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Mao, W.*; 近田 拓未*; 志村 憲一郎*; 鈴木 晶大*; 山口 憲司; 寺井 隆幸*
Journal of Nuclear Materials, 443(1-3), p.555 - 561, 2013/11
被引用回数:3 パーセンタイル:25.73(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、密度汎関数理論に基づき、ErO(001)表面やその上に水素が吸着した状態を対象に、その構造的ならびに電子的特性に関する計算を実施した。計算の結果、非常に安定な吸着サイトがいくつか存在することが分かった。ErO(001)面上でエネルギー的に最も安定なサイトでは、水素の吸着エネルギーは295.68kJ mol (被覆率1/8ML)となり、この値は被覆率とともに減少する傾向にあった。さらに計算の結果、解離に伴う水素原子の吸着が、水素分子のそれと比べて、少なくとも吸着エネルギーが152.64kJ mol大きいことも分かった。これらの結果をもとに、核融合炉におけるトリチウム透過障壁中での水素同位体の透過挙動について考察した。
志村 憲一郎*; 山口 憲司; 寺井 隆幸*; 山脇 道夫*
Journal of Alloys and Compounds, 449(1-2), p.357 - 361, 2008/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Physical)金属材料中の水素輸送に関するセルオートマトン(CA)モデルを構築した。本モデルは、脱離,表面-バルク間輸送,拡散の3部分により構成され、これを用いて、表面を介してのバルク-気相(真空)間における水素輸送の過渡応答を模擬した。計算の結果、初めて、水素が透過する下流側表面からバルク内部への逆方向の拡散が起こることが示せた。こうした現象が起こるのは、過渡初期の段階で表面拡散が律速となって脱離を抑制し、表面に水素が蓄積するからである。こうした事象は、通常の拡散方程式を解くことでは決して予測できない。なぜなら、拡散方程式において表面は単なる境界条件として処理されるにすぎないからである。このように、CA法は過渡応答を解析するのに優れた手法であると思われる。
Zhuravlev, A. V.; 山本 博之; 志村 憲一郎*; 山口 憲司; 社本 真一; 北條 喜一; 寺井 隆幸*
Thin Solid Films, 515(22), p.8149 - 8153, 2007/08
被引用回数:3 パーセンタイル:17.87(Materials Science, Multidisciplinary)Si基板上に生成した-FeSiは0.8eV近くに強い発光を示すことが知られている。しかしながら、この付近にはSiの欠陥に由来するものも存在するため、-FeSi本来の発光と十分区別する必要がある。特に本研究ではイオンビームスパッタ蒸着法により-FeSiを作製していることから、イオンビームプロセスによる発光特性への影響を把握することが重要となる。このため帯溶融法及びチョコラルスキー法で作製したSi基板を用い、各試料作製過程における発光特性を測定した。Si基板上に生成した-FeSiと、これと同条件でイオン照射を行ったSi基板のみからの発光を比較した結果、0.81eVの発光はいずれの場合もアニーリングによって強度が増大する。一方発光強度の温度依存性に関してはSi基板のみのものの方がより低温で消光する傾向が見られた。
笹瀬 雅人*; 志村 憲一郎*; 山口 憲司; 山本 博之; 社本 真一; 北條 喜一
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 257(1-2), p.186 - 189, 2007/04
被引用回数:5 パーセンタイル:40.96(Instruments & Instrumentation)ベータ鉄シリサイド(-FeSi)はその受発光特性などから将来の化合物半導体の一つとして注目される物質である。本研究では高品質な薄膜作製を目指し、基板の表面処理におけるスパッタエッチングの効果を検証することを目的として、あらかじめ14keV, Neで表面処理後1073Kで30分加熱回復を行ったSi(100)基板上に鉄をスパッタ蒸着することにより-FeSi成膜を試みた。得られた薄膜を透過型電子顕微鏡による断面観察を行った結果、1keVで照射の場合は基板・薄膜ともほとんど欠陥が確認されず、極めて高配向の-FeSi(100)薄膜が生成していることを明らかにした。この結果イオン照射による表面処理が高品質な薄膜作製に有効であるとともに原子レベルで平滑な界面が得られることを見いだした。
笹瀬 雅人*; 志村 憲一郎*; 山本 博之; 山口 憲司; 社本 真一; 北條 喜一
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 45(6A), p.4929 - 4933, 2006/06
被引用回数:9 パーセンタイル:34.33(Physics, Applied)イオンビームスパッタ蒸着(IBSD)法により、Si(100)基板上にエピタキシャル成長させた鉄シリサイド膜に対する基板前処理効果を調べた。本研究では、サーマル・エッチ(TE)法並びにスパッタ・エッチ(SE)法により基板前処理を行った。そして、作製した-FeSi薄膜と基板との界面を、透過型電子顕微鏡を用いた断面観察によって解析した。TE法では、処理後のSi基板は完全に結晶性を回復するものの、蒸着後の界面は波打っており生成したシリサイドは島状に凝集した。一方、SE処理後は基板表面付近にイオン照射によって生じた転位や積層欠陥が、照射後にアニールを行ったにもかかわらず観測された。しかし、973Kで蒸着した-FeSiはエピタキシャル成長を遂げ、また、基板との界面も滑らかであった。このような事実から、上述した欠陥は、界面でのFe及びSi原子の相互拡散を促進し、-FeSiのエピタキシャル成長を容易にしたのではないかと考えられる。
山口 憲司; 志村 憲一郎; 鵜殿 治彦*; 笹瀬 雅人*; 山本 博之; 社本 真一; 北條 喜一
Thin Solid Films, 508(1-2), p.367 - 370, 2006/06
被引用回数:12 パーセンタイル:49.71(Materials Science, Multidisciplinary)成膜後の加熱処理が-FeSi薄膜からの発光(PL)特性に与える影響をより詳細に調べるために、作製した薄膜試料をさまざまなアニール条件で処理した。試料の作製はイオンビームスパッタ蒸着(IBSD)法もしくは分子線エピタキシー(MBE)法によった。いずれの製法でも、蒸着速度は0.5nm minとほぼ同程度で、膜厚は50-100nmであった。また、PL測定は1100-1700nmの波長範囲で行った。測定の結果、最も強いPL強度を示すのは、IBSD法で作製した試料を1153Kにて10Pa程度の真空中でアニールした場合であることがわかった。この場合、測定温度150K以下では、温度が増加してもPL強度はさほど減少しない。しかし、150K以上になると、温度の増加とともに急激に減少するとともに、ピーク位置も低エネルギー側へシフトすることがわかった。一方、超高真空(10Pa)下でアニールをした場合、アニールによりPL強度は著しく減少した。さらに、透過型電子顕微鏡による断面組織観察によって、高温での真空アニールによりシリサイド膜は数10nm程度の粒状となり、周囲をSiにより取り囲まれてしまうこともわかった。MBE法により成膜した鉄シリサイド膜についてもPL特性を調べたが、概して強度は弱く、また、アニールによる強度の増加もごくわずかであった。
志村 憲一郎; 山口 憲司; 笹瀬 雅人*; 山本 博之; 社本 真一; 北條 喜一
Vacuum, 80(7), p.719 - 722, 2006/05
被引用回数:9 パーセンタイル:34.33(Materials Science, Multidisciplinary)イオンビームスパッタ蒸着(IBSD)法により作製した-FeSi薄膜の発光特性に及ぼす、-FeSiの構造や表面組成の影響を調べた。本手法により、あらかじめNeイオンによりスパッタ洗浄したSi(100)表面上にFeを蒸着させることにより、973Kにて高配向性の-FeSi薄膜を作製した。用いた基板はSi(100)単結晶基板、及び、酸化物絶縁層上に100nm程度のSi(100)層を有するSIMOXと称する基板である。発光測定は、6-300Kの温度範囲で行った。いずれの基板上の-FeSiも6-50Kで0.83eV付近に鮮明な発光ピークを有し、その強度もほぼ同程度であった。しかし、Si(100)基板上に作製した-FeSi薄膜は、1153K,真空中(10Torr)でのアニールにより発光強度が劇的に増加したのに対し、SIMOX上で成膜した薄膜の発光強度は、アニールにより逆に減少した。いずれの薄膜もアニールにより大きくその構造が大きく変貌することが透過型電子顕微鏡による断面組織観察により明らかになった。さらに、X線光電子分光法による組成分析によると、SIMOX基板の場合にはシリサイド層直下の酸化物層から酸素が侵入することもわかった。こうした構造上、組成上の変化が観測された発光特性の変化と深く関係していると思われる。
笹瀬 雅人*; 山本 博之; 山口 憲司; 志村 憲一郎
材料開発のための顕微鏡法と応用写真集, P. 194, 2006/03
-FeSiの作製はシリサイド化反応を促進するため高温を要するが、その過程で容易に凝集する。したがって、連続膜としてエピタキシャル成長させることが困難であった。本研究では、サーマルエッチング(TE)法とスパッタエッチング(SE)法による表面処理を行った2種類のSi(100)基板を用い、表面処理の違いがイオンビームスパッタ蒸着法で作製した-FeSi薄膜の微細構造に与える影響を、透過型電子顕微鏡による断面観察を通じて比較検討した。その結果、SE法で基板前処理を行った場合、界面が急峻で、基板に対して(100)//(100)という方位関係を有する-FeSiのエピタキシャル膜が作製できることを示した。
相原 純; 北條 喜一; 古野 茂実*; 志村 憲一郎; 北條 智博*; 沢 和弘; 山本 博之; 本橋 嘉信*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 242(1-2), p.441 - 444, 2006/01
被引用回数:1 パーセンタイル:12.86(Instruments & Instrumentation)CVD-SiCのTEM試料を色々な温度で20keVNeで1.510Ne/mまで照射して引き続き1273Kで焼鈍した。573と583K照射では照射により非晶質化が起こり、焼鈍によって結晶核生成が起こった。598K照射では部分的非晶質化が起こったが焼鈍による結晶核生成は観察されなかった。673K照射では非晶質化が起こらなかった。低温照射の結果も報告する。
田口 富嗣; 井川 直樹; 實川 資朗; 志村 憲一郎
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 242(1-2), p.469 - 472, 2006/01
被引用回数:3 パーセンタイル:28.19(Instruments & Instrumentation)SiC繊維強化SiCマトリクス(SiC/SiC)複合材料は、優れた高温強度特性を有し、中性子照射後の誘導放射能も低いことから、核融合炉の構造材料の候補材料として期待されている。核融合炉構造材料として、熱交換の効率化及び熱応力の低減化の観点から、候補材料には高熱伝導率を有することが要求されている。核融合炉環境下において、14MeVの中性子照射により、材料中に核変換生成物としてHe及びHが生成する。そこで、本研究では、SiC及びSiC/SiC複合材料の熱拡散率に及ぼすHe原子の影響をHe注入法により検討した。その結果、He注入によりSiC及びSiC/SiC複合材料の熱拡散率は減少するが、核融合炉運転温度である8001000Cの範囲では、熱拡散率の減少はとても小さいことを見いだした。また、アニール効果により、熱拡散率の回復がみられた。He注入により試料内に導入された照射欠陥濃度を、推定した。それによれば、He注入濃度が増加するとともに、照射欠陥濃度も増加する。また、照射欠陥濃度は、500C付近で急激に減少する。これは、SiCからHeが拡散し始める温度と一致している。
志村 憲一郎; 山口 憲司; 山本 博之; 笹瀬 雅人*; 社本 真一; 北條 喜一
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 242(1-2), p.673 - 675, 2006/01
被引用回数:6 パーセンタイル:43.85(Instruments & Instrumentation)イオンビームスパッタ蒸着(IBSD)法により作製した-FeSi薄膜の発光特性を調べ、本手法による-FeSiとしては初めて、100K以下の温度にて0.77及び0.83eV付近に発光ピークを観測した。さらに1153Kで24時間以上アニールすることにより、ピーク位置は0.81eVへとシフトするものの、6Kでの発光強度は1桁以上増加した。アニール前の発光スペクトルは100K以上で消光してしまったのに対し、アニール後は、室温付近まで発光を観測することができた。
志村 憲一郎; 山口 憲司; 笹瀬 雅人*; 山本 博之; 社本 真一; 北條 喜一
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 242(1-2), p.676 - 678, 2006/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Instruments & Instrumentation)絶縁性の酸化物層上に100nm程度のSi層を有するSIMOX基板を用い、イオンビームスパッタ蒸着法によるドライ・プロセスで-FeSi層を絶縁層上に作製することを試みた。しかし、Feターゲットを用いてSi層をシリサイド化させる過程で、直下の酸化層から酸素が拡散することがわかった。そこで、このシリサイド層をテンプレートとし、この上にFeSiターゲットを用いて蒸着を行うことで、酸素の混入がほとんどない厚膜のシリサイド層の作製が可能になった。
志村 憲一郎*; 山口 憲司; 寺井 隆幸*; 山脇 道夫*
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 66(2-4), p.684 - 689, 2005/02
被引用回数:1 パーセンタイル:7.27(Chemistry, Multidisciplinary)核融合炉における燃料リサイクリング、トリチウムインベントリー・透過の問題は、さまざまな速度過程が関与し、その複雑さゆえ、特に過渡特性が十分に理解されていないとされる。本研究では、セルオートマトン(CA)法を用い、金属材料における水素の輸送をモデル化することを試みた。今回は、本手法を用いた従来の研究をさらに発展させ、プラズマ-表面ならびに表面-バルク間の相互作用を複合的にモデル化することに重点を置いた。モデルでは、バルクを2次元の格子で構成し、これを等しいサイズのセルに分割する。両端の縦方向のセルを表面とみなし、その他はバルクに属するものとする。水素同位体の有無によって各セルは2つの状態をとるとし、吸着,脱着,吸収,放出,バルクならびに表面拡散に対応する遷移則を与えた。計算結果は、実験結果と定性的に符合した。
山口 憲司; 部家 彰*; 志村 憲一郎; 勝俣 敏伸*; 山本 博之; 北條 喜一
Thin Solid Films, 461(1), p.17 - 21, 2004/08
被引用回数:4 パーセンタイル:25.12(Materials Science, Multidisciplinary)-FeSiは、Si基板へのエピタキシャル成長が可能で、新しい光エレクトロニクス用半導体への期待から大きな関心を集めている。その結晶構造は、合成時におけるFeとSiの原子比に大きく依存するため、本研究では、Fe,FeSi,FeSiといった種々の組成比を有するターゲット材料を用い、イオンビームスパッタ蒸着法によりSi(100)基板上への-FeSi薄膜の合成を試みた。実験結果によると、FeSiターゲットの場合、Siリッチな相である-FeSi (FeSi)が支配的であった。一方、Feターゲットの場合は、(100)面に配向した-FeSi相が873-973 Kで観測された。FeSiターゲットではSiはターゲットと基板の双方より供給されるため、必然的にSiリッチとなり相が維持できなくなると考えられた。しかし、一方で、Feターゲットの場合でも、膜厚が100nmになると多結晶質になることがわかった。これらの事実は-FeSiのエピタキシャル成長にとってFeとSiの原子比が重要であることを示していると考えられ、そこで中間的な組成を有するFeSiターゲットを採用したところ、120nm程度の高配向性の-FeSi膜を作製することができた。
山口 憲司; 原口 雅晴*; 勝俣 敏伸*; 志村 憲一郎; 山本 博之; 北條 喜一
Thin Solid Films, 461(1), p.13 - 16, 2004/08
被引用回数:10 パーセンタイル:46.84(Materials Science, Multidisciplinary)イオンビームスパッタ蒸着法により、773-973Kの温度範囲で、Si(100)基板上にFe蒸着膜厚8-30nmの-FeSi薄膜を作製した。X線回折による分析の結果、本研究の条件下では-FeSi相が支配的であることがわかった。薄膜の電気特性については、蒸着の前後で電気特性がほとんど変わらなかったことから、圧倒的に基板の電気伝導度が大きいと考えられた。最良の結晶特性を有する薄膜は、基板温度; 873K, Fe蒸着膜厚; 15nm、もしくは、温度; 973K, 膜厚; 30nmという条件下で得られた。これを換言すれば、前述の条件よりも高温もしくは低膜厚条件下では、金属相である-FeSi相が混在するようになる一方で、低温,高膜厚条件下では-FeSi相は多結晶質になった。これらの事実は、Si原子とFe原子による相互拡散、ならびに、その拡散を抑制するシリサイド層が、結晶成長に重要な影響を及ぼすことを示唆している。
志村 憲一郎; 勝俣 敏伸*; 山口 憲司; 山本 博之; 北條 喜一
Thin Solid Films, 461(1), p.22 - 27, 2004/08
被引用回数:8 パーセンタイル:41.01(Materials Science, Multidisciplinary)-FeSiは、自然界に多く存在している鉄とシリコンから構成されており、また製造段階で毒性の強い薬品を多用しないため、次世代の環境半導体として注目されている。また、その特性は、現在の光通信技術を進歩させるに十分なものとされる。しかしながら、現在その合成法は未発達な状態にある。Si基板上に-FeSiをエピタキシャル成長させるうえで、その作製法は数多くあるが、われわれはイオンビームスパッタ蒸着(IBSD)法を採用している。実用的な-FeSiのデバイス化で必要なことは、単結晶薄膜を得ることである。鉄蒸着前のSi表面の状態は、薄膜の結晶性に大きく影響を及ぼすと考えられる。本研究では、ネオンイオンによるスパッタ・エッチング及び照射後、1073K, 1時間程度の熱処理を行いFeの蒸着を行った。最適なスパッタ・エッチングの条件を模索するため、ネオンイオンエネルギーを14keV、フルエンスを0.3103010ions/mと変化させ薄膜作製を行った。作製された薄膜は、X線回折法を用いその結晶性を評価し、スパッタ・エッチング条件の変化が薄膜にいかに影響を及ぼすかを調べた。その結果、エネルギー1keV, フルエンス310ions/m程度が最適であると結論づけられた。
志村 憲一郎*; 山口 憲司; 寺井 隆幸*; 山脇 道夫*
JAERI-Conf 2003-001, p.352 - 358, 2003/03
核融合炉リチウムセラミックス増殖材料からのトリチウム放出は、スイープガス組成に依存して、吸着や脱離等の表面過程が強く影響される。非常に多くの研究やモデルがあるにもかかわらず、これらの過程は、複雑な過渡応答を呈するゆえ、十分に解明されているとは言えない。本研究ではセルオートマトン(CA)法を用いてリチウムセラミックスの表面とスイープガスの相互作用に関するモデル化を試みる。CAモデルは、時間的にも空間的にも完全に離散的であり、計算体系はセル間の相互作用の総体として記述される。このような特徴ゆえ、複雑な物理・化学系は比較的単純に表現できる。さらに、微分方程式の場合とは異なり、かなり非線形の強い境界条件を与えることも可能である。本モデルでは、2つの2次元格子を考え、それぞれ、表面サイトと気相を表すものとする。吸着,脱離,欠陥との相互作用に代表されるダイナミックスは、これらの格子を通してその地点での遷移則に従って起こるものとする。さらに、個々の遷移則は熱活性化過程であるとする。これらの前提のもとに、トリチウム放出に関して、本モデルの妥当性や適用性について論じる。
志村 憲一郎*; 山口 憲司; 寺井 隆幸*; 山脇 道夫*
Physica Scripta, T103, p.101 - 104, 2003/00
被引用回数:2 パーセンタイル:21.42(Physics, Multidisciplinary)本研究にて、セルオートマトン(CA)法により金属表面からの吸着水素の脱離をモデル化した。本モデルは、表面を1次元に簡素化したもので、表面過程を拡散と脱離に分けて取り扱う。前者は、各時刻で粒子をランダムに配置することにより、また、後者については、これを熱活性化過程とみなすことにより扱っている。モデルの検証として昇温脱離を取り上げ、シミュレーションによる結果を化学反応速度論に基づく計算結果と比較した。両者は見事に一致し、本モデルで表面での再結合脱離が十分に取り扱えることがわかった。現状では2次脱離のケースしか扱えないものの、複雑な条件を有する水素輸送の問題を扱う土台は構築できたと言えよう。
志村 憲一郎*; 山口 憲司; 寺井 隆幸*; 山脇 道夫*
Journal of Nuclear Materials, 307-311(2), p.1478 - 1483, 2002/12
被引用回数:2 パーセンタイル:17.03(Materials Science, Multidisciplinary)第一壁材料表面での水素再放出・再結合は、燃料リサイクリングやプラズマ対向材料中のトリチウムインベントリーに絡む非常に重要な問題である。この問題に関する研究は非常に多いが、幾つかの速度過程が相互に影響を及ぼし合うため、複雑な過渡挙動を呈し、これをモデル化するのは困難であるように思う。本研究では、セルオートマトン(CA)法を用い、表面近傍での水素輸送機構のモデル化を行う。CA法は、時間と空間に関して完全にdiscreteであるため、系は個々のセル間のミクロな相互作用として記述される。それゆえ、複雑な物理・化学的な系(吸着,空孔サイト等)は、かなり単純化できる。また、微分方程式を解く場合とは異なり、非線形の境界条件も容易に扱える。当モデルでは、格子はMargolusブロックとして扱われる。各ブロック中のセルは2つの状態をとるものとし、個々の時間ステップにおいて遷移則を適用する。2次元的な平面格子を表面層とみなし、その上に気相,その下にバルク領域があるとする。こうして、吸着・脱離は、表面層と気相の間の相互作用として記述される。同様に拡散は、表面層とその下の領域を対象としている。また、表面拡散は表面上でのrandom-walk過程として扱う。ここで述べたすべての過程は、熱活性化過程とし、遷移則が適用される。モデルを用いて、金属中に注入された水素の熱脱離や再放出のシミュレーションを行った。結果は、理論的考察と定性的に一致した。さらに、実験結果を用いて、本モデルの妥当性ならびに適用性について議論する。
大越 啓志郎*; 遠田 俊一*; 志村 憲一郎*; 山口 憲司; 寺井 隆幸*; 山脇 道夫*
Physica Scripta, T94, p.16 - 20, 2001/10
被引用回数:2 パーセンタイル:20.74(Physics, Multidisciplinary)イオン駆動透過(IDP)と原子駆動透過(ADP)の挙動の違いを調べるため、Nbに対するADP実験を行った。温度依存性に関してADPの場合、500~1000Kの範囲で中間の温度で極大となることが判明し、IDPやGDP(分子駆動透過)の場合とは異なる様相を呈した。現象論的な「再結合係数」を仮定し、下流側表面直下でのバルク水素密度を評価した。計算機シミュレーションにより、実験条件下では密度は深さ方向に関してほぼ一様となることを明らかにした。シミュレーションでは、超高真空下で行われた実験であるにもかかわらず上流側において侵入する原子流速と表面直下の水素密度の間で擬似平衡が成立するとしたが、実験で観測された特異な温度依存性を定性的に説明することができた。