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高橋 史明; 山口 恭弘; 斎藤 公明; 岩崎 みどり*; 宮澤 忠蔵*; 浜田 達二*
KEK Proceedings 2000-20, p.48 - 55, 2000/12
光子外部被ばくに対し、歯のエナメル質を用いたESR線量計測法の結果から実効線量を推定する手法を確立するため、歯の線量について解析を行った。歯の線量及び実効線量については、数学モデル(MIRD-5タイプ)及びEGS4コードを用いたモンテカルロ計算より評価した。また、ファントム内にTLD検出器を置いて、口腔内の線量を測定した。計算結果から、歯の線量は実効線量と比較してエネルギー依存性が大きいことが確認されたので、光子のエネルギー分布が考慮されていた場において、これら2つの線量の解析をした。また、いくつかの照射条件下において、測定結果と計算結果の間に差が見られた。そこで、測定に用いたファントムのCT画像を基にVoxelタイプのファントムを作成し、モンテカルロ計算を行うこととした。
新沼 岩保*; 相澤 隆生*; 伊東 俊一郎*
JNC TJ7420 2000-006, 54 Pages, 2000/03
本業務は弾性波トモグラフィ調査技術開発の一環として、サイクル機構所有のスパーカー振源を用いて取得した弾性波トモグラフィデータの解析を行ったものである。本業務の目的は、花崗岩中に存在する透水性割れ目の分布や断層の広がりを調査する手法としての弾性波トモグラフィ調査の有効性を把握することである。本報告書は、これらの業務内容についてまとめたものである。岐阜県瑞浪市明世町月吉にある核燃料サイクル開発機構東濃地科学センターの正馬様洞鉱業用地におけるMIU-1号孔及びMIU-2号孔を利用して、弾性波トモグラフィデータの取得作業が行われた。MIU-2号孔にハイドロホン型受振器を展開し、MIU-1号孔においてスパーカー振源を設置し、弾性波トモグラフィデータとして3つのデータセットが取得されている。解析では、データセットについて、P波速度層解析を行った。観測波形データからの初動読み取りは、解析精度に影響を及ぼすノイズ等の除去作業を行った後、AIC算出による自動読み取りを適用し、客観的判断基準に基づいて走時データを作成した。弾性波トモグラフィ解析は、初期モデルを作成しインバージョン計算を行い、最適モデルに収束させる方法を用いた。Annealing法による解析を行い、両者を比較検討した。また最終解析断面について検層データとの対比を行い、透水性割れ目および断層分布の連続性の検討を行った。また透水性割れ目に起因するチューブウェーブの抽出も行った。
西尾 軍治*; 山崎 昇*; 河野 浩二*; 渡邊 浩二*; 村崎 穣*
JAERI-Data/Code 98-033, 235 Pages, 1998/11
CELVA-3Dは、再処理施設のセル内で想定される爆発時の熱流動現象と放射性物質の移行挙動を評価するため開発された計算コードである。この計算コードでは、3次元熱流動解析によりセル内の温度、圧力、流速を、熱流動を考慮した物質移流解析によりセル内の放射性物質の閉じ込め効果を計算する。また、CELVA-3Dは爆燃用解析のCELVA-3D(M)と爆轟用解析のCELVA-3D(R)に分かれている。ここで、CELVA-3D(M)の数値解法はSIMPLE法及びSIMPLEST法(半陰解法)が、CELVA-3D(R)はICE法(陽解法)が採用されている。CELVA-3Dの解析モデルは、再処理施設の想定爆発を模擬した安全性実証試験の結果と比較することにより検証された。
西尾 軍治*; 渡邊 浩二*; 河野 浩二*; 山崎 昇*; 向出 恵勇*; 吉岡 逸夫*
JAERI-Data/Code 98-017, 279 Pages, 1998/03
この報告書は、再処理施設のセル内で想定される火災・爆発時の放射性物質閉じ込め効果を評価するため開発された計算コード(CELVA-1D)の解析モデルの説明、検証結果、及び使用手引き書から構成されている。この計算コードは、再処理施設内のセル換気系内の温度、圧力、流速の変化を1次元熱流動解析で計算すると共に、放射性物質の移行、沈着、フィルタ捕集等の閉じ込め効果が評価できる。CELVA-1Dの計算値は、セル内の火災・爆発を模擬した実証試験の効果を比較され、よく一致することを確かめた。したがって、CELVA-1Dの数学モデルとプログラムは検証されたとみなしてよい。
炭山 守男*
PNC TJ1451 98-001, 247 Pages, 1998/02
本研究は、オーバーパックの候補材である炭素鋼の土壌中での長期腐食挙動を評価し、腐食モデルの開発に資することを目的に実施したものである。現在までの研究から、地層処分の環境であるベントナイト中と類似の自然環境は、淡水成粘土である。そこで、淡水成粘土中に長期間埋設された水道管を4件堀り上げ、その埋設土壌の環境と管体の腐食量を調査した。粘土中における鋼材の最大孔食深さを実測により求めると共に、極値統計手法により最大孔食深さを推定した。つぎに、過去の研究結果を加えて、そのデータの腐食速度と埋設環境因子との関係を多変量解析し、腐食因子と腐食量の関係を求めた。更に過去の研究結果を加えた最大孔食深さのデータを腐食モデルの式H=aYnに適用して、極値統計手法による値でn≒0.4の妥当な値を得た。更に、この求めた腐食モデルの式より、長期腐食の予測を試みた。しかしながら現状では、より精度の高い推定をする上でまだデータ数が不足しており、今後、データを増加していく必要がある。
小山田 潔*; 池田 孝夫*
PNC TJ1281 98-006, 63 Pages, 1998/02
探索型システム性能評価の雛型となる手法としては、環境シミュレーション法が挙げられる。この手法の重要な特徴の一つは、入力パラメータの値を統計的に変動させることにより、対象とするシステムの将来挙動の「あり得べき」姿を定量的かつ統計的に多数作り出すことが可能であるという点である。しかし、これまでの環境シミュレーション法では特定の数学モデルが用いられていたために、この方法で網羅できる挙動の範囲には自ずと限界があり、この点が大きな問題点として認識されている。そこで、探索型システム性能評価では、この問題点を克服するために、シャドウモデルという極めて汎用性及び柔軟性に富んだツールを用いることにより未だ専門家によって完全には否定されていない領域を含んだ全てのパラメータ/モデル空間を概括的に調べることとする。昨1996年度には、以上の思想に則り、人工バリア中核種移行シャドウモデルの開発を行った。このモデルの核種移行モデルとしての特徴は、種々の現象や特徴を表現することが可能な柔軟かつ汎用的な定式化にある。人工バリア中核種移行シャドウモデルを用いて多数の統計的な計算が行われ、この結果として人工バリアシステム中の幅広い核種移行挙動が具現化された。また、これらの結果に対する主成分分析と感度分析は、リファレンスケース近傍での感度構造についての既存の知識をより客観的かつ定量的な方法で再構築することに成功した。さらに、核種放出率の特に高い部分集合についての統計的な分析により、リファレンスケースよりも有意に高い核種放出率に至るようなクリティカルな核種挙動の組み合わせを同定することができた。この結果は、今後のシナリオ解析や評価ケースの設定に於いて、これらのクリティカルな核種挙動の組み合わせが具体的にどの様な現象群によって如何にして引き起こされ得るものであり、その生起はどの程度確からしいものであるのかを詳しく調べていくことの重要性を示唆するものである。また、この様な過程を経ることにより、探索型システム性能評価が、将来の地層処分システムの振る舞いに関する各専門家の理解を導きあるいは支援する、という意味に於いて従来の性能評価手法を補完するものとして有効であることが明らかとなった。以上の成果を踏まえ、本年度の研究では以下の三つの課題に取り組むこととする。(1)人工バリア中核種移行シャドウモデル及びこれを用
小山田 潔*; 池田 孝夫*
PNC TJ1281 98-005, 400 Pages, 1998/02
探索型システム性能評価の雛型となる手法としては、環境シミュレーション法が挙げられる。この手法の重要な特徴の一つは、入力パラメータの値を統計的に変動させることにより、対象とするシステムの将来挙動の「あり得べき」姿を定量的かつ統計的に多数作り出すことが可能であるという点である。しかし、これまでの環境シミュレーション法では特定の数学モデルが用いられていたために、この方法で網羅できる挙動の範囲には自ずと限界があり、この点が大きな問題点として認識されている。そこで、探索型システム性能評価では、この問題点を克服するために、シャドウモデルという極めて汎用性及び柔軟性に富んだツールを用いることにより未だ専門家によって完全には否定されていない領域を含んだ全てのパラメータ/モデル空間を概括的に調べることとする。昨1996年度には、以上の思想に則り、人工バリア中核種移行シャドウモデルの開発を行った。このモデルの核種移行モデルとしての特徴は、種々の現象や特徴を表現することが可能な柔軟かつ汎用的な定式化にある。人工バリア中核種移行シャドウモデルを用いて多数の統計的な計算が行われ、この結果として人工バリアシステム中の幅広い核種移行挙動が具現化された。また、これらの結果に対する主成分分析と感度分析は、リファレンスケース近傍での感度構造についての既存の知識をより客観的かつ定量的な方法で再構築することに成功した。さらに、核種放出率の特に高い部分集合についての統計的な分析により、リファレンスケースよりも有意に高い核種放出率に至るようなクリティカルな核種挙動の組み合わせを同定することができた。この結果は、今後のシナリオ解析や評価ケースの設定に於いて、これらのクリティカルな核種挙動の組み合わせが具体的にどの様な現象群によって如何にして引き起こされ得るものであり、その生起はどの程度確からしいものであるのかを詳しく調べていくことの重要性を示唆するものである。また、この様な過程を経ることにより、探索型システム性能評価が、将来の地層処分システムの振る舞いに関する各専門家の理解を導きあるいは支援する、という意味に於いて従来の性能評価手法を補完するものとして有効であることが明らかとなった。以上の成果を踏まえ、本年度の研究では以下の三つの課題に取り組むこととする。(1)人工バリア中核種移行シャドウモデル及びこれを用
Lund
PNC TN3410 98-001, 14 Pages, 1998/01
ふげん発電所で、選択されたプロセス機器の挙動をオンラインでモニタするシステム:CONFU(CONdition monitoring Fugen)が実施された。このシステムは、IFE・OECDハルデン・リアクター・プロジェクトで開発されたMOCOM(Model Based Condition monitoring System)を基にしている。システムは、現在、原子炉補機冷却系熱交換器をモニタしている。これらの熱交換器は、目詰まり(海水側有機材料の耐熱層への蓄積物)によって、時間とともにゆるやかに効率が低下することを示した。従来の制御・警報システムでは感知されないこのゆるやかな低下は、運転の問題ではなく、むしろ保守の問題である。CONFUは、熱通過、熱伝達率または温度効率で表現される熱交換器の、効率低下を計算する動的な最新数学モデルを使用している。実機データでCONFUをテストした結果は、予想された低下傾向と一致している。CONFUからのデータは、よく最適化した保守スケジュールを決定するため、保守計画の担当者によって利用可能である(加えて、プラント運転員に機器の運転状況について良好な印象を与えている)。さらに、CONFUのプロセスモデルはシミュレーション目的に使用された。
村松 壽晴
PNC TN9410 97-039, 187 Pages, 1997/05
4種類の解析コード (汎用多次元コードAQUA、直接シミュレーションコードDINUS-3、直接法モンテカルロコードTHEMISおよび境界要素法コードBEAMSET)より成るサーマルストライピング解析評価手法のシステムレベルでの検証を行うため、流体-構造非定常熱的応答に関する既往ナトリウム試験の数値解析を行った。検証に用いたナトリウム試験は、4mm隔てて平行に置かれた噴流ノズル (5mm9mm)の下流側35mm位置に速応性熱電対を横方向に2mm間隔で貼り付けた試験片(SUS304鋼)を設置し、噴流ナトリウム温度を30020に固定した条件で噴流流速を変化させ、温度ゆらぎ挙動を測定したものである。得られた解析結果に基づき、温度ゆらぎ温度ゆらぎ実効値、温度ゆらぎ振幅および周波数の頻度分布、温度ゆらぎ挙動の自己パワースペクトル密度および境界層内温度ゆらぎ減衰特性などの統計量を評価し、実験によるそれらとの比較を行った。この比較の結果、同解析評価システムにより、流体-構造非定常熱的応答挙動を精度良く模擬できることを確認した。
神野 健二*; 中川 啓*; 細川 土佐男*; 畑中 耕一郎; 井尻 裕二*; 亘 真吾; Webb, E. K.*; 金澤 康夫*; 内田 雅大
PNC TY1606 97-001, 44 Pages, 1997/03
高レベル放射性廃棄物地層処分システムの核種移行評価上の重要パラメータとして分散係数がある。分散係数は平均的な流速からの変動成分により運ばれるフラックスが濃度勾配に比例すると仮定した場合の比例係数であるので、流速の関数として表される。また、媒体の幾何学的特徴に応じて、分散の効果が異なってくるので幾何学的特徴を代表とする特徴的な長さ(分散率)の関数でもある。分散率は地層の不均質な構造による影響を受けてスケール依存性を示す。したがって、分散係数が定義できる代表的な体積要素およびそのスケールに応じた適切な分散率を設定することは核種移行評価における重要な課題となっている。このため動燃では、多孔質媒体水理試験設備(MACRO)を製作し、試験を行い、不均質場での分散現象の解明に取り組んでいる。MACRO試験では、粒形の異なる数種類のガラスビーズを用いた不均質な透水係数場を人工的に作成し、通水試験とトレーサ試験を行うことができる。本研究では、MACRO試験で得られるデータを用いて、動燃保有の解析モデル/手法と九州大学保有のモデル/手法を相互比較することによってこれらのモデルの特性や適用性を検討した。動燃では、物質移動について粒子追跡法およびオイラリアンーラグランジアン法を用いた。九州大学では、特性曲線法を用いた。本共同研究により、動燃保有の粒子追跡法を適用した物質移動モデルはメッシュ分割、粒子数に解の精度が依存するため使用にあたっては注意が必要であることが分かった。特性曲線法を適用したモデルについては比較的精度良く物質移動現象を評価可能であることを確認した。また、不均質透水係数場において水理計算を行う場合、有限差分法と有限要素法では結果に差が生じる可能性があることが示された。
大高 雅彦; 大島 宏之
PNC TN9410 96-118, 26 Pages, 1996/04
定格運転時から自然循環崩壊熱除去時に至る原子炉の様々な運転モードに対して,炉心部全体の熱流力特性を詳細に評価することを目的として,全炉心熱流動解析コードACT(Analysis program of whole Core Thermal-hydraulics)の開発に着手し,開発設画を策定するとともに,開発の第一ステップとして炉心槽解析部の開発を実施した。炉心部の熱流力特性を精度良く評価するためには,燃料集合体間ギャップ部におけるインターラッパーフローや炉心-プレナム相互作用等の諸現象を考慮する必要があることが指摘されているが,ACTではこれらの諸現象を含み,且つ一次系自然循環も考慮すべく上部プレナムや一次系ループをカップリングして解析できる機能を有する。ACTの開発方法は,主冷却系システム全体を幾つかの解析領域に分割し,その各々の対象領域に検証と種々の事象解析に適応された実績を持つ熱流動解析コードを適用するものである。各々の解析領域は相互にカップリングされ主冷却系システム全体を一括し解くことが可能となる。これらは,大規模計算となるため並列計算処理を用い実現する。炉心槽解析部は,炉心槽内に三角配列された燃料集合体ラッパ管の隙間に滞留する冷却材の熱流動解析を行うものである。本報では,流体の質量,運動量,エネルギー保存式を基礎方程式とし有限差分法を適用することにより解析部を構築するとともの,機能検証解析を行い解析モデルの妥当性を確認した。次段階では,燃料集合体内熱流動解析部とのカップリングを行う予定である。
高瀬 博康*; PeterGr*; Kathery*; 深谷 友紀子*
PNC TJ7281 96-002, 168 Pages, 1996/03
放射性廃棄物地層処分システムの性能を測る尺度として最も重要なものの一つは、処分場から放出された放射性核種の生物圏への最大放出率である。また、この最大放出率は実際には少数の支配的な移行経路によって規定される場合が多いことが広く認識されつつある。従って、顕著な不均質性を有する透水係数場、特に地下水流動におけるいわゆるチャンネリング挙動を支配すると考えられる透水係数の空間的な相関構造を正確に把握することが極めて重要な課題となる。しかしながら、地層の有する不均質性を詳細に知るという必要性は、サイト全体を網羅して実施可能な透水係数測定の点数に必然的に限りがあることと明らかに矛盾するものであり、この様な情報の不足に起因する推定の自由度あるいは不確実性の存在は良く知られた「逆問題」において系の状態が不定になるという状況を作り出す。この様な困難を打開するためには、不確かさを網羅する多数の統計的なRealizationを作成することを可能とするテンプレートの使用が不可欠である。これまでに開発・適用されてきた種々の地質統計学的な手法は、透水係数の空間的な自己相関モデルという形式でこの様なテンプレートを提供しようとするものである。本研究で用いる自己アファインフラクタルモデルはこの様な地質統計学的モデルの一種であり、バリオグラムと呼ばれる統計量の空間的なスケール特性をべき乗則で与えるものであることが特徴である。
熊田 俊明*
PNC TJ1600 96-002, 52 Pages, 1996/03
本研究の目的は、ベントナイトの熱伝導率を種々の条件で推算する式を導出することと、ベントナイトの熱伝導率の測定値が十分得られていないので、これを簡便に測定する点熱源法に関する基礎的検討を行うことである。本報では、まず分散物質の熱伝導率の測定値と推算式について調査した。次いで、ベントナイトの荷重や含水率の変化による機械的構造の変化の特徴を把握した。これらの知見に基づいて、ベントナイトの伝熱機構をモデル化して、これを解析して推算式を導出した。ベントナイトの熱伝導率の簡便な測定法として、サーミスタを熱源および温度センサーとする点熱源法の原理と技術的可能性について検討した。得られたベントナイトの推算式による計算値と既存の測定値を比較して、既存測定値と最もよく合う整理式と同等の精度で測定値を整理できた。また、サーミスタを点熱源とする熱伝導率測定法は、サーミスタの持つ熱容量を熱伝導率既知の試料により較正すれば、実用上十分な精度で測定できることが確かめられた。
浜田 広次; 田辺 裕美
PNC TN9410 96-027, 41 Pages, 1995/12
FBR蒸気発生器(SG)で水リークによるナトリウム-水反応ジェットが生じると、隣接伝熱管が急速に高温状態に曝される。このような条件下でも、管壁の機械的強度の低下による高温ラプチャが生じないことを確認することが安全上重要である。高温ラプチャ評価手法を確立するため、これまで構造解析コードFINASによる解析モデルを使用し、模擬試験データによる検証を行ってきた。今回は英国PFRの過熱器を対象として、1987年の大リーク事故解析を行った。事故当時の低速ブロー系設置体系においては、反応ジェットに曝された隣接管に過熱器隔離後3秒で解析上の高温ラプチャが生じており、実際の事故シナリオと非常に良好な一致が得られたことから、採用した高温ラプチャ解析モデルの妥当性を確認できた。また高速ブロー系設置体系を想定した比較解析からは、伝熱管やナトリウム側の条件が同じでも、過熱器隔離後の蒸気ブローによる急速な減圧及び管内冷却効果の存在により隣接管に高温ラプチャは生じないことが確認された。以上の解析結果は、PFRで見られた大リークへの進展が過熱器の設計・運転の違いに起因して生じたものであったことを示しており、これらの知見からは、SGの設計はもちろん水/蒸気系の隔離及びブローといったリーク後の運転操作も高温ラプチャを回避する観点から極めて重要であることが推測できる。実証炉以降の大型炉SGの設計においては、水リーク後の最適な蒸気ブローの設計・運転法を見いだす必要があり、本報で開発した高温ラプチャ解析手法は、その設計評価にも充分反映できるものであると考える。
杉原 弘造; 菊地 正; 安達 哲也; 佐藤 稔紀; 石島 文代
PNC TN7410 95-049, 47 Pages, 1995/10
岩盤中に空洞を掘削すると空洞周辺の岩盤の力学的・水理学的な性状(変形性、透水性や応力、間隙水圧)が変化すると考えられる。このような力学的・水理学的な性状が変化した空洞周辺の岩盤領域(以下、掘削影響領域という)は、地下施設の設計・建設や安全性の評価において、考慮すべき重要なもののひとつと考えられる。動燃事業団が地層科学研究の一環として、これまで東濃鉱山において実施してきた掘削影響研究の結果、掘削影響領域の大きさや掘削影響領域の発生に関係する要因などが明らかとなった。しかし、これらは発破により坑道を掘削した場合であるため、機械による掘削影響試験を行い、掘削影響領域の工法依存性を評価することとした。あわせてこれまでに掘削影響研究のために改良・開発した機器や、これまでの掘削影響研究で評価されていない機器・手法の掘削影響評価への適用性を評価することとした。この研究により、工法別の掘削影響領域に関する情報がそろい、地下施設の建設方法の選定や岩盤の力学的安全性など安全性の評価に必要な情報が取得できると考えられる。機械による掘削影響試験は、平成4年度に計測用の坑道の掘削から開始し、平成5、6年度に事前調査・解析を行った。平成7年度に機械(ロードヘッダ)による坑道掘削および掘削中の調査を行い、平成8年度以降、事後調査・解析を実施する計画である。平成6年度の事前調査・解析の目的は、平成5年度に引続き1)試験坑道周辺岩盤の掘削前の力学的特性・条件を把握すること、および、2)数値解析により坑道掘削に伴う岩盤の変位や応力変化を予測することである。平成6年度に実施した事前調査・解析は、1)コア観察および孔内壁面観察、2)孔内岩盤変位計の設置および計測、3)事前解析である。この報告書では、平成6年度に実施した事前調査・解析の内容と結果について報告する。
浜田 広次
PNC TN9410 95-262, 35 Pages, 1995/09
FBR蒸気発生器(SG)で水リークによるナトリウム-水反応ジェットが生じると、隣接伝熱管が急速に高温状態に曝される。このような条件下でも、管壁の機械的強度の低下による高温ラプチャが生じないことを確認することが安全上重要である。高温ラプチャ評価に向けて、これまで構造解析コードFINASによる1次元解析モデルを使用してきたが、本モデルの妥当性を確認するために、火薬トーチの火炎噴流により高温ラプチャを模擬した試験及び同解析モデルの検証を行った。その結果、以下が明らかになった。(1)同じ管内圧力でも、蒸気封入管はラプチャ破損し、蒸気流動管には破損が生じないことから、高温ラプチャでは管内冷却(除熱)効果が大きい。(2)同じ封入管でも、管外熱伝達率が小さい加圧管は破損しないことから、管内冷却効果と同様に反応ジェットによる管外熱伝達率の効果が大きい。(3)以上の傾向は、破損時間などが幾分保守的となるものの、FINASによる試験解析においても充分説明できることから、本解析モデルの妥当性が確認できる。以上の知見を踏まえ、今後火薬トーチ等による高温ラプチャ模擬試験及びコード検証を実施していく上での課題として、以下を提案した。試験条件となる実際のナトリウム-水反応ジェットによる管外熱伝達率を正確に把握し、試験条件の設定に反映すること。実機の管内条件を模擬するため、試験体には高圧の過熱蒸気を供給できる設備に変更すること。また、反応ジェットでは伝熱管の周方向及び軸方向に温度分布が生じることから、より現実的な高温ラプチャ解析には多次元(23次元)モデルを採用する必要があること。
高瀬 博康*; 中安 昭夫*
PNC TJ1281 95-005, 68 Pages, 1995/02
昨年度の研究において開発した広義拡散方程式によるアプローチを踏襲し、・シナリオ・モデル・パラメータに含まれる多様な選択肢の存在という性能評価に含まれる主要な不確実性要因の全てについて、統一的な方法で体系的に感度解析を行う手法(動的解析法)の開発を更に進めた。より具体的には、単核種(崩壊連鎖は考慮しない)の分子拡散による移行について溶解・沈澱、吸着、コロイド生成等を瞬時平衡仮説により取り扱うものであった昨年度のモデルを発展させ、・3メンバーの崩壊連鎖・ケイ素の溶解、沈澱、及び移行挙動を考慮したガラス溶解・ガラス溶解とcongruent核種溶出・速度論的反応モデルによる安定相及び準安定相の溶解、沈澱・真性コロイド生成解離、及び分子拡散・真性コロイドの線形、可逆な捕捉(吸着)・真性コロイドの不可逆な捕捉(凝集等)・準安定相から安定相への固相-固相変化(結晶化)・ケイ素、鉄共沈による固化体近傍ケイ素濃度の低下とこれに起因するガラス溶解速度の増加といった核種移行挙動自体についての種々のシナリオ、モデルを取り込んだものとした。また、これに加えて、ニアフィールド環境条件の変化が核種移行の主要なパラメータである放射性元素の溶解度に及ぼす影響を解析することを可能とした。具体的には、環境変化を、1)時間的な変化のみ(位置依存性は無視)2)位置依存性(時間的な変化は無視)3)時間的な変化と位置依存性の両方を考慮という3つのレベルに区分して段階的にモデル化し、これによって引き起こされる核種移行への影響を定量的に検討可能なものとした。ここで、各レベルでの環境条件の取扱は、個別の事象を詳細にモデル化するのではなく、環境変化の時間・空間的なパターンを代表的な関数形で表現するShadow関数を用いた。以上の新たな手法・モデル開発に加え、その適用性を確認するために昨年度本研究で開発した汎用DAEソーバーSPADE上でプログラム化し、これを用いて核種移行挙動の各シナリオ、モデル及びパラメータ、さらに、・放射線分解による地下水peの変化・海水準変動によるニアフィールド水理の変化・隆起、侵食による地下水peの変化・seismic pumpingによる酸化性地下水の浸入といった環境変化に関してShadow関数に含まれるコントロールパラメータ(変化の範囲、程度等)を種々に変化させて感度解析を実施した。
not registered
PNC TJ1281 95-003, 53 Pages, 1995/02
生物圏は、核種移行に対するバリアとしての期待は小さいものの、地層処分された放射性廃棄物に起因して実際に人類への影響が生じる場であり、この意味での重要性は大きい。他方、生物圏は地上及びその近傍から成り、自然あるいは人間活動による種々の擾乱を最も被りやすい領域でもあるため、その将来予測に含まれる不確実性は決して小さいとは言えない。この様な状況にあって、上述した概念的な不確実性を低減する有効な方法となり得るものは、複数の代表的な生物圏モデルを同時に考えることによって将来の可能な条件変動の幅を網羅し、各モデルと対応して(決定論的な単一の計算ではなく)線量あるいはリスクの計算を行って結果の幅を明確にするというアプローチである。本研究の目的は、代表的生物圏モデルの概念を確立するとともに、数学的モデル、データセット及びソフトウェアといった関連する方法論を開発することである。また、代表的生物圏モデルの概念が多分にstyliseされたものであることから、この研究において、関連分野の国際的な動向と整合的な展開を図ることも必須の事項である。本年度は、昨年度に引き続きBIOMOVESIIにおける議論特に代表的生成圏についての国際的合意の形成過程を調査し、その過程を逐次まとめるものとし、昨年度提案した我が国における代表的生物圏モデル、関連するデータ及び数学的定式化の見直しをおこなった。また、この結果に基づき、(i)プロトタイプの生物圏評価コードの作成、(ii)上記コードを用いた予備的被ばく評価、
伊藤 武彦*; 中島 研吾*; 角田 弘和*
PNC TJ1222 95-003, 23 Pages, 1995/02
ニアフィールドの核種移行解析においては緩衝材中及び緩衝材周辺の岩盤中の核種移行プロセスを組み合わせたモデルが使用され、コードの開発にあたっては様々な数値解析/離散化手法が使用される。従って、これらの性質を充分に把握したうえで解析コードを使用することは解析結果の評価の信頼性の観点から非常に重要である。しかしながら、これまで核種移行解析に使用されてきた解析モデル/コードの適用範囲、安定性については充分な検討が加えられていないのが現状であった。本研究では、ニアフィールドの核種移行解析コードReleaseとMeshnoteについて、解析条件を決定する様々な物性値をパラメータとして変化させることによって、解の精度および安定性に及ぼす影響について評価した。Releaseコードについては安定した解を得ることのできるタイムステップの上限を、分割数、拡散係数、分配係数から求める式を導出し、より複雑な崩壊系列に対してもこの式が有用であることを確認した。また、分割数の影響による解の精度についても検討を加え、分割数の違いによる解の精度差は解析条件によらずほぼ一定であるとの結果を得た。Meshnoteコードについても、分割数の影響による解の精度について検討を加えたが、分割数の違いによる解の精度差は解析条件によらずほぼ一定であるとの結果を得た。本解析により、ニアフィールド核種移行コードRelease、Meshnoteを使用するに当たっての適切な「分割数」「タイムステップ」を与える指針を得ることが可能になった。
熊坂 勝行*; 岡部 綾夫*; 石井 孝信*; 藤又 和博*
PNC TJ9124 94-009, 164 Pages, 1994/03
次期大型炉蒸気発生器(SG)伝熱管の合理的設計基準水リーク率(DBL)の選定にあたって、高温ラプチャによる破損伝播の可能性を定量的に評価する必要がある。本予備設計では、高温ラプラャを含む破損伝播挙動を適切に評価し、合理的なDBLを選定するために必要となるa)高温ラプチャモデル(構造/破壊力学的モデル)、b)非定常熱伝導解析モデル、c)ブローダウン解析モデル、d)反応領域温度分布解析モデル等に関する全体の開発計画の設計を行った。また、ブローダウン解析モデルに対しては、高温ラプチャを評価するために必要となる解析モデルの設計を行うとともに、このモデルの設計を基に、開発に必要なコードの構成要素、要素間のつながり等に関するコードの設計を行った。なお、コードの設計にあたっては、将来的にLEAPへのカップリングが容易に行えるよう十分に配慮した設計とした。