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寺田 敦彦; 永石 隆二
Nuclear Technology, 210(10), p.1871 - 1887, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)表面の平滑なガラスビーズ層と細孔を有する真砂土層中に漏洩した水素の拡散挙動について、CFDによる実験結果の照合解析を行い、流れの特性を明らかにした。ガラスビーズ層と真砂土層において、漏洩点からの表層(空気層と粒子層の境界面)までの濃度の広がり方は同様な傾向を示すが、真砂土層の方が表層面近傍での空気層中の水素濃度は低下する傾向がみられた。真砂土層中の拡散挙動シミュレーションでは、透気係数や拡散係数の感度が実験結果の再現性に影響することが示唆された。また、空気層中に流出した水素の滞留を抑制する簡易な自然換気プロセスの検証を試計算し、見通しを示した。
寺田 敦彦; 永石 隆二
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(8), p.1135 - 1154, 2024/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)天井と側面に換気口を設けた部屋の床面から漏洩した水素の挙動について、CFD解析を用いて実験結果との照合を行うことで、部屋周囲の風況による影響を明らかにした。室内の水素濃度の経時変化は、天井と床面付近の間で成層化がみられ、計算結果については局所的な流れ場の特性変化を反映できる乱流モデルと比較的大きな乱流シュミット数(1.0)を組み合わせた場合に実験結果の再現性が向上した。風況によって、室内に水素が滞留したケースについて、天井開口部にシンプルな板を設置することで換気の改善が図れることを示した。
酒瀬川 英雄; 中島 基樹*; 加藤 太一朗*; 野澤 貴史*; 安堂 正己*
Materials Today Communications (Internet), 40, p.109659_1 - 109659_8, 2024/08
被引用回数:1 パーセンタイル:48.91(Materials Science, Multidisciplinary)酸化物分散強化型鋼鋼のナノメートルサイズの酸化物粒子はクリープ強度の向上に対して重要な役割を持つ。以前の研究では旧粉末境界という焼結前に機械的合金粉末の表面であった組織因子に注目した。その結果、より小さなサイズの粉末で製作され微細な旧粉末境界を持つ酸化物分散強化型鋼は、より大きなサイズの粉末で製作され粗大な旧粉末境界を持つ酸化物分散強化型鋼よりも、短いクリープ寿命を示すことを確かめた。これより、機械的合金粉末の大きさがクリープ強度特性に影響を及ぼすことを明らかとなった。本研究では非球状である機械的合金粉末の形状がクリープ強度特性に及ぼす影響に注目した。このような形状がクリープ強度特性に異方性を生じさせる可能性が考えられたからである。ここでは異なった切り出し方位を持つ試験片に対してスモールパンチクリープ試験を実施することで異方性に注目した。これより、クリープ寿命は試験片の切り出し方位によって変化することを確かめて、形状がクリープ強度特性に及ぼす影響を明らかとした。
安全研究センター 原子炉安全研究ディビジョン リスク評価・防災研究グループ
JAEA-Data/Code 2024-006, 40 Pages, 2024/07
日本原子力研究開発機構安全研究・防災支援部門安全研究センター原子炉安全研究ディビジョンリスク評価・防災研究グループでは、原子力施設等で発生する可能性のある広範な事故を対象に、確率論的事故影響評価コードOSCAARの開発を進めてきた。OSCAARコードの機能のうち、大気拡散モデルによる大気中放射性物質濃度の計算機能では、入力データとして風速、降水量、大気安定度等の気象データを必要とする。ただし、気象データとして気象庁による数値予報データを利用するためには、事前にデータフォーマットをOSCAARコードに合わせて変換しておく必要がある。そこでOSCAARの前処理プログラムとして、気象庁の数値予報データから対象地域及び期間におけるOSCAARの入力形式の気象データを作成するプログラムGPV2OSCを作成した。本レポートでは、GPV2OSCの概要及び使用方法について解説する。
古野 朗子; 大森 隆太*; 舘岡 永憲*; 皆川 友哉*; 栗原 寿幸; 山本 洋一; 冨田 豊
Pure and Applied Geophysics, 14 Pages, 2024/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geochemistry & Geophysics)包括的核実験禁止条約(CTBT)沖縄核種監視所(JPP37)は、沖縄本島中部の東シナ海に面した丘の上にあり、島内には原子力施設はないが、時折Cs-137が検出される。本研究では、JPP37におけるCs-137の検出に焦点を当て、近隣の観測点における同時検出の比率や、東アジア内陸部から飛来する黄砂との関係を調べた。解析対象であるJPP37における2020年から2023年までのCs-137検出は春に高頻度であった。東アジアのCTBT放射性核種観測点9カ所のうち、北京、蘭州、モンゴルのウランバートルの検出値も春に高かった。このことから、東アジアにおける黄砂の検出との高い関連性が示唆された。そこで、日本のいずれかの地点で黄砂が観測された場合に、近隣の包括的核実験禁止条約準備機関(CTBTO)の国際監視システム(IMS)9地点でCs-137の検出を確認した。また、高崎、北京、蘭州、ウランバートルで高い検出率を示した。このことから、日本周辺の東アジア地域のIMS粒子状放射性核種観測点で主に春に観測されたCs-137は、黄砂により運搬されるグローバルフォールアウトの影響を拾っている可能性が高いと推察される。さらに、日本近海に飛来する黄砂について予備的な放出源推定解析を行った。大気拡散シミュレーションでは、Cs-137が黄砂の放出源である砂漠から放出されたと仮定して、近傍のIMS粒子状核種観測点でCs-137が検出されたことを説明した。
永井 晴康; 古田 禄大*; 中山 浩成; 佐藤 大樹
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(11), p.1345 - 1360, 2023/11
被引用回数:2 パーセンタイル:51.90(Nuclear Science & Technology)放射性プルームの3次元分布を定量的に可視化するとともに放射性核種の放出量を推定する革新的なモニタリング手法を提案し、その実現性を予備的な試験により確認した。提案する手法は、電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)によるガンマ線画像分光測定とドップラーライダーによる3次元風速測定に基づくリアルタイム高分解能大気拡散シミュレーションを組み合わせている。複数箇所に設置したETCCで測定された放射性プルーム中の個々の放射性核種からのラインガンマ線画像とリアルタイム大気拡散計算による大気中濃度分布情報を融合した逆解析により、放射性核種ごとの3次元濃度分布を再構成する。大気拡散シミュレーションと放射線輸送計算で生成した仮想的な実験データを用いた試験により、試作した解析手法が十分な性能を有することを示した。
寺田 宏明; 永井 晴康; 門脇 正尚; 都築 克紀
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(8), p.980 - 1001, 2023/08
被引用回数:5 パーセンタイル:84.10(Nuclear Science & Technology)原子力事故により大気放出された放射性核種の放出源情報と環境中時間空間分布の再構築手法の確立が緊急時対応に必要である。そこで、大気拡散シミュレーションと環境モニタリングデータを用いたベイズ推定に基づく放出源情報推定手法の様々な環境モニタリングデータの利用可能性に対する依存性を調査した。さらに、事故直後に実施するリアルタイム推定への本手法の適用性を調査した。様々な環境モニタリングデータの組み合わせに対する福島第一原子力発電所(1F)事故の放出源情報推定結果の感度解析から、正確な放出源情報推定には高い時間空間分解能のデータの利用と大気中濃度と地表沈着量の両方のデータの利用が有効であることが示された。また、1F事故時の環境モニタリングデータ取得状況に適用された仮想的なリアルタイム推定実験により、本手法は、地表汚染の概況の早期把握とおおよその事故規模の評価に必要な放出源情報を推定可能であることが明らかとなった。環境モニタリングデータの即時オンライン取得と、計算出力データベース蓄積のための大気拡散計算の運用システムが整備されれば、本手法により放出源情報の準リアルタイム推定が可能となる。
寺田 敦彦; 永石 隆二
Nuclear Science and Engineering, 197(4), p.647 - 659, 2023/04
被引用回数:3 パーセンタイル:45.58(Nuclear Science & Technology)燃料デブリを含む放射性廃棄物の移送、保管、処分過程でみられる部分開放空間内での水素の漏洩挙動を明らかにするために、CFDを用いて、Hallwayモデルのベントサイズやその周囲の風況の影響を研究した。Hallwayモデルは、側面に1つのドアベントと天井に1つのルーフベントをもった部分開放空間の実験モデルである。Hallwayモデルの室底部から水素が漏洩された場合では、室内の水素濃度の上昇は小さかった。水素がルーフベントから排出されるとともにドアベントから外気が流入する煙突効果が起こる際にコアンダ効果で流入した外気の流れが底部に偏流する現象が生じたことが原因と考えられる。室内の水素濃度は、ベントサイズを変化することで室内に流入する外気量とともに変化した。また、室外の風況によって、ドアベント側から風が吹いた場合には低下し、ドアベントと反対側から風が吹いた場合には上昇した。ドアベントからの外気の吹き込みとルーフベントからの水素の排出のバランスに影響を与えたと考えられる。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2022-010, 155 Pages, 2022/06
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、平成30年度に採択された「燃料デブリ取出し時における放射性核種飛散防止技術の開発」の平成30年度から令和3年度の研究成果について取りまとめたものである(令和3年度まで契約延長)。本課題は令和3年度が最終年度となるため4年度分の成果を取りまとめた。本研究は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の燃料デブリ取出し時に発生する放射性微粒子を着実に閉じ込めるために、気相及び液相における微粒子の挙動を明らかにするとともに、微粒子飛散防止技術を開発することを目的としている。具体的には、微粒子飛散防止技術として、(1)スプレー水等を利用して最小限の水で微粒子飛散を抑制する方法、及び(2)燃料デブリを固化して取り出すことで微粒子飛散を抑制する方法について、実験及びシミュレーションにより評価し、実機適用可能性を評価した。
Soler, J. M.*; Neretnieks, I.*; Moreno, L.*; Liu, L.*; Meng, S.*; Svensson, U.*; Iraola, A.*; Ebrahimi, K.*; Trinchero, P.*; Molinero, J.*; et al.
Nuclear Technology, 208(6), p.1059 - 1073, 2022/06
被引用回数:6 パーセンタイル:58.63(Nuclear Science & Technology)SKBタスクフォースは、亀裂性岩石中の地下水流動と物質移行のモデル化に関する国際フォーラムである。WPDE試験はフィンランドのオンカロ地下施設において実施された片麻岩中のマトリクス拡散試験である。複数の非収着性及び収着性のトレーサーを含む模擬地下水が試錐孔の試験区間に沿って注入された。タスク9Aは、WPDE試験で得られたトレーサー破過曲線に対する予測モデリングを行うことを目的とした。複数のチームが本タスクに参加し、異なるモデル化手法とコードを用いた予測解析を行った。この予測解析の重要な結論は、試錐孔の開口部における地下水流動に関連する分散パラメータにモデル化結果が大きく影響されることである。マトリクス拡散及び収着に関連する破過曲線のテール部に着目すると、異なるチーム間の解析結果の差異は相対的に小さい結果となった。
外川 織彦; 大倉 毅史; 木村 仁宣; 永井 晴康
JAEA-Review 2021-021, 61 Pages, 2021/11
東京電力(株)福島第一原子力発電所事故を契機として、原子力防災への大気拡散モデルの利用について、様々な状況とレベルで論争は続いた。しかし、計算モデルによる予測は原子力災害対策に使用可能かどうかといった二者択一の極端な議論が多く、緊急時対応の科学的検証に基づいて丁寧に議論されてきたとは言い難かった。一方、日本原子力研究開発機構(原子力機構)内外には、大気拡散モデルやその解析結果の潜在的利用希望者が少なからず存在することが分かったが、複数の種類がある大気拡散モデルについて、その目的と用途に応じた使い分けに関して理解不足と誤解があることが見受けられた。本報告書では、原子力防災に利用される大気拡散モデルについて、原子力機構で開発または使用されているモデルを中心として、モデルの概要や計算手法等を比較するとともに、それらのモデルを利用した解析例を記述した。これにより、原子力機構内外における大気拡散モデルの潜在的利用希望者に対して、今後の検討や活動に参考となることを目的とした。
永井 晴康
Insights Concerning the Fukushima Daiichi Nuclear Accident, Vo.2; Environmental Effects and Remediation for Restoration, p.37 - 46, 2021/07
東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、環境中に放出された放射性物質のうち、ヨウ素等の短半減期核種による事故初期段階における内部被ばく線量を評価するために、線量推計に必要となる大気中放射性物質濃度の時空間分布を大気拡散シミュレーションにより再構築した。計算対象核種は、内部被ばく線量への寄与率を考慮して、I,
I,
Te,
Csとし、地上付近の水平方向3km間隔、毎時刻の計算出力から、濃度時空間分布データベースを作成した。
岡 弘; 丹野 敬嗣; 矢野 康英; 大塚 智史; 皆藤 威二; 舘 義昭
Journal of Nuclear Materials, 547, p.152833_1 - 152833_7, 2021/04
被引用回数:10 パーセンタイル:73.48(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、ODS鋼被覆管の強度決定因子であるナノサイズ酸化物粒子及び母相組織の高温・応力負荷下での安定性を評価するため、700Cで45,000時間を超える内圧クリープ試験に供して破断したODS鋼被覆管の微細組織観察を行った。観察したODS鋼は、焼き戻しマルテンサイトを母相とする9Cr-ODS鋼及び再結晶フェライトを母相とする12Cr-ODS鋼の製造まま材及びクリープ破断材である。破断後の内圧クリープ試験片から切り出した板片を電解研磨にて薄膜化し、透過電子顕微鏡JEOL 2010Fにて観察した。観察の結果、ナノ粒子のサイズ及び数密度は700
Cにて45,000時間を超えるクリープ試験後においてもほぼ変化なく、高温長時間試験中に安定に存在していたことを確認した。また、9Cr-ODS鋼の強度決定因子の一つである焼き戻しマルテンサイト組織についても、製造まま材とクリープ破断材の間に大きな違いはなく、母相組織は安定であることがわかった。
中野 政尚
保健物理(インターネット), 56(1), p.17 - 25, 2021/03
東海再処理施設は1977年にホット試験を開始した日本で初めての再処理施設であり、2007年5月までに1140トンの使用済核燃料を再処理してきた。その際には気体及び液体放射性廃棄物を環境へ放出している。その中でもヨウ素-129(I)は環境影響評価上重要な核種の一つと位置づけられるため、排気及び排水中
Iを管理するとともに、環境試料中
Iの精密分析法の開発や環境中の
I濃度調査等を行ってきた。本報告では、それらの概要について紹介する。再処理施設における
Iに限らず、原子力事業者はALARAの精神で環境への放出量を低減するとともに、環境モニタリング手法や評価法等の更なる高度化に絶えず取り組んでいくことが、施設周辺住民の安全安心感を醸成するために不可欠である。
廃炉環境国際共同研究センター; 大阪大学*
JAEA-Review 2020-030, 55 Pages, 2020/12
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和元年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、平成30年度に採択された「燃料デブリ取り出しを容易にするゲル状充填材の開発」の令和元年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究ではデブリ取り出し時のダスト拡散抑制のため、チキソトロピーを示すゲル状物質をデブリ上に塗布することを提案する。粘度、透視度などの物性評価、照射試験の結果に基づき、ヘクトライト系粘土鉱物-ホウ砂複合ゲルを選定した。このゲルを用いた模擬切削試験において、切削紛の拡散抑制が確認された。本手法の適用により、切削時のダスト拡散を抑制できると考えられる。
小林 卓也; 川村 英之; 上平 雄基
日本原子力学会誌ATOMO, 62(11), p.635 - 639, 2020/11
原子力事故により海洋へ放出される放射性物質の移行過程を予測することは、近年原子力施設の立地が進む東アジア諸国の周辺海域において重要なことである。原子力機構は、放射性物質の海洋拡散モデルを基盤とした緊急時海洋環境放射能評価システムを開発した。本システムは、海象予測オンラインデータを活用して、東アジア諸国の周辺海域における放射性物質の海洋拡散を迅速に予測するものである。これまでに、システムで実行される海洋拡散予測の精度を定量的に評価するとともに、アンサンブル予測手法を導入することで予測精度が向上することを示した。さらに、領域海洋モデリングシステムを用いて沿岸域を対象とした高分解能モデルを導入する等、システムの高度化を継続している。
佐藤 陽祐*; 関山 剛*; Fang, S.*; 梶野 瑞王*; Qurel, A.*; Qu
lo, D.*; 近藤 裕昭*; 寺田 宏明; 門脇 正尚; 滝川 雅之*; et al.
Atmospheric Environment; X (Internet), 7, p.100086_1 - 100086_12, 2020/10
福島第一原子力発電所(FDNPP)事故により放出されたCsの大気中の挙動を調べるため、第3回大気拡散モデル相互比較が実施された。前回のモデル比較より高い水平格子解像度(1km)が使われた。前回のモデル比較に参加したモデル中9モデルが参加し、全モデルで同一の放出源情報と気象場が使用された。解析の結果、観測された高い
Cs大気中濃度のほとんどが良好に再現され、いくつかのモデルの性能向上によりマルチモデルアンサンブルの性能が向上した。高解像度化によりFDNPP近傍の気象場の再現性が向上したことで、拡散モデルの性能も向上した。風速場の良好な表現によりFDNPP北西の高い沈着量の細い分布が合理的に計算され、FDNPPの南側の沈着量の過大評価が改善された。一方で、中通り地方、群馬県北部、及び首都圏のプルームの再現性能はやや低下した。
眞田 幸尚; 越智 康太郎; 石崎 梓
JAEA-Research 2020-006, 60 Pages, 2020/07
原子力施設の事故時において、住民の避難計画の決定には放出された放射性プルームの挙動予測が不可欠である。現在は、大気拡散シミュレーションを基本とした予測システムは原子力防災のツールとして実用化されているものの、放射性プルームを実測できるツールは存在しない。本研究では、技術革新の著しい無人飛行機を用いて、大気中の放射性物質濃度を地上からの寄与や機体への汚染と弁別して測定できるシステムの試作機の開発を行った。また、前年度実施した放射性プルームのレスポンス計算に重要なパラメータとなる機体への沈着速度を求めるため、模擬エアロゾルを用いた暴露実験を実施した。さらに、検出システムの開発とともに、プルームの動きをリアルタイムに予測し、最適なフライトプランを導出するアルゴリズムの開発を行った。本レポートは3か年計画の3年目の成果をまとめたものである。
El-Asaad, H.*; 永井 晴康; 相楽 洋*; Han, C. Y.*
Annals of Nuclear Energy, 141, p.107292_1 - 107292_9, 2020/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)大気拡散シミュレーションは、原子力緊急時対応の事前検討において環境中の放射性プルームを評価するための重要な情報を提供する。しかし、様々な条件の計算を実行し膨大な計算結果からデータを引き出すには労力と時間を要する。そこで、シミュレーション結果から放射性プルームの特徴を引き出す際にユーザーを補助するインターフェイスを開発した。このインターフェイスは、福島第一原子力発電所からの20日間の放射性物質の放出についてのWSPEEDI-IIの計算結果のデータベースを使用し、ユーザーに重要な定量的データを提示する。ユーザーは、インターフェイスの補助により、放出条件を変えて様々なケースシナリオを作成し、感度解析を行うことができる。
寺田 宏明; 永井 晴康; 田中 孝典*; 都築 克紀; 門脇 正尚
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(6), p.745 - 754, 2020/06
被引用回数:10 パーセンタイル:70.35(Nuclear Science & Technology)世界版緊急時環境線量情報予測システムWSPEEDIを用いて福島第一原子力発電所事故時に放出された放射性物質の放出源情報と大気拡散過程の解析を実施してきた。この経験に基づき、原子力緊急時の様々なニーズに対応し緊急時対応計画に有用な情報を提供可能な大気拡散計算手法を開発した。この手法では、原子力施設のような放出地点が既知の場合、放出源情報を特定せず事前に作成しておいた拡散計算結果のデータベースに、提供された放出源情報を適用することで、即座に予測結果を取得することが可能である。この機能により、様々な放出源情報を適用した計算結果と測定データの容易な比較と最適な放出源情報の探索が可能である。この解析手法は、福島事故の放出源情報の推定に適用された。この計算を過去の気象解析データを用いて実施することで、様々な放出源情報と気象条件に対する拡散計算結果を即座に取得することが可能となる。このデータベースは、環境モニタリング計画の最適化や、緊急時対応計画において想定すべき事象の理解等の事前計画に活用可能である。