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伊藤 均; 渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭
Agricultural and Biological Chemistry, 47(12), p.2707 - 2711, 1983/00
活性汚泥脱水ケーキ1gの総菌数は210個検出され、その多くはPseudomonas psendomalleiで占められていた。また大腸菌群は810個検出され50%以上がE.coliで占められていた。汚泥にガンマー線を照射すると一般細菌は0.5Mradまでは急激に減少したが、それ以上の線量では菌数減少はゆるやかとなり10Mradまで照射しても1g当り10個生残していた。一方、大腸菌群は0.5Mrad以下で殺菌された。高線量照射後の汚泥に主に生残している金はpoly--hydroxybutylate蓄積能を有するPseudomonas類であり、非照射から2Mradまでの線量では0.5から0.7MradでBacillusが主要残存菌となることを除いてはP.preudomalleiが主要フローラを構成していた。また2から5MradではP.cepaciaP.saccharaphiliaが主要残存菌であり、5Mrad以上ではP.flavaが主に生残していた。しかし、これらのPsendomonasは燐酸緩衝液中では放射線抵抗性は著しく弱くD値も0.005から0.021Mradにすぎなかった。
伊藤 均; 飯塚 廣*
Agricultural and Biological Chemistry, 47(3), p.603 - 605, 1983/00
ウインナーソーセージ、リテーナ成形かまぼこ、揚かまぼこ、家食肉から変敗菌として分離されたグラム陰性、オキシダーゼ陽性の球桿菌は20C前後での生育が良好で37Cでは生育ができない低温性細菌であり、10%以上の食塩濃度でも耐性を示すのが特徴で、Moraxella osloensisやAcinetobacter calcoaceticusとは明らかに性質の異なる別菌種である。菌株間の形質転換能は低温性球桿菌の全株に認められ、独立の菌属としての分類学的位置づけを明らかにするべきである。多くの分離株は放射線抵抗性が強く、D値は44~66kradの間に分布していたが、揚かまぼこから分離したS12株など3株は抵抗性が弱くD値は25~29kradにすぎなかった。またS12の栄養変異株に他の放射線抵抗性株のDNAを形質転換しても放射線抵抗性の増大は認められなかった。
伊藤 均; 渡辺 宏; 武久 正昭; 飯塚 廣*
Agricultural and Biological Chemistry, 47(6), p.1239 - 1247, 1983/00
1Mrad以上照射した下水汚泥および飼料から6株の放射線抵抗性球菌が分離された。これらの分離株はnutrient agarで生育でき、一部の菌株はglutamate agarでも生育した。各分離株は単球菌または2連球で、4連球菌となるものもあった。細胞は0.8~1.0mで、ペプチッドグリカンは全株がオルニチン型である。細胞の主要脂肪酸組成はCである。DNAのGC含量は59~66mol%であり、これらの性質は「Micrococcus radiodurans」と同じグループに属することを示している。最近BrooksとMurrayはこのグループを新属のDeinococcusと提唱しており、本研究の分離株TD1,TD3,TD9,Fr3,Fr7はD.proteolyticusと同定された。しかしT843株は脂肪酸組成がCとCであり、GC含量も59%と小さく、白色コロニーを形成する点から新たにD.takasakiensisと命名した。各菌株は放射線抵抗性でD値は0.10~0.25Mradあり、Deinococcusの全株で酸素効果がほとんど認められない点は他の細菌類と異なった特徴である。
久米 民和; 伊藤 均; 飯塚 廣*; 武久 正昭
Agricultural and Biological Chemistry, 47(5), p.1065 - 1069, 1983/00
飼料から分離されたA.versicolorの分生子の生存曲線は緩衝液中でも乾燥状態でもシグモイド型であった。D値とInduction doseは、緩衝液中で37および17~18krad、乾燥状態では50~51および25~48kradであった。これらの結果から、A.versicolorの殺菌線量は0.7Mrad以下で十分であることが明らかとなった。他の好浸透圧性糸状菌の放射線感受性もA.versicolorとほぼ同様であった。分離されたA.versicolor3株のうち2株に発ガン性物質であるステリグマトシステンの産生能が認められた。精白米培地上に生産されたステリグマトシスチンの量は、M13株で410g、c132で、280g、MYA-0056で730gであった。しかし、M26株には生産性が認められなかった。ステリグマトシスチンは乾燥状態では放射線に対して安定であり分解を達成するためには52Mradの高線量が必要であった。したがって、ステリグマトシスチンが生産される前に殺菌することが必要である。
飯塚 廣*; 渡辺 宏
防菌防黴, 11(5), p.247 - 253, 1983/00
放射線殺菌は他の従来の方法にはない特徴といくつかの利点を持っている。その利点を生かして医療器具の殺菌や無菌動物用飼料の殺菌などがすでに実用化されているが、まだ十分に活用されているとはいいがたい。そこで、日本防菌防黴学会の創立10周年記念特集号の中で、放射線による殺菌作用の機構と、これまですでに実用化されている医療分野や食品照射分野以外への放射線殺菌の応用の可能性、およびその研究開発状況などについて解説した。
渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭
International Journal of Radiation Biology, 43(1), p.85 - 90, 1983/00
被引用回数:7 パーセンタイル:77.81(Biology)種々の細菌栄養細胞に対するNOの効果を説明できる反応機構はまだ解明されていない。我々は種々の栄養細胞に対するNOの作用の違いが細胞内カタラーゼに起因するとの考えの基に、NO増感作用におけるカタラーゼの役割を明らかにするため、種々の細菌に対するNOの効果とカタラーゼ活性との関係について検討した。1M/min以上の活性を示す細菌では、NOによる増感率と活性の間に一定の相関が認められ、活性の○いもの程NOによって増感されやすいことが明らかになった。この相関関係によって、今まで不明であった生育時期による増感率の違いや、細菌の種類による増感率の違いはすべてカタラーゼ活性との関係で説明できる。またOHラジカル、HOおよびカタラーゼが関与する反応として、NOによる増感作用は次のような反応機構によって起ることを提起した。(1)RH+OHR・+HO (2)HO(カタラーゼ)O+HO (3)R・+ORO・
久米 民和; 伊藤 均; 飯塚 廣*; 武久 正昭
食品照射, 18, p.5 - 9, 1983/00
飼料から分離されたA.versicolorの分正子の殺菌曲線は緩衝液中でも乾燥状態でもシグモイド型を示した。D値とInduction doseは、緩衝液中で37および17~18krad、乾燥状態で50~51および25~48kradであった。これらの結果から、A.versicolorの殺菌線量は0.7Mrad以下で十分であることが明らかとなった。他の好浸透圧性系状菌の放射線感受性もA.versicolorとほぼ同様であった。分離されたA.versicolor3株のつち2株に発ガン性物質であるステリグマトシスチン産生能が認められた。精白米培地上に30C、10日間培養したときのステリグマトシスチン産生量は、標準株MYA-0056株の1/2~1/3程度であった。ステリグマトシスチンは乾燥状態で照射すると線量に比例して分解したが、放射線に対して安定であり完全に分解するためには52Mradの高線量を必要とした。したがってステリグマトシスチンが産生する前に、放射線殺菌することが効果的である。
渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭
食品照射, 18, p.22 - 25, 1983/00
殺菌線量を低減する方法の一つとして、これまで加熱と照射の組合せ効果は研究されているが、低温処理の効果についてはほとんど研究されていない。我々は大腸菌や枯草菌などが急冷処理によって死滅する現象(コールドショック)に注目し、急冷処理と放射線の組合せによって細菌の放射線感受性がどのように変化するかを検討した。その結果、急冷処理後の細胞をN中で照射した時にはあまり大きな感受性の変化がみられないが、O中では感受性が増大することが明らかとなった。また照射後に急冷処理するとN中では線量が高い程、コールドショックを受けうけやすくなるが、Oでは逆にショックを受けにくくなり、NO中では増感が起る線量以上でO中と同様にショックを受けにくくなった。これらの事実は細胞の死滅に細胞膜が重要な役割をはたしており、照射による細胞膜の構造変化はN中とO中で全く異なっていることを示唆している。N中では処理前、Oでは処理後に照射すると線量を低減できる。
伊藤 均; 飯塚 廣*; 佐藤 友太郎*
日本食品工業学会誌, 29, p.423 - 425, 1982/00
水分含有量13.0~14.0%の低水分含量玄米に20および30kradの殺虫に必要なガンマー線を照射して、クラフト紙袋中で夏期3ヶ月間貯蔵したところ、非照射区では変敗糸状菌のAspergillus等が著しく検出されるようになった。一方、殺虫線量照射区では糸状菌検出率が明らかに少なかった。玄米の発芽率も非照射区では17~47%に減少したが、照射区では55~99%に保たれていた。この原因として貯蔵中の糸状菌および虫発生の抑制、放射線による発芽刺激効果などが考えられる。
渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭
Radiat.Res., 89, p.325 - 333, 1982/00
被引用回数:18 パーセンタイル:69.56(Biology)殺菌線量低減化の研究の過程で、NOがP.radiora 0-1の放射線感受性を著しく増大し、その増感作用がOHラジカルとHOの協同作用によることをすでに報告した。今回は増感作用の性質を明らかにするため、増感に影響を及ぼす要因について検討した。NOによる増感は610cells/ml以上の細胞濃度で抑制された。希薄懸濁液中(10cells/ml)では1~12krad/minの範囲で、線量率効果は認められないが、10cells/ml濃度のものを0Cで照射した場合には5krad/min以下で、線量率の低下につれて増感は抑制された。また20Cで照射した場合には、さらに変い線量率でも増感は抑えられた。このようにNOによる増感作用は、細胞濃度、線量率、照射温度などによって影響される。これらの要因と細胞内カタラーゼとの相関を調べた結果、NOの増感を左右するこれらの要因が、カタラーゼ活性に依存することを明らかにした。
渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭
食品照射, 17, p.20 - 22, 1982/00
殺菌線量を低減化する方法として、Oの増感作用(酸素効果)は有効な方法の一つである。これまで空気中や100%O下での効果は調べられているが、低O濃度下での効果についてはあまり検討されてきていない。そこで0.9%O下で起る酸素効果にどのような溶性種が関与するかを検討した。P.radiora 0-1はO濃度の増加に伴って感受性が増大するが、5%以上では100%まで感受性の変化はなかった。最大増感(5%以上)の約半分の増感を示す0.9%O下で、種々の捕捉剤(アルコール、SOD、カタラーゼ等)を使って検討した結果、OHラジカルと同時にOやHOが酸素効果の原因となっていることが明らかとなった。酸素固定化説では酸素効果はOHラジカルと分子状Oによって起ると考えられてきたが、この仮説が、低いO濃度下では適用できないことを明らかにした。
渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭
Agricultural and Biological Chemistry, 45(10), p.2323 - 2327, 1981/00
M.radioduransの細胞は照射によって溶解酵素(P2-2酵素)の作用を受けやすくなった。この照射による溶解促進作用は液体N中で照射した場合には観察されなかったから,放射線の間接作用によって起ると考えられる。またt-ブタノールを添加することにより、促進作用は全く抑制されるから、この間接作用はほとんどOHラジカルの作用によって起る。細胞をNやO中で照射した時は、非照射細胞と同様にほとんどリゾチウムの作用を受けないが、NO中で照射された細胞だけはリゾチウムで溶解されるようになった。一方、n-ブタノールで抽出することにより脂質を除いた細胞はリゾチウムでも溶解するようになるが、この細胞を照射しても、酵素溶解は促進されなかった。従って照射による酵素溶解の促進現象は、細胞壁中の脂質成分の変化に起因すると考えられる。
渡辺 宏; 伊藤 均; 飯塚 廣*; 武久 正昭
発酵工学, 59(5), p.455 - 460, 1981/00
余剰汚泥中の大腸菌群が放射線抵抗性になったり、また総菌数が著しく放射線抵抗性であるという原因を調べるため、汚泥中での細菌の放射線感受性について検討した。大腸菌群が抵抗性になる現象は脱水ケーキを水で希釈した後照射した時にも観察される。この現象は地域や汚泥の種類や季節には関係なく起り、O効果も見られない。汚泥から分離した大腸菌が特に放射線抵抗性であるということはなく、また汚泥抽出液が大腸菌の感受性を著しく保護することから、汚泥中に保護物質が存在すると考えられる。一方2~5Mrad照射した汚泥から分離される細菌はほとんどのものが感受性の高いPseudomonasであった。この1株を希釈ケーキや余剰汚泥中で照射した時にも著しい保護効果が認められた。これらの結果は細菌を放射線障害から保護する原因が汚泥中に含まれていることを示している。
渡辺 宏; 伊藤 均; 飯塚 廣*; 武久 正昭
発酵工学, 59(5), p.449 - 454, 1981/00
下水汚泥を衛生化する目的で種々の汚泥について細菌数の変化と放射線による殺菌効果を検討した。活性汚泥および消化汚泥ともその遠心脱水ケーキ中の総菌数は310/g以下であり、大腸菌群数は3.510/g以下であった。またフィルタープレスで脱水したケーキ中の総菌数は310/gであり、大腸菌群はほとんど検出されなかった。脱水前の汚泥中では大腸菌群の放射線感受性が年間を通じて著しく変動し、1.0Mrad以上照射しても殺菌できない場合があった。これに対して遠心脱水ケーキ中では、総菌数の殺菌には13Mrad以上の線量が必要であるが、大腸菌群は汚泥の種類や処理場の違いに関係なく、年間を通じて0.5Mradで殺菌できる。従って、汚泥中の大腸菌群の殺菌は脱水ケーキを0.5Mrad照射処理する方法が望ましい。
伊藤 均; 久米 民和; 武久 正昭; 飯塚 廣*
日本農芸化学会誌, 55(11), p.1081 - 1087, 1981/00
被引用回数:6 パーセンタイル:64.13(Agronomy)各種配合飼料は微生物汚染が著しく、総菌数は1g中1.310~2210個、大腸菌群は2.510~7.510個検出された。しかし大腸菌群の多くはEnterobactenで占められており、典型的な大腸菌は1%程度であった。糸状菌は貯蔵中の変敗に無関係の一般糸状菌が1g中2.410~4.510個、変敗は糸状菌は1.510~3.510個検出された。魚粉については調整魚粉のみが微生物汚染が著しかった。飼料の微生物汚染で問題となるのは大腸菌群と変敗に関する好浸透圧性糸状菌であろう。ガンマー線による殺菌効果をしらべた結果、飼料を完全殺菌するためには2.5~3Mrad以上の線量が必要であるが大腸菌群は0.6~0.8Mradで殺菌できた。好浸透圧性糸状菌は0.2Mradで検出限界以下に殺菌できた。
久米 民和; 伊藤 均; 武久 正昭; 飯塚 廣*
日本農芸化学会誌, 55(12), p.1197 - 1203, 1981/00
被引用回数:1 パーセンタイル:37.04(Agronomy)幼雛用配合飼料について、放射線による殺菌効果および貯蔵効果について検討した。非照射試料1g中の総菌数は2.410~3.910、大腸菌群4.110~9.010、好浸透圧性糸状菌1.110~2.210、一般糸状菌1.810~1.110個検出された。また0.2Mradの照射により、総菌数は1/10~1/20に、大腸菌群は1/20~1/50に、好浸透圧性糸状菌は検出限界以下に、一般糸状菌は1/10~1/1000に減少した。高湿度条件下で飼料を貯蔵した場合、好浸透圧性糸状菌は著しく増殖した。これに対し、総菌数、大腸菌群、一般糸状菌は貯蔵中に増加することはなく、むしろ減少傾向を示した。照射飼料中の好浸透圧性糸状菌の貯蔵中の変化を検討した結果、0.2Mrad照射では著しい菌数の増大が認められたが、0.5Mrad照射で顕著な抑制効果が認められた。これらの結果から、夏期条件下(15~34C、60~90%RH)で3~4ヶ月間飼料を貯蔵するための適正線量は0.5Mradであると考えられた。
渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭
Radiat.Res., 88(3), p.577 - 586, 1981/00
被引用回数:27 パーセンタイル:77.49(Biology)放射線抵抗性菌を低線量で殺菌することを目的とした殺菌線量低減化技術の開発の過程で、放射線抵抗性菌であるPs,radiora O-1がNOによって著しく増感されることを見出した。種々のアルコールやシステイン,蟻酸などを用いて、増感に関与するラジカルについて調べた結果、H原子は関与しないが、OHラジカルは増感に関係すること、またカタラーゼやパーオキシダーゼがNOの増感を抑制することから、HOも増感に関係していることが明らかとなった。HOだけでは死滅効果がなく、またどちらか一方が捕捉されても増感が抑えられることから、NOによる増感作用はOHラジカルとHOの協同作用によって起ると結論した。このような栄養細胞に対するNOの新しい増感機構はまだ報告されていないため、従来の増感機構と対比して考察した。
伊藤 均; 久米 民和; 武久 正昭; 飯塚 廣*
Radiation Physics and Chemistry, 18(3-4), p.569 - 574, 1981/00
各種配合飼料中の総菌数は1g中110~210個、大腸菌群は310~810個検出された。大腸菌群の多くはEnterobacterで占められており、E.coliは1%程度しか含まれていなかった。一般糸状菌は210~510個検出され、貯蔵中の変敗に関係する好浸透圧性糸状菌は210~410個検出された。ガンマー線による殺菌効果をしらべた結果、飼料を完全殺菌するためには2.5~3Mrad以上の線量が必要であるが大腸菌群は0.6~0.8Mradで殺菌できた。飼料の貯蔵試験の結果では0.5Mrad照射しないと好浸透圧性糸状菌の発生は抑制できなかった。しかし0.5Mrad照射すれば夏期の最もきびしい条件である30C・85%R.H.でも3ヶ月以上糸状菌による変敗を防ぐことができた。
久米 民和; 伊藤 均; 武久 正昭; 飯塚 廣*
食品照射, 16(1), p.29 - 32, 1981/00
放射線による幼雛用飼料の殺菌効果および貯蔵効果を検討した。飼料1g当りの菌数は、総菌数2.410~3.910、大腸菌群4.110~9.010、好浸透圧性糸状菌1.110~2.210、一般糸状菌1.810~1.110であり、製造時季による変動はあまり認められなかった。0.2Mrad照射した場合、総菌数は1/10~1/20、大腸菌群は1/20~1/50に減少した。好浸透圧性糸状菌はいずれの場合にも検出限界以下をなり、一般糸状菌は1~3ケタ程度減少した。夏期にクラフト袋を用いて飼料を貯蔵した場合、総菌数、大腸菌群、一般糸状菌は貯蔵中に減少傾向を示した。好浸透圧性糸状菌は、非照射試料で2~3ヶ月間貯蔵後に著しく増大した。0.2Mrad照射試料では2ヶ月間糸状菌は検出されなかったが、3ヶ月以降増大した。0.5Mrad照射試料では3ヶ月間検出されず、4ヵ月後に糸状菌の生育が認められたが貯蔵前の菌数より低い値であった。したがって、0.5Mradの照射で、夏期の貯蔵条件下でも3~4ヶ月飼料の貯蔵が可能となった。
渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭
食品照射, 16(1), p.33 - 36, 1981/00
細菌栄養細胞に対するNOの放射線増感作用はOHラジカルとHOの協同作用によって起る。この増感作用に対する細胞内タラーゼの役割を明らかにするため、8株の細菌に対するNOの効果とカタラーゼ活性を測定した。その結果、活性の高い細菌ほどNOによって増感されやすく、活性の低い細菌では増感が認められなかった。以上の結果から次のような増感機構を提起した。RH+OHR・+HO、HOカタラーゼHO+O、R・+ORO・、即ちターゲット分子にOHラジカルが反応して有機ラジカル(R・)を作り、カタラーゼによってHOから作られたOがこのR・と反応することによって、ラジカルで生じた障害が固定され、その結果死滅が起るというものである。