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上羽 智之; 伊藤 昌弘*; 石谷 行生*
JAEA-Technology 2023-006, 36 Pages, 2023/05
日本原子力研究開発機構で開発しているBAMBOOコードは、高速炉用のワイヤスペーサ型炉心燃料集合体における燃料ピンバンドルの変形を解析するコードである。本研究では、燃料ピンとダクトとの相互作用により生じた隣接する燃料ピン同士や最外周の燃料ピンとダクトとの接触部に対して摩擦を考慮するモデルを開発した。これは、BAMBOOの接触・分離解析の中で摩擦力を考慮するモデルであり、摩擦が生じた場合に解析が数値的に不安定になる状況を避けるため、収束計算によって摩擦力を徐々に変化させていき確定するようにした。モデルの解析機能確認の結果、現実的な摩擦係数を適用した場合、ピン-ダクト接触時期やピンバンドル内の変位の方向について摩擦の影響が僅かに認められた。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工芸大学*
JAEA-Review 2022-011, 80 Pages, 2022/07
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、平成30年度に採択された「被災地探査や原子力発電所建屋内情報収集のための半自律ロボットを用いたセマンティックサーベイマップ生成システムの開発」の平成30年度から令和3年度の研究成果について取りまとめたものである(令和3年度まで契約延長)。本課題は令和3年度が最終年度となるため4年度分の成果を取りまとめた。本研究の目的は、災害時においてヒトの立ち入りが困難となった原子力発電所建屋内などの状況調査を対象に、簡単・安全・迅速に複数種類の情報(空間線量、温度、障害物等)を含んだセマンティックサーベイマップを生成する半自律移動ロボットシステムの研究・開発(カメラシステム、セマンティックSLAM、移動経路学習及び安全な経路提示システム)である。本研究では実験用レスキューロボットを開発し、複数のセンサシステムの搭載や取得したセンサ情報から局所セマンティックマップや広域セマンティックマップを生成するシステム。局所セマンティックマップを用いたロボットの走行経路学習シミュレータの開発も行った。それらのシステムを統合し、半自律移動ロボットシステムを完成させた。
市原 義孝*; 中村 尚弘*; 飯島 国彦*; 崔 炳賢; 西田 明美
構造工学論文集,B, 68B, p.271 - 283, 2022/04
本論文は、振動数に依存しない複素減衰を用いた鉄筋コンクリートの等価線形解析法の原子炉建屋の耐震設計への適用性を評価することを目的とする。そのため、理想的な地盤条件での原子炉建屋の非線形及び等価線形地震応答に着目して、地盤-建屋連成系の三次元FEM解析を実施した。その結果、等価線形解析結果は非線形解析結果と概ねよく整合し、その有効性を明らかにした。さらに、今回の等価線形解析法は、非線形解析モデルと比較して、構造の剛性を低めに評価する傾向があった。このため、最大せん断ひずみの評価では、非線形解析の結果よりもひずみの値が大きくなる可能性が高いことに留意する必要がある。
市原 義孝*; 中村 尚弘*; 森谷 寛*; 堀口 朋裕*; 崔 炳賢
日本原子力学会和文論文誌, 21(1), p.1 - 14, 2022/03
本研究は、鉄筋コンクリート構造物の非線形性の影響を近似的に等価線形解析手法による地震応答解析で評価することを目的に、1996年にOECD/NEAによる国際解析コンペで使用された原子炉建屋耐震壁終局応答試験の三次元有限要素法によるシミュレーション解析を実施した。耐震壁の等価剛性及び等価減衰は、日本電気協会が提案するトリリニア型スケルトンカーブ、Cheng et al.が提案する履歴曲線より求め、せん断ひずみ調整ファクターは感度解析より0.70に決定した。その結果、せん断ひずみ=2.010程度までの試験体上部の卓越振動数,最大応答加速度,最大応答変位,慣性力-変位関係,床応答スペクトルを良く再現できることを明らかにした。本報における等価線形解析は、=4.010程度の終局破壊時の最大応答変位を過小評価している。このため、破壊直前の急激な変位の増大を含む試験結果の評価に本手法を適用する場合は、その適用性に十分留意する必要がある。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工芸大学*
JAEA-Review 2020-062, 47 Pages, 2021/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和元年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、平成30年度に採択された「被災地探査や原子力発電所建屋内情報収集のための半自律ロボットを用いたセマンティックサーベイマップ生成システムの開発」の令和元年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究の目的は、災害時においてヒトの立ち入りが困難となった原子力発電所建屋内などの状況調査を対象に、簡単・安全・迅速に複数種類の情報(空間線量,温度,障害物等)を含んだセマンティックサーベイマップを生成する半自律ロボットシステムの研究・開発(カメラシステム,セマンティックSLAM,移動経路学習及び安全な経路提示システム)である。
廃炉国際共同研究センター; 東京工芸大学*
JAEA-Review 2019-022, 35 Pages, 2020/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉国際共同研究センター(CLADS)では、平成30年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、平成30年度「被災地探査や原子力発電所建屋内情報収集のための半自律ロボットを用いたセマンティックサーベイマップ生成システムの開発」について取りまとめたものである。本研究の目的は、災害時においてヒトの立ち入りが困難となった原子力発電所建屋内の状況調査を対象に、簡単・安全・迅速に複数種類の情報(空間線量, 温度, 障害物等)を含んだセマンティックサーベイマップを生成する半自律移動ロボットシステムの研究・開発(カメラシステム, セマンティックSLAM, 移動経路学習及び安全な経路提示システム)である。
高松 邦吉
Annals of Nuclear Energy, 106, p.71 - 83, 2017/08
固有の安全性を持つ高温ガス炉である高温工学試験研究炉(HTTR)を用いて、強制冷却喪失(LOFC)事象を模擬した安全性実証試験を実施した。本論文では、冷却材流量が定格の45t/hから0t/hまで低下し、制御棒が炉心に挿入されず、原子炉出力制御系が作動しない条件における、原子炉出力9MWからの強制冷却喪失時の熱流動特性を示す。解析により、1次純化設備による強制対流の下降流は、燃料体内で発生した自然対流による上昇流を抑え込むが、原子炉出口冷却材温度に与える影響を除いて、炉内の熱流動特性に与える影響は小さいことを明らかにした。以上により、原子炉圧力容器内の3次元熱流動特性を定量的に示すことができた。
西山 潤*; 大釜 和也; 坂本 辰次郎*; 渡辺 凜*
日本原子力学会誌ATOMO, 57(2), p.123 - 125, 2015/02
原子力エネルギーマネジメントスクールにおいて、新規原子力導入国を含む海外15ヵ国からの19名の研修生および12名の日本人研修生参加のもと、原子力分野で働く若手の人的ネットワーク構築のための知見共有および意見交換を目的とした特別セッションを開催した。同セッションでは、活動経験共有のための発表とともに、人的ネットワーク構築を行うための方策として、Young Generation Network(YGN)活動を例に、必要性、課題、今後活動を広めていくためにできることについて全体討論を行った。
高松 邦吉; 栃尾 大輔; 中川 繁昭; 高田 昌二; Yan, X.; 沢 和弘; 坂場 成昭; 國富 一彦
Journal of Nuclear Science and Technology, 51(11-12), p.1427 - 1443, 2014/11
被引用回数:13 パーセンタイル:69.72(Nuclear Science & Technology)固有の安全性を持つ高温ガス炉である高温工学試験研究炉(HTTR)において、強制冷却喪失事象を模擬した安全性実証試験を実施した。本論文では、冷却材流量が定格の45t/hから0t/hまで低下し、制御棒が炉心に挿入されず、原子炉出力制御系が作動しない条件における、原子炉出力9MWからの強制冷却喪失(LOFC)時の解析結果を示す。解析より緊急炉心停止系が作動しなくても、炉心の負の反応度フィードバック特性により、原子炉出力がすぐに崩壊熱レベルまで低下し、炉心構造材の高い熱容量により炉内の温度分布がゆっくり変化することを明らかにした。以上により高温ガス炉固有の安全性を示すことができた。
千原 順三*; 山極 満
Progress of Theoretical Physics, 111(3), p.339 - 359, 2004/03
被引用回数:5 パーセンタイル:37.24(Physics, Multidisciplinary)密度汎関数理論は外部ポテンシャルの下での相互作用系の特性を、対応する非相互作用系と関連付けることにより計算する簡便な手法を提供する。ここでは、この非相互作用系の幾つかの関係式を見いだし、中性の電子-原子核混合系に対する熱力学関係式を、非相互作用系の諸量及び交換相関効果を用いて記述する。これにより、原子核に及ぼされる力の定理が容易に証明される。
武田 哲明; 大橋 弘史; 稲垣 嘉之
日本機械学会2003年度年次大会講演論文集, Vol.3, p.17 - 18, 2003/08
高温ガス炉に接続する水素製造システムにおいて、ヘリウムガス加熱型の水蒸気改質器反応管外側の伝熱促進が水素製造量に及ぼす影響と内管を加熱,外管を断熱した環状流路の熱伝達について検討した。その結果、内管加熱外管断熱の環状流路内に気体が流れる場合の伝熱量は、加熱壁面温度が150C程度でも熱放射により対向壁が加熱される影響は無視できず、流路全体としての気体への伝熱量を求める場合は対向壁が加熱される影響を評価する必要がある。
中村 仁一; 杉山 智之; 中村 武彦; 金沢 徹; 笹島 栄夫
JAERI-Tech 2003-008, 32 Pages, 2003/03
原研・原子炉安全性研究炉(NSRR)を用いた反応度事故の模擬実験において、将来のプルサーマル利用に対応するため、プルトニウム富化度12.8%までの混合酸化物(MOX)燃料の使用を計画している。この変更に伴うカプセルの安全設計への影響として試験燃料の破損時に発生する破壊力(衝撃圧力及び水撃力)に及ぼすMOX燃料の富化度の影響について検討した。試験燃料の破損時に発生する衝撃圧力は、燃料被覆管破損時に内部の高圧ガスが解放されて生じるものである。燃料棒内外差は初期圧,FPガス放出量に依存するが、MOX燃料のFPガス放出は富化度に依存しないため、衝撃圧力は富化度の影響を受けないと結論された。また、微粒子化した燃料と冷却水の熱的相互作用で発生する水撃力については、微粒化した燃料粒子から冷却水への熱流束を、高富化度化による熱物性値の変化を考慮して解析評価した。その結果、UO燃料と同程度に微粒子化したMOX燃料粒子から破壊力が発生する極短時間において放出される熱流束は、MOX燃料はUO燃料に比べてわずかに小さく、水撃力を増加させないものと判断された。
草ヶ谷 和幸*; 杉山 智之; 中村 武彦; 上塚 寛
JAERI-Tech 2002-105, 24 Pages, 2003/01
原研・原子炉安全性研究炉(NSRR)を用いた反応度事故の模擬実験において、商用炉での燃料の使用温度・圧力を実現するための新たな実験カプセルを開発しているが、その強度設計に必要な知見として、試験燃料の破損時に発生する破壊力(衝撃圧力及び水撃力)に及ぼす高温・高圧の影響を検討した。破壊力に関する従来の知見、及び温度・圧力による蒸気の物性変化などを考慮すると、開発中のカプセルにおいて想定しているBWR運転条件下での衝撃圧力及び水撃力は、従来の実験条件である室温・大気圧条件下に比べ、ともに低下すると定性的に予測された。さらに、水撃力の大きさを決定付ける水塊速度の大きさについて、実験体系及び水撃現象をモデル化して定量的に評価した結果、BWR運転条件下における水塊速度の最大値は、室温・大気圧条件下の約1割にまで低下することがわかった。
曽我部 敏明; 石原 正博; 馬場 信一; 小嶋 崇夫; 橘 幸男; 伊与久 達夫; 星屋 泰二; 平岡 利治*; 山地 雅俊*
JAERI-Research 2002-026, 22 Pages, 2002/11
高温工学に関する先端的基礎研究のうち、高温ガス炉技術の高度化のための原子炉要素技術の研究開発として炭素繊維強化炭素複合材料(C/C複合材料)製制御棒被覆管の研究開発を進めている。また、実用化に反映可能となる物性予測,評価に関する基礎的な研究を「耐熱セラミックス複合材料の照射損傷機構に関する予備試験」の一環として進めている。本報告は、これまで行ってきたC/C複合材料に関する研究開発についてまとめたものである。開発に当たっては、材料特性,構造物の製作可能性,安定供給性,コストなどを考慮し、C/C複合材料の試作・検討により有望な材料を開発した。材料特性としては、引張強さや曲げ強さ等の機械的強度が高いこと、破断ひずみが大きくかつ靭性が高いこと、中性子照射に対して寸法変化が少なく安定性が高いこと等を考慮している。その結果、炭素繊維としてポリアクリロニトリル系の平織りクロス,マトリックス材としてピッチを用い、さらに耐照射損傷性を高めるための特別な熱処理及び原子炉級に不純物を除去する高純度化を施した2次元炭素繊維強化炭素複合材料(2D-C/C複合材料)を開発した。
高橋 良和; 小泉 徳潔; 布谷 嘉彦; 高谷 芳幸*; 辻 博史
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 12(2), p.1799 - 1803, 2002/06
被引用回数:5 パーセンタイル:35.01(Engineering, Electrical & Electronic)原研はメーカと共同でITERのトロイダル磁場(TF)コイル用NbAl素線を開発してきたが、中心ソレノイド(CS)モデル・コイルを使用して実験されるNbAlインサート・コイル用に、ジェリーロール法による素線を1トン製造した。この素線は、量産を目指した製造技術(品質管理技術を含む)を確立し、それを用いて製造されたものである。この素線の臨界電流値を広い温度範囲(4~15K)と磁場範囲(16Tまで)において測定し、ピンニング力のスケーリング法により、臨界電流値の実験式を導き出した。この式は、ITERの運転温度において、実験結果とよい一致が得られた。よって、この式は、この素線を1152本用いた13T-46kA導体の性能評価及び核融合用超伝導導体の最適設計基準の確立のために有用と考えられる。
立花 光夫; 島田 太郎; 柳原 敏
日本機械学会第8回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集, p.489 - 492, 2002/06
原子力施設の解体作業に適用する遠隔解体ロボットを開発した。遠隔解体ロボットは、双腕型マニピュレータを有し、画像フィードバック及び力フィードバックにより、遠隔解体ロボットを正確な位置に動作させ、適切な力を供給し解体作業を安全に実施することができる。開発した遠隔解体ロボットを用いて動作制御試験を行った結果、あらかじめ作成した遠隔解体ロボットの動作データに画像フィードバックを行い、複雑な形状の機器に対して切断,測定,除染等の一連の解体作業を力フィードバックにより実施できることを確認した。
中村 寿; 中島 幹雄
JAERI-Tech 2002-006, 58 Pages, 2002/03
原子力施設内での限定再利用を想定して、解体廃棄物を用いた再利用製品の製造と利用により作業者が受ける被ばく線量を評価した。その結果、Co-60の放射能濃度がクリアランスレベルよりも2桁高い汚染金属を再利用した場合でも金型鋳鉄複合容器、スラグ受け容器、ドラム缶補強材の1体あたりの製造に関する被ばく線量が数Sv数十Svの範囲にあることがわかった。また、金型鋳鉄複合容器を利用した多重鋳造廃棄体の鋳造では、放射能濃度が最大37MBq/gの廃棄物を処分する場合でも、廃棄体の取り扱いに支障がないように重量を20t程度に抑え、放射性輸送物の運搬にかかわる線量当量率の基準を満足させられることがわかった。以上の結果より、放射線被ばくの観点からは、放射性の金属廃棄物を廃棄物管理のための製品に再利用することが可能であると考えられる。
榎枝 幹男; 小原 祥裕; 秋場 真人; 佐藤 聡; 秦野 歳久; 古作 泰雄; 黒田 敏公*; 菊池 茂人*; 柳 義彦*; 小西 哲之; et al.
JAERI-Tech 2001-078, 120 Pages, 2001/12
本報告書は、経済的競争力の強化と技術的な堅実さの維持を両立する原型炉ブランケットの概念構築を目的として行われた平成12年度の原型炉ブランケット設計会議での作業内容をとりまとめたものである。平成11年度の核融合会議戦略検討分科会の議論等から、原型炉の果たすべき使命に関して見直しがなされ、経済的な競合性を有する実用炉の原型であり、それと同じ材料と設計を使用して商業的に魅力ある動力炉の原型であるから、原型炉で、実用化に必要な技術はすべて開発し実証する、と結論付けられた。この見直しを受けて、過去数年にわたるプラズマ研究や炉工学技術開発の進展を勘案して、開発目標として再設定をし、原型炉としてA-SSTRで提案された超臨界水冷却方式の固体増殖ブランケットを目標とし、その概念検討を行った。本概念検討の結果、除熱,発電,燃料増殖,遮蔽などの基本的な性能に関して、超臨界水冷却固体増殖ブランケットの実現可能性が示された。また、電磁力に関する検討,超臨界水による腐食防止に関する予備調査,トリチウム生成挙動と回収方式の検討,冷却発電システムの検討,モジュール製作性の検討,遠隔保守着脱機構,交換計画の検討などを行い、今後解決するべき検討課題を明らかにした。
石山 新太郎; 深谷 清; 衛藤 基邦
日本原子力学会誌, 41(10), p.1092 - 1099, 1999/00
被引用回数:2 パーセンタイル:21.15(Nuclear Science & Technology)今後の高温ガス炉開発において炉心性能の高性能化に重要な役割を担う高性能制御棒について、二次元強化型C/Cコンポジット材を用いてHTTR用模擬制御棒の試作を被覆管要素(外筒:外径長さ厚さ=1133004mm、内筒:外径長さ厚さ=753007.5mm)及び連結部ネジ要素(M16及びM8)について実施し、その強度特性を把握した。その結果、同上素材を用いて現行のHTTR制御棒主要寸法を満足する制御棒を製作できることを明らかにした。また、試作材要素の強度試験を実施することにより、被覆管要素については、設計強度値は満足するものの、さらに厚み方向へ繊維強化による強度改善が必要であること、一方、ネジ要素では素材強度以上の高強度が得られることを明らかにした。
Y.J.Stockmann*; 二川 正敏; 小宮 慎吾*; 田辺 裕治*; 粉川 広行; 日野 竜太郎; 光野 司郎*
Ceramic Material Systems with Composite Structures, 99, p.357 - 369, 1998/00
耐熱、耐食、低放射化材料であることから次世代原子炉構造機器材料として期待される、SiC長繊維複合材料(SiC/SiC)の強度に与える荷重負荷速度の影響について、繊維含有率及び繊維皮膜材料(BN-,C-coating)を変えて調べた。高速荷重負荷実験は、振り子型衝撃曲げ試験機、及びSplit-Hopkinson棒による衝撃引張試験機を用いて、最大200 1/sひずみ速度下で行った。ひずみ速度及び繊維堆積含有率が増加するにしたがって、曲げ強度、引張強度ともに上昇する傾向を示した。破面観察結果から、繊維のPull-out長さは繊維堆積含有率及び繊維皮膜厚さとともに増加したが、ひずみ速度の増加とともに減少した。さらに、破断面に現れた繊維上に付着した皮膜痕は、高速負荷下では比較的少なく、低速負荷時に現れたような繊維の引き抜き効果が高速負荷時に期待できないことがわかった。