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久米 民和
Radioisotopes, 51(11), p.522 - 532, 2002/11
日米における放射線利用の経済規模調査において得られた日米の食品照射に関する情報、2001年3月フランス・アビニョンで開催されたIMRP-12 (12th International Meeting on Radiation Processing)報告資料や各国の関係者から直接入手した情報などに基づき、最近の食品照射の動向を紹介する。特に、日米における経済規模比較及び今後の動向、アジア各国での活発な動きなど、最新の情報を紹介する。
伊藤 均
月刊フードケミカル, p.75 - 80, 1997/03
食品への放射線処理の必要性は益々強まっている。食品照射の実用化が最も進んでいるのは香辛料であり、ヨーロッパ全体で年間3~4万トン殺菌処理されており、米国で3万トン、中国で1万トン処理されている。香辛料は耐熱性の有芽胞細菌で1g当たり10~10
個汚染されており、糸状菌により変敗しやすい。必要殺菌線量は7~10kGyであり、香気性成分や抗酸化性成分、抗菌性成分は50kGy照射しても変化しない。肉類や魚介類等の生鮮食品の場合には食中毒菌の汚染が問題である。多くの食中毒性細菌は少ない量の放射線で殺菌可能である。特に病原大腸菌O157は他の食中毒菌より少ない線量で殺菌可能であり、10
C以下の低温貯蔵と組み合わせれば1kGyでも食中毒の防止が可能である。
伊藤 均; M.S.Islam*; H.O.Rashid*; N.Sangthong*; P.Rattagool*; Adulyatham, P.*
IAEA-TECDOC-871, 0, p.165 - 182, 1996/04
香辛料の殺菌については電子線の線量率の影響について検討した。各種香辛料とも6~9kGyで衛生基準以下に殺菌されたが、ガンマ線と比べ電子線では必要線量が若干増加した。そして、この差は線量率が著しく差がある場合に起る微生物に対する酸化損傷によって説明できることを明らかにした。しかし、電子線の高線量率は過酸化物価の上昇を低減した。冷凍エビについては12試料中の病原性細菌の分布とガンマ線殺菌効果について検討した。その結果、冷凍えび中にはVibrio Para Haemolyticusやリステリア菌などが検出されたが、サルモネラ菌は検出されなかった。これらの菌は凍結下では3~3.5kGyで殺菌された。凍結照射の場合には照射臭の発生が著しく少なく、過酸化物化やトリメチルアミン等の成分変化も著しく抑制された。
伊藤 均; H.Chen*; J.Bunnak*
Journal of the Science of Food and Agriculture, 65, p.141 - 142, 1994/00
被引用回数:9 パーセンタイル:50.77(Agriculture, Multidisciplinary)Aspergillus parasiticus IFO 30179とA flavus ver columnaris S46による黒コショウ,白コショウ,赤トウガラシでのアフラトキシンB産生について検討した。これらの香辛料を白米と比較した場合,黒コショウや白コショウにおける無蒸煮または蒸煮後のアフラトキシン産生量は無視できるほど微量であった。一方,赤トウガラシでは若干量のアフラトキシンを産生した。これら香辛料の抽出液にはアフラトキシン産生抑制効果が認められ,照射によっても阻止能の低下は認められなかった。
伊藤 均; M.S.Islam*
Radiation Physics and Chemistry, 43(6), p.545 - 550, 1994/00
被引用回数:15 パーセンタイル:76.97(Chemistry, Physical)本研究で用いた香辛料中の総細菌数は1g中110
~6
10
個であった。電子線又はガンマ線での殺菌線量は6~9kGyであったが、電子線では若干殺菌線量が高くなった。Bacillus pumilusやB.megaterium,Aspergillus flavusの乾燥胞子を用いた電子線とガンマ線での感受性の比較により、電子線とガンマ線の殺菌効果の差は線量率の酸素効果の影響によることが明らかになった。一方、香辛料の照射による過酸化物価の上昇は高線量率の電子線照射では抑制される傾向が認められた。一方、香辛料中の精油成分の組成は電子線又はガンマ線を50kGyまで照射しても変化しなかった。
伊藤 均; G.Meixu*
食品照射, 29(1-2), p.1 - 7, 1994/00
香辛料類に微生物増殖抑制効果があることは古くから知られている。本研究では黒コショウ、ローズマリー、赤トウガラシ抽出液を用いてグラム陰性細菌5株、グラム陽性細菌6株、Aspergillus parasiticusに対する増殖抑制効果と照射の影響について検討した。その結果、各種グラム陰性細菌にはほとんど増殖抑制効果は認められなかった。一方、多くのグラム陽性細菌には抗菌活性が認められ、特にBacillus subtilisとClostridium botulinumで明確に認められた。そこでB.subtilisを用いて増殖抑制効果を調べたところ、赤トウガラシは0.05%濃度で抑制効果を示したのに対し、ローズマリーは0.5%、黒コショウは1%で抑制効果が認められた。一方、照射した黒コショウでは10kGy、50kGyで増殖抑制効果が若干減少したのに対し、赤トウガラシ、ローズマリーでは照射の影響は明確には認められなかった。
伊藤 均; M.S.Islam*
食品照射, 28(1-2), p.16 - 20, 1993/00
これまでの研究で香辛料のガンマ線殺菌線量は7~10kGyであり、香気成分は全く変化しないことを明らかにしてきた。今回は電子線による香辛料の殺菌効果および成分変化において線量率の影響があるかどうか検討した。その結果、香辛料の汚染菌であるBacillus pumilusとB.megateriumは水分活性0.4以下の乾燥下、無添加系ではガンマ線と電子線での感受性は全く同じであり、添加物共存下または低酸素圧下では電子線のD値はガンマ線に比べ著しく増加した。一方、各種香辛量では電子線での殺菌線量が増加する傾向が若干認められたが、実用的にはガンマ線とほぼ同じ線量で殺菌することができた。過酸化物価の増加はガンマ線の方が著しい傾向が認められたが20kGy以下では両者の差は認められなかった。精油成分の組成は200kGyまで照射しても変化せず、電子線とガンマ線の差も認められなかった。
金子 信忠*; 伊藤 均; 石垣 功
日本食品工業学会誌, 38(11), p.1025 - 1032, 1991/00
7種の香辛料について5から80kGyの線量で線を照射した。各香辛料中の脂質に対する照射の影響は過酸化物価、ヨウ素価、酸価及びガスクロマトグラフィーによってしらべた。その結果、各香辛料中の過酸化物価は照射による影響は少く、ナツメッグで他の香辛料より過酸化物価の増加が著しかったのは脂質含量が高いためと思われる。ヨウ素価及び酸価の変化も過酸化物価と相関性があった。脂質のGC分析の結果では50kGy照射しても成分変化は全く検出することができなかった。精油成分についてもヘッドスペースガスクロとGC-MSで分析したが、照射による成分組成の変化は認められず、炭化水素及び含酸素化合物に分画した後のガスクロ分析でも成分変化は検出できなかった。一方、加熱殺菌されたクローブでは低沸点化合物の減少が明確に認められた。
金子 信忠*; 伊藤 均; 石垣 功
食品照射, 25(1-2), p.75 - 78, 1990/00
香辛料は、耐熱性細菌や糸状菌による汚染が著しく、有効な殺菌処理が必要である。しかし香辛料は特に香りを重要視する食品のため、蒸気殺菌は適しておらず、7~10kGyの線量での放射線殺菌が最も有効とされている。本研究では、香辛料の照射による脂質の変化を、過酸化物価、ヨウ素価及び酸価によって調べ、香辛料の放射線殺菌の実用化へ向けての検討を行った。試料は白コショウ、黒コショウ、ローズマリー及びクローブの4種を用いた。ヨウ素価及び酸価は、照射された試料においても非照射品と比べて変化がなかった。一方、過酸化物価は若干変化はしたものの、30kGy以下であれば問題はないように思われる。また、10kGy及び30kGy照射した試料については貯蔵試験も併せて行ったが、非照射品との差は殆ど認められなかった。
久米 民和; 伊藤 均; H.Soedarman*; 石垣 功
Radiation Physics and Chemistry, 34(6), p.973 - 978, 1989/00
香辛料から分離されたAspergillus flavus var columnerisの放射線感受性を調べた結果、WetでのD値は267~293Gy、dryでは538~600Gyと求められた。これらの値からAspergillusの完全殺菌線量は8kGyと計算された。分離11株のうち2株に強いアフラトキシン産生能が認められ、特に毒性の高いB
が多かった。米に産生されたアフラトキシンについて放射線分解効果を検討した結果、G
、B
の分解はG
、B
よりも大きいことが明らかとなった。しかし、アフラトキシンは放射線に対して安定で、分解のためには500kGy以上の高線量が必要であった。したがって、アフラトキシンが産生される前に、照射によって汚染糸状菌を殺菌しておくことの必要性が明らかとなった。
森下 憲雄; 久米 民和; 川上 和市郎; 石垣 功
食品照射, 23(2), p.28 - 32, 1988/00
照射香辛料の検知法確立のための一手段として、ESRによる照射コショウの検知の可能性について検討した。コショウのESR測定では、半値巾が1000Gを越える広い成分と、約6.5Gの狭い成分とが観測された。
L.J.Muhamad*; 伊藤 均; 渡辺 宏; 田村 直幸
Agricultural and Biological Chemistry, 50(2), p.347 - 355, 1986/00
代表的な香辛料15試料について主要汚染菌分布と殺菌効果についてしらべた。黒コショウ、白コショウ、ターメリック、ローズマリー、バジル中の総細菌数は1g当り310
~5
10
個検出された。総細菌数を構成する主要菌は Bacillus subtilis と B.pumilus であった。大腸菌群は8試料に2
10
~2
10
個検出された。糸状菌も10試料に1
10
~2
10
個検出され、Aspergillus glaucus,A.restrictus,A.flavus,A.fumigatus,A.niger の各群と Penicillium で構成されていた。香辛料の汚染菌は1.2~1.5Mradのガンマ線照射で検出限界以下に殺菌され、1Mrad以下の線量で日本の衛生基準である1g当り10
個以下に殺菌することができた。香辛料をポリエチレン袋に入れ、30又は35
C、湿度84%以上で貯蔵すると糸状菌の発生が認められ、黒コショウなどは1ヶ月で糸状菌数が10
個以上に達した。しかし、0.4Mrad照射すると粉末状試料では糸状菌の発生を2ヶ月以上抑制できた。
渡辺 宏; S.Bagiawati*; 田村 直幸
食品照射, 20(1), p.27 - 30, 1985/00
香辛料の放射線殺菌に伴う成分変化の中で、抗菌活性と抗酸化活性についてはまだ調べられていない。そこでこれらの活性に対する照射効果を検討した。7種の細菌に対する抗菌活性は Clove,Sage,Oregano,Rosemary,Thyme,Mace に高い活性が見出されたが、40kGyまで、照射しても全く活性変化は認められなかった。高い抗酸化活性は Sage,Rosemary,Clove,Mace,Thyme にみられ、その粉末とEtOH抽出液での活性に対する照射効果を調べたが、30kGy照射しても Clove,Mace,Thyme では全く活性の変化はない。Sage と Rosemary はAOM値で2hr程の変化が見られるが、この程度の変化は実用的に意味があるものではない。従って10kGyの殺菌線量では、これらの活性が変化することはないと結論できる。
S.Bagiawati*; 渡辺 宏; 田村 直幸
食品照射, 20(1), p.23 - 26, 1985/00
日本における輸入香辛料の微生物汚染状況を調査し、その放射線殺菌効果を検討した。26種の香辛料の微生物分布を調べた結果、1g当りの総菌数は710
~4
10
、有胞子細菌は1
10
~3
10
、大腸菌群は2
10
~4
10
、一般糸状菌は1
10
~4
10
、好浸透圧性糸状菌は1
10
~2
10
であった。大腸菌群は8種の香辛料から検出されたが、サルモネラ菌は検出されなかった。最も汚染の著しかったものは黒コショウとターメリックである。殺菌効果を調べた結果、大腸菌群は4kGy、糸状菌は6kGy、有胞子細菌は10kGyで殺菌できる。有胞子細菌を食品衛生法の規定である1g当り1000個以下に減少させる線量は、汚染度によって異なるが4~7kGyであり、黒コショウでも7kGyの照射で充分である。大腸菌群は糸状菌は有胞子細菌より菌数が少なく、放射線感受性も高いため、7kGy照射すればこれらの細菌や糸状菌も同時に除去ですることができる。
L.J.Muhamad*; 伊藤 均; 渡辺 宏; 田村 直幸
食品照射, 20(1), p.18 - 22, 1985/00
各種香辛料中の総細菌数は1g当たり310
~5
10
個検出され、主要菌はBacillus sabtilis,B.pumilus,B.megaterlam などで構成されていた。大腸菌群は多いもので10
個も検出されたが、Klebsiella や Enterobacter が多くを占め、Escherichia や Salmonella などの病原性細菌は検出されなかった。これらの有芽胞細菌や大腸菌群は0.8~1.4Mradの線量で検出限界以下まで殺菌することができた。一方、糸状菌類は1g当たり80~7
10
個検出され、主要菌は Aspergillus restricts 群や A.glaucus 群に属する高浸透圧性糸状菌や A.flavas 群、A.fumigatus 群などで構成されていた。これらの糸状菌類は0.4~0.5Mradでほぼ殺菌された。香辛料をポリエチレン中に包装し、夏期条件下で貯蔵すると1~2ヶ月で糸状菌が発生し、1g当たり10
個以上に増加した。ことに黒コショウやターメリックで糸状菌発生が著しかったが、0.4Mradでほぼ糸状菌発生を抑制することができた。
千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦
no journal, ,
放射線照射した香辛料は国際的に広く流通するが、日本では許可されていない。その理由として国民の不安や国民的合意の不足が指摘されるので、我々の実験結果を公表して健全なリスクコミュニケーションを推進したい。食のコミュニケーション円卓会議の有志は、香辛料について照射品と過熱蒸気殺菌品、および、それを使う料理を外観や食味について比較検討を重ねた。今回は、等量の香辛料の食味に注目して、黒コショウ等でも殺菌方法の違いを知覚できるかについて調べた。殺菌方法の違いによる統計的な差は明確ではなかったが、傾向は得られた。香辛料単体の比較では、照射殺菌の方が未処理品に近い傾向があることも考え合わせると、比較しやすい条件を見つける工夫も必要である。条件により、よく訓練されたパネルで統計的に有意な差が出ても、一般消費者では違いを感知しにくい場合がある。また、食べ慣れた過熱蒸気殺菌品を好む人もいる。これらの結果を踏まえ、香辛料が日本人にとって塩分の低減に役立つ大事な食品であることも考え合わせ、香辛料の色調や香気成分の変化なく菌数低減ができる放射線照射の長所について、冷静に受け止めるよう願う。
千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦
no journal, ,
放射線照射により非加熱で殺虫・殺菌ができ、照射した香辛料は国際的に広く流通するが、日本では許可されていない。食品照射への理解を促進するため、香辛料については照射殺菌品と過熱水蒸気殺菌品、および、それを使う料理の比較を行っている。入手しやすく、簡便で、再現性の高い新規官能検査方法として、市販の介護用とろみ剤の効果を検討した。香辛料は水に浮沈して均一に混合しにくいが、とろみ剤を使うことで、口に入る香辛料の量を揃えることができた。どちらの殺菌方法にせよ、食塩分0.3%という非常に低い濃度にもかかわらず、コショウを加えると十分おいしく感じた。日本の食生活では減塩が重要だが、香辛料は減塩を容易にする。とろみ剤によって殺菌法の違いによる香辛料の効能が再確認できたので、適切な施策に繋がることを望む。
千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦
no journal, ,
円卓会議では、80種類を超える照射食品の官能検査を通じて、食品によって照射の向き・不向きがあると体験的に理解した。特に、香辛料は照射が向いていた。機器分析では、過熱水蒸気殺菌品は照射殺菌品より香気成分が低減しバランスが崩れていた。香辛料は水に浮沈して均一にしにくいが、介護用とろみ剤で均一に分散させて口に入る量もほぼ揃えた場合、官能検査でも照射殺菌品と過熱水蒸気殺菌品に違いがあるか検討した。赤唐辛子、黒コショウについては、照射殺菌の方が風味や辛味がより強いという傾向があったが、有意差はなかった。しかし、照射した白コショウでは、スープに入った状態での風味の強さと辛味の強さに関して過熱水蒸気殺菌品と比較して統計的有意差があった。今回、一般人による官能検査で殺菌法の違いによる香辛料の辛味・風味等を比較したが、よく訓練されたパネルによる官能検査であれば、香辛料の照射殺菌品と過熱水蒸気殺菌品の香気成分という質的な差を示せたかも知れない。より良いリスクコミュニケーションでは、一般の人が感知できて納得しやすいことが重要なので、とろみ剤を用いた官能検査をさらに改良して適切に比較できる方法が必要と考える。