酸セシウムを生成し、再蒸発したホウ酸セシウムが後段試験部に沈着したためと推定される。
森下 正樹
JNC TN9400 99-041, 187 Pages, 1999/05
現行の配管耐震設計手法には必要以上の安全裕度が含まれていると認識されている。そこで、高速炉の主冷却系配管の設計例を対象とした耐震解析を行い、種々の基準による強度評価を実施するとともに、実際の配管の耐力を評価し、基準が有している裕度の定量化を試みた。また、現行の許容値を緩和した場合の配管設計への影響や合理化効果を検討した。その結果、以下の点が明らかになった。a)非線型時刻歴解析による応答と(設計許容値から安全裕度を除いて求めた)真の強度を比較すると、本検討で取り上げた設計例の配管は、現行の設計手法(床応答解析と高温構造設計方針を使用)で許容される地震力の、数倍から20倍程度の地震力を与えて、初めて破損する。b)ASME新基準と非線形時刻歴解析による評価とは比較的対応性が良い。従って、ASME新基準による許容限界が今後の基準合理化に向けての目安目標となろう。c)ASME新基準相当の合理化基準を適用する場合、許容応力が高いため設計において応力を抑えるための対策(サポート設置や板厚増)を施す必要はほとんど無くなる可能性がある。但し、固有振動数をある程度に確保する必要があり、そのためのサポートは必要である。
大島 宏之; 堺 公明; 永田 武光; 山口 彰; 西 義久*; 植田 伸幸*; 木下 泉*
JNC TN9400 2000-077, 223 Pages, 1999/05
実用化戦略調査研究PhaseIの一環として、各種炉型における崩壊熱除去性能評価、炉心・燃料体熱流動評価、および伝熱流動相関式の調査を実施している。本報告書はこれらについて平成11年度の成果をまとめたものである。崩壊熱除去性能評価については電力中央研究所との共同研究として実施し、プラント動特性解析によりナトリウム冷却炉炉壁冷却系(RVACS)の除熱性能に対する各種設計パラメータの影響を把握するとともに、除熱限界の予備評価によりその適用上限を電気出力50万60万kW程度と推定した。また、ガス冷却炉および重金属冷却炉(鉛、鉛-ビスマス)用の動特性解析手法の整備を行うとともに、仮想プラントを対象として予備解析を実施し、定性的な過渡特性を把握した。さらに各プラントの自然循環力比較のための無次元数を導出した。炉心・燃料体熱流動評価においては、重金属冷却炉やガス冷却炉のピン型燃料集合体、ヘリウムガス冷却炉の被覆粒子燃料体、ダクトレス炉心に対応する熱流動解析手法の整備を行った。また、予備解析として、鉛冷却炉とナトリウム冷却炉の燃料集合体内熱流力特性の比較、炭酸ガス・ヘリウムガス冷却炉の燃料体内熱流力特性の把握、およびナトリウム冷却炉における内部ダクト付燃料集合体内熱流力特性の把握を行った。伝熱流動相関式の調査では、ガス冷却炉、重金属冷却炉に対して、主に炉心・燃料体の熱流動評価の際に必要となる圧力損失相関式や熱伝達相関式を、文献をベースに調査、比較検討を実施し、信頼性と利用しやすさの観点から層流領域から乱流領域までをカバーできる相関式群を推奨した。また、同時に詳細設計への適用には信頼性が不十分と思われるものを、今後データを充足すべき課題として摘出した。