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高橋 嘉夫*; 山口 瑛子; 蓬田 匠
Treatise on Geochemistry, 3rd edition, Vol.6, p.105 - 150, 2025/00
放射性核種の環境地球化学は、近年の測定技術などの発展に伴い、さまざまな研究対象へ新しいアプローチが展開されている。本レビュー論文では、放射性核種の環境地球化学分野における過去1015年間のいくつかのトピックについて議論した。特に、2011年の福島第一原子力発電所事故で放出された放射性核種の移行に関する研究、X線吸収微細構造分光法の開発と放射性核種の地球化学過程への応用の2つのトピックを中心に取り上げて概説している。
佐藤 修彰*; 桐島 陽*; 佐々木 隆之*; 高野 公秀; 熊谷 友多; 佐藤 宗一; 田中 康介
燃料デブリ化学の現在地, 178 Pages, 2023/11
東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故の廃炉作業は、燃料デブリの試験的取り出しや、その後の計画の検討が進められているが、今後も長期間を要する見込みであり、次世代への廃炉やデブリに関わる科学技術の継承、すなわち人材育成が重要かつ不可欠といえる。そのために、廃炉に特化した内容についての具体的な教科書が必要と考えた。1Fの燃料デブリに関しては、まだまだ、十分なことが分かっておらず、詳細についての記述は難しい。しかしながら、事故後12年を経過し、1Fの状況について分かってきたこともあり、また、過去の過酷事故の例を合わせて現状を整理してみることは、これからの展開に必要不可欠である。そこで、廃炉や燃料デブリに関する研究開発に携わってきた専門家、研究者により、固体化学や溶液化学、分析化学、さらには放射化学、放射線化学の観点から、燃料デブリ化学研究のこれまでの進展を本書「燃料デブリ化学の現在地」としてまとめた。
佐藤 哲也; 永目 諭一郎*
Radiochimica Acta, 110(6-9), p.441 - 451, 2022/07
被引用回数:1 パーセンタイル:14.04(Chemistry, Inorganic & Nuclear)日本原子力研究開発機構タンデム加速器施設のISOL(Isotope Separator On-Line)および表面電離イオン源を用いて、アクチノイド系列末端の元素であるフェルミウム(Fm), メンデレビウム(Md), ノーベリウム(No)、およびローレンシウム(Lr)の低エネルギーイオンビームを用いた最近の成果を報告する。特に、これらの元素の第一イオン化ポテンシャル(IP)測定結果について概説する。測定されたIP
はFm, Mdを経てNoまで増加したが、Lrはアクチノイドの中で最も低かった。重アクチノイドのIP
値の原子番号の増加にともなう変化と、ランタノイドとの比較から、Noで5f軌道が完全に満たされ、Lrでアクチノイド系列が終了することが明らかになった。さらに、LrのIP
測定結果によって引き起こされた周期表での位置づけに関する議論についても簡単に紹介した。また、ISOLで生成されたイオンビームを用いた化学研究の、さらに重い元素への拡張の可能性についても議論した。
永目 諭一郎*; 佐藤 哲也; Kratz, J. V.*
Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology (Internet), 52 Pages, 2020/09
本論文では、安定線から遠く離れた重核や新元素の合成、重核の核分裂を含むエキゾチックな核崩壊特性の研究、重アクチニドや超アクチニドの化学的性質の研究など、最近の研究の進展を簡単にまとめた。電磁分離器を用いたin-flight分離後の単一原子検出の実験技術は、新しい重元素の発見に画期的な進展をもたらした。また、一原子ずつ化学反応を行う自動迅速化学分離装置の開発も、超アクチノイドの化学研究の進展に大きく貢献した。最先端の技術を駆使して重アクチノイドや超アクチノイドの製造と化学的特性評価の新境地を開拓する重要な実験を紹介する。これまでのアクチノイド元素と超アクチノイド元素研究と、将来的に重元素の核・化学研究を発展させるためのいくつかの展望を簡単に紹介する。
飛田 実*; 原賀 智子; 佐々木 誉幸*; 関 晃太郎*; 大森 弘幸*; 河内山 真美; 下村 祐介; 石森 健一郎; 亀尾 裕
JAEA-Data/Code 2019-016, 72 Pages, 2020/02
日本原子力研究開発機構の研究施設等から発生する研究施設等廃棄物は、放射能レベルに応じて将来的に浅地中埋設処分される予定であり、埋設処分を開始するまでに、廃棄体の放射能濃度を評価する方法を構築する必要がある。そこで、原子力科学研究所バックエンド技術部では、研究施設等廃棄物に対する放射能濃度評価方法の検討に資するため、原子力科学研究所内で保管されているJRR-2、JRR-3及びホットラボから発生した放射性廃棄物から分析試料を採取し、放射化学分析を実施した。本報告書は、平成28年度から平成30年度に取得した25核種(H,
C,
Cl,
Co,
Ni,
Sr,
Nb,
Mo,
Tc,
Ag,
Sn,
I,
Cs,
Eu,
Eu,
U,
U,
U,
Pu,
Pu,
Pu,
Pu,
Am,
Am,
Cm)の放射能濃度データについて整理し、放射能濃度評価法検討のための基礎資料としてまとめたものである。
佐藤 義行; 田中 究; 上野 隆; 石森 健一郎; 亀尾 裕
保健物理, 51(4), p.209 - 217, 2016/12
福島第一原子力発電所で発生した廃棄物の処理処分方策を検討するためには、事故廃棄物の核種組成を把握する必要がある。そのためには、測定が容易な線放出核種のみならず、
線や
線放出核種に対する放射化学分析データが必要である。そこで本研究では、1, 2及び3号機原子炉建屋内から発生した瓦礫の放射化学分析を行い、
H,
C,
Co,
Sr,
Tc,
Cs,
Eu,
Pu,
Am、及び
Cmの放射能濃度データを取得した。このうち、
H,
C,
Co、及び
Srについては、それぞれ
Cs濃度との比例関係の傾向が見られた。瓦礫の核種組成については、1, 2及び3号機で異なることが示唆されたが、これは事故進展の違いを反映しているものと推測される。
洲 亘; 大平 茂; 鈴木 卓美; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.684 - 687, 2005/07
被引用回数:3 パーセンタイル:23.49(Nuclear Science & Technology)核融合炉の燃料処理系において起こり得る線誘起放射化学反応を研究する一環として、T
-CO
系の放射化学反応について研究した。40kPaのT
と同量のCO
を混合して室温に保持し、レーザーラマン分光法で反応過程を、また質量分析法で反応生成物を測定した。ガス混合後の30分以内では反応が速く、その後は大変遅くなることを明らかにした。また、T
-CO
系の放射化学反応の主な生成物は、ガス相ではCO、容器の壁面に付着した凝縮相においてはT
Oであることを明らかにした。さらに、容器を真空排気した後、250
Cまでの加熱により、容器内壁に凝縮していた生成物がCO, CO
, T
, T
Oなどに熱分解されることを明らかにした。
洲 亘; 大平 茂; 鈴木 卓美; 西 正孝
Fusion Engineering and Design, 70(2), p.123 - 129, 2004/02
被引用回数:14 パーセンタイル:64.92(Nuclear Science & Technology)核融合炉では、真空容器からの排ガス中でトリチウムに起因した放射化学反応が想定され、排ガス処理の観点から注意が必要である。本研究では、酸素ベーキング時に重要な反応となる窒素でバランスした酸化トリチウム(TO/T
O
)とCOとの反応をレーザーラマン分光法とフーリエ変換赤外分光法を用いて連続的に観測するとともに、生成物(ガス相,凝縮相)の成分を質量分析器で測定した。一酸化炭素の消費はほぼ一次の式に従い、その速度定数は0.02day
であった。一方、CO
の生成は複雑な挙動を示し、その速度常数は初期の2day
から0.02day
までに減少した。反応開始後49日の質量分析結果では、ガス相にはおもにバランスガスの窒素と生成した二酸化炭素が存在し、凝縮相にはトリチウム水が主成分として存在することがわかった。なお、T
-CO系で見られる有機系の凝縮性生成物は検出されなかった。
篠原 伸夫; 河野 信昭; 須山 賢也; 伊奈川 潤; 中原 嘉則; 黒沢 節身; 渡部 和男; 臼田 重和; 大島 真澄; 勝田 博司; et al.
Radiochimica Acta, 89(3), p.135 - 138, 2001/05
被引用回数:2 パーセンタイル:19.22(Chemistry, Inorganic & Nuclear)東海村で起きたJCO臨界事故のウラン溶液を放射化学分析して、Uの中性子捕獲反応で生成した
Np及び
Puを正確に定量した。測定した原子数比
Np/
Puは、臨界事故中の中性子捕獲反応履歴に依存することを見いだし、燃焼計算コードを用いた計算結果と比較した。その結果、事故の初期段階(25分間)の中性子捕獲反応数は全反応数に対して24
6%であることが明らかになった。
加藤 智子; 藤島 敦; 上野 健一; 佐々木 康雄; 能登屋 信; 園部 一志
JNC TN8450 2001-003, 205 Pages, 2001/01
地層処分基盤研究施設(ENTRY)、地層処分放射化学研究施設(QUALITY)の見学における来訪者の理解の促進を図るため、東海事業所環境保全・研究開発センター処分研究部では、平成10年度から平成12年度にかけて、パンフレット等作成ワーキンググループを編成し、ENTRY、QUALITY並びに処分研究部の業務の紹介用パンフレット、試験設備等の紹介用展示パネルなど一連の情報普及素材を作成した。特に展示パネルについては、ENTRY、QUALITYに設置されている主要な設備毎に仕様等の情報を一元的にデータベースとしてまとめた。これにより、今後は設備改造などにより設備側の情報に修正が生じた場合、対応するデータベース上で該当情報を容易に修正することが可能となり、展示パネルの修正にも効率よく対応できるものと期待される。本報告書は、ワーキンググループにおいて作成した素材のうち、パンフレット及び展示パネルの原型となった主要な試験設備等のデータベースについて掲載したものである。
篠原 伸夫
AIP Conference Proceedings 561, p.223 - 231, 2000/09
マイナー・アクチノイドの核変換過程を定量的に把握するために、放射化学的手法を用いてアクチノイド核種の核データを測定した。熱中性子炉あるいは高速中性子炉で照射した種々のアクチノイド試料を分析して、アクチノイド核種及び核分裂生成物の組成変化を明らかにした。また、タンデム加速器を用いて、マイナー・アクチノイドの核分裂収率を測定した。本発表は、放射性廃棄物の処理という観点から、照射場におけるアクチノイドの核変換過程を定量的に考察したものである。
芦田 敬; 澁谷 朝紀; 佐藤 治夫; 舘 幸男; 北村 暁; 河村 和廣
JNC TN8400 99-083, 63 Pages, 1999/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する第2次取りまとめにおいて設定されている核種移行データの妥当性の確認と信頼性の向上を目的として、地層処分放射化学研究施設(クオリティ)においてデータ取得を行った。実施した試験は、核種移行に係わる溶解度、収着、拡散に関する研究であり、以下に示す5テーマについて実施した。各試験の内容および成果の概要は以下に示す通りである。(1)Np(IV)の溶解度に及ぼす炭酸の影響に関する研究 還元条件、炭酸共存下におけるNp(IV)の溶解度をpHおよび炭酸濃度をパラメータに測定した。得られた溶解度曲線から2種類の水酸化炭酸錯体の存在が示唆され、その安定度定数を試算するとともに、既存の熱力学データと比較した。その結果、既存のデータと比較的近いことが分かった。(2)スメクタイトに対するNp(IV)の収着挙動に及ぼす炭酸の影響に関する研究 炭酸濃度をパラメータとしたスメクタイトに対するNp(IV)の分配係数(Kd)を測定した。Kdは、炭酸濃度(0.040.15M)の影響を受けずほぼ一定であった。1MKC1およびHC1による脱離挙動を調べた結果、低酸素濃度側ではHC1により、高炭酸濃度側ではKC1により脱離され、2つの異なる脱離挙動が見られた。(3)岩石に対するCs,Pb,Cmの分配係数測定国内の主要岩石(玄武岩、泥岩、砂岩、花崗閃緑岩、凝灰岩)に対するCs,Pb,CmのKdをイオン強度をパラメータに測定した。得られたKdを、第2次取りまとめにおける降水系および海水系での設定値と単純に比較してみると、いずれの条件においても設定値と同程度か高めの値になっており、第2次取りまとめにおける設定値の妥当性あるいは保守性が示された。(4)圧縮ベントナイト中のPbの拡散挙動に関する研究 圧縮ベントナイト中のPbの見掛けの拡散係数(Da)をベントナイトの乾燥密度、珪砂混合率、温度をパラメータに測定した。その結果、バックグラウンドの測定精度が重要であることが分かった。現状で得られた結果より概算したDaからKdを求め、第2次取りまとめにおける設定値と比較した結果、同程度であり、設定値の保守性が示された。(5)圧縮スメクタイト中のCsの拡散に及ぼすイオン強度の影響に関する研究 ベントナイトに不純物として含まれている可溶性塩を除去した圧縮スメクタイト中のCsのDaを乾燥密度
駒 義和; 小山 智造; 船坂 英之
JNC TN8400 99-021, 34 Pages, 1999/03
先進的核燃料リサイクルに係わる分離技術研究開発の一環として、三価のアクチニドとランタニドを分離する方法であるSETFICS法を開発している。これは、CMPO-TBP混合溶媒(TRUEX溶媒)とDTPA-塩析剤溶液を用いる溶媒抽出法である。本検討では、上記分離系での三価金属イオン(アクチニド及びランタニド)の挙動を理論的に説明することを目的とし、以下のような検討を行った。DTPAと金属の錯生成反応やCMPOによる金属の抽出反応に着目した。(1)DTPA溶液中での三価金属イオンの溶存状態水溶液中でのDTPAと金属Mの存在状態について、MDTPA2-及びMHDTPA-は錯体が形成されるモデルを検討した。DTPA-金属錯体の生成は高酸濃度で抑制されるが、pH1程度から顕著となる。pHが12程度の領域では、MDTPA2-にプロトンが付加してMHDTPA-が生成する反応が寄与する。このような錯体の生成は酸性溶液中では極めて低濃度で存在するDTPA5-イオンの濃度に大きく依存する。DTPA-金属錯体の安定度が非常に大きいため、DTPA5-イオン濃度が非常に小さくとも比較的高い酸濃度から錯形成は進行しうる。(2)CMPO溶媒/DTPA-塩析剤溶液中での三価金属イオンの分配比・上記の錯体の形成に加え、CMPOによる金属の抽出反応を考慮した。pH1以下の高酸濃度では、DTPA5-濃度が低いために金属はほとんど抽出される。このときの分配比の大きさはCMPOの抽出平衡定数に依存する。pHが上昇するに伴って分配比は減少するが、pHに対する分配比の傾きは実験値と一致した。(3)CMPO溶媒/DTPA-塩析剤溶液中での三価金属イオンの分離係数金属間の分離係数については、DTPAの錯形成とCMPOの分配比を用いるより簡単な表現も検討した。このモデルは、pH2以上においてCe以上のランタニド及びアクチニド元素について成り立ち、実験値と良く一致した。
塚田 和明; 西中 一朗; 篠原 伸夫; 市川 進一; 永目 諭一郎; 末木 啓介*; 中原 弘道*; 大槻 勤*; 谷川 勝至*
European Physical Journal A, 2(2), p.153 - 155, 1998/00
被引用回数:2 パーセンタイル:16.97(Physics, Nuclear)Thおよび
Puの15MeV陽子誘起核分裂において質量数88~159の分裂片の角度分布を放射化学的手法で求めた。両反応系において分裂する際の質量分割比が1:2という極端な非対称質量分割領域と質量数140程度の典型的な非対称質量分割領域に違いはなく、核分裂過程において同じ鞍点を経由すると考えられる。
Th+p核分裂において対称分割生成物の角度異方性が非対称分割生成物の値より明らかに小さく、質量数130の領域はその中間値を示した。これら異なった角度異方性は2種類の鞍点の存在を示唆し、中間値は両成分の混合によるという仮定で説明できる。
Pu+p系では対称分割生成物は観測できないが質量数130程度では
Th+p系と同じ傾向が見られた。このように角度異方性は対称および非対称分割で得られるような2つの質量分割モードの存在で説明できる。
和田 幸男; 佛坂 裕泰*; 佐々木 聡; 冨安 博*
PNC TY8607 97-002, 158 Pages, 1997/05
本報告書は、平成4年から東京工業大学原子炉工学研究所の富安研究室と動燃事業団先端技術開発室とで継続的に進めている、光化学研究に関する平成8年度共同研究成果報告書である。本年度は昨年度に引き続き、アクチノイドおよびランタノイド元素の光化学分離および光励起量子効果利用に関する基礎研究を分担して行った。その結果、3M硝酸溶液中のPuおよびNpを光化学的に原子価調整し、TBP溶媒中に共抽出した後、選択的にNpだけを再び同じ3M硝酸溶液中に戻す、光化学逆抽出技術の原理実証に成功した。また、アクチノイドおよびランタニノイド元素の光化学的分離手段として可能性のある、これらの元素の大環状配位子錯体を用いた光励起一反応挙動実験を行った。その結果、多種類のLn3+を含む水溶液中の特定のLn3+錯体に固有な光吸収波長の光を照射することにより、そのLn3+を選択的に分離することが可能であると結論された。また、Cm3+の模擬物質として用いたEu3+に関する知見では、Eu3+と同程度の励起寿命と遥かに大きなモル吸光係数を持つCm3+に対しても適用可能であると推定された。
野村 和則; 渡部 雅之*; 佐野 雄一*; 小山 智造; 根本 慎一*; 小沢 正基*; 岡本 文敏
PNC TN8410 96-206, 33 Pages, 1996/07
本試験では,DC18C6による硝酸酸性系でのSrの抽出に関して,抽出及び逆抽出時間の測定ならびにSrの分配に対する温度依存性の評価を行った。また,DC18C6-Sr錯体構造についてNMRスペクトルの測定を行った。さらに,新たに入手した数種のクラウン化合物を用いた分配基礎試験を実施,硝酸酸性系での抽出剤としての可能性を調べた。以下に,本試験結果の主な概要を示す。・DC18C6-CH2Cl2-硝酸系におけるSrの抽出及び逆抽出とも,その反応は速やかに行われるものとみなせる。・DC18C6-CH2Cl2-硝酸系におけるSrの抽出反応は,反応全体としては発熱反応であり,温度が低い方が抽出に有利である。・DC18C6-Sr錯体のNMRスペクトルを測定し,1つのSrに対して一分子のDC18C6が配位していることが補完できた。・新たに入手したクラウン化合物のうち,C15C5がAgに対して抽出能を示した。以上の結果から,大環状化合物のうちクラウン化合物に属するDC18C6によるSrの抽出機構について,さらに詳細な評価を行うことができ,硝酸酸性系で使用する抽出剤として優れた性質を有することを明かとした。このことは,硝酸環境におけるクラウン化合物の核種分離試薬としての可能性をさらに進めたものであると評価ができる。また,今回新たに調査したクラウン化合物のうち,C15C5によりAgを硝酸溶液系から抽出できることがわかり,新抽出剤としての可能性がさらに広がった。
米澤 仲四郎; 黒沢 達也*
分析化学, 45(5), p.435 - 440, 1996/00
放射化学中性子放射化分析法(RNAA)により、二酸化ケイ素及びAl標準物質中の極微量UとThの定量を行った。試料とU-Th標準試料を原子炉(JRR-4又はJRR-3M)で照射後、テイノイルトリフルオロアセトン(TTA)液-液抽出法によりNpと
Paを分離し、その
線スペクトル測定によりUとThを定量した。Uは照射した試料に
Npをトレーサーとして添加し、その化学率補正を行う方法によっても定量した。本法による定量値と各標準物質の認証値とを比較した結果、二酸化ケイ素標準物質ではU、Thとも
20%以内で一致した。Al標準物質では、本法の定量値は認証値よりUの場合6.4~13%低く、Thの場合は16~17%高い値となった。本法の検出限界は、二酸化ケイ素標準物質でU12pg/g、Th76pg/g及びAl標準物質でU11pg/g、Th45pg/gであった。
吾勝 永子
JAERI-Review 95-007, 80 Pages, 1995/06
1976年から1994年までの間に原子炉研修部門で実施された、化学関連の研修生実験について報告する。実験には溶媒抽出、イオン交換のように、一般課程の研修生全員に対して実施したもののほかに、一般課程および原子炉工学専門課程で選択実験として行った海水中Csの測定、
Rbの半減期測定がある。それぞれ実習の開発、実施状況と結果について述べた。また一般過程の燃焼率測定実験では,改善と実施状況についてまとめてある。
芦田 敬
PNC TN8600 94-003, 150 Pages, 1994/08
本報告書は、原子力関係在外研究員として1993年4月4日から1994年4月3日まで1年間ミュンヘン工科大学放射化学研究所において実施した「アクチニドの化学種及びコロイドに関する研究」についてまとめたものである。研究所では、主にプルトニウムを用いた試験を実施し、溶解度試験、フミン酸との相互作用に関する試験、レーザを用いたコロイド分析、レーザ光音響法(LPAS)による化学種分析等について研究を行った。その結果、今後動燃において取得すべきプルトニウムの熱力学データ及びフミン酸錯体生成定数の一部を取得することができた。また、レーザを用いた分析法により、コロイドの定性分析及び溶液中の微量元素の化学種を精度良く測定する技術を習得することができた。本研究所における海外留学により、動燃で実施している高レベル放射性廃棄物処分研究に反映すべき多くの知見及び技術を取得することができた。
上沖 寛; S.Mirzadeh*; Lambrecht, R. M.*; R.Knapp*; K.Dadachova*
Radiochimica Acta, 65, p.39 - 46, 1994/00
アルミナカラムにWを吸着させた
W
Reゼネレータを調整し、種々の溶離液を用いて
Reの溶離収率、
Wのブレークスルおよび放射性核種的不純物等の諸特性について3ヶ月間にわたり調べた。また、溶離液量を減少させるとともに高純度の
Re溶液を得るために、アルミナカラムに陰イオン交換樹脂カラムを連結したタンデム型ゼネレータについて検討を加えた。アルミナに対するタングステンの分配係数は0.05M硝酸アンモニウム溶液中で~8400であり、この液性において強くアルミナに保持されるのが認められた。ゼネレータからの
Reの溶離収率はタングステン量の影響をほとんど受けないことがわかった。これらの検討の結果、生体医用として本ゼネレータが有用であることが明らかになった。