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廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2025-001, 94 Pages, 2025/06
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「燃料デブリ取り出し時における炉内状況把握のための遠隔技術に関する研究人材育成」の令和元年度から令和5年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、燃料デブリ取り出し時における炉内状況把握のためのモニタリングプラットフォームの構築及びプラットフォーム上を移動するセンサによる計測・可視化に関する研究開発を行う。また、このような研究課題に参画することによる研究教育、講義等の座学、施設見学の3つの柱で研究人材を育成することを目的とする。令和5年度は、各システムの検証とともに、模擬環境においてモニタリングプラットフォーム上の移動カメラから取得された画像を用いて立体復元モデルを生成し、可視化対象に対して最適視点からの映像提示が可能であることを、各研究項目協力のもと統合実験として実施した。
堀口 直樹; 吉田 啓之; 金子 暁子*; 阿部 豊*
Physics of Fluids, 37(3), p.033333_1 - 033333_20, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Mechanics)シビアアクシデントにおいて溶融燃料は浅い冷却材プール中で壁面衝突噴流として振る舞って微粒化し、デブリとして堆積することが想定されるため、壁面衝突噴流の微粒化機構の解明が重要である。本研究は、浅水プール中の壁面衝突噴流の渦状流れにおける微粒化機構の解明を目的とし、微粒化の素過程として液滴形成に着目した。液液系において屈折率を一致させた3D-LIF法を用いた実験によって得られた三次元界面形状データに対して定量化手法を適用することで機構を定量的に調査した。液滴と渦状流れの拡がり挙動の詳細な観察およびこれら挙動の定量評価によって、渦状流れが液滴の支配的な発生源であることを見出した。次に渦状流れに働く力を分析し、この渦状流れの形成・崩壊プロセスを見出した。この渦状流れに働く法線力の加速度は遠心力の見かけの加速度および重力加速度で代表できる。次に微粒化の素過程である液滴形成に着目して分析し、渦状流れにおいて二つの液滴形成パターンを見出した。一つ目は液膜自体から液滴が形成する液膜破断パターンであり、二つ目は液膜上の界面波から液滴が形成するサーフィンパターンである。無次元数を用いて液滴データを整理し、異なる液滴形成機構を表した理論線と比較した。この比較により、渦状流れにおける液滴形成機構を明らかにした。
湯口 貴史*; 遠藤 京香*; 鈴木 哲士*; 小北 康弘; 坂田 周平*; 横山 立憲; 井村 匠*; 大野 剛*; 笹尾 英嗣
Lithos, 494-495, p.107909_1 - 107909_14, 2025/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geochemistry & Geophysics)花崗岩質マグマ溜りプロセスの解明のために、東北日本、北上山地の久喜花崗岩体に産出するジルコンの成長の特徴を明らかにした。分離ジルコンの複数断面と薄片中のジルコンに基づいて、ジルコンU-Pb年代、Ti濃度、Th/U比とジルコンの内部組織とを3次元的に関連付けるとともに、他の鉱物との晶出順序について検討した。ジルコンの内部組織には、低ルミネッセンスの均質なコア(LLC)と反復累帯構造(OZ)が見られた。LLCとOZはそれぞれ900-800C、850-700
Cの結晶化温度を有し、LLCのTh/U比はOZよりも高い。これは、マグマ溜りの冷却に伴う漸進的な分別結晶作用によりLLCからOZへの遷移を生じたことを示唆する。分別結晶作用が進行し、マグマ温度の低下により拡散速度が減少することが、界面反応律速によるLLCの形成から拡散律速によるOZの形成への遷移を引き起こしたと考えられる。薄片での分析では、異なる鉱物に含まれるジルコンでは異なるTh/U比を有することがわかった。周辺鉱物によるTh/U比や結晶化温度の違いは、広い温度範囲にわたるマグマ分化や鉱物の結晶化を明らかにすることに有用である。
末武 航弥*; 緒方 奨*; 安原 英明*; 青柳 和平; 乾 徹*; 岸田 潔*
第16回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(インターネット), p.304 - 309, 2025/01
地層処分の安全性評価において、廃棄体処分坑道の掘削に伴うEDZ(掘削損傷領域)の進展範囲や、掘削後の岩盤の透水性変化挙動を予測することは非常に重要である。本研究では、三次元坑道掘削シミュレーターを用いて、幌延深地層研究センターで実施されている原位置坑道掘削とその後の透水試験を対象とした再現解析を試みた。その結果、掘削によるEDZの進展範囲と透水試験の結果について、原位置試験と類似する結果が得られた。このことから、本シミュレーターがわが国の大深度泥岩帯においての掘削に伴う力学的影響や、掘削後の岩盤変形-浸透といった連成現象とそれによる透水性変化などの予測評価に関して、有効であることが確認された。
廃炉環境国際共同研究センター; 東海国立大学機構*
JAEA-Review 2024-027, 77 Pages, 2024/11
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和4年度に採択された研究課題のうち、「無線UWBとカメラ画像分析を組合せたリアルタイム3D位置測位・組込システムの開発・評価」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、原子炉建屋内の空間線量計測における人やロボットによる10㎝精度未満での簡易リアルタイム3D位置測位を目標とし、最新普及技術である『無線UWB(Ultra Width Band)』と『複数カメラ物体認識』の2種類を組合せた組込システムの実現を目指している。その中で、岐阜大学・福島高専グループがカメラ撮影機能・カメラ分析機能・無線通信機能を有する組込装置を開発し、それら複数装置用いて、カメラ画像群の分析に基づくリアルタイム3D位置測位の実現を目指す。東京大学・LocationMind(株)グループが、UWBリアルタイム位置測位技術の原子炉建屋内へ適用を行い、安定性向上技術の開発を試みる。なお、名古屋大学グループが電磁波吸収材料を使用し、ハード面からの無線UWB安定化の検証を担当する。そして耐放射線評価は、原科研グループ・福島高専グループが協力して行う。
外山 健*; 丹野 敬嗣; 矢野 康英; 井上 耕治*; 永井 康介*; 大塚 智史; 宮澤 健; 光原 昌寿*; 中島 英治*; 大沼 正人*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 599, p.155252_1 - 155252_14, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)高速実験炉「常陽」で中性子照射した14Cr-ODS鋼(MA957)中の酸化物の安定性について3D-APとTEMを用いて評価を行った。中性子照射は、(502C, 130dpa)、(589
C, 154dpa)及び(709
C, 158dpa)の3条件で実施した。709
C照射では僅かな数密度の減少が認められたが、酸化物は高い数密度を有しており、相対的に照射前後で顕著な変化は確認されず安定に存在していた。これらのことから、ODS鋼は、700
C照射で約160dpaまで照射されたとしても強度は維持されることが示唆された。本研究成果の一部は、文部科学省の原子力システム研究開発事業による委託業務(JPMXD0219214482)として実施した。
Kim, M.; 吉村 和也; 佐久間 一幸; Malins, A.*; 阿部 智久; 中間 茂雄; 町田 昌彦; 斎藤 公明
環境放射能除染学会誌, 12(2), p.39 - 53, 2024/04
東京電力福島第一原子力発電所事故から10年以上が経過したが、特定復興再生拠点など除染の進展に伴い避難指示が解除され、住民の帰還が今も継続している。このような現状の中、除染・耕作活動による空間線量率の低減効果を定量的に評価するために、福島県大熊町に位置する実エリアに対して 放射線量の詳細分布の推定を可能にする計算システム3D-ADRESを活用し、環境中の線源分布を詳細に再現するモデルを構築した。構築されたモデルを用いてモンテカルロシミュレーションを行い、観測に基づいた実際的な放射性Csの分布およびその時間に伴う変化を反映した空間線量率の計算を行った。その結果、対象地域に対し除染・耕作活動に応じた地上100cm空間線量率の面的な空間線量率分布が計算された。空間線量率の計算結果は、実測値を良く再現でき、除染や耕作の影響評価に本手法が妥当であることが確認された。この手法は、まだ立ち入りなどが制限されている一部の帰還困難区域において今後さらに除染などの線量率を低減させるための対策を進めていく際に参考になることが期待される。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2023-023, 99 Pages, 2024/03
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「燃料デブリ取り出し時における炉内状況把握のための遠隔技術に関する研究人材育成」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、燃料デブリ取り出し時における炉内状況把握のためのモニタリングプラットフォームの構築、およびプラットフォーム上を移動するセンサによる計測・可視化に関する研究開発を行う。また、このような研究課題に参画することによる研究教育、講義等の座学、施設見学の3つの柱で研究人材を育成することを目的とする。令和4年度は、最終年度に向けて各システムの改良、拡張を行い、模擬環境などでの検証実験を行った。
崔 炳賢; 西田 明美; 川田 学; 塩見 忠彦; Li, Y.
JAEA-Research 2024-001, 206 Pages, 2024/03
原子力発電施設における建物・構築物の地震応答解析においては、我が国では、従来より質点系モデルが用いられてきたが、近年の解析技術の発展により、立体的な建物を3次元的にモデル化し、建物の3次元挙動、建物材料の非線形性、建物及び地盤間の非線形性等を考慮した有限要素法による地震応答解析が実施されるようになってきた。3次元モデルによる有限要素解析(3次元FEM)は、複雑で高度な技術が用いられる一方、汎用性があるために広く利用され、原子力分野以外では構造物のモデル化、材料物性の非線形特性の信頼性を確保するためのガイドラインの策定や技術認定などがなされるようになってきた。原子力分野においては、IAEAにより平成19年(2007年)新潟県中越沖地震における質点系モデル、3次元FEMモデルによる観測記録の再現解析がKARISMAベンチマークプロジェクトとして実施され、複数の解析者の解析結果が報告された。その報告によると、解析者により解析結果にばらつきが大きいということが判明され、解析手法の標準化による解析結果の信頼性の確保が急務となっている。また、原子力発電施設の強非線形領域の現実的な挙動の評価が必要となる建物・構築物・機器のフラジリティ評価においても詳細な3次元挙動把握の必要性が指摘されている。こうした背景を踏まえ、原子炉建屋を対象とした地震応答解析に用いられる3次元FEMモデルの作成及び解析にあたって必要となる一般的・基本的な手法や考え方を取りまとめて標準的解析要領を整備した。これにより原子炉建屋の3次元FEMモデルによる地震応答解析手法の信頼性向上につながることが期待される。本標準的解析要領は、本文、解説、及び解析事例で構成されており、原子炉建屋3次元FEMモデルを用いた地震応答解析の実施手順、推奨事項、留意事項、技術的根拠等が含まれている。また、本標準的解析要領は、最新知見を反映し、適宜改訂する。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2022-032, 102 Pages, 2022/12
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和元年度に採択された「燃料デブリ取り出し時における炉内状況把握のための遠隔技術に関する研究人材育成」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、燃料デブリ取り出し時における炉内状況把握のためのモニタリングプラットフォームの構築、およびプラットフォーム上を移動するセンサによる計測・可視化に関する研究開発を行う。また、このような研究課題に参画することによる研究教育、講義等の座学、施設見学の3つの柱で研究人材を育成することを目的とする。令和3年度は、主に令和2年度に取り組んだ基本設計および要素開発の改良に取り組むとともに、統合実験の準備を行った。
崔 炳賢; 西田 明美; Li, Y.; 高田 毅士
Earthquake Engineering and Resilience (Internet), 1(4), p.427 - 439, 2022/12
本研究では、原子力施設の確率論的地震リスク評価の信頼性向上に資するため、原子炉建屋の地震フラジリティ評価における認識論的不確実さの定量化を目的としている。従来、原子炉建屋の地震フラジリティ評価では、簡易な質点系モデルが用いられているが、より現実的な応答との違いを把握するため、原子炉建屋の3次元詳細モデルによる地震応答解析を実施し、得られた建屋の壁および床の応答を現実的応答と仮定して、質点系モデルの認識論的不確実さとして評価を試みた。得られた認識論的不確実さ結果は、上層階程大きくなる傾向があり、重要機器が設置される地下階では、地下3階で0.1程度、地下1階で0.20.35程度であった。この認識論的不確実さを従来の質点系モデルに反映することにより、3次元効果を考慮したより現実的なフラジリティ評価が期待される。
Alzahrani, H.*; 松下 健太郎; 堺 公明*; 江連 俊樹; 田中 正暁
Proceedings of 12th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS12) (Internet), 6 Pages, 2022/10
ナトリウム冷却高速炉(SFR)において、炉上部プレナム内自由液面部に生じるくぼみ渦によるカバーガス巻込み現象が、SFRの安全設計上の課題となることから、渦によるガス巻込み現象の評価手法の開発が求められている。日本原子力研究開発機構において、3次元CFD解析によって得られた流速分布から渦の存在を予測する評価手法の整備を進められており、3次元CFD解析の効率化の観点から自由液面部の解析メッシュへのAdaptive Mesh Refinement(AMR)法の適用が検討されている。本研究では、詳細化の基準指標として、速度勾配テンソルの第二不変量Q0のみの基準指標、およびQ
0に圧力勾配条件を加えた基準指標について検討し結果を比較した。垂直平板の存在する非定常後流渦の体系へAMR法を適用した結果、Q
0のみの基準指標と比較し、Q
0に圧力勾配条件を加えた基準指標では平板周辺のよどみ領域付近のメッシュが詳細化された。詳細化されたメッシュで過渡解析を実施したところ、Q
0に圧力勾配条件を加えた指標基準による詳細化で得られたメッシュにおける解析結果は、平板付近の圧力分布についてリファレンスとなる一様詳細メッシュの結果と近い分布となった。
堀口 直樹; 吉田 啓之; 金子 暁子*; 阿部 豊*
Proceedings of 12th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS12) (Internet), 6 Pages, 2022/10
シビアアクシデント時の軽水炉の安全性評価において、プール中を落下しブレイクアップする溶融燃料ジェットから発生する微粒化物の物理量の推定が重要である。このため、燃料と冷却材間の相互作用(FCI)に含まれる流体力学的相互作用を伴う液体ジェットとしての挙動の評価手法が開発されている。炉外で想定される浅いプールの場合、溶融燃料は液状の壁面衝突噴流として振る舞い、微粒化物を伴うあるいは伴わない液膜流として拡がることが想定される。我々の研究では、流体力学的相互作用と過渡的かつ三次元的に床面を拡がる点に着目し、詳細二相流解析コードTPFITを用いた数値シミュレーションによる評価手法と、この妥当性確認のために液液系において3D-LIF法を用いた実験手法を開発している。過去の研究で、微粒化を伴う壁面衝突噴流が特徴的な構造を過渡的に有することを観察しており、その各部に依存した微粒化物の物理量の変化、ひいては安全評価への影響が考えられることから、各部におけるこの物理量の計測が重要と考える。本報は、数値シミュレーションの妥当性確認に資するべく実施した、浅水プール中の壁面衝突噴流における微粒化物の物理量の計測について説明する。3D-LIF法による実験を行い、分散相追跡法によって液膜流上の微粒化位置に基づいて実験データを各部に区分した。この区分したデータから微粒化物の径および総量を計測し、これらの変化傾向を検討した結果について述べる。
佐藤 優樹; 寺阪 祐太
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(6), p.677 - 687, 2022/06
被引用回数:24 パーセンタイル:94.40(Nuclear Science & Technology)The Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (FDNPS) went into meltdown after being hit by a large tsunami caused by the Great East Japan Earthquake on March 11, 2011. Measuring and understanding the distribution of radioactive contamination inside the FDNPS is essential for decommissioning work, reducing exposure to workers, and ensuring decontamination. This paper reports the visualization tests of radioactive contamination in the Unit 1/2 exhaust stack of the FDNPS using a compact Compton camera. Fixed-point measurements were conducted using only a Compton camera and moving measurements using an integrated radiation imaging system (iRIS) that combines a Compton camera with a simultaneous localization and mapping device. For the moving measurements, an operator carrying the iRIS acquires data continuously while walking in a passage near the stack. With both types of measurements, high-intensity contamination was detected at the base of the stack, and detailed three-dimensional (3D) visualization of the contamination was obtained from the moving measurement. The fixed-point measurements estimated the source intensity of the contamination from the reconstructed contamination image acquired by the Compton camera. Furthermore, workers can experience the work environment before actual work by importing a 3D structure model into a virtual reality system displaying the contamination image.
木村 郁仁*; 山村 聡太*; 藤原 広太*; 吉田 啓之; 齋藤 慎平*; 金子 暁子*; 阿部 豊*
Nuclear Engineering and Design, 389, p.111660_1 - 111660_11, 2022/04
被引用回数:4 パーセンタイル:51.78(Nuclear Science & Technology)A new three-dimensional laser-induced fluorescent (3D-LIF) technology to obtain the hydrodynamic behavior of liquid jets in a shallow pool were developed. In this technology, firstly, a refractive index matching was applied to acquire a clear cross-sectional image. Secondly, a series of cross-sectional images was obtained by using a high-speed galvanometer scanner. Finally, to evaluate the unsteady 3D interface shape of liquid jet, a method was developed to reconstruct 3D shapes from the series of cross-sectional images obtained using the 3D-LIF method. The spatial and temporal resolutions of measurement were 4.7 4.7
1.0 lines/mm and 25
s, respectively. The shape of a 3D liquid jet in a liquid pool and its impingement, spreading and atomization behavior were reconstructed using the proposed method, successfully. The behaviors of atomized particles detached from the jet were obtained by applying data processing techniques. Diameters distribution and position of atomized droplets after detachment were estimated from the results.
崔 炳賢; 西田 明美; 川田 学; 塩見 忠彦; Li, Y.
JAEA-Research 2021-017, 174 Pages, 2022/03
原子力発電施設における建物・構築物の地震応答解析においては、我が国では、従来より質点系モデルが用いられてきたが、近年の解析技術の発展により、立体的な建物を3次元的にモデル化し、建物の3次元挙動、建物材料の非線形性、建物及び地盤間の非線形性等を考慮した有限要素法による地震応答解析が実施されるようになってきた。3次元モデルによる有限要素解析(3次元FEM解析)は、複雑で高度な技術が用いられる一方、汎用性があるために広く利用され、原子力分野以外では構造物のモデル化、材料物性の非線形特性の信頼性を確保するためのガイドラインの策定や技術認定などがなされるようになってきた。原子力分野においては、IAEAにより平成19年(2007年)新潟県中越沖地震における質点系モデル、3次元FEMモデルによる観測記録の再現解析がKARISMAベンチマークプロジェクトとして実施され、複数の解析者の解析結果が報告された。その報告によると、解析者により解析結果にばらつきが大きいということが判明し、解析手法の標準化による解析結果の信頼性の確保が急務となっている。また、原子力発電施設の強非線形領域の現実的な挙動の評価が必要となる建物・構築物・機器のフラジリティ評価においても詳細な3次元挙動把握の必要性が指摘されている。こうした背景を踏まえ、原子炉建屋を対象とした地震応答解析に用いられる3次元FEMモデルの作成及び解析にあたって必要となる一般的・基本的な手法や考え方を取りまとめて標準的解析要領を整備した。これにより原子炉建屋の3次元FEMモデルによる地震応答解析手法の信頼性向上につながることが期待される。本標準的解析要領は、本文、解説、及び解析事例で構成されており、原子炉建屋の3次元FEMモデルを用いた地震応答解析の実施手順、推奨事項、留意事項、技術的根拠等が含まれている。また、本標準的解析要領は、最新知見を反映し、適宜改訂する。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2021-030, 79 Pages, 2021/12
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和元年度に採択された「燃料デブリ取り出し時における炉内状況把握のための遠隔技術に関する研究人材育成」の令和2年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、燃料デブリ取り出し時における炉内状況把握のためのモニタリングプラットフォームの構築、およびプラットフォーム上を移動するセンサによる計測・可視化に関する研究開発を行う。また、このような研究課題に参画することによる研究教育、講義等の座学、施設見学、の3つの柱で研究人材を育成することを目的とする。令和2年度は、主に基本設計および要素開発に取り組んだ。
Kim, M.; Malins, A.; 町田 昌彦; 吉村 和也; 斎藤 公明; 吉田 浩子*; 柳 秀明*; 吉田 亨*; 長谷川 幸弘*
RIST News, (67), p.3 - 15, 2021/09
福島第一原子力発電所事故により環境中に放出された放射性セシウムの一部は陸域に降下した。放射性セシウムは、土壌表層に留まる性質を有するため、土壌表面は主たる放射線源となった他、道路、家屋の壁・屋根、森林内の樹木樹皮等にも一部残存し、市街地や森林等環境中の放射線量は複雑な分布を示すことが知られている。その上、それらの放射線源から発する放射線は複雑な環境構造物に吸収・散乱されるため、放射線量の詳細な分布を知ることは容易ではない。しかし、その環境中にて生活する住民にとって、大半の時間を過ごす家屋及び其の近縁、職場等の生活空間における空間線量率の分布は重要な関心事である。本報告では、この環境中での複雑な放射線量の3次元的分布を可能な限り高精度に推定するため、研究開発を行ってきた3D-ADRESの現状を報告すると同時に、3D-ADRESを活用することで得られる成果の一端を示し今後の展望についても記す。
酒井 利啓; 石井 英一
JAEA-Data/Code 2021-009, 13 Pages, 2021/08
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構では、高レベル放射性廃棄物の地層処分のための技術基盤の整備と、深部地質環境に関する科学的知見を得ることを目的として、堆積岩を対象とした幌延深地層研究計画を北海道幌延町において進めている。本計画において2018年度までに構築された広域スケールの三次元地質構造モデルとその数値データは、2019年にJAEA-Data/Code 2019-007として取りまとめられた。本報告書では、その後に得られた地下施設周辺の稚内層浅部に関する知見を加え、幌延深地層研究センターを含む約6km四方の領域に対して地質構造モデルを更新した。
崔 炳賢; 西田 明美; 塩見 忠彦; 川田 学; Li, Y.
Proceedings of 28th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 28) (Internet), 7 Pages, 2021/08
原子力施設における建物・構築物の耐震安全評価においては、従来より質点系モデルが用いられてきた。しかしながら、従来法では原子力施設内の設備の設置位置における局所的な応答等の精緻な評価を行うことは困難である。この観点から、原子力施設の耐震安全評価における3次元詳細モデルの活用が期待されている。しかしながら、3次元詳細モデルを用いて得られる解析結果は、解析者によりばらつきが大きいことが報告されており、解析手法の標準化による解析結果の品質の確保が急務となっている。そこで、原子力機構では、原子炉建屋の3次元詳細モデルを用いた地震応答解析手法に関わる標準的解析要領案(標準案)の作成に取り組んでいる。標準案は、本文,解説、およびいくつかの附属書で構成されており、建屋3次元詳細モデルを用いた地震応答解析の実施手順,推奨事項,留意事項,技術的根拠等が含まれている。本稿では、標準案の概要と、標準案に基づく適用事例を紹介する。