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青木 和弘; 今井 宏太朗; 瀬下 和芳; 木村 恵; 桐田 史生; 中西 龍二
JAEA-Research 2024-005, 177 Pages, 2024/10
塩ノ平断層は福島・茨城県境付近に位置し、2011年4月11日に発生した福島県浜通りの地震(Mw6.7)によって出現した。一方、その南方延長上の車断層ではこの地震による地表変状は認められなかった。上載層が存在しない場合や断層との切断関係を検討できる鉱物脈・岩脈が見つからない場合の断層の活動性評価について、破砕帯の性状に着目した新たな手法の開発を目的に塩ノ平断層(塩ノ平地点、別当地点)と車断層(水上北地点)の3箇所で地質調査、試錐調査、化学分析、水理・力学試験を実施し、評価すべき物性データの抽出・分析を行った。回転せん断式低速高速摩擦試験機を用い、断層ガウジのすべり速度Vと摩擦係数
との関係を調べた。塩ノ平地点と別当地点の試料では
が
にほとんど依存しない低速域、
が
の増加とともに増加する中速域、
がすべりとともに劇的に低下する高速域に区分された。一方、水上北地点の試料では速度に対する依存性は認められなかった。地下の割れ目に高圧注水を行うことで断層の三次元変位(
m
mm)を測定するSIMFIP法による断層スリップ試験を実施した。塩ノ平地点では断層すべりはクーロン破壊としてモデル化でき、すべり速度に対して摩擦の依存性を示した。一方、水上北地点では断層すべりはクーロン破壊で表現できず、複数の亀裂やすべり面を利用した複雑な応答が確認された。水圧モニタリング孔での水圧応答から、断層部を挟む領域の水理特性をGRFモデル(Barker、1988)により評価し、透水係数、比貯留量、流れ次元などを明らかにした。透水係数および比貯留量は塩ノ平が水上北よりも大きく、流れ次元は塩ノ平が概ね三次元流であり、水上北が二次元フラクショナル流となった。塩ノ平地点と水上北地点のコア試料からせん断面の姿勢やせん断センスなどの断層スリップデータを取得し、多重逆解法による応力解析を行った。破砕帯を形成した運動と応力履歴を分析した結果、塩ノ平地点において5つ、水上北地点において2つの活動ステージが復元された。本研究では断層ガウジの摩擦特性、断層破壊モードや破砕部の水理特性、断層の活動ステージなどで、塩ノ平地点と水上北地点で顕著な違いが確認された。当該断層内での調査地点を増やすだけでなく、他地域の断層への適用を通じて断層活動性評価手法としての信頼性向上を計る必要がある。
桐田 史生; 冨永 昌宏; 山崎 敏彦; 瀬下 和芳; 瓜生 満
JAEA-Research 2022-006, 61 Pages, 2023/02
核燃料サイクル工学研究所(以下、サイクル研)では、1990年代より地震観測を行っている。内陸地殻内地震について、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(以下、3.11地震)までは、茨城県北部福島県において発生頻度が低い状況であったが、3.11地震後、この地域で余震が頻発するようになり、福島県浜通り付近で発生した地震(2011年4月11日福島県浜通りの地震等)では、サイクル研の地震観測記録に顕著な長周期成分が観測された。この地震の震源付近の観測地点の記録には長周期成分は含まれておらず、サイクル研までの伝搬過程で、長周期成分が生成されたものと考えられる。敷地周辺の地下構造探査結果から深部の地震基盤には、盆地状構造が確認されており、この基盤形状を起因とした長周期成分の生成と評価した。原子力施設の耐震設計に用いる地震動評価では、敷地で得られた観測記録を要素地震に用いた経験的グリーン関数法により評価を行っており、サイクル研の観測記録を要素地震に用いて地震動評価を行った場合、震源ではわずかな長周期成分を伝搬過程で増幅したものを震源に戻し波形合成することとなり、長周期成分が過度に増幅される結果となる。このため本検討では、地震動の長周期成分の評価を精緻化するために、震源及び敷地周辺を含む広域の深部地盤の形状を反映できる三次元地盤構造モデルによる地震動評価を実施した。モデルは、浜通り地震の震源域付近から茨城県北部沿岸域を範囲(幅約80km
長さ約110km)とし、本研究における長周期地震動評価を適切に行えるよう2秒以上の周期帯の精度を担保するようなメッシュサイズを調整した。三次元地盤構造モデル構築にあたっては、複数の観測記録や震源モデルを用いて、最適な三次元地盤構造モデルを作成し、複数の地震のシミュレーション解析、分析等を行い、その適切性、有用性を確認した。これらの研究成果を実際の許認可業務の基礎資料として活用した。
西野 紗樹; 坪井 雅俊; 岡田 純平; 三枝 祐; 大森 一樹; 安尾 清志; 瀬下 和芳; 堂村 和幸; 山本 昌彦
日本保全学会第17回学術講演会要旨集, p.541 - 548, 2021/07
廃止措置を進めている東海再処理施設では、安全上リスクが高い高放射性廃液を取扱う高放射性廃液貯蔵場(HAW)及びガラス固化技術開発施設(TVF)の地震・津波等に対する安全対策を最優先で進めている。本発表では、複数の安全対策のうち、津波防護対策について、東海再処理施設に津波が襲来した際に漂流物化する可能性のある建物・設備等を調査後、津波の流況及び漂流物の軌跡解析結果から、両施設への漂流物の到達の有無を評価した。
青木 和弘; 田中 遊雲; 吉田 拓海; 島田 耕史; 酒井 亨*; 亀高 正男*; 瀬下 和芳
応用地質, 62(2), p.64 - 81, 2021/06
塩ノ平断層は、2011年4月11日に発生した福島県浜通りの地震(Mw6.7)によって、いわき市田人町旅人滑石から石住綱木北西に至る約14kmの区間に出現した、北北西から南南東へ延びる地表地震断層である。車断層は、塩ノ平断層の南方5kmに認められる断層であり、この地震時に地表変位は現れていない。最近活動した断層の近くに、同様の走向を持ちながらも活動しなかった断層があることから、新たな断層活動性評価手法の可能性を探るため、塩ノ平断層で2ヶ所、車断層で1ヶ所を調査地点として選定した。本稿では、それぞれの地域でこれまで実施してきた調査のうち、野外地質調査・ボーリング調査・コア観察・XRD分析・同位体分析・流体包有物分析・透水試験の結果について報告する。断層破砕帯の地質・鉱物・透水性などの特徴として取りまとめられた3地点で得られた成果は、断層の活動性を検討するための基礎的なデータとして活用される。
田中 義浩*; 亀高 正男*; 岡崎 和彦*; 鈴木 一成*; 瀬下 和芳; 青木 和弘; 島田 耕史; 渡邊 貴央; 中山 一彦
応用地質, 59(1), p.13 - 27, 2018/04
上載地層法が適用できない断層の活動性評価に資するため、活断層と非活断層の断層露頭で断層面の形態観察を実施し、断層活動性評価の指標を検討した。活断層としては五助橋断層の五助ダム上流露頭と六甲断層の船坂西露頭を、非活断層として六甲蓬莱峡のK地点を対象に、断層面の「連続性」,「切断関係」,「平滑性」に着目した。連続性は「断面形状の連続区間率測定」、切断関係は「周辺構造の切断率測定」を行った。平滑性については「断面形状の平面区間率測定」、「粗さ/うねり形状の測定」及び「写真解析による算術平均粗さ測定」という3種類の測定を行い、合計5つの測定手法を検討した。本研究結果から、「断面形状の連続区間率測定」、「周辺構造の切断率測定」、「断面形状の平面区間率測定」について、活断層と非活断層を見分ける識別基準値を有する可能性が示された。なお、引き続き、識別基準値の明確化とその検証のために測定事例の追加・検討、議論が必要である。
島田 耕史; 亀高 正男*; 中山 一彦; 瀬下 和芳; 田中 義浩; 林 俊夫*; 田中 遊雲; 下釜 耕太*; 岡崎 和彦*
地質学雑誌, 119(11), p.727 - 731, 2013/11
脆弱で細粒かつ少量の断層中軸部の試料から、できるだけ多くの微細構造観察機会を得ると共に、化学分析等に供せられる試料量を確保する観点から、微小な試料の走査型電子顕微鏡(SEM)の利用は有効と考えられる。その際に課題となるのは、脆弱な試料の定方位情報を保持させたまま、SEMの試料室へ入れる方法の確立であり、実用上可能とされ得る迅速な試料採取方法の確立である。本稿では、ステープラー(ホチキス)の針を、互いに直角な小平面を持っている事を活かした定方位用の枠として用い、特殊な薬品や高度な備品類の使用を抑え、野外での迅速な定方位試料採取、貴重な試料からの採取を可能とする、SEM観察用定方位試料作製手法の手順を紹介する。
山西 毅; 瀬下 和芳; 北見 俊幸; 丹 左京*
日本緑化工学会誌, 32(1), p.191 - 194, 2006/08
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の建設では、3.3haに及ぶ松林の伐採が行われている。当地は、保安林と自然環境保全地域に指定されており、その復旧にあたっては、環境保全に十分配慮することが求められているため、貴重植物の保護や森林植栽等、さまざまな試みを行っている。試験植栽については、第35回大会において口頭発表を行ったが、その後の追跡調査結果、伐採から復旧までの経緯と環境保全,再生への取り組みについて報告をする。
山西 毅; 瀬下 和芳; 北見 俊幸; 成瀬 日出夫; 丹 左京*
日本緑化工学会誌, 30(1), p.227 - 230, 2004/08
日本原子力研究所東海研究所における大強度陽子加速器施設(J-PARC)建設にあたっては、大規模な松林の伐採が行われるが、その復旧植栽の一手法として高次団粒方式によるクロマツ種子の吹き付けを試みており、構内において実施している植栽試験について紹介する。
亀高 正男*; 岡崎 和彦*; 中山 一彦; 瀬下 和芳; 青木 和弘; 田中 義浩; 島田 耕史; 鈴木 一成*; 下釜 耕太*; 稲田 徳之*
no journal, ,
断層の活動性評価はいわゆる上載地層法として、断層に上載する地層に断層の変位・変形が及んでいるかどうかによってなされる。しかし、基盤岩中に断層破砕帯があり、それを上載する最近の地層が分布していない場合には、活動性を評価することが困難となる。本研究では、活断層と非活断層の断層破砕帯の観察・分析に基づく活動性評価手法について検討を進めている。本発表では、文献調査・地表地質踏査により調査露頭を選定した(花崗岩地帯に限定)。活断層の指標断層として、兵庫県南部、六甲山地に分布する六甲-淡路断層帯五助橋断層と、有馬-高槻構造線六甲断層を選定し、非活断層の指標断層としては、六甲山地北部の六甲蓬莱峡付近断層を選定した。本発表では、主に露頭において簡便に実施できる調査方法に着目し、断層面の形態観察(連続性・平面性など)、と原位置試験として破砕帯の硬さ及び色調の評価について、それぞれの手法の妥当性を検討した結果を報告する。
亀高 正男*; 酒井 亨*; 稲田 徳之*; 田中 由美子*; 岡崎 和彦*; 鈴木 悠爾*; 青木 和弘; 田中 義浩; 瀬下 和芳; 中山 一彦
no journal, ,
4.11地震による活動区間と非活動区間の違いに着目した調査・研究を進めており、今回の発表では塩ノ平断層の露頭調査結果を中心に報告する。今回の調査では、これらの露頭のうち活動区間の3地点(清道川、塩ノ平、別当)、及び地表地震断層の南端から約300m南方に位置する断層露頭1ヶ所(滑石南)において、露頭の観察・記載、研磨片・薄片観察、X線回折分析等を行った。その結果、清道川と別当では結晶片岩中に幅数十cmの厚い断層ガウジを伴う破砕帯が発達し、4.11地震の断層面はこれらのガウジを切っていることが観察された。塩ノ平では結晶片岩起源の破砕帯が新第三系とみられる砂岩と断層で接する露頭がみられる。ここでは4.11地震で形成された断層面に沿って、幅数cmの薄い断層ガウジが認められた。滑石南では結晶片岩中の断層露頭が観察されたが、破砕帯の規模は他地点よりも小さく、断層ガウジの幅も数cm程度と薄かった。X線回折分析の結果からは、清道川, 塩ノ平及び別当の断層ガウジにはスメクタイトがある程度含まれているのに対して、滑石南の断層ガウジにはスメクタイトが含まれていないことが判明した。
青木 和弘; 瀬下 和芳; 田中 義浩; 亀高 正男*; 酒井 亨*; 岡崎 和彦*; 嶋本 利彦*
no journal, ,
4.11地震による活動区間と非活動区間との違いに注目した調査・研究を進めており、今回の発表では、活動区間である塩ノ平断層の地表露頭から採取した断層ガウジを用いた低速・高速摩擦試験結果について報告する。試験機は、中国地震局地質研究所が所有する回転剪断式低速・高速摩擦試験機を用いた。試料は、塩ノ平断層のうち、別当露頭で確認された結晶片岩中の幅数十cmの厚い断層ガウジから採取したもの、塩ノ平露頭で確認された砂岩と結晶片岩の接する断層面に沿って確認された断層ガウジより採取した。試験条件は、断層ガウジ試料の初期圧密を15MPa、垂直応力1.0
2.0MPa、すべり速度20mm/s
2.1m/sとし、低速・高速摩擦試験を実施した。また、無水及び含水条件下で実施し、更に、摩擦の速度依存性についても求めた。試験結果からは、両露頭の断層ガウジは、無水条件下で0.6
0.8程度の高い摩擦係数を示すのに対して、含水条件下では0.1
0.2の極めて低い摩擦係数を示した。また、断層ガウジの摩擦係数は速度の増加とともにわずかに増加し、高速ほど摩擦が大きくなる「速度強化」の性質をもつことが明らかになった。
鈴木 悠爾*; 亀高 正男*; 村田 誠一*; 青木 和弘; 田中 義浩; 瀬下 和芳; 酒井 亨*
no journal, ,
2011年4月11日に発生した福島県浜通りの地震(以下、4.11地震)によって、いわき市田人町旅人滑石から石住綱木北西にかけて地表地震断層が出現し、石山ほか(2012)によって塩ノ平断層と命名された。この断層は、北北西-南南東方向に延びる西落ちの正断層で、長さは約14km、地表における最大変位量は約2mであった。地表地震断層が現れた区間の南方にも、同方向の断層の存在が知られている(たとえば、久保ほか、2007)。われわれは、4.11地震によって活動した断層と活動しなかった断層の違いに着目し、断層性状等の調査を進めている。今回の発表では、定方位ボーリングによる塩ノ平断層の断層コア採取結果などについて報告する。
酒井 亨*; 亀高 正男*; 田中 由美子*; 青木 和弘; 田中 義浩; 丹羽 正和; 瀬下 和芳
no journal, ,
2011年4月11日の福島県浜通りの地震(以下、4.11地震)によって、全長約14kmにわたり地表地震断層が出現した(塩ノ平断層:石山ほか、2012)。この地表地震断層は西落ちの正断層センスで、最大変位量は約2mである。塩ノ平断層の出現位置には4.11地震よりも以前からすでに断層トレースが判読されており、一括して井戸沢断層と呼ばれていた(活断層研究会編、1991)。4.11地震により地表に現れた塩ノ平断層は井戸沢断層の西側トレースの一部にあたる。著者らは4.11地震による井戸沢断層の活動区間(塩ノ平断層)と非活動区間の違いに着目した断層破砕部の調査を行っており、地表地震断層に沿って複数の断層露頭が出現し、代表的な露頭として、活動区間から3地点(清道川,塩ノ平,別当)、非活動区間から1地点(滑石南)で調査を行った。今回の発表では、活動区間である塩ノ平,別当の2地点における露頭観察、断層破砕部の研磨片・薄片観察の結果を中心に報告する。
瀬下 和芳; 青木 和弘; 亀高 正男*; Nussbaum, C.*; 嶋本 利彦*; Ma, S.*; Yao, L.*
no journal, ,
日本原子力研究開発機構は、スイスMont Terri地下研究施設の主断層を対象としたSIMFIPプローブを用いた断層スリップ試験(注水実験)に参加している(Nussbaum et al., 2011; Guglielmi, 2015)。この試験の解析に資することを目的に、試験区間のコアの摩擦試験を行った結果を報告する。試験結果からは、すべり速度0.021mm/s以下の場合は、わずかな速度強化を、0.021mm/s以上の場合は顕著な速度強化を示した。なお、本調査結果と、われわれが別途進めている福島県浜通りの地震(2011.4.11)で出現した塩ノ平断層における断層ガウジの摩擦実験(青木ほか、2016)との比較についても報告する。
青木 和弘; 瀬下 和芳; Guglielmi, Y.*; Nussbaum, C.*; 嶋本 利彦*; Ma, S.*; Yao, L.*; 亀高 正男*; 酒井 亨*
no journal, ,
JAEA participated in the Fault Slip Experiment of Mont Terri Project which aims at understanding (1) the conditions for slip activation and stability of clay faults, and (2) the evolution of the coupling between fault slip, pore pressure and fluids migration. The experiment uses SIMFIP probe to estimate (1) the hydraulic and elastic properties of fault zone elements, (2) the state of stresses across the fault zone and (3) the fault zone apparent strength properties (friction coefficient and cohesion). To elaborate on the Fault Slip Experiment, JAEA performed friction experiment of borehole cores of depths 47.2m and 37.3m using a rotary-shear low to high-velocity friction apparatus at Institute of Geology, China Earthquake Administration.
瀬下 和芳; 青木 和弘; 田中 遊雲; 丹羽 正和; 嶋本 利彦*; Ma, S.*; Yao, L.*; 亀高 正男*
no journal, ,
The April 11, 2011 Fukushima-ken Hamadori Earthquake (the largest aftershock of the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake) formed co-seismic surface ruptures in NNW-SSE direction in Iwaki City, Fukushima Prefecture, Japan, named Shionohira Fault (hereafter called active segment). A N-S trending geological fault with lineaments (Kuruma Fault) along the southern extension of Shionohira Fault showed no surface ruptures (hereafter called non-active segment). The current report discusses differences of active and non-active segments by conducting low to high-velocity friction experiments on the gouge from shallow borehole cores.
中山 一彦; 島田 耕史; 瀬下 和芳; 田中 義浩; 亀高 正男*; 岡崎 和彦*; 下釜 耕太*; 林 俊夫*
no journal, ,
断層破砕帯にはさまざまなスケールの変形構造が形成されており、これらをもとに断層の運動方向を特定することができる。細粒な断層破砕物質には、露頭スケールで明瞭な変形組織が認定できない場合も多く、薄片観察などのよりマイクロスケールでの観察が必須となっている。また、断層面上に残された条線は、断層のずれの方向を特定するための重要な手がかりとなる。しかし、肉眼による条線観察では、コメットマークなどの運動方向を1方向に特定する構造が見られない場合には、断層の運動方向を2方向から絞れない場合も多い。一方、走査型電子顕微鏡を用いた断層面や断層破砕物質の観察は古くから行われている(例えば、宇井、1986など)。筆者らは、断層破砕帯の性状観察・分析による断層活動の評価手法について研究を行っている。その一環として、破砕帯から採取した定方位試料、又は断層破砕帯そのものからSEM観察用の定方位試料を作製し、観察を実施した。断層破砕物質のSEM観察では、定方位で観察を実施することが望ましい。しかし、軟質かつ脆い断層破砕物質を、方位情報を保持たせたままSEMの試料室に入るサイズに整形することはしばしば困難を伴う。この問題をクリアし簡便かつ的確にSEM観察用の定方位試料を作製する手法を紹介する。そして、有馬高槻構造線・六甲断層や塩ノ平断層などを対象にした、破砕帯試料のSEM観察の結果を報告する。
青木 和弘; 瀬下 和芳; Nussbaum, C.*; Guglielmi, Y.*; 嶋本 利彦*; 酒井 亨*; 亀高 正男*; Ma, S.*; Yao, L.*
no journal, ,
スイスMont Terri地下研究施設の主断層を対象としたSIMFIPプローブを用いた断層スリップ試験(注水実験)の解析に資することを目的に、試験区間のコアの摩擦試験を行った。試験機は、中国地震局地質研究所が所有する回転剪断式低速・高速摩擦試験機を用い、試験条件は室温下で無水及び含水条件下で、垂直応力は1.4および4.0MPa、ホスト試料として岩石に近い挙動を示すTiAlV合金製ピストンを用い、すべり速度は0.2microns/s2.1mm/sとし、低速・中速摩擦試験を実施して摩擦の速度依存性などを求めた。
鈴木 悠爾*; 亀高 正男*; 青木 和弘; 瀬下 和芳; 村田 誠一*
no journal, ,
車断層を対象に断層調査を目的として行った定方位ボーリング調査、特に面構造の計測手法について検討した。定方位コアを三点測定及びゴニオメーターで測定した結果と、ボアホールカメラ調査の測定結果をそれぞれ比較した。走向のずれは、比較した全データのうちの約半数が10以下で、残りのデータも概ね20
以下のずれで収まっていた。傾斜のずれは、全データのうち3分の1強が10
以下で、残りのデータのうち3分の1弱が20
以下であった。定方位コアの計測及びボアホールカメラ観察による面構造の姿勢の測定結果を比較したところ、大幅な差異は認められなかったことから、定方位ボーリングの精度が高いことを報告する。
亀高 正男*; 酒井 亨*; 田中 由美子*; 青木 和弘; 田中 義浩*; 瀬下 和芳; 丹羽 正和; 増田 祐輝
no journal, ,
2011年4月11日に発生した福島県浜通りの地震(Mj7.0; 以下、4.11地震)によって、福島県いわき市田人町旅人滑石から石住綱木北西に、北北西-南南東に約14kmにわたって延びる地表地震断層が出現し、塩ノ平断層と命名された(石山ほか、2011)(ここでは活動区間と呼ぶ)。4.11地震以前の研究として、「新編 日本の活断層」(活断層研究会編、1991)などにより井戸沢断層の一部をなす「活断層の疑いのあるリニアメント」が図示されていた。塩ノ平断層は、このトレースとほぼ一致するが、「新編 日本の活断層」では、4.11地震の地表地震断層の出現位置の南端よりも南方まで線が描かれ、常磐炭田地質図(須貝ほか、1957)において車断層として示されている地質断層が連続している(ここでは非活動区間と呼ぶ)。われわれは、4.11地震の活動区間と非活動区間の違いに着目した調査・研究を進めている(例えば、亀高ほか、2015; 青木ほか、2015など)。本発表では、活動区間と非活動区間のボーリング掘削調査の結果と、得られたコア試料の破砕帯の性状を中心に報告する。