放射性炭素を利用した微生物呼吸の年代とその影響因子の評価

Estimating the age of heterotrophic respiration and its influence factors using radiocarbon

安藤 麻里子  ; 小嵐 淳   ; Liang, N.*; 高木 健太郎*; 近藤 俊明*; 平野 高司*; 寺本 宗正*; 高木 正博*; 石田 祐宣*; 市井 和仁*; Sun, L.*; 國分 陽子   ; 藤田 奈津子   

Atarashi-Andoh, Mariko; Koarashi, Jun; Liang, N.*; Takagi, Kentaro*; Kondo, Toshiaki*; Hirano, Takashi*; Teramoto, Munemasa*; Takagi, Masahiro*; Ishida, Sachinobu*; Ichii, Kazuhito*; Sun, L.*; Kokubu, Yoko; Fujita, Natsuko

森林土壌には数百年から数千年以上の長期間安定に存在する有機物が存在している。地球温暖化の影響で長期間滞留している土壌有機物の分解が加速しCOとして放出されれば、地球の炭素循環のバランスが崩れる可能性がある。本研究では温暖化操作実験を行っている日本国内の5ヶ所の森林で微生物呼吸中の放射性炭素同位体比(C)を測定し、微生物呼吸の炭素年代を明らかにするとともに、温暖化操作によりその起源がどのように変化するかを調査した。微生物呼吸のC値は北海道の泥炭土壌サイト(天塩サイト)と他のサイトで異なる傾向を示し、天塩サイト以外では表層リターの値に近く、リター層量との間に相関が見られた。一方で天塩サイトでは、微生物呼吸のCは負の値を示し、より深い層の古い有機物が分解されていることが明らかになった。そのC値は採取日前の降雨量と対応した変動が見られ、地下水位が上下することで、微生物呼吸の起源が変化している可能性を示した。温暖化区と非温暖化区における微生物呼吸のCの比較では、温暖化区でより古い有機物が分解放出されている傾向があるものの、有意な差は認められなかった。

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