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佐藤 博之; 高橋 克郎; 岩田 耕司; 中本 香一郎; 長井 修一朗; 山下 芳興
動燃技報, (100), p.69 - 85, 1996/12
大洗工学センターでは,1970年の開所以来,高速実験炉「常陽」の建設・運転およびFBR基盤技術の蓄積・充実を進めてきた。これらの結果は「もんじゅ」の建設・運転に反映されている。また,「もんじゅ」で発生したナトリウム漏洩事故については,その原因究明に取り組んでいる。今後は,原子力開発利用長期計画に沿って2030年頃までにFBR実用化が可能となるよう技術を極め,さらに,実用化時代の多様なニーズに対応できる技術体系を構築していく。本稿においては,FBR固有技術の柱である安全性,炉心・燃料,高温構造システムの三分野を中心とした研究開発の現状および今後の展開について紹介する。
中本 香一郎; 林道 寛; 田辺 裕美; 山口 勝久; 圷 正義; 渡士 克己; 一宮 正和
PNC TN9080 92-009, 24 Pages, 1992/04
動燃では、「常陽」「もんじゅ」で培った技術基盤をもとに、FBR実用化技術の確立に向けて、経済性の向上と安全性の強化を図るべく実用化重要技術課題(10課題)を取り上げ、その解決のための研究開発の着手している。PROFIT計画は、10課題の中から『実用化のキーとなる革新技術の開発と実証炉の連携の下にプロジェクトとして推進することを意図して計画されたものである。所掌しる範囲は、「常陽」MK-3計画及び革新技術の開発・実証であり、前者は炉心の高中性子束化による照射性能の向上、稼働率向上、照射技術の高度化を、後者は機器・系統の合理化、運転保守技術の高度化、合理的安全論理構築に寄与の大きい革新要素技術、2次系削除システム開発・実証および「常陽」安全性試験を含む。本基本計画書(要約偏)には、PROFIT計画の目的、計画立案にあたっての基本的考え方、ニーズ面からの件等、シーズ面からの検討、ならびに上記のMK-3計画および革新技術開発・実証に関する意義、技術の現状、中間期的計画について要約し、あわせて10課題との関連、スケジュール、資金計画についてもふれた。付録としてPROFIT計画に係る研究開発WBSおよび推進体制(平成3年度)添付した。基本本計画書(要約偏)は、平成3年度に再開後のPROFIT計画推進会議での審議等をふまえて作成された基本方針と研究開発骨子をまとめたものであり、それ以前の審議結果についても適宜反映してある。なお、PROFIT計画推進会議(事務局会議を含む)とその下に設けた各分科会(MK-3計画、第1-3分科会)で構成する組織により各ラインで実施している研究開発を総合的見地から推進・調整している。
中本 香一郎; 圷 正義; 林道 寛; 田辺 裕美; 山口 勝久; 渡士 克己; 一宮 正和
PNC TN9080 92-008, 52 Pages, 1992/04
本基本計画書(詳細偏)は平成3年度に再開後のPROFIT計画推進会議での審議等をふまえて作成された基本方針と研究開発骨子(PROFIT計画書要約編参照)と対をなするもので、関係課室で作成された資料をもとに旧版を改定したものである。本報告書は、PROFIT計画で所掌している「常陽」MK-3計画に係る研究開発と革新技術の開発・実証に係る研究開発について、各研究開発項目毎に計画内容と中長期スケジュールを記載してある。
中本 香一郎; 林道 寛; 田辺 裕美; 山口 勝久; 圷 正義; 渡士 克己; 一宮 正和
PNC TN9080 92-007, 113 Pages, 1992/04
PROFIT計画推進会議は平成3年度に発足し、途中の中断を経て、平成3年度後半に再開した。本報告書は、PROFIT計画で所掌している「常陽」MK-3計画に係る研究開発と革新技術の開発・実証(第13分科会)に係る研究開発について、それぞれ平成3年度の活動内容と成果の評価および今後の展開について記載してある。
中本 香一郎; 林道 寛; 渡士 克己; 田辺 裕美; 一宮 正和; 山口 勝久; 浅賀 健男
PNC TN9080 92-006, 21 Pages, 1992/04
本資料は、PROFIT計画会議(平成3年度開催)ならびに「常陽」技術評価専門委員会(平成3年12月開催)で使用した革新技術開発・実証関連OHPを資料集としてまとめたものである。
中本 香一郎; 圷 正義; 鈴木 惣十; 宮川 俊一; 小林 孝良; 冨田 直樹; 伊東 秀明
PNC TN9080 92-005, 70 Pages, 1992/04
本資料は、PROFIT計画推進会議(平成3年度開催)ならびに「常陽」技術評価専門委員会(平成3年12月開催)で使用したMK-3計画関連OHPを資料集としてまとめたものである。
大平 博昭; 長沢 一*; 中村 寿; 林道 寛; 中本 香一郎
PNC TN9410 91-109, 83 Pages, 1991/02
平成2年度からプラント工学室で開始された60万KWeクラスの大型炉設計研究に関連して当室においてもプラント熱過渡評価等の設計研究を開始した。熱過渡評価に関する研究の中で、レファレンスとして設計されたプラントに対する熱過渡特異点の摘出や、「もんじゅ」プラントの比較等を行ない、さらにプラント全体の大まかな構成を設計するために、熱過渡に対する数多くのパラメータサーベイが迅速に行なえるコードの開発を進めている。本簡易コードはSuper-COPDをベースとすることとし、まず最初の段階として、簡易化したSuper-COPDのモデルを作成し、入力条件として、「もんじゅ」の運転条件を用いて開発を行なった。これらの検討から以下の成果がえられ、簡易コードへの反映事項が抽出できた。1)1次側及び2次側のポンプ、及びACS系及びSG前後のバルブを排除してポンプ位置及びACS系の流量変化を入力することにより、簡単にプラントの特性が解析できる。2)入力条件で大きく影響が生じるAC出口温度変化を除いては「もんじゅ」プラントと同様な応答が得られ、本簡易モデルが妥当であることがわかった。3)「もんじゅ」詳細解析結果と比較したところ、大型炉プラントは「もんじゅ」プラントに比べて、比較的速く温度変化が伝播することがわかった。今後、さらに各種パラメータを変更した解析、及び「もんじゅ」詳細解析モデルを本モデルにあてはめた解析を通じて、本簡易モデルの妥当性の確認、及び必要箇所のモデルを変更する予定である。
中本 香一郎
原子力工業, 37(2), p.70 - 78, 1991/02
FBRプラントの計測・制御について開発成果と内外プラント動向,今後の方向を体系的に概説した。軽水炉と比較しながらFBRの特徴と動燃の成果を紹介した。核計装は高温用中性子検出器・広域系の開発とFBRプラントへの適用状況・燃料破損検出,位置決め計装は軽水炉等先行炉の技術をふまえFBR固有の技術への高度化を述べた。FBR特有な炉心上部計装は必要性と開発成果,内外炉での適用状況に触れた。プロセス計装はFBRに特徴的なナトリウム計装を温度,流量,液位,圧力など種々の方式を比較評価し,有望な形式の選択根拠と技術の現状を紹介した。その他ナトリウム漏洩検出システムとナトリウム中透視装置を紹介した。また動特性・制御ではFBRでの特徴と留意点,プラント動特性解析手法の開発,プラントへの適用状況を述べ,最後にFBR運転監視システムの概要と異常診断システムを紹介した。
高木 剛彦*; 荒 邦章*; 林道 寛*; 保田 仁司*; 中本 香一郎*
PNC TN9410 87-046, 62 Pages, 1987/04
高速増殖炉の遠隔保守補修技術開発の一環として、その要素技術の一つであるマニピュレーション技術の開発を目的に、ナトリウム取扱いロボットを試作した。試作は、以下の3ステップにて実施している。・第1ステップ(59年度)ハンドリングマニピュレータの試作・第2ステップ(60年度)制御装置の試作・第3ステップ(61年度)走行装置の試作。本報は試作したナトリウム取扱いロボット概要及び基本仕様について報告するものである。試作したロボットは、プラント機器のナトリウム洗浄等を主体系としてナトリウム取扱いロボットであり、人間の腕と同様7つの自由度を有しており、作業の汎用化、開発試験に備え、マスタースレーブ制御方式とした。今回試作したナトウリム取扱いロボットを用いて、実際のプラントにロボットを適用する上で必要となる機能を確認するための試験を実施し、その検討を行った。
荒木 等*; 羽賀 一男; 中本 香一郎
日本原子力学会誌, 28(2), p.176 - 184, 1986/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Nuclear Science & Technology)燃料集合体内の流路閉塞等によって生ずるとかんがえられるナトリウム沸騰を沸騰音信号から検出するための手法を確立するためには①高温用音響検出器の開発②沸騰音そのものの特性はあく③音源から検出器までの伝播特性の把握④流動ノイズなどに対する信号処理法の確立等が必要である。そのため、ここではナトリウム沸騰音そのものの特性把握を主な目的として91本ピンバンドルテストセクションを用いた炉外ナトリウム沸騰試験を実施し、以下のような結果を得た。①過飽和温度 250までは沸騰音圧も増大し、約 1,000パスカルの音圧に達する。②沸騰は一定周期をもって発生し、過飽和温度上昇と共に長くなり、約 0.7秒にまで遅くなった。③音響スペクトルはラッパ管壁で高周波側にナトリウムパイプ中で低周波側に特に大きな上昇がみられた。④検出器の到達時間差を求める相関法ではスムージング処理が有効である。
小池 茂*; 藤川 俊美*; 広瀬 文隆*; 松本 精夫*; 中本 香一郎*
PNC TN941 85-79, 157 Pages, 1985/05
「もんじゅ」一次主循環ポンプ(モックアップ)について,ナトリウム中静圧軸受の交換及び低液位対流防止板装着後,ポンプ内の最低液位(EsL)試験及び軸封無シールガス試験を実施し,以下の知見を得た。(1)ポンプ内の最低液位での運転,最低液位での無シールガス運転及び通常液位での無シールガス運転を実施し,一次系配管破損時及び格納容器隔離時におけるポンプの健全性が確認できた。(2)最低液位での運転で,アウターケーシング及びインナーケーシング周方向温度差が最大となる時間,安定するまでに要する時間及びその位置を確認した。(3)アウターケーシング及びインナーケーシングの周方向最大温度差は,時間とともに増大し,液位が低下するほど大きく,かつ温度差が最大となるまでの時間も早くなることが判った。(4)最低液位での運転で確認したアウターケーシングの最大変位量は,ポンプの許容変位量以下であり,運転上問題とならない。(5)低液位対流防止板を装着した方が,アウターケーシング及びインナーケーシング周方向温度差が最大となる時間が長くなり,かつアウターケーシング変位量もゆっくり増加するなど,ケーシング変形が緩和され低液位対流防止板の装着は有効である。(6)最低液位の状態でポニーモータを停止し,また,再起動したところ,問題なく立ち上げられることを確認した。
中本 香一郎*; 荒 邦章*; 片岡 一*; 高木 剛彦*; 亀井 満*; 林道 寛*
PNC TN942 85-01, 64 Pages, 1985/03
供用期間中検査機器は軽水炉で実用化が進められているが,FBR原子炉廻り等では高温,高放射線,狭隘という厳しい環境下で検査する必要があり,センサー等には,遠隔化,耐熱性,耐放射線性,コンパクト性,装荷に伴う柔軟性等が要求される。このため,近年進歩の著しいファイバ・スコープについて,現状技術を調査し,FBR環境への適用性を検討した。本報告には58年度に実施したファイバ・スコープの現状技術調査と,FBR肉眼試験時の環境への適応上の課題を記載してある。なお,これらをもとに策定した耐熱,耐放射線性,高可とう性,長尺の条件を合わせ持つファイバ・スコープの開発計画に基いて,現在開発が進められている。
亀井 満; 小貫 修; 中本 香一郎
動燃技報, (53), p.36 - 62, 1985/03
高速実験炉「常陽」の炉容器モックアップ施設の解体撤去に関連して、以下の点を報告する。①大型ナトリウム機器の解体撤去②大型ナトリウム機器のナトリウム洗浄③ナトリウム及びナトリウムベーパの付着(残留)状況④約40,000時間運転後の機器の観察結果 尚、上記炉容器モックアップ施設とは炉容器、回転プラグ、炉心上部機構、炉内構造物等「常陽」の実寸大モデルで約40,000時間ナトリウム中試験が実施された。
荒 邦章*; 小池 茂*; 阿部 哲夫*; 荒木 等*; 中本 香一郎*; 山本 研*
PNC TN941 84-154, 155 Pages, 1984/11
本報告書は,高速増殖原型炉「もんじゅ」一次主循環ポンプ(モックアップ)の低液位運転試験に関するもので,通常液位(インペラ中心より上方3500mm)から緊急時液位(インペラ中心より上方1230mm)までの低液位運転を実施した。なお,試験1)は,低液位運転試験の予備試験であり試験2)は,一次主循環ポンプ(モックアップ)の低液位用対流防止板取付け改造後実施される予定である。以下に予備試験で得られた結果を示す。(1)低液位運転では,通常液位運転時に比べてカバーガス領域アウターケーシングの周方向温度差が増大した。(2)低液位状態では,インナーケーシングの周方向温度差は通常液位時とほぼ等しく,低液位によるインナーケーシングの有意な変形はみられなかった。3)液位降下開始よりインナーケーシング及びアウターケーシング周方向温度差が最大となる時間及び安定するまでに要する時間を確認した。(4)アニュラス部でのカバーガス自然対流の様相をインナーケーシング及びアウターケーシング温度分布の時間変化より推定し,アニュラス部での温度分布状態が評価できた。(5)アウターケーシング変位量について,モデルによる変位量計算を行い,実測値と比較し,比較的良い一致であった。以上の結果より,通常液位運転状態から低液位運転への移行時におけるカバーガス領域の温度分布及びケーシング変位量等のパラメータサーベイを実施した。本試験では,これらの成果を受けて,さらに長時間の低液位運転を実施し,一次主循環ポンプの健全性を確認する予定である。
荒木 等*; 大山 信夫*; 荒 邦章*; 羽賀 一男*; 中本 香一郎*; 山本 研*
PNC TN941 84-59, 49 Pages, 1984/03
高速増殖炉炉心内におけるナトリウム沸騰の音響検出法を確立するために,炉外ナトリウム試験装置においてナトリウム沸騰試験を行なった。そしてナトリウム沸騰音の性質,信号処理法,音響検出器の性能変化等に関して,ナトリウム沸騰検出システムの設計に有効な以下のような結果が得られた。沸騰音圧は沸騰が激しくなるにつれて上昇するが,沸騰周期は逆に長くなる。これまで実施した最大音圧は約1000Pascalに達し,発生周期は0.7秒まで長くなった。沸騰時の音響スペクトルは数kHzから数10kHzまで拡がっているが,ラッパ管壁とナトリウム中とでは異り,ナトリウム中では低周波の成分が,ラッパ管壁では高周波の成分が多く,またラッパ管壁ではナトリウム中でみられない波形が観測された。複数の検出器間の時間差を求めるための相互相関法では,あらかじめ波形を整流・平滑化するスムージング処理が必要である。圧電型音響検出器(LiNbO/3)のナトリウム中長期使用において感度の低下は20dBから最終的には5dB以内に回復しているが,電極間抵抗は徐々に減少し続けている。初期沸騰段階における検出のためには流動ノイズと区別するために,沸騰の周期性や複数の検出器間の相関性等に着目した検出方法が必要と考えられる。今後は実機流動ノイズ規模の中での初期沸騰検出法や位置決め法の確立,酸素供給が不要な磁歪型検出器などの開発に関する研究が必要と考えられる。
荒木 等*; 大山 信美*; 荒 邦章*; 中本 香一郎*; 山本 研*
PNC TN941 84-19, 66 Pages, 1984/02
電磁流量計のオンサイト校正法としての相互相関法を確立するために,6インチ永久磁石型電磁流量計についてナトリウム実流試験を実施し流速15m/Sの範囲において,測定精度士4%で校正出来ることを確認した。なお,このために必要な電極の設置位置や信号処理,流量補正等についての最適な方法を確立した。更に6インチ以上の大口径配管での本方式の有効性を確認することより,「もんじゅ」実機の主配管流量計のオンサイト校正方法として,本方式は有効な手段となり得ると考えられる。
久門 靖尚*; 荒木 等*; 中本 香一郎*; 山本 研*
PNC TN941 84-04, 103 Pages, 1984/01
原型炉「もんじゅ」の原子炉容器には,ナトリウム液位監視用として有効測定長約5mの誘導型液位計の設置が計画されている。しかし従来の液位計は高々2m長までの短い液位計であったため新たに実機寸法と同じ長尺液位計を製作し,その仕様を満足するかどうかを確認するためのナトリウム中試験を行った。その結果ナトリウム温度200600において,実機要求精度4%を満足することが確認され,実機液位計設計製作の見通しが得られた。なお,更に精度向上を計り得る液位計の設計改善法や,実機設置上の留意点などについての提言を合わせて行った。
中本 香一郎; 大山 信美; 田村 誠司; 山本 研*
Proceedings of 3rd International Conference on Liquid Metal Engineering and Technology in Emergy Production, 0 Pages, 1984/00
FBRにおけるボイド検出に渦電流式センサーを応用するために、ボイド計の開発とナトリウム中試験を実施した。炉心出口に設置するためには、ボイド計は小型、交換容易、且つナトリウムと非接触が必要条件となるが、電磁誘導を利用する渦電流式ボイド計はこの目的に最適であり、冷却材中へのカバーガス巻き込みやFPガスリリースのモニターに有用と期待される。ところで、冷却材中の気泡(ボイド)は不規則運動し、従来の渦電流式流速計や電磁流量計の出力に脈動を生じさせる。しかし、炉心出口においては、流動ゆらぎが非常に大きく、ボイド信号をマスクしてしまう。一次コイルと二つの二次コイルから成るボイド計を開発し、ナトリウム中試験をした結果、ボイド信号と流動ゆらぎによるバックグラウンドノイズとは位相が異なることが確認され、後者を最小にするような最適位相で同期整流することによりボイド検出のS/N比を大幅に改善できた。
犬島 浩*; 荻野 敬迪*; 羽賀 一男*; 山口 勝久; 中本 香一郎*
PNC TN941 83-97, 71 Pages, 1983/06
高速増殖炉における局所沸騰事故が,燃料集合体出口における温度・流量ゆらぎを用いて,検出できる沸騰規模を評価するため,片側50%が閉塞されたワイヤースペーサー付91本組模擬燃料集合体を用いて局所沸騰実験を行った。局所沸騰実験の初期条件は以下の通りである。1)冷却材入口温度‥400500 2)熱流束‥7293w/cm2 3)冷却材流量(正常バンドル部流束)‥0.641.13m/s 実験方法は,冷却材入口温度,冷却材流量を一定に保ち,熱流束を徐々に増大させることで,閉塞部下流直下に局所沸騰を生じさせる手法を用いた。温度・流量ゆらぎを測定するための計装系の仕様は以下の通りである。1)熱電対 1)種類‥クロメル・アルメル,接地型(直径0.3mm)および非接地型(直径4.8mm) 2)時定数(632%)‥10msec,2.14secの2種類 2)流量計 1)種類‥渦電流型温度・流速計 2)励磁周波数‥425Hz 3)ゆらぎ測定回路 1)最大ゲイン‥60dB 2)周波数特性‥0.01Hz15Hz間で平担な特性(0.01Hz以下で20dB/dec,15Hz以上で200dB/decの減衰特性を有する) 本報告書では,局所沸騰時における沸騰情報の伝達特性を,ピンバンドル部冷却材流動方向数カ所で観測された温度ゆらぎ,および出口での温度・流量ゆらぎ信号を用いて調べた。その結果にもとづいて,燃料集合体出口計装から得られる温度・流量ゆらぎ信号を用いた局所沸騰事故検出のための沸騰規模を評価した。この結果以下の事項が明らかとなった。1)局所沸騰領域の最も近い場所で観測された冷却材の温度ゆらぎと,それより下流で観測された温度ゆらぎ(複数)との間のコヒーレンス関数を用いて,温度ゆらきの冷却材流動による伝達特性評価した結果,局所沸騰に起因する温度ゆらぎ情報は,バンドル下流端まで明瞭に伝わるが,バンドル下流端以後での冷却材の強い混合により,集合体出口計装設置場所では,伝達情報の識別が困難となっている。また径方向,軸方向にも検出最適点は見い出せない。2)局所沸騰が生じると,バンドル内の各点における温度ゆらぎのパワスペクトル密度には,4Hz付近にピークが観察された。このピーク周波数は,沸騰による気胞の生成・消滅の周期と一致しており,試験体の体系および沸騰規模に依存したものと考えられる